JP5136290B2 - 測定誤差の低減方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転による遠心力を用いて試薬および検体を送液する免疫学的分析のための分析チップの利用における、測定誤差を低減させるための方法に関する。
従来、臨床診断や食品衛生、環境分析に関わる微量分子の分析の殆どは、高価な装置を必要とするほか操作に熟練を有するので、臨床検査会社や分析会社で行われてきた。近年、世の中の流れとしてベッドサイドでの簡便・迅速診断や、食品の加工、輸入の各現場において分析・測定を行い、事故を未然に防ぐことや、河川や廃棄物中の有害物質の分析を河川や廃棄物処理場等の現場で行うことの重要性が注目されており、簡便、迅速、安価、高精度かつ高感度に測定が可能な検出法や分析チップの開発が重要視されている。
検体中の微量の被検物質を分析するための免疫学分析において、Lab−on−chip(μTAS)と呼ばれる小型の分析チップ(装置)の利用が提案されている。近年、このような回転による遠心力を利用して送液させる分析チップに関する技術が開発されており、免疫学的測定への適用が検討されている。
小型分析チップを用いた免疫学的分析は、一般に抗原もしくは抗体が固相化された担体を充填した反応室に、検体および試薬が回転による遠心力を用いて送液され、反応室を通過する際に抗原抗体反応が行われる。しかし、検体および試薬が反応室を通過するために要する時間は、検体および試薬の粘度の違いにより変動する。例えば検体が血液など生体由来の試料である場合は、血液など生体由来試料の粘度は個体間で差があるため、反応室通過時間をそろえることは従来困難であった。検体の個体差による生じる、検体が反応室を通過するために要する時間のバラツキは、担体が検体と接触している時間のバラツキとなり、結果的に測定内誤差もしくは測定間誤差の要因となる。
また、反応室通過時間は、分析チップに与える回転速度、遠心力の違いによっても変動する。更に、装置の反応室断面積、流路断面積、流路表面疎水度、担体量、担体充填密度、担体堰き止め部断面積などの違いによっても変動する。微小な流路を有する分析チップの場合、これらチップの形状や面積、疎水度などの性質を高精度に制御することは困難であった。こうしたチップのバラツキにより、検体および試薬が反応室を通過するために要する時間のバラツキが生じる。検体および試薬が反応室を通過するために要する時間のバラツキは、担体が検体および試薬と接触している時間のバラツキとなり、結果的に測定内誤差もしくは測定間誤差の要因となる。
例えば、特許文献1には、複数の測定用チャンネルを持つCD様(円板状)の微小流体装置(分析チップ)および微小流体装置を回転させることにより免疫アッセイを行うための方法および運転プロフィールが開示されている。具体的には、洗浄工程、試料の移送工程、試料の洗浄工程、結合体の移送工程、結合体の洗浄工程それぞれにおいて、詳細な効果は不明であるが、段階的に回転速度を上昇させる回転プロフィールが開示されている。また、移動工程において、回転速度上昇を伴う最初の2工程の間に、容量計量ユニットの中に液量が規定されることが開示されている。
また、特許文献2にも、複数の測定用チャンネルを持つCD様(円板状)の微小流体装置(分析チップ)および微小流体装置を回転させることにより免疫アッセイを行うための方法および運転プロフィールが開示されている。具体的には、洗浄工程、サンプルの移動工程、サンプルの洗浄工程、コンジュゲートの移動工程、コンジュゲートの洗浄工程それぞれにおいて、詳細な効果は不明であるが、段階的に回転速度を上昇させる回転プロフィールが開示されている。またサンプルおよびコンジュゲートの移動において、回転速度上昇を伴うスピンフローの最初の2工程の間に、容量が計量・規定されることが開示されている。また、疎水性ブレーク突破のための回転速度が増加したパルスが採用されることが開示されている。
しかしながら、多様な性質を持つ検体間において低い測定誤差を達成すること、および、性質の異なるチップ間において低い測定誤差を達成するための具体的な手法は開示されていない。また、反応室を検体もしくは試薬が通過するためにかかる時間を制御することにより、測定の精度を高め、測定誤差を低減させるという、課題を解決するための手法は開示されていない。
特表2006−524816号公報 特表2004−529336号公報
本発明はこのような状態に鑑み、回転による検体または試薬送液時において、適切なタイミングで分析チップの回転速度を上昇させることで、反応室を検体もしくは試薬が通過するためにかかる時間を制御し、測定の精度を高め、測定誤差を低減させることが可能な手法を提供することを目的とする。
発明者らは鋭意検討の結果、次の(1)〜(5)のいずれかに記載の構成により、上記課題を解決するに至った。
