JP5135784B2 - 燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法 - Google Patents

燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池システムにかかり、より詳細には、燃料電池の電極内部に残留する不純物を除去する構成を有する燃料電池システムに関する。
従来、高分子電解質膜を使用した燃料電池スタックを備えた燃料電池システムでは、電解質膜を挟んで両側に燃料室及び酸素室が存在し、燃料室における燃料ガスが燃料極を介し、或いは、酸素室における酸化ガス(主として空気中の酸素)が酸素極を介し、イオン化し、そのイオンを、電解質膜を介して取り出して電力を得ている。
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池に供給されるガスには、塵埃や海塩、燃料電池システムの構成材料などから生じる金属イオンが含まれる。これらの金属イオンは、燃料電池内に進入し滞留すると、高分子電解質膜や電極を構成するイオン交換樹脂と結合してイオン伝導性を低下させ、燃料電池自体の発電性能を低下させてしまうといった問題がある。
このような問題を解決するために、従来では、特許文献1〜3に記載されているように、燃料電池スタックを分解して単位セルを取り出し、或いは電極を触媒層と電解質膜まで分解して酸性水溶液に浸漬させ金属イオンを取り除く方法や、金属イオンと錯体を形成するキレート剤を用いる方法、逆電位を印加する方法、或いは弱酸性雰囲気にさらすなどの方法が採られている。
特開2000−260455号公報 特開2002−42849号公報 特開2004−6416号公報
しかし、上記従来の技術において、酸性水溶液に浸漬させる方法では、単位セルを分解する際や、浸漬させる際に電極が物理的に破損する恐れがある。キレート剤を用いた場合には、キレート剤との生成物が電極内に残量する。逆電位を印加した場合には電極の触媒が流出する。弱酸性雰囲気を用いた場合には、金属イオンの除去が不完全である。などの問題があった。
本発明の目的は、燃料電池の物理的な破損を抑制しつつ、不純物を容易かつ効率良く除去することができる燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法を提供することにある。
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1)高分子電解質膜の一側に燃料極、他側に酸素極を有する燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法であって、
前記燃料電池に供給される酸化ガス又は燃料ガスにNO 、HCl又はH の内いずれか1の酸性ガスを加えながら、燃料電池を動作させ、燃料電池での酸化ガスと燃料ガスとの発電反応によって生じる生成水に酸性ガスを溶け込ますことにより生成水を酸性とし、該生成水によって不純物を洗い流すことを特徴とする燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法。
(2)前記酸性ガス中に水を霧状に噴射することを特徴とする上記(1)に記載の燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法
(3)要時にのみ酸性ガスを供給することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法
請求項1記載の発明によれば、酸化ガス又は燃料ガスとともに酸性ガスが燃料電池に供給されるので、燃料電池での酸化ガスと燃料ガスとの発電反応によって生じる生成水に酸ガスが溶け込むことにより、生成水は酸性となる。この酸性の水によって、燃料電池内に滞留する金属イオンが抽出される。また、生成水は随時作り出されるので、生成水によって抽出された金属イオンは押出され、生成水とともに容易に燃料電池から排出される。また、生成水とともに不純物としての金属イオンが洗い流されるので、生成物の電極内での残留も少ない。
請求項2記載の発明によれば、さらに酸性ガスに接触した水を加えることによって、金属イオンを外部に押し流す効果が増進される。
請求項3記載の発明によれば、要時にのみ、燃料電池の不純物を排出するための再生作業を行なうことができる。これにより、常時酸性ガス供給る必要がなくなり、燃料電池システム全体の大型化を抑制することができる。さらに、通常の発電動作に用いられる構成要素を用いて燃料電池の再生作業をおこなうことができるので、燃料電池の物理的な損傷を抑制しつつ、作業を容易に完了させることが可能となる。
