JP5125341B2 - 固相材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
光照射選択的固定化能=微小物体を前記固相材料の表面に供給して光照射して光固定化したときの固定化量/前記微小物体を光照射しない以外は同一の条件で前記固相材料の表面に供給したときの吸着量
その一方、固定化しようとする微小物体を固相材料の当該表面に供給して光照射することで、微小物体を当該表面に光固定することができる。微小物体が疎水性部分を有する生体分子等の微小物体であっても光固定が可能である。このため、当該表面においては、光照射しない部分の吸着を効果的に抑制しつつ同時に微小物体(たとえそれが疎水性部分を有しているとしても)を固定化できる。この結果、本発明の固相材料によれば、光照射により高い選択性で部位選択的に微小物体を光固定することができるとともに、微小物体の固定化部位以外においては、生体分子等の吸着を抑制できる。
なお、本明細書において、「吸着」とは、「微小物体を固相材料に固定化するための光照射時における光非照射領域での吸着」と「固相材料を使用するときなど光非照射時における吸着」との双方を含む。後者の吸着としては、例えば、固相材料に微小物体を固定化した固相体を微小物体と他の成分との各種相互作用とを検出する場合における他の成分の固相材料表面への吸着を包含している。
図1(b)に示すように、親水化前の固相材料3の表面を親水性媒体Wとしての水に接触させた状態で光照射して、アゾポリマー中の光応答性成分6にシス−トランスの光異性化を生じさせると、固相材料3は光可塑化した状態となる。すると、図1(c)に示すように、光照射中、水性媒体Wと接触する表面に親水性成分8が再配置される。すなわち、光照射により光可塑化した固相材料3において、親水性成分が水性媒体Wと接触する表面を指向して配向され、その結果、光照射後においてもその配向性が維持されて配列(再配置)される。また、親水性媒体Wが水を含むときには、こうした配向及び配列に伴って光照射部位では表面に水の層が形成されることが考えられる。こうして、光照射により水性媒体Wと接触した表面の親水性が向上された固相材料4が得られる。
本発明の固相材料4は、図2に示すように、マトリックス5中に、光応答性成分6と親水性成分8とを含有している固相材料3の少なくとも一部の表面を親水性媒体と接触させた状態で光照射することによって得られる。本発明の固相材料4とその親水化前の固相材料3とは、少なくとも一部の表面の親水性についてのみ相違するものの、それぞれのマトリックス5の組成に関し異なるものではない。したがって、以下の説明では、まず、親水化処理前の固相材料3の組成について説明するが、この構成は親水化処理後の本発明の固相材料4となんら相違するものではなく、そのまま親水化処理後の固相材料4に適用することができる。
本発明の親水化前の固相材料3は、マトリックス5中に光により分子構造の変化又は分子配列の変化を生じる光応答性成分6と親水性成分8とを含有し、光照射により光可塑化を誘起可能な親水化用固相材料である。
固相材料3のマトリックス5は、光応答性成分6と親水性成分8とを保持し、光照射により固相材料3に光可塑化を誘起できる限りその材料は特に限定しない。例えば、低分子材料又は高分子材料を含む各種の有機材料、ガラスなどの無機材料、有機−無機複合材料等を用いることができる。光応答性成分6及び親水性成分8のマトリックス5中における分散性や結合性等を考慮すると、高分子材料などの有機材料又は高分子材料などの有機材料を含む複合材料であることが好ましい。また、光照射により、親水性成分6を固相材料3の表面近傍に再配置させるには、マトリックス5が光照射中にある程度の分子運動を起こしていることが好ましいという観点からも、マトリックス5は有機材料であることが好ましい。マトリックス5は、より好ましくは高分子材料である。
