JP5137607B2 - 便器洗浄装置 - Google Patents

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Description

本発明は便器洗浄装置に関する。
特許文献1に従来の便器洗浄装置が開示されている。この便器洗浄装置は、便器本体の便鉢へ洗浄水を供給する洗浄水供給装置と、便鉢の下端に設けられた流入口に連なる便器排水路からの空気の吸引及び便器排水路への空気排出を行う吸排気装置とを備えている。この便器洗浄装置では、洗浄水供給装置が便鉢へ洗浄水を供給し、便鉢内の水位が上昇すると、吸排気装置が便器排水路から空気を吸引する。これにより、強力なサイホン作用が発生する。サイホン作用の発生により、便鉢内の水位が低下し、流入口の近傍まで水位が低下すると、便器洗浄装置は便鉢への洗浄水の供給流量を多くする。これにより、便鉢内の水位は再上昇し、便鉢の封水が破封せれずにサイホン作用が継続される。これにより、汚物を便鉢内から確実に排出することができる。
特開2007−218038号公報
しかし、上記従来の便器洗浄装置では、便器洗浄装置の洗浄水の供給流量の多少等により、便鉢内の水位が流入口の近傍まで低下する速さが変化する。このため、便器洗浄装置の便鉢への洗浄水の供給量を多くするタイミングが、便鉢内の水位が流入口より低下した後になるおそれがある。便鉢内の水位が流入口より低下した場合、流入口から空気が便器排水路内へ入り、封水が破封してサイホン作用が終了してしまうおそれがある。この場合、汚物が便鉢内から排出されないおそれがある。また、流入口から空気が便器排水路内へ入る際には、破封音が生じてしまう。このため、サイホン作用を確実に継続させ、汚物を便鉢内から排出するためには、便器洗浄装置の洗浄水の供給流量を多めにしたり、洗浄水の供給量を多くするタイミングを早めにしたりしなければならない。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、節水化及び静音化を図ることのできる便器洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の便器洗浄装置は、便器本体の便鉢へ洗浄水を供給する洗浄水供給装置と、該便鉢の下端に設けられた流入口に連なる便器排水路からの空気の吸引及び該便器排水路への空気の排出を行う吸排気装置とを備えた便器洗浄装置において、
前記洗浄水供給装置が、前記便鉢へ洗浄水の供給を開始直後に供給流量を一定流量に増加してから終了直前に供給流量を減少するまで、前記一定流量の洗浄水を前記便鉢へ供給する給水動作の実行と、前記吸排気装置が前記便器排水路から空気を吸引する吸気動作の実行と、該吸排気装置が該便器排水路へ空気を排出する排気動作の実行とを制御する制御装置をさらに備え、
該制御装置は、該給水動作の実行中に該吸気動作を実行してサイホン作用を発生させ、該便鉢への洗浄水の供給終了前に該排気動作を実行してサイホン作用を終了させるものであって、
サイホン作用により該便鉢内の洗浄水の水位が前記流入口の近傍まで下降した際、該便鉢内の洗浄水の水位を該流入口の近傍に維持して該流入口から該便器排水路内へ空気が入ることなくサイホン作用を維持するように、前記洗浄水供給装置の該便鉢へ供給する洗浄水の前記一定流量と前記便器排水路から排水される洗浄水の排水流量とが略等しことを特徴とする。
この便器洗浄装置では、洗浄水供給装置から便鉢に洗浄水が供給され、便鉢内の水位が上昇した後、吸排気装置が便器排水路から空気を吸引することによりサイホン作用が発生する。つまり、便鉢内の増水した洗浄水の位置エネルギーを利用するため、勢いよく便器排水路から洗浄水が排水される。便器排水路から排水される洗浄水の流量は、便鉢内の洗浄水の水位が低下し、便鉢内の洗浄水の位置エネルギーが小さくなるにつれて減少する。洗浄水供給装置の便鉢への供給水量は、便鉢内の洗浄水の水位が流入口の近傍まで下降した際の便器排水路から排水される洗浄水の排水流量と略等しいため、便鉢内の水位が流入口の近傍に維持される。このため、流入口から空気が便器排水路内へ入ることがなく、サイホン作用を継続することができるため、少ない洗浄水で汚物を便鉢内から確実に排出することができる。また、サイホン作用が継続するため破封音は生じない。
