以下に、本発明の一実施形態の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、歯列矯正用具の矯正用ブラケット本体の説明図であり、図2は、歯列矯正用具の矯正用ブラケット本体とキャップ本体の斜視図であり、図3は、歯列矯正用具のキャップ本体の斜視図であり、図4は、歯列矯正用具の全体斜視図であり、図5は、歯列矯正用具を装着し、口唇矯正した場合の歯列の部分拡大図であり、図6は、歯列矯正用具を装着し、舌側矯正した場合の歯列の部分拡大図であり、図7は、歯列矯正用具の使用形態説明図である。
本発明の一実施形態に係る歯列矯正用具Aは、図1〜図4に示すように、上方開口のワイヤ挿通用溝10を横断状に形成した矯正用ブラケット本体1と、ワイヤ挿通用溝10を被うように該矯正用ブラケット本体1の後端より矯正用ブラケット本体1に嵌着自在に構成した断面略コ字状のキャップ本体2と、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを、ワイヤ挿通用溝10に挿通した矯正用ワイヤ3と干渉しない状態で緊縛する締結体4とよりなる。
かかる構成とすることにより、歯列矯正用具A全体の構成要素が少ないこととなり、その構成を簡便化でき、また矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1に対して変位可能な、換言すれば、矯正用ワイヤ3と矯正用ブラケット本体1とが干渉しないようにすることができる。また、キャップ本体2の形状も簡便化したことから、キャップ本体2の着脱が容易になり、歯列矯正用具Aの操作性を向上できる。
以下に、本発明の一実施形態の構成について図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
矯正用ブラケット本体1について説明する。
図1は、歯列矯正用具Aの矯正用ブラケット本体1の説明図である。図1(a)は矯正用ブラケット本体の背面図であり、図1(b)は矯正用ブラケット本体の平面図であり、図1(c)は矯正用ブラケット本体の左側面図であり、図1(d)は矯正用ブラケット本体の底面図であり、図1(e)は矯正用ブラケット本体の断面図であり、図1(f)は矯正用ブラケット本体の正面図である。また、図2(a)は、歯列矯正用具Aの矯正用ブラケット本体1を示した斜視図である。
矯正用ブラケット本体1は、正方立体形の歯当接部11と、その後部に突設した後部ブラケット部14とよりなる。
また、矯正用ブラケット本体1は、医療的に安全性を確認されている金属であれば種類を問わない。例えば、ステンレスやチタンやジルコニアや合成樹脂素材(コンポジットレジン等)などで形成することができる。特に、このような材料を用いて歯列矯正用具Aを形成することにより、口内という金属にとって厳しい使用環境であっても、劣化や腐食することがない。その結果、歯列矯正用具Aの破損等が少なくなる。
まず、歯当接部11について説明する。歯当接部11は、正方立体形とし、歯の表面と接着する歯接合面11aと、歯接合面11aの後側の面であるブラケット突設面11bとを有する。
なお、歯接合面11aが、接着剤を介して、治療対象の歯の表面に接着され固定されることにより、歯列矯正用具Aは、治療対象の歯に配設される。
また、ブラケット突設面11bには、ワイヤ挿通用溝10及び縦溝部12などを有する後部ブラケット部14が突設されている。
更に、ブラケット突設面11bは、図1(e)と図1(f)と図2(a)に示すように、後部ブラケット部14の基端の上下方に、後述するキャップ本体2の先端部2aを嵌着するための略長方形で凹状の空間である嵌入凹部15及び嵌入凹部15の上部に連通連設した小嵌入凹部15aが穿設されている。
次に後部ブラケット部14について説明する。後部ブラケット部14の形状は、図2(a)に示すように、上面14aと下面14bとを偏平とし、左右の両側面14c,14cを湾曲に形成した略楕円柱形である。
略楕円柱形の後部ブラケット部14の上面14aには上方開口のワイヤ挿通用溝10が断面凹状で横断状に形成されており、ワイヤ挿通用溝10より後端面16側には締結体4を保持するための縦溝部12が左右の両側面14c,14cに凹状に形成されており、ワイヤ挿通用溝10と歯当接部11との間には矯正用ワイヤ3が歯当接部11と干渉しないようにするための空隙13が形成されている。
また、略楕円柱形の後部ブラケット部14の偏平状の上面14aと下面14bには、上方開口のスライド溝部17が、断面凹状で後部ブラケット部14の長手方向に縦断状に形成されている。更に、上面14aから下面14bにかけて、円柱状のピン挿通孔18が穿設されている。
ワイヤ挿通用溝10は、図1(c)と図2(a)に示すように、後部ブラケット部14に形成された断面凹状で上方開口の横断状の溝である。
