JP5126168B2 - 有機el装置および電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL装置とこの有機ELを備えた電子機器に関する。
現在、表示装置においてはカラー表示を行うことが必要不可欠になっている。カラー表示を行う場合、通常は表示最小単位となるドット(サブピクセル)として赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を呈するドット、すなわち赤色のドット、緑色のドット、青色のドットの三つを一組とする。そして、これら三つのドットを一画素(ピクセル)とし、カラー表示をなすための最小単位としている。
ところで、このような画素を構成するドット(サブピクセル)の配置としては、図16(a)に示すようなストライプ配置、図16(b)に示すようなモザイク配置、図16(c)に示すようなデルタ配置が従来より知られている。
また、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を呈するドット(セル)を4ドット(セル)略マトリクス状に組み合わせ、これら4ドット(セル)で一画素を構成させる配置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−102503号公報
ところで、前述したストライプ配置、モザイク配置、デルタ配置、さらには4ドット(セル)を略マトリクス状に組み合わせた配置は、基本的には各ドットを駆動させるための制御を簡易にするためになされたものである。そして、特に、ストライプ配置、モザイク配置、デルタ配置については、赤、緑、青をほぼ同じ量で配置し、一画素に関しても各色が同量となるように構成し、これによってその駆動方式を簡略化している。
しかしながら、人間工学的に見ると、赤、緑、青が同量となるようにして一画素を構成するのは、人間の視覚システム上からは不適当である
すなわち、人間の色を識別する能力は目の黄班部の中にある光感覚器官にあり、光センサーとなる網膜錐体にはS・L・M、それぞれ青・赤・緑の三つの種類がある。この黄班部の顕微鏡写真を見ると、網膜錐体はそれぞれ識別できるような染みになっている。そして、赤・緑の網膜錐体がそれぞれ10あるとすると、青の網膜錐体は平均して1しかなく、したがって網膜錐体の比率は赤:緑:青=10:10:1となっている。
よって、詳細情報(解像度)はもっぱら赤と緑とで検出(視認)され、青の網膜錐体は色の識別要素ではあるものの、詳細情報を読み取る要素ではないことが分かる。
また、4ドット(セル)を略マトリクス状に組み合わせた配置については、これによって例えば青の画素を増やすことはできるものの、基本的にはこの技術も駆動制御を容易にするためのもので、解像度を高くするのは困難である。さらに、この技術は、特にプラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、蛍光表示管、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び発光ダイオードディスプレイ等の表示画面に適用される技術である。しかして、近年ではカラー表示装置として有機EL装置が注目されているものの、前記の技術では有機EL装置への適用について何等考慮がなされていない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、人間の視覚システムの観点から見掛けの解像度を上げ、これにより、例えば画素ピッチ等を今より格段に狭くすることなく良好な表示を可能にした、有機EL装置とこれを備えた電子機器を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の有機EL装置は、赤、緑、青のサブピクセルを縦横に配置してなる有機EL装置において、前記縦横のうちの一方となる第1の方向に配列されている4つのサブピクセル及び前記4つのサブピクセルのうちの1つのサブピクセルに対して第1の方向と交差する第2方向の両側に配置された2つのサブピクセルによって論理画素を構成し、前記第1の方向に配列されている4つの前記サブピクセルと前記第2の方向に配列されている3つの前記サブピクセルとが交差する位置を前記論理画素の中心とし、第1の論理画素における前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルのうち、数の少ない第1色のサブピクセルが前記第1の論理画素の中心に配置されており、前記第1の論理画素に配置されている前記第1色のサブピクセルは、前記第1の論理画素の、前記第1の方向における両隣の二つの第2の論理画素と、前記第2の方向における両隣の二つの第2の論理画素の、合計四つの第2の論理画素に共有されるように配置され、前記第2の論理画素の中心には、前記第1の論理画素における前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルのうち、数の多い第2色のサブピクセルが配置されていることを特徴とする。
また、前記各論理画素における前記青のサブピクセルの数は、当該各論理画素の中心に配置されている前記サブピクセルの数と同じであることを特徴としている。
また、前記サブピクセルが矩形状に形成されてなり、前記サブピクセルの配置パターンが、前記青のサブピクセルの二つを中心パターンとし、前記中心パターンの中心点を中心として点対称になるように、前記中心パターンの両側にそれぞれ前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルとを配置してなることを特徴としている。
本発明の有機EL装置は、赤、緑を含むサブピクセルを有する有機EL装置において、第1の方向に配列されている複数の前記サブピクセル及び前記第1の方向と交差する第2の方向に配列されている複数の前記サブピクセルによって論理画素を構成し、前記第1の方向に配列されている複数の前記サブピクセルと前記第2の方向に配列されている複数の前記サブピクセルとが交差する位置を前記論理画素の中心とし、第1の論理画素における前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルのうち、数の少ない第1色のサブピクセルが前記第1の論理画素の中心に配置されており、前記第1の論理画素に配置されている前記第1色のサブピクセルは、第2の論理画素に共有されるように配置され、前記第2の論理画素の中心には、前記第1の論理画素における前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルのうち、数の多い第2色のサブピクセルが配置されていることを特徴としている。
