JP5120538B2 - モータの冷却構造 - Google Patents
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Description
図1・図2において、1は埋込み磁石同期型のモータである。このモータ1は、モータハウジング2内にロータ3とステータ4とを備えている。モータハウジング2は、両側の側壁5・6と、側壁5・6の各外周縁を連絡する周壁7とからなり、側壁5・6にロータ軸8を軸支している。ロータ軸8の外周に支持される前記ロータ3は、磁性材料からなる複数枚の積層板9を積層した円筒形状のロータコア10と、ロータコア10の外周側に埋め込まれた永久磁石11とからなる。ロータ3は、ロータコア10の内周をロータ軸8の外周に支持され、ロータコア10の軸方向の両端にロータ軸8に組み付けられた端板12・13を当接している。ロータ3の外周をとり囲むようにモータハウジング2の周壁7に固定された前記ステータ4は、磁性材料からなる複数枚の積層板14を積層した円筒形状のステータコア15と、ステータコア15に捲回したステータ巻線16とからなる。
端板12は、図1・図2に示すように、一側に段差部29を有する円環板形状に形成される。段差部29は、ロータ軸8への組み付け時に、フランジ部26と係合する。端板12の前記ロータコア10と当接される他側には、図4に示すように、周方向等間隔位置で径方向対称位置に、内周縁から外周縁近傍まで延びる大口広幅形状のフラックスバリア用内側冷媒溝30を形成している。この実施例では、端板12の周方向において180度の等間隔位置で径方向において対称位置に、一対のフラックスバリア用内側冷媒溝30を形成している。
また、端板12の他側には、フラックスバリア用内側冷媒溝30と直交し、周方向において180度の等間隔位置で径方向において対称位置に、外周縁近傍から外周縁まで延びる一対の広幅細口形状のフラックスバリア用外側冷媒溝31を形成している。
さらにまた、端板12の他側には、肉抜き孔用内側冷媒溝32と直交し、周方向において180度の等間隔位置で径方向において対称位置に、内周縁近傍から外周縁まで延びる一対の中幅細口形状の肉抜き孔用外側冷媒溝33を形成している。なお、図4において、符合34は、ロータコア10を軸方向に固定するためのボルト孔である。ボルト孔34は、端板12の内周縁近傍であって、肉抜き孔用内側冷媒溝32及び肉抜き孔用外側冷媒溝33の周方向両側に夫々形成している。
端板13は、図1・図2に示すように、他側に段差部35を有する円環板形状に形成される。端板13の前記ロータコア10と当接される一側には、図5に示すように、端板13の周方向において180度の等間隔位置で径方向において対称位置に、内周縁から外周縁近傍まで延びる一対の大口広幅形状のフラックスバリア用内側冷媒溝36を形成し、フラックスバリア用内側冷媒溝36と直交し、周方向において180度の等間隔位置で径方向において対称位置に、外周縁近傍から外周縁まで延びる一対の広幅細口形状のフラックスバリア用外側冷媒溝37を形成している。
さらにまた、端板13の一側には、肉抜き孔用内側冷媒溝38と直交し、周方向において180度の等間隔位置で径方向において対称位置に、内周縁近傍から外周縁まで延びる一対の中幅細口形状の肉抜き孔用外側冷媒溝39を形成している。なお、図5において、符合40は、ロータコア10を軸方向に固定するためのボルト孔である。ボルト孔40は、端板13の内周縁近傍であって、肉抜き孔用内側冷媒溝38及び肉抜き孔用外側冷媒溝39の周方向両側に形成している。
ロータ軸8に組み付けた端板12・13は、端板12の一対のフラックスバリア用内側冷媒溝30が、径方向対称位置の一対のロータ用冷媒溝28の軸方向一側に夫々連通し、このフラックスバリア用内側冷媒溝30と連通する一対のロータ用冷媒溝28に対して直交する位置の別の一対のロータ用冷媒溝28の軸方向他側に、端板13の一対のフラックスバリア用内側冷媒溝36が夫々連通する。
さらに、ロータ軸8に組み付けた端板12・13は、端板12の一対の肉抜き孔用外側冷媒溝33が、肉抜き孔用内側冷媒溝32及び肉抜き孔用外側冷媒溝39と連通する一対のロータ用冷媒溝28に対して直交する位置の別の一対のロータ用冷媒溝28の軸方向一側に夫々連通するとともに、この一対のロータ用冷媒溝28の軸方向他側に、端板13の一対の肉抜き孔用内側冷媒溝38が夫々連通する。
