頭部装着型の情報表示装置の小型化が進むと、さらに、その適用範囲が広くなる。例えば、使用者は、小型な情報表示装置を常時装着することも考えられる。常時装着型の情報表示装置では、使用者は外界の視覚情報を常時観察することができる。そして、外界の視野に重畳的に情報表示装置による電子映像が表示される。
なお、「常時装着型の情報表示装置」とは、使用者が意図的に情報表示装置を使用する場合に加えて、使用者が情報表示装置を使用する意図が無い場合においても装着できるように構成されているものをいう。このため、常時装着型の情報表示装置は、小型、軽量であり、外界の視野が確保できるように構成されている。
また、使用者の行動状態は、日々の生活において屋外、屋内、歩行中、発話中等、様々に変化する。ここで、同一の情報内容のときでも、行動状態に応じて表示する情報のモードを適宜変えることが望ましい。例えば、情報表示装置により電車の時刻表を肉眼の視界に重畳して表示する場合を例にとると、使用者が歩行中のときは大きなアイコン表示、使用者が非歩行中のとき(立ち止まっているとき)は表示される情報の認識に集中することができるので、詳細な文字情報を表示すること等が好ましい。
特許文献1に開示された頭部搭載型ディスプレイ装置では、使用者の頭部の変動状態に応じて、提示する視覚情報を周囲の環境視覚情報へ切替ている。このため、表示する視覚情報自体は、切替わることがない。この結果、従来技術の頭部搭載型ディスプレイ装置では、使用者の行動状態に応じた適切な情報表示をすることはできない。
また、従来の頭部装着型の情報表示装置は、小型で可搬容易となるように構成されている。そこで、電源として、電池または蓄電池が用いられる。このため、電池の容量により使用時間が制限される。この結果、できる限り節電、即ち省電力することが望まれる。
特に常時装着型の情報表示装置では、装着時間が従来の情報表示装置に比較して長くなる。このため、より効率的な省電力が要求される。ここで、特許文献2、特許文献3には、ヘッドマウントディスプレイにおいて省電力を実現するための構成が提案されている。しかしながら、上述した常時装着型の情報表示装置のような、使用者の使用意図の有無に関わらず装着するものに関して効率よく省電力を行なうことはできない。
第1の本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、使用者の行動状態に適した情報表示を行なうことができる情報表示装置を提供することを目的とする。また、第2の本発明は、効率良く省電力できる情報表示装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも表示素子を具える頭部装着型の情報表示装置であって、情報表示装置の使用者の周囲の明るさを測定の測定値と所定の値とを比較した結果に基づき、使用者に表示される表示画面の大きさを変更することを特徴とする情報表示装置を提供できる。なお、以下に述べる本発明の好ましい態様は参考例である。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の行動状態は、使用者が歩行中か否かの状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者が歩行中か否かは、使用者が持っている、または装着している加速度センサと、傾斜センサと、角速度センサと、振動センサと、脈拍センサと、GPSのうち少なくともいずれか一つにより検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の行動状態は、使用者が表示素子の電子映像を注視中か否かの状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、電子映像の注視の有無は、使用者の眼球へ赤外線を照射する赤外線投光手段と、眼球から反射された赤外線を検出する赤外線センサと、により検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、電子映像の注視の有無は、筋電位センサにより検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の行動状態は、使用者が発話中か否かの状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の発話の状態は、使用者が装着している体内音を効率的に拾うマイクロフォンにより検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示モードは、少なくとも要約表示モードと詳細表示モードとを有し、使用者の行動状態が、歩行中でないこと、電子映像を注視してないこと、発話していないことのうちの少なくともいずれか一つの状態であるとき、詳細表示モードへ自動的に切り替わることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードにおける表示文字サイズの下限値は、詳細表示モードにおける表示文字サイズの下限値よりも大きいことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示素子が同一情報内容を表示するとき、要約表示モードにおける表示素子の電子映像を構成する文字数に対するアイコンの数の比は、詳細表示モードにおける表示素子の電子映像を構成する文字数に対するアイコンの数の比よりも大きいことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードではスクロール表示を禁止し、詳細表示モードではスクロール表示を許可することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、複数のフィールドを含むレコードの全部または一部であって、表示モード毎にあらかじめどのフィールドを表示するかが決められていることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示素子に表示するコンテンツは、複数のフィールドを含むレコードの全部または一部であって、それぞれのレコードにはメタデータが定められており、行動状態に応じて前記表示モードが切り替わると共に、メタデータを手がかりに、レコードの中のどのフィールドを表示するか決定することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードは、詳細表示モードに比較して、単一画面内に表示する最大文字数が少ないことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードでは、詳細表示モードにおける表示画面の略中央の一部分のみを用いて情報を表示することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示モードは、少なくとも非表示モードを有し、使用者の行動状態が、歩行中のとき、電子映像を注視していないとき、または発話中のときに非表示モードへ自動的に切り替わることが望ましい。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、情報表示装置を使用している使用者の肉眼の視界における電子映像の表示位置を調整でき、表示位置が肉眼の視界内の所定の略中央の第1の領域にあるときと、第1の領域とは異なる第2の領域にあるときとで、表示モードが自動的に切り替わる情報表示装置を提供できる。なお、第1の領域は、肉眼の視界内の略中央に限るわけではなく、注視したときに眼に負担のかからない位置であればよい。例えば、肉眼視界の中心から下側45°の範囲であれば、注視しても眼の負担は小さく、その領域のどこに第1の領域を設けても良い。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示光学系の射出窓の位置と向きを変えることで表示位置の調整が可能であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、射出窓を支持する回動自在な支持部を有し、支持部と射出窓の回動の中心軸は使用者の肉眼の回旋中心近傍を貫くように配置され、支持部を回動することで射出窓の位置と向きの変更が可能なことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、支持部が回動する中心軸周りにはロータリーエンコーダまたはスイッチが設けられており、ロータリーエンコーダまたはスイッチからの信号を検出することにより表示モードが自動的に切り替わることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示モードは、少なくとも要約表示モードと詳細表示モードとを有し、表示位置が第2の領域にあるとき、表示モードは要約表示モードに自動的に切り替わることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードにおける表示文字サイズの下限値は、詳細表示モードにおける表示文字サイズの下限値よりも大きいことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示素子が同一情報内容を表示するとき、要約表示モードにおける表示素子の画面を構成する文字数に対するアイコンの数の比は、詳細表示モードにおける表示素子の画面を構成する文字数に対するアイコンの数の比よりも大きいことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードではスクロール表示を禁止し、詳細表示モードではスクロール表示を許可することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、複数のフィールドを含むレコードの全部または一部であって、表示モード毎にあらかじめどのフィールドを表示するかが決められているかが決められていることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示素子に表示するコンテンツは、複数のフィールドを含むレコードの全部または一部であって、それぞれのレコードにはメタデータが定められており、要約表示モード及び詳細表示モードの各表示モードはメタデータを手がかりに、レコードの中のどのフィールドを表示するか決定することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードは、詳細表示モードに比較して、単一画面内に表示する最大文字数が少ないことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、要約表示モードでは、詳細表示モードにおける表示画面の略中央の一部分のみを用いて情報を表示することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示モードは、少なくとも非表示モードを有し、表示位置が第2の領域にあるとき、表示モードが非表示モードへ自動的に切り替わることが望ましい。
