JP5149585B2 - 微粒子分散液製造方法 - Google Patents

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本発明は、微粒子分散液を製造する方法に関するものである。
近年の新規医薬品の開発において、候補化合物を合成する際にコンビナトリアルケミストリーの手法が採用されている。このコンビナトリアルケミストリーとは、組み合わせを利用して多種・多様な化合物を短期間で一度に合成する技術である。本手法で得られる化合物は、多くの場合、溶解性の問題を有している。すなわち、化合物自身に優れた生理活性を見出すことができても、その化合物が水に溶けにくい性質がある場合、その化合物の開発を断念する例が多い。また、天然物からの抽出によって得られる化合物も、溶解性を改善するため様々な有機合成が行われ構造最適化が行われる。すでに市販されている医薬品にも溶解性の低いものがある。これらは、患者個体内及び個体間で薬物の吸収量に変動幅があり、血中濃度の管理など、使用する側の医師および使用される側の患者の双方にとって負担が大きい。
これらの問題点を解消し得るものとして微粒子製剤が注目を集めている。微粒子製剤は、難溶性の薬物粒子をマイクロメートル以下のサイズにしたものを水中に安定に分散させたものである。微粒子製剤を用いることで、生体内での薬物の吸収速度および量を高めることが可能である。また、患者個体内及び個体間における吸収量のバラツキの低減や、投与量に対する有効利用率の上昇が期待できる。
難溶性薬物の溶解性及び吸収性の改善のためには、粉砕によるナノ粒子化、固体分散体化および可溶性複合体の形成といった製剤的手法が選択される。しかし、薬物微粒子は、凝集性が高いので、適切な分散化剤を加えないと水中に安定に分散させることができない。一方、固体分散体は、薬物が高分子基剤中に非晶質状態で存在しているので、水中での溶解度を一時的に高めることができるが、薬物結晶の析出により一定時間後には溶解度が低下してしまう。
特許文献1には、溶解性及び吸収性が向上した固体組成物についての発明が開示されている。この文献に開示された発明では、難水溶性薬物,高分子基剤および非イオン性界面活性剤を有機溶媒に溶解させ、その溶液を噴霧乾燥することにより固体組成物を得る。また、この発明では、得られた固体組成物を液体に分散させることにより、非晶質性を保っている1μm以下の微粒子を得るとしている。
国際公開第96/19239号公報
特許文献1には、イオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを用いた比較例4が示されている。しかし、この比較例4の結果については「カチオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムでは1μm以下の微粒子の生成は認められなかった」と記載されている。それ故、特許文献1の請求項1では、界面活性剤を非イオン性のものに限定している。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、難溶性薬物を含み溶解性および吸収性が改善された微粒子分散液を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る微粒子分散液製造方法は、(1) 難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを揮発性の有機溶媒に溶解させる溶解工程と、(2) この溶解工程において得られた溶解液に含まれる前記有機溶媒を蒸発除去して、当該有機溶媒除去による残存物であるペレット状の固体組成物を容器の内壁に固定して得る固体組成物生成工程と、(3) この固体組成物生成工程の後に、容器の内部に水を注入して、ペレット状の固体組成物を水に浸漬させる注水工程と、(4) この注水工程において水に浸漬されたペレット状の固体組成物に光を照射して該固体組成物を微粒子化し、当該微粒子が水に分散された微粒子分散液を製造する微粒子分散液生成工程と、を備えることを特徴とする。
微粒子分散液生成工程において、容器の内壁のう記残存物が固定された領域の外側から光を照射して、その照射した光を容器,残存物および水の順に進行させるのが好適である。
なお、溶解工程,固体組成物生成工程,注水工程および微粒子分散液生成工程の全体を通じて1つの容器が用いられてもよい。また、上記残存物を得るまでの工程で用いられる容器と、それ以降の工程で用いられる容器とは、互いに別個のものであってもよい。
