JP5126044B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関と、その内燃機関の出力軸に接続されたトルクコンバータ付きの変速機とを備えた車両の制御装置に関する。
内燃機関と変速機とを接続するトルクコンバータの特性は、図5に示すように、入出力間の回転数比e(=n/n)を横軸としたときの入出力間のトルク比t(=T/T)及び容量係数C(=T/n )、或いは容量係数C′(=T/n =tC/e)によって表すことができる。ここで、nはトルクコンバータの入力側回転数(内燃機関の回転数)、nは出力側回転数(変速機の入力回転数)、Tは内燃機関からトルクコンバータへの入力トルク、Tはトルクコンバータから変速機への入力トルクである。
特開平6−17684号公報には、目標とする駆動軸トルクを得るための内燃機関のトルク及び回転数をトルクコンバータの特性を考慮して算出する方法が記載されている。特開平6−17684号公報に記載された方法によれば、目標とする駆動軸トルクに基づいて出力トルクTの目標値を設定し、また、そのときの出力側回転数nを計測することで、容量係数C′の値を計算することができる。そして、容量係数C′の値を図5に示すグラフに当てはめることで回転数比eの値を決定することができ、回転数比eの値からトルク比tの値を決定することができる。トルク比tの値と出力トルクTの目標値とから入力トルクTの目標値を算出することができる。回転数比eの値と出力側回転数nとから入力側回転数nの目標値を算出することができる。
特開平6−17684号公報 特開平5−263904号公報 特開平5−296886号公報 特開平9−158772号公報 特開2005−161956号公報
しかしながら、特開平6−17684号公報に記載されている方法は、以下に説明するように、停車中や低速時の計算精度に問題がある。
停車中や低速時、出力側回転数nはゼロ若しくはゼロに近い値になることから、C′=T/n で定義される容量係数C′の値は無限値になる。図5に示すグラフによれば、C′の値が無限値になると回転数比eの値はゼロに近づいていくが、その正確な値をグラフから求めることはできない。回転数比eの値が定まらなければ、入力側回転数nの目標値を算出することはできない。また、回転数比eの値が定まらなければトルク比tの値も定まらないため、入力トルクTの目標値を算出することもできない。仮に回転数比eの値がグラフから求めることができたとしても、その値はゼロ若しくはゼロに近い値であるため、n=n/eの計算においてゼロ割が起こってしまう。したがって、いずれにしても上記の方法では入力側回転数nの目標値や入力トルクTの目標値を精度良く算出することができない。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、停車中や低車速でも高い精度で内燃機関の目標トルク及び目標回転数を計算することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の車両の制御装置は、内燃機関と前記内燃機関の出力軸に接続されたトルクコンバータ付きの変速機とを備えた車両の制御装置において、
eとtとの関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性C)を記憶したトルクコンバータ特性C記憶手段と、
eとCとの関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性D)を記憶したトルクコンバータ特性D記憶手段と、
eとn /Tとの関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性E)を記憶したトルクコンバータ特性E記憶手段と、
の目標値を設定する目標変速機入力トルク設定手段と、
を計測する出力側回転数計測手段と、
の目標値とnの計測値と前記トルクコンバータ特性C,Eとに基づいてTの目標値を算出する目標機関出力トルク算出手段と、
の目標値とnの計測値と前記トルクコンバータ特性C,D,Eとに基づいてnの目標値を算出する目標機関回転数算出手段と、
,nの各目標値に基づいて前記内燃機関の運転を制御する制御手段と、
eとT /n との関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性F)を記憶したトルクコンバータ特性F記憶手段と、
の目標値とn の計測値と前記トルクコンバータ特性C,Fとに基づいてT の目標値を算出する第2の目標機関出力トルク算出手段と、
の目標値とn の計測値と前記トルクコンバータ特性C,D,Fとに基づいてn の目標値を算出する第2の目標機関回転数算出手段と、
