JP5149999B2 - 補聴器,ならびに過渡音の検出および減衰方法 - Google Patents

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Description

この発明は補聴器に関する。より詳細には,この発明は入力信号の動的修正手段(means for dynamic modification)を備える補聴器に関する。この発明はさらに補聴器内における信号処理方法に関する。
近年の補聴器において,増幅利得はユーザの聴力損失に対応する処方(指示)(prescription)にしたがって設定され,瞬時音レベル(instantaneous sound level)に応じて動的に修正される。これは最先端の補聴器では周波数帯ごとに行われている。補聴器のフィッティングは,再生音のレベルを,下限となる聴覚閾値レベル(HTL)(the hearing threshold level)と上限となる快適限界レベル(UCL)(the upper comfort level)との間に限定することを目的とする。聴力損失者は聴力損失がある周波数における上記HTLが高いのに対し,他方において上記UCLは一般には聴力損失による影響が小さい。すなわち,非常に大きな音が引起こす不快さは聴力損失がある人もない人もほぼ同じである。したがって,快適限界レベルを超えないように音レベルの大きな変化を管理するには,補聴器からの出力信号を何らかの形で動的に低減または圧縮することが必要である。このことは,音が非常に大きくかつ継続時間が非常に短い過渡騒音(transient noises)に特に当てはまる。
近年の補聴器では,補聴器の出力トランスデューサからの増幅音が常に上記UCLを下回るように,何らかの方法で音信号レベルを動的に圧縮または制限するのが通常である。圧縮器は,通常,レベル検出器(level detector)および利得レベルを制御可能な増幅器を含む。上記レベル検出器は,入力信号の概略的レベルの尺度(measure),たとえば特定の時間窓の間に検出されるピーク・レベル,包絡線または何らかの平均を与える。忠実かつ理解可能な発話(スピーチ)の再生のために,近年の補聴器が有する圧縮器は,通常,補聴器をユーザの聴力損失に合わせる手続き中に最適設定される。もちろん,他の音も補聴器によって同様に再生されるが,発話信号の処理品質が最優先とされる。
騒音(ノイズ)中の発話信号は難聴者にとって特に理解が困難であるので,補聴器をユーザにフィッティングする際の最適化過程ではこの要因が考慮に入れられる。過渡騒音は,上記圧縮器がこれに反応して減衰させようとしても,持続時間が短いためにそれが間に合わない場合があるという独特の問題を生じさせる。また,過渡音が繰返されると,過渡音が終わってからも最大数秒にわたって補聴器の増幅がかなり低減されることもある。
結果的に得られる利得低減信号の品質には多くの要因が影響する。上記増幅器の品質,利得を低減させる速度,ならびに入力信号中のピークを検出する方法および速度のすべてが,再生信号の知覚される品質(perceived quality)に影響を及ぼす。ゆっくりとしたアタック時間(slow attack-time),すなわち利得の低減が低速であると,入力レベルが穏やかなレベルから大きなレベルに変化したときに利得が過大になることがある。ゆっくととしたリリース時間(slow release-time),すなわち低減されたレベルから通常レベルにまで戻る利得の増加が低速であると,大きな音の直後の穏やかな音に適用される利得が過小になることがある。
本願において,補聴器は,聴力損失を改善するために難聴者によって人の耳の後ろまたは中に装着するように設計された,小さく,電池駆動の,小型電子機器であると理解されたい。使用に先立って,補聴器は処方にしたがって補聴器フィッタによって調節される。聴力が低下したユーザの裸耳聴力の初期性能について聴力検査を行った結果であるいわゆるオーディオグラムに基づく処方によって,可聴周波数範囲のうちのユーザが音を知覚しにくい部分の周波数を増幅することによって調節は行われる。補聴器は,1または複数のマイクロフォン,電池,信号処理装置を含むマイクロ電子回路,および音響出力トランスデューサを含む。信号処理装置は好ましくはデジタル信号処理装置である。補聴器は,耳の後ろまたは中に装着するのに適したケース内に収められる。
補聴器中のマイクロフォンが周囲からの音をアナログ電気信号に変換する。補聴器中のデジタル信号処理装置は,マイクロフォンからのアナログ電気信号をアナログ・デジタル変換器によってデジタル形式に変換し,その後の信号処理はデジタル領域において実行される。このデジタル信号は複数の周波数帯に対応するデジタル帯域通過フィルタ・バンクによって複数の周波数帯に分割され,各帯域通過フィルタがそれぞれの周波数帯を処理する。帯域通過フィルタ・バンクは通常帯域分割フィルタと呼ばれる。各周波数帯における信号処理は利得の計算および圧縮を含む。各周波数帯において別個に信号を処理した後,この複数の周波数帯が合計されて,その後デジタル出力信号が音に変換される。
このように,デジタル補聴器は入力信号の複数の異なる周波数帯を,別々にかつそれぞれ独立に増幅し,その後,得られた各周波数帯の信号を結合して,コヒーレントな可聴範囲の周波数を形成して再生することができる。増幅過程の一部において圧縮アルゴリズムを適用して各周波数帯のダイナミック(強弱の変化)を制御し,音の再生を個々の聴力低下に適合させるために,増幅利得および圧縮パラメータを周波数帯ごとに個別に制御することができる。
発話を忠実かつ理解可能に再生するために,近年の補聴器に含まれる圧縮器は,通常,補聴器をユーザの聴力損失に合わせる手続き中に最適設定される。もちろん,他の音も補聴器で同様に再生されるが,発話信号の処理品質が最優先である。騒音中の発話信号は難聴者にとっては特に理解が困難であるので,補聴器をユーザにフィッティングする際の最適化過程ではこの要因が考慮に入れられる。
鋭い過渡騒音(sharp transient noises)が補聴器ユーザと相性が悪いことはよく知られている。ナイフ,フォーク,スプーン,皿などがカチャカチャとぶつかり合う音,グラス同士がカチンカチンとふれあう音,紙がくしゃくしゃになる音,ドアがバタンとしまる音といった大きな過渡騒音は,いわゆる快適限界レベルの閾値を超えるのみならず,一般に使用される圧縮器では除去することがほとんど困難であるので,補聴器ユーザにとって耐え難い騒音として知覚されることがある。
そこで,騒音中の発話を忠実かつ理解可能に再生することができ,かつ,最も鋭い過渡音(the sharpest transients)を不快でないように減衰させることが可能な補聴器が望まれている。
国際公開第2007031499号には,補聴器内で過渡騒音を減衰する方法および装置が開示されている。この方法は,入力信号の包絡曲線を検出し,この包絡曲線のエッジの勾配(slope)および/または高さ(height)を求め,入力信号の次のゼロ遷移のごく近傍でのみ求められた,エッジの勾配および/または高さに応じて,補聴器の出力信号を減衰する。
