JP5139603B2 - 類似症例検索装置および類似症例検索方法 - Google Patents
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Description
ある診断項目の症状として判定可能な症状同士がよく似ていることを評価するためには、その診断項目を判定した症状の先に同じ病名がどれだけ存在するかを見ればよい。例えば、図4のように診断項目aを判定した後に、パターンAとパターンBとに同じ病名が多く存在する場合には、その症状はそれら病名を区別する要素にはなっていないと考えられる。したがって、症状同士には対象とする病名を大きく分けるような特徴がない、つまり、判定する症状同士が似ているため、その症状間の判定を行うのは難しくなると考えられる。そのため、診断ツリーからある診断項目下の病名数を計数することで難易度を評価する。
診断ツリーから症状の種類が多いことを評価するためには、診断ツリー中の症状の種類数(診断項目に対する枝の数)を用いればよい。例えば、図3の形状という診断項目に対して、症状の個数(4個:不整形、多角形、分葉形、円・楕円)から難易度を評価する。図5のようにこの種類数が多いほど難易度が高い診断項目として評価する。
診断ツリーから複数の診断項目を診断しても、病名が決定しないことを評価するためには、診断ツリーに含まれる診断項目数を用いればよい。図6のような診断ツリーに対して、実線矢印と点線矢印のフローを比較した場合には、診断する回数が多い実線の方が診断は難しく、難易度が高いと評価する。
全ての診断項目を診断しても、病名が決定されない場合について説明する。図7のような診断ツリーがある場合に、矢印で示すように診断項目を診断したとする。このような場合、診断項目の診断を全て終えても、病名1、2、3の中からいずれかを決定しなければならない。このときには、診断ツリー中の病名数から難易度を評価すればよい。例えば、図7においては、病名1、2、3の病名数(3個)。図3においては、境界部が明瞭平滑、形状が不整形の診断ツリーに対する病名数(2個)から難易度を評価する。
1つの診断項目の種類では、病名が決定しないことを評価するためには、読影レポートから項目数を抽出し、使用した診断ツリーの個数を計算すればよい。図8のように形状に関する診断ツリーと色に関する診断ツリーがある場合について説明する。このとき、それぞれ矢印のように診断を行い病名1に至ったとする。この場合には、読影レポートにはそれぞれの診断ツリーに関する文字列(例えば「項目a」など)が含まれている。したがって、読影レポートの文字列を解析し、各診断ツリーにあてはめることで診断ツリーをいくつ使用したかが分かる。また、この診断ツリーの個数が多いほど複雑な診断をしていることになり、難易度が高いと評価する。
図9は、本実施の形態における類似症例検索システム100の構成を示すブロック図である。図9に示すように、類似症例検索システム100は、類似症例検索装置1と、入力部2と、類似症例表示部6と、読影支援データベース10とを備える。
入力部2は、医師が読影レポートを入力するための機器(例えば、キーボードあるいはマウスなど)である。入力部2は、医師が入力したテキストデータや選択結果をキーワード抽出部3に送付する。
類似症例表示部6は、類似症例検索部5から症例データを受け取り、医師に提示する。類似症例表示部6は、例えばPC(Personal Computer)用のディスプレイ、TV(Television)、医療用読影モニタなどである。
類似症例検索装置1は、入力部2で入力された読影レポートと類似する症例データを、症例データ記憶部9から検索するための装置である。類似症例検索装置1は、キーワード抽出部3と、難易度評価部4と、類似症例検索部5とを備える。
キーワード抽出部3は、入力部2から読影レポートのテキストデータを受信し、テキストデータの中から医学用語、診断項目、診断結果に関わるキーワードを抽出し、難易度評価部4に送付する。つまり、キーワード抽出部3は、入力部2から読影レポートを受信し、受信した読影レポートからキーワードを抽出する。
難易度評価部4は、キーワード抽出部3から抽出された文字列を受け取り、診断ツリー記憶部8からは診断ツリーを読み出す。難易度評価部4は、これらの文字列と診断ツリーとから診断項目の難易度を計算し、類似症例検索部5に送付する。
類似症例検索部5は、難易度評価部4から類似診断フローを受け取り、症例データ記憶部9の症例データの類似度を計算し、類似度が高い症例データを類似症例表示部6に送付する。つまり、類似症例検索部5は、症例データ記憶部9に記憶されている複数の症例データの中から、類似診断フローに対応する症例データを検索する。つまり、類似症例検索部5は、類似診断フローに従って診断された症例データを検索する。さらに、類似症例検索部5は、対象診断フローに従って診断された症例データも検索する。