(1)抗原および/または抗体が結合した担体を収容可能な反応室を有する分析チップを、該分析チップ外の回転軸に対して回転させることにより検体および試薬を前記反応室に送液し、該反応室内の被検物質の量を測定する免疫学的分析において、
検体または試薬液量の全量が反応室を通過する前の時点で、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替えることによる免疫学的分析の測定誤差の低減方法。
(2)分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える時点が、検体または試薬液量の50%以上が反応室を通過した時点である、(1)に記載の測定誤差の低減方法。
(3)分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える前に、分析チップの回転速度を90%以下に低下させて送液する(1)又は(2)に記載の測定誤差の低減方法。
(4)前記分析チップの回転速度を90%以下に低下させる時点が、検体または試薬液量の50%が反応室を通過する前の時点である、(3)に記載の測定誤差の低減方法。
(5)免疫学的分析が2ステップ法である、(1)から(4)のいずれかに記載の測定誤差の低減方法。
本発明によれば、送液後期に分析チップの回転速度を上昇させることにより、検体もしくは試薬が反応室を通過するためにかかる時間を分析チップ間で揃えることが可能になり、その結果、測定の精度を高め、測定誤差を低減させることが可能となる。また、送液初期に分析チップの回転速度を低下させることで検体もしくは試薬の反応時間を伸長し、かつ送液後期に回転速度を上昇させることで、感度を上昇させながら測定誤差を低減させることが可能となる。
本発明の測定誤差の低減方法は、回転による遠心力を用いて検体または試薬を送液する免疫学的分析のための分析チップに用いられる。
本発明における免疫学的分析とは、検体中の被検物質を、抗原抗体反応を利用して分析する手法を意味し、その代表的なものとしてELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay 固相酵素免疫検定法)、RIA(Radioimmunoassay 放射線免疫検定法)、FIA(Fluorescenceimmunoassay 蛍光免疫検定法)、FLISA(Fluorescence−Linked Immunosorbent Assay 固相蛍光免疫検定法)を挙げることができる。
分析の方法としては、
1)標識した抗体により目的とする物質を直接認識し検出する直接法、
2)目的とする物質を抗体により認識し、目的物質と結合した抗体を、標識した抗体により認識し検出する間接法、
3)競合法、
4)目的とする物質を固相化した抗体(1次抗体)により捕捉し、さらに別の標識した抗体(2次抗体)により検出する二抗体サンドイッチ法、
5)目的とする物質を固相化した抗体により捕捉し、さらに別の抗体により目的とする物質を認識し、目的とする物質を、認識した抗体を標識した抗体により検出する三抗体サンドイッチ法、
等が挙げられる。
また、本発明における分析の方法としては、少なくとも一方が標識された抗原と抗体の複合体を、固相上の抗原もしくは抗体と反応させる1ステップ法、未標識の抗原を固相上の抗体もしくは抗原と反応させた後、標識した抗体もしくは抗原と反応させる2ステップ法、さらには未標識の抗原を固相上の抗体もしくは抗原と反応させた後、未標識の抗体と反応させ、さらに標識した抗体を反応させる3ステップ法が挙げられる。なかでも本発明の測定誤差の低減方法は、複数回反応室に抗原溶液、抗体溶液および標識抗体溶液を通過させるために検体および試薬の反応室通過時間差による測定誤差が大きくなる2ステップ法もしくは3ステップ法において、測定誤差を低く押させることが可能であることから、好ましく採用される。
免疫学的分析における被検物質は、タンパク質、糖、脂質、核酸、糖タンパク質、糖脂質、細胞など、抗原や抗体と特異的に結合する物質であればいずれであってもよい。例えばサイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、アレルゲン、DNA、RNA、抗体、脂質、酵素、その他化学物質等を挙げることができる。特に、IL−6、IL−8、TNFが好ましい。被検物質の由来生物は問わない。被検物質は1種類であってもよく、また2種類以上であってもよい。
また、免疫学的分析の目的は特に限定されず、検体中の被検物質の有無の検出、被検物質の定量など特に限定されない。本発明における免学的疫分析は、臨床検査、食品検査、環境検査などにおける分析に用いることができる。
本発明における検体とは、前記被検物質を含む可能性がある試料をいい、液体であることが好ましい。例えば、血液、尿、髄液、唾液、痰、細胞懸濁液などの体液をはじめとする生体から採取される液体を挙げることができる。