また、前記有機EL装置は、さらに青のサブピクセルを有し、前記各論理画素における前記青のサブピクセルの数は、当該各論理画素の中心に配置されている前記サブピクセルの数と同じであることを特徴としている。
また、前記有機EL装置は、前記サブピクセルの配置パターンが、前記青のサブピクセルの一つあるいは複数を中心パターンとし、前記中心パターンの中心点を中心として点対称になるように、前記中心パターンの両側にそれぞれ前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルとを配置してなることを特徴としている。
また、前記有機EL装置は、前記サブピクセルが矩形状に形成されてなり、前記中心パターンが、二つの前記青のサブピクセルによって形成されてなることを特徴としている。
また、電極間に発光層を有してなる有機EL装置において、前記発光層のドットを構成するサブピクセルが赤、緑、青の3色からなり、前記サブピクセルの配置パターンが、前記青色のサブピクセルの一つあるいは複数を中心パターンとし、その両側にそれぞれ赤色のサブピクセルと緑色のサブピクセルとを配置し、かつ、これら両側にそれぞれ配置する赤色のサブピクセルと緑色のサブピクセルとを、前記中心パターンの中心点を中心として点対称の位置に配置してなることを特徴としている。

この有機EL装置によれば、サブピクセルの配置パターンを、特に青色のサブピクセルを中心パターンとし、その両側にそれぞれ赤色のサブピクセルと緑色のサブピクセルとを点対称で配置した構成としたので、一画素を単に赤、緑、青の三つのサブピクセルで構成することなくそれより多くのサブピクセルで構成することにより、画素ピッチ等を従来に比べ比べ格段に狭くすることなく、見掛けの解像度を上げることが可能となる。したがって、良好な表示を行うことができ、これにより高品質化や品質安定化、歩留まりの向上等を図ることができる。
また、前記有機EL装置においては、前記サブピクセルが矩形状に形成されてなり、前記中心パターンが、二つの青色のサブピクセルによって形成されていてもよい。
このようにすれば、従来のストライプ配置やモザイク配置を応用して各色のサブピクセルを容易に形成することができる。
また、前記有機EL装置においては、前記サブピクセルが矩形状に形成されてなり、前記中心パターンが一つの青色のサブピクセルによって形成され、この青色のサブピクセルが、他の色のサブピクセルより長く形成されていてもよい。
このようにしても、従来のストライプ配置やモザイク配置を応用して各色のサブピクセルを容易に形成することができ、また、青色のサブピクセルについては他の色のサブピクセルより粗いピッチで形成することができる。
また、前記有機EL装置においては、前記中心パターンが一つの正方形状の青色のサブピクセルによって形成され、前記配置パターンは、前記赤色および緑色のサブピクセルが、それぞれ前記青色のサブピクセルに対し該青色のサブピクセルの辺側を境界線として配置されて形成され、かつ、これら青色のサブピクセルと赤色のサブピクセルと緑色のサブピクセルとからなる配置パターンが、正方形状に形成されていてもよい。
このようにすれば、例えば青色のサブピクセルを一つ備えかつ三つより多い(例えば六つの)サブピクセルで一画素を構成することにより、画素ピッチ等を従来に比べ比べ格段に狭くすることなく、見掛けの解像度をより良好に上げることが可能となる。
本発明の電子機器は、前記有機EL装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、良好な表示を行うことができる有機EL装置を備えているので、電子機器自体も良好な表示をなすものとなる。
本発明の有機EL装置の、サブピクセルの配置を示す図である。 (a)〜(e)はサブピクセルによる画素を示す図である。 画素が白色を表示する場合のエネルギー分布を示す図3である。 (a)〜(c)は白点を表示したときの輝度を示す図である。 本発明の有機EL装置の配線構造を示す模式図である。 本発明の有機EL装置の構成を模式的に示す平面図である。 図6のA−B線に沿う断面図である。 図7の要部拡大断面図である。 有機EL装置の製造方法を工程順に説明する断面図である。 図9に続く工程を説明するための断面図である。 図10に続く工程を説明するための断面図である。 図11に続く工程を説明するための断面図である。 図12に続く工程を説明するための断面図である。 (a)、(b)はサブピクセルの他の配置を示す図である。 本発明の電子機器を示す斜視図である。 (a)〜(c)は従来の画素を示す図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の有機EL装置の一実施形態を示す図であり、発光層のサブピクセルの配置を示す図である。図1中符号Sは発光層のドットを構成するサブピクセルを示し、これらサブピクセルSは赤色のサブピクセル(図1中にRで示す。以下、サブピクセルRと記す。)、緑色のサブピクセル(図1中にGで示す。以下、サブピクセルGと記す。)、青色のサブピクセル(図1中にBで示す。以下、サブピクセルBと記す。)の3色からなっている。
これら3色のサブピクセルS(R、G、B)は、全て同じ大きさの矩形に形成されたもので、本例ではその配置パターンPが六つのサブピクセルによって構成されている。そして、このようにして構成された配置パターンPが縦横に整列配置されたことにより、本実施形態の発光層が形成されている。
ここで、配置パターンPは、図1に示したように縦に並んで配置された二つの青色のサブピクセルBを中心パターンCとし、その両側にそれぞれ赤色のサブピクセルRと緑色のサブピクセルGとを配置したものである。また、前記中心パターンCの両側にそれぞれ配置された赤色のサブピクセルRと緑色のサブピクセルGとは、前記中心パターンCの中心点Oを中心として、点対称の位置に配置されている。
