(第1の実施の形態)
以下、本発明を洗濯機能を有するドラム式(横軸形)の洗濯乾燥機に適用した第1実施例につき、図1ないし図5を参照して説明する。
そのうち、図2は洗濯乾燥機全体の概略構成を示す縦断側面図で、まず図2に基づき全体構成につき説明する。洗濯乾燥機の外殻を形成する矩形箱状の本体1は、正面たる前面板2の上部に操作部3やドア4を備え、更に下部には詳細は後述するがフィルタ着脱口5を形成している。
前記本体1の内部には、実質的に無孔状で円筒状をなす水槽6、及び周壁に多数の透孔7を有し横軸周りに回転可能な回転槽としてのドラム8が同心状に配設されている。これら、水槽6及びドラム8は、共に前面側(正面側)を大きく開口して、前記ドア4と対向配置しており、且つ若干前上がりの傾斜状態に軸支されるよう水槽6が弾性支持装置9を介して本体1の底板たる台板10上に弾性支持されている。しかして、前記ドア4の開放口と水槽6の前面開口との間は衣類の投入口として機能するとともに、弾性的に伸縮可能なベローズ11が水密に連結され、水槽6側から本体1内への水の漏洩等を防止する閉空間を形成している。
そして、ドラム8の胴部には洗濯物を掻き上げるための複数のバッフル12を形成していて、ドラム8が回転駆動されることで特に洗いや乾燥時に洗濯物を撹拌するに有用としており、該ドラム8は後述するように洗濯槽及び乾燥室として兼用される。このドラム8は、水槽6の背面に設けられたモータ13にてダイレクトに駆動される。このモータ13は、例えばアウタロータ形のDCブラシレスモータからなり、そのロータに連結された回転軸14に、水槽6を貫通してドラム8が直結されている。また、水槽6底部の後方最下部には、排水口15が形成され途中に排水弁16を介した排水管17が連通接続され、その先端側は機外たる本体1から外部に導出され所定の排水場所に排水可能とする排水手段を構成している。
一方、前記水槽6には互に離間した位置に空気の出入口18,19が設けられ、この出入口18,19に連通接続された循環ダクト20を備えている。例えば、本実施例における出口18は、水槽6の前面側の上位に形成され、これに対し入口19は水槽6の背面側に開口した構成としていて、これらに接続された循環ダクト20は、水槽6の下方を迂回して連通した構成としている。この循環ダクト20の具体的構成につき述べると、水槽6の出口18に接続された排気ダクト21、同入口19に接続された給気ダクト22、これら両ダクト21,22の下方に延びた他端と夫々接続された伸縮継手23,24、この伸縮継手23,24間に接続された中間ダクト25から構成され、この中間ダクト25には後述するフィルタ手段や熱交換手段を備えている。
そのうち、まず熱交換手段の構成及び効用につき述べると、これは詳細は後述するヒートポンプ機構が介在された構成にあって、該中間ダクト25内を流れる循環空気を熱交換作用により冷却し及び加熱し、結果として乾燥用の温風を生成するためのものである。そして、前記給気ダクト22の下端部近傍で、中間ダクト25の下流側の端部には循環ファン26及びファンモータ27を備えた循環ファン装置28が配設され、給気ダクト22を経て水槽6内に温風を循環供給すべく、循環ダクト20及び水槽6を介してドラム8内に矢印A方向に流れる循環空気を生成する。
ここで、前記ヒートポンプ機構と、その関連構成につき述べると、ヒートポンプ機構は、周知のように圧縮機(図示せず)により冷媒が、凝縮器29、図示しないキャピラリチューブ(絞り)、及び蒸発器30の順に循環する冷凍サイクルからなり、その熱交換機能としては凝縮器29にて循環する空気を加熱して温風化し、循環ファン26により給気ダクト22を経て水槽6の入口19から供給され、内部のドラム8内に送り込まれ、収容された洗濯物から水分を奪いながら乾燥する。乾燥に寄与した後の多くの湿気を含む空気は、前面の出口18から排気ダクト21を経て中間ダクト25に回収され、ここで蒸発器30により水分が冷却除湿され、再び凝縮器29に至り加熱されて温風として循環利用するもので、斯かるヒートポンプ機構は所謂循環空気を加熱する加熱源として機能する。
一方、前記中間ダクト25には、蒸発器30の循環空気の入口側である上流側に位置して、循環空気の一部を排出する第1の連通口31を形成し、これに対し循環ダクト20の蒸発器30の出口側である下流側には本体1内の周囲空間の空気を吸入する第2の連通口32を形成している。これら第1の連通口31及び第2の連通口32は、本実施例では中間ダクト25の上面側に夫々開口して形成されている。
そして、中間ダクト25の上記第1の連通口31を設けた位置より上流側に、前記フィルタ手段として第1のフィルタ33を備えている。これは、循環ダクト20内を循環する空気中から糸屑などを捕獲するためのフィルタ手段にあって、循環ダクト20の排気ダクト21側に臨むフィルタケース35内に収容され、本体1前面の前記フィルタ着脱口5から手掛け部34にて、外部から着脱操作できる構成としている。
しかるに、循環ダクト20一部を構成する部位である前記フィルタケース35には、第2のダクトとも言うべき通風ダクト36を連通接続している。この通風ダクト36及びその関連構成については、以下図3,4を参照して説明する。その図3は、通風ダクト36や、前記ヒートポンプ機構を介在した中間ダクト25、及びその関連構成を示す要部の平面図で、図4は更にそのうちの要部である第1のフィルタ33を収容したフィルタケース35と通風ダクト36が接続された構成を拡大して示す斜視図である。