したがって、本発明の便器洗浄装置は、節水化及び静音化を図ることができる。
制御装置は、吸気動作を実行し、サイホン作用が一定時間継続した後、排気動作を実行し得る。この場合、サイホン作用が一定時間継続するため、洗浄水に浮遊する浮遊汚物等も洗浄水とともに便鉢内から確実に排出することができる。
制御装置は、給水動作を実行し、便鉢内の水位が所定の高さになると吸気動作を実行し得る。この場合、便鉢内の洗浄水の位置エネルギーをできる限り活かし、強力なサイホン作用を発生させ、汚物を便鉢内から確実に排出することができる。
制御装置は、給水動作の終了直前に便鉢内への洗浄水の供給流量が減少し始めた後、排気動作を実行し得る。この場合、流入口から空気が入り、水封部が破封する前に吸排気装置から便器排水路内に空気を排出して、サイホン作用を終了させることができる。このため、破封音を生じさせずに便器洗浄を終了させることができる。
以下、本発明の便器洗浄装置を洋風水洗式便器に具体化した実施例1を図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、この洋風水洗式便器は、便器本体1と、洗浄水供給装置10と、吸排気装置20と、制御装置30とを備えている。このうちの洗浄水供給装置10と、吸排気装置20と、制御装置30とから便器洗浄装置は構成されている。
便器本体1は、便鉢2と、便鉢2の上部周縁に設けられたリム3とを有している。便鉢2の下端には、水平面上で開口する流入口4が設けられている。流入口4には、便器排水路5が連通している。便器排水路5は、上昇流路6と下降流路7とから構成されている。上昇流路6は便器本体1に一体に形成されている。上昇流路6と便鉢2とにより、洗浄水が滞留する封水部Hが形成される。
下降流路7は、上昇流路6の上昇端に設けられた開口に連通し、便器本体1とは別体に設けられた便器排水管40に形成されている。便器排水管40の下流端の開口は、排水接続具50を介して図示しない床面に引き出された排水管の接続口に連通する。便器排水管40は、上面に吸排気装置20を接続する連通管41が設けられている。
排水接続具50は、筐体51と、筐体51内に配置される内部配管52とを備えている。筐体51は、上面に設けられ、便器排水管40の下流端部とパッキンPを介して接続される流入口51Uと、下面に設けられ、排水管に接続される流出口51Dとを有している。内部配管52は、流入口51Uに連続する下降流路52Aと、下降流路52Aの下流端に連続し、筐体51内に開口する下流口52Cを有する上昇流路52Bとから構成されている。内部配管52は、下降流路52Aと上昇流路52Bとから形成された溜水部Rを有している。溜水部Rは、洗浄水により完全に封水される。このため、便器本体1に形成される封水部Hの下流側と、貯留部Rの上流側との間の便器排水路5及び内部配管52には、閉鎖空間が形成される。
洗浄水供給装置10は、図示しない水道管に接続されている。また、洗浄水供給装置10は、上流側から順に、図示しないストレーナー装置と、定流量弁と、開閉弁とから構成されている。開閉弁の下流側には、ノズル11が接続されている。このノズル11の下流端は、便器本体1のリム3に連通している。ノズル11の先端から吐水される洗浄水は、リム3を旋回しながら、便鉢2内へ流れ落ちるため、便鉢2内に旋回流を発生させることができる。開閉弁は、開弁及び閉弁する際、徐々に吐水流量が増加及び減少するようなものを採用し、急激な弁の開閉によりウォーターハンマー現象が生じないようにている。