光応答性成分6は、光により分子構造の変化又は分子配列の変化を生じる成分である。より具体的には、光応答性成分6は、光照射によりフォトクロミズムや分子の光誘起配向などを起こす成分である。なお、フォトクロミズムとは、一般的には、光により分子構造等の変化が生じる現象である。本発明で用いる光応答性成分6としては、一般にフォトクロミック化合物といわれる化合物や光異性化等の分子構造変化を伴わないで光誘起配向、光会合等の分子配列の変化(特に異方的な変化)を生じる化合物を用いることができる。
親水性成分8は、水との親和性が高い官能基を有する成分である。水との親和性が高い官能基としては、例えば、アミド基、カルボキシル基、水酸基、スルホ酸基、リン酸基、チオール基(メルカプト基)、アミノ基、エーテル基、ウレタン基、イミノ基などがある。水との親和性の高さを考慮すると、好ましくは、アミド基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオール基(メルカプト基)、アミノ基である。より好ましくは、アミド基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基である。さらに好ましくは、アミド基である。親水性成分8は1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
固相材料3のマトリックス5には、光応答性成分6及び親水性成分8以外の成分が含まれていてもよい。光応答性成分6の運動性を向上させる観点からは分子運動性の高い成分を含有することが好ましい。分子運動性の高い成分としては、アルキレングリコール残基を含有するアルキレングリコール残基含有成分、ソルビトールなどの多価アルコールを含む多価アルコール残基含有成分、多価アルコール残基とアルキレングリコール残基との双方を有する成分等が挙げられる。こうした成分を含有することにより、光照射時に親水性成分8の再配置が生じやすくなる。同時に、固相材料3を薄膜として作製するとき、残留応力の発生を抑制して膜質を均一化することができる。
アルキレングリコール残基含有成分は、式(1)で表されることができる。ここで、式(1)におけるR1は、水素原子、置換基又は前記マトリックスの構成成分に対して連結されている連結基を表し、R2は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、nは、1以上100以下の整数を表す。アルキレングリコール残基含有成分を含むことで、光応答性成分6に運動性を付与することができる。この結果、例えば、アルキレングリコール残基含有成分を含まない場合に比べて短い又は弱い光照射で同等以上の親水化を図ることができる。
本発明の固相材料4は、親水化処理前の上記固相材料3の少なくとも一部の表面を親水性媒体Wと接触させた状態で光照射して得られる。親水性媒体Wとしては、親水性の液体等の流体、スラリーやエマルジョン等の流動性体及びゲル等の弾性変形体を用いることができる。親水性媒体Wは、固相材料3の表面に接触して光照射されたとき、照射された光が固相材料3の表面への到達可能な程度に光透過性を有し、その表面に光変形及び光固定されにくくかつその表面から容易に除去されるものであることが好ましい。こうした親水性媒体Wを用いることで、親水性媒体Wを介して固相材料3に光照射したとき、固相材料3において光可塑化を生じさせることができる。また、光照射時には、その親水性に基づき、親水性成分8を再配置して固相材料3の表面を親水化することができる。さらに、こうした親水性媒体Wであれば、光照射により光可塑化しても固相材料3の表面に変形を生じさせないため、でその表面から容易に除去することができる。
(1)固相材料3と親水性媒体Wとの接触
本発明の固相材料4を得るには、光照射前の固相材料3の表面に親水性媒体Wを接触させた状態で光照射する。図2(a)に示すように、まず、準備した固相材料3の親水化しようとする表面に親水性媒体Wを接触させる。親水性媒体Wが液体等の流動体のとき、固相材料3の表面の所定領域に親水性媒体Wを滴下等により供給してもよいし、浸漬してもよい。親水性媒体Wがゲルなどの弾性変形体のときも、同様に固相材料3の表面の所定領域にゲルを配置するなどすることができる。