なお、本発明において配置パターンPは、単に製造する際に各色のサブピクセルをどのように配置するかを規定しただけのものであり、表示を行う際の単位となるピクセル、すなわち単位画素を構成するものではない。
ピクセルとなる画素(単位画素)Lは、例えば図2(a)〜(e)に示すように六つのサブピクセルS(R、G、B)によって構成される。ここで、図2(a)〜(e)は一つの緑色のサブピクセルGを含む5通りの画素(ピクセル)Lを示すもので、横に並んだ四つのサブピクセルSと、この横に並んだ四つのサブピクセルのうちの一つに対してその上下に配置されたサブピクセルSと、から各画素Lが構成されている。
なお、これら画素Lは論理画素と呼ばれる情報画素であり、図16(a)〜(c)に示したような従来のRGBシステムより効率的にサブピクセルSが活用されるようになっている。すなわち、例えばRGBストライプ配置での論理画素は、赤・緑・青の各サブピクセルがそれぞれ固定的に配列されているが、図2(a)〜(e)に示した例では論理画素Lが六つのサブピクセルS(R、G、B)で構成されており、特に緑色のサブピクセルGや赤色のサブピクセルRは複数の論理画素(五つの論理画素)Lに共有されたものとなっている。なお、この五つの論理画素Lにおいて、これらに共有される一つの緑色のサブピクセルGは、一つの論理画素においてはその中心位置に、他の四つの論理画素においてはその周辺位置に活用されるようになっている。
ここで、図2(a)で示した論理画素L、すなわち緑色のサブピクセルGが中心に位置している論理画素Lの、白色を表示する場合のエネルギー分布を図3に示す。図3に示すように、周辺にあるサブピクセル(この場合、赤と青)のエネルギーが調整されて緑と融合したときに、この論理画素Lは白点を表示する。すなわち、白点として視認(知覚)されるのである。なお、赤色のサブピクセルRと緑色のサブピクセルGとが入れ替わり、赤色のサブピクセルRが中心に位置している論理画素(図2(b)〜図2(e)に示した論理画素)にあっても、白点を表示する場合のエネルギー分布については、緑と赤が入れ替わるだけで基本的に図3と同様となる。
また、図2(a)に示した論理画素Lや図2(c)に示した論理画素Lと、これらと同等のサブピクセル(TFT)密度を有する従来式RGBストライプ配置における画素とを、それぞれ白点を表示する状態(ONの状態)にし、そのときの輝度を調べた結果を図4に示す。なお、図4(a)は図2(a)に示した論理画素Lについて、図4(b)は図2(c)に示した論理画素Lについて、図4(c)は従来式RGBストライプ配置における画素について示している。
各画素を光測定器で測定することで得られた、実際の輝度を図4中のBに示す。また、人間の目は図4中のCに示すガウシアンフィルタを用いて実際に感知・処理する。そして、ガウシアンフィルタを介して人間に実際に知覚される輝度を図4中のDに示す。
図4中のDに示した結果より、図2(a)、(c)に示した本実施形態における論理画素Lで知覚されるカーブは、従来の画素で知覚されるカーブに比べて細いことが分かった。これは、人間が視覚を処理する仕組みと、中心の光の強さとの関係から得られる効果である。
したがって、本実施形態における論理画素は、従来の画素に比べ同等のサブピクセル(TFT)密度により、実際に知覚される輝度、すなわち見掛け上の解像度を高くすることができ、これにより高解像度なものとなる。
なお、本実施形態では、図2(a)、(c)に示したように緑色のサブピクセルGを四つ有した論理画素Lと、赤色のサブピクセルRを四つ有した論理画素Lとから発光層の表示単位である画素(論理画素)Lを構成しているが、このように画素L中に占める緑と赤の割合を大とすることにより、人間の視覚システムにマッチした表示を行うことができる。すなわち、詳細情報(解像度)をもっぱら担う赤と緑の網膜錐体に対してより表示量を大きくし、単に色の識別要素であるだけで、詳細情報を読み取る要素ではない青の網膜錐体に対しては相対的に表示量を少なくすることで、従来と同程度のサブピクセル(TFT)密度にもかかわらず、実際に知覚される輝度、すなわち見掛け上の解像度を従来以上に高くすることができるのである。
次に、このようにサブピクセルSを配置してなる発光層を有した有機EL装置の配線構造を、図5を参照して説明する。
図5に示す有機EL装置1は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下ではTFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の有機EL装置である。
この有機EL装置1は、図5に示すように、複数の走査線101…と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102…と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103…とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101…と信号線102…の各交点付近に、画素領域X…が設けられている。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路100が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続されている。
さらに、画素領域X各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(電極)23と、この画素電極23と陰極(電極)50との間に挟み込まれた機能層110とが設けられている。
この有機EL装置1によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量113に保持され、該保持容量113の状態に応じて、駆動用TFT123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT123のチャネルを介して、電源線103から画素電極23に電流が流れ、さらに機能層110を介して陰極50に電流が流れる。機能層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
