JP5129193B2 - 衛星通信システム - Google Patents

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この発明は、地上に配置された複数の通信装置(端末)が中継器である通信衛星を介して通信を行う衛星通信システムに関し、更に詳しくは、衛星通信システムにおける出力調整および干渉の監視方法に関する。
衛星通信においては、天候等の諸条件による信号の減衰、他の衛星通信システムからの干渉、通信速度、自分(自端末)の位置などを考慮したマージンを含めた回線設計がなされ、端末(即ち、地上に配置されている送受信装置)の送信出力を設定している。
そのため、天候がよかったり、他システムからの干渉がない場合は、実際の通信に必要なレベル以上の送信出力で通信を行っている。
従って、端末の能力を最大限に利用していないと共に、端末は余分な電力を送信するので、衛星中継器の電力も必要以上に使用することになって、回線数が取れない等の影響が発生している。
例えば、特開2000−183763号公報(特許文献1)に示されている「送信出力制御回路」では、TDMA(Time Devision Multiple Access:時分割多重接続)方式に
よるバースト通信において、自分(自端末)の通信波の位相誤差を小さくするために電力制御を行っているが、通信回線数や通信速度なども考慮した衛星通信システム全体としての電力制御および衛星中継器の有効利用は考慮されていない。
特開2000−183763号公報
衛星通信では、天候による信号の減衰、衛星覆域の特性、他の衛星通信システムからの干渉等により、通信状態が常に変動する要素を持っている。
従って、「天候による信号の減衰が最大」、「他のシステムからの干渉が最大」、「衛星覆域の最悪条件(覆域の端)」が全て重なった最悪条件下での送信出力を規定している。
しかしながら、実運用においては、全ての条件が重なることはまれであり、通常は余分な電力を送信している状況である。
そのため、衛星中継器のリソースを無駄に使用していたり、衛星中継器において、他の通信波へ余計な干渉を与えたりしている。
端末では、通信速度に必要な電力として最悪条件下での出力を規定しているため、干渉等の影響が少ない状況下においても、通信のための電力を無駄に使っている。
また、余分な電力を送信するため、必要以上に周囲(即ち、近接する他の端末あるいは通信衛星を共用する他の通信回線など)へ干渉を与えている。
そのため、受信側の端末にて通信状況をリアルタイムにモニタして回線状態を確認し、現在の通信に必要な送信出力(電力)を把握する必要があった。
また、通信状況のモニタ結果から送信出力に余裕がある場合は、無駄な電力使用を抑制するために、送信出力を制限する必要があった。
また、他システムとの干渉を回避するために、送信レベルと空中線特性から干渉を与える範囲を計算する必要があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、衛星中継器における余分な電力使用を抑制し、衛星中継器能力を有効に使用することができる衛星通信システムを提供することを目的とする。
本発明に係る衛星通信システムは、中継器である通信衛星を中継して、第1の通信装置と第2の通信装置の間で通信を行う衛星通信システムであって、
前記第1の通信装置は、前記中継器を中継して前記第2の通信装置に送信する信号の送信レベルを調整する送信レベル調整手段と、該送信レベル調整手段でレベル調整された出力信号を送出する信号出力手段と、前記信号出力手段が送信する出力信号の電力レベルと空中線特性に基づいて干渉を与える範囲を計算する干渉範囲計算手段と、干渉範囲計算手段が計算した干渉範囲を表示する表示手段を備え、
前記第2の通信装置は、前記中継器を中継して前記第1の通信装置から送信されてくる信号を受信する信号受信手段と、該信号受信手段が受信する信号の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、該受信レベル検出手段の検出結果に基づいて通信に必要な電力レベルに対する余分な電力レベルを算出する余分電力算出手段を備え、
前記第1の通信装置の前記送信レベル調整手段は、前記余分電力算出手段の算出結果に対応して、前記信号出力手段が出力する信号の受信状態を調整するものである。
本発明では、送信レベル調整手段によって余分な送信出力を制限することにより、衛星中継器における余分な電力を使用する必要がなくなり、中継器に収容できる回線数等で、衛星中継器能力を有効に使用することができる。
また、干渉を与える範囲を確認できるため、自端末の位置に対応して通信の制御(通信可/不可の判断)が可能となる。