次にこの発明の好適実施形態について説明する。この実施形態は、電気自動車に搭載される燃料電池システムである。図1は、この発明の燃料電池システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されているように、この燃料電池システム1は燃料電池スタック100、水素貯蔵タンク11を含む燃料供給系10、空気供給系12、水供給系50に大略構成される。
図2および図3に基づいて燃料電池スタック100の構成について説明する。図2は、燃料電池スタック10の部分断面側面図、図3は、燃料電池スタックの部分断面斜視図である。 燃料電池スタック100は、単位セル2と、セパレータ3とを備えている。単位セル2は、空気極である酸素極21と燃料極22とで固体高分子電解質膜23を挟持した膜・電極接合体となっている。
セパレータ3は、酸素極21と燃料極22にそれぞれ接触して電流を外部に取り出すための集電部材31と、集電部材31と単位セル2との間に介挿され、単位セル2の周端部に重ねられる介挿部材33とを有している。固体高分子電解質膜23において、燃料として供給された水素と酸化剤として供給された酸素が反応し、電力が得られるとともに、生成水が発生する。
集電部材31は、導電性と耐蝕性を備えた材料で構成されている。集電部材31としては、例えば、カーボンや、金属等の材料で構成されている。金属で構成した場合には、例えば、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金等の材料に耐蝕導電処理を施したものを用いることができる。ここで、耐蝕導電処理とは、例えば、金メッキ等が挙げられる。
集電部材31の、燃料極22に接触する面には、直線状に連続して隆起した凸部311が等間隔で複数形成され、該凸部311の間には、溝312がそれぞれ形成される。つまり、凸部311と溝312は、交互に配置された形状となっている。凸部311は、最も突出した峰の平面部が燃料極22に接触する接触部313となっており、この接触部313を介して燃料極22と通電可能となる。溝312と、燃料極22の表面とによって、燃料ガスとしての水素ガスが流通する燃料ガス流通路315が形成される。
凸部311の両端には、凸部311に直交する方向に溝314、314が形成され、この溝314と燃料極22の表面とによって、燃料ガス流路316が形成される。複数の燃料ガス流通路315は、両端部で燃料ガス流路316にそれぞれ連通した構成となっており、複数の燃料ガス流通路315と一対の燃料ガス流路316とによって、燃料極22へ水素ガスを供給する燃料ガス保持部30が構成される。
燃料ガス保持部30には、燃料ガス供給孔318と燃料ガス排出孔317とが形成され、水素ガスは燃料ガス供給孔318から燃料ガス保持部30内に流入し、燃料極22に水素を供給しつつ、燃料ガス排出孔317から流出する。この実施形態では、集電部材31は、矩形であり、燃料ガス供給孔318と燃料ガス排出孔317は、集電部材31の平面視における図心を中心として点対称の位置に(対角線方向)に、それぞれ配置されている。図2には、燃料ガス供給孔318が示されている。以上のように、燃料ガス保持部30は、各セパレータ3と単位セル2の間にそれぞれ形成されている。
各燃料ガス保持部30の燃料ガス供給孔318は、燃料電池スタック100内の一方の端部において、集電部材31の積層方向に形成されている燃料ガス供給通路319aにそれぞれ連通しており、燃料ガス排出孔317は、燃料電池スタック100内の他方の端部において、集電部材31の積層方向に形成されている燃料ガス排出通路319bにそれぞれ連通している。燃料ガス供給通路319aと各燃料ガス供給孔318によって、燃料ガスを各燃料ガス保持部30に分配する燃料ガスマニホールド34が構成される。一対の燃料ガス排出通路319a、319bの一方は、燃料ガス供給流路201Bに接続され、他方は、ガス循環流路202に接続される。
集電部材31の、酸素極21に接触する面には、直線状に連続して隆起した凸部321が等間隔で複数形成され、該凸部321の間には、溝322がそれぞれ形成される。つまり、凸部321と溝322は、交互に配置された形状となっている。凸部321は、最も突出した峰の平面部が酸素極21に接触する接触部323となっており、この接触部323を介して酸素極21と通電可能となる。溝322と、酸素極21の表面とによって、酸化ガスとしての空気が流通する空気流通路325が形成される。溝322は、集電部材31の両端部に達しており、空気流通路325の上下端は、燃料電池スタック100の外側に連通する開口部と連通している。両端の開口部の一方は、空気が流入する空気流入部326を形成し、他方の開口部は、空気が流出する空気流出部327を形成している。空気流入部326から流入した空気は、空気流通路325において、酸素極22と接触し、酸素極に酸素を供給しつつ、空気流出部327へ導かれる。このように構成された燃料電池スタック100の鉛直上側には、空気マニホールド54が設けられている。空気流入部326の集合体によって導入口43が構成され、空気流出部327によって導出口44が構成される。
