JP5125195B2 - 量子ドットの製造方法 - Google Patents

量子ドットの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5125195B2
JP5125195B2 JP2007106380A JP2007106380A JP5125195B2 JP 5125195 B2 JP5125195 B2 JP 5125195B2 JP 2007106380 A JP2007106380 A JP 2007106380A JP 2007106380 A JP2007106380 A JP 2007106380A JP 5125195 B2 JP5125195 B2 JP 5125195B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
quantum dots
catalyst layer
vapor deposition
timing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007106380A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008263141A (ja
Inventor
征士 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2007106380A priority Critical patent/JP5125195B2/ja
Publication of JP2008263141A publication Critical patent/JP2008263141A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5125195B2 publication Critical patent/JP5125195B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

本発明は、量子ドットの製造方法に関するものである。
量子ドットとは一般に、半導体や金属などの導電体からなる数ナノメートルないし数十ナノメートル程度の微小な塊であり、電子やホールを3次元的に閉じ込めることができる。このような閉じ込め効果により、量子ドットの中では電子やホールの運動が量子化され、離散的なエネルギー準位が形成される。このような量子ドットを複数並べて形成することにより、エネルギー効率及び温度安定性に優れた量子ドットレーザなどの実現が可能となる。
特許文献1には、単電子トランジスタ(SET:Single-ElectronTransistor)においてシリコン量子ドットを形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、シリコン等の半導体またはAu等の金属からなる複数の量子ドットを有する量子ドットアレイの製造方法が開示されている。
特開2005−197701号公報 特開2006−179858号公報
本発明者は、カーボンナノチューブなどのカーボン材料による量子ドットを実現する方法について研究している。カーボン材料による量子ドットを基材上に形成するためには、量子ドットの下地となる鉄などの触媒層を基材上に設ける。このとき、量子ドットの大きさに応じて触媒層を小さな点状(直径数十nm程度)に、且つ均等な大きさに形成するとよい。これにより、基材上においてカーボン材料を触媒層上に選択的に成長させ、カーボン材料による量子ドットを好適に実現することができる。しかし、従来においては、触媒層をこのように小さく且つ均等な大きさに形成することは極めて困難であった。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、カーボン材料による量子ドットの下地となる触媒層を小さく且つ均等な大きさに形成できる量子ドットの製造方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による量子ドットの製造方法は、基材の表面に量子ドットを製造する方法であって、表面上に触媒材料を物理蒸着することにより、触媒材料を含む触媒層を量子ドットに対応する複数の領域に形成する触媒層形成工程と、触媒層上にカーボン材料を成長させてカーボン材料による量子ドットを形成する量子ドット形成工程とを備え、触媒層形成工程の際に、複数の領域の寸法に応じた大きさの複数の開口部を有する多孔部材と、触媒材料からなる蒸着源及び基材の間を遮断するシャッタ機構とを蒸着源及び基材の間に配置し、触媒材料の蒸発を開始した後の所定の第1のタイミングでシャッタ機構を開き、第1のタイミングより後の所定の第2のタイミングでシャッタ機構を閉じることを特徴とする。
本発明者は、触媒層を小さく且つ均等な大きさに形成できない原因を次のように突き止めた。すなわち、量子ドットを実現する触媒層は極めて小さいので、このような触媒層を基材上に蒸着形成する際には、蒸着時の触媒粒子の大きさにばらつきがあると触媒層が均等な大きさにならない。また、触媒粒子に大きいものが混ざっていると、触媒層を小さく揃えることが困難となる。