しかして、第1のフィルタ33を着脱可能(図4中の両矢印方向)に収容したフィルタケース35の上部には、循環空気流側の接続口37と、循環ダクト20から分岐する通風ダクト36側の接続口38が形成され、結果、通風ダクト36は第1のフィルタ33の上流側に接続され、本実施例では第1のフィルタ33の平坦状のフィルタ部材33aの近傍に開口連通した構成としている。そして、この通風ダクト36内に図中矢印B方向の空気流を形成する吸引ファン39、ファンモータ40を備えた吸引ファン装置41を、通風ダクト36の本体1内を臨む他端部に配設している。これにより、吸引ファン装置41が駆動されると、図2の第1のフィルタ33の上流側たる循環ダクト20側の空気を吸引し、図3に示すように吸引ファン39を経て本体1内に吹出される空気流が形成される。
更に、通風ダクト36の途中部位には、特に図4に開示するように第2のフィルタ42を設けている。やはり、糸屑を捕獲するためのフィルタ手段であるが、第1のフィルタ33に対し有効面積を大きくしたフィルタ部材42aを具備している。例えば、このフィルタ部材42aは、有底円筒状としてフィルタ表面積の増大を図っている。しかも、この第2フィルタ42は、通風性など規制された循環ダクト20に比して設計的自由度が大きく、所謂本体1内の空間スペースを利用して比較的大形化が可能で、第1のフィルタ33に比して糸屑を捕獲する上で複数倍の有効面積を確保している。但し、この第2のフィルタ42にあっても、捕獲した糸屑を除去する清掃は必要であり、詳細は省略するが、例えば図3に示す如き本体1の前面板2に開閉蓋43を設け、内部の第2のフィルタ42を着脱する構成とすることができる。
なお、詳細な説明は省略するが、例えば図2に示す前記操作部3の内部には、洗濯運転や乾燥運転、及び後述するフィルタ清掃運転などを制御する制御手段としての制御装置44を備えている。この制御装置44は、マイクロコンピュータを主体とした回路構成からなり、操作部3にて設定された操作信号や、図示しない水位センサや温度センサからの各検知信号等を入力し、予め記憶された制御プログラムに基づき、ドラム8を駆動するモータ13、圧縮機等の冷凍サイクル、空気循環用の循環ファン装置28、及び吸引ファン装置41、その他排水弁16や図示しない給水弁などを駆動制御するもので、その具体的な制御内容は、特に図1及び図5に基づき以下に説明する。
因みに、図1は上記した図2の全体構成に対して、本体1を除去した状態の洗濯乾燥機の機能的構成を模式的に示す図であり、また図5のフローチャートは、一般的な洗濯運転及び乾燥運転の他に、本実施例の特徴とするフィルタ清掃運転を実行するための制御内容を示している。
そこで、上記構成のドラム式洗濯乾燥機の作用について、主として乾燥運転及びフィルタ清掃運転に関して詳細説明する。周知のように、この種洗濯乾燥機では、標準的な運転コースとして、モータ13に直結されたドラム8の回転速度の制御を中心に洗い、すすぎ、脱水等の各行程が自動的に行なわれる所謂洗濯行程(洗濯運転)を実行し、次いで乾燥行程(乾燥運転)に移行する。その乾燥行程では、制御装置44は循環ファン26を回転駆動し循環ダクト20内の空気を循環し、該空気に対し加熱源として機能するヒートポンプ機構を駆動することで温風化し、その温風を水槽6及びドラム8へ循環供給する(図2の矢印A方向)。このように、ドラム8は洗濯運転及び乾燥運転共に回転駆動され、内部の衣類を撹拌し、洗い性能及び乾燥性能を良好とするもので、洗濯槽として、また乾燥室として機能する。
すなわち、ヒートポンプ機構の凝縮器29では、図示しない圧縮機により冷媒が圧縮されて高温高圧の冷媒となり、中間ダクト25を流れる空気との間で熱交換がなされ、このとき空気は加熱されて温風となる。温風は、循環ファン26により給気ダクト22を経て水槽6の背面側の入口22から供給され、ドラム8内部に収容された衣類たる洗濯物と接触し水分を奪う乾燥作用が行なわれる。
そこで、以下に図5のフローチャートに沿って、上記した洗濯運転及び乾燥運転を含み、特には本実施例におけるフィルタ清掃運転等の制御内容につき具体的に説明する。まず、図5中に示すステップS1〜ステップS10までの洗濯運転については、一般周知でもあり概述する。運転スタートにより、制御装置44はステップS1として重量センサ(図示せず)による衣類(洗濯物)の重量を計測し、必要な洗剤量や水量を決定する。これに基づき、ステップS2,S3では所定量の洗剤及び洗濯水が、水槽6及びドラム8内に投入される。そして、制御装置44はステップS4に至り、モータ13を駆動しドラム8を所定の回転速度では正逆回転させ、衣類を上方から落下させて洗う所謂叩き洗いによる洗い行程を実行する。所定時間の洗い行程を終えると、排水弁16が開放して排水がなされ(ステップS5)、次いで脱水行程が実行され(ステップS6)、ここでは衣類たる洗濯物に含まれた洗剤分を脱水と合わせて放出する。
以下、ステップS7〜ステップS10までは、すすぎ洗いを主体とした行程にあるが、上記したステップS3〜ステップS6の洗い動作内容と実質的に同じであり説明は省略する。このような、ステップS10までの所謂洗濯行程(洗濯運転)を終了すると、以降の乾燥行程(乾燥運転)及びフィルタ清掃行程(同清掃運転)などを行い、全運転を終了するまでのステップS11〜ステップS16について、特に図1も参照して説明する。
しかして、ステップS11の乾燥運転開始(第1次乾燥運転)では、ドラム8が所定の回転速度で回転され、衣類を撹拌するとともに、循環ファン26が回転し循環ダクト20内に空気流を形成する。この空気流は、乾燥運転時の動作態様を示す図1(a)中に、温風を含む有用な空気流として実線矢印Aで示している。なお、同図中破線矢印で示す空気流は、吸引ファン39が停止状態にあるものの閉鎖されていない通風ダクト36から本体1内へ流れる一部の空気流を示しており、乾燥作用に特に支障となるものではない。その他に、中間ダクト25に設けた第1の連通口31及び第2の連通口32から同じ矢印Aで示す吸排作用が生じるが、その効用については後述する。