次に、図1に示されている燃料電池システムの構成について説明する。燃料供給系10の構成について説明する。燃料ガスボンベである水素貯蔵タンク11には、燃料ガス供給流路201A、201Bを介して燃料電池スタック100のガス取入口に接続されている。燃料ガス供給流路201Aには、水素元バルブ18、一次圧センサS0、第1調圧弁19、二次圧センサS1、第1ガス供給弁20及び第2調圧弁28a、第2ガス供給弁29、三次圧センサS2が順に設けられ、この燃料ガス供給流路201Aは、燃料ガス供給流路201Bの一端に接続されている。また、水素調圧弁28aには、第2ガス供給弁28bが並列に設けられている。燃料ガス供給流路201Bの他端は、燃料電池スタック100のガス導入口INに接続されている。燃料ガス供給流路201Bには、後述する酸ガス供給手段7bを接続するための取入部201Bcと安全バルブSBが設けられている。
燃料電池スタック100のガス排出口OUTには、ガス排出流路202の一端が接続され、その他端は、燃料ガス供給流路201Bに接続され、燃料ガスの循環路が構成される。ガス排出流路202には、燃料電池スタック100のガス排出口側から順に、トラップ24、循環ポンプ25、循環電磁弁26が配置されている。トラップ24には、水レベルセンサS10が取り付けられ、さらに、ガス導出路203の一端が接続されている。ガス導出路203の他端は、空気ダクト124に接続されている。ガス導出路203には、排気電磁弁27aが設けられている。ガス排出流路202の循環ポンプ25下流側と、ガス導出路203の排気電磁弁27aの下流側との間には、ガス流出路204が設けられ、該ガス流出路204には、がす流出弁27bが設けられている。また、ガス排出流路202において、循環電磁弁26の下流側には、ガス導通路205の一端が接続され、ガス導通弁27dが設けられている。ガス導通路205の他端には、フィルタを介して外部に接続されている。
次に空気供給系12について説明する。空気供給系12は、空気導入路123、空気マニホールド54、空気排出路である空気ダクト124等を備えている。空気導入路123には、フィルタ121、空気ファン122、空気マニホールド54の順で流入方向に沿って設けられている。また、空気導入路123には、酸性ガス供給手段から酸性ガスを取り入れるための取入部231が設けられている。
空気導入路123内には、空気マニホールド54内の直前位置に、水を空気導入路123内へ向けて噴射するノズル55が設けられている。液体接触手段としての噴霧装置であるノズル55は、空気マニホールド54内に設けられていてもよい。ノズル55は、霧状にした水を噴射する。噴射された霧状水は、空気導入路123の横断面全域に渡って充満するように、噴射される。また、水は可能な限り細かい粒子となるように噴射される。このように構成することによって、酸性ガスと水とが接触する頻度が増え、水が酸性化することが容易となる。
空気マニホールド54は、燃料電池スタック100の導入口43に空気を分割して流入させる。燃料電池スタック100の空気導出口には、排気マニホールド53A1が接続され、導出口44から排出された空気は、排気マニホールド53A1によって合流され、空気ダクト124へ送られる。また、排気マニホールド53は、導出口44から滴り落ちる水を回収する。空気ダクト124は、導出口44から流出した空気を、凝縮器51を介して外部へ導流する。空気ダクト124の終端部には、ファンが取り付けられた凝縮器51が設けられ、続いてフィルタ125が接続されている。凝縮器51は、空気から水分取り出す。また、ノズル55から供給された水の内、燃料電池スタック100内で蒸発した水分も、ここで回収される。排気マニホールド53で回収された水と、凝縮器51で回収された水は、後述するように、水タンク531へ回収される。空気ダクト124には、排気温度センサS9が設けられ、燃料電池スタック100内の温度が間接的に検出される。
次に、水供給系について説明する。水供給系50は、貯水手段としての水タンク531と、排気マニホールド53と凝縮器51で回収した水を水タンク531へ導く導水路57と、水タンク531の水をノズル55へ導く給水路56とを有する。導水路57には、回収ポンプ62が設けられている。回収ポンプ62は、凝縮器51で排気ガスから取り出された水を、水タンク531へ送り込む。給水路56には、フィルタ64、水供給手段である供給ポンプ61が順に設けられている。水タンク531には、水位センサS5と、貯水量検出手段であるタンク水位センサS7が設けられている。