この問題点を解決するために、上記した量子ドットの製造方法においては、触媒層を形成する際に、量子ドットに対応する複数の領域の寸法に応じた大きさの複数の開口部を有する多孔部材を、蒸着源及び基材の間に配置している。これにより、蒸着源から基材上へ移動する触媒粒子のうち多孔部材の開口部より大きなものは多孔部材によってその移動が妨げられるので、基材上に到達する触媒粒子を小さなものに限定できる。
また、上記した量子ドットの製造方法においては、触媒層を形成する際に、シャッタ機構を蒸着源及び基材の間に配置し、触媒材料の蒸発を開始した後の所定の第1のタイミングでシャッタ機構を開き、第1のタイミングより後の所定の第2のタイミングでシャッタ機構を閉じている。触媒粒子の飛行速度はその質量(すなわち大きさ)と相関があるので、触媒材料の蒸発を開始してから暫くは触媒粒子が過小(或いは過大)となり易く、また、触媒材料の蒸発を開始してから或る程度の時間が経過すると触媒粒子が過大(或いは過小)となり易い。従って、触媒材料の蒸発を開始してから所定の第1のタイミングまでの期間、及び所定の第2のタイミング以降の期間においてシャッタ機構により触媒粒子を遮断することにより、基材上に到達する触媒粒子の大きさを均等にできる。
すなわち、上記した量子ドットの製造方法によれば、基材上に到達する触媒粒子を小さなものに限定し、且つ触媒粒子の大きさを均等にできるので、カーボン材料による量子ドットの下地となる触媒層を小さく且つ均等な大きさに形成できる。
また、量子ドットの製造方法は、カーボン材料がカーボンナノチューブであることを特徴としてもよい。直径が数nm〜数十nmであるカーボンナノチューブを用いることにより、微細な量子ドットを好適に形成できる。
また、量子ドットの製造方法は、触媒材料が鉄、コバルト、及びニッケルのうち少なくとも一つを含むことを特徴としてもよい。これにより、カーボン材料を触媒層上に好適に成長させ得る。
また、量子ドットの製造方法は、シャッタ機構が、蒸着源と基材との間に並置された第1及び第2のシャッタ部材を含み、触媒材料の蒸発を開始してから第1のタイミングまでは第1のシャッタ部材によって蒸着源及び基材の間を遮断し、第2のタイミングの後は第2のシャッタ部材によって蒸着源及び基材の間を遮断することを特徴としてもよい。このように複数のシャッタ部材によってシャッタ機構を構成することにより、第1のタイミングと第2のタイミングとの間(すなわち蒸着粒子が基材へ移動可能な時間)が例えば数百ミリ秒といった僅かな時間であっても、シャッタ機構の開閉動作を素早く実行できる。
また、量子ドットの製造方法は、多孔部材が複数の網材を重ねて構成されていることを特徴としてもよい。これにより、一枚の網材を用いる場合と比較して多孔部材の開口部の内径をより小さくできる。
また、量子ドットの製造方法は、複数の領域の平均径が20ナノメートル以下であることを特徴としてもよい。上記した量子ドットの製造方法によれば、このような小さな領域に触媒層を好適に形成できる。
本発明による量子ドットの製造方法によれば、カーボン材料による量子ドットの下地となる触媒層を小さく且つ均等な大きさに形成できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による量子ドットの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<実施の形態>
図1(a)〜(c)は、本発明に係る量子ドットの製造方法を含む、量子ドット素子の製造方法の一実施形態を示す図である。本実施形態による量子ドット素子の製造方法は、基材の表面上に量子ドットが形成された素子(半導体レーザ素子や光起電力素子など)を製造する方法であって、図1(a)に示すように基材10の表面10a上に触媒層12を形成する工程(触媒層形成工程)と、図1(b)に示すように触媒層12上にカーボン材料による量子ドット14を形成する工程(量子ドット形成工程)と、図1(c)に示すように基材10の表面10aおよび量子ドット14を高バンドギャップ層16で覆う工程(高バンドギャップ層形成工程)とを含んでいる。
各工程において、基材10は、例えばグラファイト等の導電体またはシリコン等の半導体からなる基板である。或いは、基材10は、導電体や半導体からなる基板上に各種半導体層が形成された基板生産物であってもよい。図1(a)の触媒層形成工程では、基材10の表面10a上に鉄、コバルト、ニッケル等の触媒材料を物理蒸着(PVD)することにより、触媒材料を含む触媒層12を表面10a上の複数の点状の領域に形成する。このとき、各触媒層12は、後の工程において形成される量子ドット14に対応する大きさ及び間隔で形成される。すなわち、触媒層12が形成される領域の直径の平均は数ナノメートル〜数十ナノメートルであり、好ましくは20[nm]以下である。また、触媒層12が形成される領域同士の間隔の平均も数ナノメートル〜数十ナノメートルであり、好ましくは20[nm]以下である。