本発明による衛星通信システムを説明するための図である。 干渉範囲改善を説明するための概念図である。 端末A(第1の通信装置)の構成例を示す図である。 本発明の制御シーケンスを示す図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明による衛星通信システムを説明するための図である。
図1(a)は、端末A(第1の通信装置)から中継器(衛星通信)2を介して端末B(第2の通信装置)へ余分な電力制限することなく送信信号を出力している場合を示している。
図1(b)は、本発明を適用した衛星通信システムの運用状態を概念的に説明するための図であり、余分出力の制限を指示した場合を示している。
図1において、1は端末A(第1の通信装置)、2は中継器(通信衛星)、3は端末B(第2の通信装置)、4は端末A(第1の通信装置)から端末B(第2の通信装置)への通信回線、5は端末B(第2の通信装置)から端末A(第1の通信装置)への通信回線である。
また、6は中継器2の容量(即ち、中継器2が増幅できる電力容量)、6aは送信電力制御前の端末Aから送信された信号の中継器2での電力レベル、7は送信電力制御前の端末Aの送信出力、8は送信電力制御前の端末Aからの受信レベル、8aは減衰量、8bは余分な電力、8cは通信に必要な電力レベルである。
また、9は送信電力制御後の端末Aから送信された信号の中継器2での電力レベル、10は送信電力制御後の端末Aの送信出力、11は送信電力制御後の端末Bの受信レベル(通信に必要な電力レベル)である。
本発明では、図1(b)に示すように、算出した余分な電力量について、端末Bから端末Aへの回線にて伝送することにより、端末Aから送信される送信出力レベルの余剰な電力情報を通知する。
これを受け、端末Aでは余剰な電力を制限することにより、通信状況に対応した最適な送信レベルで通信を行う。
なお、余分な電力量の算出は、例えば、以下のように行う。
(1)通信速度対して必要な電力量を決める。(通信速度から必要な電力量を算出する。)
(2)受信している信号の電力レベル(電力量)を算出する。
(3)「受信している信号の電力量」から「通信速度から求めた必要な電力量」を引く。
図2は、端末からの送信出力による他システムへの干渉範囲改善を説明するための概念図であり、図(a)は送信電力制御前の状態を示しており、図(b)は送信電力制御後の状態を示している。
図2において、21は送信電力制御前の干渉範囲、22は送信電力制御後の干渉範囲である。
端末Aから送信する場合に、送信出力に合わせた干渉範囲を計算し表示する。
図2に示すように、送信電力を制御して端末の送信レベルを下げることにより、下げたレベルでの干渉範囲(即ち、干渉範囲22)を表示し、自分の干渉範囲を把握する。
ここで、送信電力制御後の干渉範囲22は送信電力制御前の干渉範囲21よりも小さくなっている。
なお、干渉範囲とは、当該システムの通信装置から中継器を介して他システムの通信装置(通信回線)に影響を与える範囲のことであり、自分のアンテナパターン(アンテナ特性)と送信している電力レベル、通信方式などから算出する。
なお、上記説明は、2つの端末(通信装置)間の干渉について記述したものであるが、実際は複数の端末が通信を行っている。
それぞれの端末の通信レベルを把握することにより、通信衛星へ入力される電力の状態および各端末の通信レベルから、相互の通信回線への影響および通信衛星の電力使用状況などを把握することができる。
即ち、システム全体として送信レベルの状況を把握し、端末全体の干渉の状況を把握することができる。
図3は、例えば、端末A(第1の通信装置)の構成例を示す。図3において、31は空中線(アンテナ)、32は空中線制御部、33は送信機、34は変復調器、35はレベル調整部、36はレベル検出部、37は干渉レベル計測部、38は干渉レベル表示部である。
ここで、空中線制御部32は空中線31を衛星方向へ向ける制御を行う。復調器34は通信を行うためにデジタル信号を変調あるいは復調する。レベル調整部35は送信出力を適正レベルに調整する。レベル検出部36は受信信号の信号レベルを検出する。干渉レベル計測部37は自分の送信レベルから干渉範囲、強度を算出する。
端末A(第1の通信装置1)は、通信相手である端末B(第2の通信装置3)から伝送される受信レベル情報を受けて、レベル調整部35によって送信機33の送信出力を調整する。
また、レベル検出部36は、受信信号から受信信号のレベルを検出し、通信に必要なレ
ベルとの差異を算出する。
算出したデータは、通信回線を介して端末B(第2の通信装置3へ情報を伝送する。
端末Aは、初期の送信レベルと空中線の指向方向などから、干渉レベルを計算し、干渉範囲等を表示する。
また、制御により送信レベルを変更することにより、変更した送信レベルでの干渉範囲を算出して表示する。
なお、干渉レベルは、端末の自分の位置、衛星方向(方位、仰角)と合わせ、空中線のパターンと送信している電力レベル、通信方式から算出する。
図4は、本発明による衛星通信システムにおける制御シーケンスを示す図である。
