JP5926018B2 - 自己結さつ歯列矯正ブラケット - Google Patents

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Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2010年9月3日に出願され、開示が引用によって全体的に本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第61/380046号に対する優先権を主張する。
本発明は、概して歯列矯正ブラケットに関し、特に、可動閉鎖部材を有する自己結さつ歯列矯正ブラケットに関する。
歯列矯正ブラケットは、患者の咬合を改善することを目的とする全ての歯列矯正治療の基本的な構成部材である。従来の歯列矯正治療では、歯列矯正医または助手が、患者の歯にブラケットを固定し、各ブラケットの長穴にアーチワイヤを係合させる。アーチワイヤは、歯に矯正力を加えて歯を正しい位置に移動させる。小形のエラストマOリングや微細な金属ワイヤのような従来の結さつ糸は、アーチワイヤを各ブラケット長穴内に保持するのに使用される。個々の結さつ糸を各ブラケットに取り付けるのは困難であるため、ラッチやスライドなどの可動部または部材を使用してアーチワイヤをブラケット長穴内に保持することによって結さつ糸を不要にする自己結さつ歯列矯正ブラケットが開発されている。
米国特許出願第2009/0004618号 米国特許出願第2009/0004617号 米国特許出願第2006/0166158号 米国特許出願第2006/0163774号 米国特許出願第2006/0166159号
自己結さつブラケットは一般に成功裏に使用されているが、このようなブラケットの製造業者は引き続き、自己結さつブラケットに関連する美的な要素、自己結さつブラケットの用途および機能、ならびに自己結さつブラケットのコストおよび製造性を改善しようと努めている。
一態様では、歯にアーチワイヤを結合する歯列矯正ブラケットが提供され、該ブラケットは、歯に取り付けられるように構成されたブラケット本体を備える。アーチワイヤ長穴が、アーチワイヤを受け入れるように構成される。クリップ長穴が、ブラケット本体を貫通してアーチワイヤ長穴に対して横方向に延びている。第1の本体部分が第2の本体部分と向かい合っており、これらの本体部分はアーチワイヤ長穴によって互いに分離されている。第1の本体部分と第2の本体部分のうちの一方は、アーチワイヤ長穴に対して開放された支持面を含む。
弾性の結さつクリップを滑り可能に支持面およびクリップ長穴に係合させることができる。弾性の結さつクリップは、それぞれ第3のクリップ部分から概ね同じ方向に延び、概ねU字形のクリップを形成することのできる第1および第2のクリップ部分を備える。該クリップは、アーチワイヤをアーチワイヤ長穴に挿入することのできる開位置と、第1のクリップ部分がベース面と向かい合い、第3のクリップ部分が支持面に隣接する閉位置との間をブラケット本体に対して移動可能である。該クリップは、第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわまされたときに、たわんで、支持面を含む本体部分上でブラケット本体に接触するように構成される。
ブラケット本体は、概ねアーチワイヤがクリップを引っ張る結果として第1のクリップ部分がたわんだときにクリップに接触する様々な構造を含んでよい。例示的な構造には、支持面を少なくとも部分的に覆う近心−遠心ブリッジを含めてよい。第1のクリップ部分は、ベース面から離れる方向にたわまされたときに近心−遠心ブリッジに接触するように構成することができる。第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にさらにたわまされると、このたわみにクリップがたわむことによって抵抗することができる。
例示的な他の構造には、支持面を含む本体部分のような一方の本体部分から延びるクリップストップ面を含めてもよい。この実施態様では、第1のクリップ部分と第3のクリップ部分のうちの一方は、弾性の結さつクリップが閉位置にあるときにクリップストップ面に対してほぼ接触する関係になるように構成されたショルダをさらに含んでよい。ショルダは、第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわまされたときにクリップストップ面に接触するように構成することができる。これらの構造および他の構造は、クリップが、第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわむ方向と逆方向にたわんだときに、クリップとブラケット本体とを接触させることができる。たとえば、第1のクリップ部分が唇側にたわまされると、クリップまたはその一部が舌側にたわむかあるいは移動してブラケット本体に接触し、それによって、第1のクリップ部分が唇側にたわむのをさらに制限するかあるいは完全に停止させることができる。
一実施態様では、ブラケット本体は、支持面を少なくとも部分的に覆う近心−遠心ブリッジと、支持面からあるいは支持面の近くから延びるクリップストップとを含む。第1のクリップ部分は、近心−遠心ブリッジに接触するように構成され、第1のクリップ部分と近心−遠心ブリッジとの間に支点または接触位置を形成する。第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にさらにたわまされると、ショルダが、第1のクリップ部分がたわむ方向と逆方向にたわむかあるいは移動してクリップストップ面に接触する。たとえば、第1のクリップ部分が唇側にたわまされた場合、ショルダが舌側または歯面の方へ移動してクリップストップに接触することができる。その結果、ブラケット本体とクリップとの間に2つの接触位置が形成され、クリップ部分がさらに唇側にたわむのを抑制するかあるいは停止させ、アーチワイヤをアーチワイヤ長穴内に保持することができる。ブラケット本体とクリップとの接触を上述の順序と逆の順序で生じさせてよいことが理解されよう。たとえば、最初、ショルダがクリップストップに接触し、その後クリップと近心−遠心ブリッジが接触してよい。
一実施態様では、第1のクリップ部分は自由端部を含み、ブラケット本体は、自由端部に接触せずに第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわむのを制限するように構成される。
一実施態様では、歯列矯正ブラケットは、弾性の結さつクリップを少なくとも閉位置に固定するように構成された固定機構を含む。固定機構は、ブラケット本体と第2のクリップ部分のうちの一方にロック部材を含み、ブラケット本体と第2のクリップ部分の他方に受け部材を含む。ロック部材と受け部材は、弾性の結さつクリップが閉位置から開位置の方へ移動するときに互いに係合する。したがって、固定機構は、治療の間クリップを閉位置に保持することができる。
ロック部材および受け部材は、様々な形態を有しかつ様々な構造を含んでよい。一実施態様では、ロック部材は、弾性の結さつクリップが開位置から閉位置に移動するときに第2のクリップ部分の平面内でたわむ。一実施態様では、ロック部材は、弾性の結さつクリップが開位置から閉位置に移動してロック部材をたわます際にブラケット本体に接触するように構成された前面を有する。
一態様では、歯列矯正ブラケットを製造する際に使用される成形された未焼結体を製造する方法が提供される。この方法は、複数の焼結可能な粒子とバインダとを含む未焼結体すなわち素地を設けることを含む様々なプロセスステップを含んでよい。未焼結体は、たとえば歯列矯正ブラケットと一緒に使用できるパッドの形状を近似してよい。このパッドは、ブラケット本体と一体に形成しても、あるいはブラケット本体とは別個に形成し、後でブラケット本体に取り付けてもよい。レーザ光線などのエネルギー流を使用して、焼結可能な粒子の一部をパッドから除去し、複数のポストを形成してもよい。次に、ポストを変形させて、1つまたは複数の変形したポスト上に逃げ溝を形成してよい。逃げ溝は、パッドと歯面との結合を向上させることができる。ポストを変形させることは、様々な処理技術を介して実現してよい。一実施態様では、ポストを変形させることは、ポストの高さを低くすること、またはポストを軸方向に圧縮することを含む。また、焼結可能な粒子の一部を除去することによって、追加的に微小形状を形成してよい。焼結可能な粒子の一部を除去することによって、任意の単一のポストの何倍も大きくてよい少なくとも1つのペグを追加的に形成してよい。
添付の図面は、この明細書に組み込まれかつこの明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を示し、上記の本発明の概略的な説明および下記の詳細な説明と一緒に、本発明について説明するものである。
開位置にある弾性の結さつクリップが示されている、本発明の一実施形態による自己結さつ歯列矯正ブラケットの斜視図である。 閉位置にある結さつクリップが示されている、図1に示された自己結さつ歯列矯正ブラケットの斜視図である。 結さつクリップがブラケット本体から取り外された、図1に示された自己結さつ歯列矯正ブラケットの斜視図である。 図3に示されているブラケット本体の側面図である。 図4Aに示されている方向とは逆方向における、図3に示されているブラケット本体の他の側面図である。 図3に示されている結さつクリップの斜視図である。 図3に示されている結さつクリップの側面図である。 図3に示されている結さつクリップの平面図である。 切断線6−6に沿った、図2に示されている歯列矯正ブラケットの断面図であり、非装填状態の結さつクリップを示す図である。 切断線6−6に沿った、図2に示されている歯列矯正ブラケットの断面図であり、装填状態の結さつクリップを示す図である。 切断線7−7に沿った図1の自己結さつ歯列矯正ブラケットの断面斜視図である。 図7の円で囲んだ領域7Aの拡大図である。 結さつクリップが開位置と閉位置との間に位置している、図1の自己結さつ歯列矯正ブラケットの断面斜視図である。 切断線8−8に沿った図2の自己結さつ歯列矯正ブラケットの断面斜視図である。 図8の円で囲んだ領域8Aの拡大図である。 本発明の他の実施形態による自己結さつ歯列矯正ブラケットの斜視図である。 ブラケット本体から結さつクリップが取り外された、図9に示されている歯列矯正ブラケットの斜視図である。 図10に示されている歯列矯正ブラケットの側面図である。 図11Aに示されている方向とは逆方向における、図10に示されている歯列矯正ブラケットの側面図である。 切断線12−12に沿った、図10に示されている歯列矯正ブラケットの断面図である。 図10の結さつクリップの側面図である。 図10の結さつクリップの平面図である。 図10に示されている自己結さつ歯列矯正ブラケットの底面斜視図である。 開位置にある結さつクリップを示す、図9の自己結さつ歯列矯正ブラケットの断面斜視図である。 開位置と閉位置の間にある結さつクリップを示す、図9の自己結さつ歯列矯正ブラケットの断面斜視図である。 切断線17−17に沿った図9の自己結さつ歯列矯正ブラケットの断面斜視図である。 図17の円で囲んだ領域17Aの拡大図である。 本発明の他の実施形態による自己結さつ歯列矯正ブラケットの斜視図である。 切断線19−19に沿った図18の歯列矯正ブラケットの断面図である。 切断線20−20に沿った図18の歯列矯正ブラケットの断面図である。 図18に示されている歯列矯正ブラケットの側面図である。 図21Aに示されている方向とは逆方向における、図18に示されている歯列矯正ブラケットの側面図である。 本体から弾性の結さつクリップが取り外された、本発明の他の実施形態による自己結さつ歯列矯正ブラケットの斜視図である。 図22に示されているブラケット本体の側面図である。 図22に示されているブラケット本体の他の側面図である。 図22に示されているブラケット本体の他の側面図である。 図22に示されているブラケット本体の平面図である。 図22に示されているブラケット本体の他の平面図である。 図27の円で囲んだ領域27Aの拡大図であり、歯列矯正ブラケットの製造時に使用されるパターンを示す図である。 図27の円で囲んだ領域27Aの拡大図であり、歯列矯正ブラケットの製造時に使用されるパターンを示す他の図である。 本発明の一実施形態による治療後のパッドの拡大図を示す、走査電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態による治療後のパッドの拡大断面図を示すSEM顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態による治療後のパッドの拡大断面図を示すSEM顕微鏡写真である。 図29Aに示されている領域の拡大図を示すSEM顕微鏡写真である。 図29Bの微細構造の図である。 図22に示されているクリップの平面図である。
次に図面、特に図1および2を参照すると、歯列矯正ブラケット10は、ブラケット本体12と、ブラケット本体12に結合された可動閉鎖部材とを含む。一実施形態では、可動閉鎖部材は、ブラケット本体12に滑り可能に係合する弾性の結さつクリップ14を含んでよい。ブラケット本体12と結さつクリップ14は全体として、歯列矯正治療で使用される歯列矯正ブラケット10を形成する。歯列矯正ブラケット10を形成するために、ブラケット本体12には、歯に矯正力を加えるアーチワイヤ18(仮想線で示されている)を受けるように構成されたアーチワイヤ長穴16が含まれる。結さつクリップ14は、アーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16に挿入することのできる開位置(図1)と結さつクリップ14がアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に保持する閉位置(図2)との間を移動可能である。以下に詳しく記載されているように、結さつクリップ14を開位置および/または閉位置でブラケット本体12に固定することができる。
引き続き図1および2を参照すると、ブラケット10は、アーチワイヤ18がブラケット10から誤って外れるのを抑制する。しかし、本発明の実施形態によれば、アーチワイヤ18は、アーチワイヤ長穴16内を移動することができ、クリップ14に接触することができ、かつクリップ14の一部を移動させるかあるいは弛緩したたわまされていない状態から弾性的にたわますことができる。一例として、治療の初期段階において、臨床医は、アーチワイヤ長穴16を実質的に満杯にすることのないアーチワイヤを使用してよい。したがって、アーチワイヤ18を治療時にアーチワイヤ長穴16を満杯にしないように配置してよい。すなわち、アーチワイヤ18とアーチワイヤ長穴16の互いに向かい合う2つ以上の表面との間および/またはアーチワイヤ18とクリップ14との間に空間があってよい。このことは、「受動結さつ」と呼ばれることが多い。その結果、アーチワイヤ18は、治療中にブラケット10に対して近心および遠心方向に滑るかあるいは移動し、唇側および舌側方向ならびに/あるいは咬合および歯肉方向に移動することができる。アーチワイヤ18とブラケット10との間でかなりの移動が可能である。断面が丸くてよいかなり小さいアーチワイヤを使用して、治療の初期段階に歯を迅速に平滑化して位置合わせするのを容易にすることができることが理解されよう。