本発明における試薬とは、検体を検出するための試薬を意味し、具体的には、ブロッキング溶液、希釈液、変性剤、標識抗体、標識抗原、未標識抗体、未標識抗原、標識物質、発光基質、蛍光基質、発色基質、過酸化水素水、洗浄液などが挙げられる。本発明の測定誤差の低減方法が採用される試薬として、好ましくは標準物質、標識抗体、標識抗原が挙げられる。
本発明の免疫学的分析方法においては、抗原および/または抗体を結合する担体を収容する反応室を有する分析チップを前記分析チップ外の回転軸に対して回転させることにより、検体および試薬を前記反応室に送液して、検体中の被検物質を分析する。
本発明においては、抗原および/または抗体を結合する担体を収容する反応室を有する分析チップを用いる。反応室の形状およびサイズは、抗原および/または抗体を結合する担体を収容できればよい。形状は管状であることが好ましく、管の横断面は円、多角形等特に限定されない。反応室のサイズは、検体中の被検物質が、担体の抗原および/または抗体に幅がある程度狭いことが望ましく、横断面の短径が通常0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmであり、長さが通常0.5〜10mm、好ましくは0.5〜5mmである。
反応室には、抗原および/または抗体が結合した担体が収容される。担体の収容数は1つ以上であればよく、免疫学的分析の効率を上げる観点から、複数の担体を収容することが好ましい。この時、担体の短径よりも小さな流路深さもしくは流路幅をもつ担体堰き止め部が設けられることが好ましい。担体せきとめ部を設けることにより、遠心力を加えても担体が反応室から流出することを抑制することができる。
担体の形状は、球状、楕円球状などのマイクロビーズのほか、円柱、多角柱などのいわゆるマイクロロッド、板状のマイクロプレートであってもよい。
担体のサイズは、反応室のサイズによるが、担体の形状にかかわらず、短径が1〜1000μm、好ましくは10〜200μmの範囲であることが好ましい。
担体の材料は特に限定されず、ガラス、セラミック(例えばイットリウム部分安定化ジルコニア)、金属(例えば金、白金、ステンレス)、樹脂(例えばナイロンやポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド)、アガロース等を用いることができるが、この中でも樹脂、特にポリスチレンが好ましい。
反応室に複数の担体が収納される場合、各担体の形状、サイズ、素材は均一であってもよいし、多様であってもよい。また、反応室に格納する担体のすべてに抗原および/または抗体が結合されている必要はなく、何も結合しない担体が一部含まれていてもよい。
担体に結合させる抗原および/または抗体は、種々の抗体、FabフラグメントやF(ab')2フラグメントのような抗体の抗原結合性断片、並びに種々の抗原などの中から、免疫学的分析における検体中の被検物質に特異的に結合する抗原や抗体を適宜選択することができ、1種類であっても、また複数であってもよい。抗原や抗体の担体への結合密度、結合数、結合様式などに特に制限はない。
担体に抗原および/または抗体を結合、固相化させる方法は、例えば、担体と抗原や抗体とを緩衝液等の溶液中で混合し接触し結合させる方法によることができる。接触による結合は、通常1時間〜24時間、4〜37℃の条件で、必要に応じて攪拌しながら実施することができる。得られた担体は、使用前に緩衝液、洗浄液等で洗浄してもよい。尚、結合、固相化方法はこれに限定されず、例えば抗原や抗体と担体とを親水性ポリマー(ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリスルホン酸ナトリウム等)を含む架橋剤を使って化学的に結合させる方法などを利用することもできる。
本発明における分析チップには、前述の反応室に加え、検体や試薬を保持するリザーバや、反応室通過後の検体や試薬を溜める廃液槽が設けられていても良い。
本発明の免疫学的分析方法において、担体が充填された反応室に、検体および試薬が回転による遠心力を用いて送液され、反応室を通過する。検体および試薬の全量が反応室を通過するために要する時間(反応室通過時間)は、検体および試薬の粘度の違いにより変動する。検体が血液など生体由来の試料である場合は、血液など生体由来試料の粘度は個体間で差があるため、反応室通過時間をそろえることは従来困難であった。また、反応室通過時間は、分析チップ(装置)に与える回転速度、遠心力の違いによっても変動する。更に、分析チップの反応室断面積、流路断面積、流路表面疎水度、担体量、担体充填密度、担体堰き止め部断面積などの違いによっても変動する。微小な流路を有する分析チップの場合、これら分析チップの形状や面積、疎水度を高精度に制御することは困難であった。本発明の測定誤差の低減方法は、これら複数の測定誤差要因を、適切なタイミングで分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える、すなわち回転速度を2倍以上に上昇させるだけで解決することができる。