図1(b)の量子ドット形成工程では、触媒層12上にカーボン材料を成長させることにより量子ドット14を形成する。カーボン材料としては、直径が数nm〜数十nmであるカーボンナノチューブが最も好ましく、微細な量子ドット14を好適に形成できる。各量子ドット14の一端は表面10a上の触媒層12(図1(a)参照)に固着しており、他端は表面10aと交差する方向(概ね法線方向)に延びている。量子ドット14を構成するカーボンナノチューブとしては、単層構造のカーボンナノチューブのほか、同軸多層構造のカーボンナノチューブでも良く、いわゆるカーボンナノホーンといった形状を呈していてもよい。なお、化学気相成長(CVD)法を用いてカーボンナノチューブを成長させる場合、触媒層12の構成材料としては鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)のうち少なくとも一種類の元素を含む金属が好適である。
量子ドット14を構成するカーボンナノチューブの製法としては、例えばレーザ蒸着法、抵抗加熱法、プラズマ法、熱CVD法、マイクロ波プラズマCVD法、電子線蒸着法など、主に気相成長によりカーボンナノチューブを形成する方法が好適である。好ましくは、不活性ガス若しくは水素ガス存在下に反応ガスを導入する乾式法が好ましく、より好ましくはメタン等の反応ガスを熱分解し、炭素ラジカルを発生させ、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含む金属からなる触媒層12上を起点としてカーボンナノチューブとして成長させる方法が好ましい。また、カーボンナノチューブ形成後、熱処理を行うことによりsp2結合の割合を調整し、量子ドット14の形状やバンドギャップ値、抵抗率などの電気的特性を調整するとよい。
図1(c)の高バンドギャップ層形成工程では、量子ドット14より高いバンドギャップ値を有する材料により基材10の表面10aおよび量子ドット14を覆うことにより、高バンドギャップ層16を形成する。高バンドギャップ層16の構成材料としては量子ドット14と同様にカーボン系の材料が好ましく、量子ドット14がカーボンナノチューブにより構成されている場合には、例えばダイヤモンドやアモルファスカーボンが好適である。このように、高バンドギャップ層16及び量子ドット14を共にカーボン材料で構成することにより、高バンドギャップ層16と量子ドット14との界面の乱れ(格子不整合)を抑制し、結晶欠陥を低減して量子ドット素子の発光効率や起電力発生効率を高めることができる。この高バンドギャップ層形成工程の後、他の半導体層や電極等を形成することにより、量子ドット素子が完成する。
次に、本実施形態における触媒層形成工程(図1(a))について、更に詳細に説明する。図2は、触媒層形成工程において好適に用いられるPVD装置20の構成を概略的に示す側面断面図である。本実施形態のPVD装置20は、例えば電子ビーム(EB)蒸着装置や真空アーク蒸着装置である。
図2に示すように、PVD装置20において、触媒層12の形成対象である基材10は真空容器22に収容される。真空容器22は、その内部を気密に保持し、排気ポンプ24に接続された配管から排気されることによって真空状態を維持する。また、真空容器22内において、基材10の表面10aと対向する位置には蒸着源Sが配置される。蒸着源Sは触媒層12の構成材料(触媒材料)からなり、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを主に含むことが好ましい。この蒸着源Sの近傍には、加熱源として例えば電子銃やアーク放電用電極などが設置される。そして、電子ビームや放電アーク等によって蒸着源Sが加熱され、触媒材料が蒸発して触媒粒子Pとなり、触媒粒子Pは基材10の表面10aへ向けて移動する。
本実施形態のPVD装置20においては、蒸着源Sと基材10との間にシャッタ機構26及び多孔部材28が配置されている。ここで、図3は、基材10、シャッタ機構26、及び多孔部材28の相対位置関係を示す斜視図である。なお、理解を容易にするため図3においては基材10がシャッタ機構26の下方に描かれており、実際とは上下逆の図になっている。
シャッタ機構26は、蒸着源Sと基材10との間を遮断する。図3に示すように、シャッタ機構26は2枚のシャッタ板26a,26bによって構成され、シャッタ板26a及び26bは蒸着源Sと基材10との間に並置されている。なお、シャッタ板26aは本実施形態における第1のシャッタ部材であり、シャッタ板26bは本実施形態における第2のシャッタ部材である。シャッタ板26a,26bは、各々単独で蒸着源Sから基材10への触媒粒子Pの移動を遮ることができ、また各々独立して開閉可能に構成されている。更に好ましくは、図3に矢印で示すようにシャッタ板26aと26bとが互いに逆方向に開くとよい。シャッタ板26a,26bの材質としては、例えばアルミニウムが好適である。