ここで、乾燥用に温風化するためのヒートポンプ機構につき改めて簡単に説明すると、ドラム8内で湿った衣類の乾燥作用に寄与して多くの湿気を含んだ空気(温風)は、水槽6の前面側から排気ダクト21に流れ、第1のフィルタ33を経て中間ダクト25に至り、まず蒸発器30との間で熱交換が行われる。しかるに、冷凍サイクルとして機能する冷媒は、図示しないキャピラリチューブを経て膨張し蒸発器30に供給され、乾燥に寄与した後の湿った空気と熱交換され蒸発する。このときの蒸発潜熱は、空気から与えられることから空気は冷却され、飽和蒸気量が少なくなり該空気中の過飽和蒸気が結露する。この結露した水は蒸発器30から滴下し、図示しない除湿水の排水手段を経て本体1外に適宜排出される。
斯くして、上記したように大部分の循環空気は、蒸発器30を経て冷却除湿され凝縮器29に至り、再び加熱温風化され新たな温風として循環供給される。ところが、上記したように中間ダクト25に設けた第1の連通口31からも、湿気を含んだ空気の一部が本体1の内部空間に排出され、また蒸発器30の出口側である下流側の第2の連通口32からは、本体1内に排出された空気に対して逆に吸気され、中間ダクト25内に循環空気として補充される。
このことは、乾燥運転に伴い循環空気全体が温度上昇するなどの影響も受けて、特に冷凍サイクルの特徴として凝縮器29の放熱熱量が、圧縮機の消費電力相当分蒸発器30の冷却熱量より勝り、延いては圧力が高まり圧縮機に過負荷がかかるおそれがあったが、上記吸排作用の結果として、空気温度の上昇や冷媒の圧力上昇を抑えるとともに、凝縮器29による安定した放熱量を確保するなどして、冷凍サイクル(ヒートポンプ機構)による安全で安定した運転を実現するに有効としている。
一方、このような乾燥運転時には衣類から浮遊した糸屑などが発生する。糸屑は、循環空気の流れ(図1(a)及び図2の矢印A方向)に沿って移動し、排気ダクト21から下流側の中間ダクト25に至り、該空気中から第1のフィルタ33に捕獲され、これにより下流の蒸発器30側への流出やその絡みを防止している。
このような、ステップS11における乾燥運転は、図示しない温度センサに基づき乾燥率が95%に達するまで行われ(ステップS12)、ドラム8や循環ファン26及びヒートポンプ機構等が停止し、つまり衣類の乾燥作用の大半が行われる第1次乾燥運転が終了する。
次いで、ステップS13に移行し、フィルタ清掃運転が開始される。その動作態様(主に空気の流れ)を示す図1(b)を参照して説明する。ここでは、送風手段としては吸引ファン39のみが回転駆動され、通風ダクト36内に強制的に空気流を形成することで、図中実線矢印Bで示す如き循環する空気流が形成される。すなわち、吸引ファン39の駆動に基づく空気流は、通風ダクト36の入口側である循環ダクト20の第1のフィルタ33の上流側の空気を吸引する。
このことは、該空気流は第1のフィルタ33に対し、乾燥運転の糸屑捕獲時とは逆向きの流れを生じることである。すなわち、矢印Bで示す空気流の発生源に近い位置に開口した第1の連通口31からの吸気が、風路抵抗も少なく多量の吸気量となり、この空気が第1のフィルタ33の下面側から上面側に抜け、通風ダクト36に取り込まれるもので、以って本体1内の空気を介した循環空気が形成される。しかるに、同図(b)中に示す破線矢印は、連通状態の風路を介して若干量の空気流を示しており、吸気ファン39に基づく矢印B方向の空気流を得るのに特に障害となることはない。
その結果、上記空気流は第1のフィルタ33の上面(表面)に捕獲されていた糸屑を剥がして通風ダクト36に送り込み、ここで第2のフィルタ42に捕獲蓄積される。すなわち、第1のフィルタ33には先の第1次乾燥運転において、ドラム8から排気ダクト21を経た循環空気中から糸屑を効果的に捕獲し、これによりフィルタ部材33aの表面の大半を捕獲した糸屑で覆われた形態にある。この糸屑は、捕獲したばかりで且つ図1(a)の実線矢印A(捕獲時)で示す空気流を受けてフィルタ部材33aに付着した状態にあることから、清掃時の逆流の空気流を受けて該フィルタ部材33aから容易に離脱し、捕獲容量の大なる第2のフィルタ42(有底円筒状のフィルタ部材42a)に吸引捕獲され、蓄積される。
この場合、本実施例では通風ダクト36の入口側が第1のフィルタ33の上面近傍に位置して設けたが、これに限らず、ドラム8と第1のフィルタ33との間に連通接続した構成であれば、吸引ファン39(矢印B)による風の吸引作用は強くて、糸屑を第2のフィルタ42側に移動し回収することは容易に可能である。斯くして、この清掃運転が1分間行われ、第1のフィルタ33の糸屑は除去され、当初相当の有効な捕獲面積を再び確保できる。そして、ステップS14に移行し吸引ファン39が停止することでフィルタ清掃運転が終了する。
次いで、再度乾燥運転が開始され(ステップS15)、すなわちヒートポンプ機構及び循環ファン26などが再起動され、言わば仕上げ乾燥運転が行われる。先の第1次乾燥運転(ステップS11,12)にて、既に乾燥率が95%まで進行しているので、同100%に達するまで行われ、乾燥運転が終了する。なお、この乾燥運転は、図1(a)に開示した第1次乾燥運転と同様の動作態様にて実行されることは勿論、第1のフィルタ33を通過する循環空気の流れは良好で、つまり良好な乾燥性能が得られ乾燥率100%の仕上げ乾燥は確実に実行される。