本発明における分析チップの回転速度とは、単位時間あたりの分析チップの回転数を意味し、例えば分析チップの回転に使用する遠心機の回転数を設定することによって制御することができる。
検体及び試薬の全量が反応室を通過するために要する時間のバラツキは、担体が検体もしくは試薬と接触している時間のバラツキとなり、結果的に測定内誤差もしくは測定間誤差の要因となる。本発明における測定誤差の低減方法は、検体および試薬の全量が反応室を通過するために要する時間の差を低減させる。検体または試薬液量の全量が反応室を通過する前の時点において、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える手法が採用される。回転速度を上昇、切り替えるタイミングは、検体または試薬の全量(100%)が反応室を通過する前、すなわち検体または試薬液量の100%未満が通過した時点であればいつでも良いが、好ましくは、検体または試薬液量の95%が反応室を通過する前の時点であることが好ましい。更に好ましくは、90%が反応室を通過する前の時点であることが好ましい。
本発明において、検体または試薬の全量が反応室を通過する前の時点とは、反応室を通過した検体または試薬の液量が、検体または試薬の全量の100%未満の時点を意味し、まだ反応室を通過しきっていない検体または試薬液が存在する状態を意味する。
また、検体または試薬の大半を無駄にせず、結果として感度を維持できること、さらに各反応工程をなるべく短縮し、測定時間を短縮できることから、検体または試薬の送液時間の50%以上経過時に、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替えることが好ましい。更に好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上経過時点において、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える。
また、抗原抗体反応に関与する検体または試薬を有効に使うことが可能であり、結果として感度を維持することが可能なため、検体または試薬液量の50%以上が反応室を通過した時点で、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替えることが好ましい。更に好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上が反応室を通過した時点で、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える。
本発明における回転速度の上昇、2倍以上の高い回転速度への切り替えは、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える手法は、測定誤差の主要因となる抗原抗体反応が行われる工程に対して効果を示すことから、好ましくは検体を含む溶液を送液する工程、もしくは標識抗体、標識抗原、標準物質のいずれかを含む試薬溶液を送液する工程において採用されることが好ましい。個体差による検体粘度の違いが測定誤差の要因となるといった問題を解決できることから、更に好ましくは検体を含む溶液を送液する工程において採用される。
本発明における回転速度の上昇は、測定誤差を有効に低減できることから、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える。好ましくは、分析チップの回転速度を3倍以上へ切り替える。より好ましくは、分析チップの回転速度を4倍以上へ切り替える。回転数の上昇倍率が大きいほど、測定誤差を低減させる効果は大きくなる。
また、本発明における回転速度の上昇は、測定に必要な時間を短縮し、迅速な検査、分析を可能とする効果もある。
本発明における回転速度の切り替えは、測定時間短縮のために急激に上昇させることが好ましく、具体的には100rpm/秒以上の加速度、すなわち回転速度変化速度で回転速度を上昇させることが好ましい。さらに好ましくは、300rpm/秒以上の加速度で回転速度を上昇させることが好ましい。
本発明においては、検体及び試薬の一部を高い回転速度で送液することによる、抗原抗体反応の効率低下や検出感度の低下を抑制するため、分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える前において、分析チップの回転速度を少なくとも90%以下に低下させることが好ましい。この回転速度の低下により検体もしくは試薬の送液速度を低下させることができる。また、担体が検体もしくは試薬と接触する時間を長くすることができることから、抗原抗体反応の効率を上げ、結果として感度を向上させることができる。また、一旦低下させた回転速度に対して回転速度を上昇させるため、同じ回転速度にまで切り替えても、一旦回転速度を低下させることで、回転速度の上昇倍率が大きくなる。これにより、バラツキの抑制効果は大きくなり、測定誤差をより小さくすることができる。