縦溝部12は、後部ブラケット部14の後端近傍において、弾性紐状の締結体4を挿通するために、左右の両側面14c,14cに凹状に形成されている。
縦溝部12は、後述するキャップ本体2が矯正用ブラケット本体1に係合した後に脱落するのを防止するための締結体4を保持する為の溝であり、締結体4がワイヤ挿通用溝10に挿通した矯正用ワイヤ3と干渉しない状態で緊縛できる位置に形成されている。
すなわち、矯正用ワイヤ3をワイヤ挿通用溝10に挿通した場合に、ワイヤ挿通用溝10よりも後部の位置にずらして縦溝部12,12を形成しているので、矯正用ワイヤ3と干渉することなく締結体4を縦溝部12,12に嵌入保持して緊縛し、後部ブラケット部14にキャップ本体2が固定される。
空隙13は、ワイヤ挿通用溝10と歯当接部11との間の左右の両側面14c,14cに凹状に形成された空間である。空隙13が存在することにより、矯正用ワイヤ3は、歯当接部11と干渉しない。
また、空隙13は、歯列矯正用具Aを各歯に設置し歯の矯正治療を行うにあたり、隣接する歯同士の間隔を狭めたり、その間隔を維持したりする際に使用する器具類を掛合するために形成された空間でもある。
ワイヤ挿通用溝10と縦溝部12と空隙13とが、図1(b)に示すように、最適な間隔で形成された歯列矯正用具Aは、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを、ワイヤ挿通用溝10に挿通した矯正用ワイヤ3と干渉しない状態で、締結体4を介して緊縛する。
歯当接部11と後部ブラケット部14とは、一の金属体から切削加工されて形成されてので、一体となっている。更に、後部ブラケット部14において、ワイヤ挿通用溝10と縦溝部12と空隙13とが切削加工により形成されている。
略楕円柱形の後部ブラケット部14の後端面16には、図1(f)や図2(a)に示すように、細い溝状の横基準溝部16aが、後端面16の長手方向に横断状に形成されている。ここでは複数本(2本)形成されており、上側の横基準溝部16aはワイヤ挿通用溝10の上下中心位置を、下側の横基準溝部16aは矯正用ブラケット本体1の上下中心位置を、それぞれ示している。
また同様に、略楕円柱形の後部ブラケット部14の後端面16には、細い溝状の縦基準溝部16bが、後端面16の短手方向に縦断状に形成されており、矯正用ブラケット本体1の左右中心位置を示している。
スライド溝部17は、偏平状の上面14aと下面14bに形成された断面凹状で後部ブラケット部14の長手方向に縦断状に形成された溝部であり、嵌入凹部15に連通連設した前部スライド溝部17aと、縦溝部12が形成されている後部ブラケット部14の後端側に形成された後部スライド溝部17bとより構成されている。
ピン挿通孔18は、上面14aと下面14bとの間に貫通状に穿設された円柱形の孔部である。後述するキャップ本体2を矯正用ブラケット本体1に固定する際にピン(図示しない)を用いる場合、同ピンを挿通するための孔部である。
次に、キャップ本体2について説明する。
キャップ本体2は、図2(b)に示すように、板状の上側板21と板状の下側板22と上下側板21,22基端に架設した板状の垂直板23とよりなり、断面略コ字状に構成されている。なお、上側板21と下側板22と垂直板23とは、一の金属体からなり、一体となっている。
キャップ本体2は、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14に後端から嵌着係合することにより、ワイヤ挿通用溝10上方を被覆する。従って、矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1に対して変位可能に装着された際に、矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1のワイヤ挿通用溝10から脱落しない。
すなわち、キャップ本体2の上側板21が、ワイヤ挿通用溝10の上方を被覆して、矯正用ワイヤ3がワイヤ挿通用溝10の上方から抜去されないようにしている。
また、断面略コ字状のキャップ本体2の先端部2aは、キャップ本体2を後部ブラケット部14後端から嵌着した場合に、歯当接部11後側面であるブラケット突設面11bに設けた嵌入凹部15に嵌着し、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを確実に係合する。
断面コ字状のキャップ本体2における上側板21は、その左右縁部21a,21aにおいて、キャップ本体2を後部ブラケット部14に装着した場合の縦溝部12,12に対応する位置に、締結体4が挿通する切欠部21b,21bがそれぞれ切欠形成されている。
すなわち、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14後部の左右の両側面14c,14cに弾性紐状の締結体4を挿通するためにそれぞれ形成された各縦溝部12,12の位置と切欠部21b,21bの位置とが一致する。