この装置は,補聴装置として具体化され,入力信号の包絡曲線を検出する検出装置,包絡曲線のエッジの勾配および/または高さを求めるデータ処理装置,および補聴装置の出力信号を減衰する減衰装置を備える。
この方法には弱点があり,それは,入力信号の5つの異なるパラメータ,すなわち包絡曲線,勾配,信号ピーク,エッジの存在,およびゼロ遷移を分析しかつ抽出しなければならないことである。また,この方法は,減衰させるべき信号ピークごとに正確な減衰レベルを計算しなければならず,その分,複雑である。さらに,ゼロ交差法(zero crossing rule)は,このシステムでカチッという音(clicks)が発生しないことを保証するものではない。波形のゼロ交差における,減衰による勾配の変化は,やはり,カチッという音やアーチファクトを再生音にもたらす可能性がある。そこで,補聴器の入力信号における高速過渡音のピークを検出して処理する,より簡潔かつより高速のシステムが必要とされている。
この発明は,第1の態様において,マイクロホン,信号処理装置および出力トランスデューサを備える補聴器を提供するもので,上記信号処理装置は,入力信号を複数の周波数チャネル入力信号に分割するフィルタ・バンク,および上記チャネル(複数)からの出力信号を合計する加算器(summer)を有し,各周波数チャネルは,チャネル音レベル計算器,チャネル利得計算器およびチャネル増幅器を備え,各チャネル音レベル計算器はチャネル入力信号からパラメータ・セット(a set of parameters)を導出するように構成され,各チャネル利得計算器は各チャネル増幅器の利得を動的に制御するように構成され,各チャネル増幅器はユーザの処方にしたがって信号を処理するように構成されており,各チャネル利得計算器および各チャネル増幅器は,一緒になってチャネル圧縮器を形成しており,上記信号処理装置が上記フィルタ・バンクの上流に置かれた過渡音検出器を備え,上記過渡音検出器が,入力信号の勾配を求め,かつ入力信号の勾配が所定値を超える場合に各チャネル音レベル計算器に信号を与える手段を有しており,各チャネル音レベル計算器が,導出されたパラメータ・セットに基づいて各周波数チャネルにおけるチャネル利得計算器およびチャネル増幅器の圧縮速度を制御することを特徴とする。
この構成は,過渡音信号(transient signals)の処理方法を発話信号(speech signals)の処理方法と異なるものとして,複数の周波数チャネルにおいて適切な操作を行い,かつ利得計算器の挙動を変更するために,反応が十分高速な過渡音検出器を有する補聴器処理装置をもたらす。発話信号中には,立ち上がりが,例えば,160.000dB/秒(32kHzのサンプルレートで5dB/サンプルに相当)よりも遅い過渡音しか存在しないという事実に基づき,この発明による過渡音検出器によって,上記のように,特定のレベルを上回る,立ち上がりが5dB/サンプルより速い過渡音をすべて検出して処理することが可能である。
好ましい実施形態では,利得計算器は90パーセンタイル推定器を含む。このパーセンタイル推定器は信号の包絡線を出力する。これは,信号値が立ち上がったら信号レベルと同等の速さで包絡線値が立ち上がり,信号値が立ち下がったら固定時定数で包絡線値が立ち下がるように,信号レベルに追従する信号包絡線を出力する。この時定数は,パーセンタイル推定器の平均レベルが信号エネルギの90%にほぼ等しくなるように選択される。この種のパーセンタイル推定器は,例えば,国際公開第95/15668号に記載されている。
第2の態様において,この発明は,入力信号中の過渡音を検出する方法を提供する。この方法は,入力信号中の広帯域過渡音を検出し,入力信号を複数の周波数帯に分割し,これらの各周波数帯を処理するステップを含み,上記処理は,帯域入力信号から帯域パラメータ・セットを導出し,ユーザの処方にしたがって,各周波数帯において,帯域利得レベルを計算して信号に適用するステップを含み,帯域利得レベルを計算するステップが,広帯域過渡音のレベルおよび導出された帯域パラメータ・セットのレベルにしたがって過渡音を圧縮し,補聴器による再生のために各周波数帯からの出力信号を合計するステップを含む。
さらなる特徴および利点は従属請求項から明らかになる。
デジタル補聴器では,信号は,ナイキスト条件に従ってサンプリングされる。すなわち,サンプルレートは,再生すべき信号における最高周波数の2倍である。例えば,信号を32kHzでサンプリングするとすれば,再生可能な最高周波数は16kHzになる。経験によれば,160.000dB/秒より高い勾配を有する過渡音ピークは,発話音では実質的に発生しないが,他の音ではよく発生する。従って,デジタル補聴器内の過渡音検出システムの,32kHzのサンプルレートで動作する勾配レベル検出器を,5dB/サンプルより高い勾配に対して反応するように有利に構成することが可能である。
この勾配レベル検出器を,5dB/サンプルを上回るすべての勾配に反応するようにしたとすると,非常に低いレベルの高速過渡音が過度に検出されることになる。そこで,音レベル制限が過渡音検出システムに導入され,この制限よりも低い過渡音が検出されないようにする。
先行技術による,補聴器用の過渡音検出および減衰装置である。 この発明による,補聴器用の過渡音検出および処理装置である。 代表的な音の例から得られた,サイズ順に並べ替えられた,過渡音に対するサンプル当たりのレベル増加を示すグラフである。 時間に沿う補聴器の入力信号のレベルのオシログラムである。 時間に沿う図4の入力信号に対応するレベル測定値のセットのグラフである。 時間に沿う圧縮器の入力レベルのセットと対応する利得レベルのグラフである。 図6のレベル測定値に対応する検出器パラメータのグラフである。 この発明による過渡音減衰システムの状態のグラフである。
以下,図面を参照しつつ,この発明をより詳細に説明する。
図1は,従来技術の補聴器用の過渡音検出および減衰装置1の概略ブロック図である。入力が帯域分割フィルタ・ブロック2に接続されており,帯域分割フィルタ・ブロック2は入力信号の使用可能な周波数範囲を複数の周波数帯に分割する。上記複数の周波数帯の各周波数帯はそれぞれ独自の(its own)検出および減衰手段を有しており,包絡線(envelope)計算ブロック3,非発話勾配(non-speech slope)検出ブロック4,RMS計算ブロック5,発話特性(speech characteristic)入力ブロック6,および利得係数(gain factor)計算ブロック7を備える。図1には例示的な任意の周波数帯が1つだけ示されており,残りの周波数帯については,分かりやすくするために暗黙的とされている。検出および減衰手段3,4,5,6,7の出力は利得値であり,この利得値は当該周波数帯の信号を増幅器8内で増幅するために使用される。複数の周波数帯における増幅結果は帯域合計ブロック9において再結合される。帯域合計ブロック9は複数の周波数帯について共通のものである。