また、第2の本発明によれば、バッテリーで駆動され、少なくとも受信を行なうことができる第1の無線通信モジュールを備える頭部搭載ユニットと、頭部搭載ユニットとは別体に構成され、第1の無線通信モジュールに対して少なくとも送信を行うことができる第2の無線通信モジュールとを有する情報表示装置であって、第1の無線通信モジュールは、内蔵しているタイマーにより所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動し、さらに、第1の無線通信モジュールは、第2の無線通信モジュールから送信された信号の受信終了後に待機状態に戻ることを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、第2の無線通信モジュールは、内蔵しているタイマーにより、所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動することにより、第1の無線通信モジュールと第2の無線通信モジュールとは略同時に待機状態から起動して通信を行なうことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の無線通信モジュールから第2の無線通信モジュールへ送信すること、または第2の無線通信モジュールから第1の無線通信モジュールへ送信することにより、第1の無線通信モジュールまたは第2の無線通信モジュールにそれぞれ内蔵されているタイマーに、所定時間または所定時刻が設定されることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の無線通信モジュールに内蔵されているタイマーと第2の無線通信モジュールに内蔵されているタイマーとのうちの少なくとも一方のタイマーは、他方のタイマーへ時刻データを送信し、時刻データを受信した他方のタイマーは、受信した時刻データに基づいて、他方のタイマーのタイマー時刻を受信した時刻データに合わせることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の無線通信モジュールと第2の無線通信モジュールとのうちの少なくとも一方は、最初に送信相手側との通信が行なわれるまでは所定時間を越える他の所定時間だけ起動状態を継続し、相手側との通信が成立したときの通信により、それぞれのタイマーを同期することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の無線通信モジュールと第2の無線通信モジュールとの両方の無線通信モジュールは、最初に送信相手側との通信が行なわれるまでは所定時間を越える他の所定時間だけ起動状態を継続し、相手側との通信が成立したときの通信により、それぞれのタイマーを同期し、さらに、それぞれのタイマーが同期したとき、または所定時間を越える他の所定時間の間に通信が成立しなかったとき、第1の無線通信モジュールと第2の無線通信モジュールとの両方の無線通信モジュールは、所定時間の周期で待機状態と起動状態とを繰り返すことが望ましい。
また、本発明によれば、バッテリーで駆動され、少なくとも受信を行なうことができる第1の無線通信モジュールを備える頭部搭載ユニットと、頭部搭載ユニットとは別体に構成され、第1の無線通信モジュールに対して少なくとも送信を行うことができる第2の無線通信モジュールとを有する情報表示装置であって、非省電力モードと省電力モードとを有し、情報表示装置の使用者の行動状態に応じて、非省電力モードと省電力モードとが自動的に切り替わることを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の行動状態は、使用者が歩行中か否かの状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者が歩行中か否かは、使用者が持っている、または装着している加速度センサと、傾斜センサと、角速度センサと、振動センサと、脈拍センサと、GPSのうち少なくともいずれか一つにより検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の行動状態は、使用者が表示素子の電子映像を注視中か否かの状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、電子映像の注視の有無は、使用者の眼球へ赤外線を照射する赤外線投光手段と、眼球から反射された赤外線を検出する赤外線センサと、により検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、電子映像の注視の有無は、筋電位センサにより検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の行動状態は、使用者が発話中か否かの状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者の発話の状態は、使用者が装着している体内音を効率的に拾うマイクロフォンにより検出することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、省電力モードでは、第1の無線通信モジュールは、内蔵しているタイマーにより所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動し、さらに、第1の無線通信モジュールは、第2の無線通信モジュールから送信された信号の受信終了後に待機状態に戻り、非省電力モードでは、第1の無線通信モジュールは常に起動状態であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、省電力モードと非省電力モードとにおいて、第1の無線通信モジュールに内蔵しているタイマーにより第1の無線通信モジュールは所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動し、さらに、第1の無線通信モジュールは、第2の無線通信モジュールから送信された信号の受信終了後に待機状態に戻り、非省電力モードにおける所定時間または所定時刻に比較して、第1の無線通信モジュールの待機時間が長くなるように自動的に設定されていることが望ましい。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、使用者が表示素子を注視していないと判断されたとき、表示素子は、所定の情報を所定の周期で繰り返し表示し、使用者が表示素子を注視していると判断されたとき、表示素子に繰り返し表示することを停止することを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、使用者が表示素子を注視していないと判断されたとき、表示素子は、情報を所定の周期で繰り返し表示し、使用者が表示素子を注視していると判断されたとき、情報が繰り返し表示される周期が、注視していないときの所定の周期に比較して大きくなることを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、表示素子は、使用者が表示素子を所定回数だけ注視するまで、情報を所定の周期で繰り返し表示することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者が表示素子を注視していないと判断されたとき、表示素子に表示される情報は静止状態になり、使用者が表示素子を注視していると判断されたとき、表示素子に表示される情報は、表示画面上で上下左右に移動することでスクロールすることが望ましい。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、使用者が表示素子を注視していないと判断されたとき、表示素子の表示はOFFであり、使用者が表示素子を注視していると判断されたとき、表示素子はメモリに格納されていた情報を表示することを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者が表示素子を注視していないと判断されたとき、情報表示の開始の通知を、表示素子とは異なる手段で行なうことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、情報表示の開始の使用者への通知は、音と、振動と、表示素子とは異なる部材から導入された光と、電気パルスと、の少なくともいずれか一つにより行われることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、使用者が表示素子を注視していないと判断されたとき、情報表示の開始の通知を、表示素子の画像の点滅表示と、画像の色のスイッチングと、ポジティブ画像とネガティブ画像との交互表示との少なくともいずれか一つにより行なわれることが望ましい。