JP5149349B2 - 時計の時打ち機構用ゴング - Google Patents

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Description

本発明は、携帯時計の時打ち機構に関し、詳細には、ハンマーが叩いて振動を発生させるゴングを含む、機械式時打ち機構を備えた携帯時計に関する。
時計製作の分野において、ミニッツリピータなどの時打ちメカニズムを備えたムーブメントの製作には、従来の構造が使用されている。これらの実施形態では、使用されるゴングは、時計文字盤に平行な平面に配置される円形金属ワイヤである。金属ワイヤは、時計フレーム内部でムーブメントの周りに配置される。ゴングの一方の端部は、例えば硬ろうによりゴング・キャリア(ゴング支持部材)に取り付けられる。ゴングの他端は一般に固定されていない。ゴング・キャリアは時計プレートに固定される。時計は、所定時間に作動するハンマーを含む。ゴングの振動は、ゴング・キャリアのゴングにハンマーが衝突することにより発生する。ハンマーは、ゴングの平面内で部分的に回転し、該平面にてゴングを振動させる。ゴング振動の一部は時計プレートに伝達される。次いで、プレートは、ゴング平面に平行な平面で振動する。
得られる振動は、複数の固有周波数を含み、この数及び強さは、詳細には可聴域内では、ゴングの幾何形状及び材料の物理的特性に依存する。一般に、音響スペクトル全体でピッチが固定された音楽的な音を発生するためには、第1調波とも呼ばれる基本周波数と、基本周波数の整数倍である1つ又は複数の調波とが存在する。基本周波数よりも高い周波数が最低周波数の整数倍ではない別の事例において、このような周波数は「部分音(partials)」と定義される。複数の部分音を有する音は、主に、打楽器又は一部の弦楽器において、或いは、時計用時打ち機構のゴングに対するハンマーの衝撃又は衝突などの時打ち過渡応答中に見られる。
実際には、リング容積は比較的制限され、時打ち機構のエネルギー収率は比較的低い。その上、伝達される音の固有周波数が少ないので、一般に、時打ち機構の音質は依然として低品質なものである。
また、最新の技術において、地板に取り付けられるベルを叩くために、該地板に垂直な回転軸の周りを回転可能に装着されたハンマーからなる時打ちメカニズムの実施形態が存在する。これに関連して、米国特許第1,001,095A及びフランス国特許第2 480 453A1を引用することができる。地板に取り付けられるベルはまた、ドイツ国特許第443 387Cで開示されるように、螺旋形ゴングと置き換えてもよい。しかしながら、これらの実施形態の何れも比較的大きなリング容積及び十分な音質を提供したものではない。
米国特許第1,001,095A フランス国特許第2,480,453A1 ドイツ国特許第443,387C
本発明の目的は、これらの欠点の全て又は一部に対処することである。従って、本発明は、バーを備え、ムーブメントを囲み且つほぼ1つの平面に延びたゴングと、携帯時計のフレームに固定され且つゴングが取り付けられるゴング・キャリアと、ゴングに振動を引き起こすために該ゴングを叩く少なくとも1つのハンマーと、を含む、時打ち機構装置を有する携帯時計に関する。
携帯時計は、ゴングの衝突面を叩くように配置され、該衝突面が平面の法線に対して傾斜している、ことを特徴とする。
本発明の変形形態によれば、ゴングは、メカニズムを囲む細長いバーを有する。上記衝突面は、バーの一部上に配置された平坦部分により形成することができる。
本発明の別の変形形態によれば、ムーブメントを収容するフレームが存在し、該フレーム内部にゴングが配置される。
本発明の更に別の変形形態によれば、ゴングは、貴金属又は貴金属合金で形成される。
本発明の変形形態によれば、衝突面は、ゴングがゴング・キャリアに取り付けられる場所からある距離を置いて配置される。
本発明の別の変形形態によれば、衝突面以外のバーの横断面が円盤状である。
本発明の更に別の変形形態によれば、ゴング・キャリアは、フレームの下部に対して突出し、該下部は、時計プレート又は該時計の中央部に存在することができ、ゴングが該フレームの下部の上に配列される。