また、第1のフィルタ33は、本体1外からフィルタ着脱口5を介して随時着脱操作でき、つまり乾燥運転の都度フィルタ清掃することはできるが、そのような面倒な作業は必要としない。なぜならば、この第1のフィルタ33で捕獲されほぼ1回分に相当する乾燥運転(ステップS12の95%乾燥)で生じた糸屑は、そこに滞留しておらず、勿論次回の乾燥運転における糸屑が蓄積されることもなく、常に除去されて第2のフィルタ42側に移動している。従って、第1のフィルタ33は乾燥運転の都度、糸屑が除去されて元の状態に回復しているからである。
ただし、第2のフィルタ42は、糸屑を捕獲し蓄積可能とする糸屑捕獲容量に応じて清掃を行う必要がある。本実施例では、例えば図3に示したように開閉蓋43を開閉して第2のフィルタ42を着脱可能にして清掃すればよい。斯くして、ユーザは従来毎回面倒なフィルタ清掃を余儀なくされていたが、その清掃頻度を大幅に軽減でき乾燥作業を楽にすることができる。また、第1のフィルタ33にしても、長期使用でフィルタ部材33aの目詰りが進行することも考えられるので、これは必要に応じて清掃すればよい。
上記実施例によれば、次のような効果を奏する。
フィルタ清掃運転として、第1のフィルタ33の上流側に連通接続した通風ダクト36を介して、吸引ファン39の回転駆動により図1(b)に示す実線矢印Bで示す空気流を形成し、つまり第1のフィルタ33に対しては、乾燥運転時の循環空気の流れ(図1(a)中の矢印A方向)とは逆に下面側から上面に抜ける流れとなり、また循環ダクト20に対しては第1のフィルタ33の上流側において分岐した風路側(通風ダクト36)に吸引される空気流が形成されることになる。
この結果、第1のフィルタ33には糸屑が捕獲されたまま放置されたり、或は継続して蓄積されるようなことなく除去されるとともに、第2のフィルタ42側に移動させて捕獲蓄積可能としている。従って、従来目詰りを起こし易い循環ダクト20中の主たる第1のフィルタ33に対する清掃は、実質的に不要となる。また、第2のフィルタ42にあっても、吸引ファン39を擁し、本体1内の空間を利用して適宜配置できるなど、その糸屑捕獲容量を比較的自由に大きくでき、結果としてその清掃頻度を抑えることができる。
また、制御手段としての制御装置44は、上記フィルタ清掃運転を図5中に示すステップS11,S12の第1次乾燥運転後、つまり衣類の乾燥がほぼ完了(乾燥率95%)した後の、所謂乾燥運転の後半に実行するようにしたので、このほぼ1回分の乾燥運転で生じた糸屑で第1のフィルタ33が目詰り現象を起すおそれがあっても、当該糸屑を確実に除去でき、次回の乾燥運転時に目詰りを起こして乾燥性能が低下するという不具合は解消できる。なお、本実施例では、図1(b)に示すように、フィルタ清掃運転時の循環する矢印Bで示す空気流は、本体1内の空気を中間ダクト25内に取り込むのに、ヒートポンプ機構の安全で安定した運転を確保するために設けた第1の連通口31を利用でき、構成簡素化の点で有利である。
上記実施例に対し、図6〜図20は本発明の第2〜第4の実施の態様を示すもので、以下、上記実施例と実質的に同一部分には同一符合を付して説明を省略し、異なる点につき説明する。
(第2の実施の態様)
図6,7,8は、第2の実施例を示す、夫々図1,2及び図5相当図である。
このものは、吸引ファン39を擁する風路ダクト36の、循環ダクト20との接続側において、これら何れかの風路を切替え開閉するダンパ装置45を設けたもので、構成上これ以外は上記第1実施例と同様である。
以下、具体的に説明すると、図7に示すようにフィルタケース35を利用して内部にダンパ装置45を設けた構成としている。更に具体的には、左右に配置の接続口37,38の中央に回動可能な1枚のダンパ46を設け、該ダンパ46は各接続口37,38の一方を閉鎖し他方を開放する切替え開閉する構成としたもので、これを制御装置44は乾燥運転時とフィルタ清掃運転時において切り替え開閉するようにしたものである。
しかして、乾燥運転時にはダンパ46は、図7に示す循環ダクト20側の接続口37を開放し、通風ダクト36側の接続口38を閉鎖するように切替え開閉する。すなわち、乾燥運転時の状態を示す図6(a)及び図7には、ダンパ46を実線で示すように接続口38側を閉鎖し、接続口37を開放している。従って、同図中実線矢印Aで示す循環ダクト20内の循環空気流、及び第1,第2の連通口31,32の吸排気作用を伴い、ヒートポンプ機構による熱交換作用を経た温風がドラム8に循環供給され、図示しない衣類の乾燥を行う。この場合、乾燥運転時の空気流は上記第1実施例と同様であるが、通風ダクト36の入口側である接続口38が閉鎖されているので、該通風ダクト36を流れる空気流が生じない点で異なる。
一方、フィルタ清掃運転では、循環ダクト20側が閉鎖され、通風ダクト36側が開放される。この状態を図6(b)にダンパ46を実線で示している。従って、吸引ファン39が回転駆動されると、通風ダクト36内に循環ダクト20側の空気を吸引する流れが生じ、実線矢印Bで示す本体1内を通した循環空気流が形成され、上記第1実施例と同様の空気流にて第1のフィルタ33に捕獲された糸屑が、第2のフィルタ42側に移動され捕獲蓄積される。この場合、ダンパ46が第1のフィルタ33に連なる排気ダクト21との間における循環ダクト20を閉鎖しているので、給気ダクト22からドラム8を経た空気流は実質的に遮断され、実質的に上記実線矢印Bで示す第1の連通口31を介した循環空気のみが形成され、僅か第2の連通口32からの吸気移動(破線矢印で示す)が見られる程度である。