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、情報表示装置は、他の情報送信手段との間において、所定の時間間隔で間欠的に情報の送受信を行い、情報の送受信を行なっていないとき、タイマーが所定の時間間隔のための計時動作を行なうことを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、表示素子の位置と向きを回転調整する回転機構をさらに有し、回転機構は、表示素子を第1の位置と向きか第2の位置と向きのいずれかに選択的に調整でき、第1の位置と向きは、使用者の肉眼の視界の略中心に表示素子が配置される位置であり、第2の位置と向きは、第1の位置とは異なる他の位置と向きであり、表示素子が第2の位置と向きにあるとき、情報表示装置は、他の情報送信手段との間において、所定の時間間隔で間欠的に情報の送受信を行い、情報の送受信を行なっていないとき、タイマーが所定の時間間隔のための計時動作を行なうこと、または、表示素子の情報表示をOFFとすることを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、使用者が目を閉じていると判断されたとき、表示素子の情報表示をOFFとすることを特徴とする情報表示装置を提供できる。
また、本発明によれば、少なくとも表示素子を備える頭部装着型の情報表示装置であって、使用者の周囲の明るさに応じて、表示素子の表示画面の大きさを変更することを特徴とする情報表示装置を提供できる。
人間の瞳孔径は暗い周辺環境では大きくなり、明るい周辺環境では小さくなる。このため、本発明によれば、周辺環境の明るさに関わらずケラレのない明るい電子映像を認識できる。
以下に、本発明に情報表示装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
(情報表示装置の構成)
図1、図2、図3は、本発明の実施例1に係る情報表示装置100のうちのMEG150の概略構成を示している。「MEG(メグ)」は、「Mobiler Eye Glass」の略である。図1は、MEG150を使用している使用者Uを正面から見た構成を示す。図2は、MEG150を使用している使用者Uを側面から見た構成を示す。また、図3は、MEG150を使用している使用者Uを上面から見た構成を示す。
MEG150の頭部支持部101の一端は、使用者Uの頭部に保持されるように構成されている。また、頭部支持部101の他端には、棒状の接眼窓保持部102が形成されている。接眼窓支持部102の先端部には接眼窓104が形成されている。
接眼窓保持部102は、接眼窓104を使用者Uの肉眼の視界内に保持する。接眼窓104は、表示パネル103(図4、図5参照)に表示された電子映像電子映像の虚像を形成する光束Lが使用者Uの肉眼Eに向かって射出する窓である。また、接眼保持部102を構成する棒状の部材は、接眼窓104から根元に向かって略10mm以上の範囲にわたり、一部の突起を除いて、使用者Uの視軸方向への投影断面の幅が4mm以下である。
MEG150は、小型のヘッドホン型の頭部支持部101を利用した例である。接眼窓保持部102は、使用者Uの顔の端部に位置する表示パネル103(図4、図5参照)を観察可能とするための導光路を内蔵している。接眼窓保持部102は、頭部支持部101から眼球E前面付近まで延びている。使用者Uは、接眼窓保持部102の先端部の接眼窓104を覗くことにより、表示された画像を認識することができる。このとき、外形景色の観察を妨げないよう、眼球正面範囲(図1参照)内に位置する部品は、全て幅4mm以下となるように設定されている。
次に、眼球正面範囲内に位置する部品を全て幅4mm以下に設定する理由を説明する。人間の瞳孔径は明るさに応じて2〜8mmの間で変化する。眼球正面に配置された遮蔽物が瞳径より小さいとき、遠方の景色は遮蔽物によって遮られることなく、観察可能である。ここで、眼球正面範囲内に位置する筐体部品である接眼窓保持部102を構成する部材を、平均的な瞳孔径サイズを基準として4mm以下というサイズに設定している。これにより、使用者Uの通常使用環境において、外界を遮断せずに観察することができるようになる。
また、ヘッドホン型の頭部支持部101内には、後述するような表示パネルドライブ回路、受信データ処理回路、無線受信手段等が内蔵されている。
図4は、図1の構成における表示光学系部分を透視斜視した構成を示している。また、図5は、表示光学系部分を上側から見た構成を示している。接眼窓保持部102の入射端近傍に内蔵されている表示パネル103から射出された映像光は、接眼窓保持部102の内部を進行する。そして、映像光は、反射部材106により、光路を90°折り曲げられる。光路を折り曲げられた映像光は、接眼窓104から眼球E方向に射出される。使用者Uは、接眼窓104を覗くことで、表示パネル103に表示されている電子映像を観察することができる。
このように、接眼窓保持部102と反射部材106と接眼レンズ105とで、表示光学系を構成する。表示光学系は、表示パネル103の電子映像を空中に拡大投影するための光学系である。表示光学系は、レンズ1枚の構成、プリズムとレンズとを組み合わせた構成、複数のレンズ、ミラーによる構成など、さまざまな構成例をとることができる。そして、接眼窓104は、表示光学系の最も眼球E側の光学的開口部分に対応する。
使用者Uの方向から見て接眼窓保持部102の左端は、頭部支持部101へ接続されている。このとき、接眼窓保持部102の幅は使用者Uの方向から見て4mm以下であり、接眼窓保持部102の長さは10mm以上である。
また、反射部材106は、光線を反射する部材であれば何でもよく、例えば、プリズム、ミラー等を利用できる。さらに、表示パネル103は、小型の表示パネルならば何でもよく、例えば、透過型又は反射型の液晶表示素子、自発光型の有機EL素子、無機EL素子等を利用できる。
図6は、情報表示装置100の光学系の基本構成を示している。表示パネル103は、眼球Eの近点調節限界よりも近い位置に配置されている。接眼レンズ105は、表示パネル103からの映像光を眼球Eに投影する。使用者Uは、表示パネル103の虚像である空中像103aを拡大して観察できる。このような構成により、小型な表示パネル103を用いても、大きな観察画角により、電子映像を観察できる。
接眼レンズ105は、正の屈折力を有する光学系であれば何でも良い。例えば、凸レンズ、凹面鏡、屈折率不均質レンズ等を利用できる。また、接眼レンズ105は、正又は負の屈折力を有する光学素子を複数個組み合わせて正の屈折力のレンズ群を形成したものを用いても良い。
このように、図7の(a)、(b)に示すように眼球Eの前方に位置する遮蔽物である接眼窓保持部102を10mm以上の長さにし、かつ人間の平均的な瞳孔径4mmよりも細くしている。これにより、外界からの光束を完全に遮ることなく、接眼保持部102の眼球Eの反対の向こうにある外界像があたかも接眼窓104を透けて見え、視認できる。接眼窓104からは、電子映像の光束Lが射出されている。このため、外界(実視野)の像と電子映像とが重畳(オーバーラップ)して視認できる。これにより、シースルー効果が得られる。
図8は、MEG150から眼球Eまでの光路を示している。なお、図8には使用者の電子映像の注視の有無を検出するための構成を備えた光学系を示す。注視の有無を検出するための構成については後述する。表示パネル103からの光束は、プリズム115で光路を90度折り曲げられて、接眼窓保持部102内を進行する。そして、反射部材106、接眼レンズ105を経由した後、眼球Eの網膜上に電子映像を形成する。
図9は、使用者Uが視認する外界の視野と、重畳的に表示されている表示パネル103による電子映像例を示している。使用者Uは、MEG150を使用して富士山を観察している。図9の(a)では、外界の視野の富士山に重畳して、電子映像の視野に「富士山」、「標高3776m」という文字情報が表示されている。また、図9の(b)では、富士山に関するさらに詳細な文字情報が表示されている。このように、MEG150を使用することで、使用者Uは、外界の視野の富士山に重畳して表示パネル103による電子情報を認識できる。換言すると、使用者Uは、いわゆるシースルービュアーのような使用感覚で、MEG150を使用できる。
(情報表示装置)
次に、MEG150を備える情報表示装置100について説明する。図10は、情報表示装置100の構成を示すブロック図である。
情報表示装置100は、MEG150と、携帯ユニット250とを備えている。携帯ユニット250は、情報取得手段202と、使用者状態センシング手段203と、表示モード切替手段204と、送信データ変換回路205と、無線送信手段206と、タイマー207aとを有している。
情報取得手段202は、広域通信網(Wide Area Network、WAN)201等を介して、他のコンピュータ、データベース等から情報を取得する。また、使用者状態センシング手段203は、使用者Uの行動状態をセンシングするセンサ等である。これらセンサについては、後述する。
