JP4139628B2 - レトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体 - Google Patents

レトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体に関し、更に詳しくは、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められず、更に、使用後の紙容器についてその廃棄処理適性を有し、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品あるいはペットフ−ド等の動物用餌を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチックフィルム、金属箔、セロハン、その他等の1種ないし2種以上を積層して積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、これを製袋して袋状容器本体を製造し、しかる後、該袋状容器本体に所望の飲食品等を充填包装して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施して、種々の形態からなるレトルト処理包装製品が製造されている。
而して、上記のレトルト処理包装製品において、袋状容器本体を構成する積層材としては、具体的には、例えば、透明仕様のレトルト処理包装製品を製造する積層材としては、例えば、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムと厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの3層からなる積層材等が知られ、また、バリア性仕様のレトルト処理包装製品を製造する積層材としては、例えば、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムと厚さ7〜9μmのアルミニウム箔と厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの4層からなる積層材等が知られ、更に、バリア性を有し、かつ、透明仕様のレトルト処理包装製品を製造する積層材としては、例えば、厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ10〜20μmのポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの3層からなる積層材等が知られ、而して、これらの積層材は、いずれも、いわゆる、軟包装用材料と称されるものである。
上記の構成からなる積層材は、物理的にも化学的にも優れた強度を有し、更に、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れ、現在、大半のレトルト食品が、上記の仕様からなる積層材を製袋して製造される軟包装袋状容器本体を使用して製造されているものである。
【0003】
ところで、近年、レトルト処理包装製品において、袋状容器本体を構成する積層材として、例えば、少なくとも1種の基層(1)、外側コ−ティング(2)および内側コ−ティング(3)を含む、シ−トまたはウェブの形のラミネ−ト・タイプの材料からなり、更に、上記の基層(1)が紙または厚紙等の液体を吸収する材料からなり、外側コ−ティング(2)がポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、金属化延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、金属化高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリエステル、金属化ポリエステルおよび非晶性ポリエステルを包含する群より選ばれるポリマ−からなり、そして内側コ−ティング(3)がポリプロピレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリエステルおよび非晶性ポリエステルを包含する群より選ばれるポリマ−からなる積層材が提案されている(特表平11−508502号公報参照。)。
更に、上記で提案されている積層材においては、基層(1)と内側コ−ティング(3)との間に、アルミニウム、酸化アルミニウム・コ−ティング、シリカ・コ−ティング、エチレン/ビニルアルコ−ル、ポリビニルアルコ−ル、金属化延伸ポリエステルおよび金属化延伸ポリプロピレンを包含する群より選ばれるバリア−層(4)を追加して包含する積層材を提案されている。
上記の構成からなる積層材は、紙を主体とする包装用材料からなるものであり、それを使用して製函してなる紙容器を使用し、これに所望の飲食品等を充填包装して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品に、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施して、種々の形態からなるレトルト処理包装製品を製造するということは画期的なことであり、今後、その発展が大いに期待されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記で提案されている紙を主体とする積層材を使用し、それから紙容器を製函し、次いで、その紙容器に所望の飲食品等を充填包装して包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品に加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施して、種々の形態からなるレトルト処理包装製品を製造する場合、まず、製函時に、加熱処理等によりピンホ−ルが発生するという問題点があり、この場合には、紙容器を製函したとしても、それはもはや包装用容器としては使用することが極めて困難であるという問題点がある。
また、上記で提案されているレトルト処理包装体においては、レトルト処理時に、紙基材等に水等が浸透し、紙基材が黄変して変色したり、更には、水等が浸透することにより、紙基材を主体とする積層材において、層間剥離等の現象も発生し、レトルト処理包装製品を製造したとしても、十分に満足し得る包装製品を製造することができないという問題点もある。
更に、上記で提案されているレトルト処理包装体においては、紙容器が、レトルト処理等の加工に伴う加圧加熱処理等に耐えられずに、紙容器自体が変形し、その商品価値を著しく損ない、商品として市場性に欠けるという問題点もある。