本発明によれば、溶解工程において、難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムが揮発性の有機溶媒に溶解される。続く固体組成物生成工程において、溶解工程において得られた溶解液に含まれる有機溶媒が蒸発除去され、当該有機溶媒除去による残存物であるペレット状の固体組成物が容器の内壁に固定して得られる。更に続く注水工程において、固体組成物が水に浸漬される。そして、微粒子分散液生成工程において、水に浸漬されたペレット状の固体組成物に光が照射されて該固体組成物が微粒子化され、当該微粒子が水に分散された微粒子分散液が製造される。
本発明に係る固体組成物は、難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムが分子分散されてなるものである。ここで、分子分散とは、分子のレベルに近いほど均一に分散している状態を意味している。本発明に係る微粒子は、難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含むものである。本発明に係る微粒子分散液は、上記の本発明に係る微粒子が水に分散されたものである。本発明に係る凍結乾燥物は、上記の本発明に係る微粒子分散液が凍結乾燥されたものである。本発明に係る経口投与用製剤は、上記の本発明に係る微粒子,微粒子分散液または凍結乾燥物を含有するものである。また、本発明に係る注射投与用製剤は、上記の本発明に係る微粒子,微粒子分散液または凍結乾燥物を水に再懸濁して得られる分散液を含有するものである。これらは、上記の本発明に係る固体組成物製造方法または微粒子分散液製造方法が用いられて製造され得るものであり、溶解性および吸収性が優れる。
本発明によれば、難溶性薬物、ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含み溶解性および吸収性が改善された固体組成物,微粒子および微粒子分散液等を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る固体組成物および微粒子分散液を製造する方法において用いられる微粒子分散液製造装置10の構成を示す図である。この図に示されるように、微粒子分散液製造装置10は、レーザ光源11,照射光制御部12,容器13および温度制御部14を備え、難溶性薬物および分散安定化剤が分子分散されてなる固体組成物を製造するとともに、難溶性薬物および分散安定化剤を含む微粒子が水に分散された微粒子分散液を製造するものである。ここで、分散安定化剤としてポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムが用いられる。
容器13は、被処理液が容れられるものであって、レーザ光源11から出力されるレーザ光Lが透過し得る材料からなり、好適にはガラスからなる。温度制御部14は、恒温槽,温度計および温調手段を含み、温度計および温調手段によるフィードバック制御により、恒温槽内に収納された容器13及び容器13内部に容れられた被処理液を温度一定に維持する。恒温槽は、レーザ光源11から出力されるレーザ光Lが通過する部分が透明窓となっている。レーザ光源11は、容器13に向けてレーザ光Lを出射するものであり、好適には波長900nm以上の赤外レーザ光Lを出射する。照射光制御部12は、レーザ光源11から出射されて容器13へ照射されるレーザ光Lの強度および照射時間の双方または何れか一方を調整する。
次に、第1実施形態に係る固体組成物製造方法について説明するとともに、第1実施形態に係る微粒子分散液製造方法について説明する。図2は、第1実施形態に係る固体組成物製造方法および微粒子分散液製造方法を説明するフローチャートである。第1実施形態に係る固体組成物製造方法は、溶解工程S1および固体組成物生成工程S2を順に行うことで、難溶性薬物ならびに分散安定化剤(ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウム)が分子分散されてなる固体組成物を製造する。また、第1実施形態に係る微粒子分散液製造方法は、溶解工程S1および固体組成物生成工程S2に続いて更に注水工程S3および微粒子分散液生成工程S4を順に行うことで、難溶性薬物ならびに分散安定化剤(ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウム)を含む微粒子が水に分散された微粒子分散液を製造する。
溶解工程S1では、容器13内において難溶性薬物ならびに分散安定化剤(ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウム)が揮発性の有機溶媒に溶解される。ここで、難溶性薬物は、水にほとんど溶けない薬物であり、その溶解度については特に限定されないが、温度25℃において溶解度が50μg/mL以下のものが望ましい。難溶性薬物は、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ニフェジピン、塩酸ニカルジピン、フェニトイン、ジギトキシン、ジアゼパム、ニトロフラントイン、ベノキサプロフェン、グリセオフルビン、スルファチアゾール、ピロキシカム、カルバマゼピン、フェナセチン、トルブタミド、テオフィリン、グリセオフルビン、クロラムフェニコール、パクリタキセル、カンプトテシン、シスプラチン、ダウノルビシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、ドセタキセル、ビンクリスチン、アンホテリシンB、ナイスタチン、酪酸クロベタゾン等の副腎皮質ホルモン類などの市販薬、及び、その他の開発中の新薬候補化合物が挙げられる。