吸排気装置20は、吸排気タンク21と、駆動装置22とを有している。吸排気タンク21は、鍋形状のハウジング21H内に上下方向に移動可能な隔膜21Dが設けられている。ハウジング21Hの下面には、吸排気管21Pが設けられている。吸排気管21Pは、便器排水管40の連通管41に挿入され接続されている。駆動装置22は、上下方向に延びる筒形状のケース本体22Hと、ケース本体22H内に上下方向に移動可能な隔膜22Dと、隔膜22Dを下方から押上可能な円盤形状の押上板22Aを有する棒状体22Bと、押上板22Aを上下動させるモーター22Mとを有している。吸排気タンク21の隔膜21Dによって区画された上側の上部空間24と、駆動装置22の隔膜22Dによって区画された下側の下部空間25とは、接続管23によって接続されている。
このような構成の吸排気装置20では、モーター22Mが回転し、棒状体22Bが上方に伸びることにより、押上板22Aが上方に押し上げられ、駆動装置22の隔膜22Dが上昇位置に移動すると、吸排気タンク21の上部空間24の空気が駆動装置22の下部空間25に吸引され、吸排気タンク21の隔膜21Dは上昇位置に移動する。これにより、吸排気タンク21が便器排水路5から空気を吸引する吸気動作が実行される。また、モーター22Mが回転し、棒状体22Bが下方に縮むことにより、押上板22Aが下降し、駆動装置22の隔膜22Dが下降位置に移動すると、駆動装置22の下部空間25の空気が吸排気タンク21の上部空間24に押し込まれ、吸排気タンク21の隔膜21Dは下降位置に移動する。これにより、吸排気タンク21が便器排水路5へ空気を排出する排気動作が実行される。また、駆動装置22の隔膜22Dが下降しない限り、吸排気タンク21の隔膜21Dは上昇位置に維持される。
制御装置30は、洗浄水供給装置10を構成する開閉弁の開閉と、吸排気装置20の駆動装置22に組み込まれたモーター22Mの回転とを制御することができる。また、制御装置30は、これらの制御パターンを複数記憶可能な記憶装置を有し、図示しない便器洗浄装置の操作リモコン等を操作することにより、各制御パターンに設定することができる。
以上の構成を有する本発明の便器洗浄装置による洋風水洗式便器の洗浄工程について説明する。図6は、洗浄工程中の制御装置30による便器洗浄装置の動作状況、便鉢への洗浄水の供給流量の変化及び便鉢内の洗浄水の水位(封水面位置)の変化を示すタイミングチャートである。
[非洗浄時(図1)]
図1に示すように、便器本体1には、洗浄水により封水部Hが形成されている。また、排水接続具50の内部配管52の溜水部Rは、洗浄水により完全に水封されている。このため、便器本体1に形成される封水部Hの下流側と、貯留部Rの上流側との間の便器排水路5及び内部配管52には、閉鎖空間が形成されている。吸排気タンク21の隔膜21D及び駆動装置22の隔膜22Dは、下降位置に配置されている。
[鉢洗浄工程(図2)]
図示しない便器洗浄装置の操作リモコンの洗浄スイッチを操作し、洗浄工程が開始される。図6に示すように、洗浄開始時から制御装置30により、洗浄水供給装置10の開閉弁が開弁され、給水動作が実行される。ノズル11からリム3を介して便鉢2内に供給される洗浄水の流量は、開閉弁の開弁とともに徐々に増加し、数秒後には、一定流量となる。この一定流量は、後述するサイホン作用の発生後、便鉢2内の水位(以下、「封水面L」という。)が流入口4の近傍まで下降した際の便器排水路5から排水される洗浄水の排水流量と略等しい流量に設定されている。洗浄水は、リム3を旋回しながら、便鉢2内に流れ落ちるため、便鉢2内に旋回流が発生する。洗浄水の旋回流により、便鉢2の内面を効果的に洗浄することができる。また、便鉢2内への洗浄水の供給により、図6のX時点まで、徐々に封水面Lが上昇する。図2に示すように、この段階で、便器本体1の上昇流路6の上昇端を越えて、封水部Hから洗浄水が排水接続具50の内部配管52の溜水部Rに供給される。これにより、溜水部Rの水位が上昇し、より確実に封水される。この工程では、吸排気装置20は作動されず、吸排気タンク21の隔膜21D及び駆動装置22の隔膜22Dは、下降位置に配置されている。