回転速度の低下を行うタイミングは、抗原抗体反応に関与する検体または試薬をより有効に使うことが可能であることから、検体または試薬の送液工程の50%未満の時点が好ましい。更に好ましくは30%未満の時点、最も好ましくは10%未満の時点に回転速度を低下させる。
また、抗原抗体反応に関与する検体または試薬をより有効に使うことが可能であることから、検体または試薬液量の50%が反応室を通過する前の時点において回転速度を低下させることが好ましい。更に好ましくは30%が反応室を通過する前の時点、最も好ましくは10%が反応室を通過する前の時点において回転速度を低下させる。
また、本発明において検体または試薬液量の50%が反応室を通過する前の時点とは、検体または試薬液量の50%未満が反応室を通過した時点であって、反応室を通過した検体または試薬の液量が、検体または試薬の全量の50%未満の時点を意味する。
分析チップの回転速度の低下は、少なくとも90%以下にまで低下させることが好ましい。より検体もしくは試薬の送液速度を低下させ、抗原抗体反応の効率を上げることができることから、80%以下にまで低下させることがさらに好ましい。
本発明における反応室を通過した検体および試薬の液量および割合は、経時的に回転を停止させて反応室上流もしくは下流の液量を測定することにより直接もしくは間接的に算出される。また、分析チップの回転による送液時に回転を停止させ、反応室上流もしくは下流の液量を測定することにより直接もしくは間接的に算出してもよい。
また、予め複数の検体、複数のチップを用い、特定の回転速度における経時的な反応室通過時間や反応室通過量を調べておくことで、検体および試薬が反応室を通過するのに要する時間を確定させることができる。その反応室通過に要する時間をもとに、検体および試薬の全量が反応室を通過する前のタイミングで分析チップの回転速度を切り替えるようにプロトコル、プログラムを設定することができる。
参考例1
以下のようにして、分析チップを製作した。図1に分析チップAの上面図および縦断面図を示す。分析チップは内部に管状の反応室1と、円筒形で反応室側が絞り形状の検体・試薬リザーバ2を備える。検体・試薬リザーバの開口部4には、遠沈管上部に分析チップを懸垂させるために、外部に突出した耳3が設けられている。反応室には一次抗体を結合したビーズ担体が充填されるので、担体の堰き止め用に金網(図示せず)およびフィルタが圧入される穴5が設けられている。
まず、ポリメチルメタクリレート製の樹脂(クラレ社製)を切削加工で分析チップ本体を製作した。開口径約20μmのステンレス製金網を直径約2mmに切り取り、フロロサーフ(フロロテクノロジー社製)により疎水処理した。疎水処理した金網をフィルタ圧入穴5より挿入し反応室下流に設置した後、フィルタを圧入し担体せきとめ部を形成し、分析チップを製作した。疎水処理した金網フィルタがフィルタ圧入穴5より圧入されることで担体堰き止め部が形成される。
続いて、分析チップの反応室にビーズ担体を充填した。
ポリスチレンビーズ(Polyscience社、粒径:25μm)をリン酸緩衝液で洗浄し、ポリスチレンビーズと同量の30μg/ml抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社製)/リン酸緩衝液を添加し、4℃で一晩振とうさせた。振とう後、ポリスチレンビーズ2μlを150μlの0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で懸濁した。この懸濁物を上記分析チップのリザーバに注いだ後に、分析チップを遠沈管(商品名:エッペンマイクロチューブ、メーカー名:エッペンドルフ社、サイズ:1.5mL)に入れ、遠心機(商品名:微量高速冷却遠心機、メーカー名:株式会社トミー精工、型名:MX−300)2000Gで30秒間遠心し、担体を反応室に充填した。
参考例2
参考例1で作製した分析チップのリザーバに、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液100μlを注いで、遠心機にて4700rpm(2000G)で1分間遠心し、担体を洗浄した。
その後、1%ウシ血清アルブミン(BSA)含有リン酸緩衝液で溶解させた0pg/ml、100pg/mlのhIL−8(ヒトインターロイキン−8、鎌倉テクノサイエンス社)80μlを検体溶液としてリザーバに加え、1800rpm(300G)で10分間送液した。