分散安定化剤として、一般には高分子ポリマーまたは界面活性剤が用いられるが、本実施形態では特にポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムが用いられる。有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル等が挙げられ、より好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類である。
溶解工程S1に続く固体組成物生成工程S2では、溶解工程S1において得られた溶解液に含まれる有機溶媒が蒸発除去され、当該有機溶媒除去によりペレット状の残存物として固体組成物1が得られ、この固体組成物1が容器13の内壁に固定される。ここで得られる固体組成物1は、難溶性薬物ならびに分散安定化剤(ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウム)が分子分散されてなるものである。
固体組成物生成工程S2に続く注水工程S3では、容器13の内部に水2が注入される。この注水により、容器13の内壁に固定されている固体組成物1は水2に浸漬される(図1参照)。そして、注水工程S3に続く微粒子分散液生成工程S4では、レーザ光源11から出射されたレーザ光Lが容器13の内壁に固定された固体組成物1に対して照射されて、固体組成物1に光エネルギーが与えられる。これにより、固体組成物1は、水中で熱的に最も安定な構造を持つ微粒子とされ、この微粒子が水2に分散されてなる微粒子分散液が製造される。この微粒子分散液は、難溶性薬物ならびに分散安定化剤(ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウム)を含む微粒子が水に分散されたものである。
本実施形態では、容器13の内壁に固定されたペレット状の固体組成物1にレーザ光Lが高効率に照射されるので、高効率かつ短時間に微粒子分散液を製造することができる。また、多光子吸収過程が生じない程度に十分に弱い光照射でも微粒子が生成されるので、薬物分解等の問題が抑制され得る。
このようにして製造された微粒子分散液から、難溶性薬物ならびに分散安定化剤(ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウム)を含む微粒子が製造される。また、微粒子を凍結乾燥して凍結乾燥微粒子が製造される。さらに、微粒子分散液,微粒子または凍結乾燥微粒子を含有する経口投与用製剤が製造され、また、微粒子分散液,微粒子または凍結乾燥微粒子を水に再分散して得られる分散液を含有する注射投与用製剤が製造される。
微粒子分散液生成工程S4において、図1に示されるように、容器13の内壁のうち固体組成物1が固定された領域の外側からレーザ光Lが照射されて、その照射されたレーザ光Lが容器13,固体組成物1および水2の順に進行するのが好適である。このようにすることにより、固体組成物1と水2との界面近傍において微粒子が生成され、その微粒子は直ちに水2に分散される。この界面へのレーザ光照射は常に固体組成物1を経て行われるので、水2に高濃度の微粒子が含まれている状態であっても、微粒子生成の効率は低下せず、一定の効率で微粒子が生成される。
微粒子分散液生成工程S4において、レーザ光源11から固体組成物1に対して波長900nm以上のレーザ光Lが照射されるのが好適である。このような波長のレーザ光Lが固体組成物1に照射されることで、固体組成物1に含まれる薬物の光劣化が更に抑制され得る。また、固体組成物1を経て界面にレーザ光Lが到達して該界面で微粒子が生成されることから、固体組成物1に対して吸光度が小さい波長のレーザ光Lが固体組成物1に照射されるのが好ましい。具体的には、固体組成物1に対する吸光度が0.01程度以下である波長のレーザ光Lが固体組成物1に照射されるのが好ましい。
微粒子分散液生成工程S4において、固体組成物1への光照射の強度および時間の双方または何れか一方が照射光制御部12により調整されるのが好ましく、このようにすることにより、光照射により生成される微粒子の粒径が制御され得る。また、固体組成物1への光照射の際に当該照射領域または容器内が温度制御部14により一定温度に維持されるのが好ましく、このようにすることにより、光照射により生成される微粒子の粒径が安定化される。