表示情報切替手段204は、使用者Uの行動状態に応じて、表示パネル103に表示される情報の表示モードを切り替える。送信データ変換回路205は、表示情報切替手段204が出力する提示情報を、例えば、文字の大きさや配置を記述できるHTML(Hyper Text Markup Language)等のマークアップ言語をアスキーコードに変換して、無線送信手段206へ送信する。また、タイマー207aは、後述する手順に従って、MEG150に内蔵されているタイマー207bと同期をとる。
MEG150は、上述した表示パネル103と、表示パネルドライブ回路210と、受信データ処理回路209と、無線受信手段208と、タイマー207bとを有している。無線送信手段206と無線受信手段208とは、例えば、Bluetooth(登録商標)の送信部または受信部であるBluetooth(登録商標)チップを備えている。
無線受信手段208は、受信したデータを、受信データ処理回路209へ送る。受信データ処理回路209は、受信したデータを表示パネルドライブ回路210が処理できる画像信号へ変換する。表示パネルドライブ回路210は、表示パネル103を駆動する。そして、使用者Uは、MEG150を介して表示パネル103による電子映像を認識する。
図11は、使用者Uが情報表示装置100を装着し、歩行している状態を示している。使用者Uは、頭部にMEG150を装着している。また、使用者Uは、携帯ユニット250を上着のポケットに収納して携帯している。そして、使用者Uは、MEG150を常時装着、即ち、使用を意図しているときだけ適宜装着するのではなく、使用を意図しないときでも装着している。上述したように、使用者Uは、MEG150を装着していても、外界の視野による観察を阻害されることがない。さらに、MEG150は、小型、軽量に構成されている。このため、使用者Uは、MEG150を頭部に装着していても、装着している状態を意識すること無く行動できる。
(行動状態の説明)
次に、MEG150による電子情報の表示例について説明する。MEG150は、使用者Uの行動状態に応じて、表示パネル103に表示される情報の表示モードが自動的に切り替わるように構成されている。使用者Uの行動状態とは、例えば、使用者Uが歩行中か否かの状態をいう。使用者Uが歩行中か否かは、使用者Uが持っている、または装着している加速度センサと、傾斜センサと、角速度センサと、振動センサと、脈拍センサと、GPSのうち少なくともいずれか一つにより検出する。
加速度センサは、使用者Uの歩行の加速度を検出する。傾斜センサは、使用者Uの体の部位の傾斜を検出する。使用者Uが歩行しているとき、体の部位、例えば腕や足の傾斜が規則的に変化する。例えば、腕時計型の傾斜センサは、腕首の傾斜を検出する。また、靴底に傾斜線センサを設けて、足裏の傾斜を検出することもできる。角速度センサは、使用者Uの歩行に起因する体の部位の角速度を検出する。振動センサは、歩行者Uの歩行により生ずる振動を検出する。脈拍センサは、歩行者Uの心拍数を検出する。そして、GPSは、使用者Uの所在位置と方向を検出できる。また、GPSの代わりに、携帯電話の位置情報サービスを用いることができる。
使用者Uの行動状態の他の例としては、使用者Uが表示パネル103の電子映像を注視中か否かの状態を挙げることができる。電子映像の注視の有無は、例えば、赤外線投光手段と赤外線センサとを組み合わせて検出できる。
図12は、注視の有無の検出のための光学系を備えたMEG150の概略構成を示している。赤外線投光手段、例えば赤外LED111は、赤外線を照射する。赤外LED111からの赤外線は、プリズム113で光路を90折り曲げられる。そして、レンズ114、プリズム115、接眼窓保持部102、反射部材106、接眼レンズ105を経由して眼球Eの角膜表面に投射される。眼球Eが接眼レンズ105、すなわち接眼窓部を向いているときは、接眼レンズ105の光軸と眼球Eの角膜表面が直交しているため、接眼レンズ105から投射される赤外線は、眼球Eの角膜表面で反射し、往路と同様の光路を逆行して、今度はプリズム113を透過する。プリズム113を透過した赤外線は、赤外線センサ112に入射する。しかし、眼球Eが接眼レンズ105を向いていない場合、接眼レンズ105の光軸と眼球Eの角膜表面とは直交せず、眼球Eの角膜表面で反射した赤外線は、往路を逆進しない。このため赤外センサ112に入射する赤外線の強度は弱くなるか、赤外線が赤外線センサに到達しなくなる。よって、赤外線センサにて、眼球Eから反射された赤外線の強度を検出することにより使用者Uが、表示パネル103による電子映像を注視しているか、否かを検出できる。
また、電子映像の注視の有無は、筋電位センサにより検出することもできる。筋電位センサとしては、EOG(眼球電図)法を用いることができる。EOG法は、角膜側にプラス、網膜側にマイナスの静止電位が存在していることを利用し、眼球運動のより生ずる電
位の変化を検出する方法である。
図13は、筋電位センサ120を備えたMEG150の斜視構成を示している。筋電位センサ120は、2つの筋電位センサ電極121、122を有している。これらの電極により眼球Eの動きに起因する電位を検出する。この検出した電位は、あらかじめ電子映像を注視したときの電位を筋電位センサ120で計測してメモリし、そのメモリした電位と比較することで、略一致するなら電子映像を注視している、そうでなければ注視していないと判断するする。このようなEOG法により、眼球Eが電子映像を注視しているか否かを検出できる。
使用者Uの行動状態のさらに他の例としては、使用者Uが発話中か否かの状態を挙げることができる。使用者Uの発話の状態は、使用者Uが装着している体内音を効率的に拾うマイクロフォンにより検出することができる。
使用者Uが発話すると、その音声は口腔から体外へ伝搬するが、一部は体内へ伝搬する。使用者Uの発生により体内音を効率的に拾うマイクロフォンにより、使用者Uの音声を検出できる。一方、外界音は空気を伝搬し使用者Uに伝わってくるが、空気と体のインピーダンスが大きく異なるために、体内にはほとんど伝搬しない。
従って、体内音を効率的に拾うマイクロフォンには、外界音はほとんど検出されない。すなわち、体内音を効率的に拾うマイクロフォンが検出する音声が所定のレベル以上のパワーを検出しているか否かで、使用者Uが発話しているかどうかの判断ができる。
さらに、その判断精度を高めるには、使用者Uが外界音を効率的に拾うマイクロフォンも装着し、このマイクロフォンが検出するパワー(パワーB)と、前記体内音を効率的に拾うマイクロフォンの検出するパワー(パワーA)を比較する。使用者Uが発話をしたときには、比較的パワーBがパワーAより大きく、外界音が入った場合には、比較的パワーBがパワーAより小さくなる。従って、例えばパワーBをパワーAで除算し、その大きさが所定の値より大きければ発話、小さければ非発話状態であると高精度で判断できる。
なお、ここ前記所定の値とは、どのようなマイクロフォンを利用するか、またその信号をどのような増幅器で増幅するかに寄り、最適値は変化する。実際に、使用者Uにマイクを装着して貰い、発話をして貰いながらパワーを調べ、最適値を実験して求めるのが良い。
なお、ここで言う体内音を効率的に拾うマイクロフォンの例は、マイクロフォンの振動板が直接または間接的に体表に接触したマイクロフォン、あるいは、中耳孔に吸音部を差し込んで使うイヤフォン形状のマイクロフォン、あるいは、その他の骨伝導マイクロフォンである。
(表示モードの説明)
表示パネル103における表示モードは、少なくとも要約表示モードと詳細表示モードとがある。図14の(a)は、要約表示モードにおいて、表示パネル103に表示される電子映像を示している。また、図14の(b)は、詳細表示モードにおいて、表示パネル103に表示される電子映像を示している。MEG150を使用している使用者Uは、肉眼の視界の一部に重畳して、図14の(a)または(b)に示す電子映像を認識できる。
図14の(a)の要約表示モードでは、「電車が4番線で12時15分に発車する」という情報内容をアイコン表示と数字(文字)表示とで表している。これに対して、図14の(b)の詳細表示モードでは、さらに詳細な情報、例えば「S駅の4番線から山手線が12時15分に発車する」、「T駅の12番線から中央線が12時35分に発車する」、「O駅には12時40分に到着する」という内容の文字情報が表示されている。なお、表示モードの切り替え、例えば要約表示モードと詳細表示モードとの切り替えは、使用者Uの行動状態に応じて自動的に行なわれる。表示モードの切り替えの手順の詳細については、後述する。
そして、要約表示モードにおける表示文字サイズの下限値は、詳細表示モードにおける表示文字サイズの下限値よりも大きいことが望ましい。これにより、使用者Uは、要約表示モードにおいて詳細表示モードに比較して容易に情報内容を認識できる。
また、表示パネル103が同一情報内容を表示するとき、要約表示モードにおける表示パネル103の電子映像を構成する文字数に対するアイコンの数の比は、詳細表示モードにおける表示パネル103の電子映像を構成する文字数に対するアイコンの数の比よりも大きいことが望ましい。例えば、図14の(a)では電車を示すアイコンの数は一つである。これに対して、図14の(b)では、アイコンの数はゼロである。これにより、使用者Uは、同一表示内容のとき、要約表示モードにおいて、より容易に表示内容を認識できる。
また、要約表示モードは、詳細表示モードに比較して、単一画面内に表示する最大文字数が少ないことが望ましい。これにより、使用者Uは短時間に内容を確認し易い。要約表示モードでは、詳細表示モードにおける表示画面の略中央の一部分のみを用いて情報を表示することが望ましい。