また、ロータ3は、ロータコア10の周方向で隣接する磁石挿入孔41の間であって、内周縁近傍の周方向等間隔位置で径方向対称位置に、断面が湾曲する長円形状の長円肉抜き孔43を形成している。この実施例では、ロータコア10の周方向において磁石挿入孔41に対して45度の位置であって、ロータコア10の周方向において90度の等間隔位置で径方向において対称位置に、4つの長円肉抜き孔43を形成している。これにより、4つの長円肉抜き孔43は、径方向で対峙する2つを一対として、互いに直交する位置に2組形成している。なお、符合44は、ロータコア10を軸方向に固定するためのボルト孔である。ボルト孔44は、ロータコア10の内周縁近傍であって、各長円肉抜き孔43の円周方向両側に夫々形成している。
また、ロータ軸8に組み付けたロータ3は、図1に示すように、径方向対称位置の一対の長円肉抜き孔43に、端板12の一対の肉抜き孔用内側冷媒溝32と端板13の一対の肉抜き孔用外側冷媒溝39とが連通し、さらに、図2に示すように、別の径方向対称位置の一対の長円肉抜き孔43に、端板12の一対の肉抜き孔用外側冷媒溝33と端板13の一対の肉抜き孔用内側冷媒溝38とが連通する。なお、ロータ3のボルト孔44は、端板12・13の各ボルト孔34・40と合致する。
モータ1は、ステータ4のステータ巻線16に電流が流されることにより内部に回転磁界を形成し、ロータコア10に永久磁石11を埋め込んだロータ3を、このステータ4の内部に形成された回転磁界中で電流の周波数と回転磁界の極数とで決定する回転速度で回転させる。モータ1は、ステータ4の回転磁界による影響で永久磁石11の温度が上昇して減磁温度に達すると、出力性能の低下を招く。そこで、このモータ1は、冷媒によりロータ3及びステータ4を冷却する冷却構造を採用している。
ロータ軸8内部に供給された冷媒は、図2に示すように、ロータ軸8のロータ用冷媒孔27からロータ用冷媒溝28に流入し、このロータ用冷媒溝28の軸方向一側に連通する端板12のフラックスバリア用内側冷媒溝30から、ロータコア10のフラックスバリア42を介して、軸方向他側の端板13のフラックスバリア用外側冷媒溝37に流れ、端板13の外周縁に開口するフラックスバリア用外側冷媒溝37からステータ4のステータ巻線16に向かって飛散される。ステータ巻線16に飛散された冷媒は、モータハウジング2内の周壁7の最下部に落下し、ステータ用冷媒溝45により吸入側通路18に導かれ、ポンプ17に吸入されて再び吐出側通路19に吐出される。
これにより、このモータ1の冷却構造は、冷媒供給用シャフト20のシャフト用冷媒通路21に連通するシャフト用冷媒孔22から供給された冷媒を、ロータ用冷媒孔27、ロータ用冷媒溝28、フラックスバリア用内側冷媒溝30、フラックスバリア42、フラックスバリア用外側冷媒溝37から構成される冷媒通路46によって、ロータコア10内部に供給する。
これにより、このモータ1の冷却構造は、冷媒供給用シャフト20のシャフト用冷媒通路21に連通するシャフト用冷媒孔22から供給された冷媒を、ロータ用冷媒孔27、ロータ用冷媒溝28、フラックスバリア用内側冷媒溝36、フラックスバリア42、フラックスバリア用外側冷媒溝31から構成される冷媒通路47によって、ロータコア10内部に供給する。
フラックスバリア42は、設計段階で永久磁石11と接するように設けられることが多く、フラックスバリア42に冷媒を流すことで永久磁石11を直接冷却することが可能となる。そのため、普通にロータコア10内部に冷媒を流す場合に比べて、永久磁石11に対しての冷却性能が高く、温度の上昇によって磁石が滅磁するのを防止できる。そして、この冷却構造は、ロータコア10内に埋め込む永久磁石11の配置がV字配置などになっても、フラックスバリア42が存在する限り有効である。
この冷却構造では、冷媒が端板12・13のフラックスバリア用外側冷媒溝31・37からステータ巻線16に向って飛散するため、飛散した冷媒が発熱源であるステータ巻線16を直接冷却することが可能で、さらにロータ3の回転速度が上がると遠心力によって飛散する冷媒の勢いと量が増すため、冷却性能がさらに高まる。加えて、この冷却構造は、ロータ3の回転速度が上がると、遠心力が大きくなることでロータコア10内を通過する冷媒の流速が速くなるため、中・高速回転領域でモータ1の鉄損が増加した場合でも、それにあわせて冷却性能が高まる。