次に、このような有機EL装置の全体の概略構成を説明する。
本実施形態の有機EL装置1は、図6に示すように電気絶縁性を備えた基板20と、スイッチング用TFT(図示せず)に接続された画素電極が基板20上にマトリックス状に配置されてなる画素電極域(図示せず)と、画素電極域の周囲に配置されるとともに各画素電極に接続される電源線(図示せず)と、少なくとも画素電極域上に位置する平面視ほぼ矩形の画素部3(図6中一点鎖線枠内)とを具備して構成されたアクティブマトリクス型のものである。
画素部3は、中央部分の実表示領域4(図2中二点鎖線枠内)と、実表示領域4の周囲に配置されたダミー領域5(一点鎖線および二点鎖線の間の領域)とに区画されている。
実表示領域4には、それぞれ画素電極を有する矩形状のサブピクセルR、G、BがA−B方向およびC−D方向にそれぞれ離間してマトリックス状に配置されている。
また、実表示領域4の図2中両側には、走査線駆動回路80、80が配置されている。これら走査線駆動回路80、80は、ダミー領域5の下側に配置されたものである。
さらに、実表示領域4の図6中上側には、検査回路90が配置されている。この検査回路90は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を備え、製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されたものである。なお、この検査回路90も、ダミー領域5の下側に配置されたものである。
走査線駆動回路80および検査回路90は、その駆動電圧が、所定の電源部から駆動電圧導通部310(図7参照)および駆動電圧導通部(図示せず)を介して、印加されるよう構成されている。また、これら走査線駆動回路80および検査回路90への駆動制御信号および駆動電圧は、この有機EL装置1の作動制御を行う所定のメインドライバなどから駆動制御信号導通部320(図7参照)および駆動電圧導通部350(図示せず)を介して、送信および印加されるようになっている。なお、この場合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路80および検査回路90が信号を出力する際の制御に関連するメインドライバなどからの指令信号である。
また、この有機EL装置1は、図7に示すように基体200上に、画素電極23と発光層60と陰極50とを有してなる発光素子(有機EL素子)を多数形成したものである。
基体200を構成する基板20としては、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置の場合、この基板20の対向側である封止部(図示せず)側から発光光を取り出す構成であるので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはそのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。
また、いわゆるバックエミッション型の有機EL装置の場合には、基板20側から発光光を取り出す構成であるので、基板20としては、透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板が好適に用いられる。なお、本実施形態では、保護層30側から発光光を取り出すトップエミッション型とし、よって基板20としては前記した不透明のもの、例えば不透明のプラスチックフィルムなどが用いられる。
また、基板20上には、画素電極23を駆動するための駆動用TFT123などを含む回路部11が形成されており、その上に発光素子(有機EL素子)が多数設けられている。発光素子は、図8に示すように、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、電気光学物質の一つである有機EL物質を備える発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されたものである。
このような構成のもとに、発光素子はその発光層60において、正孔輸送層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが結合することにより、発光光を生じるようになっている。
画素電極23は、本実施形態ではトップエミッション型であることから透明である必要がなく、したがって適宜な導電材料によって形成されている。
正孔輸送層70の形成材料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体など、またはそれらのドーピング体などが用いられる。具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)[商品名;バイトロン−p(Bytron-p):バイエル社製]の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液などが用いられる。
発光層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。
また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
なお、前記の高分子材料に代えて、従来公知の低分子材料を用いることもできる。
また、必要に応じて、このような発光層60の上に電子注入層を形成してもよい。
また、本実施形態において正孔輸送層70と発光層60とは、図7、図8に示すように基体200上にて格子状に形成された親液性制御層25と有機バンク層221とによって囲まれて配置されており、これによって平面視矩形状に囲まれた正孔輸送層70および発光層60は、単一の発光素子(有機EL素子)を構成する素子層となっている。
陰極50は、図7、図8に示すように、実表示領域4およびダミー領域5の総面積より広い面積を備え、それぞれを覆うように形成されたもので、前記発光層60と有機バンク層221及び囲み部材201の上面、さらには囲み部材201の外側部を形成する面201aを覆った状態で基体200上に形成されたものである。