読影支援データベース10は、キーワード辞書記憶部7と、診断ツリー記憶部8と、症例データ記憶部9とを備える。
キーワード辞書記憶部7は、キーワード抽出に用いる医学用語を記憶している。
診断ツリー記憶部8は、診断項目とその症状の種類などの診断フローに関する情報を格納している。つまり、診断ツリー記憶部8は、病名が決定されるまでの診断項目と当該診断項目の症状とを含む複数の診断フローがツリー構造で表された診断ツリーを記憶している。
症例データ記憶部9は、過去の読影レポートと診断に用いた医用画像を格納している。つまり、症例データ記憶部9は、読影レポートと医用画像との組である症例データを記憶している。
図13は、本実施の形態における類似症例検索システム100の利用形態を示す図である。
図14は、類似症例検索システム100において行われる処理の流れを示すフローチャートである。図14は、図1のステップS03、S07に対応する。
(S10:読影レポート入力)
ステップS10において、入力部2は、医師からの読影レポートの入力を受け付け、類似症例検索装置1に送付する。ここで、図2に示すような読影レポートに医師が「境界部は明瞭平滑であり、形状は不整形である。乳頭腺管癌の疑い。」と入力した場合を例にとり、具体的に説明する。ステップS10においては、医師の入力である「境界部は明瞭平滑であり、形状は不整形である。乳頭腺管癌の疑い。」が類似症例検索装置1に送付される。
ステップS11において、キーワード抽出部3は、読影レポートのテキストデータを受け取り、そのテキストデータから診断に関する文字列を抜き出し、難易度評価部4に送信する。以下、ステップS11の詳細を、図15を用いて説明する。
ステップS12において、難易度評価部4は、キーワード抽出部3から抽出された文字列を受け取り、診断ツリー記憶部8から診断ツリーを受け取る。難易度評価部4は、これら文字列と診断ツリーとから診断項目の難易度を計算し、類似症例検索部5に送信する。以下、ステップS12の詳細を図16を用いて説明する。
ステップS43において、類似診断フロー抽出部42は、類似診断フローを抽出する際に利用する難易度を計算する。
なお、ステップS43において、難易度は、診断項目に対する病名の一致数(同一病名数)から決定されてもよい。全ての診断項目を診断しても、病名が決定しない場合には診断が難しくなる。そのため、類似診断フロー抽出部42は、診断項目の分岐下の病名がどれだけ一致しているかを基準に難易度を評価する。具体的には、類似診断フロー抽出部42は、同一病名数が多い場合には難易度が高くなるように病名の難易度を評価し、少ない場合には難易度が低くなるように病名の難易度を評価する。つまり、類似診断フロー抽出部42は、同一の病名を含む診断フローが多いほど難易度が高くなるように、病名の難易度を計算する。以下、ステップS43の詳細を図17を用いて説明する。
なお、ステップS43において、難易度は、診断項目に対する症状の種類数(項目分岐数)から決定されてもよい。診断項目に対する症状の種類が多いときには診断が難しくなる。そのため、症状の数を基準に難易度を評価する。このとき、症状の種類が多い場合には難易度が高く、少ない場合には難易度が低いと評価する。つまり、診断項目の難易度は、診断ツリーにおける診断項目の症状の分岐数が多いほど難易度が高くなるように計算される。言い換えると、診断項目の難易度は、診断項目の症状として判定可能な症状の数が多いほど難易度が高くなるように計算される。以下、ステップS43の詳細について図18を用いて説明する。
なお、ステップS43において、難易度は診断項目に対する病名の間違えやすさから決定されてもよい。診断項目において病名の間違いが多いときには診断が難しかったことが想定される。そのため、病名の間違えやすさを基準に難易度を評価する。具体的には、類似診断フロー抽出部42は、病名ごとに予め定められた値であって病名の間違えやすさ示す値が大きいほど難易度が高くなるように計算する。
ステップS44において、類似診断フロー抽出部42は、診断ツリー解析部41が抽出した複数の診断ツリーを使用し、診断ツリーの組合せを評価することで、ありえない類似診断フローを削除し、有効な診断フローを抽出し、類似症例検索部5に送付する。
なお、ステップS44において、読影レポートに記載された診断項目から使用する診断ツリーを変更してもよい。ここでは、先に述べた有効な診断フローの抽出方法を基に診断ツリーを変更する例について説明する。以下、ステップS44において、診断ツリーを変更する詳細フローについて図21を用いて説明する。