次に、図2(b)に示すように、固相材料3の表面に接触させた親水性媒体Wに光照射する。光照射は、マトリックス5中の光応答性成分6に作用してマトリックス5を光可塑化できように、波長、強度及び時間等の条件を適宜設定すればよい。波長は、紫外光〜可視光の範囲の波長から適宜選択すればよい。例えば、光応答性成分が式(2)においてXがシアノ基(CN)であり、R3及びR4がアルキル基である場合には、青色LED等の460nm程度の波長を適当な時間照射することで光可塑化及び光変形可能な状態とすることができる。
微小物体吸着能(%)=微小物体を前記固相材料の表面に所定条件で供給したときの吸着量/前記微小物体を光照射前の前記固相材料の表面に前記所定条件で供給したときの吸着量×100
なお、以上の実施形態によれば、マトリックス5中に光により分子構造の変化又は分子配列の変化を生じる光応答性成分6と親水性成分8とを含有し、光照射により前記固相材料に光変形を誘起可能な固相材料3を準備する工程と、前記固相材料3の表面の少なくとも一部に親水性媒体Wを接触させた状態で光照射する工程と、を備える、固相材料3の親水化方法又は親水化された固相材料4の製造方法が提供される。この方法によれば、任意の箇所においてタンパク質などの生体分子の吸着を抑制可能な固相材料4を得ることができる。
固相材料4は、微小物体を光照射により固定化した固相体を得るための光固定化用の固相材料として用いることができる。固相材料4の表面に供給された微小物体10は、光照射されることで固相材料4の表面に固定(光固定)される。ここで、光固定とは、光応答性成分6を含有する固相材料4の表面に供給された微小物体10を、光照射による光応答性成分6の作用により固相材料4を光可塑化及び光変形させて固定化することをいう。図3には、固相材料4への微小物体10の固定化工程を示す。
光照射選択的固定化能=微小物体を前記固相材料の表面に供給して光照射して光固定化したときの固定化量/前記微小物体を光照射しない以外は同一の条件で前記固相材料の表面に供給したときの吸着量
なお、本発明の固相材料4に利用できる微小物体10を以下のように例示できる。微小物体10は、有形である限り、その種類は特に限定されない。例えば、(1)金属、金属酸化物、半導体、セラミックス、ガラスなどの無機材料、(2)いわゆるプラスチックなどの有機材料、(3)タンパク質、核酸、糖類、脂質などの生体分子材料、(4)上記した(1)〜(3)の各種材料から選択される2種以上の材料を複合化した複合材料などから選ばれる1種又は2種以上の材料を用いることができる。好ましくは、生体分子材料である。
本発明の対象とする生体分子は、一分子のみを意味するものではなく、二分子以上からなる同種分子の集合体であってもよいし、異種分子との複合体であってもよい。さらに、多数の同種又は異種の分子から構成される、例えば自己組織体などの組織体であってもよい。
なお、以上の実施形態によれば、微小物体10が固相材料4に固定化された固相体2及びその製造方法も提供される。すなわち、本発明の固相体2は、固相材料4と、固相材料4の少なくとも一部の表面に固定化された微小物体10と、を備えることができる。上記した本発明の固相材料4の効果を固相体2として発揮することができる。すなわち、高い部位選択性で微小物体10が固定化されており、しかもそれ以外の部位での生体分子等の吸着が抑制された固相体2となっている。また、光照射のパターニングにより自在に微小物体10が固定化された固相体2となっている。さらに、微小物体10の固定化部位以外で生体分子等の吸着が抑制されているため、微小物体10と他の生体分子等との間の反応等の相互作用の吸着による妨害が回避又は抑制された固相体2となっている。