後の治療段階の間、1本または複数の歯の向きをより厳密に調節することが望ましい場合がある。この場合、クリップ14および/または任意の結さつ糸によってアーチワイヤ18を強制的にアーチワイヤ長穴16に接触した状態に保持するかあるいはアーチワイヤ長穴16全体に接触するように配置して、特定の歯に対する回転およびトルクを調節してもよい。このことは「能動結さつ」と呼ばれることが多い。臨床医は、丸形ではなく矩形であってよい比較的大きいアーチワイヤを使用してアーチワイヤ長穴16内の空間を実質的に満杯にしてよい。その結果、より大きなアーチワイヤが長穴16とクリップ14の両方に同時に接触し、臨床医がよりうまく歯の回転および歯に対するトルクを調節できるようにしてもよい。
そこで、本明細書では、他に特に指定のないかぎり、下顎の歯の唇側表面に取り付けられた基準フレームを使用して歯列矯正ブラケット10について説明する。したがって、ブラケット10について説明するのに使用される唇側、舌側、近心、遠心、咬合側、歯肉側などの語は、選択された基準フレームに対する語である。しかし、本発明の実施形態が、選択された基準フレームおよび記述語に限定されることはない。というのは、歯列矯正ブラケット10を口腔内の他の歯および他の向きに使用してよいからである。たとえば、ブラケット10を上顎の歯の唇側表面に結合しても、あるいは歯の舌側表面に結合してもよく、本発明の範囲内である。当業者には、基準フレームを変更すると、本明細書で使用する記述用語が直接当てはまらなくなる場合があることが認識されよう。それにもかかわらず、本発明の実施形態は、口腔内の位置および向きとは無関係になっており、歯列矯正ブラケットの実施形態を説明するのに使用される相対語は、図面において実施形態を明確に説明するための語であるに過ぎない。そのため、相対語の唇側、舌側、近心、遠心、咬合側、および歯肉側は、本発明の実施形態を特定の位置または向きに限定するものではまったくない。
ブラケット本体12は、患者の下顎に保持された歯の唇側表面に取り付けられると、舌側側面20と、咬合側側面22と、歯肉側側面24と、近心側面26と、遠心側面28と、唇側側面30とを有する。ブラケット本体12の舌側側面20は、適切な歯列矯正セメントまたは接着剤や、隣接する歯の周りのバンドなどによる任意の従来の方法で歯に固定されるように構成される。舌側側面20は、歯の表面に固定されるボンディングベースを形成するパッド32を備えてよい。パッド32を別個の部材または要素としてブラケット本体12に結合してよく、あるいはパッド32をブラケット本体12と一体に形成してよい。
結さつ時には、能動結さつであるかそれとも受動結さつであるかにかかわらず、ブラケット10がアーチワイヤ18に対して移動するのが望ましい場合、アーチワイヤ18が強制的にクリップ14に接触するかあるいはクリップ14を反対方向に引き、歯をその方向に移動させてよい。クリップ14は、このような荷重を受けたときに唇側にたわむかあるいは弾性的に屈曲してよい。一実施形態では、クリップ14がたわむ量は、それぞれ以下に詳しく説明する、クリップ14の剛性およびクリップ14とブラケット本体12との間の接触点によって制限される。要するに、ブラケット本体12は、クリップ14がたわむ量を制限するようにクリップ14を拘束する。クリップ14に対する荷重は、クリップ14とブラケット本体12との間の特定の接触点によって少なくとも部分的にブラケット本体12に伝達される。本発明の実施形態によれば、クリップ14がたわむ量は、クリップ14またはブラケット本体12の最悪の故障がないかぎり、アーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16から外すには不十分な量である。言い換えれば、たわみが最大であれば、クリップ14はアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に保持する。
上記のことを考慮して、ブラケット本体12はより具体的には、ベース面34と、ベース面34から唇側に突き出て、全体として、近心側面26から遠心側面28へ近心−遠心方向に延びるアーチワイヤ長穴16を画定する互いに向かい合う一対の長穴面36、38とを含む。一実施形態では、長穴面36、38およびベース面34は、ブラケット本体12の材料内に実質的に密封されるかあるいは埋め込まれる。しかし、アーチワイヤ長穴16の磨耗特性を向上させるためかあるいは他の理由で、インサート(不図示)またはライナ(不図示)によって1つまたは複数の長穴面34、36、および38を画定することができることが理解されよう。ブラケット本体12のアーチワイヤ長穴16を、歯列矯正アーチワイヤ18を任意の適切な方法で受けるように構成してよい。クリップ14は、ベース面34と向かい合ってアーチワイヤ長穴16を閉鎖するように位置し、治療中にアーチワイヤ18が誤って外れるのを防止する。しかし、治療が進んだときに長穴16内の1つのアーチワイヤを取り外して他のアーチワイヤを挿入するのを可能にするように、クリップ14を意図的に移動させてもよい。ブラケット本体12を、金属射出成形(MIM)、セラミック射出成形(CIM)、その他の射出成形、または鋳造技術を限定としてではなく一例として含むいくつかの市販のプロセスのいずれかによって、金属または合金またはセラミック材料から作ってもよいことが理解されよう。
次に図1〜4Bを参照すると、例示的な一実施形態では、ブラケット本体12は、歯肉側本体部分40と咬合側本体部分42とを含む。図示のように、本体部分40、42は、アーチワイヤ長穴16によって分離されており、それぞれ、上述のように1つまたは複数の長穴面34、36、38を画定することができる。図示の例示的な実施形態では、本体部分40、42は全体として、本体部分を貫通して延び、かつブラケット本体12の咬合側側面および歯肉側側面22、24のそれぞれに対して開放する舌側長穴48(図4Aおよび4Bに最もよく示されている)を含む。舌側長穴48は、その一部が、クリップ14を閉位置と開位置との間を移動する際に案内するように構成されている。
図示の例示的な実施形態では、舌側長穴48は、アーチワイヤ長穴16のベース面34の舌側に位置し、咬合側側面および歯肉側側面22、24に対して開放されている。しかし、舌側長穴48の唇側−舌側位置がこのように制限されないことが理解されよう。図示の実施形態では、長穴48の舌側位置は、図3に最もよく示されているように、長穴48がアーチワイヤ長穴16に交差するかあるいはアーチワイヤ長穴16に対して開放されるように配置されている。この構成では、ベース面34を近心ベース面部分および遠心ベース面部分34a、34bに分割してよい。したがって、クリップ14は、ベース面部分34a、34bの近くに位置させてよく、かつクリップ14が閉位置にあるときにベース面34の一部を形成してよい。しかし、この構成では示されているが、舌側長穴48は、アーチワイヤ長穴16に対して開放することなく四方をブラケット本体12によって形成することができるため、アーチワイヤ長穴16に交差する構成にもアーチワイヤ長穴16に対して開放される構成にも制限されない。また、長穴48の唇側位置は、口内の、ブラケット10が使用される位置に応じて異なってよい。一例として、舌側長穴48は、長穴48の1つまたは複数の側面がパッド32によって画定されるようにパッド32によって少なくとも部分的に画定してよい。長穴48はさらに、パッド32に対してある角度に延び、咬合側側面および歯肉側側面22、24のうちの一方に隣接してでパッド32に交差してよい。したがって、長穴48の一部をパッド32に形成してよい。この向きでは、舌側クリップ14を歯肉側方向に移動させてアーチワイヤ長穴16に接近させるのに十分な隙間を、ブラケット10と周囲の組織との間に設けることができる。
また、図4Aおよび4Bを参照すると、長穴48は咬合側側面22と歯肉側側面24の両方に対して開放されるように図示されているが、舌側長穴48が、本体12の一部しか貫通していないが、クリップ14を開位置と閉位置との間で十分に案内することができることが理解されよう。この場合、舌側長穴48は、咬合側本体部分42を貫通して咬合側側面22に対して開放されなくてもよい。そればかりか、長穴48は、閉鎖された咬合側端部を有し、すなわち止まり穴であってよく、あるいは図示のように部分的に閉鎖してよい。ブラケット本体12は、クリップ14の対応する断面よりもわずかに大きくなるように舌側長穴48の各側面を画定することができる。長穴48とクリップ14との間の隙間は、クリップ14が、開放移動および閉鎖移動時などの使用時に長穴48内で動けなくなるのを防止するように構成することができる。
図1、3、および4Aを参照すると、歯肉側本体部分40は、唇側長穴50をさらに含む。唇側長穴50は、図3に示されているように、上述の舌側長穴48の唇側に位置し、アーチワイヤ長穴16に対して開放されている。舌側長穴および唇側長穴48、50は、クリップ14が開位置と閉位置との間を移動する際にクリップ14を個々にあるいは協働して案内することができる。唇側長穴50は、概ね歯肉側−咬合側方向に延びる支持面52によって部分的に画定され、全体的に歯面から離れる方向を向き、アーチワイヤ長穴16の幅に近い幅を有する。支持面52は、平面状表面を含んでも含まなくてもよい。たとえば、支持面は、クリップ14の任意の同様な曲率に対処するように近心−遠心軸の周りで歯肉側方向に凸状に湾曲した表面であってよい。支持面52は、その最も咬合側の縁部の所でアーチワイヤ長穴16に対して開放されてよい。
図3および4Aに示されているように、互いに向かい合う一対のガイド54、56が、支持面52によって保持され、それぞれ、ブラケット本体12の近心側面および遠心側面26、28上に位置している。近心−遠心ブリッジ58が、近心ガイド54から遠心ガイド56まで延び、支持面52の唇側を向いた表面部分のような支持面52の少なくとも一部を越えて突き出ている。一実施形態では、近心−遠心ブリッジ58、ガイド54および56、および支持面52は全体として唇側長穴50を形成し、舌側長穴48と一緒に結さつクリップ14をブラケット本体12内において支持し案内する。上述のように、ブラケット本体12は、クリップ14が外側にたわむのを制限する。クリップ14が外側にたわむのを制限するために、近心−遠心ブリッジ58はクリップ14と協働してクリップ14が唇側に移動するのを制限し、アーチワイヤ18がアーチワイヤ長穴16から誤って外れるのを妨げる。ブリッジ56はガイド54、56間にわたるように示されているが、ブリッジは一部の距離にのみわたり、本明細書に記載されるようなブリッジ56の機能を保持してよいため、本発明の実施形態が、ガイド同士の間の全体にわたるブリッジに限定されないことが理解されよう。
この場合にはまた、図2および4Aに示されている例示的な実施形態において、ブラケット本体12を、支持面52から歯肉側方向に延びるクリップストップ60を有するように構成してよい。図4Aに最もよく示されているように、クリップストップ60は、支持面52の唇側を向いた部分のレベルまたはそれに近いレベルである唇側−舌側レベルの所で遠心ガイド56から近心方向に延びてよい。以下に詳しく説明するように、クリップ14は、外側にたわんだときにクリップストップ60に接触してよい。クリップストップ60が近心ガイド54から延びてよく、以下に記載されているように、支持面52に対するクリップストップ60の相対高さとして、クリップ14が所定量だけたわんだ後でクリップ14に接触するような高さを事前に選択してよいことが理解されよう。
図3および5A〜5Cに示されているようなクリップ14の例示的な実施形態を参照すると、歯肉側クリップ部分66から概ね同じ方向に延びる舌側クリップ部分62および唇側クリップ部分64を有する。唇側クリップ部分64は、自由端部または最も咬合側の端部68の所で終わっている。図示の例示的な実施形態では、クリップ14は概ねU字形の構成を有する(図5B)。しかし、クリップ14が、アーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に保持するのに十分な他の構成または形状を有してよく、クリップ14の構成が概ねU字形の構成に限定されないことが理解されよう。上述のように、ブラケット本体12と結さつクリップ14は、互いに接触して荷重を結さつクリップ14からブラケット本体12に伝達し、アーチワイヤ18が誤ってアーチワイヤ長穴16から外れる可能性を低くするように構成してよい。
この場合、図3および5Aに示された結さつクリップ14の例示的な実施形態に示されているように、クリップ14の周囲は唇側クリップ部分64におけるショルダ70を形成する。そのため、図5Cに最もよく示されているように、この実施形態における唇側クリップ部分64の近心−遠心幅は、舌側クリップ部分62の近心−遠心幅よりも大きくてよく、ショルダ70が幅の差の大部分に相当している。舌側クリップ部分64の中心線は、クリップ14の中心線からずれていてよい。ショルダ70は、後述のようにブラケット本体12に挿入されるときに、ブラケット本体12に対してほぼ接触する関係であってよく、具体的にはクリップストップ60の近くに位置してよい。ただし、クリップ60が閉位置に移動する際、最初は接触が生じなくてもよい。ショルダ70は唇側クリップ部分64に形成されるように記載されているが、ショルダ70が、歯肉側クリップ部分66に形成され、以下に説明するのと同様に作用してよいことが理解されよう。
一実施形態では、結さつクリップ14は超弾性合金で作られる。当技術分野で公知のように、超弾性合金は、永久的に変形することはなく、非常に顕著な程度に、たとえば最大で約10%変形することができる。有利なことに、ステンレススチールのクリップであれば、永久的に変形するかあるいはたわみ、したがって最終的に破断する場合に、超弾性合金で作られたクリップを使用してよい。適切な超弾性合金には、銅やクロムのような他の金属を少量添加することによってさらに合金化してよいニッケルチタン合金が含まれる。たとえば、適切な1つの化学的組成は、約49.1wt%のニッケル(Ni)、約44.6wt%のチタン(Ti)、約5.9wt%の銅(Cu)、および約0.2wt%から約0.3wt%のクロム(Cr)と、他の少量の不純物である。