陰極50を形成するための材料としては、本実施形態はトップエミッション型であることから光透過性である必要があり、したがって透明導電材料が用いられる。透明導電材料としてはITOが好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide :IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)等を用いることができる。なお、本実施形態ではITOを用いるものとする。
このような陰極50の上には、この陰極50の基体200上で露出する部位を覆った状態で保護層30が設けられている。この保護層30は、その内側に酸素や水分が浸入するのを防止するためのもので、これにより陰極50や発光層60への酸素や水分の浸入を防止し、酸素や水分による陰極50や発光層60の劣化等を抑えるようにしたものである。
前記の発光素子の下方には、図8に示したように回路部11が設けられている。この回路部11は、基板20上に形成されて基体200を構成するものである。すなわち、基板20の表面にはSiO2 を主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO2 および/またはSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線101の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiO2を主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、前述した電源線103(図5参照、図8においてはソース電極243の位置に紙面垂直方向に延在する)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層は、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする第2層間絶縁層284によって覆われている。この第2層間絶縁層284は、アクリル系の絶縁膜以外の材料、例えば、SiN、SiO2 などを用いることもできる。そして、ITOからなる画素電極23が、この第2層間絶縁層284の表面上に形成されるとともに、該第2層間絶縁層284に設けられたコンタクトホール23aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。
なお、走査線駆動回路80および検査回路90に含まれるTFT(駆動回路用TFT)、すなわち、例えばこれらの駆動回路のうち、シフトレジスタに含まれるインバータを構成するNチャネル型又はPチャネル型のTFTは、画素電極23と接続されていない点を除いて前記駆動用TFT123と同様の構造とされている。
画素電極23が形成された第2層間絶縁層284の表面には、画素電極23と、前記した親液性制御層25及び有機バンク層221とが設けられている。親液性制御層25は、例えばSiO2 などの親液性材料を主体とするものであり、有機バンク層221は、アクリルやポリイミドなどからなるものである。そして、画素電極23の上には、親液性制御層25に設けられた開口部25a、および有機バンク221に囲まれてなる開口部221aの内部に、正孔輸送層70と発光層60とがこの順に積層されている。なお、本実施形態における親液性制御層25の「親液性」とは、少なくとも有機バンク層221を構成するアクリル、ポリイミドなどの材料と比べて親液性が高いことを意味するものとする。
以上に説明した基板20上の第2層間絶縁層284までの層が、回路部11を構成するものとなっている。
ここで、本実施形態の有機EL装置1は、前述したように各発光層60が、その発光波長帯域が光の三原色、すなわち発光波長帯域が赤色に対応した赤色用発光層60R、緑色に対応した緑色用発光層60G、青色に対応した青色用有機EL層60Bからなっており、これらがそれぞれに対応するサブピクセルR、G、Bに設けられることで構成されている。なお、これらサブピクセルR、G、Bは、本実施形態では図2(a)〜(e)に示したようにその六つの集合によってカラー表示をなす単位画素(論理画素)Lを構成している。
次に、本実施形態に係る有機EL装置1の製造方法の一例を、図9〜図13を参照して説明する。なお、本実施形態においては、有機EL装置1がトップエミッション型である場合について説明する。また、図9〜図13に示す各断面図は、図6中のA−B線の断面図に対応した図である。
まず、図9(a)に示すように、基板20の表面に、下地保護層281を形成する。次に、下地保護層281上に、ICVD法、プラズマCVD法などを用いてアモルファスシリコン層501を形成した後、レーザアニール法又は急速加熱法により結晶粒を成長させてポリシリコン層とする。
次いで、図9(b)に示すように、ポリシリコン層をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、島状のシリコン層241、251および261を形成する。これらのうちシリコン層241は、表示領域内に形成され、画素電極23に接続される駆動用TFT123を構成するものであり、シリコン層251、261は、走査線駆動回路80に含まれるPチャネル型およびNチャネル型のTFT(駆動回路用TFT)をそれぞれ構成するものである。
次に、プラズマCVD法、熱酸化法などにより、シリコン層241、251および261、下地保護層281の全面に厚さが約30nm〜200nmのシリコン酸化膜によって、ゲート絶縁層282を形成する。ここで、熱酸化法を利用してゲート絶縁層282を形成する際には、シリコン層241、251および261の結晶化も行い、これらのシリコン層をポリシリコン層とすることができる。
また、シリコン層241、251および261にチャネルドープを行う場合には、例えば、このタイミングで約1×1012/cm2 のドーズ量でボロンイオンを打ち込む。その結果、シリコン層241、251および261は、不純物濃度(活性化アニール後の不純物にて算出)が約1×1017/cm3 の低濃度P型のシリコン層となる。
次に、Pチャネル型TFT、Nチャネル型TFTのチャネル層の一部にイオン注入選択マスクを形成し、この状態でリンイオンを約1×1015/cm2 のドーズ量でイオン注入する。その結果、パターニング用マスクに対してセルフアライン的に高濃度不純物が導入されて、図9(c)に示すように、シリコン層241及び261中に高濃度ソース領域241Sおよび261S並びに高濃度ドレイン領域241Dおよび261Dが形成される。
