JP5141345B2 - 鍛造加工用の金属材料の表面処理方法及び表面処理システム、並びに、鍛造品の製造方法 - Google Patents
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例えば、金属材料の表面に酸化膜が形成されていると、鍛造加工時に鍛造品中に酸化膜が混入して鍛造品の強度が低下することがある。このため、鍛造加工の前に、金属材料の表面の酸化膜を除去する処理が行われる。この処理は、多くの場合、金属材料に向けて粒状の固体(以下、粒状体という)を噴射するブラスト処理により行われる。
また、金属材料をそのまま鍛造加工すると、鍛造型と金属材料との摩擦が大きいために好適に鍛造加工を行うことができない場合がある。このため、鍛造加工の前に、金属材料の表面に被膜(鍛造型との摩擦を低減させる被膜(以下では、潤滑被膜という))を形成する処理が行われる。この処理は、多くの場合、適切な温度まで金属材料を予熱した後に、金属材料を溶液に浸漬する等して潤滑被膜を形成することにより行われる。金属材料を予熱することで、金属材料の表面に潤滑被膜が成長することを促進することができる。
このように表面処理した金属材料を鍛造加工することで、高品質の鍛造品を製造することができる。
この表面処理方法では、ブラスト工程中に金属材料を加熱する。これによって、ブラスト工程が終了するまでに金属材料が十分な温度まで昇温される。したがって、ブラスト工程を終了した後に、金属材料を予熱することなく、被膜形成工程を開始することができる。表面処理を短時間で行うことができる。
なお、ブラスト工程後に金属材料の表面に粒状体が残存している場合には、金属材料を洗浄してもよい。上述したように、粒状体は短時間で除去できるので、洗浄を行ったとしても表面処理に要する時間がそれほど長時間となることはない。
また、被膜形成工程は、金属材料を溶液に浸漬したり、金属材料の表面に溶液を塗布する等、種々の方法によって実行することができる。
このような構成によれば、ブラスト工程中に金属材料を好適に加熱することができる。
このような構成によれば、第1噴射工程後に金属材料の表面に残存する粒状体を、第2噴射工程で除去(洗浄)できる。また、第2噴射工程では、加熱した液体を金属材料に向けて噴射するので、金属材料の温度が低下することもない。
この表面処理システムによれば、短時間で金属材料の表面処理を行うことができる。
(特徴1)被膜形成工程では、非ボンデ膜(リン酸塩を含まない潤滑被膜)を形成する。
(特徴2)ブラスト工程では、金属材料を70℃以上に加熱する。
(特徴3)被膜形成工程は、金属材料の温度が70℃未満の温度に低下する前に開始する。
(特徴4)ブラスト工程の前に、金属材料を焼き鈍しする焼き鈍し工程を実行する。
ステップS2の切断工程では、棒状の金属材料を適切な大きさに切断する。
なお、焼き鈍し前の金属材料の表面には既に酸化膜が形成されているが、焼き鈍しを実行することで金属材料の表面の酸化が進行する。したがって、より酸化膜が厚くなる。
図2に示すように、ブラスト装置10は、エア供給管12と、粒状体混合水供給管14と、温水供給管16と、混合器18と、ノズル20を備えている。エア供給管12と粒状体混合水供給管14と温水供給管16は、混合器18に接続されている。エア供給管12は、加圧した空気を混合器18に供給する。粒状体混合水供給管14は、粒状体と水とを混合した液体(以下では、粒状体混合水という)を混合器18に供給する。粒状体混合水供給管14は、所定温度に加熱された粒状体混合水を混合器18に供給する。温水供給管16は、所定温度に加熱された温水を混合器18に供給する。混合器18は、エア供給管12から供給される空気と粒状体混合水供給管14から供給される粒状体混合水を混合する運転と、エア供給管12から供給される空気と温水供給管16から供給される温水を混合する運転の2つの運転を実行することができる。混合器18は、混合した流体(空気と粒状体混合水との混合流体、または、空気と温水との混合流体)をノズル20に送り出す。ノズル20は、混合器18から送り込まれる混合流体を噴射する。混合器18に供給される空気の圧力が高圧であるので、ノズル20からは高速で混合流体が噴射される。すなわち、ブラスト装置10は、ノズル20から粒状体混合水を噴射する運転と、温水(粒状体を含まない温水)を噴射する運転を実行できる。