さらに、一実施形態では、超弾性合金クリップの剛性は、クリップ14の長さに応じて異なってよい。公知のように、剛性の違いは、加熱処理を施すか施さないかにかかわらずクリップ14の金属の冷間加工レベルが異なることによって生じる。一例として、歯肉側クリップ部分66が最高の剛性を有し、舌側クリップ部分62と唇側クリップ部分64が概ね等しい剛性を有してよい。しかし、クリップ14に沿った上記とは異なる剛性の違いまたは一定の剛性でも十分であることが理解されよう。一実施形態では、クリップ14の剛性と、ブラケット本体12との耐荷重接触位置とが一緒に作用して、ブラケット10内のアーチワイヤ18の移動を過度に制限せずにアーチワイヤ18がブラケット10から外れるのを制限することができる。
図1では、クリップ14が開位置にあり、唇側クリップ部分64はアーチワイヤ長穴16から十分に離れており、アーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16に配置するのが可能である。開位置では、唇側クリップ部分64は、アーチワイヤ長穴16の近くで支持面52に接触してよい。その結果、歯肉クリップ部分66はブラケット本体12の歯肉側側面24から突き出ることができる。
治療時には、アーチワイヤ18がアーチワイヤ長穴16内に配置された後、図2に示されているように、クリップ14を閉位置に移動させることができる。クリップ14を閉位置に移動させるには、舌側クリップ部分および唇側クリップ部分62、64をそれぞれ、ブラケット本体12の舌側長穴および唇側長穴48、50内に滑り込ませることができる。唇側クリップ部分64は、アーチワイヤ長穴16を覆い、アーチワイヤ18を長穴16内に保持するのに十分な程度にベース面34に接近する。クリップ14が閉位置に移動すると、唇側クリップ部分64は、図2および6Aに示されているように、近心−遠心ブリッジ58とほぼ接触する関係に位置する。言い換えれば、クリップ14は、非装填状態すなわち非たわみ状態であるときはブリッジ58に接触しなくてよく、クリップ14が非装填状態であるときにはクリップ14と近心−遠心ブリッジ58との間に隙間があってよい(図6Aに最もよく示されている)。しかし、クリップ14は、唇側クリップ部分64が唇側にたわむかあるいは移動した場合にブリッジ58に接触する位置に配置されてもよい(図6Bに示されている)。したがって、非装填時には、クリップ14を近心−遠心ブリッジ58にもクリップストップ60にも接触しないようにブラケット本体12内で歯肉側および咬合側に移動させることができる。このことは、たとえばクリップ14の初期閉鎖時に行うことができる。しかし、クリップ14は、開位置と閉位置との間を移動する際に、支持面52上を滑り、かつ舌側長穴48の1つまたは複数の表面に接触してよい。この場合、クリップ14は、たわんでブラケット本体12を貫通することができ、これに伴って、貫通する間に、ブラケット本体12の他の表面に接触してよい。
クリップ14の機能について、以下にブラケット本体12に関連して詳しく説明する。閉位置にあるクリップ14を示す図6Aおよび6Bに示されているように、唇側クリップ部分64はベース面34と向かい合うことができ、歯肉側クリップ部分66は支持面52に当接するかあるいは隣接することができ、舌側クリップ部分62は舌側長穴48を占有する。アーチワイヤ長穴16の残りの側面36、38は、唇側クリップ部分64と一緒にアーチワイヤ18を囲んでアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に拘束する。
上述のように、クリップ14がアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に拘束する閉位置にあるとき、アーチワイヤ18に対する力によって、アーチワイヤ18は唇側クリップ部分64を押すかあるいは反対方向に引くことができる。図6Aおよび6Bに示されているように、アーチワイヤ18がクリップ14に十分な大きさの力を加えると、クリップ14がたわむ。図6Aに示されているように、最初、クリップ14とブラケット本体12との間にある程度の隙間がある場合、クリップ14に対する力によって、クリップ14が十分にたわむことができ、それによって、図6Bに示されているように、クリップ14が隙間を横切り、近心−遠心ブリッジ58に接触する。クリップ14とブラケット本体12がこのように接触することによって、アーチワイヤ18がアーチワイヤ長穴16内をさらに唇側に移動することを止めることができる。この場合、近心−遠心ブリッジ58は、クリップ14の唇側への移動および唇側へのたわみの大きさを制限し、荷重伝達接触点を形成する。クリップ14と近心−遠心ブリッジ58との接触が、舌側長穴48内の舌側クリップ部分62とブラケット本体12との任意の接触および/または歯肉側クリップ部分66とブラケット本体12との接触と一緒に生じてよいことが部理解されよう。
上記のような唇側クリップ部分64とブリッジ58との接触の代わりにあるいは該接触に加えて、唇側クリップ部分64および/または歯肉側クリップ部分66が他の位置でブラケット本体12に接触し、唇側クリップ部分64が唇側に移動するのを制限してよい。たとえば、引き続き図6Aを参照すると、一実施形態では、ショルダ70がクリップストップ60に接触する位置に配置されてよい。ただし、最初は隙間によってショルダ70がクリップストップ60から分離される。そのため、クリップ14が弛緩状態すなわち非装填状態であるとき、ショルダ70はクリップストップ60に接触しないことがあるが、図6Bに示されているように、唇側クリップ部分64がたわむと、ショルダ70は舌側に移動するか、曲がるか、あるいはたわんでクリップストップ60に接触することができる。言い換えれば、唇側クリップストップ部64が唇側に移動すると、ショルダ70は逆方向に移動し、すなわち舌側に移動する。ショルダ70が十分に舌側に移動すると、クリップストップ60との荷重伝達接触点が形成される。
クリップ14は、クリップ14が受ける所定の荷重条件の下で、たとえば近心−遠心ブリッジ58および/またはクリップストップ60を介してブラケット本体12に選択的に接触し、したがって、これらの荷重条件の下でブラケット本体12にこの荷重の一部を伝達するように構成してよい。
一実施形態では、アーチワイヤ18が唇側に移動し、唇側クリップ部分64を十分な程度にたわませると、唇側クリップ部分64は唇側に移動して近心−遠心ブリッジ58に接触し、支点を形成する。この場合、唇側クリップ部分64がさらに唇側に移動しようとすると、クリップ14がたわみ、たとえば歯肉側クリップ部分66がたわむことによって該移動に抵抗することができる。すなわち、クリップ14の剛性は、唇側クリップ部分64が近心−遠心ブリッジ58に接触した後たわみにさらに抵抗してもよい。唇側クリップ部分64が引き続き唇側に移動した場合、ショルダ70が唇側に移動してクリップストップ60に接触する。クリップ14とブラケット本体12との間の荷重の伝達は、上記の位置の各々において両方向に生じ、それによって唇側クリップ部分64がさらに移動するのが制限されるかあるいは唇側クリップ部分64が拘束される。上述のように、近心−遠心ブリッジ58とクリップ14との接触に加えてあるいはその代わりにショルダ70とクリップストップ60との接触が生じることが理解されよう。しかし、図6Bに最もよく示されているように、ブラケット本体12のどの部分も、唇側クリップ部分64の最も咬合側の端部68を拘束して外側への移動を制限することはない。したがって、本発明の例示的な実施形態では、唇側クリップ部分64は、アーチワイヤ18がクリップ14をたわませるかあるいは外側に曲げたときにアーチワイヤ長穴16の歯肉側でブラケット本体12に接触するに過ぎない。
また、治療時には、近心−遠心ブリッジ58が唇側クリップ部分64の少なくとも一部を覆うことが理解されよう。この例示的な実施形態では、ブリッジ58が歯肉側本体部分40の最も唇側の表面を画定する。図2を参照すると、通常の咀嚼時には、通過する口腔組織、食べ物、および/または他の物質が、結さつクリップ14の少なくとも覆われた部分には接触せずにブリッジ58に接触しかつブリッジ58に沿って滑ってよい。このように、ブリッジ58は、周囲の組織または他の物質との接触によるクリップ14の循環的な咬合側−歯肉側移動を低減させるかあるいは無くすことができる。
また、一実施形態では、図1および3を参照すると、支持面52は、アーチワイヤ長穴16に対して開放されずに、バー溝72と交差している。バー溝72は、歯肉側本体部分40に形成された切り欠きまたはキャビティであり、支持面52と長穴面36との見掛けの交差部の全幅にわたって延びてよい。バー溝72は、唇側クリップ部分64の最も咬合側の端部68によって唇側長穴50内を押される異物または磨耗くずを拘束し、それによって、くずがアーチワイヤ長穴16に進入するのを抑制または制限するように構成してよい。バー溝72は、支持面52の全長にわたって延びるように示されているが、そのように限定されるわけではないことが理解されよう。一例として、バー溝72は、支持面52の1つまたは複数の部分あるいは長さの一部に沿って延びてよく、かつ長穴面38の最も唇側の縁部のようなアーチワイヤ長穴16の他の最も唇側の縁部の所に追加的に組み込んでもよい。
また、図1および3を参照すると、図示の例示的な実施形態では、咬合側本体部分42は、クリップ14が閉位置に移動したときに唇側クリップ部分64の最も咬合側の端部68を受けるクリップレセプタクル76を含む。したがって、最も咬合側の端部68は、長穴面38を越えて咬合側に延びている。クリップレセプタクル76は、唇側クリップ部分64がアーチワイヤ18によって近心方向と遠心方向のいずれかに押された場合に唇側クリップ部分64の動きを制限または安定化することのできる近心ガイドおよび遠心ガイド78、80を含む。
引き続き図1および3を参照すると、クリップレセプタクル76はアーチワイヤ長穴16を横切って支持面52と向かい合っている。したがって、結さつクリップ14は、唇側長穴48を通過してクリップレセプタクル76に入り、アーチワイヤ長穴16を閉鎖する。上述のように、クリップレセプタクル76はブラケット本体12の唇側側面30に対して開放されている。例示的な実施形態では、クリップレセプタクル76は、唇側クリップ部分64が唇側に移動するのを制限することはない。このことは図6Bに最もよく示されており、すなわち、唇側クリップ部分64の最も咬合側の端部68が、唇側に咬合側本体部分42の唇側側面30の近くまであるいは唇側側面30を越えた位置までたわんでよいことが示されている。さらに、本発明の実施形態は、唇側クリップ部分64の最も咬合側の端部68の唇側への移動を拘束することも制限することもない咬合側本体部分を含んでよい。むしろ、以下に詳しく説明するように、唇側クリップ部分64の唇側への移動は、クリップ14の非自由端部と歯肉側本体部分40との間の1つまたは複数の接触点によってのみ制限される。
図1および3に示されている一実施形態では、咬合側本体部分42は、上述のクリップレセプタクル76の結さつ面に対して開放されかつ該結さつ面と同一平面内に位置する器具レセプタクル84をさらに含む。器具レセプタクル84は、クリップ14を閉位置から開くかあるいは押し出すのに使用される器具(不図示)を受けるように構成される。この場合、器具レセプタクル84は、長手方向軸が概ね近心−遠心方向に向けられた矩形状または他の楕円形状を有してよい。以下に詳しく説明するように、器具レセプタクル84の形状と同様の形状を有する器具を挿入し、器具を捩じり、それによって器具の一方の側面を器具レセプタクル84の周囲壁に当て、器具の他方の側面をクリップ14の最も咬合側の端部68に当ててクリップ14を歯肉側方向に移動させることによってクリップ14を開いてよい。このような器具および器具レセプタクルは、共通に所有される、開示が引用によって本明細書に全体的に組み込まれる米国特許出願第2009/0004618号および2009/0004617号で開示されている。
やはり図1、2、および3に示されているように、器具レセプタクル84は、器具レセプタクル84を近心レセプタクルおよび遠心レセプタクル84a、84bのそれぞれに分割する内部リブ86をさらに含んでよい。この例では、2つのプロング、すなわち近心レセプタクルおよび遠心レセプタクル84a、84bの各々について1つのプロングを有する器具(不図示)を器具レセプタクル84に挿入してよく、直前に説明したような捩じり動作によってクリップ14を開位置に移動させる。
さらに、図1を参照すると、本体部分40、42は、それぞれ、当技術分野で公知のように1本または複数の結合糸(不図示)を受ける、互いに向かい合う咬合側結合ウイングおよび歯肉側結合ウイング44、46を含んでよい。クリップ14に加えてあるいはクリップ14の代わりに結さつ糸を使用して、アーチワイヤ18をブラケット10に固定してよい。たとえば、臨床医が、クリップ14を閉位置に移動させるのに十分な状態にアーチワイヤ18を長穴16内に配置することができない場合、結さつ糸を使用してブラケット本体12を結合ウイング44、46を介してアーチワイヤ18に固定し、後でアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に配置することができる位置に歯を移動させることが必要になる場合がある。本明細書ではウイング44、46および結さつ糸について説明しているが、本発明の実施形態が結合ウイングを有するこのようなブラケットのみに限定されないことが理解されよう。
一実施形態では、図1、4A、および4Bに示されているように、ブラケット10は、ブラケット10上に視覚的に識別できるフィーチャを形成する隆起した領域またはくぼんだ領域を表面上に備えてよい1つまたは複数の位置合わせマーカ86a、86b、86c、86d、86eを含む。位置合わせマーカ86a〜86eは、歯の上にブラケット10を揃えるのを容易にする近心および遠心方法ならびに歯肉側および咬合側方向の各々におけるブラケット10の中心線を示してよい。歯の上にブラケット10を揃えるのを容易にするために、位置合わせマーカ86a〜86eをブラケット本体12の目に見える部分上に位置させてよい。一例として、図1に示されているように、位置合わせマーカをパッド32の目に見える部分上に位置させ、ブラケット本体12の近心側面および遠心側面26、28に隣接するように位置させ、パッド32の目に見える表面上に、ブラケット本体12の咬合側側面および歯肉側側面22、24に隣接するように位置させ、ならびに/あるいはブラケット本体12の唇側側面30上に位置させてよい。
また、この場合、図2および3を参照すると、クリップ14は唇側クリップ部分64に穴または孔88を含んでよい。臨床医は、孔88を使用してブラケット10を歯の上に位置させることができ、この場合、位置合わせマーカ86a〜86eを使用してもしなくてもよい。特に、孔88はブラケット10を歯の中心に揃えるのを助けることができる。孔88は、位置合わせマーカ86a〜86eと一緒に、歯に対するブラケット10の位置合わせをさらに向上させることができる。