多孔部材28は、複数の開口部を有する部材であり、本実施形態では図3に示すようにメッシュ状(網状)に形成されている。多孔部材28の複数の開口部は、基材10の表面10aにおいて触媒層12が形成される複数の領域(図1(b)参照)の寸法に応じた大きさに形成されている。具体的には、多孔部材28の開口部の内径(または一辺の長さ)の平均は数ナノメートル〜数十ナノメートルであり、好ましくは20[nm]以下である。また、開口部同士の間隔の平均も数ナノメートル〜数十ナノメートルであり、好ましくは20[nm]以下である。このような多孔部材28は、例えばシリコン基板にリソグラフィーやエッチングを施すことにより形成される。なお、図3において、多孔部材28はシャッタ機構26と基材10との間に配置されているが、多孔部材28は蒸着源Sとシャッタ機構26との間に配置されてもよい。言い換えれば、シャッタ機構26は多孔部材28と基材10との間に配置されてもよい。
続いて、PVD装置20を用いた触媒層形成工程について説明する。図4は、触媒層形成工程の流れを示すフローチャートである。まず、基材10をPVD装置20の真空容器22内の基材ホルダにセットするとともに、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを主に含む触媒材料からなる蒸着源Sを、真空容器22内の所定位置に収容する(ステップS1)。そして、真空容器22を気密状態にしてその内部を真空に保ち、シャッタ板26aを閉じて蒸着源Sと基材10との間を遮断すると共にシャッタ板26bを開いた状態としたのち(ステップS2)、電子ビームや放電アーク等を蒸着源Sに照射して蒸着源Sを加熱する(ステップS3)。なお、このステップS3においては、電子ビームや放電アーク等をパルス状(パルス幅は1ミリ秒ないし1秒)に照射することが好ましい。また、鉄(Fe)からなる蒸着源Sに電子ビームを照射する場合には、電子ビームのエネルギーを例えば15[keV]とするとよく、鉄(Fe)からなる蒸着源Sにアーク放電を行う場合には、アーク電圧を例えば100[V]とし、蒸着源Sをカソードとするとよい。これにより触媒材料が蒸発して触媒粒子Pが発生し、この触媒粒子Pは基材10へ向けて移動するが、シャッタ板26aに妨げられて基材10には到達しない。
続いて、触媒材料の蒸発を開始した後の所定の第1のタイミングでシャッタ板26aを開く(ステップS4)。このとき、触媒粒子Pのうち多孔部材28の開口部の内径より小さい径を有するもののみ、多孔部材28の開口部を通過して基材10の表面10aに到達する。こうして、基材10の表面10aに触媒層12が形成される。この後、第1のタイミングより後の所定の第2のタイミングでシャッタ板26bを閉じる(ステップS5)。これにより、触媒粒子Pはシャッタ板26bに妨げられ、基材10に到達しなくなる。また、このステップS5では、シャッタ板26aは開いた状態のままである。
ここで、所定の第1のタイミングとは、触媒材料の蒸発を開始してから触媒粒子Pの大きさが所定の範囲内に収まるタイミングを指し、前述した加熱条件の場合、例えば100ミリ秒といった時間である。また、所定の第2のタイミングとは、第1のタイミングを過ぎてから触媒粒子Pの大きさが所定の範囲内に収まらなくなるタイミングを指し、前述した加熱条件の場合、例えば300ミリ秒といった時間である。これら第1及び第2のタイミングは、所望の大きさの触媒層12が形成されるように、電子ビームや放電アーク等のパルスタイミングに対して最適なタイミングに設定される。ステップS5の後、蒸着源Sの加熱を停止して触媒層形成工程を終了する(ステップS6)。なお、必要に応じて上記ステップS3〜S6を複数回繰り返してもよい。
本実施形態による量子ドットの製造方法により得られる効果について説明する。上述したように、カーボン材料による量子ドット14を基材10の表面10aに形成するためには、量子ドット14の下地となる鉄などの触媒層12を表面10a上に設け、量子ドット14の大きさに応じて触媒層12を小さな点状(直径数十nm程度)に、且つ均等な大きさに形成するとよい。これにより、表面10aにおいてカーボン材料を触媒層12上に選択的に成長させ、カーボン材料による量子ドット14を好適に実現することができる。
しかし、従来においては、触媒層12をこのように小さく且つ均等な大きさに形成することは極めて困難であった。すなわち、量子ドット14を実現する触媒層12は極めて小さいので、このような触媒層12を基材10上に蒸着形成する際には、蒸着時の触媒粒子Pの大きさにばらつきがあると触媒層12が均等な大きさにならない。また、触媒粒子Pに大きいものが混ざっていると、触媒層12を小さく揃えることが困難となる。
本実施形態による量子ドットの製造方法においては、触媒層12を形成する際に、量子ドット14に対応する複数の領域の寸法に応じた大きさの複数の開口部を有する多孔部材28を、蒸着源Sと基材10との間に配置している。これにより、蒸着源Sから基材10へ向けて移動する触媒粒子Pのうち多孔部材28の開口部より大きなものは多孔部材28によってその移動が妨げられるので、基材10に到達する触媒粒子Pを小さなものに限定して、小さな触媒層12を好適に形成できる。