本発明の固相体2は、目的とする微小物体10の発現、相互作用、翻訳後修飾などといった微小物体の機能解析や、微小物体10を利用した他の物質の分析や機能解析、反応、吸着等に用いることができる。すなわち、本発明の固相体2は、いわゆるプロテインチップやDNAチップ、抗体チップ等として診断や治療等に利用することができる。また、酵素反応等を行わせるバイオリアクタやマイクロバイオリアクタ、ATP合成バイオリアクタなどの各種リアクターや、反応触媒、脱臭剤などの所定物質の除去、VOC(揮発性有機化合物)の低減用触媒、観察対象(例えば、AFM(原子間力顕微鏡)用の試料)を固定化するための基板などとしても利用することができる。特に、本固相材料は、光照射による微細パターニングを利用した微小物体の固定化が可能であることから、マイクロリアクタとしての利用に好適である。
本発明の固相体の使用方法は、本発明の固相体2に、微小物体10と相互作用する分子を接触させて前記相互作用を生じさせる使用工程を備えることができる。ここでいう相互作用とは、特に限定しないが、例えば、本発明の固相体2の用途における各種の相互作用が挙げられ、使用工程には、上記固相体2の用途における使用工程を含むことができる。また、本発明の使用方法によれば、上記した本発明の固相材料4及び固相体2に基づく効果を得ることができる。すなわち、固相体2を利用して微小物体10と他の分子との相互作用を発現させるとき、微小物体10の固定化部位以外における生体分子などの他の分子の吸着を抑制できるため、反応性及び再現性に優れる相互作用を生じさせることができる。
以下の式(3)に示す化合物と、市販のメタクリル酸メチル、メタクリル酸あるいはメタクリルアミド(いずれも和光純薬製)を、各種割合で共重合し式(4)に示す固相材料を合成した。ここで、メタクリル酸およびメタクリルアミドは親水性成分にあたる。表1に固相材料の共重合比率と平均分子量を示す。共重合体1は、親水性成分の導入のない固相材料である。共重合体2の親水性基の含有量は6.4質量%、共重合体2の親水性基の含有量は14質量%である。
各共重合体50mgを、それぞれピリジン4mLに溶解し、これらの溶液をそれぞれスライドガラス基板上に1mLほど滴下した。そしてスライドガラス基板を4000r.p.m.で回転させて溶媒を除去し、各スライドガラス基板の表層に均一な厚さの高分子フィルムを作製した。これらの高分子フィルムはいずれも膜厚が約40nmであった。
各アゾポリマー薄膜上にMilliQ水50μlを滴下し、ギャップカバーガラス(松浪硝子工業株式会社、品番:CG00044、サイズ:24mm×60mm、ギャップ:20μm)を用いて全面に展開した。青色LED(20mW/cm2)を用いて30分間光照射した。以下、水の存在下で所定の光照射を行う処理を親水化処理という。その後、ギャップカバーガラスを取り外し、窒素気流下で乾燥した。なお、それぞれの共重合体薄膜の比較例として、光照射しない以外は同様に処理した試料も作製した。
得られた薄膜の親水化処理前後の接触角変化を調べた。接触角は固液界面測定装置(協和界面科学(株)製DropMaster500)を用いて測定した。イオン交換水2μl、着滴2秒後の画像を取り込み、その画像から接触角をθ/2法で算出した。各共重合体薄膜上でイオン交換水を滴下する場所を変えて5回測定し、その平均値を算出した。接触角測定結果を表2に示す。
酵素としてLipase PS Amano(製造:天野エンザイム株式会社、販売:和光純薬工業株式会社、細菌Burkholderia cepacia由来)を用いた。リパーゼ 10mgをPBS 1mlに添加し、30分間ゆっくりと攪拌した。リパーゼがすべて溶解しなかったので、遠心分離(14000rpm、5分)により不溶分を取り除いた。得られたリパーゼ溶液の濃度を、溶液の吸光度測定(波長:280nm、光路長:10mm)により算出し、その後、TPBS(Tween20濃度: 0.1%)を用いて所定の濃度(0.5μg/ml)に希釈した。
(Cy5標識セルラーゼの作製)
次に、Cy5標識したセルラーゼを用いて、セルラーゼ固定の評価を行った。Cy5標識したセルラーゼは、次の操作により作製した。セルラーゼ(SIGMA製、Cellulase from Trichoderma reesei)のPBS溶液(2mg/ml)100μlを、Cy5 Monoreactive dye pack(GE Healthcare製、PA25001)のチューブに入れ、反応剤をすべて溶解した後に、暗所で4時間反応させた。未反応の反応剤を透析により取り除き、Cy5標識したセルラーゼを得た。セルラーゼ1分子に結合しているCy5は約1分子であった。