次に、図9(c)に示すように、ゲート絶縁層282の表面全体に、ドープドシリコンやシリサイド膜、あるいはアルミニウム膜やクロム膜、タンタル膜という金属膜からなるゲート電極形成用導電層502を形成する。この導電層502の厚さは概ね500nm程度である。その後、パターニング法により、図9(d)に示すように、Pチャネル型の駆動回路用TFTを形成するゲート電極252、画素用TFTを形成するゲート電極242、Nチャネル型の駆動回路用TFTを形成するゲート電極262を形成する。また、駆動制御信号導通部320(350)、陰極電源配線の第1層121も同時に形成する。なお、この場合、駆動制御信号導通部320(350)はダミー領域5に配設するものとされている。
続いて、図9(d)に示すように、ゲート電極242、252および262をマスクとして用い、シリコン層241、251および261に対してリンイオンを約4×1013/cm2 のドーズ量でイオン注入する。その結果、ゲート電極242、252および262に対してセルフアライン的に低濃度不純物が導入され、図9(d)に示すように、シリコン層241および261中に低濃度ソース領域241bおよび261b、並びに低濃度ドレイン領域241cおよび261cが形成される。また、シリコン層251中に低濃度不純物領域251Sおよび251Dが形成される。
次に、図10(e)に示すように、Pチャネル型の駆動回路用TFT252以外の部分を覆うイオン注入選択マスク503を形成する。このイオン注入選択マスク503を用いて、シリコン層251に対してボロンイオンを約1.5×1015/cm2 のドーズ量でイオン注入する。結果として、Pチャネル型駆動回路用TFTを構成するゲート電極252もマスクとして機能するため、シリコン層252中にセルフアライン的に高濃度不純物がドープされる。したがって、低濃度不純物領域251Sおよび251Dはカウンタードープされ、P型チャネル型の駆動回路用TFTのソース領域およびドレイン領域となる。
次いで、図10(f)に示すように、基板20の全面にわたって第1層間絶縁層283を形成するとともに、フォトリソグラフィ法を用いて該第1層間絶縁層283をパターニングすることにより、各TFTのソース電極およびドレイン電極に対応する位置にコンタクトホールCを形成する。
次に、図10(g)に示すように、第1層間絶縁層283を覆うように、アルミニウム、クロム、タンタルなどの金属からなる導電層504を形成する。この導電層504の厚さは概ね200nmないし800nm程度である。この後、導電層504のうち、各TFTのソース電極およびドレイン電極が形成されるべき領域240a、駆動電圧導通部310(340)が形成されるべき領域310a、陰極電源配線の第2層が形成されるべき領域122aを覆うようにパターニング用マスク505を形成するとともに、該導電層504をパターニングして、図11(h)に示すソース電極243、253、263、ドレイン電極244、254、264を形成する。
次いで、図11(i)に示すように、これらが形成された第1層間絶縁層283を覆う第2層間絶縁層284を、例えばアクリル系樹脂などの高分子材料によって形成する。この第2層間絶縁層284は、約1〜2μm程度の厚さに形成されることが望ましい。なお、SiN、SiO2 により第2層間絶縁膜を形成することも可能であり、SiNの膜厚としては200nm、SiO2 の膜厚としては800nmに形成することが望ましい。
次いで、図11(j)に示すように、第2層間絶縁層284のうち、駆動用TFTのドレイン電極244に対応する部分をエッチングにより除去してコンタクトホール23aを形成する。
その後、基板20の全面を覆うように画素電極23となる導電膜を形成する。そして、この透明導電膜をパターニングすることにより、図12(k)に示すように、第2層間絶縁層284のコンタクトホール23aを介してドレイン電極244と導通する画素電極23を形成すると同時に、ダミー領域のダミーパターン26も形成する、なお、図7では、これら画素電極23、ダミーパターン26を総称して画素電極23としている。
ダミーパターン26は、第2層間絶縁層284を介して下層のメタル配線へ接続しない構成とされている。すなわち、ダミーパターン26は、島状に配置され、実表示領域に形成されている画素電極23の形状とほぼ同一の形状を有している。もちろん、表示領域に形成されている画素電極23の形状と異なる構造であってもよい。なお、この場合、ダミーパターン26は少なくとも前記駆動電圧導通部310(340)の上方に位置するものも含むものとする。
次いで、図12(l)に示すように、画素電極23、ダミーパターン26上、および第2層間絶縁膜上に絶縁層である親液性制御層25を形成する。なお、画素電極23においては一部が開口する態様にて親液性制御層25を形成し、開口部25a(図7も参照)において画素電極23からの正孔移動が可能とされている。逆に、開口部25aを設けないダミーパターン26においては、絶縁層(親液性制御層)25が正孔移動遮蔽層となって正孔移動が生じないものとされている。
次いで、図12(m)に示すように、親液性制御層25の所定位置に有機バンク層221を形成する。具体的な有機バンク層の形成方法としては、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に溶解したものを、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して有機質層を形成する。なお、有機質層の構成材料は、後述するインクの溶媒に溶解せず、しかもエッチングなどによってパターニングし易いものであればどのようなものでもよい。
続いて、有機質層をフォトリソグラフィ技術、エッチング技術を用いてパターニングし、有機質層にバンク開口部221aを形成することにより、開口部221aに壁面を有した有機バンク層221を形成する。
次いで、有機バンク層221の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成する。具体的には、該プラズマ処理を、予備加熱工程と、有機バンク層221の上面および開口部221aの壁面ならびに画素電極23の電極面、親液性制御層25の上面をそれぞれ親液性にする親インク化工程と、有機バンク層の上面および開口部の壁面を撥液性にする撥インク化工程と、冷却工程とで構成する。
