JP2008136002A - 無線通信システムおよび無線基地局 - Google Patents

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勝洋 浅野
Kazumori Katou
数衛 加藤
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勝 安達
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Abstract

【課題】 前進基地局と主無線基地局の送信時間差による同一波干渉の問題を解決することのできる無線通信システム及び無線基地局を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの無線基地局と、該無線基地局に接続される前進基地局と、複数の移動無線局とより構成された無線通信システムにおいて、前記無線基地局は、当該無線基地局とこれに接続される前記前進基地局間を接続する経路に基づく遅延時間を設定する遅延時間設定手段を備え、該遅延時間設定手段が設定する遅延時間分を遅延させて、当該無線基地局の送信アンテナから送信信号を輻射することで、当該無線基地局の送信アンテナからの輻射タイミングと、前記前進基地局の送信アンテナからの輻射タイミングとがほぼ同等となることを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、無線端末装置と無線基地局とが無線により通信する無線通信システムに関し、特にディジタル無線通信システムの同一波干渉の影響を軽減する技術に関するものである。
無線基地局と複数の移動無線局により構成されるデジタル無線通信システムが、広く普及している。そのような無線システムとしてたとえば、PDC(Personal Digial Cellular)システム、MCA(Multi-Channel Access)システム、あるいは公共業務用デジタル移動通信システム等がある。
これらの無線通信システムでは、屋内や地下街等の電波の届きにくい特定のエリアにおける通信を確保するために前進基地局を設置する場合がある。
前進基地局は、同軸ケーブルや光ケーブルを介して主無線基地局の送受信信号を所望の場所まで延長し、当該エリアに存在する移動局と通信する機能をもつものであり、新たな基地局を設置するよりも低コストでエリア拡大が可能になるというメリットがある。
また光ケーブルで接続する場合は、10数キロ以上の遠方であっても前進基地局が設置可能である。
図1は、従来の無線システムの一例である。
図1に示す例では、局舎11に設置した主無線基地局12は主アンテナ13を介した無線通信と、別の建物18に設置した、前進基地局16に接続する屋内アンテナ15を介した無線通信により無線通信エリアを構成している。
また前記主無線基地局12と前記前進基地局16は光ケーブル19にて接続される。
屋外に存在する移動局(例えば、車載端末14、携帯端末17-3)は、専ら前記主アンテナ13を介して無線通信を行い、屋内に存在する移動局(例えば、携帯端末17-1、17-2)は専ら屋内アンテナ15を介した無線通信を行う事を想定した回線設計が成されるのが一般的である。
しかし、前記主アンテナ13から輻射される電波は、壁面からの透過や回折等により、前進基地局16による通信エリアが形成する屋内まで漏れ込む場合がある。
特に窓ガラスから透過する電波は時として屋内アンテナから輻射される電力と同等レベルで受信される場合があり、このような状況において同一波干渉が発生する。
また、室外であっても窓ガラス付近にある端末(車載や携帯)の場合、主アンテナ13と屋内アンテナ15の同一干渉波が発生する場合がある。
例えば、空港エリア内に存する航空機の安全性やユーザの快適性を確保するという空港向けのマルチチャネルアクセス(MCA:Multi Channel Access)無線システムが、電波産業会(ARIB)により、空港内デジタル移動通信システム(ARIB STD T−87)として規格化されており、このシステムにおいても前進基地局を備える場合がある。
ARIB STD−T87 「空港内デジタル移動通信システム」、社団法人、電波産業会