上記帯域分割フィルタ2からの各周波数帯の信号は2つのブランチに分割される。具体的には,当該周波数帯で過渡音が発生した場合に利得係数を計算する利得計算ブランチと,利得乗算器8において修正された利得を持つ信号を搬送する信号ブランチである。利得計算ブランチはさらに2つのブランチに分割され,一方のブランチはRMS計算ブロック5の入力に進み,他方のブランチは包絡線計算ブロック3の入力に進む。
RMS計算ブロック5は特定帯域の信号の瞬時RMS値を出力し,この値は,直接に利得係数計算ブロック7において使用される。包絡線計算ブロック3は当該周波数帯の信号の瞬時包絡値,すなわちピーク値を出力し,この値は,非発話勾配検出ブロック4において発話特性入力ブロック6からの信号とともに用いられる。発話特性入力ブロック6は,当該周波数帯の特性(characteristic)である発話の最大勾配値(a maximum slope value for speech)を非発話勾配検出ブロック4に渡し,包絡線計算ブロック3からの勾配値が発話特性入力ブロック6によって設定された勾配値限界よりも急峻な勾配を有する場合に,信号が利得係数計算ブロック7に与えられる。利得係数計算ブロック7は,この信号をRMS計算ブロック5からのRMS値と結合し,それに応じて利得係数を低減し,これにより当該周波数帯の信号を減衰させる。
使用中,図1の過渡音検出および減衰装置1は帯域分割フィルタ2において入力信号を複数の別々の周波数帯に分割する。包絡線計算ブロック3,RMS計算ブロック5および非発話勾配検出ブロック4は,複数の周波数帯の各周波数帯における信号を連続的に監視し,特定の周波数帯において非発話過渡音信号(a non-speech transient signal)が検出された場合,利得係数計算ブロック7は,その信号の次のゼロ交差(zero crossing)までの短時間の間,その周波数帯の増幅器8への利得値出力を減らす。これによって,その短時間の間,当該周波数帯における利得が低減されて過渡音信号が減衰される。
しかしながら,この先行技術の方法にはいくつかの弱点がある。過渡音減衰装置1は複雑であるために補聴器への効果的な実装が困難であり,そのような補聴器では電池寿命を延ばすために消費電力を最小限に抑えなければならない。多数の半導体素子を有する複雑な回路は動作のために多量の電力を使用するから,帯域分割フィルタ2が,例えば16個のチャネルまたは周波数帯を有し,各チャネルのそれぞれが過渡音検出システムを有する過渡音減衰装置1は,明らかに,多量の電力を消費する非常に複雑な回路となる。
過渡音だけに敏感な圧縮器を,フィルタバンクの上流または各周波数帯を再加算する点の下流に配置することを含む回路トポロジが考えられるが,いくつかの理由で非実用的である。独立した全帯域圧縮器を信号チェーンにおける帯域通過フィルタの前または再結合点の後に配置して正しく調節することで,最大過渡音を減衰させることはおそらく可能であるが,それによって,信号の慎重に調節された性能のバランスが崩れ,音質および発話理解性が深刻に劣化する可能性がある。
先行技術によるシステムでは帯域分割フィルタの下流で過渡音分析を行うので,過渡音検出はフィルタリングされた信号に対して行われる。このアプローチの場合,システムが軽減対象としている信号中の過渡音が予測不能な形で劣化して,いくつかの過渡音が検出閾値を下回るレベルまで減衰され,他の過渡音が検出閾値を上回るレベルまで増幅され,したがって過渡音検出および減衰装置の決定過程が混乱し,結果として補聴器から出力される音が劣化する可能性がある。
過渡音を検出する点(ポイント)を可能な限り信号の流れの上流側に配置すると,検出される過渡音は実際の入力信号に対して最大限忠実になる。そうすれば,フィルタ・バンクの下流の個々の周波数帯において過渡音を容易に処理することができる。補聴器内の信号チェーンにおいて,過渡音の検出を,過渡音の処理と別の点(ポイント)で行うことが可能であるという事実を実現することが,この発明による補聴器の動作原理の鍵である。
この発明による補聴器に用いる過渡音検出および処理装置(a transient detection and processing device)を含む信号処理装置の好ましい実施形態を,図2に示す。この信号処理装置は,帯域分割フィルタ・バンク11,チャネル増幅器13,合計ブロック14,ならびに過渡音検出および減衰装置10を含む。過渡音検出および処理装置10は,過渡音検出ブロック15,音レベル計算ブロック16,利得計算ブロック12,差ノード27,定数ブロック29,乗算ノード28,および加算ノード30を含む。過渡音検出ブロック15は,ゲート・ブロック21,ピーク・ホールド・ブロック22,単位遅延ブロック23,差ノード24,第1の閾値比較器ブロック25,および第2の閾値比較器ブロック26を含む。音レベル計算ブロック16は,ピーク・レベル測定ブロック17,高速レベル測定ブロック18,90パーセンタイル・レベル測定ブロック19,およびステート・マシン20を含む。
入力信号は,帯域分割フィルタ・バンク11と過渡音検出ブロック15の入力とに与えられる。フィルタ・バンク11において,上記信号は音レベル計算ブロック16およびチャネル増幅器13によってチャネルごとに個別処理されるべく,複数の周波数帯に分割される。
過渡音検出ブロック15において,入力信号中の過渡音が次のようにして検出される。ゲート・ブロック21は所定レベルpminを下回る過渡音が過渡音検出ブロック15によって検出されないようにする。これは,入力信号p(t)を限界定数(constant limit)pminと比較し,この2つの値のうちの大きいほうを出力することによって行われる。この機能によって,確実に,ユーザにとって十分邪魔になる大きさの過渡音だけが過渡音検出および減衰システム10によって処理される。ゲート・ブロック21の後,上記信号はピーク・ホールド・ブロック22に与えられる。ピーク・ホールド・ブロック21は,検出過程を安定化するために,過渡音信号の正の包絡線(positive envelope)を生成することを目的とする。
ピーク・ホールド・ブロック21からの出力信号は,単位遅延ブロック23への入力信号と,差ノード24への入力信号とに分岐される。差ノード24においてピーク・ホールド・ブロック22の出力信号から単位遅延ブロック23の出力が減算され,ピーク差信号Δpが形成される。ピーク差信号Δpは2つの信号に分岐され,第1の閾値比較器ブロック25の入力と,第2の閾値比較器ブロック26の入力とにそれぞれ与えられる。
第1の閾値比較器ブロック25において,ピーク差信号Δpはピーク差閾値th1と比較される。ピーク差信号Δpがth1よりも大きい場合,高速過渡音(a fast transient)が検出されたという信号が音レベル計算ブロック16のステート・マシン20に送られる。第2の閾値比較器ブロック26では,上記ピーク差信号Δpはピーク差閾値th2と比較される。ピーク差信号Δpがth2よりも大きい場合,ピーク過渡音(a peak transient)が検出されたという信号が音レベル計算ブロック16のステート・マシン20に送られる。th1およびth2の値は定数(constants)であってもよいし,または過渡音検出および減衰システム10が音レベルの変化に対して検出システムの感度の安定を保つように,入力信号に応じて作られてもよい。