容器13として密閉容器が用いられて、溶解工程S1,固体組成物生成工程S2,注水工程S3および微粒子分散液生成工程S4が滅菌下で行われるのが好適である。あるいは、溶解工程S1を非滅菌下で行い、当該溶解液をフィルター滅菌した後、固体組成物生成工程S2,注水工程S3および微粒子分散液生成工程S4を滅菌下で行ってもよい。すなわち、本実施形態では、容器13外部から光照射するだけの簡易な手法であるので、密閉容器でも実施することができ、滅菌下での注射剤製造も容易である。
図3は、本実施形態において用いられる容器13の変形例の構成図である。この図に示される容器13の変形例である容器13Aは、固体組成物1を固定する為の窪み131を内壁に有している。容器13Aの外壁に対して常に一定の位置である窪み131に固体組成物1を配置することができて、レーザ光Lの照射位置の調整が簡易となる。なお、窪み131は、図示のように丸型であれば、歪みに対して強く好適である。
図4は、本実施形態において用いられる容器13の他の変形例の構成図である。この図に示される容器13の変形例である容器13Bは、注射器の機能を有している。容器13Bは、注射針132を備えており、製造直後の微粒子分散液を迅速に注射できる利点がある。なお、上記変形例の容器13Aのように、注射器内壁に固体組成物1を固定するための窪みを設けてもよい。
以上のようにして製造される固体組成物,微粒子,微粒子分散液,凍結乾燥物,経口投与用製剤および注射投与用製剤それぞれは、後述する実施例に示されるように、溶解性および吸収性が優れる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と比較すると、第2実施形態では、溶解工程S1,固体組成物生成工程S2および注水工程S3については同様であるが、微粒子分散液生成工程S4の点で相違する。すなわち、第1実施形態における微粒子分散液生成工程S4では固体組成物1に光エネルギーが与えられたのに対して、第2実施形態における微粒子分散液生成工程S4では、固体組成物1に振動(好適には超音波振動)のエネルギーが与えられて、固体組成物1が粉砕されて微粒子とされ、この微粒子が水2に分散されてなる微粒子分散液が製造される。
第2実施形態における微粒子分散液生成工程S4において、固体組成物1に振動エネルギーを与えるための振動手段として超音波プローブが容器13内の水2に浸漬されて、この超音波プローブから発生する超音波振動が固体組成物1に与えられる。或いは、振動手段として超音波発生素子が容器13の外壁に貼り付けられて、この超音波発生素子から発生する超音波振動が固体組成物1に与えられる。或いは、振動手段として超音波洗浄器に容器13が入れられて、この超音波洗浄器から超音波振動が固体組成物1に与えられる。また、或いは、振動手段として試験管ミキサーに容器13が入れられて、この試験管ミキサーから振動が固体組成物1に与えられる。
これら何れの場合にも、固体組成物1に振動エネルギーが与えられ、固体組成物1は、水中で熱的に最も安定な構造を持つ微粒子とされ、この微粒子が水2に分散されてなる微粒子分散液が製造される。このようにして、本実施形態においても、溶解性および吸収性が改善された微粒子および微粒子分散液等を製造することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態と比較すると、第3実施形態では、溶解工程S1,固体組成物生成工程S2および注水工程S3については同様であるが、微粒子分散液生成工程S4の点で相違する。すなわち、第1実施形態における微粒子分散液生成工程S4では固体組成物1に光エネルギーが与えられたのに対して、第3実施形態における微粒子分散液生成工程S4では、容器13内の水2が撹拌されることで固体組成物1にエネルギーが与えられて、固体組成物1は、水中で熱的に最も安定な構造を持つ微粒子とされ、この微粒子が水2に分散されてなる微粒子分散液が製造される。
第3実施形態における微粒子分散液生成工程S4において、容器13内の水2を撹拌する撹拌手段としてマグネティックスターラが用いられ、このマグネティックスターラの回転により容器13内の水2が撹拌される。或いは、撹拌手段として試験管ミキサーを用いて、この試験管ミキサーの振動により容器13内の水2が撹拌される。なお、試験管ミキサーは、容器13内の水2の量が多いときには振動手段として作用するが、容器13内の水2の量が少ないときには撹拌手段として作用する。
これら何れの場合にも、容器13内の水2が撹拌されることで固体組成物1にエネルギーが与えられ、固体組成物1は、水中で熱的に最も安定な構造を持つ微粒子とされ、この微粒子が水2に分散されてなる微粒子分散液が製造される。このようにして、本実施形態においても、溶解性および吸収性が安定性および安全性が改善された微粒子および微粒子分散液等を製造することができる。