キャップ本体2における下側板22は、より確実に締結体4が外れにくくするために、その左右縁部22a,22aにおいて、キャップ本体2を後部ブラケット部14に装着した場合の縦溝部12,12に対応する位置に、締結体4が挿通する切欠部22b,22bがそれぞれ切欠形成されている。
すなわち、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14後部の左右の両側面14c,14cに弾性紐状の締結体4を挿通するためにそれぞれ形成された各縦溝部12,12の位置と切欠部22b,22bの位置とが一致する。なお、切欠部は、上側板21のみ或いは下側板22のみに形成しても構わない。
垂直板23の外側面、すなわち矯正用ブラケット本体1の後端面16と当接する面と反対側の面は、丘状(マウンド状)となっており、丸みを有する形状となっている。
また、キャップ本体2の形状について、図3(a)に示すように、断面コ字状のキャップ本体2の垂直板23両側は、矯正用ブラケット本体1の後端面16と相対する形状となるように左右張出し状に張出部23a,23aが形成される。
孔部24は、上側板21と下側板22とに穿設されており、キャップ本体2を矯正用ブラケット本体1と着脱する際に用いる器具を引っ掛けるために穿設された孔部である。他方、後述する締結体4をピン(図示しない)とした場合、ピン止め用孔部として使用してもよい。
以上のように構成されたキャップ本体2において、図3(b)に示すように、通常のキャップ本体2と比較し、上側板21と下側板22と垂直板23の幅が狭い形状を有する幅狭のキャップ本体200を用いる場合がある。
幅狭のキャップ本体200を用いる理由は、歯列矯正用具Aを用いて歯列矯正を行う際に、ワイヤ挿通用溝10において横架された矯正用ワイヤ3に張力が加えられて、上側板21に当接した場合と、幅狭の上側板210に当接した場合とでは、矯正用ワイヤ3からキャップ本体2または幅狭のキャップ本体200が受ける力の大きさや方向を異ならせることができるからである。
つまり、ワイヤ挿通用溝10において横架され張力が加えられ矯正用ワイヤ3が、図3(a)に示す上側板21に当接した場合は、矯正用ワイヤ3と上側板21との接触面積が幅狭の上側板210の場合と比して広くなることから、キャップ本体2を用いた一の歯列矯正用具Aにかかる力は大きくなる。
一方、ワイヤ挿通用溝10において横架され張力が加えられ矯正用ワイヤ3が、図3(b)に示す幅狭の上側板210に当接した場合は、矯正用ワイヤ3と幅狭の上側板210との接触面積が上側板21の場合と比して狭くなることから、幅狭のキャップ本体を用いた歯列矯正用具Aにかかる力は小さくなる。
このことから、キャップ本体2と幅狭のキャップ本体200とを分けて使用し、あるいは組み合わせて使用することにより、歯列矯正を行う際、歯列矯正用具Aの受ける力の大きさや方向を異ならせることができる。
その結果、矯正用ワイヤ3を交換せずとも、キャップ本体2と幅狭のキャップ本体200とを、適宜、矯正対象の各歯において交換することで、矯正対象の各歯に、矯正に適した方向に力を負荷させたり、あるいは矯正に適した大きさの力を負荷させたりすることができるからである。また、その結果、治療にかかる時間を短縮したり、治療にかかる費用を抑えたりすることができる。
以下に、幅狭のキャップ本体200について、図面を用いて詳細に説明する。
幅狭のキャップ本体200は、図3(b)に示すように、幅狭板状の上側板210と幅狭板状の下側板220と幅狭の上側板210及び幅狭の下側板220の基端に架設した幅狭板状の垂直板230とよりなり、断面略コ字状に構成されている。なお、幅狭の上側板210と幅狭の下側板220と幅狭の垂直板230とは、一の金属体からなり、一体となっている。また、幅狭のキャップ本体200の基本的な形状は、キャップ本体2と同様である。
幅狭のキャップ本体200は、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14に後端から嵌着係合することによりワイヤ挿通用溝10上方を被覆する。従って、矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1に対して変位可能に装着された際に、矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1のワイヤ挿通用溝10から脱落しない。
すなわち、幅狭のキャップ本体200の上側板210が、ワイヤ挿通用溝10の上方を被覆して、矯正用ワイヤ3がワイヤ挿通用溝10の上方から抜去されないようにしている。
また、断面略コ字状の幅狭のキャップ本体200における幅狭の先端部200aは、幅狭のキャップ本体200を後部ブラケット部14後端から嵌着した場合に、歯当接部11後側面であるブラケット突設面11bに設けた嵌入凹部15上部の小嵌入凹部15aに嵌着し、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体200とを確実に係合する。
