JP5118427B2 - 車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造 - Google Patents
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Description
図中、符号3は略直線状に延びる先端部、4、4は先端部3の後方で横幅方向や上下方向に形状変化する形状変化部である。
上記のような車枠を有する車両が、前進時に対向車両等に衝突した場合、車枠においては、サイドメンバ1の先端部3の圧潰及び形状変化部4の折れ曲がり変形により、衝撃エネルギを吸収することとなる。
このようなサイドメンバ1において、先端部でのエネルギ吸収性能を向上するために、例えば特開平3−94137号公報では、サイドメンバに形成される座屈波形の凹凸形状に対応して、ウエブ面上で縦方向に延びて中途位置に配置される凹型および凸型の壁面ビードが形成され、また衝突端側の凹部のみに角ビードを配置する構成が開示されており、車両前方から衝突した場合に相応の効果があることが知られている。
しかし、上記ビード形状を配置したサイドメンバや長方形断面のサイドメンバでは、車両斜め前方から衝突した場合には、サイドメンバ長手方向に圧縮変形が発生してしまい、これらのビード形状では効果的に衝撃エネルギを吸収できないなどの問題点がある。
一方、サイドメンバ先端部3には、衝撃エネルギを吸収するとともに、衝突初期における乗員及び相手車両への衝撃力を低減させるために、衝突初期ピーク荷重の低減が求められる。
次に、特開平08−216917号公報には、偶数の面で構成され、内部が空洞となった多角形断面をもち、多角形断面を周回する幅方向に、座屈開始部が設けられており、該座屈開始部は、相対向する側面に形成された凸部と他の側面に形成された凹部で構成され、凸部又は凹部は、何れか一方を省略できるようになっており、相対向する側面間で半周期ずれた張出し変形及び引き込み変形が繰返されるため、構造部材の長手方向に沿って規則的な座屈変形が連続化し、衝撃エネルギーを吸収して前記衝突初期ピーク荷重の低減と衝撃吸収エネルギを増加させる構造が提案されている。
しかし、この場合、車両斜め前方より衝突した場合、初期ピーク荷重だけでなく衝撃エネルギ吸収も低下してしまうなどの問題点がある。
四角形断面の車枠用サイドメンバの先端部に潰れビードを形成した車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造において、
サイドメンバが、断面正方形又は長方形の角パイプ形状、断面チャンネル状の開口幅の狭い構成部材に断面チャンネル状の開口幅の広い構成部材を外嵌して繋ぎ目を溶着した角パイプ形状、または開口幅のほぼ等しい一対の断面チャンネル状の構成部材を互い違いに嵌合して繋ぎ目を溶着した角パイプ形状からなっており、
該サイドメンバの先端部のウェブ面の両側に、該ウェブ面の高さと等しい長さで上下に直線状に延びて上下両端が開放された溝形状の第1凹状ビードと、該第1凹状ビードの後方で隙間を隔ててサイドメンバの長手方向に直線状に延びてサイドメンバの内側に断面略コ字状に窪む第2凹状ビードとを設けてなることを特徴とする。
また、請求項2の発明では、
前記第2凹状ビードがウェブ面の中央でサイドメンバの長手方向に沿って直線状に延びて溝底壁と溝周壁で囲まれ溝開口のみが開放された溝形状からなっていることを特徴とする。
更に、請求項3の発明では、
前記第1凹状ビードが、断面円弧形状または断面角形状の溝形状からなっていることを特徴とする。
また、請求項4の発明では、
前記車枠用サイドメンバの先端部が、車枠用サイドメンバと一体に形成された先端部または車枠用サイドメンバとは別体に形成されて該車枠用サイドメンバの先端に連結された衝突エネルギー吸収部材からなっていることを特徴とする。
また、車両斜め方向から先端部への衝突に対しては、第1凹状ビードが初期変形位置の起点となり、先端部全体の曲げ変形を抑制することによって、第2凹状ビードが効率的に衝撃エネルギを吸収するため、著しい性能低下を抑制できる。
以下に、この発明の車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
サイドメンバ1は、図2(a)に示すように、断面正方形、または長方形の角パイプ形状のもの、同(b)に示すように開口幅の異なる断面チャンネル状の構成部材7,8を用い、開口幅の狭い構成部材に開口幅の広い構成部材を外嵌して繋ぎ目を溶接して角パイプ状に接合したもの、同(c)に示すように開口幅のほぼ等しい断面チャンネル状の構成部材7,7を用い、一方の構成部材と他方の構成部材を互い違いに嵌合して繋ぎ目を溶接して角パイプ状に接合したものなどであってもよい。
第1凹状ビード5は、ウエブ面3aの高さ方向の全域に亘って上下一連に且つ本実施例では直線状に延びてサイドメンバ3の内側に湾曲して窪むように形成されている。
従って、第1凹状ビード5の両端は、先端部3の上壁面3aおよび底壁面3cで開放された溝形状からなっている。
第2凹状ビード6は、先端部3で第1凹状ビード5の後方に離間した位置で左右対象となるように先端部3の左右のウエブ面3bに形成される。
この第2凹状ビード6は、ウェブ面3bの高さ方向の中央でサイドメンバ1の長手方向に所定の長さで一連に且つ本実施例では直線状に延びてサイドメンバ1の内側に断面略コ字状に窪むように形成されている。
従って、第2凹状ビード6は、溝底壁6aと溝周壁6bで囲まれ外面の溝開口6cのみが開放された盲穴状の溝からなっている。
そして、上記変形は第2凹状ビード6まで達しないので、第2凹状ビード6により効率的に衝撃エネルギを吸収することができる。