図2、4A、および4Bを参照すると、一実施形態では、ブラケット本体12は、垂直方向または歯肉側−咬合側方向に延びるボア90をさらに含む。一般に、ボア90は、アーチワイヤ長穴16を横切り、歯列矯正治療を助ける、ばねやフックのような交換可能な補助装置92(図2に示されている)を滑り可能に受けるように構成される。一例として、ボア90の断面形状は矩形であってよいが、ボア90が他の構成を有してよいことが理解されよう。ボア90をブラケット本体12の咬合側側面22および歯肉側側面24の両方に対して開放し、かつ舌側長穴48の近心方向または遠心方向に配置してよい。図示の実施形態では、ボア90はアーチワイヤ長穴16の舌側に配置される。
また、ブラケット10が配置される歯の位置に応じて、ボア90をパッド32の一部によって形成してよいことが理解されよう。たとえば、パッド32は、ボア90に挿入される任意の補助装置を特定の向きに定めるようにボア90の舌側側面または少なくともその一部を形成してもよい。この場合、図示されていないが、ボア90は、ブラケット本体12の咬合側側面22と歯肉側側面24との間を、パッド32に対して、ボア90の歯肉側端部および咬合側端部のうちの一方がパッド32の一部によって画定されるような角度に延びてよい。しかし、特定の用途に応じて、以下に詳しく説明するように、ボア90を完全にブラケット本体12内に含めてよい。
上述のように、本発明の一実施形態では、クリップ14を閉位置および/または開位置に固定してよい。その結果、アーチワイヤ18の使用時および/またはアーチワイヤ18をブラケット長穴16から取り外したりブラケット長穴16に設置したりする際にクリップ14がブラケット本体12から分離されるのを防止することができる。図7、7A、7B、8、および8Aに示されているように、一実施形態では、歯列矯正ブラケット10は、結さつクリップ14を少なくとも閉位置に固定する固定機構94を含む。図示の例示的な実施形態では、固定機構94は、舌側クリップ部分62の一部を形成するロック部材96と、咬合側本体部分42によって画定される受け部材98とを含む。ロック部材96は、治療時に受け部材98と協働してクリップ14を閉位置に固定する。この実施形態では、結さつクリップ14と組み合わされたロック部材96およびブラケット本体12と組み合わされた受け部材98について説明しているが、当業者には本発明がそのように限定されないことに留意されたい。たとえば、図示されていないが、ロック部材96をブラケット本体12に結合し、受け部材98を結さつクリップ14内に形成してもよい。
本発明の一実施形態では、図5A〜5Cを参照すると、ロック部材96は、結さつクリップ14の舌側クリップ部分62の少なくとも一部を形成する。一例として、ロック部材96は、フック形状またはL字形の突起100と位置合わせ部材106とを含んでよい。L字形突起100および位置合わせ部材106は、二股の舌側クリップ部分64を視覚的に形成してよい。L字形突起100および位置合わせ部材106は、図7A〜8に最もよく示されているブラケット本体12の舌側長穴48に滑り可能に係合する。L字形突起100は、第1のレグ102と、第1のレグ102から第1のレグに対してある横方向角度に突き出る第2のレグ104とを有する。また、一実施形態では、第1のレグ102と第2のレグ104はどちらも、位置合わせ部材106と同一平面上に位置し、V字形切り欠き107によって位置合わせ部材106から分離されている。第1のレグおよび第2のレグ102、104の向きが図示されている向きと異なってよいことが理解されよう。たとえば、第2のレグ104は、舌側クリップ部分62の平面から突き出てよい。
図示の例示的な実施形態では、図5Cを参照すると、第1のレグ102は、歯肉クリップ部分66から概ね咬合側に突き出ている。第2のレグ104は、第1のレグ102から概ね垂直に延びている。第2のレグ104の先端は、後部当接面110と向かい合う前部カム面108を画定している。図7Aに示されているように、前部カム面108は、概ねクリップ14が閉位置の方へ移動する方向を向き、前部カム面108については、開位置から閉位置へのクリップ14の移動に関連して詳しく説明する。
図7および7Aに示されているように、受け部材98は舌側長穴48の一部を画定してよい。上述のように、受け部材98は、クリップ14、特にロック部材96と協働してクリップ14を少なくとも閉位置に固定する。一実施形態では、受け部材98は、クリップ14が閉位置の方へ移動するときにロック部材96の滑り経路内に位置する第1のカム面112と、クリップ14の滑り方向に概ね平行に向けられた第2の表面114と、クリップ14の滑り経路に対して横方向に向けられ、概ね第1のカム面112とは逆方向を向いた第3の表面116とによって画定される。
図1、7、および7Aを参照すると、クリップ14が開位置にあり、閉位置の方へ移動するときにクリップ14をブラケット本体12に対して咬合側方向に移動させるのに力が必要になることがある。これは、ロック部材96と受け部材98が接触すること、具体的には、前部カム面108と第1のカム面112が接触することによるものである。図示の例示的な実施形態では、クリップ14を移動させるのに必要な力は、ロック部材96を受け部材98に係合させ受け部材98の周りでたわませるのに十分な力でなければならない。具体的には、第2のレグ104が受け部材98を通過できるようにL字形突起100が近心方向にたわまなければならない。この場合、図7、7A、および7Bを参照すると、前部カム面108は第1のカム面112に接触する。十分な力をかけると、前部カム面108が第1のカム面112に沿って滑り、それによって、突起100が近心方向にたわむ(たわみ方向は図7Bでは矢印113によって示されている)。限定ではなく一例として、前部カム面108および第1のカム面112を、第2のレグ104が滑り移動し、かつ第1のレグ102が弾性的に曲がるのを容易にし、第2のレグ104が咬合側に滑って第1のカム面112を越えるのを可能にするように成形してよい。
図示の例示的な実施形態では、前部カム面108が第1のカム面112上を滑って通過した後、図7Bに示されているように、第2のレグ104の先端が第2の表面114に接触しかつ第2の表面114を滑って横切ることができる。第2のレグ104の先端が第2の表面114の咬合側−歯肉側長さを横切った後、第1のレグ102が応力の作用しない元の状態の方へ戻り、それによって第2のレグ104を受け部材98に対して干渉位置に位置させる。
図8および8Aを参照すると、クリップ14が閉位置にあるとき、後部当接面110が第3の表面116に隣接する。この向きでは、この位置でクリップ14とブラケット本体12との間に干渉ばめが生じる。したがって、クリップ14が閉位置にあるとき、クリップ14を開位置の方へ押すクリップ14に対する力は、ロック部材96と受け部材98との干渉ばめによる抵抗を受ける。しかし、突起100は、クリップ14が閉位置にあるときに必ずしも受け部材98のいずれかの部分に接触しなくてもよい。突起100は、クリップ14が閉位置にあるときに弛緩状態であってよい。したがって、有利なことに、クリップ14は、長期的に応力にさらされることによる疲労のために破断する可能性が低い。突起100に対する応力は、クリップ14を開位置の方へ移動させる力によって生じる応力だけであってよい。
治療時には、臨床医が、固定機構94を操作して解放し、クリップ14を開位置に滑らせてアーチワイヤ長穴16を利用できるようにすることが可能であることが望ましい。閉位置にあるクリップ14を示す図2、8、および8Aを参照すると、クリップ14を開位置に移動させるには、器具を器具レセプタクル84に挿入することができる(図2)。器具を介してクリップ14にトルクをかけると、第2のレグ104の後部当接面110が押されて受け部材98に接触する。第1のレグ102を位置合わせ部材106の方へたわませるのに十分な力を加えると、後部当接面110が第3の表面116を滑って横切り、一方、突起100が、図7Bに示されているように開位置から閉位置の方へ移動する際に生じる動きと同様であるが逆の動きで屈曲し滑る。
一実施形態では、突起100は、位置合わせ部材106と同じ平面内でたわむ。第1のレグ102のたわみがある大きさに達すると、第2のレグ104が受け部材98上を滑って通過し、それによって固定機構94を解放する。固定部材94を解放するのに必要な力の強さが、治療時に通常生じる力よりも大きい場合があることが理解されよう。一実施形態では、後部当接面110および/または第3の表面116の形状は、後部当接面110が器具によって加えられる事前に選択された大きさのトルクで第3の表面116を通過できるように構成してよい。一例として、第3の表面116はわずかな曲率または丸みを有してよく、それによって、第3の表面の一部がクリップ14の滑り移動に対して垂直でない角度に向けられる。さらに、第3の表面116および後部当接面110の形状を調整することによって開放力を事前に定めてよいことが理解されよう。いずれの場合も、クリップ14は、臨床医による意図的な操作を受けないかぎり閉位置に配置されたままであってよい。他の例として、図5Cに示されているように、1つの後面110と前部カム面108の形状は異なってもよい。したがって、クリップ14を開くのに必要な力と閉じるのに必要な力も異なってよい。そのため、あるいは器具の助けでクリップ14を開く場合と異なり、臨床医は、第2のレグ104が受け部材98から離れ所定の位置に配置されて上述の干渉ばめを形成するまで歯肉クリップ部分66を手で押すことによってクリップ14を閉じることができる。
図7〜8に示されているように、受け部材98をブラケット本体12内に密閉してよい。また、第3の表面116は、図示のように、ブラケット本体12の咬合側本体部分42における咬合側側面22の切り欠きまたはくぼみに位置してよい。ただし、第3の表面116は、くぼみ内ではなく、単に結合ウイング44の舌側に位置する。図8に示されているようにクリップ14が閉位置にあるとき、第2のレグ104はブラケット本体12の咬合側側面22から手を届かせられなくてもよい。したがって、臨床医は、クリップ14を開位置の方へ移動させるときに器具を用いてクリップ14を操作することが必要になるような、固定機構94の一部への直接的な対処を施さなくてよい。この構成は、クリップ14が治療中に意図的ではなしに開く確率を低くすることができる。
トルクをかけてクリップ14を移動させる間、位置合わせ部材106は、舌側長穴または唇側長穴48、50内のクリップ14の捩じれを抑制するかあるいは無くすことができる。この場合、位置合わせ部材106は、図7Bに示されているように、滑って舌側長穴48の一部、特に舌側長穴48の近心壁に接触してよい。
本発明の一実施形態では、クリップ14が開位置にある図7を参照すると、ブラケット本体12は第2の受け部材120を含む。上述の受け部材98と同様に、第2の受け部材120は、クリップ14の一部との干渉ばめを形成する。一例として、図7および7Aに示されているように、第2の受け部材120は、第2のレグ104の後部当接面110との干渉ばめを形成してよい。第2の受け部120は、治療時およびアーチワイヤをブラケット本体12から取り外したりブラケット本体12に設置したりする際に、クリップ14が誤ってブラケット本体12から外れる確率を低くするかあるいは無くすように位置させてもよい。
本発明の他の実施形態により、同じ参照符号が図1および2と同じ形状を指す図9および10を参照すると、ブラケット200は、ブラケット本体202とブラケット本体202に滑り可能に収容された弾性の結さつクリップ204とを含む。クリップ204は、アーチワイヤ18が歯列矯正治療時に誤ってブラケット200から外れるのを実質的に防止される閉位置(図9)を有し、かつアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16に挿入したりアーチワイヤ長穴16から取り外したりすることができる開位置(不図示)を有する。ブラケット本体202およびクリップ204は、たとえば図1に示されているブラケット10の実施形態とはいくつかの点で異なる。しかし、以下に詳しく記載されているように、ブラケット200は、ブラケット10と同様にアーチワイヤをアーチワイヤ長穴16内に保持することができてよい。クリップ204は、少なくとも閉位置においてブラケット本体202内に固定可能またはロック可能であってよい。
上記の目的およびその他の目的のために、図9および11Aに示されている例示的な実施形態を参照すると、ブラケット本体202は、歯肉側本体部分40および咬合側本体部分42を通過することによってブラケット本体202を貫通して延びてよい舌側長穴206を含む。舌側長穴206は、舌側長穴48が上述のクリップ14を受けるのと同様に結さつクリップ204の一部を滑り可能に受けるように構成されている。しかし、図示の例示的な実施形態では、支持体208が舌側長穴206の舌側表面から長穴206の少なくとも唇側表面まで延び、それによって長穴206を近心部分および遠心部分206a、206b(図11Aに示されている)に分割してよい。この実施形態では、クリップ204は、長穴部分206a、206bに滑り可能に係合するように構成されている。
図11Aを参照すると、ブラケット本体202は唇側長穴210も含む。唇側長穴210は、舌側長穴206の唇側に位置し、歯肉側本体部分40を貫通して咬合側−歯肉側方向に延び、アーチワイヤ長穴16に対して開放されている。唇側長穴210は、図1に示されている本発明の実施形態と同様に、(図10に示されているように)最も唇側の縁部で長穴表面36に交差してよい支持面212によって一部が画定されている。図示の実施形態では、支持体208は、舌側長穴206の舌側表面から延び、唇側方向において支持面212とほぼ同一平面内に位置する。支持面212は、全体的に歯肉側方向に向けられ、クリップ204のU字形状と協働する凸状部分を有してもよい。
例示的な実施形態では、ブラケット本体202は、ブリッジ58と同様であり、ブラケット本体202の唇側側面30の一部を画定する近心−遠心ブリッジ214を含む。近心−遠心ブリッジ214は、上述と同様にクリップ204と協働して、クリップ204が唇側へ移動するのを制限し、したがって、アーチワイヤ18が誤って長穴16から唇側方向に外れる確率を低くする。
図11Aに最もよく示されているように、クリップストップ216が、支持面212から歯肉方向にかつ遠心ガイド56から近心方向に延びてよい。ストップ216は、図1に示されているクリップ14およびブラケット本体12と同様に、クリップ204がブラケット本体202に挿入されるときにクリップ204に対してほぼ接触する関係であってよい。この場合、ブラケット本体202とクリップ204との間の選択された位置、たとえばクリップストップ216と本体202との間に隙間があってよい。後述のように、ストップ216は、アーチワイヤが唇側方向にクリップ204上に押し込まれたためにクリップ204がたわまされたときにクリップ204とブラケット本体202との間に荷重伝達接触点を形成してよい。図示されていないが、上記のクリップストップ216の位置および向きに加えてあるいは該位置および向きの代わりに、クリップストップ216が遠心方向の近心ガイド54から延びてよいことが理解されよう。