燃料電池スタック100には、図示しない負荷系が接続されており、燃料電池スタック100で出力される電力は、この負荷系に供給される。燃料電池スタック100の電極は、配線を介してインバータに接続され、インバータからモータなどの負荷に電力が供給される。インバータには、切換回路である双方向コンバータを介して補助電源が接続されている。補助電源は、例えば、バッテリ、キャパシタなどで構成することができる。負荷系回路には、燃料電池スタック100の出力を検出するための電流計と電圧計が設けられている。
次に、酸性ガスを燃料電池スタックへ供給するための酸性ガス供給手段の構成について説明する。図1に示されているように、本発明の燃料電池システム1には、酸性ガスを供給するためのガス配管が適宜接続される。燃料電池の電解質膜に不純物イオンが蓄積されると、燃料電池の出力低下を起こすため、燃料電池の出力をモニターし、出力が所定値以下に到達した場合(例えば、出力(低負荷領域)が10%程度下がた場合)に、不純物イオンを除去するために、酸性ガスを燃料電池に供給する。
以下、酸性ガスとしてNOを供給した場合を例に挙げて説明する。不純物イオンで汚染され高分子電解質膜にNOガスを、酸素極及び燃料極に導入しながら燃料電池スタック100を動作させる。燃料電池スタック100の駆動によって、生成された生成水にNOガスが接触することにより、単位セル2内でHNOが生成される(2NO+HO → HNO+HNO/ 3HNO →HNO+2NO+HO)。
生成されたHNOは、直ちにH及びNO イオンを生成する(HNO+HO → H+NO )。このH(H)イオンは、高分子電解質膜の有するイオン交換サイトであるスルホン酸基(−SO )に結合している不純物イオンを(−SO )にプロトン化することにより、イオン交換サイトを再生する。例えば、不純物イオンがCa2+である場合には、最終的に、排出される生成水中に不純物金属イオンが含まれ(Ca2++2NO)、この不純物イオンは、Ca(NOとして回収される。回収される金属イオンは、Caの他、K, Na, Mg, Sr, Al, B, Si, Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Sn, Pb, In, Ti, Y, Mo, Nb,Tc, Li, Cs, Baなどが挙げられる。
生成水のみでは、不純物金属イオンの排出が不十分である場合には、噴射装置としてのノズル55から水を噴射して、排出を促進させる。
なお、上記酸性ガスとは、例えば、水などの無機溶媒に溶けた場合に酸性水となるガスであって、NOの他、例ええば、SO、HCl、H等が挙げられる。
以上のように、酸性ガスを供給する方法としては、図1に示されているように、燃料電池システム1の配管に、酸性ガスを接続し、燃料電池システム1の有する構成を利用して、酸性ガスを供給する方式が採られる。
空気導入路123に酸性ガスを供給する酸性ガス供給手段7aについて説明する。酸性ガス供給手段7aは、酸性ガスが充填された酸性ガス容器71aと、酸性ガス供給路70aと、開閉弁72aと、調圧弁73aと、圧力センサS3と、供給部としてのコネクタ74aとを備えている。酸性ガス供給路70aの一端は、酸性ガス容器71aに、他端はコネクタ74aに接続され、ガス供給路70aには、酸性ガス容器71a側から順に、開閉弁72a、圧力センサS3、調圧弁73aが順に設けられている。コネクタ74aは、取入部231に着脱自在に接続可能に構成されており、接続状態において、酸性ガスを空気導入路123内へ供給できる構成となっている。調圧弁73aは、容器内の酸性ガスを適正な圧力に減圧する。この実施形態では、気圧程度まで減圧する。圧力センサS3は、酸性ガス容器71aの残量を示す。
燃料ガス供給流路201Bに酸性ガスを供給する酸性ガス供給手段7bについて説明する。酸性ガス供給手段7bは、酸性ガスが充填された酸性ガス容器71bと、酸性ガス供給路70bと、開閉弁72bと、調圧弁73bと、圧力センサS4と、供給部としてのコネクタ74bとを備えている。酸性ガス供給路70bの一端は、酸性ガス容器71bに、他端はコネクタ74bに接続され、ガス供給路70bには、酸性ガス容器71b側から順に、開閉弁72b、圧力センサS4、調圧弁73bが順に設けられている。コネクタ74bは、取入部201Bcに着脱自在に接続可能に構成されており、接続状態において、酸性ガスを燃料ガス供給流路201B内へ供給できる構成となっている。調圧弁73bは、前記第2調圧弁28aによって調圧されたガス圧と同じ圧力に酸性ガスを減圧する。圧力センサS4は、酸性ガス容器71bの残量を示す。
以上のような酸性ガス供給手段7a、7bの作用について説明する。図4は、高分子電解質膜に蓄積された不純物を除去するための手順を示すフローチャートである。図5は、燃料電池スタック100から出力される電力におけるIV特性を示すグラフである。
図5における想像線で示されるように、単位セルのIV性能が不純物イオンによって、通常より10%程度低下した場合(ステップS101)に、燃料電池スタック100を一旦停止し、取入部231、201Bcに、それぞれ酸ガス供給手段7a、7bのコネクタ74a、74bを接続する(ステップS103)。これにより、酸ガスを供給できる状態となる。
次に、再び燃料電池スタック100を起動する(ステップS105)。即ち、空気ファン122を駆動させて空気を燃料電池スタック100へ供給し、かつ、燃料ガス供給流路201Bを介して水素ガスを、燃料電池スタック100へ供給する。
ガス供給手段7a、7bの開閉弁72a、72bを、それぞれ開放する(ステップS107)。これによって、燃料電池スタック100に送られる空気には、酸ガスが混入し、燃料電池スタック100に送られる水素ガスにも、酸ガスが混入する。単位セル2内では、供給された空気中の酸素と水素とによって、発電反応が生じ、生成水が発生するとともに、酸ガスが生成水に接することにより酸性水が生じる。この酸性水によって単位セル2内に蓄積されている不純物金属イオンが除去される。排出された不純物金属イオンを含む生成水は、燃料電池スタック100の外側に排出され、排気マニホールド53で集められ、ポンプ62によってタンク531へ回収される。この際、不純物の排出を促進するために、ノズル55から水を噴射してもよい。噴射された水は、酸性ガスと接触することで酸性となり、より多くの酸性水が得られることとなって、不純物金属イオンの排出が、一層促進される。
また、燃料極側では、生成水と酸ガスの接触によって、酸性水が生成され、単位セルから抽出された不純物イオンを含む水が、ガス排出口OUTからガス排出流路202へ排出され、排出された水は、トラップ24に溜められる。
IV特性が図5における実線の状態へ復帰した場合には、開閉弁72a、72bを閉じる(ステップS109)。所定時間、ノズル55からの噴射を維持して、燃料電池スタック100内から酸性水を洗い流す。その後、燃料電池スタックを停止する(ステップS111)。さらに、取入部231、201Bcから、それぞれ酸ガス供給手段7a、7bのコネクタ74a、74bを取り外す(ステップS113)。トラップ24及び水タンク531に溜められた不純物を含んだ水を回収し、作業を終了する。
以上の通り、取入部に、酸性ガス供給手段の供給部を着脱自在に接続する構成することで、取入部に供給部を要時にのみ接続し、燃料電池の不純物を排出するための再生作業を行なうことができる。これにより、常時酸性ガス供給手段を設ける必要がなくなり、燃料電池システム全体の大型化を抑制することができる。さらに、燃料電池をシステムから取り外すことなく、通常の発電動作に用いられる構成要素を用いて燃料電池の再生作業をおこなうことができるので、システムから取り外す必要がなく、燃料電池の物理的な損傷を抑制しつつ、作業を容易に完了させることが可能となる。
以上説明した構成のほか、酸性ガスは、酸素極又は燃料極の一方のみに供給される構成であってもよい。また、燃料電池スタック100のみを燃料電池システム1から取り外し、直接燃料電池スタック100に酸性ガスを供給する構成としてもよい。
尚、本実施形態にあっては、多数の燃料電池を積層した燃料電池スタックを備えた燃料電池システムに適用したが、燃料電池を面方向に接続した燃料電池集合体に適用しても良いことは言うまでもない。
この発明の燃料電池システム1を示すブロック図である。 燃料電池スタックの部分断面側面図である。 燃料電池スタックの部分断面斜視図である。 フローチャートである。 IV特性曲線を示すグラフである。
符号の説明
1 燃料電池システム
2 単位セル
100 燃料電池スタック
122 空気ファン
123 空気導入路
531 水タンク
53 排気マニホールド
54 空気マニホールド
55 ノズル
61 供給ポンプ

Claims (3)

  1. 高分子電解質膜の一側に燃料極、他側に酸素極を有する燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法であって、
    前記燃料電池に供給される酸化ガス又は燃料ガスにNO 、HCl又はH の内いずれか1の酸性ガスを加えながら、燃料電池を動作させ、燃料電池での酸化ガスと燃料ガスとの発電反応によって生じる生成水に酸性ガスを溶け込ますことにより生成水を酸性とし、該生成水によって不純物を洗い流すことを特徴とする燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法。
  2. 前記酸性ガス中に水を霧状に噴射することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法
  3. 要時にのみ酸性ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池の電極内部に残留する不純物の除去方法
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