音レベル計算ブロック16内のステート・マシン20は,過渡音検出ブロック15からの信号と,ピーク・レベル測定ブロック17,高速レベル測定ブロック18および90パーセンタイル・レベル測定ブロック19からの信号とをともに用いて,利得計算ブロック12および増幅器13がどのタイプの圧縮(which type of compression)を信号に適用すべきかを決定する。
90パーセンタイル・レベル測定ブロック19は信号Sslowを生成する。ステート・マシン20は,信号Sslowを用いて,入力信号中に過渡音が存在しないときに用いるべき第1の圧縮タイプを決定する。信号Sslowはやや(rather)ゆっくり変化する信号であり,信号レベルが圧縮限界に達した際の利得変更の適用に数秒かかる。結果として信号Sslowはあまりに低速であるために,当該チャネルの入力信号を圧縮することによって過渡音を減衰させることができない。
高速レベル測定ブロック18は信号Sfastを生成する。ステート・マシン20は,信号Sfastと過渡音検出ブロック15の第1の閾値比較器ブロック25からの信号とをともに用いて,入力信号中に高速過渡音が存在するときに用いるべき第2の圧縮タイプを決定する。信号Sfastは信号レベルが圧縮限界に達した際の利得変更の適用に数ミリ秒しかかからない。信号Sfastは32kHzのサンプルレートで4〜5dB/サンプルのピーク差値を持つ過渡音を減衰させるのに十分高速である。
ピーク・レベル測定ブロック17は信号Speakを生成する。ステート・マシン20は,信号Speakと過渡音検出ブロック15の第2の閾値比較器ブロック26からの信号とを用いて,入力信号中にピーク過渡音が存在するときに用いるべき第3の圧縮タイプを決定する。信号Speakは,信号レベルが圧縮限界に達した際の利得変更の適用に数サンプル分の時間しかかからない。帯域分割フィルタ・バンク11は過渡音検出ブロック15との関連で数サンプルの固有遅延を有するので,信号Speakは32kHzのサンプルレートで5dB/サンプルを超えるピーク差値を持つ過渡音を減衰させるのに十分高速である。
さらに,過渡騒音に対して過敏(これは聴覚障害として珍しいものではまったくない)な人にとって不快な過渡音を減衰することが可能なシステムにするために,この発明によるシステムには,まさにこの目的のための小さな追加ネットワークが存在する。このネットワークは,加算ノード27および30と,定数29および乗算器28とを含む。加算ノード27において,音レベル計算ブロック16の信号Sから90パーセンタイル・ブロック19の信号Sslowが減ぜられ,その結果に対して乗算器28において定数ブロック29からの定数ψが乗ぜられ,その結果に対して加算ノード30において利得レベル計算ブロック12の利得レベルGが加算される。結果的に増幅器13に与えられる利得レベルは次のとおりである。
利得=利得−(S−Sslow)・ψ
ここで,ψはゼロに近い正の定数であり,補聴器ユーザが知覚する過渡音の不快さに応じて補聴器フィッタによって選択される。これによって,各周波数帯において入力信号中に過渡音が検出された場合に,通常状態で使用される圧縮比よりも高い圧縮比を使用することができる。
この実施例において,非発話過渡音は2つの異なるカテゴリに分類することが実用的であり,以下では,これらのカテゴリをそれぞれ高速過渡音(fast transients)およびピーク過渡音(peak transients)と呼ぶ。発話過渡音は立上がり時間(rise times)が160.000dB/秒を下回るすべての過渡音であるとする。高速過渡音は160.000dB/秒前後から約450.000dB/秒までの立上がり時間を持つ非発話過渡音であって,この範囲には最も強い発話過渡音が含まれるが,このことは問題とされない。そのような強い発話過渡音は,実際にはまれにしか起こらないからである。必要な圧縮設定の変更は発話の再生において問題とならないほどに十分小さいとされる。一方,立上がり時間が450.000dB/秒から650.000dB/秒にもなりうるピーク過渡音の場合は反応時間をより短くしなければならず,高速過渡音に対応してこれを減衰させるためには圧縮設定をさらに大幅に変更しなければならない。この非発話過渡音の分類は,この発明による過渡音減衰システム10の利得計算ブロック12を制御するために用いられる。
音レベル計算ブロック16は,当該周波数帯の信号に対して3つの異なるタイプの分析を行い,個々の状況においてどのタイプの利得低減が適切かについての情報を利得計算ブロック12に与える。第1の分析はピーク・レベル測定であり,これはピーク・レベル・ブロック17によって行われ,信号Speakを与える。信号Speakは信号中の最速ピークから生じる(追従する)(follow)。第2の分析は高速レベル測定であり,これは高速レベル・ブロック18によって行われ,信号Sfastを与える。この信号は信号の平均レベルから生じる。第3の分析は90パーセンタイル・レベル測定であり,これは90パーセンタイル・レベル・ブロック19によって行われ,信号Sslowを与える。この信号は,信号の90パーセンタイル・レベル,すなわち任意の時間窓にわたって観察される時間帯の90%において信号が有するレベルから生じる。
図2に示す好ましい実施形態では,ステート・マシン20において,3つの利得低減状態,すなわち通常圧縮状態,高速過渡音状態およびピーク過渡音状態が利用される。通常圧縮状態は信号Sslowを用いて利得レベルを制御し,高速過渡音状態は信号Sfastを用いて利得レベルを制御し,ピーク過渡音状態はピーク信号Speakを用いて利得レベルを制御する。この発明の他の実施形態では,利得低減状態をさらに細分することが十分に可能であり,それは,例えば,前述のような過渡騒音に過敏なユーザにとって有利になりうる。分かりやすくするために,ここでは3つの利得低減状態の実施形態についてのみ説明する。
以下で用いる「ピーク差」という用語は,連続する2つのサンプルの間のピーク・レベルの差Δpを意味する。「ピーク・オフセット」という用語は,過渡音の終了後に,可能な限り速やかに過渡音減衰システムを通常圧縮速度に戻すことを容易にすべく,Speak信号レベルとSfast信号レベルとの差をより小さくするために導入されるオフセットを意味する。この実施形態においてピーク・オフセットの大きさは約−3dBである。
ステート・マシン20は,ブロック17,18,19によって分析されたレベルと,過渡音検出ブロック15からの過渡音検出出力とから,適切な利得レベルについての決定を実行する。