そして、上記変形は第2凹状ビード6まで達しないので、同様に第2凹状ビード6により効率的に衝撃エネルギを吸収することができる。
上記実施例を具体例を用いて説明するため、図4を基に実施品1の寸法を説明する。
実施品1は、サイドメンバ1の先端部3の高さHが125mm、横幅Wが75mm、長さLが250mmからなっている。
また、各コーナー部C1は半径10mmの円弧で面取りされている。
この第1凹状ビード5は、内側に10mmの半径aで略半円形状に窪む凹溝からなっており、先端部3の上壁面3aおよび底壁面3cで開放されている。
図示例では、上記凹溝は角部が湾曲状に面取りされている。
対照品として、サイドメンバ1の先端部3の高さHが125mm、横幅Wが75mm、長さLが250mmからなって、各コーナー部C1が半径10mmの円弧で面取りされた対象品を製作した。
なお、対照品にはいずれのビードも形成していない(図10参照)。
ここで、前記荷重線図は、実施品1をE1として実線で示し、対照品をTとし点線で示す。エネルギー吸収線図は、実施品1をE1’とし実線で示し、対照品をT’として点線で示す。
また、エネルギー吸収線図の比較から、実施品1は対照品に比べてエネルギー吸収量が大幅に増加したことが確認できた。
ここで、荷重線図は、正面衝突時をE1aとして実線で示し、斜め方向衝突時をE1bとし点線で示す。エネルギー吸収線は、正面衝突時をE1a’とし実線で示し、斜め方向衝突時をE1b’として点線で示す。
次に、実施品1と同じ形状、寸法のサイドメンバ1の先端部3にビードサイズを変更した実施品2を作成した。
実施品2の第1凹状ビード5は、先端縁からの離間長L1を25mmとした位置に30mmの溝幅bでウエブ面3bの125mmの全高Hに亘って直線状に延びている。
この第1凹状ビード5は、内側に15mmの半径aで略半円形状に窪む凹溝からなっており、先端部3の上壁面3aおよび底壁面3cで開放されている。
ここで、荷重線図は、実施品1をE1として実線で示し、実施品2をE2とし点線で示す。エネルギー吸収線図は、実施品1をE1’とし実線で示し、実施品2をE2’として点線で示す。
また、前記実施品1では先端部3の長さLを250mmとしたが、同様の構造で先端部の長さLを200mmとした実施品3、先端部の長さLを300mmとした実施品4を製作し、図8にこれらを対比した正面衝突時における衝撃荷重線図、エネルギー吸収線図の比較図を示す。
実施品1に対して第1凹状ビード5の形状を断面略半円形状から断面略梯形状に変更しその他は実施品1と同様に製作した実施品5を製作した(図9(a)参照)。その他の構成は前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
上記実施品1と実施品5との衝撃荷重線図、エネルギー吸収線図の比較図を図9(b)に示す。
これらの比較から、両者間の性能に大きな差異は無く、ほぼ同様であることが確認された。
また、先端部は、サイドメンバに一体に形成された先端部に限らず、サイドメンバとは別体に形成されてサイドメンバの先端に形成された衝突エネルギ吸収部材であってもよい。
また、この発明で、車枠用サイドメンバの先端部は、衝突方向に対するものであり、前記実施例では車両の前方としたが、車両の後方であってもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
2 クロスメンバ
3 先端部
3a 上壁面
3b ウエブ面
3c 底壁面
4 形状変化部
5 第1凹状ビード
6 第2凹状ビード
6a 溝底壁
6b 溝周壁
6c 溝開口
7、8 サイドメンバ構成部材
Claims (4)
- 四角形断面の車枠用サイドメンバの先端部に潰れビードを形成した車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造において、
サイドメンバが、断面正方形又は長方形の角パイプ形状、断面チャンネル状の開口幅の狭い構成部材に断面チャンネル状の開口幅の広い構成部材を外嵌して繋ぎ目を溶着した角パイプ形状、または開口幅のほぼ等しい一対の断面チャンネル状の構成部材を互い違いに嵌合して繋ぎ目を溶着した角パイプ形状からなっており、
該サイドメンバの先端部のウェブ面の両側に、該ウェブ面の高さと等しい長さで上下に直線状に延びて上下両端が開放された溝形状の第1凹状ビードと、該第1凹状ビードの後方で隙間を隔ててサイドメンバの長手方向に直線状に延びてサイドメンバの内側に断面略コ字状に窪む第2凹状ビードとを設けてなることを特徴とする車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造。 - 第2凹状ビードがウェブ面の中央でサイドメンバの長手方向に沿って直線状に延びて溝底壁と溝周壁で囲まれ溝開口のみが開放された溝形状からなっていることを特徴とする請求項1に記載の車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造。
- 第1凹状ビードが、断面円弧形状または断面角形状の溝形状からなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造。
- 車枠用サイドメンバの先端部が、車枠用サイドメンバと一体に形成された先端部または車枠用サイドメンバとは別体に形成されて該車枠用サイドメンバの先端に連結された衝突エネルギー吸収部材からなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車枠用サイドメンバの衝撃吸収構造。
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