使用者Uの眼に対する接眼窓(光学窓)の相対的位置関係が所定の状態からずれた場合、使用者Uが観察出来る表示画面は周辺部ほど陰りが生じやすい。前記の通り、要約表示モードでは、詳細表示モードにおける表示画面の略中央の一部分のみを用いて情報を表示することで、使用者Uの眼に対する接眼窓(光学窓)の相対的位置関係が多少ずれても、使用者Uは、表示された情報を欠落無く認識できるようになる。
歩行中や会話中はその振動や顔筋の動きにより、使用者Uの眼に対する接眼窓(光学窓)の相対的位置関係が所定の状態からずれやすくなるが、要約表示モードであれば陰りが生じない。
図15の(a)、(b)は、それぞれ要約表示モードと詳細表示モードとにおける表示の第2の例を示している。要約表示モードでは、「現在時刻から12分後に特定の人と待ち合わせを予定している」という情報内容が、文字情報とアイコンとで示されている。これに対して、詳細表示モードでは、「13:48」(現在時刻)、「14時00分にO駅でAさんと待ち合わせ」、「16時00分にCプロジェクトについてB会議が開催」、「17時00分にはDについて確認すること」という詳細な文字情報が表示される。
図16の(a)、(b)は、それぞれ要約表示モードと詳細表示モードとにおける表示の第3の例を示している。要約表示モードでは、表示画面の略中央の一部(図16の波線の囲み内)のみを用いて「加藤さんから電子メールがきている」という情報内容が文字情報とアイコンとで示されている。
これに対して、詳細表示モードでは、「電子メールの発信時刻」、「現在時刻」、「発信者名」、「本文」の内容が詳細な文字情報が表示画面全体を使って表示されている。ただし、本実施例では、主に装飾的意味を持つ背景画像(図16のハッチング部分)は要約表示モードも詳細表示モードも画面全体を使って表示している。
(フィールドとアイテムの説明)
上記第3の例を用いて、フィールドとアイテムについて説明をする。「電子メールの発信時刻」、「現在時刻」、「発信者名」、「本文」のそれぞれを記憶する枠がフィールドであり、その枠の中に記憶されているデータがアイテムである。なお、複数のフィールドを束ねたものをレコードと呼ぶ。例えば一通の電子メールの情報は一つのレコードに収められる。そのレコードの中には、複数のフィルールドが存在し、「発信者名」を入れるフィールドには、「加藤恒夫」であるとか「佐々木和子」といったデータ、すなわちアイテムが記憶されている。
図17は、使用者Uの行動状態に応じて、「加藤さんから電子メールがきている」という情報内容をどのように表示するか、を示している。図17において、○印は表示するフィールドを、×印は表示しないフィールドをそれぞれ示している。また、使用者Uの行動状態としては、「非歩行時」、「歩行時」、「非発話時」、「発話時」の4つの状態を考える。
表示パネル103に表示される電子映像のコンテンツは、それぞれ複数のフィールドから構成されている。本例では、電子メールに関する情報は、「アイコン」、「発信者」、「タイトル」、「発信時刻」、「Cc」、「本文」の6種類のフィールドから構成されている。
使用者Uの行動状態が、上述したような加速度センサ等からの検出結果により、「非歩行時」であると判断されたとき、自動的に詳細モードに切り替わる。さらに図17に示したテーブルに従って、「発信者」、「タイトル」、「発信時刻」、「Cc」、「本文」の表示フィールドから、そのアイテムが選択される。この結果、図16の(b)に示すように、詳細な文字情報が画面全体を使って表示される。
これに対して、使用者Uの行動状態が、加速度センサ等からの検出結果により、「歩行時」であると判断されたとき、自動的に要約モードに切り替わる。さらに図17に示したテーブルに従って、「アイコン」と「発信者」の表示フィールドから、そのアイテムが選択される。この結果、使用者Uは、図16の(a)に示すように、アイコンと発信者名のみが画面中央領域の一部を使って、しかも文字は詳細モードの時よりも大きな文字で表示される。
使用者Uの行動状態が、体内音を効率的に拾うマイクロフォンの検出結果により、「非発話時」または「発話時」と検出されたときも、自動的に詳細モード、要約モードに切り替わり、「非歩行時」または「歩行時」と同様に図17に示すテーブルに従ってそのアイテムが選択され表示される。
また、本実施例において、使用者Uの行動状態が、歩行中でないこと(即ち、非歩行時)、電子映像を注視してないこと、発話中でないこと(即ち、非発話時)のうちの少なくともいずれか一つの状態であるとき、詳細表示モードへ自動的に切り替わることが望ましい。使用者Uが、非歩行時、電子映像を注視していないとき、非発話中のときは、それぞれ肉眼の視界内に表示されている情報の認識に集中できる。これにより、詳細な情報を認識することができる。
また、要約表示モードではスクロール表示を禁止し、詳細表示モードではスクロール表示を許可することが望ましい。これにより、詳細表示モードにおいては、スクロールにより全ての情報を認識できる。
また、表示モードは、少なくとも非表示モードを有し、使用者Uの行動状態が、歩行中のとき、電子映像を注視していないとき、または発話中のときに非表示モードへ自動的に切り替わることが望ましい。これにより、使用者Uは、歩行中のとき、電子映像を注視していないとき、または発話中のときにおいて、表示がOFFとなる。このため、使用者Uが電子映像の表示の認識に集中してしまい、他の行為が疎かになることを防止できる。
図18−1,図18−2,図18−3を用いて、他の実施例を示す。本実施例は店舗案内のレコードと電子メールのレコードを表示する場合を想定している。図18−1は、それぞれのレコードを構成するフィールドと、各フィールドにあらかじめ付けたメタデータ、そして各フィールドに記録されたアイテムを示している。なお、メタデータとはレコードやフィールドの特性を示すデータのことである。図18−2は、歩行状態と発話状態の組み合わせに対して、自動的にどの表示モードに切り替えを行うかをあらかじめ定めた表示モードを示している。図18−3は、行動状態に対して、どのメタデータがついたフィールドを表示するかを示している。
例えば、歩行時でかつ非発話時の場合、図18−2において歩行時に○がついていて、非発話時に○がついているのはC列であり、表示モードは自動的に要約モードに切り替わる。さらに図18−3において重要度は歩行時が1〜3で、非発話時が1〜5となっている。そして、両方の条件を満足する重要度1、2、3のメタデータを持つフィールドが表示対象となる。
同じく、一瞥度は歩行時が1〜2で、非発話時が1〜5となっている。そして、両方の条件を満足する一瞥度1または2のメタデータが表示対象となる。さらに、歩行適応度は「有り」、発話適応度は「有り」または「無し」のメタデータがついているフィールドがこのときの表示対象となる。
もう一度整理すると重要度は1または2または3、一瞥度は1または2、歩行適応は「有り」、発話適応は「有り」または「無し」のメタデータがついたフィールドを表示する。
図18−1において、これらメタデータがついているフィールドを確認すると、店舗案内レコードでは、店舗名とアイコンのフィールドが、電子メールのレコードでは、アイコンと発信者のフィールドが該当することが分かる。
そこで、歩行時で非発話時の店舗案内は、画面中央の一部に店舗名フィールドに記録されているアイテムの「中華龍」と、アイコンフィールドに記録されている「ラーメンのアイコン」が表示される。同様に、電子メールは、「メールアイコン」と「加藤 雄二」が表示される。
(情報表示装置の変形例)
図19は、変形例に係る情報表示装置200の機能を示すブロック図である。情報表示装置100と同一の部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。上述の情報表示装置100は、MEG150と携帯ユニット250との2つの大きな構成要素から構成されている。これに対して、本変形例では、携帯ユニットの情報処理モジュールとしての機能がMEGに組み込まれている。このため、使用者Uは、MEGのみを装着するだけで良い。
(表示モードの自動切り替え)
次に、使用者Uの行動状態に応じて、表示モードを自動的に切り替える手順を説明する。図20は、表示モードを切り替える手順を示すフローチャートである。ステップS1501において、加速度センサ等の検出結果に基づいて、使用者Uが歩行中であるか、について判断される。判断結果が真(Yes)のとき、ステップS1505において、要約表示モードとする。ステップS1501の判断結果が偽(No)のとき、ステップS1502へ進む。
ステップS1502において、赤外線センサ等の検出結果に基づいて、使用者Uが表示パネル103による電子映像を注視しているか、について判断される。判断結果が偽のとき、ステップS1505において、要約表示モードとする。ステップS1502の判断結果が真のとき、ステップS1503へ進む。
ステップS1503において、体内音を効率的に拾うマイクロフォンの検出結果に基づいて、使用者Uが発話中であるか、について判断される。ステップS1503の判断結果が真のとき、ステップS1505において、要約表示モードとする。ステップS1504の判断結果が偽のとき、ステップS1504において、詳細表示モードとする。なお、要約表示モードの代わりに「非表示モード」、詳細表示モードの代わりに「表示モード」としても良い。
図21は、表示モードを切り替える他の手順を示すフローチャートである。ステップS1601において、赤外線センサ等の検出結果に基づいて、使用者Uが電子映像を注視しているか、について判断される。判断結果が偽のとき、ステップS1602において、表示モード1とする。表示モード1では、例えば、表示OFFとすること、または気づき警告を行なう。また、ステップS1601の判断結果が真のとき、ステップS1603へ進む。