0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液150μlをリザーバに加え、4700rpm(2000G)で1分間送液し、洗浄した。
1%BSA含有リン酸緩衝液で溶解させた0.6μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)80μlを標識抗体溶液としてリザーバに加え、1800rpm(300G)で10分間送液した。
0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液150μlをリザーバに加え、4700rpm(2000G)で1分間送液し、洗浄した。
洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)100μlをリザーバに注ぎ4700rpm(2000G)で10秒間遠心して送液した。
室温5分静置後に、分析チップを遠沈管から出して、反応室内で産生されたレゾルフィンの量を蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。0pg/ml、100pg/ml各濃度でのhIL−8の蛍光強度の測定結果を図2に示す。尚、測定条件は励起波長510−560nm、発光波長575−650nm、露光時間10ミリ秒とした。分析のプロトコル(プロフィール)を表1に示す。
Figure 0005136290
比較例1
参考例1で作製した12個の分析チップを用いて、抗原(hIL−8)濃度100pg/mlの検体を、表1で示した分析のプロトコルに従って測定を行った。蛍光強度の平均値、標準偏差、CV値を表2に示す。測定誤差、バラツキを示すCV値は12.7%であった。
測定後の12個の各分析チップを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液150μlで洗浄した。1%BSA含有リン酸緩衝液80μlをリザーバに加え、1800rpm(300G)における2分ごとの反応室通過液量を測定した(図3)。2分後では12個の分析チップ全てにおいて検体液量の50%以上が反応室を通過していることが確認され、3分後では12個の分析チップの内、全てが検体液量の100%未満が反応室を通過した状態、大半のチップが90%未満が反応室を通過した状態であることが図3に示す結果から読みとられた。
各分析チップにおける抗原測定時の蛍光強度と、1800rpm(300G)2分後の反応室通過液量との相関性を確認した(図4)。図4に示す結果から、反応室通過速度の差が蛍光強度に影響を与えており、反応室通過速度の違いが測定誤差の要因となることが示された。
Figure 0005136290
実施例1
参考例1で作製した12個の分析チップを用いて、抗原(hIL−8)濃度100pg/mlの検体80μlの測定を行った。この時、検体および標識抗体液量の50%以上が反応室を通過した時点で、回転速度を約2.6倍上昇させるプロトコル、すなわち分析チップの回転速度を2.6倍へ切り替えるプロトコルを採用し、測定誤差の低減を検討した。表3で示した分析のプロトコルに従って測定を行った。検体および標識抗体溶液の送液工程の75%経過時に分析チップの回転速度を2.6倍へ切り替え。蛍光強度の平均値、標準偏差、CV値を表4に示す。測定誤差、バラツキを示すCV値を8.5%にまで低減させることができた。
測定後の12個の各分析チップを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液150μlで洗浄した。検体溶液80μlをリザーバに加え、1800rpm(300G)における2分ごとの反応室通過液量を測定した(図5)。2分後では12個の分析チップ全てにおいて検体液量の50%以上が反応室を通過していることが確認され、3分後では12個の分析チップ全てにおいて、検体液量の90%未満が反応室を通過した状態、すなわち、検体液量の90%が反応室を通過する前の時点であることが図5に示す結果から読みとられた。
各分析チップにおける抗原測定時の蛍光強度と、1800rpm(300G)2分後の反応室通過液量との相関性を確認した(図6)。図6に示す結果から、反応室通過速度の差が蛍光強度に影響を与えていないことが明らかとなり、反応室通過速度の違いによる測定誤差を大幅に低下させることができた。
Figure 0005136290
Figure 0005136290
実施例2
本実施例においては、検出感度に影響する蛍光強度の低下を抑制しつつ、測定誤差を低減させる検討を行った。
参考例1で作製した12個の分析チップを用いて、抗原(hIL−8)濃度100pg/mlの検体80μlの測定を行った。この時、表3に示すプロトコルに従い6個の分析チップを用いて測定を行い、残る6個の分析チップは表5に示すプロトコルで測定を行った。