[サイホン発生工程(図3)]
図6のX時点において、封水面Lが特定の位置まで上昇し、図3に示すように、制御装置30により、駆動装置22のモーター22Mが回転し、押上板22Aを上方に押し上げ、隔膜22Dを短時間で上昇位置に移動させる。これにより、吸排気タンク21の隔膜21Dも短時間で上昇位置に移動し、便器排水路5から空気を一気に吸引する吸気動作が実行される。この吸気動作と、便鉢2内の洗浄水の位置エネルギーとの相乗効果により、便鉢2内の洗浄水が旋回しながら勢いよく便器排水路5内に流入し、強力なサイホン作用が発生する。このため、便鉢内の汚物、特に重い汚物を大量の洗浄水とともに便鉢2内から確実に排出することができる。図6に示すように、封水面Lは、X時点からY時点の間に、急激に流入口4の近傍まで下降する。
サイホン作用は、便鉢2内の洗浄水の位置エネルギーも利用するため、サイホン作用が発生した時点が、最も強力であり、封水面Lが下降するに従い弱くなる。このため、便器排水路5から排出される洗浄水も、封水面Lが下降するに従い減少する。上述したように、洗浄水供給装置10から便鉢2へ供給される洗浄水の流量は、便鉢2内の封水面Lが流入口4の近傍まで下降した際の便器排水路5から排水される洗浄水の排水流量と略等しい量に設定されているため、Y時点で、便鉢2に対する洗浄水の供給流量と排出流量とは均衡する。
[サイホン維持工程(図4)]
図6のY時点からZ時点において、図4に示すように、吸排気装置20を作動せず、吸排気タンク21の隔膜21Dは上昇位置に維持される。また、洗浄水供給装置10から便鉢2へ供給される洗浄水は、Y時点から所定時間、一定流量に維持される。これにより、封水部Hでは、封水面Lの水位Aと便器排水路5の下流端近傍の水位Bとの水位差が維持され、溜水部Rでは、便器排水路5の下流端近傍の水位Bと内部配管52の下流口52Cの水位Cとの水位差が維持される。これにより、封水面Lが流入口4の近傍に維持されながら、サイホン作用が維持される。Y時点から所定時間経過後に、制御装置30により、洗浄水供給装置10の開閉弁が閉弁される。便鉢2内に供給される洗浄水の流量は、開閉弁の閉弁後、徐々に減少する。この工程の間、洗浄水に浮遊する浮遊汚物等を便鉢内から確実に排出することができる。
[覆水工程(図5)]
図6のZ時点において、制御装置30により、駆動装置22のモーター22Mが回転し、押上板22Aを下方に降下させ、隔膜22Dを下降位置に移動させる。隔膜22Dを上昇位置から下降位置に移動させるのに要する時間は、隔膜22Dを下降位置から上昇位置に移動させるよりも長く設定されている。これにより、吸排気タンク21の隔膜21Dも下降位置に移動し、便器排水路5へ空気を排出する排気動作が実行される。Z時点で便器排水路5へ空気が排出され始めると、その影響により直ちにサイホン作用は終了する。この際、流入口4から空気が便器排水路5内へ入ることがなく、サイホン作用の終了の際に破封音は生じない。その後、洗浄水供給装置10から供給される洗浄水により、封水面Lが通常位置に復帰し、覆水が完了して洗浄が終了する。
したがって、実施例1の便器洗浄装置は、節水化及び静音化を図ることができる。
この便器洗浄装置の制御装置は、1回の洗浄工程中にサイホン作用を2回発生させる洗浄パターンを記憶装置に記憶している。この洗浄パターンの実行により、洗浄水供給装置10に供給される水道水が低流量である場合でも、汚物を便鉢内から確実に排出することができる。