本発明による携帯時計の1つの利点は、ムーブメントの種々の要素に振動をより効率的に伝達することにより、時計時打ち機構の収率を最適にするよう構成することができる点である。詳細には、ハンマーが叩くゴングの面が傾斜しているので、ゴングの振動は、ゴングの平面の1つの方向と、ゴング平面に垂直な方向とに生成される。従って、振動がより良好に伝播される。
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、非限定的な例証として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
本発明による携帯時計の1つの実施形態の簡易断面図である。 メカニズム及びハンマーが無い、図1の携帯時計の直径方向の簡易断面図である。 その一部において平坦部分が存在するゴングの拡大断面図である。 ハンマーが叩いたときの図3のゴングの動作を示す図である。
本発明は、時打ち機構ゴングを備えた携帯時計を提案する。ゴングは一般に、時計ムーブメントを囲み、ほぼ1つの平面に延びる。ハンマーがゴングの衝突面を叩き、該ゴングを振動させる。この表面は、ゴング平面の法線に対し傾斜している。
ハンマーがゴングを叩くと、該ゴングは、自己平面及び該平面に対する法線で振動する。従って、ゴングのエネルギー収率が改善される。その上、ゴング・キャリアは、捻れ応力だけでなく牽引/圧縮応力も平面に伝達することができるので、振動の時計平面への伝達が改善される。これにより更にエネルギー収率が改善され、発生する音のスペクトル密度を低減することで改善することができ、これは、近接した周波数での部分音に起因する不協和音が減少する。
図1は、本発明の1つの実施形態による、携帯時計1の内部の簡易上面図である。図2は、図1の時計の直径方向の簡易断面図である。携帯時計1は時計プレート2を含む。時計プレート2内にフレームが配置される。携帯時計1は、フレーム内部に収容される公知のムーブメント3を含む。ムーブメント3は通常、機械式ムーブメントである。
携帯時計1は、同様にフレーム内部に収容されるゴング4及びゴング・キャリア(ゴング支持部材)5を含む。ゴング・キャリア5は、時計プレート2に固定される。ゴング・キャリア5は、計プレート2の底部に対して突出している。ゴング4は、ムーブメント3を囲み、携帯時計1の文字盤の平面にほぼ一致する平面x、yにほぼ延びている。ゴング4は、一方の端部がゴング・キャリア5に固定される。ゴング4の他方の端部は固定されない。
ゴング・キャリア5は、時計プレート2の底部の上方にゴング4を保持する。従って、ゴングには軸線zに沿ってクリアランスがあり、ゴングが当該方向で振動できるようにする。携帯時計1はまた、作動時にゴング4の衝突面を叩くことができるハンマー6を含む。ハンマー6は、ゴング4の平面に垂直な軸7に枢動可能に装着され、従って、該軸は方向zを有する。このハンマー6は、ゴングの平面の法線に対して傾斜した面8上でゴングを叩くよう作動することができる。分かり易くするために、メカニズム3は、図2には示していない。好ましくは、このハンマー6は、ゴング・キャリアに近接して装着される。しかしながら、ハンマーを上記ゴング・キャリア5からある距離を置いて携帯時計上に装着することも想起することができる。
図3は、ハンマー6が叩く衝突面8を示すゴングの拡大断面図である。図示のように、この面8は、方向z(ゴング4の平面に対して垂直な方向)に対して傾斜している。従って、ハンマー6の一方端がこの衝突面8を叩くと、ゴング4も方向zにも振動する。
図4は、ハンマー6が叩いているときのゴング4の動作を示している。破線の円は、待機時のゴング4の位置を表している。ハンマー6は、衝突面8と接触した後、引き続き方向xに移動する。ハンマー6は、衝突面8に接して滑動する。衝突面8は方向zに対して傾斜しているので、ゴング4は、弾性変形し、図示のように方向x及び方向zの成分を有する局所的な動きを呈する。
ゴング4は通常、例えば、メカニズム3を囲み、金属ワイヤにより形成されるバーを有する。従って、バーは、単一の金線コイルで形成することができる。衝突面8は、バーの一部上に配置される平坦部により形成される。この場合、平坦部は、有利には方向zに対し45°傾斜した平面を形成する。この形状は、特に達成しやすい。この場合は、バーは円形であり、携帯時計内部に占めるスペース量が低減される。