そして、本実施例におけるフィルタ清掃運転の制御手段としては、例えば洗濯乾燥機の特徴(洗濯機能を有する)を活かしたもので、その一例を示す図8のフローチャートに基づき、本実施例の全体の制御内容とともに説明する。
そのうち、ステップS1〜ステップS10までの洗濯運転については、先の第1実施例と同じである。しかるに、本実施例ではステップS10に続いてステップT1のほぐし運転行程を追加して、ここまでを洗濯行程(洗濯運転)としている。このほぐし運転は、周知のように高速遠心脱水された(ステップS10)後の衣類の、ドラム8周壁への張り付け状態をほぐして、以降に行う乾燥運転に備え温風との接触を良好にするためのものである。しかも、同時にフィルタ清掃運転を実行するようにしている(詳細は後述する)。そして、次ステップT2に移行し、ここでは通常の乾燥運転たる脱水後の湿った衣類を乾燥率100%まで乾燥し全運転を終了する。
しかして、前記ステップT1における、ほぐし運転及びフィルタ清掃運転について、改めて図8に基づき説明する。まず、上記したように再びドラム8のみが回転駆動され(ステップY1)、そして停止させる(ステップY2)ことによるほぐし運転が行われ、張り付いていた衣類が上方から剥がれて落下し、或は落下しようとする作用を受けて、壁面から衣類を剥がしドラム8内の衣類全体をほぐす。この場合のドラム8の回転は短時間でよいが、1回の回転、停止動作に限らず複数回実行するようにしてもよいし、このような運転モードは種々考えられる。
そして、ほぼ同時にフィルタ清掃運転モードに入る。まず、ステップY3にてダクトの切り替えが行なわれる。すなわち、ダンパ装置45が駆動(往)され、ダンパ46が通風ダクト36(接続口38)側を開放し、循環ダクト20(接続口37)側を閉鎖する。このダンパ装置45以外は、上記実施例と同じフィルタ清掃運転モードにて実行される。従って、次のステップS13,S14では吸引ファン39が1分間駆動され、既述の如く図6(b)に実線で示される態様にて矢印Bで示す循環空気が形成される。これは、第1のフィルタ33には逆向きの流れとなり、その上面側の糸屑には吸引作用が働き、フィルタ部材33aから剥離され浮遊した糸屑は通風ダクト36内に取り込まれ、第2のフィルタ42に捕獲蓄積される。
しかるに、上記糸屑の移動は吸引ファン39が停止し(ステップS14)、ステップY4に移行してダンパ装置45が駆動(復)され、再びダクトが元の開閉状態に切り替えられ、すなわち図6(a)に実線で示すようにダンパ46は乾燥運転時の開閉状態に復帰する。
斯くして、本実施例によれば、ダンパ装置45を設け、乾燥運転及びフィルタ清掃運転に応動して、循環ダクト20及び通風ダクト36の風路を切り替え開閉するようにしたので、各運転時に無用な空気流を遮断するとともに、本来必要とする空気流を強化して形成できるので、乾燥性能やフィルタ清掃の性能をより確実に発揮することができ、所望の乾燥制御が容易となり、一方糸屑は第2のフィルタ42側に速やかに移動できる。
しかも、制御装置44によるフィルタ清掃運転の制御は、乾燥運転以前の洗濯運転中に並行して行うようにした。例えば本実施例では、洗濯運転中のほぐし運転(ステップT1)と併せて実行した。従って、洗濯運転を実行している間に第1のフィルタ33の糸屑除去が行われ、フィルタ清掃運転のための単独の時間設定は不要となり、効率よく実施できるなど、上記第1実施例に増した効果が期待できる。
なお、フィルタ清掃運転は、ダクトの切り替えと吸引ファン39の駆動制御のみにて実行できるので、この動作が影響しない他の洗濯行程と並行して実施するのも容易に可能である。また、ダンパ装置45は1枚のダンパ46による往復動作にてダクトの切り替えを行う構成としたが、これに限らず、例えば各ダクトの接続口37,38の開閉を単独に行うべく夫々にダンパ(計2個)を設けた構成にしてもよく、この場合、各接続口37,38の位置条件に拘束されないで構成できる点で有利である。
(変形例)
上記に対し、図9は図8に開示した制御内容の変形例を示すフローチャートで、図5相当図である。
すなわち、先の図8の制御手段ではフィルタ清掃運転を洗濯運転中に行ったもので、これは乾燥運転の開始以前にフィルタ清掃を行ったことにある。
これに対し、図9に示す変形例は乾燥行程(乾燥運転)の後半にフィルタ清掃を行うようにした点で異なり、基本的には図5に開示した第1実施例に相当する制御内容とも言える。
しかして、図9のフローチャートに基づき説明すると、洗濯運転のステップS1〜ステップS10、及び続く第1次乾燥運転(95%乾燥)とするステップS11,S12までは、上記第1実施例(図5参照)と同じであり、また最終ステップS15,S16の仕上げ乾燥運転(100%乾燥)も同様である。しかるに、この変形例では上記第1次乾燥運転と、仕上げ乾燥運転との間の所謂一連の乾燥運転の後半に、ダクトの切り替え(ステップY3及びステップY4)を伴うフィルタ清掃運転(ステップS13及びステップS14)を実行するようにしたもので、ダクトの切り替えは上記図6や図8等にて既述した通りである。
従って、斯かる図9に示す変形例においても、上記図8で述べた実施例と同様にダンパ装置45を設けたことによる特徴を奏するものである。
なお、図8,9に示すフローチャートにおいて、行程として示したフィルタ清掃運転は、ここに記載の定義に限らず、例えば吸引ファン39による作用区間のみを当該清掃運転と定義し、その前後におけるダクト切り替え(ステップY3、Y4)は除くようにしてもよい。
(第3の実施の形態)
図10〜図13は、第3実施例を示すもので、そのうち図10及び図11は、夫々図1及び図3相当図、図12は要部の構成及び機能を説明するための異なる状態(a),(b)を拡大して示す斜視図、及び図13は図5相当図である。