/T の値が所定値よりも大きいとき(或いは、n の計測値が所定値よりも大きいとき)、前記制御手段で使用するT ,n の各目標値の計算を前記第2の目標機関出力トルク算出手段及び第2の目標機関回転数算出手段による計算へ切り替える切替手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明によれば、Tの目標値とnの計測値とからn /Tの値を計算し、その値をトルクコンバータ特性Eに当てはめることで回転数比eの値を求めることができる。そして、回転数比eの値をトルクコンバータ特性Cに当てはめることでトルク比tの値を求めることができ、回転数比eの値をトルクコンバータ特性Dに当てはめることで容量係数Cの値を求めることができる。トルク比tの値が定まることで、トルク比tとTの目標値とからTの目標値(内燃機関の目標トルク)を算出することができる。さらに容量係数Cの値が定まることで、トルク比tと容量係数CとTの目標値とからnの目標値(内燃機関の目標回転数)を算出することができる。以上の計算過程においては、nがゼロ若しくはゼロに近い値の場合でも算出値が無限値になったりゼロ割が生じたりすることはない。したがって、第2の発明によれば、停車中や低車速でも高い精度で内燃機関の目標トルク及び目標回転数を計算することが可能であり、それにより目標の変速機入力トルクが得られるように内燃機関を適正に制御することができる。
また、本発明によれば、車両の加速によってnの値が大きくなり、n /Tの値が無限値に向かうような場合には、n /Tの代わりにT/n の値を計算し、その値をトルクコンバータ特性Fに当てはめることで回転数比eの値を求めることができる。回転数比eの値が定まれば、上述のように、トルクコンバータ特性C,Dを用いてT,nの各目標値を算出することができる。したがって、第2の発明のより好ましい態様によれば、計算過程での無限値やゼロ割を確実に避けることが可能であり、常に高い精度で内燃機関の目標トルク及び目標回転数を計算することができる。
実施の形態1.
以下、図を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は本実施の形態にかかる車両の駆動システムの概略構成を示す図である。図1に示す駆動システムは、動力発生装置としての内燃機関2とトルクコンバータ4付きの変速機6とを有している。内燃機関2が発生するトルクはトルクコンバータ4で増幅されて変速機6に入力されるようになっている。ここで、内燃機関2からトルクコンバータ4へ入力されるトルクをT、トルクコンバータ4から変速機6へ入力されるトルクをTとする。また、トルクコンバータ4の入力側回転数(内燃機関の回転数)をnとし、出力側回転数(変速機の入力回転数)をnとする。
図1に示す駆動システムにおいて、内燃機関2の運転は制御装置10によって制御される。制御装置10は、アクセル開度と車速とに基づいて変速機入力トルクTの目標値を設定する。そして、設定した変速機入力トルクTの目標値に基づいて、内燃機関の出力トルクTの目標値と内燃機関の回転数nの目標値とを算出する。以下、本実施の形態において採られているT及びnの各目標値の算出方法について説明する。
制御装置10は、図2にグラフで示すトルクコンバータ特性Aと、図3にグラフで示すトルクコンバータ特性Bとをマップ或いは関数の形態で記憶している。トルクコンバータ特性Aは、n /Tを横軸としたときのトルク比tによって表されるトルクコンバータ4に固有の特性である。トルクコンバータ特性Bは、n /Tを横軸としたときの容量係数Cによって表されるトルクコンバータ4に固有の特性である。これらトルクコンバータ特性A,Bはトルクコンバータ4の実機を用いた試験によって調べることができる。
制御装置10は、目標の駆動軸トルクに基づいてTの目標値を設定するとともに、その時点におけるnを直接的に或いは間接的に計測する。nを直接的に計測するとは変速機6の入力軸の回転数を計測することであり、nを間接的に計測するとは変速機6の出力軸の回転数(若しくは車輪速)を計測してその計測値と変速比とから計算することである。制御装置10は、Tの目標値とnの計測値とからn /Tの値を計算する。
次に、制御装置10は、算出したn /Tの値をトルクコンバータ特性Aに当てはめ、n /Tの値からトルク比tの値を決定する。また、制御装置10は、算出したn /Tの値をトルクコンバータ特性Bに当てはめ、n /Tの値から容量係数Cの値を決定する。
次に、制御装置10は、関係式T=T/tを用いて、トルク比tとTの目標値とからTの目標値、すなわち、内燃機関の目標トルクを算出する。
さらに、制御装置10は、関係式n =T/Cを用いて、トルク比tと容量係数CとTの目標値とからnの目標値、すなわち、内燃機関の目標回転数を算出する。
以上説明した算出方法によれば、その計算過程においてnがゼロ若しくはゼロに近い値の場合でも、算出値が無限値になったりゼロ割が生じたりすることはない。したがって、本実施の形態によれば、停車中や低車速でも高い精度で内燃機関2の目標トルク及び目標回転数を計算することが可能であり、それにより目標の駆動軸トルクが得られるように内燃機関2を適正に制御することができる。
実施の形態2.