診断フロー2:「項目a−パターンA−項目b−パターンC−病名2」(診断ツリー:形状)
診断フロー3:「項目a−パターンA−項目b−パターンC−病名3」(診断ツリー:形状)
診断フロー4:「項目c−パターンE−項目d−パターンG−病名2」(診断ツリー:色)
診断フロー5:「項目c−パターンE−項目d−パターンG−病名3」(診断ツリー:色)
ステップS45において、類似診断フロー抽出部42は、難易度に基づいて、検索対象と難易度が類似した診断フローを類似診断フローとして類似症例検索部5に送付する。具体的には、類似診断フロー抽出部42は、難易度が高い診断項目または病名が含まれる診断フローほど類似診断フローとして抽出されるように、類似診断フローを抽出する。
ステップS13において、類似症例検索部5は、難易度評価部4から類似診断フローを受け取り、症例データ記憶部9に記憶されている各症例データの類似度を計算し、類似度が高い症例データを優先して類似症例表示部6に送付する。以下、ステップS13の詳細を図23を用いて説明する。
ステップS14において、類似症例表示部6は、類似症例検索部5から症例データを受け取り、医師に提示する。類似症例表示部6は、例えばディスプレイ、TV、モニタなどである。
以下では、実験のために簡単な読影レポートを作成し、類似度を評価した結果を示す。本実施例で用いた診断ツリーを図25に示す。症状をパターンとして四角の枠内に記載し、診断項目は項目として記載した。複数の診断フローに同一の病名が存在する(例:パターンD、Eに病名Nが存在する)診断ツリーを用いた。また、今回の実験において、読影レポートには「項目aはパターンB。項目cはパターンG。病名Sの疑い。」が記載されているとし、以下のキーワードが抽出されるとした。
(2)症状:「パターンB」、「パターンG」
(3)病名:「病名S」
本実験では、結果を分かりやすくするために、診断項目下に存在する病名の一致数として病名に一番近い診断結果である図25のパターンD〜Lに関して以下の式を適用した。なお、この計算は診断項目を遡ってパターンA〜Cに適用してもよい。ここでnxは分岐下にある病名の一致数であり、naは病名の総数を示す。例えば、パターンDとパターンEを比較する場合には、パターンD下には病名M、N、Oがあり、パターンE下には病名P、N、Oがある。したがって、N、Oが一致しているため、nxは2、総数naは6となり、その重みwkは0.33となる。
本実験では、病名Sが一番間違えやすく、次に病名Tを間違えやすいとした。また、その間違えやすさの数値には式(4)を用いた。この数値は、病名ごとにあらかじめ決定してもよいし、データベースから自動的に決定してもよい。
実験結果を図26〜図29に示す。図には類似度の高い10件について類似度と診断フローとを掲載した。ここで、診断項目1は診断項目aを含む階層、症状1は項目aに対する症状であり、パターンA、B、Cがこれに該当する。診断項目2はその症状下にある診断項目であり項目b、c、dのことをいう。症状2は項目b、c、d下の症状を示す。以下では診断フローを「診断項目1−症状1−診断項目2−症状2−病名」と表記する。この表記法では検索対象となる読影レポートの診断フローは「a−B−c−G−S」となる。
従来法の実験結果を図26に示す。文字列の一致数が類似度の指標であるため、例えば今回の検索対象読影レポート「a−B−c−G−S」に対して、類似度が一番高いものは文字列が全て一致する「a−B−c−G−S」であり、その類似度は1となる。また、5つの文字列中4つが一致する「a−B−c−G−T」の類似度は0.8となる。このように、従来法では検索した診断フローと同じ症例データを検索できる。
病名一致数による難易度評価の実験結果を図27に示す。病名一致数を指標に難易度を評価すると、検索読影レポートの病名「病名S」と一致する病名数を各診断フローにおいて計算するため、病名Sが含まれる診断フローの類似度が上昇した。例えば、図27において「a−B−c−H−S」、「a−B−c−I−S」の類似度が0.8から0.9に上昇した。そのため、本手法を使用すれば、検索している病名に至る診断フローを優先的に検索できる。つまり、難易度が高い病名である「病名S」を含む診断フローが類似診断フロートとして抽出される。
病名間違えやすさによる難易度評価の実験結果を図28に示す。病名間違えやすさを指標に難易度を評価すると、検索読影レポートの病名「病名S」が含まれる診断フローと同じ診断項目、症状で「病名T」が含まれる診断フローの類似度が上昇した。そのため、本手法を使用すれば、間違えやすい病名を含む診断フローを優先的に検索できる。つまり、対象診断フローに含まれる病名と間違えやすい病名を含む診断フローが類似診断フローとして抽出される。