実施例1で作製したアゾポリマー(共重合体1及び3)につき得られた親水化処理前のアゾポリマー薄膜及び親水化処理後のアゾポリマー薄膜上に、Cy5標識したセルラーゼの0.01%TPBS溶液(0.1〜5μg/ml)をスポットし、溶液が乾燥しないように少量のMilliQ水を入れたリアクションチャンバーに入れ、青色LEDを用いてパワー密度が約20mW/cm2の条件で30分間光照射を行った。スライドガラスを0.01%TPBSにより5分×3回洗浄し、窒素の吹き付けにより乾燥した。比較として、光照射を行わず、暗所で30分静置した試料(吸着を評価)も作製した。
アゾポリマー薄膜上に固定あるいは吸着したセルラーゼ量を測定するため、蛍光強度測定を行った。蛍光検出は共焦点レーザー顕微鏡(アフィメトリクス社:428 Array Scanner)を用いて行った。Cy5検出波長における蛍光強度は、励起波長が633nm、検出波長が660〜680nmで行った。表4に共重合体1及び3からなるアゾポリマー薄膜(親水化処理あり・なし)について得られた蛍光強度を示す。ここでは共重合体1の光固定の蛍光強度を100とした相対値で示した。
(1)親水性基とポリアルキレングリコールを導入したアゾポリマーの合成及びアゾポリマー薄膜の作製
式(3)の化合物と、市販のメタクリル酸メチル、メタクリル酸(いずれも和光純薬製)、メタクリル酸ポリエチレングリコールエステル(式(5)、ポリエチレングリコール残基は、ポリエチレングリコール鎖の長さが異なるものの混合物でありjは鎖長平均を表わし、8.5である。Aldrich製)を共重合し、式(6)(共重合体4)を合成した。式(6)(共重合体4の)における共重合比(モル比)n,m,l,及びkは、n:m:l:k=69:10:16:5であった。平均分子量は、数平均分子量(Mn)が13000、重量平均分子量(Mw)が20000、分散度(Mw/Mn)が1.5であった。なお、分子量は、クロロホルム溶媒で、昭和電工(株)製のGPC(ShodexGPC-101、カラム:K-800RL+K-805L×2)を用いて測定し、ポリスチレン換算の分子量を算出した。
共重合体4の薄膜上にMilliQ水50μlを滴下し、ギャップカバーガラス(松浪硝子工業株式会社、品番:CG00044、サイズ:24mm×60mm、ギャップ:20μm)を用いて全面に展開した。青色LED(20mW/cm2)を用いて15分間及び30分間光照射して親水化処理した。その後、ギャップカバーガラスを取り外し、窒素気流下で乾燥した。比較としてポリエチレングリコールの導入がない共重合体2(実施例1で作製済み)についても同様の処理を行った。
得られた薄膜の親水化処理前後の接触角変化を実施例1の(4)接触角の測定に記載の方法と同様の方法で評価した。各親水化処理時間における接触角の値を表5示す。
Claims (27)
- マトリックス中に、光により分子構造の変化又は分子配列の変化を生じる光応答性成分と親水性成分とを含有する固相材料の少なくとも一部の表面を親水性媒体と接触させた状態で光照射することにより親水化した親水化領域を備える、微小物体を固定化するための固相材料。
- さらに、前記固相材料の表面には、前記親水性媒体と接触させた状態で光照射されない非親水化領域を備える、請求項1に記載の固相材料。
- 前記親水化領域の表面では光照射前よりも親水性が向上されている、請求項1又は2に記載の固相材料。
- 前記親水化領域の表面では光照射前の水の接触角に比較して光照射後の水の接触角が5°以上低下している、請求項1〜3に記載の固相材料。
- 前記マトリックスは高分子材料を含み、前記親水性成分及び/又は前記光応答性成分は、前記高分子材料に結合されている、請求項1〜4のいずれかに記載の固相材料。