ステート・マシン20は,利得計算ブロック12の実行速度を制御する3つの異なる状態,すなわち,通常状態,高速過渡音状態およびピーク過渡音状態のうちの1つにしたがって,速度レベル信号Sを出力する。過渡音が検出されない間は,ステート・マシンからの音レベルは信号Sslowのレベルによって制御される。高速過渡音が検出されると,音レベルは信号レベルSslowおよびSfastのうちの最大値にしたがう。ピーク過渡音が検出されると,音レベルは,信号レベルSslow,Sfast,およびSpeakのうちの最大値にしたがう。ステート・マシン20による信号レベルの解釈を表1に示し,以下で詳細に説明する。
Figure 0005149999
入力信号中にピーク過渡音が存在する場合,ステート・マシン20の状態は通常状態からピーク過渡音状態に変化し,これによって音レベルSは利得計算ブロック12を制御するためのSpeakに追従する。
入力信号中に高速過渡音が存在する場合,ステート・マシン20の状態は通常状態から高速過渡音状態に変化し,これによって音レベルSは利得計算ブロック12を制御するためのSpeakに追従する。
過渡音が減衰していくと,入力信号の絶対平均値Sfastがピーク・オフセットよりも大きくなり,ステート・マシン20の状態はピーク過渡音状態から高速過渡音状態に変化し,これによって音レベルSは利得計算ブロック12を制御するためのSfastに追従する。
信号Sslowのレベルがピーク過渡音状態におけるピーク・オフセットおよび信号Sfastのレベルの両方よりも大きくなると,ステート・マシン20の状態はピーク過渡音状態から通常状態に直接変化し,これによって音レベルSは利得計算ブロック12を制御するためのSslowに追従する。この,どちらかと言えばまれにしか起こらない事象は,入力信号中に大きな信号レベルが存在し,ピークのレベルがその信号レベルを下回ることを意味する。
信号Sslowのレベルが高速過渡音状態における信号Sfastのレベルよりも大きくなると,ステート・マシン20の状態は高速過渡音状態から通常状態に変化し,これによって音レベルSは利得計算ブロック12を制御するためのSslowに追従する。このことは,入力信号中に高速過渡音がもはや存在しないこと,あるいは少なくとも,高速過渡音のレベルが平均信号レベルを下回っていることを意味する。
ピーク過渡音状態において過渡音の最大音部(the loudest part)が終わると,ステート・マシン20の状態はピーク過渡音状態から高速過渡音状態に変化し,これによって音レベルSは利得計算ブロック12を制御するためのSfastに追従する。
ステート・マシン20が高速過渡音状態またはピーク過渡音状態に入ると,遅延タイマ(図示略)が所定の数からゼロに向かってカウント・ダウンを開始する。ステート・マシン20は,このカウンタがゼロに達するまではたとえステート・マシン20によって解釈された状態がゼロ到達を暗示したとしても利得更新速度(gain updating speed)を変更しない。この機能は,過渡音減衰システムにヒステリシスを導入する。このヒステリシスは,最小継続時間の間,たとえば連続する2000〜3000サンプル分の時間(32kHzのサンプルレートで約60〜90ミリ秒に相当)の間,利得計算ブロック12を過渡音抑圧状態(the transient suppressing states)の1つに保持するように働く。この時間窓中に発生する過渡音は,高速用アルゴリズムまたはピーク用アルゴリズムによって確実に減衰される。
このようにして,信号が帯域分割フィルタ11によって処理される前に信号中の過渡音が検出されるので,過渡音検出および減衰装置10の実際の反応速度が帯域分割フィルタ11の固有遅延の影響を受けないことが確実になる。したがって,信号中の検出された過渡音が増幅器13に達したときには,利得計算ブロック12は既にそれらを減衰させる準備ができている。
遅延タイマのカウント中,すなわち高速またはピーク過渡音が検出されて上記システムによって処理されているとき,90パーセンタイル・レベル測定ブロック19からの信号Sslowは更新されない。過渡音の処理中に信号が更新された場合,信号Sslowのレベルは過渡音の終了時に高くなり,したがって音全体が通常圧縮処理によって減衰される。自覚効果として,過渡音があると,その後に短い無音状態が続き,これは最長で数秒間続く可能性がある。
各周波数帯において信号が増幅器13によって増幅されると,各周波数帯は合計ブロック14において再加算(合計)されて(added back together)複数の周波数帯を含む出力信号が生成される。図2では,1つの周波数帯を音レベル計算ブロック16,利得計算ブロック12および増幅器13に搬送する1つのチャネルのみが示されている。
通常圧縮状態において,特定の周波数帯における利得低減はフィッティング中に指定される利得レベルおよび付随する圧縮に相当する。信号レベルが圧縮器の上限に達した場合は,特定周波数帯の利得計算ブロック12によって利得レベルが相応に低減される。ピーク過渡音状態では過渡音検出ブロック15によって検出されたピーク過渡音が利得計算ブロック12によって抑制され,高速過渡音状態では過渡音検出ブロック15によって検出された高速過渡音が利得計算ブロック12によって抑制される。
過渡音検出が帯域分割フィルタ・バンク11の前の段階で行われるという事実は,信号が有限量の所要時間で帯域分割フィルタ11,増幅器13および合計ポイント14を通過するという事実によって潜在的反応時間(the potential reaction time)を短くする。過渡音検出ブロック15の処理時間はかなり短いので,利得計算ブロック12の反応時間が短くなり,実質的に過渡音はシステムにとって予測可能になる。
図3は,発話および様々な形の過渡騒音における,最も強力な過渡音(most powerful transients)の統計分布のグラフを示している。音例セット(a set of sound examples)は,それぞれが320個の信号サンプル値を含み,これは32kHzのサンプルレートで0.1秒の音に相当する。このセットを,いくつかの異なる過渡音源および話された言葉から記録し,その後,勾配値(すなわち,並べ替えた2つのサンプル値の差)で徐々に減っていく順に並べ替えた。このグラフは,発話の中の過渡音と,他の音の中の過渡音との違いを示している。
図3のグラフから2つの重要な事実が読み取れる。第1の事実は,非発話過渡音の立上がりが発話過渡音よりもかなり速いことである。第2の事実は,発話過渡音の立上がりが,実質的には160.000dB/秒(32kHzのサンプルレートで5dB/サンプル)よりも決して速くないことである。この事実が,この発明による過渡音検出器および過渡音検出ブロックに活用される。すなわち,発話過渡音を非発話過渡音から分離するために,5dB/サンプルの制限を,図2に示した過渡音検出ブロック15における制限として好適に用いることが可能である。図3から得られる情報を用いて過渡音検出器のパラメータを与えることによって,信号中に存在する発話過渡音からの影響を受けずに信号中のピークを確実に検出することが可能になる。