そこで本発明は、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められず、更に、使用後の紙容器についてその廃棄処理適性を有し、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品あるいはペットフ−ド等の動物用餌を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、まず、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材に着目し、少なくとも、最外層、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、バリア性層、および、最内層を順次に積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製函してレトルト処理用紙容器を製造し、次いで、その開口部から内容物を充填し、更に、その開口部を密閉して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施してレトルト処理包装体を製造したところ、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められず、更に、使用後の紙容器についてその廃棄処理適性を有し、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品あるいはペットフ−ド等の動物用餌を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体を製造し得ることができることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも、最外層、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、バリア性層、および、最内層を順次に積層して積層材を構成し、更に、該積層材を使用し、これを製函してなることを特徴とするレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明にかかるレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体について図面等を用いて以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材の層構成についてその一二を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材についてその一二例の層構成を示す概略的断面図であり、図3、図4、および、図5、は、上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかるレトルト処理用紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程におけるレトルト処理用紙容器の構成を示す概略的斜視図であり、図6は、図5に示すレトルト処理用紙容器を使用し、これに内容物を充填包装し、次いで、レトルト処理を施して製造した本発明にかかるレトルト処理包装体についてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材Aとしては、図1に示すように、少なくとも、最外層1、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜2を設けた紙基材3、バリア性層4、および、最内層5を順次に積層した構成を基本構造とするものである。
また、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材について、別の具体例を例示すると、図2に示すように、上記の図1に示す積層材Aにおいて、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜2を設けた紙基材3として、紙基材3の両面に、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜2、2aを設け、これを使用し、上記の図1に示す場合と同様に、最外層1、バリア性層4、および、最内層5等と順次に積層した構成からなる積層材A1 を例示することができる。
【0009】
上記の例示は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材についてその一二例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
例えば、本発明において、図示しないが、上記の図1に示す積層材において、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜としては、上記の図1に示すように、最外層の面に対向させて重ね合わせて積層する代りに、バリア性層と対向させて重ね合わせて積層して積層材を製造するたことができるものである。
また、本発明においては、図示しないが、最外層を構成する基材の表面または裏面に、例えば、文字、記号、図形、絵柄、その他等からなる所望の印刷模様層を設けることができるものである。
更に、本発明においては、図示しないが、上記のような積層材の構成において、紙基材とバリア性層との層間および/またはバリア性層と最内層との層間には、耐ピンホ−ル性樹脂フィルムを介在させて積層した構成からなる積層材を製造することもできるものである。
また、本発明においては、図示しないが、紙基材、バリア性層、および、最内層とは、その各層間をドライラミネ−ト用接着剤層を介して積層する構成からなることが好ましいものである。
更にまた、本発明においては、図示しないが、液体紙容器の包装目的、充填包装する内容物、その使用目的、用途等によって、更に、他の基材を任意に積層して、種々の形態からなる積層材を設計して製造することができるものである。
【0010】
次に、本発明において、上記で製造した積層材を使用し、これを製函して製造する本発明にかかるレトルト処理用紙容器の構成およびそれを使用したレトルト処理包装体についてその一例を例示して説明すると、上記の図1に示す積層材Aを使用した場合の例で説明すると、図3に示すように、まず、上記の図1に示す積層材Aを使用し、該積層材Aに、例えば、ブリック型のレトルト処理用紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫11を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部12等を有するブランク板Bを製造する。
次に、本発明においては、図4に示すように、常法により、上記で製造したブランク板Bの端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、例えば、スカイブ・ヘミング処理等を施して端面処理を行った後、糊代部12(図3参照)の面に、上記のブランク板Bの他方の端部13(図3参照)の面を対向させて重ね合わせ、更に、その層間にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等を行い、上記のブランク板Bの糊代部12の最外層1あるいは最内層5(図1参照)を構成するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層等あるいは上記のブランク板Bの他方の端部13の最内層(図3参照)を構成するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層等を溶融し、その両者をフレ−ムシ−ル、あるいは、ホットエア−シ−ル等によりヒ−トシ−ルして胴貼りシ−ル部14を形成して、筒状のスリ−ブCを製造する。
【0011】