上述したような無線システムにおいて、前記前進基地局を屋内に設置し、かつ前進基地局を設置する建物と、主無線基地局との距離が近い場合に、主無線基地局からの電波と前進基地局の電波の間による同一波干渉を起こす通信エリアが形成される。
図2は、上述した図1の無線システムの干渉を説明する図である。
たとえば、前記携帯端末17-1を使用する場所から、窓ガラス越しに主アンテナ13が見通せるような環境において通信を行う場合、携帯端末17-1の受信部では、図1の経路Aの伝播路を通る受信信号A(すなわち図2-(1))と、経路Bの伝播路を通る受信信号B(すなわち図2-(2))のレベル差が小さい場合の受信信号は受信信号A+B(すなわち図2-(3))のように前記受信信号Aと前記受信信号Bを加算した信号となり、同一波干渉による受信品質の劣化が発生する。
この原因としては、主無線基地局12と前進基地局16とを接続する光ケーブルの伝送遅延時間と経路Bの空間伝送遅延時間の和と、経路Aの空間伝送遅延時間との差(すなわち図2(2)の「ΔT」)による。
一般に移動体通信では、上述したような光ケーブル伝送遅延時間と経路Bの空間伝送遅延時間の和と、経路Aの空間伝送遅延時間の差(ΔT)が、変調信号のシンボル周期に対して十分小さければフラットフェージングとみなせるので、たとえば変調方式にQPSK(Quaternary Phase Shift Keying)を適用する場合、前期ΔTがシンボル周期の1/10程度以下であれば周波数選択性フェージングの影響は無視できるレベルで済む。
しかし、例えば光ケーブルの長さが数百m〜数kmにおよぶシステムの場合、前記ΔTは無視できない大きさになり、伝搬環境はマルチパス環境になり、無線通信品質が大きく劣化してしまうという問題がある。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、前進基地局と主無線基地局の送信時間差による同一波干渉の問題を解決することのできる無線通信システム及び無線基地局を提供する事を目的とする。
上記従来の問題点を解決するため請求項1に記載の発明は、少なくとも1つの無線基地局と、該無線基地局に接続される前進基地局と、複数の移動無線局とより構成された無線通信システムにおいて、前記無線基地局は、当該無線基地局とこれに接続される前記前進基地局間を接続する経路に基づく遅延時間を設定する遅延時間設定手段を備え、該遅延時間設定手段が設定する遅延時間分を遅延させて、当該無線基地局の送信アンテナから送信信号を輻射することで、当該無線基地局の送信アンテナからの輻射タイミングと、前記前進基地局の送信アンテナからの輻射タイミングとがほぼ同等となることを特徴とする。
上記従来の問題点を解決するため請求項2に記載の発明は、前記請求項1記載の無線通信システムであって、前記無線基地局に試験信号を入力し、該入力した試験信号を当該無線基地局及び前進基地局間の接続ケーブルを伝送させて、前進基地局にて折り返し、該折り返した試験信号を当該無線基地局に前記接続ケーブルを伝送させて入力することにより伝送遅延時間を測定し、該測定した伝送遅延時間に基づいて前記遅延時間設定手段の遅延時間の設定を行うことを特徴とする。
上記従来の問題点を解決するため請求項3に記載の発明は、無線基地局と、該無線基地局に接続される前進基地局と、複数の移動無線局とより構成された無線通信システムの無線基地局において、該無線基地局に接続される前記前進基地局間を接続する経路に基づく遅延時間を設定する遅延時間設定手段を備え、同一の送信ベースバンド信号を元に、直交変調、帯域制限、周波数変換等を行って送信RF信号を生成する少なくとも2つの送信部を備え、前記少なくとも2つの送信部のうち当該無線基地局の送信アンテナに接続された送信部には、前記遅延時間設定手段が接続され、該遅延時間設定手段が設定する遅延時間分を遅延させて、当該無線基地局の送信アンテナから送信信号を輻射することを特徴とする。
本発明によると、前進基地局と主無線基地局の送信時間差による同一波干渉の問題を解決することのできる無線通信システム及び無線基地局を提供することができる。
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図3は、前進基地局を設置する場合の無線基地局(主無線基地局)の構成例を示しており、無線基地局の送信側では、回線制御装置から入力される送信信号をもとに送信部31において、変調処理および周波数変換等を行い送信RF信号を生成する。