すなわち、基材(バンクなどを含む基板20)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親インク化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2 プラズマ処理)を行う。次いで、撥インク化工程として大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4 プラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性および撥液性が所定箇所に付与されることとなる。
なお、このCF4 プラズマ処理においては、画素電極23の電極面および親液性制御層25についても多少の影響を受けるが、画素電極23の材料であるITOおよび親液性制御層25の構成材料であるSiO2 、TiO2 などはフッ素に対する親和性に乏しいため、親インク化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
次いで、正孔輸送層形成工程によって正孔輸送層70の形成を行う。この正孔輸送層形成工程では、例えばインクジェット法等の液滴吐出法や、スピンコート法などにより、正孔輸送層材料を画素電極の上に塗布し、その後、乾燥処理および熱処理を行い、画素電極23上に正孔輸送層70を形成する。正孔輸送層材料を例えばインクジェット法で選択的に塗布する場合には、まず、インクジェットヘッド(図示略)に正孔輸送層材料を充填し、インクジェットヘッドの吐出ノズルを親液性制御層25に形成された前記開口部25a内に位置する画素電極23の電極面に対向させ、インクジェットヘッドと基材(基板20)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面に吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理し、正孔輸送層材料に含まれる分散媒や溶媒を蒸発させることにより、正孔輸送層70を形成する。
ここで、吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面上にて広がり、親液性制御層25の開口部25a内に満たされる。その一方で、撥インク処理された有機バンク層221の上面では、液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からはずれて有機バンク層221の上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が親液性制御層25の開口部25a内に転がり込む。
なお、この正孔輸送層形成工程以降は、正孔輸送層70および発光層60の酸化を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
次いで、発光層形成工程によって発光層60の形成を行う。この発光層形成工程では、例えば前記のインクジェット法により、発光層形成材料を正孔輸送層70上に吐出し、その後、乾燥処理および熱処理を行うことにより、有機バンク層221に形成された開口部221a内に発光層60を形成する。この発光層形成工程では、正孔輸送層70の再溶解を防止するため、発光層形成材料に用いる溶媒として、正孔輸送層70に対して不溶な無極性溶媒を用いる。
なお、この発光層形成工程では、前記のインクジェット法によって例えば青色(B)の発光層形成材料を青色の表示領域に選択的に塗布し、乾燥処理した後、同様にして緑色(G)、赤色(R)についてもそれぞれその表示領域に選択的に塗布し、乾燥処理する。
また、必要に応じて、前述したようにこのような発光層60の上に電子注入層を形成してもよい。
次いで、図13(n)に示すように、陰極層形成工程によって陰極50の形成を行う。この陰極層形成工程では、例えば蒸着法等の物理的気相蒸着法によりITOを成膜し、陰極50とする。
その後、図13(n)に示すように陰極50を覆って、すなわち基体200上にて露出する陰極50の全ての部位を覆った状態に保護層30を形成し、さらに従来一般的になされている封止基板や封止缶による封止(図示せず)を行い、本発明の有機EL装置(電気光学装置)を得る。
このような有機EL装置1にあっては、サブピクセルS(R、G、B)の配置パターンPを図1に示したようにし、一画素(論理画素)Lを六つのサブピクセルSで構成するようにしたので、従来の画素に比べ同等のサブピクセル(TFT)密度により、実際に知覚される輝度、すなわち見掛け上の解像度を高くすることができる。したがって、高解像度化を達成して良好な表示を行うことができ、これにより高品質化や品質安定化、歩留まりの向上等を図ることができる。また、従来と同等の解像度に抑えた規格で形成した場合には、消費電力や製造コストを従来に比べ低くすることができる。
また、特にサブピクセルS(R、G、B)の配置パターンPを図1に示したようにしたことにより、例えば有機バンク層221などについては従来のストライプ配置やモザイク配置を応用して形成することができ、したがって各色のサブピクセルを容易に形成することができる。
なお、前記実施形態では、サブピクセルS(R、G、B)の配置パターンPを図1に示したようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、図14(a)に示す配置パターンP1や図14(b)に示す配置パターンP2としてもよい。図14(a)に示した配置パターンP1が図1に示した配置パターンPと異なるのところは、図1に示した配置パターンPでは中心パターンCが二つの青色のサブピクセルBからなっているのに対し、図14(a)に示した配置パターンP1では一つの大きな青色のサブピクセルB1、すなわち図1に示した中心パターンCを構成する二つの青色のサブピクセルBを一つにまとめた点である。
このようにすれば、前記配置パターンPの場合と同様に従来のストライプ配置やモザイク配置を応用して形成することができ、したがって各色のサブピクセルを容易に形成することができる。また、図1に示した場合に比べて二つの青色のサブピクセルBを一つにまとめているので、その分スイッチング素子等の駆動素子の数を減らすことができ、したがってコストダウンや小型化を図ることができる。