断面コ字状の幅狭のキャップ本体200における上側板210は、その左右縁部210a,210aにおいて、幅狭のキャップ本体200を後部ブラケット部14に装着した場合の縦溝部12,12に対応する位置に、締結体4が挿通する切欠部210b,210bがそれぞれ切欠形成されている。
すなわち、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14後部の左右の両側面14c,14cに弾性紐状の締結体4を挿通するためにそれぞれ形成された各縦溝部12,12の位置と切欠部210b,210bの位置とが一致する。
幅狭のキャップ本体200における下側板220は、より確実に締結体4が外れにくくするために、その左右縁部220a,220aにおいて、幅狭のキャップ本体200を後部ブラケット部14に装着した場合の縦溝部12,12に対応する位置に、締結体4が挿通する切欠部220b,220bがそれぞれ切欠形成されている。
すなわち、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14後部の左右の両側面14c,14cに弾性紐状の締結体4を挿通するためにそれぞれ形成された各縦溝部12,12の位置と切欠部220b,220bの位置とが一致する。なお、切欠部は、幅狭の上側板210のみ或いは幅狭の下側板220のみに形成しても構わない。
幅狭の垂直板230の外側面、すなわち矯正用ブラケット本体1の後端面16と当接する面と反対側の面は、丘状(マウンド状)となっており、丸みを有する形状となっている。
また、断面コ字状の幅狭のキャップ本体200における垂直板230両側は、矯正用ブラケット本体1の後端面16と相対する形状となるように左右張出し状に張出部230a,230aが形成される。
キャップ本体2と同様に、幅狭の上側板210と幅狭の下側板220とには孔部240が、穿設されており、幅狭のキャップ本体200を矯正用ブラケット本体1と着脱する際に用いる器具を引っ掛けるために穿設された孔部である。他方、後述する締結体4をピン(図示しない)とした場合、ピン止め用孔部として使用してもよい。
また、キャップ本体2や幅狭のキャップ本体200は、医療的に安全性を確認されている金属であれば種類を問わない。例えば、ステンレスやチタンやジルコニアや合成樹脂素材(コンポジットレジン)などで形成することができる。特に、このような材料を用いて歯列矯正用具Aを形成することにより、口内という金属にとって厳しい使用環境であっても、劣化や腐食することがない。その結果、歯列矯正用具Aの破損等が少なくなる。特に、矯正用ブラケット本体1と同質の材料で形成することにより、意匠としての美観(審美性)が向上するだけでなく、材料のイオン化傾向の違いによる、電流の発生を防止することもできる。
次に、矯正用ワイヤ3について説明する。
矯正用ワイヤ3は、図5や図6に示すように、各歯の表面にそれぞれ装着された矯正用ブラケット本体1に架け渡しながら装着されると共に、矯正用ワイヤ3に所定の張力を加えて矯正用ワイヤ3と矯正用ブラケット本体1との間に、矯正に必要な方向に力を相互作用させることで、矯正用ブラケット本体1を介して歯に矯正のための力を作用させる。
矯正用ワイヤ3の材質は、医療的に安全性を確認されている金属であれば種類を問わない。例えば、チタンや超弾性チタンなどで形成される。
次に、締結体4について説明する。
弾性紐状の締結体4は、図4(a)と、図4のI−I線における断面図である図4(b)とに示すように、矯正用ブラケット本体1のワイヤ挿通用溝10に挿通した矯正用ワイヤ3がキャップ本体2とワイヤ挿通用溝10とで形成されるワイヤ挿通空間Sにおいて干渉しない状態で緊縛する。換言すれば、締結体4は、矯正用ワイヤ3をキャップ本体2の上側板21とワイヤ挿通用溝10とで形成されるワイヤ挿通空間Sにおいて抱持した状態で矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを締結する。
その際に、矯正用ワイヤ3は、矯正用ブラケット本体1に対して変位可能な、換言すれば、フリクションフリーな状態でワイヤ挿通空間Sにおいて抱持される。
また、締結体4は、前述のような弾性紐状に形成されている。例えば、金属ゴムや天然ゴムなどの、口内という厳しい使用環境であっても劣化や腐食することで機能が低下することのない材料を用いて形成される。
このように、例えば弾性紐状の締結体4を用いて矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを緊縛することから、前述のキャップ本体2の形状は、複雑にならない。すなわち、締結体4を用いることで矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とが係合されることとなり、その結果、キャップ本体2に矯正用ブラケット本体1と係合するための爪部などを別途形成する必要がなくなるものである。