ステップS1603において、加速度センサ等の検出結果に基づいて、使用者Uが歩行しているか、について判断される。判断結果が真のとき、ステップS1604において、表示モード2とする。表示モード2は、例えば、アイコンによる表示を行なう。ステップS1603の判断結果が偽のとき、ステップS1605へ進む。
ステップS1605において、体内音を効率的に拾うマイクロフォンの検出結果に基づいて、使用者Uが発話中であるか、について判断される。ステップS1605の判断結果が真のとき、ステップS1606において、表示モード3とする。表示モード3では、例えば、簡易なテキスト表示を行なう。ステップS1605の判断結果が偽のとき、ステップS1607において、表示モード4とする。表示モード4では、例えば、詳細なテキスト表示や動画映像表示等を行なう。
次に、本発明の実施例2に係る情報表示装置について説明する。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施例に係る情報表示装置は、図10で示したものと同一の構成を有している。図10に示すように、MEG150は、バッテリー211で駆動され、少なくとも受信を行なうことができる無線受信手段208を備える。MEG150は、頭部搭載ユニットに対応する。また、タイマー207bと無線受信手段208と受信データ処理回路209は、第1の無線通信モジュールC1に対応する。
さらに、無線送信手段206は、MEG150とは、別体に構成され、無線受信手段208に対して少なくとも送信を行うことができる。送信データ変換回路205と無線送信手段206とタイマー207aとで第2の無線通信モジュールC2に対応する。
無線受信手段208は、内蔵しているタイマー207bにより所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動する。さらに、無線受信手段208は、無線送信手段206から送信された信号の受信終了後に待機状態に戻る。これにより、無線受信手段208は、無線送信手段206から送信された信号を受信終了した以降に、起動状態となることを防止できる。このため、省電力を実現できる。
図22は、このときの手順を示すフローチャートである。ステップS1701において、第1の無線通信モジュールC1で時間T=0が設定される。ステップS1702において、T=T+1とする。ステップS1703において、T=Teであるか、について判断される。判断結果が偽のとき、ステップS1702へ戻る。ステップS1703の判断結果が真のとき、ステップS1704において第1の無線通信モジュールC1を起動する。ステップS1705において、第1の無線通信モジュールC1は、第2の無線通信モジュールC2から受信する。そして、ステップS1706において、受信終了後に第1の無線通信モジュールC1は待機状態となる。
また、ステップS1707において、第2の無線通信モジュールC2で時間T=0が設定される。ステップS1708において、T=T+1とする。ステップS1709において、T=Teであるか、について判断される。判断結果が偽のとき、ステップS1708へ戻る。ステップS1709の判断結果が真のとき、ステップS1710において第2の無線通信モジュールC2を起動する。ステップS1711において、第2の無線通信モジュールC2は、第1の無線通信モジュールC1へ送信する。そして、ステップS1712において、送信終了後に第2の無線通信モジュールC2は待機状態となる。
図23は、通信のタイミングを示している。図23の上段部の数字0、1、2、3、4、5は、時間の経過を示す。単位は、例えば「ミリ秒(msec)」である。また、図23において、送信または受信を行っている状態を黒色の部分で、送信または受信を行っていない状態を白色の部分で、それぞれ示している。
図23から明らかなように、通信の所要時間がばらついて、第1の無線通信モジュールC1の起動時間がばらついても、起動タイミングだけを見れば、常に一定のタイミング、例えば5msecごとに設定できる。
また、無線送信手段206は、内蔵しているタイマー207bにより、所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動する。そして、無線受信手段208と無線送信手段206とは略同時に待機状態から起動して通信を行なうことが望ましい。
図24は、このときの通信のタイミングを示している。2つのタイマー207a、207bは、例えば、電波時計の原理により、相互に同期させることができる。
また、無線受信手段208から無線送信手段206へ送信すること、または無線送信手段206から無線受信手段208へ送信することにより、無線受信手段208または無線送信手段206にそれぞれ内蔵されているタイマー207a、207bに、所定時間または所定時刻が設定されることが望ましい。このように、本実施例では、無線受信手段208と無線送信手段206との間で相互に送受信が可能なように構成されている。
図25は、このときの通信のタイミングを示している。例えば、5msecから3msec間隔で通信を行うように、第1の無線通信モジュールC1が第2の無線通信モジュールC2に信号を送信して、タイマー207aとタイマー207bとが同期する。
また、無線受信手段208に内蔵されているタイマー207bと無線送信手段206に内蔵されているタイマー207aとのうちの少なくとも一方のタイマーは、他方のタイマーへ時刻データを送信する。そして、時刻データを受信した他方のタイマーは、受信した時刻データに基づいて、他方のタイマーのタイマー時刻を受信した時刻データに合わせることが望ましい。これにより、タイマー207a、207bどうしの時刻を容易に一致させることができる。
図26は、このときの通信のタイミングを示している。例えば、最初の起動から2msec経過したときにタイマー207aがタイマー207bに同期している。
また、無線受信手段208と無線送信手段206とのうちの少なくとも一方は、最初に送信相手側との通信が行なわれるまでは所定時間を越える他の所定時間だけ起動状態を継続する。そして、相手側との通信が成立したときの通信により、それぞれのタイマー207a、207bを同期することが望ましい。
図27は、このときの通信のタイミングを示している。例えば、MEG150側の第1の無線通信モジュールC1が起動と待機を所定時間で繰り返す側と仮定する。まず、使用者Uには、MEG150側の第1の通信モジュールから電源を入れ、次に、携帯ユニット250側の第2の通信モジュールの電源を入れてもらう。このとき、第2の無線通信モジュールC2は、少なくとも第1の無線通信モジュールC1が待機と起動に要する一周期分の時間、即ち所定の周期の時間だけ起動状態を維持すれば、必ずこの間に、第1の無線通信モジュールC1は起動を行う。これにより、第1の無線通信モジュールC1と第2の無線通信モジュールC2との間において通信を開始できる。
図27に示すように、第1の無線通信モジュールC1と第2の無線通信モジュールC2との間で通信が成立した以降、タイマー207a、207b間で同期をとることができる。なお、第1の無線通信モジュールC1と第2の無線通信モジュールC2の関係は相互に入れ替えても(つまり逆でも)良い。
また、無線受信手段208と無線送信手段206との両方の無線通信モジュールは、最初に送信相手側との通信が行なわれるまでは所定時間T1を越える他の所定時間T2だけ起動状態を継続する。次に、相手側との通信が成立したときの通信により、それぞれのタイマー207a、207bを同期する。そして、それぞれのタイマーが同期したとき、または所定時間T1を越える他の所定時間T2の間に通信が成立しなかったとき、無線受信手段208と無線送信手段206との両方の無線通信モジュールは、所定時間T1の周期で待機状態と起動状態とを繰り返すことが望ましい。
例えば、第1の無線通信モジュールC1と第2の無線通信モジュールC2とのうち、最初に電源をONした一方のモジュールは、素早く残りのモジュールの電源を入れない限り、所定の周期T1で待機と起動とを繰り返すモードに入る。その後で、遅れて電源をONするモジュールは、他の所定時間T2の間、電源が投入され続ける状態となる。そして、第1の無線通信モジュールC1と第2の無線通信モジュールC2との間で通信が成立した以降、タイマー207a、207b間で同期をとることができる。
また、本実施例では、さらに、非省電力モードと省電力モードとを有することが望ましい。そして、使用者Uの行動状態に応じて、非省電力モードと省電力モードとが自動的に切り替わる。これにより、効率良く、省電力を行うことができる。
ここで、省電力モードでは、無線受信手段208は、内蔵しているタイマー207bにより所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動する。また、無線受信手段208は、無線送信手段206から送信された信号の受信終了後に待機状態待機状態に戻る。そして、非省電力モードでは、無線受信手段208は常に起動状態である。
また、省電力モードと非省電力モードとにおいて、無線受信手段208に内蔵しているタイマー207bにより無線受信手段208は所定時間経過後、または所定時刻に待機状態から起動する。さらに、無線受信手段208は、無線送信手段206から送信された信号の受信終了後に待機状態に戻る。そして、非省電力モードにおける所定時間または所定時刻に比較して、無線受信手段208の待機時間が長くなるように自動的に設定されていることが望ましい。
これにより、第1の無線通信モジュールC1の待機時間が、非省電力モードのときは、省電力モードに比較して短く、頻繁に起動して第2の無線通信モジュールC2と通信を行う。例えば、非省電力モードでは、1分間に1回の通信を行い、省電力モードでは、1時間に1回の通信を行う。
