JP5114980B2 - 積層体及び積層体を用いた紙製容器 - Google Patents
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Description
そこで、アルミニウム箔を使用せずにガスバリア性を付与した積層体として、ポリオレフィン系樹脂層と、紙基材層と、樹脂及び無機層状化合物を含む樹脂組成物によるコーティング膜からなるバリア性層と、ポリオレフィン系樹脂層とが順次に積層されたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
従って、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ガスバリア性に優れる積層体を低コストで提供することを目的とする。
ここで、ガスバリア性樹脂と無機層状化合物との質量比率は、30:70〜70:30であることが好ましく、また、アルキッド樹脂とウレタン樹脂との質量比率は、4:1〜1:1であることが好ましい。
図1は、本実施の形態に係る積層体の模式断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る積層体は、ポリオレフィン系樹脂層1aと、紙基材層2と、ポリオレフィン系樹脂層1bと、ガスバリア性樹脂及び無機層状化合物を含むガスバリア層3と、アルキッド樹脂及びウレタン樹脂を含むオーバーコート層4とがこの順に積層されてなるものである。本実施の形態に係る積層体は、ガスバリア層3上に特定の樹脂を含むオーバーコート層4を積層させたことに特徴がある。このオーバーコート層4は、積層体の紙製容器への加工に際し、罫線入れや折込みによってガスバリア層3が剥離するのを防止するとともに、ガスバリア性そのものも高めるという役割を果たしている。
なお、積層体を用いた紙製容器の審美性を向上させるため、ポリオレフィン系樹脂層1bとガスバリア層3との間に絵柄層を設けてもよい。
なお、最内層となるポリオレフィン系樹脂層1aには、内容物に対する衛生性の観点から、添加剤を添加しないことが望ましいが、ポリオレフィン系樹脂層1bには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、染料、顔料等を適宜添加してもよい。
また、紙基材上にオレフィン系樹脂層1a,1bを積層させる前に、紙基材の表面にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理を施すことで層間の接着強度を向上させることができる。コロナ放電処理は、公知のコロナ放電処理器を用い、発生させたコロナ雰囲気中に紙基材を通過させることにより行うことができる。このときのコロナ放電出力は、好ましくは3kW〜4.5kWである。
このようなオーバーコート組成物は、例えば、株式会社昭和インク工業所から商品名SL−A OPニスとして市販されている。
まず、紙基材の両面にポリオレフィン系樹脂を押出コーティングしてポリオレフィン系樹脂層1a,1bを形成する。押出コーティングの加工条件としては、例えば、オレフィン系樹脂としてポリエチレンを使用した場合、押出温度を300℃〜350℃に設定し、ラインスピード(繰り出し速度)を80〜250m/minの範囲に設定すればよい。
なお、ガスバリア層3に含まれる無機層状化合物が、紙製容器に充填される内容物と接触するのを避けるため、紙製容器に加工する際にヒートシールされるヒートシール部には、ガスバリア層3及びオーバーコート層4を設けないことが好ましい。
<実施例1>
坪量が313g/m2の紙基材の両面に4.5kWの出力でコロナ放電処理を施した。次いで、押出コーティングにより、紙基材の一方の面にポリオレフィン系樹脂層1aとして高圧法低密度ポリエチレンを37μm積層させ、また、他方の面にポリオレフィン系樹脂層1bとして高圧法低密度ポリエチレンを17μm積層させた。この時の押出コーティング加工条件としては、押出温度330℃、ラインスピード150m/minに設定して行なった。続いて、ポリオレフィン系樹脂層1b上に、モンモリロナイト及びエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含むガスバリア組成物(エコステージ(登録商標)GB、サカタインクス株式会社製)をグラビア印刷で印刷し、乾燥させてガスバリア層3を形成した。この時のガスバリア組成物の塗布量は、ガスバリア層3の厚さが乾燥皮膜として0.3g/m2となる量とした。更に、ガスバリア層3上に、アルキッド樹脂及びウレタン樹脂を含むオーバーコート組成物(SL−A OPニス、アルキッド樹脂:ウレタン樹脂=2:1、固形分30質量%、株式会社昭和インク工業所製)をグラビア印刷で印刷し、乾燥させてオーバーコート層4を形成し、実施例1の積層体を得た。この時のオーバーコート組成物の塗布量は、オーバーコート層4の厚さが乾燥皮膜として0.3g/m2となる量とした。
ガスバリア層の厚さを乾燥皮膜として実施例2では0.5g/m2、実施例3では1.0g/m2、実施例4では2.0g/m2に変える以外は、実施例1と同様にしてゲーブルトップ型紙製容器を作製した。なお、加工中、ガスバリア層3及びオーバーコート層4の剥離は一切見られなかった。
オーバーコート層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にしてゲーブルトップ型紙製容器を作製した。なお、胴貼りされたブランクシートの罫線部分にガスバリア層3の剥離が一部に見られた。
実施例1〜5及び比較例1の胴貼りされたブランクシートについて、下記方法に従ってガスバリア性を評価した。
温度23℃、湿度90%RHの条件で、MOCON社製OX−TRAN 100を用いて、胴貼りされたブランクシートの罫線部分における酸素透過度を測定した。測定は、紙製容器の最外層となるオーバーコート層4(比較例1ではガスバリア層3)側を酸素飽和の状態とし、紙製容器の最内層となるポリオレフィン系樹脂層1a側を窒素飽和の状態として行った。測定は5回行い、その算術平均を酸素透過度とした。
Claims (5)
- ポリオレフィン系樹脂層と、紙基材層と、ポリオレフィン系樹脂層と、ガスバリア性樹脂及び無機層状化合物を含むガスバリア組成物の塗布により形成されたガスバリア層と、アルキッド樹脂及びウレタン樹脂を含み且つ厚さが乾燥皮膜として0.1g/m2〜2.0g/m2であるオーバーコート層とがこの順に積層された積層体。
- 前記ガスバリア性樹脂と前記無機層状化合物との質量比率が、30:70〜70:30であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記アルキッド樹脂と前記ウレタン樹脂との質量比率が、4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記ガスバリア層の厚さが、乾燥皮膜として0.2g/m2〜3.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体を前記オーバーコート層が外面となるように加工してなることを特徴とする紙製容器。
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