次に前記送信RF信号は、分配器32にて分配され、一方はPA33にて電力増幅して主アンテナ(送信)34を介して空間に輻射され、もう一方は、光中継装置38内部の電気/光変換器にて光信号に変換され、光ファイバを介して前進基地局に接続する。
受信側では前進基地局が光ファイバを介して送信する光信号に変換された受信信号を前記光中継装置38内部の光/電気変換器にて電気信号に変換した後、共用器36に入力される。
共用器では前記、光中継装置出力と主アンテナ(受信)37からの受信入力信号を合成して受信部35に供給する。
前記受信部35では受信信号を増幅し、周波数変換、復調処理を行って受信信号を再生する。
ここで同一の端末からの受信データについては、共用器36または受信部35において、例えばダイバーシチ手段による合成や、主無線基地局内の等化手段(図示せず)により干渉波対策を行うことができる。
図6は、本発明の実施の形態に係る前進基地局の構成ブロック図の一例である。
前述した図3の無線基地局の光中継装置38(電気/光変換器)から光ケーブルを介して光信号である送信RF信号が入力されると、光中継装置68の光/電気変換器により電気信号に変換され、PA62により電力増幅されて屋内アンテナ15(副送信アンテナ63)より輻射される。
また、屋内アンテナ15(副受信アンテナ65)より受信した受信信号は、光中継装置68の電気/光変換器により光信号に変換され、光ケーブルを介して無線基地局の光中継装置38(光/電気変換器)に入力される。
なお、副受信アンテナ65より受信した受信信号は、所定のRF信号変換や増幅処理などを行った上で光/電気変換して無線基地局へ送信されるようにしても良い。
このように無線通信システムの基地局構成を、主無線基地局と前進基地局との装置構成とする事により、主アンテナと前進基地局を用いた同時通信が可能になり、通信エリアの拡大が実現できる。
ここで、前述の図2を用いた説明にあるように、例えば、携帯端末47-1を使用する場所から、窓ガラス越しに主アンテナが見通せるような環境において通信を行う場合、携帯端末47-1の受信部では、主無線基地局からの電波(経路Aの伝播路)と前進基地局からの電波(経路Bの伝搬路)との到来電波の時間差が発生してしまう。
そこで、同一波干渉によるマルチパス伝搬環境で良好な通信品質を確保する手段として、各無線端末(47-1、47-2)に適応等化器を実装することにより、干渉波の除去を行うことができる。
または、各無線端末(47-1、47-2)にダイバーシチ機能を実装することにより、ある程度の干渉波の除去を行うことができる。
すなわち、無線端末に適応等化器、若しくはダイバーシチ機能、若しくはこれら両方を備えることで、システムとしてトータル的に干渉波除去を行う無線システムを構築することができる。
しかし、前記適応等化器を無線端末に実装するために必要となる信号処理は複雑であり、しかも対応可能な遅延ひろがり時間幅を大きくして設計した場合、適応等化器の実装に要する計算量は指数関数的に増大してしまう。
また、適応等化器は本質的に感度特性に悪影響を与えることもあり、ダイバーシチ受信機を持たない無線端末に適用した場合に、不感エリアの増大等といった問題が発生することがある。
無線端末に適応等化器やダイバーシチ機能を搭載することは、無線端末そのものの回路規模が大きくなり、消費電力も大きくなり、また、各無線端末に各種回路を実装する必要があるため、無線システムのトータルコストが増大してしまう。
そこで、主無線基地局からの電波(経路Aの伝播路)と前進基地局からの電波(経路Bの伝搬路)との到来電波の時間差の発生を、基地局側で抑える実施の形態を次に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る無線システムのシステムブロック図の一例である。
局舎41に設置した信号遅延回路を備えた無線基地局42は主アンテナ43を介した無線通信と、別の建物48に設置した、前進基地局46に接続する屋内アンテナ45を介した無線通信により無線通信エリアを形成する。
また、前記信号遅延回路を備えた無線基地局42と前記前進基地局46は光ケーブル49にて接続される。