また、触媒材料の蒸発を開始してから暫くは、飛行速度が速い過小な触媒粒子Pが基材10に多く到達するか、或いは触媒材料の蒸発が安定せずに過大な触媒粒子Pが基材10に多く到達するといった現象が現れる。逆に、触媒材料の蒸発を開始してから或る程度の時間が経過すると、飛行速度が遅い過大な触媒粒子Pが基材10に多く到達するか、或いは触媒材料の蒸発が安定して過小な触媒粒子Pが基材10に多く到達するといった現象が現れる。このように、触媒粒子Pの大きさは触媒材料の蒸発を開始してからの経過時間と相関があり、触媒材料の蒸発を開始してから暫くは触媒粒子が過小(或いは過大)となり易く、また、触媒材料の蒸発を開始してから或る程度の時間が経過すると触媒粒子が過大(或いは過小)となり易い。
本実施形態による量子ドットの製造方法においては、触媒層12を形成する際に、シャッタ機構26を蒸着源Sと基材10との間に配置し、所定の第1のタイミングでシャッタ機構26を開き、第1のタイミングより後の所定の第2のタイミングでシャッタ機構26を閉じている。このように、触媒材料の蒸発を開始してから所定の第1のタイミングまでの期間、及び所定の第2のタイミング以降の期間においてシャッタ機構26により触媒粒子Pを遮断することにより、基材10上に到達可能な触媒粒子Pの大きさを均等にして、触媒層12を均等な大きさに形成できる。
また、本実施形態のように、触媒層12を構成する触媒材料は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより、カーボン材料を触媒層12上に好適に成長させ得る。なお、触媒層12を構成する材料は、これら以外にもカーボン材料の成長触媒となり得るものであればよい。
また、本実施形態のように、シャッタ機構26は、蒸着源Sと基材10との間に並置された複数のシャッタ板26a,26bを含み、触媒材料の蒸発を開始してから第1のタイミングまではシャッタ板26aによって蒸着源S及び基材10の間を遮断し、第2のタイミングの後はシャッタ板26bによって蒸着源S及び基材10の間を遮断することが好ましい。このように複数のシャッタ板26a,26bによってシャッタ機構26を構成することにより、第1のタイミングと第2のタイミングとの時間間隔が例えば数百ミリ秒といった僅かな時間であっても、シャッタ機構26の開閉動作を素早く実行できる。
<変形例>
図5及び図6は、上記実施形態による量子ドットの製造方法の変形例として、多孔部材30及び32をそれぞれ示す図である。上述した量子ドットの製造方法においては、図3に示した多孔部材28に代えて、多孔部材30または32を用いてもよい。
図5に示す多孔部材30は、4枚の網材30a〜30dを重ねて構成されている。各網材30a〜30dの開口部の一辺は例えば80[nm]であり、各網材30a〜30dを互いに20[nm]ずつずらして重ねることにより、多孔部材30として一辺20[nm]の開口部を実現している。このように、複数の網材を重ねて多孔部材を構成することによって、一枚の網材を用いる場合と比較して開口部の内径をより小さくできる。すなわち、現在のリソグラフィ技術で可能な開口部の一辺の長さがL[nm]である場合、このような開口部を有する網材をN枚重ねることによって、多孔部材の開口部の内径をより小さいL/N[nm]とすることができる。これにより、数ナノメートル〜20[nm]といった極めて小さな触媒層12を好適に形成できる。例えば、一枚の網材で実現可能な開口部の一辺の長さが160[nm]であれば、網材を8枚以上積み重ねるとよい。
また、図6に示す多孔部材32は、4枚の網材32a〜32dを重ねて構成されている。各網材32a〜32dの開口部の一辺の長さは図5に示した網材30a〜30dと同様であるが、網材32a〜32dは、網材30a〜30dと比較して線幅が太く形成されている。このように、網材の線幅として適切な幅を選択することによって、触媒層12同士の間隔を調整することができる。なお、基材10の表面10aにおいて網材の陰になる領域には触媒層12が形成されないが、複数回に分けて多孔部材32を移動させながら触媒層12を形成することにより、表面10aの全ての領域に触媒層12を形成できる。
本発明による量子ドットの製造方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、量子ドットの製造方法に好適に用いられるPVD装置は、上記実施形態の構成に加え、触媒粒子の帯電量や大きさに応じて飛行時間を変化させる手段(飛行経路に電界を形成する手段など)を更に備えても良い。また、多孔部材の開口部の形状としては、図3、図5及び図6に示したような矩形状以外にも、例えば円形などの様々な形状を適用できる。
