JP5128759B2 - 密閉型電池の安全弁体の成形方法、及び、密閉型電池の安全弁体の成形装置 - Google Patents
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Description
そこで、内圧が所定圧に達すると、ガスを放出させて、電池容器の破壊を未然に防止する安全弁を電池容器の開口部を閉塞する安全弁板に設けている。
特許文献1は、電池容器の内圧が所定圧力を越えると、可撓膜がその内圧で弾性変形して切刃で切断されるか、また端子板に形成されている肉薄部が破損されてガスを放出するようになっている。
その脆弱部である肉薄部は、楔状を呈する環状溝部を同心円状に異なる径をもって相対向して設けることでその環状溝部のその底部に形成され、その環状溝部で囲まれたエリアをガスの受圧面にして、その受圧面にガス圧が作用することで肉薄部(脆弱部)が破断し、ガスを放出する。
しかも、可撓膜では経時的な膜成分の組成変化等によって展延度が変化し、所定破断作動圧での破断に対して信頼性がない。
その環状溝部は切削加工で成形されるものであるから、成形が面倒で、作業時間も要し、3部材(切刃付きの皿板、可撓膜、端子板)使用という構造の複雑さも相乗して、廉価な提供を困難にする。
他の目的とする処は、前記安定面積の受圧面に連続する脆弱部における破断箇所の鋭利度の設定で、所定の破断作動圧(ガス圧)でのタイムリーな破断に最適な密閉式電池の安全弁板(圧縮成形品)及びその成形方法並びにその成形装置を提供することにある。
また、受圧面の面積安定化に加えて、凹部底(脆弱部)における受圧面側の隅部の鋭利度を所定に設定することによって、所定の破断作動圧(ガス圧)に内圧が達するタイムリーにその脆弱部を破断することを本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、密閉型有機電解質電池の電池容器の開口部を閉塞する安全弁構成用の金属板表面の所定エリア周りに圧縮成形された薄肉な凹部底と、該凹部圧縮成形でのその所定エリアの膨らみを押えて成形された寸法安定部とを備えたことを特徴とする密閉型電池の安全弁板である。
また、密閉型有機電解質電池の電池容器の開口部を閉塞する安全弁構成用の金属板表面の第1所定エリアに凹所を凹設し、該凹所底に設定された第2所定エリア周りに、圧縮成形された薄肉な凹部底を設け、該第2所定エリアを、凹部圧縮成形での膨らみを押えて成形された寸法安定部で構成した密閉型電池の安全弁板であると好適なものである。
圧縮成形、詳細にはプレス成形は、ある部分を成形すると、それに隣接する部分を変形させる応力を生じさせる。
これが、例えば環状や略環状の溝であれば、それにかこまれたエリアは膨らみ現象を起こす。
その膨らみ量は、薄肉なものであればあるほど、金属板厚の変化や表面の起伏の有無、加工室の温度、湿度等の影響を受けて変動する傾向がある。
これを容認すると、受圧面の面積に広狭が生じて脆弱部に作用する破断力が不安定になり、所定破断作動圧でのタイムリーなガスの放出を阻害する。
本願の発明では受圧面の面積の不安定化の原因であるその膨らみを押えている。この押えは膨らませない完全抑制と、自由な膨らみを阻止する半抑制(規制)とを包含する。
この膨らみ押えによって、凹部を周りに有するエリアの自由な膨らみは規制されて、受圧面積のバラツキが少ない寸法安定部をそのエリアに形成することができる。
その成形装置は、密閉型有機電解質電池の電池容器の開口部を閉塞する安全弁構成用の金属板表面に設定された第1所定エリアに凹所を凹設する凹所成形体と、凹所底に設定された第2所定エリア周りに凹部を圧縮成形する凹部成形体と、その凹部成形体と一体とされ前記凹部圧縮成形時の第2所定エリアの膨らみを抑えるエリア成形体とを備えた構成にすることである。
このように構成することによって受圧面積が安定する寸法安定部を、凹部の圧縮成形と同時に成形することができる。
その成形装置は、密閉型有機電解質電池の電池容器の開口部を閉塞する安全弁構成用の金属板表面に設定された第1所定エリアに凹所を凹設する凹所成形体と、凹所底に設定された第2所定エリア周りに凹部を圧縮成形する凹部成形体と、その凹部成形体に対して独立して可動され前記凹部圧縮成形時の第2所定エリアの膨らみを抑えるエリア成形体とを備えた構成である。
凹部を周りに有する所定エリアで構成される寸法安定部を、凹部を圧縮成形する時にその所定エリアの膨らみを押えて成形した安全弁板であるから、寸法安定部の内面であるガス受圧面の面積に広狭が無く、凹部底に作用する破断力を安定させ、所定破断作動圧でのガスの放出に好適な安全弁板を圧縮成形品で提供することができる。
しかも、薄肉な凹部底と、その凹部を周りに有する寸法安定部とからなる安全弁板であるから、皿板と端子板とで可撓膜を挟持して電池容器の開口部に組付固定する先行技術のように複雑構成にならず、電池容器の廉価な提供に寄与することができるし、電池容器組立時に切刃で怪我をするような虞れもない。
しかも、その鋭利隅を凹部成形体とエリア成形体とで成形するから、その鋭利隅を成形する別途手段、工程が全く不要である。