締結体4は、弾性紐状のものとは別に、ピン(図示しない)を用いてもよい。その際には、前述のように、上側板21と下側板22とに穿設された孔部24が、ピン止め孔として使用されることとなる。
更に、締結体4は、弾性紐状のものとは別に、通常歯列の矯正に用いられる結紮線(図示しない)を用いてもよい。矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2との間の矯正用ワイヤ3に干渉しない位置において、同結紮線を装着することにより、結紮線は、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを固定する。
以上のように構成された本発明の一実施形態に係る歯列矯正用具Aの使用形態について図面を用いて具体的に説明する。
図5は、歯列矯正用具Aを装着し、口唇矯正した場合の歯列の部分拡大図であり、図6は、歯列矯正用具を装着し、舌側矯正した場合の歯列の部分拡大図であり、図7は、歯列矯正用具Aの使用形態説明図である。なお、図7(a)は、口唇矯正した場合の歯列矯正用具Aの使用形態説明図であり、図7(b)は、舌側矯正した場合の歯列矯正用具Aの使用形態説明図である。
歯列矯正用具Aは、図5〜図7示すように、歯の矯正治療を行う際に、歯の表面に複数個配設される。
まず、矯正用ブラケット本体1の歯当接部11の歯接合面11aは、歯の表面に、接着剤を介して、固定される。歯の表面に固定された矯正用ブラケット本体1は、ワイヤ挿通用溝10が上方開口となるように固定される。すなわち、矯正用ブラケット本体1は、バーティカルスロットであるワイヤ挿通用溝10に矯正用ワイヤ3が上方から挿通できるような向きに固定される。
このことから、唇側矯正を行う場合だけではなく、舌側矯正を行う場合でも、上方より矯正用ワイヤ3を挿通できるので、矯正用ワイヤ3が架設しやくなり、治療が短時間でできる。すなわち、歯列矯正用具Aの操作性を向上できる。
また、矯正用ブラケット本体1の後端面16には横基準溝部16aや縦基準溝部16bが形成されていることから、矯正用ブラケット本体1を歯の表面に固定する際、横基準溝部16aや縦基準溝部16bに薄い板状の器具を当接させることにより、薄板状の器具を使用し、矯正用ブラケット本体1の上下又は左右の中心位置を確認しつつ矯正用ブラケット本体1の傾斜などを微調整し、固定することができる。その結果、歯列矯正用具Aの操作性も向上できる。
矯正用ブラケット本体1は、治療対象の歯列の状態を考慮して、歯に矯正の際の力が最適に負荷される位置に配設される。
矯正用ブラケット本体1は、前述のように、歯当接部11と後部ブラケット部14とが一体成形されていることから、構成要素が少なくなるだけでなく、矯正用ブラケット本体1の強度向上を図ることができ、余計な凹凸がないことから、食べかすなどが残留しにくくなり、雑菌などが繁殖しにくくなるので、その結果、口内環境を衛生的に保つことができる。
次に、矯正用ワイヤ3は、各歯に配設された矯正用ブラケット本体1を結ぶようにをワイヤ挿通用溝10に挿通されて、横架される。
矯正用ワイヤ3は、前述のように、医療的に安全性を確認されている金属であれば種類を問わない。例えば、チタンや超弾性チタンなどで形成されることから、口内という金属にとって厳しい使用環境であっても、劣化や腐食することがなくなり、その結果、歯列矯正用具Aの破損等が少なくなる。
更に、矯正用ワイヤ3の材質で、特に、超弾性チタンは、その性質から矯正に必要な方向に、矯正に必要な力を最適に相互作用させることができ、その結果、治療時間を短縮することができる。
矯正用ワイヤ3がワイヤ挿通用溝10に挿通され横架された状態の矯正用ブラケット本体1に、キャップ本体2が嵌着されることで形成されるワイヤ挿通空間Sに矯正用ワイヤ3が保持されることとなり、矯正用ワイヤ3は脱落することはない。
矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とは、断面略コ字状のキャップ本体2の先端部2aと上下方の各嵌入凹部15とが嵌着することにより、確実に係合される。
また、キャップ本体2を矯正用ブラケット本体1に係合させる際には、上側板21及び下側板22の各内面を後部スライド溝部17bに当接させて歯当接部11に向けて滑動させることにより、前部スライド溝部17aに当接させ、更に、歯当接部11に向けて滑動させることにより、各先端部2aが上下方の各嵌入凹部15に嵌入させる。
このように、キャップ本体2を、矯正用ブラケット本体1に容易にかつ確実に嵌着できるため、矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1に対して変位可能でありながら、キャップ本体2と矯正用ブラケット本体1との嵌着構造が簡便化されるので、歯列矯正用具Aをより簡便化できると共に、矯正用ワイヤ3が確実に保持される。