本発明に係る量子ドットの製造方法を含む、量子ドット素子の製造方法の一実施形態を示す図である。(a)触媒層形成工程を示す図である。(b)量子ドット形成工程を示す図である。(c)高バンドギャップ層形成工程を示す図である。 触媒層形成工程において好適に用いられるPVD装置の構成を概略的に示す側面断面図である。 基材、シャッタ機構、及び多孔部材の相対位置関係を示す斜視図である。 触媒層形成工程の流れを示すフローチャートである。 多孔部材の変形例を示す図である。 多孔部材の変形例を示す図である。
符号の説明
10…基材、12…触媒層、14…量子ドット、16…高バンドギャップ層、20…PVD装置、22…真空容器、24…排気ポンプ、26…シャッタ機構、26a,26b…シャッタ板、28,30,32…多孔部材、P…触媒粒子、S…蒸着源。

Claims (5)

  1. 基材の表面に量子ドットを製造する方法であって、
    前記表面上に触媒材料を物理蒸着することにより、前記触媒材料を含む触媒層を前記量子ドットに対応する複数の領域に形成する触媒層形成工程と、
    前記触媒層上にカーボン材料を成長させて前記カーボン材料による前記量子ドットを形成する量子ドット形成工程と
    を備え、
    前記触媒層形成工程の際に、前記複数の領域の寸法に応じた大きさの複数の開口部を有する多孔部材と、前記触媒材料からなる蒸着源及び前記基材の間を遮断するシャッタ機構とを前記蒸着源及び前記基材の間に配置し、前記触媒材料の蒸発を開始した後の所定の第1のタイミングで前記シャッタ機構を開き、前記第1のタイミングより後の所定の第2のタイミングで前記シャッタ機構を閉じ
    前記シャッタ機構が、前記蒸着源と前記基材との間に並置された第1及び第2のシャッタ部材を含み、
    前記触媒材料の蒸発を開始してから前記第1のタイミングまでは前記第1のシャッタ部材によって前記蒸着源及び前記基材の間を遮断し、前記第2のタイミングの後は前記第2のシャッタ部材によって前記蒸着源及び前記基材の間を遮断することを特徴とする、量子ドットの製造方法。
  2. 前記カーボン材料がカーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項1に記載の量子ドットの製造方法。
  3. 前記触媒材料が鉄、コバルト、及びニッケルのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の量子ドットの製造方法。
  4. 前記多孔部材が複数の網材を重ねて構成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の量子ドットの製造方法。
  5. 前記複数の領域の平均径が20ナノメートル以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の量子ドットの製造方法。
JP2007106380A 2007-04-13 2007-04-13 量子ドットの製造方法 Expired - Fee Related JP5125195B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007106380A JP5125195B2 (ja) 2007-04-13 2007-04-13 量子ドットの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007106380A JP5125195B2 (ja) 2007-04-13 2007-04-13 量子ドットの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008263141A JP2008263141A (ja) 2008-10-30
JP5125195B2 true JP5125195B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=39985378

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007106380A Expired - Fee Related JP5125195B2 (ja) 2007-04-13 2007-04-13 量子ドットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5125195B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107919266B (zh) * 2016-10-08 2020-04-10 青岛翼晨镭硕科技有限公司 一种量子点结构的制作方法
JPWO2020230810A1 (ja) * 2019-05-13 2020-11-19

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040010558A (ko) * 2000-11-13 2004-01-31 인터내셔널 비지네스 머신즈 코포레이션 단일벽 탄소 나노튜브를 포함하는 결정