電池容器はアルミニウム合金製であり、直方体形状に加工されて、内部に例えば有機電解質電池部材を収容するようになっており、安全弁板1はその電池容器のその開口部にレーザー溶接等の適宜手段で気密状に接合されている。
尚、凹部2の平面視形状は、他の平面視形状に形成しても良いものである。
詳細には、この寸法安定部22は、凹部12圧縮成形時に生じる第2所定エリアc2の自由な膨らみを抑える半抑制(規制)や膨らませない完全抑制で、凹部12を周りに有して電池容器内に臨む受圧面22aの面積を安定させてある。
そして、寸法安定部22と凹部12との連設部において、凹部底12aの寸法安定部22側の隅角部を半径を5μm〜50μmとする鋭利隅にして、その凹部底12aをその鋭利隅12’が破断時の実際の破断箇所として働くようにしてある。
その圧縮成形(圧印加工)は、第2所定エリアc2の片側円弧縁の中間部分を除いて行っても良いものである。
この時、凹部12の圧縮成形で薄肉な凹部底12aへと圧縮されるに従って生じる上方への膨らみ変形はエリア成形体6で抑制されて、凹部成形体5方向への変形に変換される。
詳細には、エリア成形体6が、上方への膨らみ変形を押えて、その膨らみ変形を外周方向への変形に変換する。そして、第2所定エリアc2側の凹部12の隅角部を凹部成形体5の前記鋭利縁に沿わすのである。
このように、エリア成形体6の突出量を可変式にすることによって、エリア成形体6で膨らみを完全抑制することができる。また、必要に応じてその押え量を調整することができる。
(実験例1)前記第1の実施の形態で記載する成形方法、装置で成形した安全弁板(半抑制)であり、第2所定エリアc2側の先端角を半径を50μmとするエリア成形体6一体型の凹部成形体5を使用した。
(実験例2)第2の実施の形態で記載する成形方法、装置で成形した安全弁板(完全抑制)であり、第2所定エリアc2側の先端角を半径を50μmで形成した凹部成形体5と、可動式のエリア成形体6とを併用した。
(比較例1)第2の実施の形態で記載する成形方法、装置で成形した安全弁板(完全抑制)であり、第2所定エリアc2側の先端角を半径を100μmで形成した凹部成形体5と、可動式のエリア成形体6とを併用した。
前記(実験例1)では、エリア成形体6を凹部成形体5先端から380μm上方位置に設定している。
また、金属板厚は800μm、凹所深さは500μmのものである。
共に、4mm幅の電池容器の開口部に装着した使用状態での実験結果である。
尚、各黒丸は、各々試験用サンプルである。
(実験例1)では、300μmの凹所底厚から29μm〜31μmの凹部底厚まで圧縮成形(圧印加工)されるので、その凹部底が薄底へと変化する時の第2所定エリアに生じる膨らみ変形をエリア成形体で押え抑制して、寸法安定部が外側方向に変形して表面(外面)をその加工パンチ形状、凹部成形体の加工パンチ形状に沿うようになる。
前記29μm〜31μmの凹部底厚は、耐落下衝撃強度を兼備する必要確保厚であり、自社規格値である。
また、自社規格では、破断作動圧を1.4Mpa〜2.0Mpaの範囲(薄グレー表示)、更に自社最適規定作動厚(濃グレー表示)を1.6Mpa〜2.0Mpaと厳しく規定し、それら破断作動圧範囲を所定値とし、それ以外での提供を禁止している。
そして、成形方法、装置を同じくする(実験例2)と(比較例1)両者の比較においても、(実験例2)は、自社最適規定作動厚内に少ないバラツキをもって低破断作動圧に安定しており、これによって凹部底隅の鋭利度も破断作動圧を左右することが立証される。
また、6mm幅の電池容器に装着した安全弁板についても同様に実験を行ったが、凹部底厚、破断作動圧に差異はあれど、同様な傾向を示した。
また先端角を半径を5μmとするエリア成形体6を使用しての実験は破断作動圧のバラツキがより少ないものであった。
22:寸法安定部 12:凹部
12a:凹部底 c1:第1所定エリア
c2:第2所定エリア 32:凹所
4:凹所成形体 5:凹部成形体
6:エリア成形体 2:安全弁
22a:受圧面 12’:鋭利隅
3:ダイ
Claims (3)
- 密閉型有機電解質電池の電池容器の開口部を閉塞する安全弁構成用の金属板表面に設定された第1所定エリアに凹所を凹設した後、該凹所底に設定された第2所定エリア周りに凹部を圧縮成形する時に、該第2所定エリアの膨らみを凹部成形体と一体のエリア成形体で押えて、成形することを特徴とする密閉型電池の安全弁体の成形方法。
- 前記凹部成形体の前記第2所定エリア側の先端角を半径を5μm〜50μmとする鋭利縁で形成し、凹部圧縮成形時に前記第2所定エリアに生じる膨らみ変形を前記エリア成形体で外周方向への変形に変換して前記第2所定エリア側の凹部の隅角部を凹部成形体の前記鋭利縁に沿わすことを特徴とする請求項1記載の密閉型電池の安全弁体の成形方法。
- 密閉型有機電解質電池の電池容器の開口部を閉塞する安全弁構成用の金属板表面に設定された第1所定エリアに凹所を凹設する凹所成形体と、凹所底に設定された第2所定エリア周りに凹部を圧縮成形する凹部成形体と、その凹部成形体と一体とされ前記凹部圧縮成形時の第2所定エリアの膨らみを抑えるエリア成形体とを備えたことを特徴とする密閉型電池の安全弁体の成形装置。
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