特に、キャップ本体2を後部ブラケット部14に係合固定するに際し、断面略コ字状のキャップ本体2の先端部2aは、爪部などを有しないことから、その形状は、複雑とはならないので、キャップ本体2の製造コスト、ひいては歯列矯正用具Aの製造コストを低く抑えることができ、その結果、安価で操作性のよい歯列矯正用具Aを提供することができる。
断面コ字状のキャップ本体2において、垂直板23の外側面、すなわち矯正用ブラケット本体1の後端面16と当接する面と反対側の面は、丘状(マウンド状)となっており、丸みを有する形状となっている。このことから、歯の矯正治療のために歯列矯正用具Aを装着された患者は、口内で舌を動かした際、歯列矯正用具Aに舌を引っ掛けて怪我することがない。
また、矯正用ブラケット本体1に嵌着するキャップ本体2は、図2(c)に示すように、断面コ字状のキャップ本体2の垂直板23両側が矯正用ブラケット本体1の後端面16と相対する形状となるように左右張出し状に形成した張出部23a,23aを有するものを使用することができる。
このような各張出部23aを有する形状のキャップ本体2を使用することにより、キャップ本体2は、矯正用ブラケット本体1をキャップ本体2で保護することができる。また、万が一、歯列矯正用具Aが破損するとしても、最も外部にあるキャップ本体2が破損するおそれが高く、また、そのキャップ本体2のみを交換すればよいことから、耐故障性能を向上させることができる。また、歯列矯正用具Aの全てを交換する必要がないことから、治療時間を短縮することができる。
また、キャップ本体2は、通常の形状よりも幅の狭い形状のキャップ本体を使用することがある。つまり、基本的な形状が、キャップ本体2と同様であるが、上側板21や下側板22や垂直板23の形状が幅狭であるキャップ本体200を使用することがある。
幅狭であるキャップ本体200を使用する理由は、前述のように、矯正用ワイヤ3を交換せずとも、キャップ本体2と幅狭のキャップ本体200とを、適宜、矯正対象の各歯において交換することで、矯正対象の各歯に、矯正に適した方向に力を負荷させたり、あるいは矯正に適した大きさの力を負荷させたりするためである。
矯正用ワイヤ3がワイヤ挿通用溝10に挿通され横架された状態の矯正用ブラケット本体1に、キャップ本体2の代わりに幅狭のキャップ本体200が嵌着されることで形成されるワイヤ挿通空間Sに矯正用ワイヤ3が保持されることとなり、矯正用ワイヤ3は脱落することはない。
矯正用ブラケット本体1と幅狭のキャップ本体200とは、断面略コ字状の幅狭のキャップ本体200における先端部200aと、上下方の各小嵌入凹部15aとが嵌着することにより、確実に係合される。
また、幅狭のキャップ本体200を矯正用ブラケット本体1に係合させる際には、幅狭の上側板210及び幅狭の下側板220の各内面を後部スライド溝部17bに当接させて歯当接部11に向けて滑動させることにより、前部スライド溝部17aに当接させ、更に、歯当接部11に向けて滑動させることにより、幅狭の各先端部200aが上下方の各小嵌入凹部15aに嵌入させる。
このように、幅狭のキャップ本体200を、矯正用ブラケット本体1に容易にかつ確実に嵌着できるため、矯正用ワイヤ3が矯正用ブラケット本体1に対して変位可能でありながら、幅狭のキャップ本体200と矯正用ブラケット本体1との嵌着構造が簡便化されるので、歯列矯正用具Aをより簡便化できると共に、矯正用ワイヤ3が確実に保持される。
特に、幅狭のキャップ本体200を後部ブラケット部14に係合固定するに際し、断面略コ字状の幅狭のキャップ本体200における先端部200aは、爪部などを有しないことから、その形状は、複雑とはならないので、幅狭のキャップ本体200の製造コスト、ひいては歯列矯正用具Aの製造コストを低く抑えることができ、その結果、安価で操作性のよい歯列矯正用具Aを提供することができる。
断面コ字状の幅狭のキャップ本体200において、幅狭の垂直板230の外側面、すなわち矯正用ブラケット本体1の後端面16と当接する面と反対側の面は、丘状(マウンド状)となっており、丸みを有する形状となっている。このことから、歯の矯正治療のために歯列矯正用具Aを装着された患者は、口内で舌を動かした際、歯列矯正用具Aに舌を引っ掛けて怪我することがない。
また、矯正用ブラケット本体1に嵌着する幅狭のキャップ本体200は、図3(a)に示すように、断面コ字状の幅狭のキャップ本体200における幅狭の垂直板230両側が矯正用ブラケット本体1の後端面16と相対する形状となるように左右張出し状に形成した張出部230a,230aを有する。