図2の過渡音検出ブロック15によって入力信号から取出され,この発明による補聴器の過渡音分析および検出過程に使用される信号は,過渡音信号に関する入力信号の挙動の簡略化された実時間モデルを表す。そして,このモデルは,この発明による補聴器の過渡音再生の不快さを低減するために,処方で規定された圧縮からの圧縮方式のずれに関して利得計算ブロック12によって行われる決定の基礎をなすものである。以下では,この取出された信号について,図4,5,6,7,および8を参照しながらさらに詳細に説明する。
図4は補聴器の入力信号の一例のレベルのオシログラムである。この入力信号例の継続時間は約700ミリ秒である。図4のオシログラムに示す入力信号例は3つの過渡音事象を含む。図4,5,6,7および8についての以下の説明では,入力信号例の起点をすべてのタイミングの基準とする。第1の点(ポイント)A(80ミリ秒)において入力信号中に大きな過渡音が発生し,第2の点B(470ミリ秒)においてそれよりも小さな第2の過渡音が発生し,第3の点C(590ミリ秒)においてさらに小さな第3の過渡音が発生している。以下では,この発明による過渡音検出および減衰システムが上記入力信号中の過渡音を処理する方法を,さらに詳細に説明する。
図5は,図4の入力信号例に対応する4つのレベル測定の信号グラフをまとめたグラフである。これらの信号は,この発明による補聴器の圧縮器に対する制御信号として用いられる。第1のグラフは実線で示す信号Sである。第2のグラフは破線で示す信号Sfastである。第3のグラフは一点鎖線で示す信号Speakである。第4のグラフは点線で示す信号Sslowである。
図5に実線で示す第1の信号Sのグラフは,図2の音レベル計算ブロック16によって計算された音レベル制御信号を表す。第1の過渡音よりも前では,信号Sのレベルは信号Sslowのレベルに密接に追従する。第1の過渡音の開始時,すなわち,点Aでは,Sのレベルは信号Speakのレベルに追従するので,過渡音とともに約72dBまで鋭く立ち上がる。160ミリ秒において,信号Sのレベルは信号Sfastのレベルと一致する。約220ミリ秒において,Sのレベルは,再度,信号Sslowのレベルに到達する。第2の過渡音の開始時,すなわち,点Bでは,信号Sのレベルは過渡音とともに約52dBまで立上がり,530ミリ秒において,Sのレベルは,再度,Sslowのレベルまで落ちる。第3の過渡音の開始時,すなわち,点Cでは,信号Sのレベルは,2回,約48dBまで鋭く立上がるが,約610ミリ秒において,再度,Sslowのレベルまで急速に落ちる。このように,SのレベルはSpeakのレベルに追従するが,Sslowのレベルを下回ることはない。
図5に破線で示す第2の信号Sfastのグラフは信号の絶対平均レベルを表す。Sfastのレベルは,第1の過渡音が発生するまで40dBを下回っている。第1の過渡音の開始時,すなわち,点Aでは,信号Sfastのレベルは過渡音に追従して約68dBまで鋭く立上がり,その後落ちて,再度,Sのレベルにほぼ追従し,Sfastのレベルは約220ミリ秒においてSのレベルと交差し,30dBよりも下に落ちる。第2の過渡音の開始時,すなわち,点Bでは,信号Sfastのレベルは約55dBまで立上がる。第3の過渡音の開始時,すなわち,点Cでは,SfastのレベルはSslowのレベルに辛うじて届いている。
図5に一点鎖線で示す第3の信号Speakのグラフは信号のピーク・レベルを表す。ピーク・レベルは入力信号の絶対ピーク・ボリューム・レベルを表し,特定の周波数帯における信号の包絡線を形成する。ピーク・レベルは,利得計算ブロック12が信号中の最速かつ最大の過渡音に追従してこれを減衰させることができるように,実際の入力レベル(ここでは音レベルと称する)を求めるべく,音レベル計算ブロック16によって使用される。
図5に点線で示す第4の信号Sslowのグラフは信号の90パーセンタイル・レベルを表す。90パーセンタイル・レベルは時間帯の90%において信号の上限となるレベルである。このSslowのグラフは,信号SのレベルがSslowのレベルよりも高いところ以外では,信号Sのグラフと一致する。信号Sslowはどちらかと言えば変化がゆっくりの信号であり,さらにそのリリース時間はアタック時間の約10倍の長さである。すなわち,立上がりの速さが立下がりの速さの約10倍である。
過渡音によって全体の音レベルが下がらないようにするために,信号Sslowの値はピークが検出された際には一定値に保持され,システムのヒステリシスがタイム・アウトした時点でリリースされる。このことはグラフにおいて見ることができ,信号Sslowは,約190ミリ秒において,すなわち過渡音事象の終了後に,全体の音レベルのわずかな増加に反応して数dB立上がっている。
図2の利得計算ブロック12は,図5に示す3つのレベル測定信号Sslow,SfastおよびSpeakから,中間信号Sおよび対応する利得レベル信号Gを計算する。これを図6のグラフに示す。このグラフは,図4の入力信号例のグラフおよび図5のレベル測定信号のグラフと時間的に対応している。図6に実線で示す第1の信号Sは,信号Sから信号Sslowを差引いたレベルとして計算され,これによって90パーセンタイルを超える音レベルの表現が取得される。すなわち,90パーセンタイルは音レベル信号から取除かれる(filtered out)。この信号は,図6において正規化された音レベル信号Sとして示され,利得調節量の計算に使用される。
図6に点線で示す第2の信号Gは,複数の周波数帯のうちの1つにおいて正規化された音レベルSから計算された結果としての利得レベル信号を表す。入力信号中の過渡音に反応して,利得計算ブロック12によって計算される増幅器13に対する利得調節レベルは,図6の信号Gのレベルのグラフから明らかであり,以下では,この利得調節レベルについてさらに詳細に説明する。
利得レベルGは,入力信号例において,点A(図4を参照)における第1の過渡音の開始までの最初の約80ミリ秒間は,約1.8倍の増幅率に対応する約+5dBで安定している。点Aにおける第1の過渡音の開始において,信号Sのレベルは約+30dBまで鋭く立上がる。最終的な結果として,過渡音検出および減衰装置は,検出された過渡音を減衰させるために,対応する利得レベルの低減を実行する。この場合,利得レベルGは,約+5dBから約−10dBまで低減される。すなわち,利得は過渡音に対応するために15dB低減される(すなわち,元の値の6分の1まで低減される)。利得低減量は当該周波数帯における利得レベルおよび利得減衰係数に依存する。利得レベルGは,入力信号例の約230ミリ秒までに,過渡音の発生前のレベルである+5dBまで回復する。このようにして,当該周波数帯における全体の音レベルに影響することなく,過渡音が減衰される。
点B(図4を参照)では第2の過渡音が発生する。第2の過渡音によって,図6の信号Sのレベルは再び鋭く立上がり,約+10dBに達する。これは,第1の過渡音のときよりも20dB低い。第2の過渡音のレベルはかなり低いので,利得レベルGは+5dBから約−2dBに低減される。約540ミリ秒において,利得レベルGは過渡音の発生前のレベルである+5dBまで回復する。