また、図11Aおよび12に示されているように、一実施形態では、支持体208は長穴206から唇側に長穴210の方へ延び、支持面212から歯肉側に延びてよい。支持体208は、第2のクリップストップ218を形成する唇側レベルで終わってよい。第2のクリップストップ218は、歯肉側にクリップストップ216よりも長い距離にわたって延びてもよい。有利なことに、歯肉側方向における距離が長いと、クリップ204をブラケット本体202に挿入することと維持することの両方の助けになる。クリップストップ216、218はそれぞれ、以下に記載されているようにクリップ204との荷重伝達接触点を形成してよい。
次に図10、11A、および13Aを参照すると、弾性の結さつクリップ204は、唇側長穴210および舌側長穴206に滑り可能に係合するように構成される。そのため、クリップ204は、歯肉側クリップ部分224から概ね同じ方向に延びる舌側クリップ部分220および唇側クリップ部分222を含む。クリップ204は、図13Aに示されているように概ねU字形であってよい。この場合、舌側クリップ部分220は舌側長穴206に挿入可能であり、一方、唇側クリップ部分222は唇側長穴210に挿入可能である。
また、クリップ204は、上記にクリップ14に関して記載されているように超弾性金属合金を含んでよい。また、一実施形態では、クリップ部分220、222、224のそれぞれの剛性は、上記にクリップ14に関して説明したように異なってよい。一例として、歯肉側クリップ部分224は、ほとんど同じ剛性を有してよい舌側クリップ部分220と唇側クリップ部分222のいずれよりも剛性が高くてよい。クリップ204の剛性は、クリップ204がアーチワイヤ長穴16内にアーチワイヤを保持しつつたわむ量における一因子であってよい。
クリップ204は、開位置と閉位置との間を移動可能である。図9に示されているようにクリップ204が閉位置にあるとき、唇側クリップ部分222は、アーチワイヤ長穴16を覆うように延び、アーチワイヤ18が誤ってアーチワイヤ長穴16から外れるのを抑制する。一実施形態では、以下に詳しく記載されているように、舌側クリップ部分220は、ブラケット本体202と協働してクリップ204を少なくとも閉位置に固定する。
また、一実施形態では、図13Bを参照すると、突起226が舌側クリップ部分220および歯肉側クリップ部分224の少なくとも一部を画定してよい。舌側クリップ部分220および歯肉側クリップ部分224は、U字形切り欠き232によって突起226から分離された位置合わせ部材230をさらに含んでよい。図示のように、U字形切り欠き232は、歯肉側クリップ部分224を貫通して唇側クリップ部分222まで延びてよく、上記で説明しかつ図9に示したように、位置合わせ部材230および突起226が支持体208をまたぐように支持体208と協働するように構成してよい。
一実施形態では、図10および11Aを参照すると、U字形切り欠き232は、位置合わせ部材230と突起226が、支持体208の一方または両方の側面に滑り可能に係合するのを可能にし、それによって、特にクリップ204が開位置と閉位置との間を移動する際にクリップ204がブラケット本体202に対して捩じれるのを妨げる。突起226と位置合わせ部材230を相互に交換してもそれぞれの機能が保持されるため、突起226と位置合わせ部材230の位置が図示の位置に限定されないことが理解されよう。
また、図13Aおよび13Bに示されているように、クリップ204の周囲は、図1、5A、および5Bに示されているショルダ70と同様なショルダ228を形成する。一実施形態では、U字形切り欠き232の周囲が突起226と位置合わせ部材230との間の切り欠き232の頂点の所に第2のショルダ234(図13B)を形成する。ショルダ228と同様に、第2のショルダ234は、唇側クリップ部分222とブラケット本体202との間に荷重伝達接触点を形成してよい。
治療時には、アーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16に拘束することに関連して、図9に示されているように結さつクリップ204が閉位置にあるとき、唇側クリップ部分222はアーチワイヤ長穴16を覆い、突起226と位置合わせ部材230が支持体208をまたぐ。アーチワイヤ18がクリップ204に接触していないとき、クリップストップ216はショルダ228に対してほぼ接触する関係であってよく、第2のクリップストップ218は第2のショルダ234に対してほぼ接触する関係であってよく、唇側クリップ部分222は近心−遠心ブリッジ214に対してほぼ接触する関係であってよい。そのため、クリップストップ216とショルダ228との間、クリップストップ218と第2のショルダ234との間、および/または唇側クリップ部分222とブリッジ214との間に隙間または空間があってよい。この隙間は、所定の距離であってよく、たとえばクリップ204の剛性と他の考えられる因子に応じて決まる。
図示されていないが、アーチワイヤ18が唇側クリップ部分222を唇側に引っ張って唇側クリップ部分222をたわませるかあるいは弾性的に屈曲させた場合、ブラケット本体202と結さつクリップ204を互いに接触させることができる。一例として、ブラケット本体202とクリップ204は、ブラケット本体202上の近心−遠心ブリッジ214、クリップストップ216、および/または第2のクリップストップ218とそれぞれ、クリップ204上の唇側クリップ部分222、ショルダ228、および/またはショルダ234との間で接触する。これらの接触位置は、上記で図6Aおよび6Bに示されている位置と同様である。言い換えれば、最初はクリップ204と本体202とが接触しない位置で、アーチワイヤ18を唇側に移動させると、唇側クリップ部分222および/または歯肉側クリップ部分224が舌側に移動して、近接して位置するブラケット本体202の部分に接触することができる。
したがって、その結果、クリップ204とブラケット本体202との間の接触表面積は、アーチワイヤ18に荷重が加えられてアーチワイヤ18が唇側に引っ張られるようになると広くなることができる。上記の各接触を生じさせる必要はなく、唇側クリップ部分222がたわむ際に1つまたは複数の接触が生じればよいことが理解されよう。そして、たわみの量が接触位置の数を決定してもよい。たとえば、アーチワイヤに加えられる荷重が大きければ大きいほど、クリップ204とブラケット本体202との間の接触位置の数が多くなる。他の例として、唇側クリップ部分222がたわむことによって複数の接触が生じるとき、ブラケット本体202とクリップ204との接触は実質的に同時に生じてもあるいは順次生じてもよく、後者の場合、接触の順序は、アーチワイヤ18によってクリップ214に加えられる荷重の量に応じて決まってよい。しかし、一実施形態では、アーチワイヤ18が誤ってアーチワイヤ長穴16から外れるのを防止するには1つの接触位置では不十分である。クリップストップ216および218のうちの任意のクリップストップまたはすべてのクリップストップと近心−遠心ブリッジ214との間の接触領域が、舌側長穴206内のクリップ204とブラケット本体202との間のような他の表面接触位置と一緒に生じてよいことがさらに理解されよう。一実施形態では、クリップ204は、ブラケット本体202にその歯肉側本体部分40上でのみ接触することができる。
上述のように、クリップ204は、開位置および閉位置を有し、それぞれアーチワイヤ長穴16を利用するのを可能にし、かつアーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16内に拘束する。この場合、クリップ204は、開位置と閉位置のうちの一方または両方で固定可能であってよい。図15〜17を参照すると、一実施形態では、ブラケット200は、クリップ204を少なくとも閉位置に固定する固定機構246を備える。
上述の固定機構94と同様に、固定機構246は、ロック部材250と協働する受け部材248を含む。この実施形態では、クリップ204と組み合わされたロック部材250およびブラケット本体202と組み合わされた受け部材248について説明しているが、当業者には本発明がそのように限定されないことに留意されたい。たとえば、図示されていないが、ロック部材250をブラケット本体202と組み合わせるかあるいはブラケット本体202に結合し、受け部材248を結さつクリップ204と組み合わせるかあるいは結さつクリップ204内に形成してもよい。
この構成を実現するために、引き続き図15〜17を参照すると、受け部材248は、ブラケット本体202によって画定され、歯肉側本体部分40の舌側長穴206を近心部分および遠心部分206aおよび206b(図11A)に分離し、咬合側本体部分42の舌側長穴206を近心部分および遠心部分206cおよび206dに分離する分割部材236を含んでよい。部分206cおよび206dはそれぞれ、近心部分および遠心部分206aおよび206bに揃えることができ、かつ近心部分および遠心部分206aおよび206bと同様であってよい。近心部分206aおよび206cならびに遠心部分206bおよび206dはそれぞれ、突起226および位置合わせ部材230を滑り可能に受けるように構成されている。この場合、分割部材236は、開位置と閉位置との間のクリップ204の移動を案内することのできる支持体208に実質的に揃えてよい。
また、図17Aに示されているように、分割部材236は、クリップ204が開位置と閉位置の間を移動するときにクリップ204の一部に接触する少なくとも3つの表面238、240、242によって画定してもよい。表面238、240、および242は、たとえば図7Bに示されている受け部材98の第1、第2、および第3の表面112、114、116と向きおよび形状が類似していてよい。表面238、240、242の機能について、以下にロック部材250に関連して詳しく説明する。
図13Bおよび15を参照すると、ロック部材250は、第1のレグ254および第2のレグ256を有するL字形突起226を含んでよい。図示の実施形態では、L字形突起226は、クリップ204の近心側面上の歯肉側クリップ部分224から遠心側に延びている。そのため、第2のレグ256は、クリップ204の中心線の方へ延びている。したがって、第2のレグ256は、位置合わせ部材230の方へ延び、U字形切り欠き232によって位置合わせ部分230から分離されている。U字形切り欠き232は、第2のレグ256が舌側クリップ部分220の平面内で位置合わせ部材230から離れる方向へたわむのを可能にする。第2のレグ256がたわむ機能によって、クリップ204はブラケット本体202に固定可能である。
この場合、図15、16、17、および17Aに示されている一実施形態では、第2のレグ256は後面260と向かい合う前面258を形成する。クリップ204を開位置と閉位置との間で滑らせる際、前面258と後面260は、以下に論じるように、表面238、240、242に沿って分割部材236と協働して(図17A)クリップ204を少なくとも閉位置に固定する。さらに、位置合わせ部材230は、上記のように支持体208および分割部材236に沿って滑ることによってブラケット本体202内のクリップ204が捩じれるのを実質的に防止することができる。
図15、16、および17に示されている例示的な実施形態を参照すると、クリップ204の閉位置、中間位置、および開位置のそれぞれにおける固定機構246の動作が示されている。クリップ204を開位置(図15)から中間位置(図16)まで滑らせ、さらに閉位置(図17)まで滑らせる際、前面258は分割部材236の表面238に接触する。接触時の表面258および238の向きによって、クリップ204が閉位置の方へ移動する際に第1のレグ254は位置合わせ部材230から離れる方向にたわむ。前面258および表面238はそれぞれ、突起226を強制的に分割部材236に接触させるときに突起226をたわませる、クリップ204の滑り方向に対する角度に向けてよい。これらの対応する角度は概ね等しくてよい。ただし、2つの表面の向きを事前に定めることができ、かつ該向きが、突起226を分割部材236によってたわませ、次いで滑らせるのに必要な力の強さに直接関係する向きであることが理解されよう。
図示の中間位置(図16)は、突起226の少なくとも一部が分割部材236によってたわまされる、開位置と閉位置との間のクリップ204のある位置を表す。この位置では、固定機構246は係合しない。したがって、クリップ204は、最小限の力によって、分割部材236の長さなどの、開位置と閉位置との間の短い距離にわたって歯肉側および/または咬合側に移動することができる。突起226がたわまされた後でクリップ204を滑らせるのに必要な力は、突起226をたわませるのに必要な力よりも弱い。すなわち、突起226が分割部材236によってたわまされた後クリップ204を押すのが容易になる。さらに、この位置では、突起226内で発生する応力は一時的なものであり、突起226がたわんでいる間しか持続せず、すなわち、通常、臨床医がクリップ204を開位置と閉位置との間を移動させるのにかかる時間しか持続しない。この場合、一実施形態では、クリップ204が閉位置および開位置にあるとき舌側クリップ部分220、特に突起226は弛緩状態すなわち応力を受けていない状態である。
引き続き図16を参照すると、クリップ204を閉位置に移動させるのに十分な力をかけると、第2のレグ256を分割部材236を通過させ、たとえば図17および17Aに示されている位置に移動させることができる。第2のレグ256を強制的に分割部材236を通過させると、突起226が、閉位置から開位置へのクリップ204の移動に干渉する向きに後面260を配置する位置に嵌る。突起226がたわまない位置への突起226のこの移動を、クリップ204が閉位置に来たことを臨床医に示すことのできるカチッという音または触覚応答に関連付けてもよい。この位置では、固定機構246が係合し、クリップ204が意図的ではなしに閉位置から開位置などに向かって移動するのに抵抗する。具体的には、図17Aに示されているように、後面260は、ブラケット本体202との干渉ばめを形成する向きに配置される。干渉ばめは、クリップ204が閉位置から開位置の方へ移動するのを制限する。たとえば、後面260は、第3の表面242に接触してクリップ204を閉位置に固定するように構成されている。そのため、クリップ204に対するあらゆる力、特にアーチワイヤ18との接触によって生成され、クリップ204を開位置の方へ移動させる傾向のある力は、後面260および第3の表面242との接触による抵抗を受ける。