そして、非消費電力モードと省電力モードとのいずれのモードに移行するかの判断基準となる使用者Uの行動状態は、使用者が歩行中か否かの状態である。使用者Uが歩行中か否かは、使用者Uが持っている、または装着している加速度センサと、傾斜センサと、角速度センサと、振動センサと、脈拍センサと、GPSのうち少なくともいずれか一つにより検出する。これらセンサからの検出結果に基づいて、効率的に非省電力モードと省電力モードとを切り替えることができる。
また、使用者Uの行動状態の他の例としては、使用者Uが表示パネル103の電子映像を注視中か否かの状態であることが挙げられる。電子映像の注視の有無は、例えば、上述のように赤外線投光手段と赤外線センサとを組み合わせて検出できる。赤外線投光手段は、使用者Uの眼球Eへ赤外線を照射する。赤外線センサは、眼球Eから反射された赤外線を検出する。これにより、使用者Uが、表示パネル103を注視しているか、否かを検出できる。そして、使用者Uが電子映像を注視していると判断されたとき、非省電力モードに移行する。また、上述したように、電子映像の注視の有無は、筋電位センサにより検出することもできる。
さらに、非消費電力モードと省電力モードとのいずれのモードに移行するかの判断基準となる使用者Uの行動状態の他の例は、使用者が発話中か否かの状態である。使用者Uの発話の状態は、使用者Uが装着している体内音を効率的に拾うマイクロフォンにより検出することができる。そして、使用者Uが非発話時であると判断されたとき、非省電力モードに移行する。
次に、本発明の実施例3に係る情報表示装置について説明する。本実施例は、使用者が電子映像を注視しているか否かを検出することにより、電子映像の表示を様々な態様で表示するものである。
本実施例の情報表示装置の構成は、上記実施例1で説明した構成と同一であるため、重複する説明は省略する。上述したような赤外線センサや筋電位センサにより使用者が電子映像を注視しているか否かを検出する。そして、表示モード切替手段204は、この検出結果に応じて、以下に述べるような表示を行う信号を出力する。
本実施例では、使用者Uが表示パネル103による電子映像を注視していないと判断されたとき、表示パネル103は、所定の情報を所定の周期で繰り返し表示する。これに対して、使用者Uが表示パネル103を注視していると判断されたとき、表示パネル103に繰り返し表示することを停止する。
例えば、使用者Uが電子映像を注視していないとき、使用者Uの注意を電子映像に対して喚起することが望ましい。このため、例えば、表示パネル103は、所定の情報を所定の周期でONとOFFとを繰り返して表示する。そして、使用者Uが電子映像を注視したとき、繰り返し表示を停止する。
また、使用者Uが電子映像を注視していないと判断されたとき、表示パネル103は、情報を所定の周期で繰り返し表示する。これに対して、使用者Uが電子映像を注視していると判断されたとき、情報が繰り返し表示される周期が、注視していないときの所定の周期に比較して大きくなることが望ましい。
図28は、このときの表示手順を示すフローチャートである。ステップS1801において、表示パネル103は、時間T1だけ待機状態を続ける。ステップS1802において、表示パネル103は、電子映像の表示を開始する。ステップS1803において、赤外線センサ等の検出結果により使用者Uが電子映像を注視しているか、が判断される。ステップS1803の判断結果が偽のとき、ステップS1805において、T1=20に設定する。そして、ステップS1801へ戻る。
ステップS1803の検出結果が真のとき、ステップS1804へ進む。ステップS1804において、処理選別が行なわれる。処理選別とは、メタデータをレコードに付けて、例えば、メールのときは保存する(ステップS1807)、店舗案内のときは廃棄する(ステップS1806)、その他のときは電子映像の表示周期を低減する(ステップS1808)等を行なうことをいう。ステップS1808の次に、ステップS1809において、時間T1=60に設定し、ステップS1801へ戻る。
このような手順により、例えば、使用者Uが電子映像を注視していないとき、表示パネル103は20秒に1回の表示を行なう。そして、使用者Uが電子映像を注視しているとき、表示パネル103は、60秒に1回の表示へと変化する。これにより、使用者Uが電子映像を注視していないときは、電子映像の表示のON、OFFが頻繁に行なわれるので、使用者Uの注意を喚起できる。
また、使用者Uが電子映像を注視しているか否かを検出することにより、表示パネル103は、使用者Uが表示パネル103を所定回数だけ注視するまで、情報を所定の周期で繰り返し表示することが望ましい。例えば、使用者Uが表示パネル103をNe回(nは整数)注視するまで表示パネル103は所定の周期で繰り返し表示する。
図29は、このときの表示手順を示すフローチャートである。ステップS1901において、N=0に設定する。ステップS1902において、表示パネル103は、所定時間待機する。ステップS1903において、表示パネル1903は、電子映像の表示を開始する。ステップS1904において、使用者Uが電子映像を注視しているか、が検出される。ステップS1904の判断結果が偽のとき、ステップS1902へ戻る。
また、ステップS1904の判断結果が真のとき、ステップS1905において、N=Neであるか、が判断される。ステップS1905の判断結果が偽のとき、ステップS1906において、N=N+1に設定される。そして、ステップS1902へ戻る。また、ステップS1905の判断結果が真のとき、ステップS1907において処理選別を行なう。処理選別の結果、上述したように、例えば、ステップ1909においてメールを保存することや、ステップS1908において店案内を廃棄することを行なう。
また、使用者Uが電子映像を注視しているか否かを検出することにより、使用者Uが表示パネル103による電子映像を注視していないと判断されたとき、表示パネル103に表示される電子映像は静止状態とする。これに対して、使用者Uが電子映像を注視していると判断されたとき、表示パネル103に表示される電子映像は、表示画面上で上下左右に移動することでスクロールすることが望ましい。例えば、使用者Uが電子映像を注視したとき、表示パネル103は、アイコンを表示画面上で上下左右に移動する。
また、使用者Uが電子映像を注視しているか否かを検出することにより、使用者Uが電子映像を注視していないと判断されたとき、表示パネル103の表示はOFFとなる。これに対して、使用者Uが電子映像を注視していると判断されたとき、表示パネル103はメモリに格納されていた情報を表示する。これにより、MEG150は、効率よく電力を用いることができる。
また、使用者Uが電子映像を注視しているか否かを検出することにより、使用者Uが電子映像を注視していないと判断されたとき、情報表示の開始の通知を、表示パネル103とは異なる手段で行なうことが望ましい。例えば、情報表示の開始の使用者Uへの通知は、音と、振動と、表示パネル103とは異なる部材から導入された光と、電気パルスと、の少なくともいずれか一つにより行われる。これにより、使用者Uの注意を喚起できる。
また、使用者Uが電子映像を注視しているか否かを検出することにより、使用者Uが電子映像を注視していないと判断されたとき、情報表示の開始の通知を、表示パネル103の画像の点滅表示と、画像の色のスイッチングと、ポジティブ画像とネガティブ画像との交互表示との少なくともいずれか一つにより行なっても良い。これにより、使用者Uの注意を喚起できる。
また、本実施例の情報表示装置は、他の情報送信手段との間において、所定の時間間隔で間欠的に情報の送受信を行う。そして、情報の送受信を行なっていないとき、タイマーが所定の時間間隔のための計時動作を行なうことが望ましい。これにより、間欠的な通信により省電力できる。
さらに、MEG150は、表示パネル103の位置を回転調整する回転機構を有していても良い。なお、回転機構の詳細な構成に関しては、以下の実施例4において詳述する。回転機構は、表示パネル103を第1の位置と第2の位置とのいずれかの位置に選択的に位置調整できる。
ここで、第1の位置は、使用者Uが正面を見ているときの視野の略中心に表示パネル103による電子映像が配置される位置である。また、第2の位置は、第1の位置とは異なる他の位置である。そして、表示パネル103が第2の位置にあるとき、情報表示装置100は、他の情報送信手段との間において、所定の時間間隔で間欠的に情報の送受信を行う。これに対して、情報の送受信を行なっていないとき、タイマーが所定の時間間隔のための計時動作を行なうこと、または、表示パネル103の情報表示をOFFとすることが望ましい。これにより、電子映像の位置に応じて省電力できる。
図30は、このときの手順を示すフローチャートである。ステップS2101において、接眼窓保持部102の位置を検出する。接眼窓保持部102が第1の位置にあるとき、ステップS2102において表示パネル103を通常表示モードとする。また、接眼窓保持部102が第2の位置にあるとき、ステップS2103において省電力モードとして間欠的な送受信を行なう。これにより、使用者Uが接眼窓保持部102を回動するだけで、省電力を行うことができる。
また、本実施例において、使用者Uが目を閉じていると判断されたとき、表示パネル103の情報表示をOFFとすることが望ましい。
さらに、使用者Uの周囲の明るさに応じて、表示パネル103の表示画面の大きさを変更することもできる。
図31は、このときの手順を示すフローチャートである。ステップS2201において、例えば照度センサを用いて、MEG150の周囲の明るさを測定する。明るさの測定値をCとする。ステップS2202において、C>C1であるか、が判断される。値C1は予め定められている閾値である。判断結果が真のとき、表示パネル103の表示画面サイズを小さくする。これに対して、ステップS2202の判断結果が偽のとき、ステップS2204において、表示パネル103の表示画面サイズを大きくする。