難易度(2)と難易度(3)の組み合わせによる難易度評価の実験結果を図29に示す。病名一致数と病名間違えやすさを組み合わせた場合には、文字列の一致数が少なくても、類似度が大きく上昇する診断フローが存在した。例えば、「a−B−c−H−T」は従来の文字列の一致数では類似度が0.6であるが、今回提案した手法では類似度は0.9となる。したがって、本手法を使用すれば、検索している病名に至りやすく、間違えやすい病名を含む診断フローを優先的に検索できる。
2 入力部
3 キーワード抽出部
4 難易度評価部
5 類似症例検索部
6 類似症例表示部
7 キーワード辞書記憶部
8 診断ツリー記憶部
9 症例データ記憶部
10 読影支援データベース
31 文字列解析部
32 文字列比較部
41 診断ツリー解析部
42 類似診断フロー抽出部
51 検索症例制御部
52 類似度評価部
100 類似症例検索システム
Claims (9)
- 医用画像を読影する際に診断の対象となる診断項目と、前記診断項目の症状を示す診断結果とが記載された文書データである読影レポートからキーワードを抽出するキーワード抽出部と、
病名が決定されるまでの診断項目と当該診断項目の症状とを含む複数の診断フローがツリー構造で表された診断ツリーを記憶している診断ツリー記憶部を参照して、前記読影レポートに対応する診断フローである対象診断フローを前記キーワードに基づいて抽出する診断ツリー解析部と、
診断項目の症状を判定する難しさの度合いである診断項目の難易度、または病名を決定する難しさの度合いである病名の難易度に基づいて、前記診断ツリー記憶部に記憶されている診断ツリーに含まれる複数の診断フローの中から前記対象診断フローに類似する類似診断フローを抽出する類似診断フロー抽出部と、
症例データ記憶部に記憶されている複数の症例データの中から、前記類似診断フローに対応する症例データを検索する類似症例検索部とを備える
類似症例検索装置。 - 前記病名の難易度は、前記診断ツリーにおいて、同一の病名を含む診断フローの数が多いほど難易度が高くなるように計算される
請求項1に記載の類似症例検索装置。 - 前記診断項目の難易度は、前記診断ツリーにおける診断項目の症状の分岐数が多いほど難易度が高くなるように計算される
請求項1または2に記載の類似症例検索装置。 - 前記病名の難易度は、前記診断ツリーにおける診断項目の症状から分岐する病名の数が多いほど難易度が高くなるように計算される
請求項1〜3のいずれか1項に記載の類似症例検索装置。 - 前記病名の難易度は、病名ごとに予め定められた値であって病名の間違えやすさを示す値が大きいほど難易度が高くなるように計算される
請求項1〜4のいずれか1項に記載の類似症例検索装置。 - 少なくとも2つの前記対象診断フローが抽出され、かつ、前記2つの対象診断フローが互いに異なる診断ツリーに含まれる場合に、前記類似診断フロー抽出部は、診断ツリーごとに前記類似診断フローを抽出する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の類似症例検索装置。 - 前記類似診断フロー抽出部は、難易度が高い診断項目または病名を含む診断フローほど類似診断フローとして抽出されるように、前記診断ツリー記憶部に記憶されている診断ツリーに含まれる複数の診断フローの中から類似診断フローを抽出する
請求項1〜6のいずれか1項に記載の類似症例検索装置。 - コンピュータが、医用画像を読影する際に診断の対象となる診断項目と、前記診断項目の症状を示す診断結果とが記載された文書データである読影レポートからキーワードを抽出するキーワード抽出ステップと、
コンピュータが、病名が決定されるまでの診断項目と当該診断項目の症状とを含む複数の診断フローがツリー構造で表された診断ツリーを記憶している診断ツリー記憶部を参照して、前記読影レポートに対応する診断フローである対象診断フローを前記キーワードに基づいて抽出する診断ツリー解析ステップと、
コンピュータが、診断項目の症状を判定する難しさの度合いである診断項目の難易度、または病名を決定する難しさの度合いである病名の難易度に基づいて、前記診断ツリー記憶部に記憶されている診断ツリーに含まれる複数の診断フローの中から前記対象診断フローに類似する類似診断フローを抽出する類似診断フロー抽出ステップと、
コンピュータが、症例データ記憶部に記憶されている複数の症例データの中から、前記類似診断フローに対応する症例データを検索する類似症例検索ステップとを含む
類似症例検索方法。 - 請求項8に記載の類似症例検索方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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