次に、本発明においては、図5に示すように、上記で製造した筒状のスリ−ブCを、内容物を充填するメ−カ−等に納入し、該筒状のスリ−ブCを内容物充填機(図示せず)に供給し、次いで、内容物の充填に先立って、まず、筒状のスリ−ブCのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面の最内層を構成するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層等を溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部15を形成して、上方に開口部16を有する本発明にかかるレトルト処理用紙容器Dを製造する。
しかる後、本発明においては、図6に示すように、上記で製造した本発明にかかるレトルト処理用紙容器Dを使用し、その開口部16から内容物17を充填し、更に、その開口部のトップの内面をホットエア−で炙り、その最内層の内面を構成するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層等を溶融させて、プレスシ−ルを行ってトップシ−ル部18を形成して、内容物17を充填包装した包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品に、例えば、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施して、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を使用したレトルト処理包装体Eを製造することができるものである。
上記の例示は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器およびそれを使用して製造したレトルト処理包装体についてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
例えば、本発明においては、図示しないが、本発明にかかるレトルト処理用紙容器の形状としては、上記のブロック型のものの他、例えば、筒状型のもの、ゲ−ベルトップ型のもの、その他等の任意の形状を取り得るものである。
なお、本発明においては、上記の図2に示す積層材を使用し、上記と同様にして、同様に本発明にかかるレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体を製造し得るものである。
【0012】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体等を構成する材料、製造法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する最外層あるいは最内層としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
【0013】
而して、本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、アンカ−コ−ト剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、その樹脂のフィルムないしシ−トを、ラミネ−ト用接着剤層等を介してドライラミネ−ト積層することにより、あるいは、溶融押出樹脂層等を介して溶融押出積層することにより、最外層あるいは最内層等を形成することができるものである。
なお、本発明においては、上記の例示の樹脂の中でも、後述する加熱加圧処理等のレトルト処理あるいは電子レンジによる加熱処理等に耐え得るために、特に、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂を使用することが望ましいものである。
上記において、樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸のものあるいは延伸されいるもの等のいずれのものでも使用することができる。
なお、本発明において、最外層あるいは最内層の厚さとしては、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が望ましいものである。
【0014】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する紙基材としては、これが紙容器を構成する基本素材となることから、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他等の各種の紙基材を使用することができる。
なお、本発明において、紙基材としては、密度が、一般的な紙の成形に用いられる紙としては、その剛度から約0.60〜1.00位のものが望ましく、更には、0.70〜0.90位が、罫線を入れたときの折れ性という点からより望ましいものである。
また、本発明において、紙基材として、エッジウイックが、一般にレトルト処理による紙への影響は、端面が樹脂膜等でコ−トされていないため、水等の影響を最も受けやすく、このため、程度としては、0.50g以下が浸透性という点で望ましく、更には、0.20〜0.30g程度であればほぼ問題がないものであり、具体的には、0.20〜0.30g位のものが好ましいものである。
更に、本発明において、本発明による紙容器は、基本構成として、基材紙の両面にプラスチックフィルム等が設けられており、その耐水性のプラスチックフィルム膜により、紙の耐水性がたもたれるが、サイズ度としては、特に、400〜600程度であれば問題がないものであり、具体的には、サイズ度が、400〜600位のものを使用することが好ましいものである。
また、本発明において、上記の紙基材としては、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等の観点から、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することができる。
なお、本発明において、上記の紙基材には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができるものである。
【0015】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する紙基材の表面に設けるシリコ−ン系撥水コ−ティング膜について説明すると、かかるシリコ−ン系撥水コ−ティング膜としては、例えば、有機ケイ素化合物の1種ないし2種以上を使用し、これを加水分解させてシラノ−ルを経てシロキサンを形成し、更に、酸、アルカリ、有機金属塩、アミン類等の触媒を使用して重縮合させて、シロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマ−を形成し、而して、その有機ケイ素ポリマ−を有機溶剤等に溶解させて、シリコ−ンワニスを生成し、次いで、該シリコ−ンワニスを使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、ディップコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いてコ−ティングして、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を形成することができる。