また、屋外に存在する移動局(車載端末44、携帯端末47-3)は、専ら前記主アンテナ43を介して無線通信を行い、屋内に存在する移動局(携帯端末47-1、47-2)は専ら前記屋内アンテナ45を介した無線通信を行う事を想定した回線設計がされる。
前記前進基地局46による輻射は、無線基地局42による輻射に比較して、前記光ケーブル49を通過することにより時間的な遅れが発生してしまうが、本実施の形態では前記主アンテナ43から輻射する電波の送信タイミングを所定時間、遅延させて前進基地局46の形成する通信エリアにおける、前記二つの異なるアンテナ(主アンテナ43、屋内アンテナ45)から到来する電波のタイミングを一致させるように制御する。
具体的には、前記携帯端末47-1を使用する場合、この携帯端末47-1の受信部で観測される経路Aの伝播路を通る受信信号と、経路Bの伝播路を通る受信信号が、同時に到来するように、信号遅延回路を備えた無線基地局42においてタイミング補正を与える。
遅延時間の補正値は、適用するシステムに応じて最適値を設定する必要がある。(すなわち、基本的には光ケーブル49の長さ、及び、前進基地局の処理時間に応じて設定される)
そこで、図4の経路(1)による伝播時間(すなわち、無線基地局42の送信信号が主アンテナ43を介して経路A(屋外)、経路A(屋内)を経て屋内エリアに到達する時間)と、経路(2)による伝播時間(すなわち、無線基地局42から光ケーブル49を経て、経路Bを通って屋内エリアに到達する時間)が、一致するように設定する。
そして遅延時間の設定は、例えばパソコン等の保守端末により無線基地局42に記憶する。
図5は、本発明の実施の形態に係る無線基地局の構成ブロック図の一例である。
この図5は、信号遅延回路を備えた無線基地局であり、すなわち、二つの送信部(遅延信号送信部51、送信部54)と、それらが発生する送信信号に時間差を与える機能(遅延回路51-1)を有する。
まず、回線制御装置から入力される送信信号をもとに送信ベースバンド信号処理部50において、変調処理、フレーミング処理等、送信すべき無線信号に必要とされるベースバンド信号処理を施し、送信複素ベースバンド信号(I,Q)を生成して、遅延信号送信部51および送信部54に出力する。
前記遅延信号送信部51では、遅延回路51-1において前記送信複素ベースバンド信号に、例えば保守端末から設定する遅延時間分だけ遅延を与えて、遅延後送信複素ベースバンド信号として出力する。
なお設定する遅延時間は適用するシステムに応じた最適な値を設定する。
次に、前記遅延後送信複素ベースバンド信号は遅延信号送信RF部51-2にて直交変調、帯域制限、周波数変換等を行い遅延送信RF信号をPA52に出力する。
前記遅延送信RF信号は前記PA52において電力増幅した後、主アンテナ(送信)53を介して空間に輻射される。
また、前記送信部54では前記送信複素ベースバンド信号の直交変調、帯域制限、周波数変換等を行い送信RF信号を生成する(すなわち、遅延信号送信RF部51-2と同等)。
その後、前記送信RF信号は光中継装置58内部の電気/光変換器にて光信号に変換され、光ファイバを介して前進基地局に接続する。
受信側では、前進基地局にて受信した信号は光ファイバを介して前記光中継装置58に入力された後、光中継装置内部の光/電気変換器において電気信号に変換される。
その後、電気信号となった受信信号は共用器57に入力される。
共用器57では前記光中継装置58の出力と主アンテナ(受信)55からの受信入力信号を合成して受信部56に供給する。
前記受信部では受信信号を増幅し、周波数変換、復調処理を行って受信信号を再生する。
このように図5による本実施の形態は、前進基地局と主無線基地局の送信時間差による同一波干渉の問題の対策を無線基地局側で実現し、トータルコストを抑えつつ、最適な通信環境を実現できる無線通信システムとすることができる。
すなわち、無線端末に適応等化器やダイバーシチ機能を搭載することなく、基地局側のみでの干渉波対策により無線システムを実現している。
したがって本図5の実施の形態は、主アンテナから輻射する送信信号に、前進基地局までの接続経路で発生する遅延時間に相当する遅延時間を与えて送信する機能をもつ基地局を備えた無線システムを構成することにより、同一波干渉低減を実現するものである。