バーは通常、1mmよりも小さい、例えばおよそ0.6mmの直径を有する。図示のバーは、環状体の一部を形成する。この環状体の一部は、有利には、300°と350°の間の角度に延びる。環状体はまた、ムーブメントの周りを1周よりも多く回転する(カテドラル型ゴング)。バーはまた、音響上の理由から他の好適な形状、例えば矩形形状を有することができる。衝突面8以外のバーの横断面は、図示のように円盤状とすることができる。
ゴング4の音響挙動を改善するために、ゴングは、貴金属又は貴金属合金で作られるのが有利である。
ゴング4の移動振幅を増大させるために、ハンマー6が叩く面8は、ゴング4がゴング・キャリア5に固定される場所に近接して、或いはそこからある距離を置いて配置することができる。
本発明は、腕時計に対してだけでなく、アラーム時計などの他のタイプの時計にも適用することができる。
図示の実施例では、ゴング4の一方端だけがゴング・キャリア5に固定されている。しかしながら、本発明はまた、ゴングを固定する複数のゴング・キャリアを備えた時計、又はゴングが一方端以外でゴング・キャリアに固定されるような時計にも適用される。図示の実施例では、携帯時計1は単一のハンマー6を有する。
しかしながら、本発明による携帯時計は、複数のハンマーを有してもよく、ゴングは、その平面の法線に対して傾斜した複数の対応する打撃面を有することができる。図示の実施例では、ハンマー6は、ゴングの平面に垂直な軸線に対して枢動可能に装着される。しかしながら、本発明による携帯時計は、ゴングの平面に対して傾斜した方向で運動できるハンマーを有してもよい。単一の巻線を備えたゴングが図示されているが、本発明はまた、複数の重なった巻線を備えたゴングにも適用される。
ハンマーは、ゴングの平面に対し傾斜した衝突方向でゴングを叩くよう配置することができる点に留意されたい。このような場合、ゴングの構成は、平坦部分を用いることなく従来通りにすることができる。
2 時計プレート; 3 ムーブメント; 4 ゴング; 5 ゴング・キャリア; 6 ハンマー;
8 衝突面。

Claims (8)

  1. 時打ち機構装置を含む携帯時計(1)にあって、
    バーを備え、ムーブメント(3)を囲み且つほぼ1つの平面に延びたゴング(4)と、
    前記携帯時計のフレーム(2)に固定され且つ前記ゴングが取り付けられるゴング・キャリア(5)と、
    前記ゴング(4)に振動を引き起こすために該ゴングを叩く少なくとも1つのハンマー(6)と、
    を含む携帯時計であって、
    前記ハンマーは、前記ゴング(4)の衝突面(8)を叩くように配置され、該衝突面が前記平面の法線に対して傾斜している、
    ことを特徴とする携帯時計。
  2. 前記ゴングを形成する材料が、貴金属又は貴金属合金である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の携帯時計。
  3. 前記衝突面(8)が、前記バー(4)の一部上に配置された平坦部分により形成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の携帯時計。
  4. 前記バーが全体的に円形又は矩形を形成する、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の携帯時計。
  5. 前記ムーブメントを収容するフレームが存在し、該フレーム内部に前記ゴング(4)が配置される、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の携帯時計。
  6. 前記ゴングが、その少なくとも一方の端部により前記ゴング・キャリア(5)に取り付けられている、
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の携帯時計。
  7. 前記衝突面(8)以外の前記バー(4)の横断面が円盤状である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の携帯時計。
  8. 前記ゴング・キャリア(5)が、前記携帯時計の時計プレート(2)又は該時計の中央部分である前記フレームの底部に対して突出し、前記ゴング(4)が、前記フレームの底部の上に配置される、
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の携帯時計。
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