次に、図を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態と実施の形態1とはT及びnの各目標値の算出方法に違いがある。本実施の形態では、制御装置10は、前掲の図5のグラフ中に実線で示すトルクコンバータ特性Cと破線で示すトルクコンバータ特性Dとをマップ或いは関数の形態で記憶している。さらに、制御装置10は、図4にグラフで示すトルクコンバータ特性Eをマップ或いは関数の形態で記憶している。トルクコンバータ特性Cは、回転数比eを横軸としたときのトルク比tによって表されるトルクコンバータ4に固有の特性である。トルクコンバータ特性Dは、回転数比eを横軸としたときの容量係数Cによって表されるトルクコンバータ4に固有の特性である。そして、トルクコンバータ特性Eは、回転数eを横軸としたときのn /Tによって表されるトルクコンバータ4に固有の特性である。これらトルクコンバータ特性C,D,Eはトルクコンバータ4の実機を用いた試験によって調べることができる。
制御装置10は、目標の駆動軸トルクに基づいてTの目標値を設定するとともに、その時点におけるnを直接的に或いは間接的に計測する。制御装置10は、Tの目標値とnの計測値とからn /Tの値を計算する。
次に、制御装置10は、算出したn /Tの値をトルクコンバータ特性Eに当てはめ、n /Tの値から回転数比eの値を決定する。そして、制御装置10は、算出した回転数比eの値をトルクコンバータ特性Cに当てはめ、回転数比eからトルク比tの値を決定する。また、算出した回転数比eの値をトルクコンバータ特性Dに当てはめ、回転数比eから容量係数Cの値を決定する。制御装置10は、このようにして決定されたトルク比tと容量係数Cとを用いて、実施の形態1で説明したのと同様の方法にてT,nの各目標値を算出する。
以上説明した算出方法による計算過程においては、nがゼロ若しくはゼロに近い値の場合でも、算出値が無限値になったりゼロ割が生じたりすることはない。したがって、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、停車中や低車速でも高い精度で内燃機関2の目標トルク及び目標回転数を計算することが可能であり、それにより目標の駆動軸トルクが得られるように内燃機関2を適正に制御することができる。
実施の形態3.
次に、図を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態では、制御装置10は、nの計測値が所定値以下のときには実施の形態2で説明した方法でT及びnの各目標値を算出する。しかし、nの計測値が所定値よりも大きいときには実施の形態2とは別の方法でT及びnの各目標値を算出する。車両の加速によってnの値が大きくなるとn /Tの値は無限値に向かうため、図4に示すグラフにおいて回転数eの値が定まらなくなってしまうからである。
本実施の形態では、制御装置10は、トルクコンバータ特性C,D,Eに加えて、前掲の図5のグラフ中に一点鎖線で示すトルクコンバータ特性Fをマップ或いは関数の形態で記憶している。トルクコンバータ特性Fは、回転数比eを横軸としたときの容量係数C′によって表されるトルクコンバータ4に固有の特性である。トルクコンバータ特性Fはトルクコンバータ4の実機を用いた試験によって調べることができる。
制御装置10は、目標の駆動軸トルクに基づいてTの目標値を設定するとともに、その時点におけるnを直接的に或いは間接的に計測する。ここで、nの計測値が所定値よりも大きい場合、制御装置10は、関係式C′=T/n を用いてTの目標値とnの計測値とからC′の値を計算する。
次に、制御装置10は、算出したC′の値をトルクコンバータ特性Fに当てはめ、C′の値から回転数比eの値を決定する。そして、制御装置10は、算出した回転数比eの値をトルクコンバータ特性Cに当てはめ、回転数比eからトルク比tの値を決定する。また、算出した回転数比eの値をトルクコンバータ特性Dに当てはめ、回転数比eから容量係数Cの値を決定する。制御装置10は、このようにして決定されたトルク比tと容量係数Cとを用いて、実施の形態1で説明したのと同様の方法にてT,nの各目標値を算出する。