人間の瞳孔径は暗い周辺環境では大きくなり、明るい周辺環境では小さくなる。このため、上述の手順により、周辺環境の明るさに関わらずケラレのない明るい電子映像を認識できる。
次に、本発明の実施例4に係る情報表示装置300について説明する。本実施例を説明する前に、従来のヘッドマウントディスプレイの構成について説明する。ヘッドマウントディスプレイは、比較的大きな画角をもつ電子映像を映し出すものが一般的である。そして、使用者の眼に対する接眼窓(光学窓)の相対的位置関係を、使用者が操作することで変更できる機構を備えているヘッドマウントディスプレイも提案されている(例えば、特開2004−304296号公報参照)。
従来技術の機構は、使用者の眼と接眼窓の相対的位置関係を変えることで、接眼窓から射出し電子映像を形成する光束が使用者Uの眼の瞳に入射するように調整するための機構である。
そして、ヘッドマウントディスプレイの接眼窓から射出する電子映像を形成する光束が、正しく眼の瞳孔を通過したときに電子映像が肉眼視野に入ってくる。この状態を説明の便宜上、「光軸の一致状態」と呼ぶことにする。ここで、その光束は比較的細く、また人間の頭や顔の形状に個体差があるために、ヘッドマウントディスプレイを装着しただけでは、光軸の一致状態は得られない。そこで、上述のような調整の機構が必要となる。便宜上、このような調整機構を「光軸調整機構」と呼ぶことにする。
しかしながら、従来技術の光軸調整機構を用いて、接眼窓の位置を変更すると、光軸の一致状態が崩れてしまう。このため、使用者Uは、電子映像を認識できなくなる。
本実施例における調整機構は、上述の光軸の一致状態を得る目的で設ける機構ではない。使用者Uの肉眼の視界内の何処に、電子映像を映し出すかの調整に利用するものである。便宜上、この調整機構を、「表示位置調整機構」と呼ぶことにする。この「表示位置調整機構」は、使用者Uが操作をし、接眼窓を眼の回旋中心を貫く軸まわりに回動させることのできる機構である。
次に、本実施例の具体的な構成を説明する。図32は、情報表示装置300を装着した使用者Uを側面から見た構成を示している。図33は、情報表示装置300の斜視構成を示している。
情報表示装置300は、眼鏡部301を使用者Uが装着するタイプのMEGである。眼鏡部301のフレームに調節部307を介してMEGが取り付けられている。次に、MEGの構成について説明する。
支持部306の一方の端部は、回動部305に回動自在に取り付けられている。支持部306の他方の端部には、表示パネル303が形成されている。接眼窓保持部302の一方の端部には、接眼窓304が保持されている。接眼窓304は、射出窓に対応する。そして、接眼窓保持部302の他方の端部には表示パネル303が形成されている。なお、実施例1と同様に、接眼窓304の近傍には反射部材が設けられている。
図35に示すように、回動部305の回動軸CBは、使用者Uの肉眼Eの回旋中心CA近傍を貫くように配置されている。これにより、支持部306を回動するとき、接眼窓3
04はその位置を上下に変えることができるが、同時に接眼窓304の向きは回動軸CB周りに変化する。
まず、予め、何らかの手段で、接眼窓304の光軸と目の光軸との一致状態を作る。即ち、電子映像が明瞭にかつケラレなく観察できるようにしておく。これは、表示位置調整機構とは別に、光軸調整機構を用意しておき、それで行っても良いし、使用者の頭や顔の形状にあわせた、装置の各寸法をあらかじめ最適化した表示装置を制作しても良い。図32、図33の支持部が光軸調整機構に相当する。支持部306は、可撓性を有しフレキシブルジョイントとしての機能を有しており、接眼窓の位置や向きを自由に変更できるので、これを使って接眼窓304の光軸と目の光軸との一致状態を作ることができる。
次に、表示位置調整機構を利用し接眼窓304の位置を調整することで、電子映像の表示位置を所望の上下の位置に調整する。しかし上述の通り、この調整に伴って接眼窓304の向きは回動軸CB周りに変化するので、その変更された接眼窓304を注視すれば、接眼窓304の光軸と目の光軸とが一致する。よって接眼窓304を射出し電子映像を形成する光束は、使用者Uの眼の瞳に入射する。即ち、表示位置調整機構により、電子映像を映し出す位置の調整を行なっても、電子映像が見えなくなることはない。従って、調整が大変容易に行える。
なお、このような表示位置調整機構を利用せず、光軸調整機構であるフレキシブルジョイントのみを利用して、表示位置の調整を行うことも可能である。ただし、この場合、接眼窓304を上下に移動し表示位置を変更する調整に応じて、光軸の一致状態が崩れる。このために、光軸の一致状態の調整も必要になる。ところが、このフレキシブルジョイントを動かして、光軸の一致状態を調整すると、その調整に伴い、表示位置も変動してしまうため、表示位置の調整と光軸の一致状態の調整を何度も繰り返す必要が生じてしまう。
また、本実施例では、電子映像の表示位置が肉眼の視界内の所定の第1の領域にあるときと、第1の領域とは異なる第2の領域にあるときとで、表示モードが自動的に切り替わることが望ましい。このように、光学系の射出窓の位置と向きを変えることで電子映像の表示位置の調整が可能である。
また、支持部306が回動する回動軸CB周りには、不図示のロータリーエンコーダまたはスイッチが設けられている。そして、ロータリーエンコーダまたはスイッチからの信号を検出することにより表示モードが自動的に切り替わる。
図34は、このときの手順を示すフローチャートである。ステップS2001において、電子映像の位置を検知する。そして、電子映像の位置が、第1の領域にあるときは、ステップS2002において、詳細表示モード(または表示モード)とする。また、電子映像の位置が、第2の領域にあるときは、ステップS2003において、要約表示モード(または非表示モード)とする。
また、本実施例において、要約表示モードにおける表示文字サイズの下限値は、詳細表示モードにおける表示文字サイズの下限値よりも大きいことが望ましい。これにより、使用者Uは、要約表示モードでより容易に電子映像を認識できる。
また、表示パネル303が同一情報内容を表示するとき、要約表示モードにおける表示パネル304の画面を構成する文字数に対するアイコンの数の比は、詳細表示モードにおける表示パネル304の画面を構成する文字数に対するアイコンの数の比よりも大きいことが望ましい。これにより、使用者Uは、要約表示モードでより容易に電子映像を認識できる。
また、要約表示モードではスクロール表示を禁止し、詳細表示モードではスクロール表示を許可するように構成しても良い。
表示パネル303に表示されるコンテンツは、それぞれメタデータが付された複数のレコードから構成されている。また、要約表示モード及び詳細表示モードの各表示モードに応じてメタデータが定められている。そして、各表示モードにおいて、定められたメタデータが付されているレコードが選択される。これにより、表示パネル303は、選択されたレコードの内容を表示することが望ましい。この結果、本実施例においても、電子映像の表示位置に応じて、上記実施例1〜3と同様に表示内容を自動的に切替えることができる。
また、要約表示モードは、詳細表示モードに比較して、単一画面内に表示する最大文字数が少ないことが望ましい。さらに、要約表示モードでは、詳細表示モードにおける表示画面の略中央の一部分のみを用いて情報を表示して良い。
このように、使用者Uは、接眼窓304の位置を変更するだけで、簡便に電子映像の表示を変えることができる。
次に、本実施例の情報表示装置300のさらに具体的な構成例を説明する。図36に示すように、回動の回動軸(中心軸)CBは眼球Eの回旋中心CAを貫くように、即ち略一致するように構成されている。光学系の接眼窓304と回動の回動軸CBとの距離は、少なくとも23mm以上離れていることが好ましい。ここで、角膜CNから回旋中心CAまでは、略13mmである。
また、角膜CNから10mm程度まで接眼窓304が近接すると接眼窓304に使用者Uのまつ毛が触れやすく接眼窓304が汚れやすくなってしまう。または、使用者Uの瞬き時に涙が飛散して、涙により接眼窓304を汚しやすくなってしまう。これらの理由で、接眼窓304と角膜CNとは少なくとも10mm以上離すことが望ましい。
また、図37に示すように、光学系の接眼窓304と回動の回動軸CBとの距離は、53mm以下とすることでもできる。一般の眼鏡レンズは、角膜CNから15mmから30mmの間に来るように眼鏡フレームが調整される。ここで、接眼窓304は、回動時にも眼鏡レンズ308と干渉しないよう、10mm程度の間隔を設ける必要がある。以上の理由で、53mmまで距離を確保する必要が生じるケースがある。
また、図38に示すように、光学系の接眼窓304と回動の回動軸CBとの距離は、略40mmが好ましい。接眼窓304は、眼から遠ざかるほど、投影できる電子映像の限界の大きさが小さくなる。また、眼鏡レンズは角膜CNから20mm前後に調整されていることが多い。接眼窓304の回動角度をあまり大きく取る必要が無い場合は、接眼窓304と眼鏡レンズとの干渉を避けるための距離は7mm程度で良い。
以上の理由で40mm確保されていれば、眼鏡を使用している場合でもほとんどのケースで問題なく利用できる。なお、眼鏡レンズ308の代わりに、保護板309を用いる場合も、同様である。保護板309は、接眼窓304と角膜CNとの直接干渉を防御するための透明板である。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。