図4において、41は送信局であり、図1の端末A(第1の通信装置)に相当する。
42は、受信局であり、図1の端末B(第2の通信装置)に相当する。
また、43はシステム全体の制御を行う機能を有したシステム統制装置である。
システム統制装置43は、端末A(第1の通信装置)および端末B(第2の通信装置)の通信状況から、衛星中継器内での干渉状況、端末使用状況を把握し、他システムの端末の通信も含めてシステム全体をコントロールする。
以上説明したように、本発明による通信衛星システムは、中継器である通信衛星を中継して第1の通信装置と第2の通信装置の間で通信を行う衛星通信システであって、
第1の通信装置1は、中継器2を中継して第2の通信装置3に送信する信号の送信レベルを調整する送信レベル調整手段と、送信レベル調整手段でレベル調整された出力信号を送出する信号出力手段を備え、第2の通信装置3は、中継器2を中継して第1の通信装置1から送信されてくる信号を受信する信号受信手段と、信号受信手段が受信する信号の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、受信レベル検出手段の検出結果に基づいて通信に必要な電力レベルに対する余分な電力レベルを算出する余分電力算出手段を備え、第1の通信装置1の送信レベル調整手段は、余分電力算出手段の算出結果に対応して信号出力手段が出力する信号の受信状態を調整する。
従って、送信レベル調整手段によって余分な送信出力を制限できるので、衛星中継器において余分な電力を使用する必要がなくなり、衛星中継器能力を有効に使用することができる。
本発明は、衛星中継器における余分な電力を抑制し、衛星中継器能力を有効に使用することができる衛星通信システムの実現に有用である。
1 端末A(第1の通信装置) 2 中継器(通信衛星)
3 端末A(第1の通信装置) 4 端末Aから端末Bへの通信回線
5 端末Bから端末Aへの通信回線 6 中継器の容量
6a 送信電力制御前の端末Aから送信された信号の中継器での電力レベル
7 送信電力制御前の端末Aの送信出力
8 送信電力制御前の端末Aからの受信レベル
8a 減衰量 8b 余分な電力 8c 通信に必要な電力レベル
9 送信電力制御後の端末Aから送信された信号の中継器での電力レベル
10 送信電力制御後の端末Aの送信出力
11 送信電力制御後の端末Bの受信レベル(通信に必要な電力レベル)
21 送信電力制御前の干渉範囲 22 送信電力制御後の干渉範囲
31 空中線(アンテナ) 32 空中線制御部
33 送信機 34 変復調器
35 レベル調整部 36 レベル検出部
37 干渉レベル計測部 38 干渉レベル表示部
41 送信局 42 受信局
43 システム統制装置

Claims (4)

  1. 中継器である通信衛星を中継して、第1の通信装置と第2の通信装置の間で通信を行う衛星通信システムであって、
    前記第1の通信装置は、
    前記中継器を中継して前記第2の通信装置に送信する信号の送信レベルを調整する送信レベル調整手段と、
    該送信レベル調整手段でレベル調整された出力信号を送出する信号出力手段と、
    前記信号出力手段が送信する出力信号の電力レベルと空中線特性に基づいて干渉を与える範囲を計算する干渉範囲計算手段と、
    該干渉範囲計算手段が計算した干渉範囲を表示する表示手段を備え、
    前記第2の通信装置は、
    前記中継器を中継して前記第1の通信装置から送信されてくる信号を受信する信号受信手段と、
    該信号受信手段が受信する信号の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、
    該受信レベル検出手段の検出結果に基づいて通信に必要な電力レベルに対する余分な電力レベルを算出する余分電力算出手段を備え、
    前記第1の通信装置の前記送信レベル調整手段は、前記余分電力算出手段の算出結果に対応して、前記信号出力手段が出力する信号の受信状態を調整することを特徴とする衛星通信システム。
  2. 前記受信状態は、受信信号の電力レベルあるいはノイズレベルであることを特徴とする請求項1に記載の衛星通信システム。
  3. 前記余分電力算出手段の算出結果から、前記信号出力手段から送信する送信出力に余裕がある場合は、前記送信レベル調整手段は、送信出力のレベルを通信に必要なレベルに調整することを特徴とする請求項1または2に記載の衛星通信システム。
  4. 前記した各手段が検出あるいは調整するレベル情報に基づいて、システム全体を統制・制御するシステム統制装置を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛星通信システム。
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