ここで、遅延時間は、一般的には光ケーブル長に依存するため、予め、前進基地局を設置する際に(若しくは設置予定時)にケーブル長に応じて、演算して設定、記憶しておくことによる。
しかし、この遅延時間は無線システムの柔軟性のためには、ハードウェア的に固定値とするのではなく任意に設定できる事が好ましい。
そこで前述した図5の無線基地局の遅延回路51-1に遅延時間を設定する具体的な実施例を説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る遅延時間の測定及び設定を説明するブロック図の一例である。
この図7は、前述した本発明の実施の形態である、図4のシステムブロック図、図5の無線基地局(一部抜粋)構成ブロック図、図6の前進基地局の構成ブロック図、の各構成ブロックに基づいている。
無線基地局と前進基地局とは、光ファイバ(光ケーブル)による接続されるが、この光ケーブルによる伝送遅延時間を保守端末により測定し、設定するものである。
前進基地局には無線基地局から送信された光信号を折り返すための試験スイッチ72を光中継装置68(光/電気変換器)の前段に備え、また、無線基地局には前記折り返された光信号が光中継装置58に入力され光/電気変換器により電気信号に変換された信号を取り出す試験スイッチ71を光中継装置58(光/電気変換器)と共用器57の間に備える。
そして、保守端末より無線基地局の送信部54に試験信号を入力し(図中(1))、送信部54は所定の変調等を行い光中継装置58(電気/光変換器)に入力し(図中(2))、光中継装置58(電気/光変換器)により光信号に変換して出力する(図中(3))。
この出力された信号は試験信号であるため、前進基地局の試験スイッチ72にて折り返され(図中(4))、光中継装置68(電気/光変換器)の出力と同等の信号(すなわち、前進基地局が端末より受信した信号と同等の信号)として無線基地局の光中継装置58(光/電気変換器)に入力される(図中(5))。
入力された信号は、光中継装置58(光/電気変換器)により電気信号に変換されて出力され(図中(6))、これを試験スイッチ71により保守端末に入力し(図中(7))、保守端末において光ケーブルによる遅延時間を測定し、測定結果を遅延時間として遅延回路51-1に出力して設定する(図中(8))。
ここで、遅延時間の具体的な測定演算は、前述の保守端末から送信部54への出力タイミング(図中(1))と、保守端末への試験スイッチ71からの入力タイミング(図中(7))のほぼ半分の時間に屋内アンテナ設置場所における無線基地局からの信号の到来時間(空間伝送による遅延分)を差し引いた時間が相当するものである。
なお、前進基地局は試験スイッチ72を光中継装置68の後段に備え、また、無線基地局は試験スイッチ71を光中継装置58の光/電気変換器の入力前段に備えることで、光信号の伝送時間を測定しても前述した図中(1)から(8)までによる測定時間とほぼ同等の遅延時間の測定を行うことができる。
なお、試験スイッチ71、試験スイッチ72は、信号の取り出し機能としているため、このような信号取り出し機能を各光中継装置58及び68の内部に備えることもでき、若しくは、保守端末のソフト的な機能として各光中継装置58及び68に光中継装置58及び68にコネクタ接続することにより信号の取り出しを行うこともできる。
また、本実施の形態では光ケーブルによる遅延時間の測定と設定としたが、光ケーブルではなく例えば、同軸ケーブルとする場合にも同様の構成とすることができる。
すなわち、無線基地局と前進基地局とを接続するケーブルについて、まず無線基地局に実際の信号を試験信号として入力し、この試験信号をケーブルを介して前進基地局まで入力し、これを折り返して無線基地局に入力するまでの実時間を測定することで、運用中の伝送遅延のほぼ2倍の時間を測定することができ、これを2分の1とする時間(すなわち、往復の半分の時間)とする遅延時間を設定することで、無線基地局及び前進基地局からの輻射タイミングがほぼ同一タイミングとするものである。