点C(図4を参照)では第3の過渡音が発生する。第3の過渡音によって,信号Sのレベルは590ミリ秒で約+5dBまで鋭く立上がり,約600ミリ秒でゼロに戻る。その結果,利得レベルGはわずかに約+1dBまで低減され,その後第3の過渡音の発生前の基準値である+5dBに戻る。これらは,過渡音の発生時に信号Sのレベルが高くなり,システムがそれに応じて反応するためである。この挙動は,聴力が正常な人の,全体的に音が大きい環境における比較的高速な過渡音の知覚に適合している。
図6からわかるように,検出される過渡音のレベルによって,その後に過渡音減衰システムが過渡音の減衰をどのように行うかが決まる。大きな過渡音も,穏やかな過渡音も,過渡音減衰システムによってただちに減衰されるが,減衰の度合いは過渡音の性質(the nature)に依存する。
図7は入力信号例における過渡音検出動作を示すグラフである。このグラフはピーク差Δpを示しており,A,BおよびCにおいて過渡音事象を含む図4,5および6に時間的に対応する。このグラフは,隣接する2つのサンプル値の差を32kHzのサンプル・レートにおけるdB/サンプルで表している。このグラフは,図5において一点鎖線で示しす,信号のピーク・レベルの差分商(the difference quotient)であると見ることができ,したがって信号ピーク値がサンプル間でいかに速く変化するかの程度を示している。
図7において,Δpのグラフの最初の約80ミリ秒は,2dB/サンプルを下回る散発的なピーク差値を示している。図4の第1の過渡音事象,すなわち点Aにおいて,Δpのグラフは,約12dB/サンプルの1つの事象と,4dB/サンプルを上回る連続するいくつかの事象とを示しており,これらは大きなピーク過渡音であることを示している。これによって,図2の過渡音検出ブロック15におけるピーク過渡音減衰反応がトリガされる。図4の第2の過渡音事象,すなわち点Bにおいては,図7のΔpのグラフは約3〜4dB/サンプルのいくつかの事象を示している。これによって,図2の過渡音検出ブロック15における高速過渡音減衰反応がトリガされる。図4の第3の過渡音事象,すなわち点Cにおいては,図7のΔpのグラフは5dB/サンプルを上回る単一の過渡音事象を示しており,これによってピーク過渡音減衰反応が短くトリガされる。
図7から,過渡音を検出するだけでは不十分であることもわかるであろう。過渡音は非常に頻繁に発生しているからである。システムに適正な安定性を持たせるには,検出された過渡音の最小立上がりレベル(minimum rise level )を考慮に入れなければならない。図2の過渡音検出ブロック15が過渡音事象を検出すると,検出された過渡音を適正に減衰させるために必要な利得低減量を計算すべく,音レベル計算ブロック16が稼働中に信号Speak,SslowおよびSのレベルを分析する。
図8のグラフは,過渡音減衰システムの3つの状態,すなわち「通常」圧縮,高速過渡音減衰およびピーク過渡音減衰を示す。グラフ内の各タイミングは,図4,5,6および7における各タイミングに対応する。図8のグラフには,図4,5,6および7と同様の点A,BおよびCにおける3つの過渡音の表記以外に,入力信号中のどの過渡音の検出とも関連していない4つの点D,E,FおよびGも示している。これらの点は,過渡音検出状態から別の過渡音検出状態または通常状態へのシフトを示している。運用時には,過渡音減衰システムは,前述のように入力信号から取出されたパラメータによる入力信号の分析の結果にしたがって,これら3つの状態を切り替える。
2つの過渡音減衰状態は,図2の利得計算ブロック12が,信号Sfastの後の高速過渡音減衰状態で過渡音信号を減衰させて利得レベルGを制御すること,または信号Speakの後のピーク減衰状態で過渡音信号を減衰させて利得レベルGを制御することを可能にする。通常状態では,利得計算ブロック12は信号Sslowに追従して利得レベルを計算する。
過渡音減衰システムは,第1の過渡音までは図8のグラフの通常状態にある。利得計算は信号Sslowのレベルの変化に応じて信号の圧縮を行う。図8の点Aにおいて第1の過渡音が発生すると,過渡音減衰システムは,まずピーク過渡音減衰状態に切替わる。点D(150ミリ秒)において,過渡音減衰システムは高速過渡音減衰状態に変わる。これは,信号Speakのレベルからピーク・オフセットを差引いたものが信号Sfastのレベル以下になり(図5および表1を参照),ピーク過渡音ヒステリシスがこの点でタイム・アウトしたためである。信号SNのレベルが(図6に示したように)ゼロに達し,高速過渡音ヒステリシスがタイム・アウトした場合,過渡音減衰システムは点E(約220ミリ秒)で通常状態に切り替わる。
図8の点Bにおいて第2の過渡音が発生すると,過渡音減衰システムは高速過渡音減衰状態に切替わる。これが行われるのは高速過渡音が検出されたためである。すなわち,Bにおける過渡音がピーク過渡音減衰の閾値を下回るためである(図6および図7を参照)。約560ミリ秒で正規化された音レベルがゼロに達し,高速ヒステリシスがタイム・アウトすると,過渡音減衰システムは点Fで通常状態に再度切替わる。
図8の点Cにおいて第3の過渡音が発生すると,過渡音減衰システムはピーク過渡音減衰状態に切替わる。第3の過渡音は,全体の信号レベルに対して非常に短く,穏やかであるため,利得は非常に短い時間だけ過渡音減衰システムによって減衰され,正規化された音レベルはほぼ直後にゼロに達し,ピーク過渡音ヒステリシスは約670ミリ秒の点Gでタイム・アウトする。この時点で,過渡音減衰システムは通常状態に再度切り替わる。なお,利得が低減されるのは,図5において実線のグラフで示す正規化された音レベルがゼロを上回る短い間だけであり,これは,システムが点Gまでピーク過渡音検出状態にあったとしても同じである。
図8のグラフからさらに読取れることとして,2つの過渡音減衰状態のいずれかにおいて,過渡音減衰状態または通常状態への切替が行われる前に,過渡音状態ヒステリシス時間(the transient state hysteresis time)と称される一定の時間帯が経過することが必要であることである。この時間帯の存在について以下で説明する。過渡音の検出は図2のフィルタ・バンク11の上流で行われる。過渡音検出ブロック15は,過渡音検出ブロック15の入力に過渡音が存在する時点とその過渡音が出力に現れる時点との間の固有遅延が短い。フィルタ・バンクも群遅延(the group delay)と称される信号処理における固有遅延を有する。しかしながら,フィルタ・バンクの固有遅延は過渡音検出ブロック15の固有遅延より長い。
入力信号中に過渡音が検出されると,過渡音検出ブロック15は,前述のように,ステート・マシンを高速過渡音減衰状態またはピーク過渡音減衰状態に置く。過渡音を含む入力信号が帯域分割フィルタ・ブロック11から出たあとも,過渡音減衰ブロック16は引き続き,2つの過渡音減衰状態のいずれかでなければならない。過渡音検出ブロック15がステート・マシン20に対して過渡音が終了したことを通知したとしても,過渡音状態ヒステリシス時間があることによって,過渡音の減衰が引続き行われる。入力信号中に過渡音が検出されない場合,過渡音減衰ブロック16は信号中の過渡音が帯域分割フィルタから出る前に通常状態に戻り,過渡音は減衰されない。