このものは、上記各実施例に採用されフィルタ清掃運転時に回転駆動する吸引ファン39に代えて、乾燥運転時に回転駆動される循環ファン26を兼用した構成にある。そして、そのために新たにシャッタ装置47(詳細は後述する)を設けたことを主たる特徴としている。
以下、図10〜図12に基づき本実施例の構成につき説明すると、ダクト切り替えのためのダンパ装置45は、上記第2実施例と同様の構成にて備えている。そして、通風ダクト36は、その第2のフィルタ42の下流側を延長した連続ダクト48を有した構成にあって、その他端は循環ファン装置28を有する中間ダクト25に接続されている。具体的には、循環ファン26と凝縮器29との間に連通接続され、この連通部位より上流側で凝縮器29の下流側に位置して前記シャッタ装置47が設けられている。
従って、連続ダクト48を含む通風ダクト36は、一端が循環ダクト20の排気ダクト21側に連通し、他端がシャッタ装置47と循環ファン26との間の中間ダクト25に連通接続された構成にある。また、第1の連通口31は、ドラム8とダンパ装置45との間の例えば排気ダクト21に開口され、本体1内を臨み連通している。
しかるに、シャッタ装置47の構成につき特に図12に基づき説明すると、中間ダクト25の風路は断面矩形状をなしており、これを複数枚のシャッタ板49にて開閉可能としている。各シャッタ板49は、その基端部の両端部を固定枠50に回動可能に支持され、その自由端側を連結枠51に回動可能に支持された構成としている。この連結枠51は、上端部においてシャッタモータ52の駆動軸(図示せず)の回転に伴い上下動するように連動した構成にあり、この連結枠51の上下動(厳密には円弧状の軌道)は各シャッタ板49を同時に開閉回動する。
例えば、図12(a)のシャッタ板49の開放状態から、シャッタモータ52が駆動されると、連結枠51は図中実線矢印で示す下方向へ移動し、これに連結された各シャッタ板49の自由端側も、一斉に同様の動作を行い、その自由端部の一部が上下方向に隣接する他のシャッタ板49の基端部に重なり合うことで、図12(b)に示す如く閉じられた状態となり、以って中間ダクト25の断面矩形の風路を遮断可能とした構成にある。このシャッタ装置47による中間ダクト25の遮断、開放の意義は、詳細は後述するがダクト内の空気流の流れを切り替えることにある。
しかして、本実施例における制御内容につき、図13に示すフローチャートに沿って説明する。まず、先の図5に示すフローチャートと同一符合で示すステップS1〜ステップS10までの洗濯運転、ステップS11,S12の第1次乾燥運転、及び最終行程のステップS15,S16の仕上げ乾燥運転の動作や制御内容は、上記第1実施例と同様である。このことから、上記第1次乾燥運転(95%乾燥)後である所謂乾燥運転の後半に、ステップQ1〜Q4で示すフィルタ清掃運転を実行する点が、上記各実施例と異なる特徴である。なお、乾燥運転の状態を示す図10(a)中における循環空気の流れは実線矢印Aで示すように、上記第2実施例と実質的に同様に行われ、無駄な空気流は発生しない。
そこで、上記ステップQ1から説明すると、ここにはダクト切り替えA,Bと記載されており、これは一つは既述の如く前記ダンパ装置45によるダクト切り替え(A)に相当することを意味し、もう一つはシャッタ装置47による中間ダクト25の風路の開閉をダクト切り替え(B)に相当するとしたものである。従って、該ステップQ1では、上記乾燥運転の状態(図10(a)参照)では、ダンパ46は実線で示す通風ダクト36を閉鎖しており、またシャッタ装置47は開放状態にあるが、これら2箇所におけるダクトの切り替えが行なわれる。すなわち、ダンパ46及びシャッタ板49が夫々風路を切り替えるべく動作し、図10(b)に示す状態(フィルタ清掃運転を行う状態)のダクト構成とされる。
そして、次ステップQ2において循環ファン26が再び回転駆動されることに基づき、その送風は矢印Bで示すように給気ダクト21、ドラム8、及び排気ダクト22に至り、ダンパ46で遮断された空気流は第1の連通口31から本体1内に流出する。この間の流れについては上記乾燥運転時(矢印A)と同様である。しかるに、上記本体1内の空気は、後述する理由から中間ダクト25の第2の連通口32から該ダクト25内に積極的に取り込まれることになる。なお、図11には、主に通風ダクト36側における矢印Bで示す空気流を示している。
一方、循環ファン26の上流側に連通開口した連続ダクト48を備えた通風ダクト36には、該循環ファン26に吸引されるように矢印B方向の流れが生じ、この空気流は全て循環ファン26を介して上記したようにドラム8側に送られる。しかして、通風ダクト36の入口側では循環ダクト20(排気ダクト21側)からの空気の吸引作用が継続して発生し、従って中間ダクト25内には第1のフィルタ33を逆流する空気流が強く生じる。このため、第2の連通口32から本体1内の空気を吸引する作用が強く生じ中間ダクト25内に積極的に取り込まれる。なお、本実施例における第1,第2の連通口31,32は、上記第1実施例と同様に乾燥運転時におけるヒートポンプ機構の安全で安定化した運転に寄与する。
この結果、図示するようにフィルタ清掃運転時における全体の空気流としては、循環ファン26によるドラム8側への送風による空気流と、該ファン26の吸引側における通風ダクト36内の空気流とが、本体1内の空間を介して繋がり、矢印Bで示す連続した循環空気流を形成する。この空気流に基づき、通風ダクト36中の第2のフィルタ42は、第1のフィルタ33から剥離した糸屑を回収すべく捕獲蓄積する。このように、第1のフィルタ33に対する糸屑の除去による清掃は1分間行われ(ステップQ2)、循環ファン26の停止(ステップQ3)により、実質的にフィルタの清掃作用は終える。そして、ステップQ4では、以降の仕上げ乾燥運転(ステップS15,S16)に備えてダクト切り替えが行なわれ、ダンパ46及びシャッタ板49は元の状態に復帰動作する。