以上、詳述したように本発明の実施の形態によれば、基地局と、前進基地局と、複数の移動無線局とにより構成されるデジタル無線通信システムにおいて、前記基地局に直接接続する主アンテナから輻射する送信信号に、前記基地局と前記前進基地局間を接続する経路で発生する遅延時間に相当する遅延時間を与える機能をもつ基地局を備えた無線通信システムとすることができる。
また、このような無線通信システムに適用する基地局であって、同一の送信ベースバンド信号を元に、直交変調、帯域制限、周波数変換等を行って送信RF信号を生成する二つ以上の送信部をもち、前記送信部のうち主アンテナから輻射する送信信号に、任意の遅延時間を与える機能を有する基地局装置とすることができる。
ここで、本発明に係る無線通信システムや無線基地局や前進基地局、端末装置の構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
従来の無線システムの一例。 従来(図1)の無線システムの干渉を説明する図。 前進基地局を設置する場合の無線基地局の構成例。 本発明の実施の形態に係る無線システムのシステムブロック図の一例。 本発明の実施の形態に係る無線基地局の構成ブロック図の一例。 本発明の実施の形態に係る前進基地局の構成ブロック図の一例。 本発明の実施の形態に係る遅延時間の測定及び設定を説明するブロック図の一例。
符号の説明
11:局舎、12:主無線基地局、13:主アンテナ、18:別の建物、16:前進基地局、15:屋内アンテナ、19:光ケーブル、14:車載端末、17−1〜17−3:携帯端末、
41:局舎、42:無線基地局、43:主アンテナ、48:別の建物、46:前進基地局、45:屋内アンテナ、49:光ケーブル、44:車載端末、47−1〜47−3:携帯端末、
31:送信部、32:分配器、33:PA(増幅器)、34:送信主アンテナ、38:光中継装置、36:共用器、37:受信主アンテナ、35:受信部、
51:遅延信号送信部、54:送信部、51−1:遅延回路、50:送信ベースバンド信号処理部、51−2:遅延信号送信RF部、52:PA(増幅部)、53:送信主アンテナ、58:光中継装置、57:共用器、55:受信主アンテナ、56:受信部、
62:PA(増幅部)、63:副送信アンテナ、65:副受信アンテナ、
71:試験SW、72:試験SW。

Claims (3)

  1. 少なくとも1つの無線基地局と、該無線基地局に接続される前進基地局と、複数の移動無線局とより構成された無線通信システムにおいて、
    前記無線基地局は、当該無線基地局とこれに接続される前記前進基地局間を接続する経路に基づく遅延時間を設定する遅延時間設定手段を備え、
    該遅延時間設定手段が設定する遅延時間分を遅延させて、当該無線基地局の送信アンテナから送信信号を輻射することで、
    当該無線基地局の送信アンテナからの輻射タイミングと、前記前進基地局の送信アンテナからの輻射タイミングとがほぼ同等となることを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記請求項1記載の無線通信システムであって、
    前記無線基地局に試験信号を入力し、
    該入力した試験信号を当該無線基地局及び前進基地局間の接続ケーブルを伝送させて、前進基地局にて折り返し、
    該折り返した試験信号を当該無線基地局に前記接続ケーブルを伝送させて入力することにより伝送遅延時間を測定し、
    該測定した伝送遅延時間に基づいて前記遅延時間設定手段の遅延時間の設定を行うことを特徴とする無線通信システム。
  3. 無線基地局と、該無線基地局に接続される前進基地局と、複数の移動無線局とより構成された無線通信システムの無線基地局において、
    該無線基地局に接続される前記前進基地局間を接続する経路に基づく遅延時間を設定する遅延時間設定手段を備え、
    同一の送信ベースバンド信号を元に、直交変調、帯域制限、周波数変換等を行って送信RF信号を生成する少なくとも2つの送信部を備え、
    前記少なくとも2つの送信部のうち当該無線基地局の送信アンテナに接続された送信部には、前記遅延時間設定手段が接続され、
    該遅延時間設定手段が設定する遅延時間分を遅延させて、当該無線基地局の送信アンテナから送信信号を輻射することを特徴とする無線基地局。

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