なお、上述したように、ブラスト装置10は、1つのノズル20から粒状体混合水と温水を噴射する。しかしながら、ブラスト装置10は、粒状体混合水を噴射するノズルと、粒状体を含まない温水を噴射するノズルとをそれぞれ別個に備えていてもよい。
また、本実施例の鍛造品の製造方法では、ステップS6の第1噴射工程において、金属材料に向けて加熱した粒状体混合水(すなわち、粒状体を含む温水)を噴射する。これによって、金属材料を加熱するとともに、金属材料の表面の酸化膜を除去する。このように、加熱した粒状体混合水を噴射することで、金属材料を均一に加熱することができる。また、混合器18に供給する粒状体混合水を加熱する手段を設けるだけで金属材料を加熱することができる。ブラスト装置10をそれほど複雑化することなく、金属材料を好適に加熱することが可能となる。
また、本実施例の鍛造品の製造方法では、ステップS8の第2噴射工程において、金属材料に向けて温水を噴射する。これによって、金属材料の表面に残存する粒状体を除去する。このように、同一のブラスト装置10によって、金属材料の表面研磨(第1噴射工程)と金属材料の洗浄(第2噴射工程)を実施することで、より短時間で金属材料の表面処理を行うことが可能となる。また、温水を噴射するので、金属材料の温度が低下することを防止することができる。なお、第2噴射工程の開始時には金属材料が既に昇温しているので、第2噴射工程では金属材料を昇温させる必要がない。すなわち、第2噴射工程は、金属材料の表面の粒状体を除去するだけでよいので、短時間で終了することができる。
図3は、比較例として従来の鍛造品の製造方法におけるフローチャートを示している。従来の製造方法では、ステップS26のブラスト工程をドライブラスト(液体を用いずに粒状体のみを金属材料に向けて噴射するブラスト)で行うので、ブラスト工程中に金属材料が加熱されない。したがって、ブラスト工程後に、ステップS28の湯洗工程を実施して、金属材料を洗浄すると共に金属材料を予熱する必要があった。図3に示すように、湯洗工程は7個流しで60秒の工数を要する。
一方、本実施例の鍛造品製造方法では、図1に示すように、湯洗工程を実施しない。すなわち、長時間を要するために7個流しをする必要があった湯洗工程を省略できる。したがって、ステップS10の被膜形成工程を1個流しで実施することができる(図3の従来の製造方法では、ステップS30の被膜形成工程を7個流しで行う)。すなわち、焼き鈍し工程後の各工程を全て1個流しで行うことができる。このため、製造ライン中に仕掛り品をストックすることなく、ジャストインタイムで鍛造品を製造することができる。また、本実施例の製造方法では、工程の数が減少するため、工程の管理項目が少なって鍛造品の品質管理が容易となる。また、鍛造品の品質バラツキも少なくなる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:エア供給管
14:粒状体混合水供給管
16:温水供給管
18:混合器
20:ノズル
30:金属材料
Claims (3)
- 鍛造加工用の金属材料を表面処理する方法であって、
金属材料を加熱しながら、金属材料に向けて粒状体を噴射するブラスト工程と、
ブラスト工程後の金属材料の表面に潤滑被膜を形成する被膜形成工程、を備え、
ブラスト工程では、粒状体を含む加熱した液体を金属材料に向けて噴射する第1噴射工程と、第1噴射工程後に粒状体を含まない加熱した液体を金属材料に向けて噴射する第2射工程を備えていることを特徴とする表面処理方法。 - 請求項1に記載の表面処理方法によって表面処理された金属材料を鍛造加工することによって、鍛造品を製造する方法。
- 鍛造加工用の金属材料を表面処理する表面処理システムであって、
金属材料を加熱しながら、金属材料に向けて粒状体を噴射するブラスト装置と、
金属材料の表面に潤滑被膜を形成する被膜形成装置、を備えており、
ブラスト装置は、粒状体を含む加熱した液体を金属材料に向けて噴射する第1動作と、
粒状体を含まない加熱した液体を金属材料に向けて噴射する第2動作を実行可能であることを特徴とする表面処理システム。
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