上記において、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材からなる撥水紙において、そのシリコ−ン系撥水コ−ティング膜のコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
而して、本発明において、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材においては、紙基材中にシリコ−ン系化合物等が含浸ないし浸透して紙基材中にその被膜を形成すると共にその表面にも斑状ないし膜状等に被膜等が形成されるものである。
また、上記において、有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、その他等を使用することができる。なお、本発明においては、上記のようにして形成したその表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材をそのまま紙基材として使用することは勿論であるが、更には、その2ないしそれ以上を、後述するドライラミネ−ト積層法あるいは溶融押出積層法等を用いて任意に積層した積層体を紙基材として使用することもできるものである。
【0016】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成するバリア性層について説明すると、まず、バリア性層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着樹脂フィルム、酸化アルミニウムまたは酸化珪素蒸着樹脂フィルム、その他等を使用することができる。
上記において、アルミニウム箔の膜厚としては、約5〜20μm位のもの、また、アルミニウムの蒸着膜の膜厚としては、膜厚200〜5000Åのもの、更に、酸化アルミニウムまたは酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚100〜1000Åのものを使用することができる。
また、上記において、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0017】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する耐ピンホ−ル性樹脂フィルムとしては、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する補助素材となるものであり、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を製函する際に、フレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等の加熱処理等により、紙基材等に含有する水分等によるピンホ−ルの発生を防止するものである。
而して、上記の耐ピンホ−ル性樹脂フィルムとしては、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、その強度に優れ、更に、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性、その他等の物性に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、剛性、その他等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
而して、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ15μm〜30μm位の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを使用することが好ましいものである。
【0018】
なお、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材を形成する材料として、その他、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、MXDポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフタレ−ト系樹脂等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0019】
なお、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
【0020】
次に、本発明においては、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する印刷模様層としては、例えば、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。
【0021】
上記インキ組成物について、インキ組成物を構成するビヒクルとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロースなどの繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼインなどの天然樹脂、アマニ油、大豆油などの油脂類、その他の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、染料・顔料などの着色剤の1種ないし2種以上を加え、さらに必要ならば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤などで充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物を使用することができる。
【0022】
なお、本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ト剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、ラミネ−ト用接着剤等を任意に使用することができる。
【0023】
本発明において、本発明にかかる積層材を製造する方法について、具体的に述べると、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接着剤層を介して積層するドライラミネーション法、あるいは、溶融押し出し接着性樹脂による溶融押し出し樹脂層を介して積層する押し出しラミネーション法などで行うことができる。
なお、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材としては、最外層と紙基材とバリア性層との各層間は、溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層を介して積層し、また、バリア性層、および、最内層とは、その各層間をドライラミネ−ト用接着剤層を介して積層して積層材を構成することが好ましいものである。
上記において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用することができる。
上記ラミネート用接着剤のコーティング法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