クリップ204が閉位置にあるとき、臨床医は、固定機構246を解放するかあるいは離脱させてクリップ204を開位置の方へ移動させ、たとえばアーチワイヤを交換する。一実施形態では、臨床医は、十分な大きさのトルクをクリップ204にかける工具を使用して、固定機構246を離脱させてよい。その結果、クリップ204は長穴206、210内を歯肉側に滑ることができる。固定機構246を離脱させる場合、一実施形態では、臨床医が器具を器具レセプタクル84(図9に示されている)に挿入する。この器具を使用してクリップ204を閉位置から移動させる操作は、上記で、図1に示されている実施形態に関して説明した操作と同様である。唇側クリップ部分222に十分な力をかけると、突起226が強制的に分割部材236の周りで位置合わせ部材230から離れる方向にたわまされる。突起226がたわまされると、クリップ204は次いで開位置に移動することができる。後面260および受け部材248のうちの一方または両方の表面の形状が協働して、クリップ204を開位置に移動させるある所定の大きさの力に抵抗することが理解されよう。所定のしきい値では、突起226が横方向にたわみ、それによって、第2のレグ256が表面242から離れ、分割部材236に沿って表面240および238を滑る。所定のしきい値の力が、治療時または咀嚼時に通常生じる力よりも強く、器具を器具レセプタクル84と一緒に使用することによって実現できる力であることが理解されよう。
また、図9、12、および15に示されている本発明の一実施形態では、ブラケット本体202はパッド270を含む。パッド270は、歯の表面に固定されるように構成されており、別個の部材または要素としてブラケット本体12に結合してよく、あるいはブラケット本体202と一体に形成してよいボンディングベースを形成するという点でパッド32に類似している。図14に示されている一実施形態では、パッド270の歯接触面は、パッド270の舌側表面の周囲に沿って延びる隆起した境界272を有してよい。隆起した境界272は、くぼみ274を画定し、かつブラケット本体202を歯面に結合するように構成された表面を形成する。くぼみ274は、境界272がレーザエッチングプロセスの影響を受けないようにくぼみ274の表面をレーザエッチングするのを可能にするように構成される。このようなプロセスは、引用によって本明細書に全体的に組み込まれる米国特許出願第2006/0166158号、第2006/0163774号、および第2006/0166159号によって、当技術分野で公知である。レーザエッチングプロセスの副生成物質または放出材料が境界272の表面に干渉することもあるいは該表面を変化させることもないことが理解されよう。したがって、境界272は、境界272によって画定される歯接触面の精度に影響を与えずにくぼみ274内の表面を準備するのを可能にする。
一実施形態では、図9に示されているように、ブラケット本体202は、歯肉本体部分40から舌側長穴206の舌側に突き出る歯肉側伸長部276をさらに含んでよい。歯肉側伸長部276は、歯肉側に延びてよく、パッド270の周囲と同一平面内に位置してよい。したがって、歯肉側伸長部276をその長さに沿ってパッド270によって支持してよい。一実施形態では、図11Aに示されているように、長穴206の最も舌側の表面および歯肉側伸長部276は実質的に同一平面内に位置してよい。この構成によって、クリップ204は、開位置にあるときに追加の構造的支持を得ることができる。すなわち、クリップ204が開位置に移動するかあるいは滑ると、歯肉側伸長部276が舌側クリップ部分220に接触し、それによってクリップ204を舌側方向に支持する。それによって、歯肉側伸長部276は、クリップ204が、開位置にあるときに舌側に傾くのを防止し、唇側クリップ部分222が第2のクリップストップ218から滑ってずれるかあるいはブラケット本体202から離脱する確率を無くすことができる。このような場合、臨床医は、クリップ204を唇側長穴210に再挿入できるように唇側クリップ部分222を第2のクリップストップ218上に再設定することが必要になることがある。このように、歯肉側伸長部276は有利なことに、クリップ204が長穴206内で捩じれるかあるいはブラケット本体202から切り離される可能性を低くすることができるため、臨床医がアーチワイヤを交換するのに必要な時間を短縮することができる。
図9、11A、11B、および12を参照すると、一実施形態では、ブラケット本体202は、図1の例示的な実施形態に示されたボア90と同様の歯肉側−咬合側方向に延びるボア290をさらに含む。しかし、図示のように、ボア290は、全体的に長穴206と同一平面内に位置してよい(図12参照)。一実施形態では、ボア290の1つの側面またはその大部分を、クリップ204を挿入する際にクリップ204によって形成することができる。このことは、舌側長穴206の遠心部分206bがボア290に対して開放されている図11Aに示されている。この場合、ボア290は、クリップ204がブラケット本体202に挿入されないかぎり完全には形成されない。すなわち、ボア290の一部分は、クリップ204が長穴206bに挿入されたときにクリップ204の位置合わせ部材230によって形成される。有利なことに、ボア290の1つの側面またはその一部がクリップ240によって形成される構成は、ブラケット本体202の全体的なサイズを小さくすることができる。すなわち、この構成は、本明細書に記載された機能を失わずに空間を節約することができる。ボア290は、クリップ204が長穴206に挿入されないかぎり完全には形成されないが、クリップ204を挿入する前または後に補助装置(不図示)を挿入できることが理解されよう。この補助装置は場合によっては、クリップ204は最初に使用されないことがあるが、治療中に使用してもよい。しかし、ボア290をブラケット本体202によって完全に画定してもよいことが理解されよう。
他の実施形態では、ブラケット本体202は、ボア290のすべての側面を画定してよいが、ボア290の長さの一部に沿ってのみ画定する。たとえば、図11Bに示されているように長穴206bの咬合側端部が閉鎖される(すなわち、長穴206bが止まり穴である)場合、ブラケット本体202はボア290の4つの側面を形成する。
本発明の他の実施形態によれば、同じ参照符号が、たとえば図9および10を含む上記に説明した図における同じ形状を指す図18および19を参照すると、ブラケット300は、ブラケット本体302と、ブラケット本体302に滑り可能に収容された弾性の結さつクリップ304とを含む。クリップ304は、図9に示されているクリップ204と実質的に同様である。クリップ304は、アーチワイヤ18が、歯列矯正治療中に誤ってクリップ304から外れるのが実質的に防止される閉位置(図18に示されている)と、アーチワイヤ18をアーチワイヤ長穴16に挿入したりアーチワイヤ長穴16から取り外したりすることができる開位置(不図示)とを有する。ブラケット本体302は、たとえば図9に示されているブラケット本体202の実施形態とは異なる。
この場合、一実施形態では、ブラケット本体302は、本体302を歯面(不図示)に接触させ、本体302を該歯面に結合するのを容易にするように構成されたパッド306を含む。上述のパッド270と同様に、パッド306は、別個の部材または要素であっても、あるいはブラケット本体302と一体に形成してもよい。パッド306は、上部または唇側表面310、唇側表面310の反対側に位置し歯と向かい合う表面312、および外周314によって形成される。
図19に示されているようにパッド306がブラケット本体302と一体である場合、唇側表面310の一部はブラケット本体302によって占有される。したがって、唇側表面310は、目に見える唇側表面310aと見えない唇側表面310bによって表すことができる。パッド306の唇側表面310bは、パッド306の1つの側面に沿ってブラケット本体302のフットプリントを越えて唇側表面310aの反対側の部分まで延びる唇側表面310aの部分を形成することによって定めてよい。図示のように、唇側表面310bと目に見える唇側表面310aは連続している。したがって、構成される唇側表面310bは基本的に、唇側表面310aの内挿部分または唇側表面310aの自然な伸長部であってよい。この構成は、市販のソフトウェアによって生成される三次元モデルを使用し、そのようなソフトウェアによって利用可能になるツールを利用して互いに向かい合う目に見える表面310a同士の間に最適な直線を内挿することによって、容易に観察することができる。たとえば、パッドの両面が平坦であるかあるいはほぼ平坦である最も簡素なパッド構成では、構成される唇側表面も平坦であるかあるいはほぼ平坦であり、目に見える唇側表面とほぼ同じ平面内に位置する。
他の例として、図19に示されている実施形態では、唇側表面310は概ね円孤A1として成形される。ブラケット本体302は、パッド306と一体であっても、ブラケット300の、パッド306の唇側表面310から離れる方向へ延びる部分である。図示のように、これには、ブラケット300の、A1から唇側方向に向かう部分が含まれる。目に見える唇側表面310aは、ブラケット本体302の咬合側側面および歯肉側側面を越えて延びるように示されている。構成される唇側表面310bは、D1の点線で示されている。近心−遠心方向における唇側表面310bの同様な構成が、唇側表面310bがD2で示された図20に示されている。
図19に示されている例示的な実施形態を参照すると、パッド306は、概ね舌側方向に延び、周囲314に沿って延びる境界316を含む。境界316は、パッド306の歯と向かい合う表面312を中断して、該表面312にくぼんだ部分318を形成している。上述のように、くぼんだ部分318は、パッド306を歯に結合できるようにくぼんだ部分318の表面積を大きくするような手段によってテクスチャ処理または加工してよい。たとえば、一実施形態では、くぼんだ部分318はレーザによって処理される。
図19および20の例示的な実施形態に示されているように、パッド306は、それぞれ咬合側−歯肉側方向および/または近心−遠心方向において厚さが一定でなくてよい。図19を参照すると、くぼみ318における歯と向かい合う表面312も概ね円孤A2として成形してよい。図示のように、円孤A1と円弧A2は異なる曲率半径を有してよい。ただし、円孤A1と円弧A2が実質的に同様の半径を有してよいことが理解されよう。限定としてではなく一例として、図19のA1の曲率半径はA2の曲率半径よりも大きい。そのため、パッド306の厚さT1は、歯と向かい合う表面312または唇側表面310a、310b上の点の所に形成される接線に垂直な線に沿って測定された、唇側表面310(すなわち、上記による目に見える表面310aまたは構成される唇側表面310b)から歯と向かい合う表面312までの垂線距離(すなわち、円弧A1と円弧A2との間の距離)として定めてもよい。このため、この垂直線は唇側表面310と歯と向かい合う表面312の両方と交差する。
図19では、上述の手順によって測定されたパッド306の厚さT1は、境界316において最大であってよく、その結果、厚さは、境界316のすぐ隣の位置の所でくぼみ318の深さに概ね等しい量だけ薄くてよい。パッド306の厚さT1は、ブラケット302の中心領域に向かう歯と向かい合う表面312の残りの部分に沿って徐々に薄くなっていく。その結果、厚さT1は、中心領域から離れてパッド306の反対側の側面に向かって徐々に大きくなってよい。
同様に、図20を参照すると、近心−遠心方向におけるパッド306の厚さは、唇側表面310a、310bに当てはめ、かつ歯と向かい合う表面312に当てはめることによって形成される2つの円孤間の距離であってもよい。したがって、パッド306の近心側面からパッド306の遠心側面に至る、パッド306のT1と同様に決定される厚さT2は、たとえば、比較的大きい厚さから比較的小さい厚さに移り、次いで比較的大きい厚さに戻る同様の遷移を有してよい。近心−遠心方向におけるパッド306の厚さの変化が咬合側−歯肉側方向における厚さの変化と同様である必要はないことが理解されよう。たとえば、近心−遠心または歯肉側−咬合側断面平面に沿った一方向におけるリッジパッド306の厚さは、実質的に一定であってもよいが、歯肉側−咬合側または近心−遠心断面平面に沿ったもう一方の方向における厚さの変化は、上述のように一定でなくてよい。
図18を参照すると、一実施形態では、ブラケット本体302は、図9に示されている歯肉側伸長部276と同様の歯肉側伸長部322を含む。しかし、伸長部322は、パッド306の歯肉側周囲まで延びなくても、該歯肉側周囲と同一平面内に位置しなくてもよい。したがって、パッド306の唇側表面310の一部分はパッドの歯肉側部分に沿って露出される。該露出される部分は、レッジ330の外形を有してよく、上記に図19に関連して記載されているようにパッド306の唇側表面310bをパッド306の歯肉側から咬合側まで形成するための基準面を構成する。
ブラケット本体302は、図21Aおよび21Bに示されており、ブラケット本体302を通過し、ブラケット本体302の歯肉側および咬合側に対して開放されるボア390をさらに含んでよい。ボア290と同様に、ボア390は補助装置を受け入れるように構成されている。また、ボア390は、その一方の側または一部が、たとえば長穴206bとして長穴206に対して開放されいてよい。図19、21A、および21Bに示されているように、パッド306がボア390のどの部分も形成しないようにパッド306の厚さの変化を調整してよいことが理解されよう。したがって、ボア390を完全にブラケット本体302内に含めてよい。これは、アーチワイヤ長穴16をブラケット本体302に対して所定の位置に向け、一方、ボア390をブラケット本体302内に形成するようにパッド306の歯と向かい合う表面312および唇側表面310と、パッド306の厚さT1、T2を調整することによって実現してよい。
本発明の他の実施形態によれば、同じ参照符号が図1〜21Bの同じ形状を指す図22〜28を参照すると、ブラケット400は、ブラケット本体402と、ブラケット400に滑り可能に収容された弾性の結さつクリップ404とを含む。ブラケット本体402およびクリップ404は、上記において図1〜21Bで説明した実施形態とはいくつかの点で異なる。これらの違いについて以下に説明する。しかし、ブラケット400は、ブラケット10、200、および300と同様にアーチワイヤをアーチワイヤ長穴16内に保持することができてよく、クリップ404は、上述のように、少なくとも閉位置においてブラケット本体402内に固定可能またはロック可能であってよい。