- 前記マトリックスには、以下の式(1)で表されるアルキレングリコール残基含有成分を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の固相材料。
- 前記マトリックスは高分子材料を含み、前記アルキレングリコール残基含有成分は、前記高分子材料に結合されている、請求項6に記載の固相材料。
- 前記親水化領域の表面における、以下の式で表される光照射選択的固定化能が3.0倍以上である、請求項7の記載の固相材料。
光照射選択的固定化能=微小物体を前記固相材料の表面に供給して光照射して光固定化したときの固定化量/前記微小物体を光照射しない以外は同一の条件で前記固相材料の表面に供給したときの吸着量 - 前記微小物体は生体分子を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の固相材料。
- 前記生体分子はタンパク質を含む、請求項9に記載の固相材料。
- 前記タンパク質は酵素である、請求項10に記載の固相材料。
- 前記酵素はリパーゼ又はセルラーゼである、請求項11に記載の固相材料。
- 微小物体を固定化するための固相材料の製造方法であって、
マトリックス中に、光により分子構造の変化又は分子配列の変化を生じる光応答性成分と親水性成分とを含有する固相材料を準備する工程と、
前記固相材料の少なくとも一部の表面を親水性媒体と接触させた状態で光照射して親水化領域を形成する工程と、
を備える、固相材料の製造方法。 - 前記親水化領域の形成の際、前記固相材料の表面に、前記親水性媒体と接触させた状態で光照射されない非親水化領域を形成する、請求項13に記載の方法。
- 固相材料の使用方法であって、
請求項1〜12のいずれかに記載の固相材料の表面を疎水性部分を備える微小物体に暴露して前記固相材料を使用するとき、前記親水化領域を前記微小物体の前記少なくとも一部の表面への吸着を抑制する使用工程、を備える、使用方法。 - 前記使用工程は、前記親水化領域の表面の選択された領域に光照射して前記微小物体を固定化する工程である、請求項15に記載の使用方法。
- 前記使用工程は、請求項2に記載の固相材料の前記非親水化領域の表面の選択された領域に光照射して前記微小物体を固定化する工程である、請求項15に記載の使用方法。
- 微小物体が固定化された固相体の製造方法であって、
請求項1〜12のいずれかに記載の固相材料の前記親水化領域の表面に微小物体を供給し、光照射して前記微小物体を固定化する工程、を備える、製造方法。 - 前記固定化工程は、前記親水化領域の表面の選択された領域に光照射して前記微小物体を固定化する工程である、請求項18に記載の製造方法。
- 微小物体が固定化された固相体の製造方法であって、
請求項2に記載の固相材料の表面に微小物体を供給し前記非親水化領域に光照射して前記微小物体を固定化する工程、を備える、製造方法。 - 微小物体が固定化された固相体であって、
請求項1〜12のいずれかに記載の固相材料と、
前記固相材料の前記親水化領域の表面に固定化された微小物体と、
を備える、固相体。 - 微小物体が固定化された固相体であって、
請求項2に記載の固相材料と、
前記固相材料の前記非親水化領域の表面に固定化された微小物体と、
を備える、固相体。 - 前記微小物体は生体分子である、請求項21又は22に記載の固相体。
- 前記生体分子はポリペプチドである、請求項23に記載の固相体。
- 前記固相体は、1種又は2種以上のポリペプチドが1種又は2種以上のパターンで固定化されている、請求項21〜24のいずれかに記載の固相体。
- 前記ポリペプチドによって1種又は2種以上の反応を実施可能なリアクターである、請求項25に記載の固相体。
- 微小物体が固定化された固相体の使用方法であって、
請求項21〜26のいずれかに記載の固相体に固定化された前記微小物体に前記微小物体と相互作用可能な分子を接触させて相互作用を生じさせる工程と、
を備える、使用方法。
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