次に、本実施形態に係る固体組成物および微粒子分散液のより具体的な実施例1について説明する。以下に説明する本実施例1においては、難溶性薬物としてシクロスポリンAを用いて、シクロスポリンA,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む微粒子が水に分散された微粒子分散液を製造した。下記の操作は全て室温(20℃)で行った。
難溶性薬物であるシクロスポリンA原末(10mg)と、分散安定化剤であるポリビニルピロリドン(50mg)およびラウリル硫酸ナトリウム(2mg)とを試験管にとり、揮発性有機溶媒であるエタノール(1mL)に溶解した。減圧条件下でエタノールを乾固し、薬物(シクロスポリンA)と分散安定化剤(ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム)とが均一に分子分散した固体組成物を得た。この得られた固体組成物に水を添加して試験管を密閉した。
試験管内の固体組成物に対して、試験管側方よりNd:YAGパルスレーザ光を照射した。照射条件は、波長1064nm、照射光強度0.61J/cm/pulse、パルス幅5〜7ns、繰り返し周波数10Hzであった。10分間照射を行った後、軽く振とうすることで、均一に白濁化した分散液Aが得られた。
また、試験管内の固体組成物に対して超音波振動を与えた。使用した装置は卓上型超音波洗浄器B5510(BRANSON社製)であり、処理条件は180J/sec(42kHz)であった。10分間処理を行ったところ、均一に白濁化した分散液Bが得られた。
さらに、試験管内の固体組成物に対して振動・撹拌処理を行った。使用した装置は試験管ミキサーHM-10H(AS ONE社製)であった。10分間処理を行ったところ、均一に白濁化した分散液Cが得られた。
高速液体クロマトグラフィ(High performance liquid chromatography、以下「HPLC」という。)を用いて波長210nmの吸光度を測定することにより、得られた微粒子分散液に含まれるシクロスポリンAの量を定量した。3種のエネルギー供給法それぞれで得られた分散液A〜Cは、HPLC定量によりいずれも9〜10mg/mLの濃度を示した。
これらの分散液A〜Cについて、粒子径分布を測定した。図5は、実施例1で得られた分散液A〜Cそれぞれに含まれる微粒子の粒度分布を示す図である。粒径測定の際に用いた測定装置はSALD-7000(株式会社島津製作所製)であった。分散液A〜Cの何れも、粒度が揃った均一な微粒子の分散液であると考えられる。レーザ光照射により得られた分散液Aは、粒度分布が50〜450nmの範囲で、250nmに粒子径のピークを有していた。
図6は、実施例1で得られた分散液A〜Cそれぞれに含まれる微粒子の電子顕微鏡写真である。測定装置には走査電子顕微鏡S4200(株式会社日立製作所製)を用いた。この写真から判るように、分散液A〜Cの何れも、微粒子の形状は球形であり、図5の粒度分布のデータとも一致していることから、均一な微粒子群であると考えられる。レーザ光照射により得られた分散液Aでは、200〜300nm程度の粒子径の微粒子が多く認められた。
以上から判るように、レーザ光照射,振動(超音波振動を含む。)および撹拌の3種のエネルギー供与法それぞれにより、シクロスポリンAの微粒子分散液を調製することが可能であった。得られた分散液A〜Cは、何れも、室温で数日静置しても、沈殿はほとんど認められなかった。さらに、これらの微粒子分散液A〜Cは、いずれも凍結乾燥が可能であり、凍結乾燥前と再懸濁後の分散液について電子顕微鏡像に有意な差は認められなかった。
次に、本実施形態に係る固体組成物および微粒子分散液のより具体的な実施例2について説明する。以下に説明する本実施例2においては、難溶性薬物として酪酸クロベタゾンを用いて、酪酸クロベタゾン,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む微粒子が水に分散された微粒子分散液を製造した。下記の操作は全て室温(20℃)で行った。
難溶性薬物である酪酸クロベタゾン原末(10mg)と、分散安定化剤であるポリビニルピロリドン(50mg)およびラウリル硫酸ナトリウム(2mg)とを試験管にとり、揮発性有機溶媒であるエタノール(1mL)に溶解した。減圧条件下でエタノールを乾固し、薬物(酪酸クロベタゾン)と分散安定化剤(ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム)とが均一に分子分散した固体組成物を得た。この得られた固体組成物に水を添加して試験管を密閉した。