図22、23、および24を概略的に参照すると、ブラケット本体402は、アーチワイヤ長穴16によって分離された歯肉側本体部分および咬合側本体部分406、408を含む。図示の例示的な実施形態では、特に図23および24を参照すると、本体部分406、408は全体として舌側長穴410を含み、本体部分406は追加的に唇側長穴412を含む。これらの長穴はすべて上述の長穴と同様であり、たとえば長穴410および412はそれぞれ、長穴206および210に機能が類似している。この場合、長穴410は、支持体414によって近心部分および遠心部分410a、410bに分割される。図23に示されているように、支持体414ならびに長穴410および412の相対位置は、上述の相対位置とは異なる位置であってよい。たとえば、ブラケット本体402の各形状を上述のブラケット本体とは反対側に配置してよい。具体的には、限定としてではなく一例として、各部分410a、410bをたとえば図11Aに示されているようにブラケット本体の近心側面26ではなくブラケット本体402の遠心側面28の近くに配置してよい。また、この場合、ブラケット本体402は、歯肉側−咬合側方向に延びるボア416を含んでよい。図示のように、ボア416を図11Aに示されているようにブラケット本体402の遠心側面28ではなくブラケット本体402の近心側面26上に配置してよい。他の部材も同様に配置を変更してよい。たとえば、一実施形態では、たとえばクリップストップ216と同様のクリップストップ418を遠心ガイド56ではなく近心ガイド54に接触するように配置してよい。たとえば長穴410、412および支持体414ならびに/あるいはボア416の構成が、ブラケット400が上述のブラケット10、200、および/または300と同様に機能するように、ブラケット400が使用される予定の特定の歯に応じて決定してよいものであることが理解されよう。
また、図22、23、および26を参照すると、本体部分406は、該部分406を近心−遠心方向に横切って延びるブリッジ420を含んでよい。図示のブリッジ420は、本明細書で開示される他のブリッジと異なる構成を有してよい。一般に、ブリッジ420の構成は、クリップ404に手を届かせることが望まれる場合にクリップ404に容易に手を届かせるのを可能にするような構成であってよい。たとえば、手を届かせるのが制限される位置にアーチワイヤを迅速に設置することなどのために、クリップ404に手を届かせるかあるいは本体402の歯肉側側面24に全体的に手を届かせるのを容易にすると有利である歯の位置が存在する。具体的には、たとえば、図10に示されているブリッジ214とは異なり、ブリッジ420は比較的幅が狭い。ブリッジ420の歯肉側−咬合側方向の幅を小さくすることによって、クリップ404により容易に手を届かせることができる。たとえば、臨床医は、アーチワイヤをアーチワイヤ長穴16内に保持しつつクリップ404を1本の指で閉位置まで移動させることを好む場合がある。ブリッジ420の幅を狭くすると、クリップ404を全体的に閉位置に移動させる際に臨床医の指をクリップ404により完全に接触させることができる。すなわち、臨床医は、この構成と一緒に器具を使用するのではなく、自分の指で、より上手にクリップ404を閉位置に配置することができる。このように、臨床医は、クリップ404が閉位置にロックされたことを聴覚的ではなく触覚的により明確に感じることができる。ただし、臨床医が、クリップ404が閉位置にロックされたことを触覚と聴覚の両方で感じてよいことが理解されよう。
図22、24、および26を参照すると、ブラケット本体402と前述のブラケット本体との他の違いには内部リブ422を含めてよい。図示のように、内部リブ422は、器具レセプタクル424を近心レセプタクルおよび遠心レセプタクル424a、424bに分割してよい。したがって、リブ422の機能は、図1に示されているリブ86と同様であってよい。しかし、リブ422は、ブラケット本体402の唇側側面30の近くまで延びてよい。たとえば、リブ422は、唇側側面30と同一平面内に位置し、唇側側面30の一部を形成してよい。一実施形態では、図22および24に示されているように、リブ422は、位置合わせマーカ425の表面部または伸長部と同一平面内に位置し、かつ該表面部または伸長部を形成する。
リブ86とは異なり、リブ422の唇側高さが、図1のブラケット本体12の唇側側面30よりも下方に位置するかあるいは該唇側側面30に対して凹側の位置にあるため有利である場合があることが理解されよう。たとえば、細長いリブ422は、くずおよび異物が器具レセプタクル424に進入し、器具レセプタクルに滞留するかあるいは誤ってクリップ404を固定閉位置から外すのを防止することができる。他の例として、リブ422は、ブラケット400を口内の特定の歯に使用するときにも有利である場合がある。たとえば、患者の方が容易に手を届かせることのできる前歯にブラケット400を取り付ける際、リブ422は、患者が器具レセプタクル424に指の爪を挿入し、誤ってあるいは意図的にクリップ404を開位置に移動させ、それによってアーチワイヤ16を外すのを防止することができる。言い換えれば、リブ422は、子供などの患者が、ぼんやりとクリップ404を開いたり閉じたりことによってブラケット400をおもちゃにし、場合によってはその過程でクリップ404またはブラケット本体402の一部を損傷または破壊するのを防止することができる。
また、ブラケット400は、本明細書で開示された他のパッドと同様であってよいパッド426を含んでよい。図23〜25を参照すると、パッド426は、たとえば図20に示されているパッド306よりも一様に厚くてよい。この場合、パッド426の構成は、ブラケット400を結合すべき特定の歯に応じて決まってよい。たとえば、パッド426の曲率は、その位置用のブラケットの、考えられる処方変数のうちの「インアウト」に応じて決まってよい。したがって、パッド426の特定の構成は、様々であってよく、パッド32、270、306の1つまたは複数の部材、あるいは特定の患者に応じて決まる他の部材を含んでよい。
引き続き、図27に示されている例示的な実施形態を参照すると、パッド426は、非平面状であってよい歯と向かい合う表面428を含む。たとえば、図示のように、歯と向かい合う表面428は、図20に示されている境界316と同様であってよい境界430を含んでよい。境界430は、ブラケット400が歯面に結合されたときに歯面から距離を置いて配置される表面を含んでよいくぼんだ部分432を囲んでよい。したがって、くぼんだ部分432は、ブラケット400が歯に結合されたときに空間を画定してよい。この空間には、ブラケット本体402を歯に固定する接着剤またはセメント材料を充填してよい。
また、図27に示されているように、くぼんだ部分432は1つまたは複数のペグ434を画定してよい。一例として、ペグ434は、直交外周、たとえば方形の外周を有してよい。ただし、他の外周(たとえば、円形、三角形、不規則形状など)も考えられるので、外周は方形に限定されない。また、複数のペグ434があるとき、各ペグは同じ外周を有してよい。ただし、各ペグが異なる外周を有してもよい。ペグ434は、境界430と1つまたは複数のペグ434と歯面とによって歯面に関連して形成される空間を形成できるように境界430と同じ舌側平面まで延びてよい。
また、くぼんだ部分432は、処理された表面436をさらに含んでよい。上述のように、パッド426の製造プロセス中にレーザまたは他のエネルギー流を使用してパッド426の一部を粗面化することができる。この例では、パッド426および場合によってはブラケット本体402を射出成形プロセスによって形成してよい。これは、たとえば、当技術分野で公知でありかつ上記で説明したようなCIM工程またはMIM工程であってよい。このようなプロセスでは、バインダによって結合されたセラミックまたは金属片で作られた概ね中実の形状である素地が作製される。バインダは一般に、熱可塑性ポリマーなどの有機化合物である。
簡単に言えば、このプロセスは、粒子とバインダの加熱された混合物を型の中に射出することを含んでよい。冷却後、混合物は、取り扱うのに十分な程度に硬化する。成形され冷却された混合物は、「素地」または「未焼結体」と呼ばれることがあり、あるいは「未焼結状態」にあると言われることがある。焼結プロセスを含む以後の処理では、バインダが除去され、最終生成物が作製される。この場合、本発明の一実施形態では、パッド426の製造時およびパッド426が未焼結状態である間に、歯と向かい合う表面428をレーザ光線または他のエネルギー源に当ててもよい。
また、この場合、本発明の一実施形態によれば、歯と向かい合う表面428が未焼結状態である間に該表面428の一部をレーザ光線によって走査してよい。このことは、「レーザエッチング」と呼ばれることがある。レーザ光線を生成することのできる例示的なレーザには、イリノイ州のVideojet of Wood Daleおよびイリノイ州のKEYENCE Corporation of America of Itascaによって製造されたレーザが含まれる。走査は、表面428が未焼結状態であるときに該表面428の選択された部分をレーザ光線に当て、処理された表面436を生成することを含んでよい。未焼結状態のパッド426の歯と向かい合う表面428をレーザ光線に当てると、粒子をそれほど溶融させることも点焼結することもなく、レーザ光線に当たったバインダの溶融、気化、および/または焼成を生じさせることができる。その結果、バインダの溶融、気化、および/または焼成が生じた領域内の表面粒子が除去される。すると、最初はレーザ光線に当たらず素地の内部に存在する可能性のある粒子が、除去プロセスによって露出される。
一例として、図27および27Aを参照すると、表面428の選択された部分を、パッド426内の境界430および/またはペグ434を少なくとも部分的に画定するパターンPとして構成してよい第1の組の個々のライン438として構成してよい。複数のパターンを利用して境界430および/またはペグ434を画定してよい。また、本明細書では「ライン」と呼んでいるが、ラインLに沿ったレーザ光線による走査が、歯と向かい合う表面428の事前に定められた領域をレーザ光線に当てることを含むように、ラインが長さだけでなく幅W1も有することが理解されよう。
パターン内のラインの構成は、処理された表面436の所望の表面形状を決定してよい。一実施形態では、図27Aに示されているように、パターンP内の所定のラインL同士が重なり合わなくてよい。すなわち、処理された表面436は、第1の組のライン438内の互いに隣接するラインが重ならないように構成してよい。この構成には、事前に定められた距離またはランド幅Z1をライン438同士の間に配置することを含めてよい。たとえば、図27Aに示されているように、該パターンは、最大で約0.020インチ離して配置され、他の例として、約0.001”〜約0.015”および約0.005”〜約0.012”離して配置してよい互いに平行なラインを含んでよい。そのため、レーザ光線を当てられる材料の各ラインを、ランド幅Z1を近似した量だけ分離してよい。
また、図27Bを参照すると、パターンPは、第1の組のライン438を横切る第2の組のライン440をさらに含んでよい。一実施形態では、第2の組のライン440は第1の組のライン438にほぼ垂直である。ただし、本発明の実施形態は垂直のラインに限定されない。2組のライン438、440を図示し説明しているが、パターンPが追加的な複数組のラインを含んでよいことが理解されよう。第1の組のライン438と同様に、第2の組のライン440内の個々のラインを互いに重なり合わないように互いに間隔を置いて配置してよい。したがって、レーザ光線を当てられない材料のランド幅Z2は、第2の組内の個々のラインを互いに分離する分離してもよい。しかし、第2の組のライン440のレーザ光線を当てられる材料の部分は、第1の組のライン438のレーザ光線を当てられる材料と重なり合ってよい。第1の組のライン438と第2の組のライン440との重なり合いは、一例として矢印442で示されている。歯と向かい合う表面428の、第1および第2の組のライン438、440に応じてレーザ光線に当てられた領域に存在する粒子が除去され、除去された粒子の下方の他の粒子が露出される。図27Cは、未焼結状態のパッド上の例示的な処理された表面を示している。
引き続き図27Bを参照すると、歯と向かい合う表面428の、材料が除去された後に残る領域は、複数のポスト444として表出し得る。一例に過ぎないが、ポスト444は、石筍状構造または他の柱状構造を有してよい。ポスト444の構成が、それぞれ第1の組のライン438および/または第2の組のライン440内の各ライン間のランド幅Z1、Z2に応じて決まることがあることが理解されよう。しかし、ポスト444は、(たとえば図27Cに示されているように)ペグ434の何倍も小さい。一例に過ぎないが、ペグ434が存在するとき、ペグ434は、任意の単一のポスト444のサイズの少なくとも約5倍であってよく、他の例として、ペグ434は任意の単一のポストのサイズの少なくとも約8倍または少なくとも約10倍であってよい。
たとえば図28に示されている例示的なポスト444は、円錐状柱状構造を有する。ポスト444の寸法は、たとえばベースの所が約100μmから約140μmの間であり、高さが約70μmから約90μmの間であってよい。ただし、ポスト444の他の寸法が適切である場合もあるので本発明の実施形態は上記の値に限定されない。特定の一例として、図28に示されているポスト444は、ベースの所の幅が約116μm、約133μm、約124μmである。ポスト444は、高さがそれぞれ81μm、83μm、および124μmである。
一実施形態では、上述のように、歯と向かい合う表面428をレーザ光線に当てて処理された表面436を形成することによって未焼結状態の歯と向かい合う表面428を処理した後、必要に応じて、パッド426およびブラケット本体402に脱バインダプロセスを施してよく、それによってバインダを除去する。脱バインダプロセスは、当技術分野で公知のようにバインダを分解するのに十分な温度まで素地を加熱することを含んでよい。脱バインダプロセスに続いて、焼結プロセスを使用してパッド426を作製してよい。焼結プロセスは、当技術分野で公知であり、脱バイダされたパッドを未焼結体中の粒子同士を拡散させるのに十分な温度まで加熱することを含んでよい。一般に、焼結は、寸法を小さくするものであってよく、一般に各部の密度の増大を伴う。
一実施形態では、脱バインダおよび焼結に続いて、必要に応じて、焼結されたパッドおよび/またはブラケット本体に1つまたは複数の仕上げ工程を施してよい。公知のように、仕上げ工程は一般に、各部の見た目を向上させる工程を含む。歯列矯正ブラケット、特に金属性歯列矯正ブラケットの製造に利用してよい1つの仕上げ工程はバレル研磨である。バレル研磨は、ブラケットの表面から残渣を除去するのに利用してよく、媒体とポスト444との間の衝撃によってポスト444を変形することができる。すなわち、バレル研磨はブラケットに光沢を与えることができる。この場合、バレル研磨は、ブラケットと一緒にバレル研磨装置に導入される鋲またはバレル研磨媒体、水、および軽石を使用することを含んでよい。このような装置には、バレルなどの回転または転動してブラケットまたは他の媒体を互いに対して移動させる装置を含めてよい。一例として、上述のように17−4ステンレススチールのブラケットおよび媒体を含むバレルを約185rpmで15分間回転させると、ブラケットが研磨され、改善されたより美しい外観が得られる。