このように、本実施例によれば循環ファン26を乾燥運転とフィルタ清掃運転と共用でき、所謂送風駆動源を増設することなく対応でき、それだけ本体1内の装備を簡素化できる。
(第4の実施の態様)
図14〜図20は、第4実施例を示すもので、そのうち図14は図1(b)相当図で、図15は図2相当図である。まず、この図14,15に基づき本実施例の概要につき説明すると、ドラム8を介した循環ダクト20と、吸引ファン39を擁した通風ダクト36を備えた構成にあって、これは上記第1実施例と同じ構成にあり、従って夫々乾燥運転時とフィルタ清掃運転時に形成される空気流としても同じである。因みに、図14はフィルタ清掃運転時の空気流の流れを実線矢印Bで示しており、また図15は乾燥運転時の空気流を実線矢印Aで示しているように、これらが第1実施例と共通の作用をなすことも容易に理解できる。
ただ、異なる点としては第1のフィルタ33に関連して糸屑掻き取り手段53を設けたことにある。その機能については後述するが、第1のフィルタ33に捕獲された糸屑を手早く掻き取り、該フィルタ33からの糸屑除去を確実で速やかに実行するようにしたもので、この糸屑掻き取り手段53を設けたことにより、他の構成や空気流が特に変わることはない。
以下、糸屑掻き取り手段53の構成につき、その概略構成を示す図16〜図19を参照して説明すると、これは特に図16に示すように第1フィルタ33のフィルタケース35を利用して設けられている。このフィルタケース35の両側には前後方向に直線状に延びたガイド穴54が形成され、このガイド穴54にスライド可能に挿入されたガイド軸55を前端部に連結した送り部材56が設けられている。なお、ガイド軸55は回転可能に連結されている。
この送り部材56は、特には図17の要部を分解した斜視図に示すように後端部側にラック部56aを有し、固定部位に設けられ後述するブラシ部材59を作動させるモータ(以下、ブラシモータ)57の駆動ギア57aと噛合している。ブラシモータ57は、正逆回転制御され駆動ギア57aの正逆回転に伴い送り部材56は図中矢印C、Dで示す前後方向に往復動可能としている。このような両側部に配置された送り部材56は、後端部が補強部材58で連結され、一体的に往復動可能としている。
そして、図17,18に示すように前端部にはブラシ部材59を備えている。このブラシ部材59は、ゴム板であったりブラシそのものであってもよく、詳細は後述するが、その下端部が上記送り部材56に連動してフィルタ部材33aの上面を摺接可能としている。このブラシ部材59と送り部材56とは、送り部材56の前記ガイド軸55の一端に連結された連結板60を介して連結されている。
具体的には、連結板60の他端側にブラシ部材59と一体的に突設された棒状の可動軸61が回転可能に連結支持されている。この可動軸61は、図18(a)又は(b)に示すように上下方向に回動して、ブラシ部材59を上下動可能としている。すなわち、詳細は後述するが同図(a)では、可動軸61が所定長さのガイド部材62の上面を矢印D方向に滑動しているのに対し、同図(b)では可動軸61がガイド部材62から外れ、下降した位置で矢印C方向に移動可能としている。当然、ブラシ部材59は、それに連動して各上下部に移動した位置で図中各矢視方向に移動する。
この可動軸61の上下動は、上記各矢印方向の移動に応じてガイド部材62を利用して自動的に変位する機能を備えている。前記ガイド部材62は、フィルタケース35の両内側面に固定され、前記ガイド穴54と平行に延びているその後端部に、一端が固定された捩じりコイルばね63が装着されている。この捩じりコイルばね63の他端である自由端部は、自由状態で斜め下方に指向した状態にあり、その端部は可動軸61の矢印C方向の移動時に下方から当接する関係に設定されている。この場合、可動軸61の移動する力が捩じりコイルばね63の自由端部におけるばね力よりも大きく、該端部を持ち上げるようにして通過可能としている。
しかして、上記構成の糸屑掻き取り手段53の作用につき、図16〜図19を参照して具体的に述べると、図中矢印C方向の移動は第1のフィルタ33に捕獲した糸屑を掻き取るべく作用する状態にある。これは、図18(b)に示すようにガイド軸55を支点に連結板60が下方に回動し、可動軸61と共にブラシ部材59が下降した位置にあり、該ブラシ部材59の下端部が第1のフィルタ33(図14,15参照)の上面に当接した状態に維持される。この場合、フィルタ部材33aの上面にブラシ部材59などの重力を主体に、該ブラシ部材59の下端部が当接している。
今、ブラシモータ57の駆動に伴い送り部材56の矢印C方向の移動は、図18(b)に示すようにガイド軸55とガイド穴54にガイドされて直線的に移動し、やがて可動軸61が捩じりコイルばね63の自由端部に至る。その具体的な態様につき、図19(a),(b),(c)に基づき説明すると、同図(a)に示すように矢印C方向に移動したガイド軸61は、捩じりコイルばね63の自由端部に当接して、そのばね力に抗して持ち上げ、同図(b)に図示するように通り抜ける。この位置が、送り部材56等による矢印C方向の移動終端部である。