試験管内の固体組成物に対して、試験管側方よりNd:YAGパルスレーザ光を照射した。照射条件は、波長1064nm、照射光強度0.61J/cm/pulse、パルス幅5〜7ns、繰り返し周波数10Hzであった。10分間照射を行った後、軽く振とうすることで、均一に白濁化した分散液Dが得られた。
また、試験管内の固体組成物に対して超音波振動を与えた。使用した装置は卓上型超音波洗浄器B5510(BRANSON社製)であり、処理条件は180J/sec(42kHz)であった。10分間処理を行ったところ、均一に白濁化した分散液Eが得られた。
また、試験管内の固体組成物に対して振動・撹拌処理を行った。使用した装置は試験管ミキサーHM-10H(AS ONE社製)であった。10分間処理を行ったところ、均一に白濁化した分散液Fが得られた。
HPLCを用いて波長240nmの吸光度を測定することにより、得られた微粒子分散液に含まれる酪酸クロベタゾンの量を定量した。3種のエネルギー供給法それぞれで得られた分散液D〜Fは、HPLC定量によりいずれも9〜10mg/mLの濃度を示した。
これらの分散液D〜Fについて、粒子径分布を測定した。図7は、実施例2で得られた分散液D〜Fそれぞれに含まれる微粒子の粒度分布を示す図である。粒径測定の際に用いた測定装置はSALD-7000(株式会社島津製作所製)であった。分散液D〜Fの何れも、粒度が揃った均一な微粒子の分散液であると考えられる。レーザ光照射により得られた分散液Dは、粒度分布が300〜1500nmの範囲で、600nmに粒子径のピークを有していた。
図8は、実施例2で得られた分散液D〜Fそれぞれに含まれる微粒子の電子顕微鏡写真である。測定装置には走査電子顕微鏡S4200(株式会社日立製作所製)を用いた。この写真から判るように、分散液D〜Fの何れも、微粒子の形状は球形であり、図7の粒度分布のデータとも一致していることから、均一な微粒子群であると考えられる。レーザ光照射により得られた分散液Dでは、500〜600nm程度の粒子径の微粒子が多く認められた。
以上から判るように、レーザ光照射,振動(超音波振動を含む。)および撹拌の3種のエネルギー供与法それぞれにより、酪酸クロベタゾンの微粒子分散液を調製することが可能であった。得られた分散液D〜Fは、何れも、室温で数日静置しても、沈殿はほとんど認められなかった。さらに、これらの微粒子分散液D〜Fは、いずれも凍結乾燥が可能であり、凍結乾燥前と再懸濁後の分散液について電子顕微鏡像に有意な差は認められなかった。
第1実施形態に係る固体組成物および微粒子分散液を製造する方法において用いられる微粒子分散液製造装置10の構成を示す図である。 第1実施形態に係る固体組成物製造方法および微粒子分散液製造方法を説明するフローチャートである。 第1実施形態において用いられる容器13の変形例の構成図である。 第1実施形態において用いられる容器13の他の変形例の構成図である。 実施例1で得られた分散液A〜Cそれぞれに含まれる微粒子の粒度分布を示す図である。 実施例1で得られた分散液A〜Cそれぞれに含まれる微粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた分散液D〜Fそれぞれに含まれる微粒子の粒度分布を示す図である。 実施例2で得られた分散液D〜Fそれぞれに含まれる微粒子の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1…固体組成物、2…水、10…微粒子分散液製造装置、11…レーザ光源、12…照射光制御部、13,13A,13B…容器、14…温度制御部、131…窪み、132…注射針、L…レーザ光。

Claims (2)

  1. 難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを揮発性の有機溶媒に溶解させる溶解工程と、
    この溶解工程において得られた溶解液に含まれる前記有機溶媒を蒸発除去して、当該有機溶媒除去による残存物であるペレット状の固体組成物を容器の内壁に固定して得る固体組成物生成工程と、
    この固体組成物生成工程の後に、前記容器の内部に水を注入して、ペレット状の固体組成物を水に浸漬させる注水工程と、
    この注水工程において水に浸漬されたペレット状の固体組成物に光を照射して該固体組成物を微粒子化し、当該微粒子が水に分散された微粒子分散液を製造する微粒子分散液生成工程と、
    を備えることを特徴とする微粒子分散液製造方法。
  2. 前記微粒子分散液生成工程において、前記容器の内壁のうち前記残存物が固定された領域の外側から光を照射して、その照射した光を前記容器,前記残存物および水の順に進行させる、ことを特徴とする請求項1記載の微粒子分散液製造方法。
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