一実施形態では、バレル工程は、追加的な1つまたは複数のプロセス、たとえばブラケットの洗浄および艶出しをさらに含んでよい。この場合、上述のバレル研磨に導入される軽石を化学研磨剤で置き換えてよく、たとえばニュージャージー州、ニュープロビデンスのChemetall Americasから市販されているChemcid 2509を洗浄工程および研磨工程のうちの一方または両方で使用することができる。置き換えることができる。
図29Aおよび29Bを参照すると、上述の表面処理時に作製されたポスト444をバレル研磨などによって変形してよい。図29Aに示されているように、ポスト444を変形すると、キノコ状構造446が得られる。構造446は、上記で開示されたポスト444とベース寸法がおおよそ同じであってよい。しかし、構造446の高さは、ポスト444よりも約10%から約80%低くてよく、他の例では約30%から約60%低くてよい。構造446の高さは約40μmから約70μmの間であってよい。ただし、構造446の高さがポスト444の高さに応じて決まることが理解されよう。さらに、構造446の最上部寸法は、上述のベース寸法より大きくても小さくてもよい。一例として、構造446の寸法は約70μmから約120μmの間であってよい。ただし、この寸法は、歯と向かい合う表面428から未焼結材料を除去するのに使用されるパターンPに応じて決まる。
引き続き図29Aおよび29Bを参照すると、構造446は逃げ溝448(図29Bおよび29Cに最もよく示されている)を含んでよい。理論にとらわれることなく、逃げ溝448は、ポスト444を変形することの結果であってよい。一実施形態では、上述の1つまたは複数の仕上げ工程は、焼結後にポスト444を変形するように構成される。ただし、本発明の実施形態はそのように限定されない。逃げ溝448は、構造446の最も外側の縁部から構成446の最も狭い部分までの深さが約3μmから約10μmの間であってよい。逃げ溝448は、パッドが歯面上に設置されたときに歯面に最も近い表面の近くに位置してよい。しかし、逃げ溝448は、歯面に最も近い表面から約10μmから約40μmの間に位置してよい。
また、処理された表面436は複数の微小形状450を含んでよい。微小形状450は、構造446よりも少なくとも約20%小さくてよい。ただし、微小形状450は構造446のサイズの約10%以下であってもよい。他の例として、微小形状450は、上述のようにバインダを混合された粒子とほぼ同じサイズであるか、あるいはレーザ処理および/または焼結工程の結果として該粒子よりもわずかに(約10%から約20%)小さくてよい。一例として、微小形状450は約1μmから約15μmの間であってよい。図29Bに示されているように、微小形状450は約2μm、約3μm、約5μm、約6μm、および約10μmの間であってよい。構成446および/または微小形状450が、ブラケットに結合される表面積を大きくすることによってパッド426と歯面との結合を向上させることができることが理解されよう。さらに、逃げ溝448も歯面との結合を向上させることができ、かつ各処理された表面436上のパターンを変更することによって各微小形状を調節できることが理解されよう。一実施形態では、処理された表面436上のパターンは、パッド426が結合される歯面に応じて決まる。特定のパターンは、特定の歯に対するパッドの表面結合特性を調整するパターンであってよい。有利なことに、該パターンは、パッドを歯および/または患者に特定の仕様で作製するのを可能にする。
図22および30を参照すると、クリップ404は、何らの点でクリップ14、204、および304に類似していてよい。たとえば、クリップ404は、クリップ204および304と同様に、ブラケット本体の長穴に滑り可能に係合するように構成される。図22に示されているように、クリップ404はブラケット本体402の長穴410、412に係合するように構成されている。この場合、クリップ404は、たとえば、歯肉側クリップ部分456から延びるとともに上記に記載された他の形状を全体または一部に含む舌側クリップ部分452および唇側クリップ部分454を有するように同様に成形することができる。
ブラケット400は、上述の固定機構246と同様の固定機構を含んでよい。そのため、ブラケット400は、ロック部材と協働する受け部材を含んでよい。図22および30を参照すると、ロック部材470を結さつクリップ404と組み合わせてもあるいは結さつクリップ404に形成してもよい。この場合、一実施形態では、舌側クリップ部分452および歯肉側クリップ部分456は、それぞれ上述の突起および位置合わせ部材と同様の機能を有するL字形突起458および位置合わせ部材460(仮想線で示されている)を含んでよい。図30を参照すると、突起458は、たとえば図13Bの突起226に関して上記で説明したのと同様の機能を有する。この場合、突起458は、第1のレグ462と、第1のレグ462に対して横方向に延びる第2のレグ464とを含んでよい。また、第1のレグ462は第1の表面466および第2の表面468を含んでよい。各表面466、468は、クリップ404が、閉位置に移動するときおよび閉位置から移動するときにブラケット本体402に接触するように上記と同様にブラケット本体402に接触してよい。図示されていないが、図示のように配置された突起458および位置合わせ部材460を有する代わりに、クリップ404は2つの突起458を含んでよい。すなわち、第2の突起(不図示)で位置合わせ部材460を置き換える。このことは、特に大臼歯上で使用されるブラケットに有利である。
図30に示されており、上記で説明したように、第1の表面466および第2の表面468は、ブラケット本体402の受け部材(不図示)の表面に接触し、クリップ404を少なくとも閉位置に固定するのを可能にしてよい。第1の表面466および/または第2の表面468の構成は、それぞれクリップ404を閉じかつ/あるいは開くのに必要な力を増大または低減させるように変更してよい。具体的には、図30に示されているように、第2の表面468を第1のレグ462の交差部に引かれた法線に対して先細りさせてよい。第2の表面468をこの方向に先細りさせると、クリップ404を閉位置から開くのに必要な力を小さくすることができることが理解されよう。
様々な好ましい実施形態を説明することによって本発明を例示し、これらの実施形態についてある程度くわしく説明したが、本発明者は、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定することを意図していない。当業者には他の利点および変形形態が容易に明らかになろう。ユーザの必要および好みに応じて本発明の様々な形状をそれぞれ単独で使用してもあるいは組み合わせて使用してもよい。
10 歯列矯正ブラケット
12 ブラケット本体
14 結さつクリップ
16 アーチワイヤ長穴
18 アーチワイヤ
20 舌側側面
22 咬合側側面
24 歯肉側側面
26 近心側面
28 遠心側面
30 唇側側面
32 パッド
34 ベース面
34a 近心ベース面部分
34b 遠心ベース面部分
36、38 長穴面
40 歯肉側本体部分
42 咬合側本体部分
48 舌側長穴
50 唇側長穴
52 支持面
54、56 ガイド
58 近心−遠心ブリッジ
60 クリップストップ
62 舌側クリップ部分
64 唇側クリップ部分
66 歯肉側クリップ部分
68 最も咬合側の端部
70 ショルダ
72 バー溝
76 クリップレセプタクル
78 近心ガイド
80 遠心ガイド
84 器具レセプタクル
84a 近心レセプタクル
84b 遠心レセプタクル
86a、86b、86c、86d、86e 位置合わせマーカ
88 孔
90 ボア
92 補助装置
94 固定機構
96 ロック部材
98 受け部材
100 突起
102 第1のレグ
104 第2のレグ
106 位置合わせ部材
107 切り欠き
108 前部カム面
110 後部当接面
112 第1のカム面
114 第2の表面
116 第3の表面
120 第2の受け部材
200 ブラケット
202 ブラケット本体
204 結さつクリップ
206 舌側長穴
206a、206c 近心部分
206b、206d 遠心部分
208 支持体
210 唇側長穴
212 支持面
214 近心−遠心ブリッジ
216 クリップストップ
218 第2のクリップストップ
220 舌側クリップ部分
222 唇側クリップ部分
224 歯肉側クリップ部分
226 突起
228 ショルダ
230 位置合わせ部材
232 切り欠き
234 第2のショルダ
236 分割部材
238、240、242 表面
246 固定機構
248 受け部材
250 ロック部材
254 第1のレグ
256 第2のレグ
258 前面
260 後面
270 パッド
272 隆起した境界
274 くぼみ
276 歯肉側伸長部
290 ボア
300 ブラケット
302 ブラケット本体
304 結さつクリップ
306 パッド
310 唇側表面
312 歯と向かい合う表面
314 外周
316 境界
318 くぼみ
322 歯肉側伸長部
330 レッジ
390 ボア
400 ブラケット
402 ブラケット本体
404 結さつクリップ
406 歯肉側本体部分
408 咬合側本体部分
410 舌側長穴
412 唇側長穴
414 支持体
416 ボア
420 ブリッジ
422 内部リブ
424 器具レセプタクル
425 位置合わせマーカ
426 パッド
428 歯と向かい合う表面
430 境界
432 くぼんだ部分
434 ペグ
436 処理された表面
438 ライン
440 ライン
442 矢印
444 ポスト
446 キノコ形構造
448 逃げ溝
450 微小形状
452 舌側クリップ部分
456 歯肉側クリップ部分
458 突起
460 位置合わせ部材
462 第1のレグ
464 第2のレグ
466 第1の表面
468 第2の表面
L ライン
P パターン
T1 厚さ
T2 厚さ
W1 幅
Z1 ランド幅
Z2 ランド幅

Claims (5)

  1. アーチワイヤを歯に結合する歯列矯正ブラケットにおいて、
    前記歯に取り付けられるように構成されたブラケット本体であって、
    前記アーチワイヤを受け入れるように構成され、ベース面および前記ベース面から離れる方向に延びる互いに向かい合う2つの側壁を含むアーチワイヤ長穴、
    前記ブラケット本体の中心を貫通して前記アーチワイヤ長穴に対して横方向に延びるクリップ長穴、
    第1の本体部分、ならびに
    前記第1の本体部分と向かい合い、前記アーチワイヤ長穴によって前記第1の本体部分から分離された第2の本体部分を含み、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分のうちの一方が、前記アーチワイヤ長穴に対して開放された支持面であって、前記ブラケット本体が前記歯に固定されたときに前記歯から離れる方向を向く支持面を含むブラケット本体と、
    前記支持面および前記クリップ長穴に滑り可能に係合可能な弾性の結さつクリップであって、第3のクリップ部分から概ね同じ方向に延びる第1のクリップ部分および第2のクリップ部分を備え、前記アーチワイヤを前記アーチワイヤ長穴に挿入可能である開位置と前記第1のクリップ部分が前記ベース面と向かい合うとともに前記アーチワイヤが前記第1のクリップ部分と前記ベース面とに囲まれ、かつ前記第3のクリップ部分が前記支持面に隣接する閉位置との間を前記ブラケット本体に対して移動可能であり、結さつクリップが前記閉位置にある場合、前記第3のクリップ部分は、前記支持面と直交するように隣接し、且つ、結さつクリップが前記閉位置にある場合、前記第1のクリップ部分が前記ベース面から離れる方向にたわまされたときに、前記結さつクリップがたわんで、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうち前記支持面を有している一方の本体部分上で前記ブラケット本体に接触することにより、前記第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわむのを制限するように構成された結さつクリップと、
    を備え、
    前記ブラケット本体は、前記支持面を含む本体部分から延びるクリップストップ面をさらに含み、前記第1のクリップ部分と前記第3のクリップ部分のうちの一方は、その他方及び前記第2のクリップ部分に対して近心方向又は遠心方向に突出しているショルダをさらに含み、前記クリップストップ面は、前記弾性の結さつクリップが閉位置にあるときに前記結さつクリップのうち前記ショルダ以外の部分とは接触しないように構成されており、前記ショルダは、前記弾性の結さつクリップが前記閉位置にあるときに前記ショルダが前記クリップストップ面に対してほぼ接触する関係になるように構成され、かつ前記第1のクリップ部分が前記ベース面から離れる方向にたわまされたときに前記ショルダが前記クリップストップ面に接触することにより、前記第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわむのを制限するように構成されていることを特徴とする歯列矯正ブラケット。
  2. 前記第1のクリップ部分は自由端部を含み、前記結さつクリップと前記ブラケット本体との間の接触により、前記ブラケット本体は、前記閉位置において、前記自由端部に接触せずに前記第1のクリップ部分がベース面から離れる方向にたわむのを制限するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
  3. 前記弾性の結さつクリップは、前記閉位置において、前記第1のクリップ部分が前記ベース面から離れる方向にたわむのと逆の方向にたわむことによって前記クリップストップとは別の場所でも前記ブラケット本体に接触するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
  4. 前記ブラケット本体は、前記支持面を少なくとも部分的に覆う近心−遠心ブリッジを含み、前記第1のクリップ部分は、前記閉位置において、前記第1のクリップ部分が前記ベース面から離れる方向にたわまされたときに前記近心−遠心ブリッジに接触するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
  5. 前記ブラケット本体は、前記支持面を少なくとも部分的に覆う近心−遠心ブリッジをさらに含み、前記第1のクリップ部分は、前記閉位置において、前記第1のクリップ部分が前記ベース面から離れる方向にたわまされたときに前記近心−遠心ブリッジに接触して支点を形成するように構成され、それによって、前記第1のクリップ部分が前記ベース面から離れる方向にさらにたわむと前記第1のクリップ部分のたわみに対する抵抗が増大することを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
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