この冷却構造を用いることで、永久磁石11とステータ巻線16の温度上昇を低減させることができ、そのためモータ1の連続定格出力の向上、すなわち、モータ性能を向上させることが可能になる。
ポンプ17から吐出側通路19、シャフト用冷媒通路21、シャフト用冷媒孔22を介してロータ軸8内部に供給された冷媒は、図1に示すように、ロータ軸8のロータ用冷媒孔27からロータ用冷媒溝28に流入し、このロータ用冷媒溝28の軸方向一側に連通する端板12の肉抜き孔用内側冷媒溝32から、ロータコア10の長円肉抜き孔43を介して、軸方向他側の端板13の肉抜き孔用外側冷媒溝39に流れ、端板13の外周縁に開口する肉抜き孔用外側冷媒溝39からステータ4のステータ巻線16に向かって飛散される。ステータ巻線16に飛散された冷媒は、モータハウジング2内の周壁7の最下部に落下し、ステータ用冷媒溝45により吸入側通路18に導かれ、ポンプ17に吸入されて再び吐出側通路19に吐出される。
これにより、このモータ1の冷却構造は、冷媒供給用シャフト20のシャフト用冷媒通路21に連通するシャフト用冷媒孔22から供給された冷媒を、ロータ用冷媒孔27、ロータ用冷媒溝28、肉抜き孔用内側冷媒溝32、長円肉抜き孔43、肉抜き孔用外側冷媒溝39から構成される冷媒通路48によって、ロータコア10内部に供給する。
これにより、このモータ1の冷却構造は、冷媒供給用シャフト20のシャフト用冷媒通路21に連通するシャフト用冷媒孔22から供給された冷媒を、ロータ用冷媒孔27、ロータ用冷媒溝28、肉抜き孔用内側冷媒溝38、長円肉抜き孔43、肉抜き孔用外側冷媒溝33から構成される冷媒通路49によって、ロータコア10内部に供給する。
2 モータハウジング
3 ロータ
4 ステータ
8 ロータ軸
10 ロータコア
11 永久磁石
12 端板
13 端板
15 ステータコア
16 ステータ巻線
17 ポンプ
20 冷媒供給用シャフト
42 フラックスバリア
43 長円肉抜き孔
46 冷媒通路
47 冷媒通路
Claims (3)
- ロータコアに永久磁石を埋め込んだロータと、このロータを支持するロータ軸と、ステータを固定したモータハウジングとを備え、
前記ロータ軸内部に形成された冷媒供給用シャフトから供給された冷媒を、前記ロータコア内部に供給する冷媒通路を備えたモータの冷却構造において、
前記ロータ軸は、前記冷媒供給用シャフトから供給された前記冷媒を前記ロータコアの内周縁に供給するロータ用冷媒孔を備え、
前記ロータ用冷媒孔から供給された前記冷媒は、前記ロータ軸の軸方向端部の両側に位置する軸方向の一方に向かって前記ロータコアの内周縁に沿って流通させ、その後前記ロータコアに埋め込まれた永久磁石と接するフラックスバリアを、前記冷媒通路の一部として前記冷媒を前記軸方向の一方から前記軸方向の他方に向かって流通させたことを特徴とするモータの冷却構造。 - 前記ロータコアの軸方向の両端と接するように形成された端板を設け、
前記端板は、前記端板の径方向に沿って延びて前記端板の外周縁に開口するフラックスバリア用外側冷媒溝を備え、
前記冷媒通路は、フラックスバリアを通過した冷媒が、前記フラックスバリア用外側冷媒溝を流れてステータへ直接飛散するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータの冷却構造。 - 前記冷媒は前記冷媒供給用シャフトの1つの軸方向長さ位置より供給され、
複数存在する前記フラックスバリアのうちの一方のフラックスバリアでは冷媒が前記ロータコアの軸方向一側から軸方向他側に向けて流通し、その後前記冷媒が前記軸方向他側の前記端板の前記フラックスバリア用外側冷媒溝を流通するよう形成し、他方のフラックスバリアでは冷媒が前記ロータコアの軸方向他側から軸方向一側に向けて流通し、その後前記冷媒が前記軸方向一側の前記端板の前記フラックスバリア用外側冷媒溝を流通するように形成したことを特徴とする請求項2に記載のモータの冷却構造。」
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