表5に示すプロトコルでは、検体および標識抗体溶液の回転による送液の初期すなわち検体および標識抗体の反応室通過量が50%以下の時点すなわち検体または標識抗体液量の50%が反応室を通過する前の時点で、回転速度を約83%にまで低減させる手法、すなわち分析チップの回転速度を約83%に低下させるプロトコルが採用されている。さらに、検体および標識抗体液量の50%以上が反応室を通過した時点で、回転速度を約3.1倍上昇させるプロトコル、すなわち分析チップの回転速度を3.1倍へ切り替えるプロトコルが採用されている。
時間の観点では、検体および標識抗体溶液の回転による送液の初期すなわち検体および試薬の送液工程の約9%の時点で回転速度を83%にまで低減させる手法が採用されている。さらに、検体および標識抗体の回転による送液工程の約82%が経過した時点で、回転速度を約3.1倍上昇させるプロトコルが採用されている。
表3に示した分析のプロトコルおよび表5で示した分析のプロトコルに従って測定を行った。蛍光強度の平均値、標準偏差、CV値を表6に示す。実施例1とほぼ同様に、表3に示すプロトコルでは測定誤差は8.7%であった。これに対し、表5に示すプロトコルでの測定結果は、測定誤差、バラツキを示すCV値を4.3%にまで更に低減させることができた。これは回転速度の上昇倍率を更に高めた効果と考えられる。さらに蛍光強度を311から431にまで、約1.4倍高めることができた。これは、検体および標識抗体の送液初期に、回転速度を低下させたことによる効果と考えられる。
測定後の12個の各分析チップを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液150μlで洗浄した。検体溶液80μlをリザーバに加え、1500rpm(200G)における2分ごとの反応室通過液量を測定した(図7)。1500rpm(200G)4分間で、検体および標識抗体液量の50%が反応室を通過して以降、90%が反応室を通過する前の状態であることが確認された。
表3に示すプロトコルと、測定誤差の低減効果を示すと考えられるプロトコルAを、検体もしくは標識抗体送液時の回転速度の経時変化を表すグラフとしてまとめた(図8A)。
表5に示すプロトコルと、測定誤差の低減効果およびシグナル強度の向上を示すと考えられるプロトコルBおよびプロトコルCを、検体もしくは標識抗体送液時の回転速度の経時変化を表すグラフとしてまとめた(図8B)。
Figure 0005136290
Figure 0005136290
図1は、本発明で用いる分析チップの一例を模式的に示す上面図および断面図である。 図2は、参考例2の測定結果を示す図である。 図3は、比較例1の送液量測定結果を示す図である。 図4は、比較例1の相関性を示す図である。 図5は、実施例1の送液量測定結果を示す図である。 図6は、実施例1の相関性を示す図である。 図7は、実施例2の送液量測定結果を示す図である。 図8は、本発明の測定誤差の低減方法を採用したプロトコルを示す図である。
符号の説明
1 反応室
2 リザーバ
3 耳
4 リザーバ開口部
5 フィルタ圧入穴
A 分析チップ

Claims (5)

  1. 抗原および/または抗体が結合した担体を収容可能な反応室を有する分析チップを、該分析チップ外の回転軸に対して回転させることにより検体および試薬を前記反応室に送液し、該反応室内の被検物質の量を測定する免疫学的分析において、
    反応室に抗原および/または抗体が結合した担体が収容され、
    分析チップの回転により検体を反応室に送液しながら検体中の被検物質を担体に結合した抗原および/または抗体と反応させ、
    検体または試薬液量の全量が反応室を通過する前の時点で、該時点における回転速度に対して分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替えることによる
    免疫学的分析の測定誤差の低減方法。
  2. 分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える時点が、検体または試薬液量の50%以上が反応室を通過した時点である、請求項1に記載の測定誤差の低減方法。
  3. 分析チップの回転速度を2倍以上へ切り替える前に、該切り替え前における回転速度に対して分析チップの回転速度を90%以下に低下させて送液する請求項1又は2に記載の測定誤差の低減方法。
  4. 前記分析チップの回転速度を90%以下に低下させる時点が、検体または試薬液量の50%が反応室を通過する前の時点である、請求項3に記載の測定誤差の低減方法。
  5. 免疫学的分析が2ステップ法である、請求項1から4のいずれかに記載の測定誤差の低減方法。
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