そのコーティング量としては、好ましくは0.1〜10g/m2(乾燥状態)位、より好ましくは1〜5g/m2(乾燥状態)位である。
なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加することができる。
【0024】
また、上記において、溶融押出接着性樹脂としては、前述のヒートシール性樹脂層を形成するヒートシール性樹脂を同様に使用することができ、低密度ポリエチレン、特に、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレンを使用することが好ましい。
上記の溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層の膜厚は、好ましくは5〜100μm位、さらに好ましくは、10〜50μm位である。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤などの接着改良剤などをコートすることもできる。
上記アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水性または油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。
本発明においては、上記アンカーコート剤を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、アンカーコート剤層を形成することができる。
上記アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)位が好ましい。
【0025】
次にまた、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器としては、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプ等の紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
次に、本発明において、上記で製造した本発明にかかるレトルト処理用紙容器の開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部に開口部をヒ−トシ−ル等により密閉することによって、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を使用した包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、レトルト処理あるいはボイル処理等の加熱処理を施すことによって、本発明にかかるレトルト処理用紙容器を使用したレトルト処理包装体を製造することができるものである。
上記において、レトルト処理あるいはボイル処理する方法としては、例えば、通常のレトルト釜を使用し、温度、110〜130℃位、好ましくは、120℃前後位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G、好ましくは、2.1Kgf/cm2 ・G前後位、時間、20〜60分間位、好ましくは、30分間前後で加熱加圧処理する方法、あるいは、温度、90〜100℃、好ましくは、90℃前後位、時間、5〜20分間位、好ましくは、10分間前後位でボイル処理する方法等により行うことができる。
而して、本発明においては、上記のようなレトルト処理あるいはボイル処理により、内容物を加熱殺菌、あるいは、加熱殺菌調理等を行うことができるものである。
【0026】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器に充填包装する内容物としては、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品、具体的には、例えば、カレ−、シチュ−、ス−プ、ミ−トソ−ス、ハンバ−グ、ミ−トボ−ル、しゅうまい、おでん、お粥等の流動食品、ゼリ−状食品、調味料、水、その他等の各種の飲食品等を挙げることができる。
また、本発明において、内容物としては、例えば、ペットフ−ド等の動物用の餌等を充填包装することができる。
而して、本発明において、本発明にかかるレトルト処理用紙容器は、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められず、更に、使用後の紙容器についてその廃棄処理適性を有し、例えば、上記のような調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品あるいはペットフ−ド等の動物用餌を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているというものである。
【0027】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
(1).まず、紙基材〔密度0.78、エッジウイック0.30、サイズ度420、坪量380g/m2〕をアルコキシシランコ−ト液からなるゾル−ゲル液に含浸させた後、加水分解、重縮合等により、紙基材を構成する繊維表面にシロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマ−によるコ−ティング膜を形成して、撥水紙を製造した。
次いで、上記で形成した撥水紙を使用し、その両面に、ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を形成して、3層構成のラミネ−ト原紙を製造した。
他方、膜厚7μmのアルミニウム箔の両面に、ウレタン系ラミネ−ト用接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616/A50)を使用し、これをグラビアコ−ト法によりコ−ティングして、塗布量(乾燥状態)4.0g/m2からなるラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、その両面のラミネ−ト用接着剤層の面に、膜厚50μmのポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製、商品名、ト−セロCP・PXC11)を対向させて重ね合わせ、その3者をドライラミネ−ト積層して、バリア性フィルムを製造した。
次に、上記で形成した3層構成のラミネ−ト原紙とバリア性フィルムとを使用し、その3層構成のラミネ−ト原紙のポリプロピレン樹脂層の面と、バリア性フィルムのポリプロピレンフィルムの面とを対向させて、その層間に、上記と同様のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を介して押出コ−ト法によりサンドラミネ−トして、下記の層構成からなる積層材を製造した。
膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム/膜厚7μmのアルミニウム箔/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム
(2).次いで、上記で製造した積層材を使用し、ブリック型の紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部を有するブランク板を製造し、次いで、上記で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、スカイブ・ヘミング処理を施して端面処理を行った後、糊代部にホットエア−処理を行い、該糊代部のポリプロピレンフィルムを溶融し、その溶融面に、上記のブランク板の他方の端部を重ね合わせてその両者を貼り合わせて胴貼りシ−ル部を形成して筒状のスリ−ブを製造した。
次に、上記で製造した筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部を形成して本発明にかかるレトルト処理用紙容器を製造し、しかる後、そのレトルト処理用紙容器の開口部からカレ−を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行ってトップシ−ル部を形成して、内容物を充填包装した包装半製品を製造した。
次に、上記で製造した包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト処理包装体を製造した。
上記で製造したレトルト処理包装体は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器が、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められなかった。
また、上記で製造した本発明にかかるレトルト処理包装体を室温で1っヶ月保存後、開封したところ、充填包装した中身のカレ−は、腐敗等も認められず、かつ、その風味等も損なわれず、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものであった。
【0028】
実施例2
(1).まず、紙基材〔密度0.78、エッジウイック0.30、サイズ度420、坪量380g/m2〕をアルコキシシランコ−ト液からな るゾル−ゲル液に含浸させた後、加水分解、重縮合等により、紙基材を構成する繊維表面にシロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマ−によるコ−ティング膜を形成して、撥水紙を製造した。
次いで、上記で形成した撥水紙を使用し、その片面に、ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を形成しつつ、その片面にポリプロピレン樹脂層を形成した紙基材の3層を溶融押出したポリプロピレン樹脂層を介して溶融押出積層して、7層構成のラミネ−ト原紙を製造した。
他方、膜厚7μmのアルミニウム箔の両面に、ウレタン系ラミネ−ト用接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616/A50)を使用し、これをグラビアコ−ト法によりコ−ティングして、塗布量(乾燥状態)4.0g/m2からなるラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、その両面のラミネ−ト用接着剤層の面に、膜厚50μmのポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製、商品名、ト−セロCP・PXC11)を対向させて重ね合わせ、その3者をドライラミネ−ト積層して、バリア性フィルムを製造した。
次に、上記で形成した7層構成のラミネ−ト原紙とバリア性フィルムとを使用し、その7層構成のラミネ−ト原紙のポリプロピレン樹脂層の面と、バリア性フィルムのポリプロピレンフィルムの面とを対向させて、その層間に、上記と同様のポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を介して押出コ−ト法によりサンドラミネ−トして、下記の層構成からなる積層材を製造した。
膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム/膜厚7μmのアルミニウム箔/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム
(2).次いで、上記で製造した積層材を使用し、ブリック型の紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部を有するブランク板を製造し、次いで、上記で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、スカイブ・ヘミング処理を施して端面処理を行った後、糊代部にホットエア−処理を行い、該糊代部のポリプロピレンフィルムを溶融し、その溶融面に、上記のブランク板の他方の端部を重ね合わせてその両者を貼り合わせて胴貼りシ−ル部を形成して筒状のスリ−ブを製造した。
次に、上記で製造した筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部を形成して本発明にかかるレトルト処理用紙容器を製造し、しかる後、そのレトルト処理用紙容器の開口部からカレ−を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行ってトップシ−ル部を形成して、内容物を充填包装した包装半製品を製造した。
次に、上記で製造した包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト処理包装体を製造した。
上記で製造したレトルト処理包装体は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器が、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められなかった。
また、上記で製造した本発明にかかるレトルト処理包装体を室温で1っヶ月保存後、開封したところ、充填包装した中身のカレ−は、腐敗等も認められず、かつ、その風味等も損なわれず、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものであった。
【0029】
実施例3
(1).まず、上記の実施例1と同様に、紙基材〔密度0.78、エッジウイック0.30、サイズ度420、坪量380g/m2〕をアルコキシシランコ−ト液からな るゾル−ゲル液に含浸させた後、加水分解、重縮合等により、紙基材を構成する繊維表面にシロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマ−によるコ−ティング膜を形成して、撥水紙を製造した。
次いで、上記で形成した撥水紙を使用し、その片面に、ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を形成しつつ、その片面にポリプロピレン樹脂層を形成した紙基材の3層を溶融押出したポリプロピレン樹脂層を介して溶融押出積層して、7層構成のラミネ−ト原紙を製造した。