この洗浄パターンによる洗浄工程について説明する。図7は、洗浄工程中の制御装置30による便器洗浄装置の作動状況、便鉢への洗浄水の供給流量の変化及び便鉢内の洗浄水の水位(封水面位置)の変化を示すタイミングチャートである。上述した洗浄工程と同様の内容については説明を省略する。
[第1回鉢洗浄工程]
図示しない便器洗浄装置の操作リモコンの洗浄スイッチを操作し、洗浄工程が開始される。図7に示すように、洗浄開始時から制御装置30により、洗浄水供給装置10の給水動作が実行される。便鉢2内に供給される洗浄水の流量は、開閉弁の開弁とともに徐々に増加し、数秒後には、一定流量となる。この一定流量は、サイホン作用の発生後、封水面Lが流入口4の近傍まで下降した際の便器排水路5から排水される洗浄水の排水流量と略等しい流量に設定されている。図7のX1時点まで、徐々に封水面Lが上昇する。なお、洗浄水供給装置10に供給される水道水が低流量であるため、封水面Lの上昇幅は少ない。
[第1回サイホン発生工程]
図7のX1時点において、制御装置30により、吸排気装置20が便器排水路5から空気を吸引する吸気動作を実行する。この吸気動作と、便鉢2内の洗浄水の位置エネルギーとの相乗効果により、便鉢2内の洗浄水が旋回しながら勢いよく便器排水路5内に流入し、強力なサイホン作用が発生する。このため、便鉢内の汚物、特に重い汚物を大量の洗浄水とともに便鉢2内から確実に排出することができる。封水面Lは、X1時点からY1時点の間に、急激に流入口4の近傍まで下降する。Y1時点で、便鉢2に対する洗浄水の供給流量と排出流量とは均衡する。
[第1回サイホン維持工程]
図7のY1時点からZ1時点において、吸排気タンク21の隔膜21Dは、上昇位置に維持される。また、洗浄水供給装置10から便鉢2へ供給される洗浄水は、一定流量に維持される。これにより、封水面Lが流入口4の近傍に維持されながら、サイホン作用が維持される。
[第2回鉢洗浄工程]
図7のZ1時点において、制御装置30により、吸排気装置20が便器排水路5へ空気を排出する排気動作を実行する。Z1時点で便器排水路5へ空気が排出され始めると、その影響により直ちにサイホン作用は終了する。この際、流入口4から空気が便器排水路5内へ入ることがなく、サイホン作用の終了の際に破封音は生じない。その後、洗浄水供給装置10から一定流量の洗浄水が便鉢2に供給されているため、封水面Lは、再度、徐々に上昇する。
[第2回サイホン発生工程]
図7のX2時点において、封水面Lが、通常位置に復帰すると、制御装置30により、吸排気装置20が便器排水路5から空気を吸引する吸気動作を実行する。第1回サイホン発生工程時に比べ、封水面Lが低いため、サイホン作用は弱い。第1回サイホン発生時に重い汚物は排出されており、第2回サイホン発生工程においては、洗浄水に浮遊する浮遊汚物を排出することが目的であるため、弱いサイホン作用であっても、確実に浮遊汚物等を排出することができる。
[第2回サイホン維持工程]
図7のY2時点からZ2時点において、吸排気タンク21の隔膜21Dは、上昇位置に維持される。また、洗浄水供給装置10から便鉢2へ供給される洗浄水の供給流量は、Y2時点から所定時間、一定流量に維持される。これにより、封水面Lが流入口4の近傍に維持されながら、サイホン作用が維持される。2回目のサイホン作用は浮遊汚物を排出することを目的とするものであるため、洗浄水の供給流量を一定流量に維持する時間は短時間である。Y2時点から所定時間経過後に、制御装置30により、洗浄水供給装置10の開閉弁が閉弁される。便鉢2内に供給される洗浄水の流量は、開閉弁の閉弁後、徐々に減少する。
[覆水工程]
図7のZ2時点において、制御装置30により、吸排気装置20が便器排水路5へ空気を排出する排気動作を実行する。Z2時点で便器排水路5へ空気が排出され始めると、その影響により直ちにサイホン作用は終了する。この際、流入口4から空気が便器排水路5内へ入ることがなく、サイホン作用の終了の際に破封音は生じない。その後、洗浄水供給装置10から供給される洗浄水により、封水面Lが通常位置に復帰し、覆水が完了して洗浄が終了する。