また、図14(b)に示した配置パターンP2は、前記配置パターンPや配置パターンP1とは全く異なる形態としている。すなわち、この配置パターンP2では、中心パターンCとして一つの正方形状の青色のサブピクセルB2を形成し、これの両側に配置され、かつ点対称に配置される赤色のサブピクセルR1および緑色のサブピクセルG1として、五角形状のものを形成している。これら五角形状の赤色のサブピクセルR1と緑色のサブピクセルG1とは、それぞれ前記青色のサブピクセルB2に対し該青色のサブピクセルB2の辺側を境界線として配置されている。そして、これら青色のサブピクセルB2と赤色のサブピクセルR1と緑色のサブピクセルG1とからなる配置パターンP2は、全体が正方形状に形成されたものとなっている。
このような構成からなる配置パターンP2を有した発光層において、表示を行う際の単位となるピクセル、すなわち単位画素(論理画素)Lは、図14(b)に示したように、一つの青色のサブピクセルB2と、これに隣接する一つの緑色のサブピクセルG1と、このサブピクセルG1に隣接する四つの赤色のサブピクセルRとからなる。また、図2に示した場合と同様に、赤色のサブピクセルR1と緑色のサブピクセルG1を入れ替えることでも単位画素(論理画素)Lを形成することができる。
そして、このように赤色のサブピクセルR1を四つ有する論理画素Lと、緑色のサブピクセルG1を四つ有する論理画素Lとにより、図1に示した配置パターンPの場合と同様に、従来の画素と同等のサブピクセル(TFT)密度により、実際に知覚される輝度、すなわち見掛け上の解像度を格段に高くすることができる。
なお、前記有機EL装置1では、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型のものとしたが、特に図14(b)に示したようにサブピクセルS(R、G、B)が複雑な形状になった場合には、TFT回路形成や発光層形成のための製膜が煩雑になり、工程が増えてしまう可能性がある。そこで、その場合にアクティブ駆動に代えてパッシブ駆動を採用することにより、このデメリットを解決することができる。
また、前記有機EL装置1ではトップエミッション型を例にして説明したが、本発明はこれに限定されることなく、バックエミッション型にも、また、両側に発光光を出射するタイプのものにも適用可能である。
また、バックエミッション型、あるいは両側に発光光を出射するタイプのものとした場合、基体200に形成するスイッチング用TFT112や駆動用TFT123については、発光素子の直下ではなく、親液性制御層25および有機バンク層221の直下に形成するようにし、開口率を高めるのが好ましい。
次に、本発明の電子機器を説明する。本発明の電子機器は、前記の有機EL装置1を表示部として有したものであり、具体的には図15に示すものが挙げられる。
図15は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図15において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は前記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
この携帯電話(電子機器)は、前記有機EL装置1を有した表示部を備えているので、良好な表示をなすものとなる。
なお、本発明の電子機器としては、携帯電話に限ることなく、腕時計型電子機器やワープロ、パソコン等の携帯型情報処理装置などにも適用可能なのはもちろんである。
1…有機EL装置、23…画素電極(電極)、50…陰極(電極)、60…発光層、
S…サブピクセル、R…赤色のサブピクセル、G…緑色のサブピクセル、
B…青色のサブピクセル、C…中心パターン、L…画素(論理画素)、O…中心点

Claims (4)

  1. 赤、緑、青のサブピクセルを縦横に配置してなる有機EL装置において、
    前記縦横のうちの一方となる第1の方向に配列されている4つのサブピクセル及び前記4つのサブピクセルのうちの1つのサブピクセルに対して第1の方向と交差する第2方向の両側に配置された2つのサブピクセルによって論理画素を構成し、
    前記第1の方向に配列されている4つの前記サブピクセルと前記第2の方向に配列されている3つの前記サブピクセルとが交差する位置を前記論理画素の中心とし、
    第1の論理画素における前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルのうち、数の少ない第1色のサブピクセルが前記第1の論理画素の中心に配置されており、
    前記第1の論理画素に配置されている前記第1色のサブピクセルは、前記第1の論理画素の、前記第1の方向における両隣の二つの第2の論理画素と、前記第2の方向における両隣の二つの第2の論理画素の、合計四つの第2の論理画素に共有されるように配置され、
    前記第2の論理画素の中心には、前記第1の論理画素における前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルのうち、数の多い第2色のサブピクセルが配置されていることを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記各論理画素における前記青のサブピクセルの数は、当該各論理画素の中心に配置されている前記サブピクセルの数と同じであることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
  3. 前記サブピクセルが矩形状に形成されてなり、
    前記サブピクセルの配置パターンが、前記青のサブピクセルの二つを中心パターンとし、前記中心パターンの中心点を中心として点対称になるように、前記中心パターンの両側にそれぞれ前記赤のサブピクセルと前記緑のサブピクセルとを配置してなることを特徴とする請求項2記載の有機EL装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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