このような各張出部230aを有する幅狭のキャップ本体200を使用することにより、幅狭のキャップ本体200は、矯正用ブラケット本体1を保護することができる。また、万が一、歯列矯正用具Aが破損するとしても、最も外部にある幅狭のキャップ本体200が破損するおそれが高く、また、その幅狭のキャップ本体200のみを交換すればよいことから、耐故障性能を向上させることができる。また、歯列矯正用具Aの全てを交換する必要がないことから、治療時間を短縮することができる。
矯正用ブラケット本体1に横架された矯正用ワイヤ3は、矯正対象の歯に別の方向に力を負荷させたり、或いは異なる大きさの力を負荷させたりする際には、取り替えられる。
しかし、前述のように、キャップ本体2と幅狭のキャップ本体200とを使い分けることにより、矯正対象の歯に別の方向に力を負荷させたり、あるいは異なる大きさの力を負荷させたりすることができるので、矯正用ワイヤ3を頻繁に交換する必要がなくなる効果がある。
つまり、キャップ本体2の上側板21の幅よりも、幅狭のキャップ本体200の上側板210の幅が狭いことから、横架された矯正用ワイヤ3が、上側板21に当接した場合と、幅狭の上側板210に当接した場合とでは、矯正用ワイヤ3からキャップ本体2または幅狭のキャップ本体200が受ける力の大きさや方向が異なることとなり、その結果、矯正用ワイヤ3を交換せずとも、矯正対象の歯に適した方向に力を負荷させたり、あるいは適した大きさの力を負荷させたりすることができる。
また、歯列矯正用具Aを各歯に設置し歯の矯正治療を行い、治療が進行するに従って、隣接する歯同士の間隔を狭めたり、その間隔を維持したりする必要がある際には、器具類を矯正用ブラケット本体1に形成した空隙13に掛合させて、歯列矯正用具Aに力を加えることにより、矯正対象の歯に矯正に適した方向や矯正に適した大きさの力を負荷することもできる。
弾性紐状の締結体4は、矯正用ブラケット本体1にキャップ本体2または幅狭のキャップ本体200が嵌着し矯正用ワイヤ3が保持された状態において、キャップ本体2または幅狭のキャップ本体200が矯正用ブラケット本体1から脱落しないように掛架される。
つまり、掛架された締結体4は、矯正用ブラケット本体1の後部ブラケット部14に形成された縦溝部12において、矯正用ブラケット本体1と、キャップ本体2または幅狭のキャップ本体200とを一体に支えることとなり、締結体4が外れにくくなる。その結果、矯正用ブラケット本体1と、キャップ本体2または幅狭のキャップ本体200とがずれることがなくなり、矯正用ワイヤ3も、矯正用ブラケット本体1と干渉することがない。
また、弾性紐状の締結体4は、矯正用ブラケット本体1の各縦溝部12,12だけでなく、キャップ本体2の上側板21の左右縁部21a,21aに形成された各切欠部21b,21bに挿通され掛着されることによって、キャップ本体2が矯正用ブラケット本体1から脱落しないようにしている。
同様に、弾性紐状の締結体4は、矯正用ブラケット本体1の各縦溝部12,12だけでなく、幅狭のキャップ本体200の上側板210の左右縁部210a,210aに形成された各切欠部210b,210bに挿通され掛着されることによって、幅狭のキャップ本体200が矯正用ブラケット本体1から脱落しないようにしている。
更に、弾性紐状の締結体4は、矯正用ブラケット本体1の各縦溝部12,12だけでなく、キャップ本体2の下側板22の左右縁部22a,22aに形成された各切欠部22b,22bにも挿通され掛着されることによって、キャップ本体2が矯正用ブラケット本体1からより確実に脱落しないようにしている。
同様に、弾性紐状の締結体4は、矯正用ブラケット本体1の各縦溝部12,12だけでなく、幅狭のキャップ本体200の下側板220の左右縁部220a,220aに形成された各切欠部220b,220bにも挿通され掛着されることによって、幅狭のキャップ本体200が矯正用ブラケット本体1からより確実に脱落しないようにしている。
なお、切欠部は、上側板21に形成された各切欠部21b,21b或いは下側板22に形成された各切欠部22b,22bのどちらかだけでも構わない。どちらか一方だけに切欠部を設けることにより、キャップ本体2の製造コスト、ひいては歯列矯正用具Aの製造コストを低く抑えることができ、その結果、安価な歯列矯正用具Aを提供することができる。
同様に、切欠部は、上側板210に形成された各切欠部210b,210b或いは下側板220に形成された各切欠部220b,220bのどちらかだけでも構わない。どちらか一方だけに切欠部を設けることにより、幅狭のキャップ本体200の製造コスト、ひいては歯列矯正用具Aの製造コストを低く抑えることができ、その結果、安価な歯列矯正用具Aを提供することができる。
また、締結体4として弾性紐状のものとは別に、ピン(図示しない)を使用する際には、矯正用ブラケット本体1に穿設されたピン挿通孔18と、キャップ本体2に穿設された孔部24または幅狭のキャップ本体200に穿設された孔部240とを一致させ、ピンを各孔に嵌通させることにより、矯正用ブラケット本体1と、キャップ本体2または幅狭のキャップ本体200とを係合させることもできる。