このようにして3つの圧縮状態を切替えることの利点は,入力信号中の大きく,高速な過渡音を,システムが,他の音に影響を及ぼすことなく効果的に減衰させることである。穏やかな過渡音に対して第3の状態を含めることの理由は,多数の過渡音がランダムに発生する不安定な音環境において滑らかな遷移(トランジション)を維持するためである。結果として,補聴器の処方によって要求される利得係数が大きい場合でも,全体の音がより快適である補聴器が得られる。

Claims (22)

  1. マイクロフォン,信号処理装置および出力トランスデューサを備え,上記信号処理装置は,入力信号を複数の周波数チャネル入力信号に分割するフィルタ・バンクおよび上記チャネルからの出力信号を合計する加算器を有し,各周波数チャネルは,チャネル音レベル計算器,チャネル利得計算器およびチャネル増幅器を備え,各チャネル音レベル計算器はチャネル入力信号からパラメータ・セットを導出するように構成され,各チャネル利得計算器は各チャネル増幅器の利得を動的に制御するように構成され,各チャネル増幅器はユーザの処方にしたがって信号を処理するように構成され,各チャネル利得計算器および各チャネル増幅器は一緒にチャネル圧縮器を形成している補聴器であって,
    上記信号処理装置は,上記フィルタ・バンクの上流に置かれた過渡音検出器を備え,上記過渡音検出器は,上記入力信号の勾配を求めて,上記入力信号の上記勾配が所定値を超える場合に上記各チャネル音レベル計算器に信号を与える手段を有しており,上記各チャネル音レベル計算器は上記導出されたパラメータ・セットに基づいて上記各周波数チャネルにおける上記チャネル利得計算器および上記チャネル増幅器の圧縮速度を制御することを特徴とする,
    補聴器。
  2. 上記各チャネル利得計算器は,上記導出されたパラメータ・セットから選択されたパラメータを用いて上記各チャネル増幅器の利得レベルを制御する手段を有することを特徴とする,請求項1に記載の補聴器。
  3. 上記各チャネル音レベル計算器は,上記チャネル入力信号からチャネル・パーセンタイル・レベル,チャネル絶対平均レベルおよびチャネル・ピーク・レベルを導出する手段を備えることを特徴とする,請求項1に記載の補聴器。
  4. 上記入力信号の上記勾配を求める手段は,上記入力信号のピーク値差を求める手段を有することを特徴とする,請求項1に記載の補聴器。
  5. 上記過渡音検出器は,検出された過渡音を複数の過渡音種類に分類する手段を備えることを特徴とする,請求項1に記載の補聴器。
  6. 上記各チャネル音レベル計算器は,上記各チャネル利得計算器において少なくとも1つのチャネル過渡音減衰設定を作動する手段を有することを特徴とする,請求項1に記載の補聴器。
  7. 少なくとも1つのチャネル過渡音減衰設定を作動する上記各手段は,所定時間にわたってチャネル過渡音減衰設定を維持する手段を有することを特徴とする,請求項6に記載の補聴器。
  8. 所定時間にわたってチャネル過渡音減衰設定を維持する上記各手段は,少なくとも上記所定時間の継続時間の間,上記チャネル・パーセンタイル・レベルの更新を抑制する手段を有することを特徴とする,請求項7に記載の補聴器。
  9. 上記各チャネル利得計算器は,上記チャネル過渡音減衰設定のうちの1つが作動された場合に専用のチャネル圧縮比を上記チャネル入力信号に適用する手段を有することを特徴とする,請求項7に記載の補聴器。
  10. 入力信号中の広帯域過渡音を検出し,上記入力信号を複数の周波数帯に分割し,上記各周波数帯を処理するステップを含み,上記処理は,上記帯域入力信号から帯域パラメータ・セットを導出し,ユーザの処方にしたがって上記各周波数帯において帯域利得レベルを計算して上記信号に適用するステップとを含み,帯域利得レベルを計算するステップは,上記広帯域過渡音のレベルおよび上記導出された帯域パラメータ・セットのレベルにしたがって過渡音を圧縮し,上記補聴器による再生のために上記各周波数帯からの出力信号を合計するステップを含む,補聴器において過渡音信号を処理する方法。
  11. 上記帯域入力信号から帯域パラメータ・セットを導出するステップは,上記各周波数帯において,上記帯域入力信号から,帯域絶対平均レベル,帯域ピーク・レベルおよび帯域パーセンタイル・レベルを導出するステップを含む,請求項10に記載の方法。
  12. 上記入力信号中の過渡音を検出するステップは,ピーク・レベル差を計算するステップを含む,請求項10に記載の方法。
  13. 上記入力信号中の過渡音を検出するステップは,上記過渡音を複数の所定の過渡音種類のいずれかに分類するステップを含む,請求項10に記載の方法。
  14. 上記帯域利得レベルを計算するステップは,過渡音が上記複数の所定の過渡音種類のいずれに属するかを判定し,上記過渡音種類に応じて,対応する複数の利得低減ストラテジの中からいずれかの利得低減ストラテジを選択するステップを含む,請求項13に記載の方法。
  15. 上記所定の過渡音種類は少なくとも1つの発話過渡音種類と少なくとも1つの非発話過渡音種類とを含む,請求項13に記載の方法。
  16. 上記所定の過渡音種類は1つの発話過渡音種類と2つの非発話過渡音種類とを含む,請求項14に記載の方法。
  17. 上記選択された利得低減ストラテジは,検出された過渡音の終了後,所定の時間にわたって維持される,請求項15に記載の方法。
  18. 上記帯域パーセンタイル・レベル値の更新が,検出された過渡音の処理の間は抑制される,請求項17に記載の方法。
  19. 上記利得低減ストラテジは,上記帯域入力信号の上記ピーク・レベルにしたがって上記帯域利得を制御することを含む,請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 上記利得低減ストラテジは,上記帯域入力信号の上記帯域絶対平均レベルにしたがって上記帯域利得を制御することを含む,請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
  21. 上記利得低減ストラテジは,上記所定時間の間に上記選択された利得低減ストラテジを用いて上記検出された過渡音のダイナミック・レンジを圧縮することによって,上記帯域利得を制御することを含む,請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 上記過渡音減衰設定のいずれかが作動されるたびに,上記帯域入力信号に専用の圧縮比が適用される,請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
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