したがって、実施例1の便器洗浄装置は、洗浄水供給装置10に供給される水道水が低流量であった場合でも、節水化及び静音化を図ることができる。
以上において、本発明を実施例1に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨に逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、便器排水路5の下流側に接続された排水接続具50の内部配管52に設けられた溜水部Rは、非洗浄時、溜水部Rに貯留された洗浄水の上部に空気が流通可能とされ、完全に封水されていなくてもよい。この場合、洗浄水が溜水部Rに供給され、溜水部Rの水位が上昇することにより、溜水部Rが封水され、上流側に閉鎖空間が形成されるようにするとよい。
また、サイホン維持工程において、洗浄水供給装置10の便鉢2への洗浄水の供給流量と便器排水路5から排水される洗浄水の排水流量とが略等しければよく、他の工程における洗浄水の供給流量は、サイホン維持工程における洗浄水の供給流量と相違していてもよい。また、他の工程においては、洗浄水の供給流量は一定でなくてもよい。
本発明は水洗式便器に利用可能である。
実施例1の洋風水洗式便器の非洗浄時を示す模式図である。 実施例1の洋風水洗式便器の鉢洗浄工程を示す模式図である。 実施例1の洋風水洗式便器のサイホン発生行程を示す模式図である。 実施例1の洋風水洗式便器のサイホン維持工程を示す模式図である。 実施例1の洋風水洗式便器の覆水工程を示す模式図である。 実施例1の洋風水洗式便器の洗浄工程を示すタイミングチャートである。 実施例1の洋風水洗式便器の低流量時の洗浄工程を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1…便器本体
2…便鉢
4…流入口
5…便器排水路
10…洗浄水供給装置
20…吸排気装置
30…制御装置

Claims (4)

  1. 便器本体の便鉢へ洗浄水を供給する洗浄水供給装置と、該便鉢の下端に設けられた流入口に連なる便器排水路からの空気の吸引及び該便器排水路への空気の排出を行う吸排気装置とを備えた便器洗浄装置において、
    前記洗浄水供給装置が、前記便鉢へ洗浄水の供給を開始直後に供給流量を一定流量に増加してから終了直前に供給流量を減少するまで、前記一定流量の洗浄水を前記便鉢へ供給する給水動作の実行と、前記吸排気装置が前記便器排水路から空気を吸引する吸気動作の実行と、該吸排気装置が該便器排水路へ空気を排出する排気動作の実行とを制御する制御装置をさらに備え、
    該制御装置は、該給水動作の実行中に該吸気動作を実行してサイホン作用を発生させ、該便鉢への洗浄水の供給終了前に該排気動作を実行してサイホン作用を終了させるものであって、
    サイホン作用により該便鉢内の洗浄水の水位が前記流入口の近傍まで下降した際、該便鉢内の洗浄水の水位を該流入口の近傍に維持して該流入口から該便器排水路内へ空気が入ることなくサイホン作用を維持するように、前記洗浄水供給装置の該便鉢へ供給する洗浄水の前記一定流量と前記便器排水路から排水される洗浄水の排水流量とが略等しことを特徴とする便器洗浄装置。
  2. 前記制御装置は、前記吸気動作を実行し、サイホン作用が一定時間継続した後、前記排気動作を実行する請求項1記載の便器洗浄装置。
  3. 前記制御装置は、前記給水動作を実行し、前記便鉢内の水位が所定の高さになると前記吸気動作を実行する請求項1又は2記載の便器洗浄装置。
  4. 前記制御装置は、前記給水動作の終了直前に前記便鉢内への洗浄水の供給流量が減少し始めた後、前記排気動作を実行する請求項1乃至3のいずれか1項記載の便器洗浄装置。
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