更に、締結体4は、弾性紐状のものとは別に、通常歯列の矯正に用いられる結紮線(図示しない)を用いてもよい。矯正用ブラケット本体1と、キャップ本体2または幅狭のキャップ本体200との間の矯正用ワイヤ3に干渉しない位置において、同結紮線を装着することにより、結紮線は、矯正用ブラケット本体1と、キャップ本体2または幅狭のキャップ本体200とを固定することもできる。
歯列矯正の治療が進行し、矯正対象の歯に別の方向に力を負荷させたり、或いは異なる大きさの力を負荷させたりする際には、キャップ本体2と幅狭のキャップ本体200との交換では対応できない場合、矯正用ブラケット本体1に横架された矯正用ワイヤ3は、取り替えることとなる。以下に、矯正用ワイヤ3の交換について、矯正用ブラケット本体1にキャップ本体2が嵌着していた場合について説明する。
まず、探針などの器具を用いて、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを緊縛している締結体4を外す。
次に、矯正用ブラケット本体1の嵌入凹部15にキャップ本体2の先端部2aが嵌着することで矯正用ブラケット本体1に係合しているキャップ本体2を外す。その際、キャップ本体2の上側板21や下側板22に穿設された孔部24に探針などの器具を差し込んで、キャップ本体2は外される。
キャップ本体2が外された状態において、矯正用ワイヤ3は、ワイヤ挿通用溝10から自在に取り外すことができる。そして、次の治療段階に適合した矯正用ワイヤ3を適宜選択され、前述のように、選択された矯正用ワイヤ3は、各歯に配設された矯正用ブラケット本体1を結ぶようにワイヤ挿通用溝10に挿通されて、横架される。
前述と同様に、選択され横架された矯正用ワイヤ3は、各矯正用ブラケット本体1に、それぞれ各キャップ本体2が嵌着することで、脱落しない。
その際、締結体4は、矯正用ブラケット本体1とキャップ本体2とを、ワイヤ挿通用溝10に挿通した矯正用ワイヤ3と干渉しない状態で緊縛する。
このように、歯列矯正用具Aは、歯列矯正治療において、歯列矯正治療の進行度合いに応じて、矯正用ブラケット本体1が調整されたり、キャップ本体2と幅狭のキャップ本体200とが交換されたり、矯正用ワイヤ3が交換されたりなどしながら用いられ、歯列矯正治療が終了した際には、各歯より取り外される。
次に、上記した実施形態ではワイヤ挿通用溝10を閉塞するのにキャップ本体2を用いていたが、これに代えて、図8〜図10に示すように、矯正用ブラケット本体1にヒンジ30(締結部材)により回動自在に構成した閉塞体31を用いることもできる。なお、図8〜図10で用いた符号は、図1〜図7に示した実施形態と同じ構成要素については同一のものを用いている。
本実施形態では閉塞体31は、図8に示すように、1枚板で構成され、その前端部に回動軸33を取り付ける軸保持部32が取り付けられている。また、閉塞体31は、その左右縁部31a,31aにおいて、閉塞体31を後部ブラケット部14に装着した場合の縦溝部12,12に対応する位置に、締結体4が挿通する切欠部31b,31bがそれぞれ切欠形成されている。
また、図8に示すように、矯正用ブラケット本体1の上方に形成した小嵌入凹部15aの両端部であって、歯接合面11aの後側の面であるブラケット突設面11bに筒状の回動軸支持部34が取り付けられている。
そして、筒状の回動軸支持部34に回動軸33を枢支しヒンジ30を構成し、矯正用ブラケット本体1に閉塞体31を締結することにより、回動軸33を軸として閉塞体31を上下方向に回動自在に構成することができる。
すなわち、閉塞体31の前端部に取り付けた回動軸33を軸にその後端部を上方に持ち上げることで、ワイヤ挿通用溝10に矯正用ワイヤ3を挿通することができ、矯正用ワイヤ3を挿通した後は、後端部を下方に降ろすことによりワイヤ挿通用溝10を閉塞するようにしている。
そして、図10に示すように、後部ブラケット部14の縦溝部12,12に閉塞体31の切欠部31b,31bを対応させて位置させた状態で、弾性紐状の締結体4を掛架して
矯正用ブラケット本体1に閉塞体31が嵌着して矯正用ワイヤ3が保持された状態において、閉塞体31が矯正用ブラケット本体1から脱落しないようにしている。
なお、締結体4は、弾性紐状のものとは別に、ピン(図示しない)を用いてもよい。その際には、前述のように、閉塞体31に穿設された孔部24が、ピン止め孔として使用されることとなる。
以上のように、簡単な構造によりワイヤ挿通用溝10を上方から閉塞するようにしているので、閉塞体31を上方に回動することにより矯正用ワイヤ3を容易に挿通することができ、閉塞体31を下方に回動することにより簡単な構造で閉塞することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。