そして、図16に示す如くブラシモータ57は一端停止した後、逆回転駆動され送り部材56を矢印D方向に移動させ、すなわち逆方向に復帰移動させる。従って、ガイド軸55及び連結板60を介して可動軸61も同方向に移動しようとする。このとき、図19(c)に示すように捩じりコイルばね63の自由端部は元の状態に復帰しているので、可動軸61はその傾斜面に当接する。
しかるに、可動軸61はガイド軸55を支点に回動可能であるため、矢印D方向の初期移動力(水平方向)を受けて上方向に回動移動し、捩じりコイルばね63の傾斜した自由端部を上り、遂には二点鎖線で示すようにガイド部材62上に移行して移動する。そして、このガイド部材62の前端部を越えた位置で(図18(a)参照)、ガイド軸61が下方に回動するように下降し、その位置が矢印D方向の移動終端部で、ブラシモータ57が停止する。そして、再起動されたときは前記した通り動作し、ブラシ部材59等は再び矢印C方向に移動される。なお、上記捩じりコイルばね63は、他のばね部材でもよく、例えば所定の弾力性を有する鋼板を傾斜状態(上記自由端部に相当)に設けることで容易に実施できる。
ところで、この間のブラシ部材59は、まず前記したように矢印C方向の移動では第1のフィルタ33の上面を摺動し、ここに捕獲された糸屑を掻き取るようにして除去し、逆の矢印D方向の復帰移動では、上記の如くガイド軸61が持ち上げられ、ガイド部材62上を移動することになり、ブラシ部材59は第1のフィルタ33の上面とは離間した宙吊り状態で移動され、糸屑を上記掻き取り方向と逆方向に移動させることはない。
また、ブラシ部材59で掻き取られた糸屑は、フィルタケース35内の後方に一時的に掻き集められるが、そこは本実施例では特に通風ダクト36の入口近傍であることも相俟って、吸引ファン39が駆動され実線矢印B(図14参照)方向の空気流に基づくフィルタ清掃運転が行われることで通風ダクト36内に吸引され、第2のフィルタ42にて捕獲蓄積され、以って第1のフィルタ33及びその近傍の糸屑は一掃することができる。
上記構成の本実施例の作用につき、図20のフローチャートに沿って説明するとともに、特に第1実施例(図5参照)と対比し異なる行程につき詳細述べる。
従って、ステップS1〜ステップS10までの洗濯運転、及びステップS11,S12の所謂95%乾燥までの運転行程までは同一につき省略する。
斯くして、ステップS12にて衣類がほぼ乾燥された状態(95%)で乾燥運転が終了すると、既述の如く第1のフィルタ33の上面は捕獲された糸屑で多くの面が覆われた状態にある。そこで、次のステップZ1に移行し糸屑掻き取り手段53が作動する。これは、前記したように送り部材56やブラシ部材59が前後方向(矢印C,D方向)に往復動するのであるが、ここでは例えば2往復するように制御される。すなわち、ブラシ部材59が矢印C方向の移動によりフィルタ部材33a上面の糸屑が同方向に掻き取られ、その復帰移動である矢印D方向ではブラシ部材59が摺接することなく浮上した状態で元位置に復帰する。これを1往復として、2往復実行することで糸屑の掻き取り作用を確実のものとしている。なお、この糸屑掻き取り手段53の機能もフィルタ清掃運転の前段と捉えることができる。
次いで、ステップS15,S16と進行して乾燥運転が再開され、乾燥率100%を検知して終了する。続くステップS13,S14においては、既述した如き吸引ファン39の回転駆動の基づくフィルタ清掃運転が実行され、掻き集められた糸屑を第2のフィルタ42側に送り捕獲蓄積する。また、前行程における最終乾燥運転でも短時間運転であるが発生した糸屑は第1のフィルタ33に捕獲されており、この新たな捕獲分も同時に吸引除去される。
このように本実施例によれば、糸屑掻き取り手段53を設けて所謂機械的な手段にて第1のフィルタ33に捕獲された糸屑を除去できるようにした。従って、糸屑の絡まり具合が強い場合でも容易で確実に除去できる。また、吸引ファン39の駆動によるフィルタ清掃運転を全運転の最終行程にて実行するようにしたので、第1のフィルタ33は糸屑を一掃したきれいな状態で次回の乾燥運転を迎えることができる点で有効である。
ただし、この制御方法に限らず、例えば上記第1実施例のように乾燥率100%の運転で全運転を終了することも可能で、この場合にはステップZ1のブラシ部材59を動作させた後、直ちにステップS13,S14の吸引ファン39の駆動によるフィルタ清掃運転を実行し、そして乾燥率100%の乾燥運転(ステップS15,S16)を実行すればよく、要は、少なくとも糸屑の掻き取り後に吸引ファン39による清掃運転が実行されればよいことである。
なお、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されることなく、例えば横軸周りのドラム式の洗濯乾燥機への適用に限らず、縦軸周りの洗濯兼脱水槽を備えた洗濯乾燥機にも転用可能である。また、上記した各実施例を適宜組み合わせて実施することも可能であるなど、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できるものである。
図面中、1は本体、6は水槽、8はドラム(乾燥室)、20は循環ダクト、21は排気ダクト、22は給気ダクト、25は中間ダクト、26は循環ファン、29は凝縮器、30は蒸発器、31は第1の連通口(連通口)、32は第2の連通口(連通口)、33は第1のフィルタ、35はフィルタケース、36は通風ダクト、37,38は接続口、39は吸引ファン、42は第2のフィルタ、44は制御装置(制御手段)、45はダンパ装置、46はダンパ、47はシャッタ装置、49はシャッタ板、53は糸屑掻き取り手段、56は送り部材、59はブラシ部材、61は可動軸、及び63は捩じりコイルばね(ばね部材)を示す。