以上説明した算出方法による計算過程においては、nの値が大きくなってn /Tの値が無限値に向かう場合でも、算出値が無限値になったりゼロ割が生じたりすることはない。したがって、本実施の形態によれば、車速の高低によらず計算過程での無限値やゼロ割を確実に避けることが可能であり、常に高い精度で内燃機関2の目標トルク及び目標回転数を計算することができる。
なお、トルクコンバータ特性Eを用いた計算からトルクコンバータ特性Fを用いた計算への切り替えをnの計測値が所定値よりも大きい場合としたが、n /Tの値が所定値よりも大きいときを切り替えの条件としてもよい。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、図2乃至図5にグラフで示すトルクコンバータ特性はあくまでも一例であって、その内容はトルクコンバータの個性、具体的には構造や大きさによって変わりうるものである。
本発明が適用される車両の駆動システムの概略構成を示す図である。 /Tとtとの関係で表されるトルクコンバータ特性Aを示すグラフである。 /TとCとの関係で表されるトルクコンバータ特性Bを示すグラフである。 eとn /Tとの関係で表されるトルクコンバータ特性Eを示すグラフである。 eとtとの関係で表されるトルクコンバータ特性C、eとCとの関係で表されるトルクコンバータ特性D、及び、eとC′(=T/n )との関係で表されるトルクコンバータ特性Fを示すグラフである。
符号の説明
2 内燃機関
4 トルクコンバータ
6 変速機
10 制御装置

Claims (1)

  1. 内燃機関と前記内燃機関の出力軸に接続されたトルクコンバータ付きの変速機とを備えた車両の制御装置において、
    前記トルクコンバータの入力側回転数をn
    前記トルクコンバータの出力側回転数をn
    前記内燃機関から前記トルクコンバータへ入力されるトルクをT
    前記トルクコンバータから前記変速機へ入力されるトルクをT
    前記トルクコンバータの入出力間の回転数比をe(=n/n)、
    前記トルクコンバータの入出力間のトルク比をt(=T/T
    前記トルクコンバータの容量係数をC(=T/n )とした場合に、
    eとtとの関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性C)を記憶したトルクコンバータ特性C記憶手段と、
    eとCとの関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性D)を記憶したトルクコンバータ特性D記憶手段と、
    eとn /Tとの関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性E)を記憶したトルクコンバータ特性E記憶手段と、
    の目標値を設定する目標変速機入力トルク設定手段と、
    を計測する出力側回転数計測手段と、
    の目標値とnの計測値と前記トルクコンバータ特性C,Eとに基づいてTの目標値を算出する目標機関出力トルク算出手段と、
    の目標値とnの計測値と前記トルクコンバータ特性C,D,Eとに基づいてnの目標値を算出する目標機関回転数算出手段と、
    ,nの各目標値に基づいて前記内燃機関の運転を制御する制御手段と、
    eとT /n との関係で表される前記トルクコンバータの特性(以下、トルクコンバータ特性F)を記憶したトルクコンバータ特性F記憶手段と、
    の目標値とn の計測値と前記トルクコンバータ特性C,Fとに基づいてT の目標値を算出する第2の目標機関出力トルク算出手段と、
    の目標値とn の計測値と前記トルクコンバータ特性C,D,Fとに基づいてn の目標値を算出する第2の目標機関回転数算出手段と、
    /T の値が所定値よりも大きいとき、或いは、n の計測値が所定値よりも大きいとき、前記制御手段で使用するT ,n の各目標値の計算を前記第2の目標機関出力トルク算出手段及び第2の目標機関回転数算出手段による計算へ切り替える切替手段と、
    を備えることを特徴とする車両の制御装置。
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