JP3781732B2 (ja) * 2003-03-20 2006-05-31 株式会社東芝 カーボンナノチューブの製造方法、カーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法、及びカーボンナノチューブの製造装置
JP2006035379A (ja) * 2004-07-27 2006-02-09 Society Of Chemical Engineers Japan カーボンナノチューブデバイス及びカーボンナノチューブデバイスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008263141A (ja) 2008-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1511058B1 (en) Carbon-nano tube structure, method of manufacturing the same, and field emitter and display device each adopting the same
US8277770B2 (en) Method of manufacturing carbon nanotube
US20110183206A1 (en) Apparatus, system, and method for carbon nanotube templated battery electrodes
TW200815281A (en) Substrate for growth of carbon nanotube, method for growth of carbon nanotube, method for control of particle diameter of catalyst for growth of carbon nanotube, and method for control carbon nanotube diameter
JP2006297549A (ja) 金属ナノ粒子の配列蒸着方法及び金属ナノ粒子を用いたカーボンナノチューブの成長方法
WO2014025615A1 (en) Methods for graphene fabrication on patterned catalytic metal
WO2012057229A1 (ja) カーボンナノチューブの製造方法
US7767185B2 (en) Method of producing a carbon nanotube and a carbon nanotube structure
JP5125195B2 (ja) 量子ドットの製造方法
JP5374801B2 (ja) 炭素元素からなる線状構造物質の形成体及び形成方法
JP5228986B2 (ja) ナノ炭素材料複合基板製造方法
US7932510B2 (en) Carbon nanotube grown on catalyst and manufacture method
US20150292080A1 (en) Apparatus for the generation of nanocluster films and methods for doing the same
JP2003277029A (ja) カーボンナノチューブ及びその製造方法
KR100634547B1 (ko) 링 타입 에미터를 갖는 전계방출소자 및 그 제조 방법
JP3475358B2 (ja) カーボン微粒子の製造装置
Yilmazoglu et al. Pronounced field emission from vertically aligned carbon nanotube blocks and bundles
KR20060042145A (ko) 카바이드 및 나이트라이드 나노 전자 에미터를 구비한 소자의 제조방법
JP3819566B2 (ja) ダイヤモンド膜またはダイヤモンド状炭素膜の成膜方法
JP2010116303A (ja) カーボンナノチューブ成長用基板、トランジスタ及びカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法
JP2006253122A (ja) プラズマ源、イオン源、及び、イオン生成方法
KR20200055350A (ko) 엑스레이 튜브용 에미터 및 이의 제작방법
JP4631095B2 (ja) 金属ナノ粒子の生成方法
KR102494599B1 (ko) 엑스레이 튜브용 에미터 및 이의 제조방법
JP4796313B2 (ja) カーボンナノチューブの成長方法及びトランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121015

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5125195

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees