JP5129604B2 - 循環流動層燃焼炉 - Google Patents
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従来から、循環流動材による摩耗減肉が懸念されていたため、耐火材直上の蒸発管には溶射被膜が施されていた。
これは、通常、腐食に有用な合金元素であるCrが、高濃度のCl(塩素)環境下、燃料中CL濃度0.2%以上の環境下では耐食性にあまり寄与しないためであり、実際に劣化した高Cr鋼溶射部を起点としてV字型の局部現肉(減肉は循環材によるエロージョンが主因)が進行する問題も発生していた。
該特許文献1には、基材であるチューブとの密着性が高く、剥離のない、高温での耐摩耗性および耐食性に優れた被膜をボイラーチューブの表面に形成する技術が示され、ボイラーチューブの表面の一部あるいは全部を、粗面化処理した後に、マトリックス材を15〜50重量%およびCr3C2を50〜85重量%からなる溶射材粉末を、高速ガス炎溶射法によりボイラーチューブの表面に溶射するものである。
また、溶射被膜の被膜範囲を適正化することによって、低コストで溶射被膜を施すことができる循環流動層燃焼炉を提供することを課題とする。
前記流動材が燃焼炉下部から循環投入され、該燃焼炉下部は燃焼炉耐火材によって形成され、該耐火材の直上に立設される蒸発管には所定の高さ位置まで皮膜材が溶射されるとともに、該皮膜材の溶射を燃焼炉内ドラフト(圧力)が略1KPa以上の領域の範囲内に施し、
さらに、前記燃焼炉は略四角形の断面形状を有し、前記流動材の循環投入口に対向する前壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さを最も高く、次いで該前壁面の反対側の後壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さをその次に高く、左右壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さをその次として溶射対策領域を周壁面に応じて変えることを特徴とする。
炉内においては、粒子濃度が高いほどドラフトが高くなり、この場合、粒子濃度が高いほど被衝突材に衝突する粒子の総量が多くなり、その結果、衝突粒子量が多くなるほど、摩耗量が大きくなる。すなわち、ドラフトが高いほど摩耗量が大きくなることが言える。
このような考えに基づいて、一辺7000mmの四周壁で高さが30000mmの循環流動層ボイラでの壁面の摩耗損傷の状況、およびコンバスタ高さレベルとドラフトとの関係の図6の特性から、ドラフトが略1kPa以上の領域を耐火材、肉盛り、および溶射被膜範囲を施す摩耗対策領域として設定する。
さらに、溶射被膜の被膜範囲を適正化することができるため、低コストで溶射被膜を施すことができる。
さらに、本発明によれば、前記燃焼炉は略四角形の断面形状を有し、前記流動材の循環投入口に対向する前壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さを最も高く、次いで該前壁面の反対側の後壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さをその次に高く、左右壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さをその次として溶射対策領域の高さ位置を周壁面に応じて設定するため、必要な個所だけを溶射すればよく、溶射被膜の領域を必要最小限に抑えることができるため、一層のコスト低減が図れる。
前記したように実際の循環流動層ボイラでの壁面の摩耗損傷の状況より炉低より略15000mmの範囲の摩耗対策が必要であり、耐火材については循環流動層燃焼炉の容量に関係なく、一般に略8000mm確保する必要があるため、その耐火材の直上に立設される蒸発管は、略7000mmの範囲に溶射被膜が施工されるとよい。
すなわち、循環粒子の最小粒径は約50μm(平均粒径120μm)であることから、略25μmの先端部の厚さを形成することで、スムージング部の先端部の削り落とされ量が抑えられ、溶射被膜の先端部からのV字摩耗の発生が抑制される。
また、溶射被膜の被膜範囲を適正化することによって、低コストで溶射被膜を施すことができる。
この図2〜図4は、火炉の使用開始後、所定期間経過後の4周壁に配置されている蒸発管27の素管の磨耗状態を、壁面毎に複数の蒸発管27それぞれについて高さ方向に沿って測定した結果を示すものであり、横軸が肉厚を示し、縦軸が耐火材29の上端からの距離H2を表している。なお、代表的な蒸発管27の測定結果について示している。
一般に、循環流動層の燃焼炉においては、燃焼炉内のドラフトは、排出側の圧力が入口側の圧力より低くなるように燃焼炉内に炉低部からブロワで空気が投入されて、流動材の砂が燃焼炉内を下方から上方へと舞い上がるとともに、排出されるように設定されているため、炉内においては、粒子濃度が高いほどドラフトが高くなり、この場合、粒子濃度が高いほど被衝突材に衝突する粒子の総量が多くなり、その結果、衝突粒子量が多くなるほど、摩耗量が大きくなる。すなわち、ドラフトが高いほど摩耗量が大きくなることが言える。
さらに、溶射被膜の被膜範囲を適正化することができるため、低コストで溶射被膜を施すことができる。
図3に示すように、後壁F4の中央部分に配置された蒸発管27は、H2=約2000mm以下において許容減肉速度を超えているため、この減肉発生領域B(図3)において皮膜材の溶射を行う必要がある。
また、図4に示すように、左右側壁F2、F3に沿って配設される蒸発管27については、許容減肉速度を超える部分が一部の蒸発管で見られ、H2=約1500mm以下において許容減肉速度を超えているため、この減肉発生領域B(図4)の領域において皮膜材の溶射を行う必要がある。
このように、溶射対策領域を前壁F1が最も多く、後壁F4がその次であり、左右側壁F2、F3はその次に少なくてよく、施工領域を縮小でき、従来のような四周壁すべての溶射施工レベルを同一にするのに対して、施工コストの低減を図ることができる。
蒸発管27に施す溶射の先端部分には、循環流動材14の砂によってV字状のV字磨耗が生じるおそれがあるため、溶射皮膜の厚さをなだらかに減少させるように図7に示すようにスムージング部40が形成されている。
溶射皮膜の先端部分では前記したように循環流動材の砂による流動によってドラフトが1kPa程度であり、この先端部分では、砂によって溶射材が削られ、その際には50mm程度削られる傾向にある。
従って、図7に示すように、スムージング部40の長さdを、流動材14の砂によって先端部が50mm程度削り落とされた後の該スムージング部40の先端部の厚さが、流動材14の砂の最小粒径より薄くなるように設定することで、流動材14が先端部の段差に引っかかってスムージング部40の先端部がさらに削り落とされることはなく、スムージング部の傾斜に沿って流れ、蒸発管27の表面の摩耗を抑えることができる。
この先端部から50mmの位置で厚さが25μmの傾斜を確保するには、図7に示すようにスムージング部40の長さd=600mmの長さを確保する必要がある。
2 外部熱交換器
3 循環流動層燃焼装置
5 コンバスタ(燃焼室)
7 サイクロン
9 シールポット
11 空気
13 燃料
14 流動材(循環粒子)
23 高温粒子循環ライン
25 低温粒子循環ライン
27 蒸発管
29 耐熱材
31 開口部(循環投入口)
40 スムージング部
Claims (4)
- 流動層燃焼室の出口側にガス・流動材分離手段を設け、該分離手段により分離された流動材をシールポット、低温粒子循環ライン、及び外部熱交換器を介して再び燃焼室に循環可能に構成された循環流動層燃焼炉において、
前記流動材が燃焼炉下部から循環投入され、該燃焼炉下部は燃焼炉耐火材によって形成され、該耐火材の直上に立設される蒸発管には所定の高さ位置まで皮膜材が溶射されるとともに、該皮膜材の溶射を燃焼炉内ドラフト(圧力)が略1KPa以上の領域の範囲内に施し、
さらに、前記燃焼炉は略四角形の断面形状を有し、前記流動材の循環投入口に対向する前壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さを最も高く、次いで該前壁面の反対側の後壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さをその次に高く、左右壁面に配列される蒸発管の溶射被膜の高さをその次として溶射対策領域を周壁面に応じて変えることを特徴とする循環流動層燃焼炉。 - 前記燃焼炉内ドラフト(圧力)の略1KPa以上の領域が炉低より略14000mmの範囲であり、前記耐火材が炉底より略8000mmの範囲であり、前記溶射被膜の領域が耐火材直上略6000mmの範囲に施工されていることを特徴とする請求項1記載の循環流動層燃焼炉。
- 前記溶射被膜の先端部には被膜の厚さが蒸発管表面になだらかに繋がるようにスムージング部が形成され、流動材によって前記スムージング部の先端が削り落とされた後の該スムージング部の先端の厚さが、流動材の最小粒径より薄くなるように前記スムージング部の長さが設定されることを特徴とする請求項1記載の循環流動層燃焼炉。
- 前記溶射被膜の厚さが300μm程度であり、前記スムージング部の長さが略600mmに設定され、前記流動材による削り落とし量50mmにおいて略25μmの先端部の厚さを形成するように構成したことを特徴とする請求項3記載の循環流動層燃焼炉。
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