他方、膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を有する膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの両面に、ウレタン系ラミネ−ト用接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616/A50)を使用し、これをグラビアコ−ト法によりコ−ティングして、塗布量(乾燥状態)4.0g/m2からなるラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、その両面のラミネ−ト用接着剤層の面に、膜厚50μmのポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製、商品名、ト−セロCP・PXC11)を対向させて重ね合わせ、その3者をドライラミネ−ト積層して、バリア性フィルムを製造した。
次に、上記で形成した7層構成のラミネ−ト原紙とバリア性フィルムとを使用し、その7層構成のラミネ−ト原紙のポリプロピレン樹脂層の面と、バリア性フィルムのポリプロピレンフィルムの面とを対向させて、その層間に、上記と同様のポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を介して押出コ−ト法によりサンドラミネ−トして、下記の層構成からなる積層材を製造した。
膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム/膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を有する膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム
(2).次いで、上記で製造した積層材を使用し、ブリック型の紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部を有するブランク板を製造し、次いで、上記で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、スカイブ・ヘミング処理を施して端面処理を行った後、糊代部にホットエア−処理を行い、該糊代部のポリプロピレンフィルムを溶融し、その溶融面に、上記のブランク板の他方の端部を重ね合わせてその両者を貼り合わせて胴貼りシ−ル部を形成して筒状のスリ−ブを製造した。
次に、上記で製造した筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部を形成して本発明にかかるレトルト処理用紙容器を製造し、しかる後、そのレトルト処理用紙容器の開口部からカレ−を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行ってトップシ−ル部を形成して、内容物を充填包装した包装半製品を製造した。
次に、上記で製造した包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト処理包装体を製造した。
上記で製造したレトルト処理包装体は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器が、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められなかった。
また、上記で製造した本発明にかかるレトルト処理包装体を室温で1っヶ月保存後、開封したところ、充填包装した中身のカレ−は、腐敗等も認められず、かつ、その風味等も損なわれず、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものであった。
【0030】
実施例4
(1).まず、上記の実施例1と同様に、紙基材〔密度0.78、エッジウイック0.30、サイズ度420、坪量380g/m2〕をアルコ キシシランコ−ト液からな るゾル−ゲル液に含浸させた後、加水分解、重縮合 等により、紙基材を構成する繊維表面にシロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマ−によるコ−ティング膜を形成して、撥水紙を製造した。
次いで、上記で形成した撥水紙を使用し、その片面に、ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を形成しつつ、その片面にポリプロピレン樹脂層を形成した紙基材の3層を溶融押出したポリプロピレン樹脂層を介して溶融押出積層して、7層構成のラミネ−ト原紙を製造した。
他方、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を有する膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの両面に、ウレタン系ラミネ−ト用接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616/A50)を使用し、これをグラビアコ−ト法によりコ−ティングして、塗布量(乾燥状態)4.0g/m2からなる ラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、その両面のラミネ−ト用接着剤層の面に、膜厚50μmのポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製、商品名、ト−セロCP・PXC11)を対向させて重ね合わせ、その3者をドライラミネ−ト積層して、バリア性フィルムを製造した。
次に、上記で形成した7層構成のラミネ−ト原紙のポリプロピレン樹脂層の面に、膜厚15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて、その層間に、上記と同様のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を介して押出コ−ト法によりサンドラミネ−トした。
次いで、上記で積層した膜厚15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの面に、上記で製造したバリア性フィルムのポリプロピレンフィルムの面とを対向させて、その層間に、上記と同様のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製、商品名、ノバティックPP・FL25T)を使用し、これを溶融押出しながら膜厚20μmからなるポリプロピレン樹脂層を介して押出コ−ト法によりサンドラミネ−トして、下記の層構成からなる積層材を製造した。
膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/撥水紙/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム/膜厚20μmのポリプロピレン樹脂層/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム/膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を有する膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/膜厚50μmのポリプロピレンフィルム
(2).次いで、上記で製造した積層材を使用し、ブリック型の紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部を有するブランク板を製造し、次いで、上記で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、スカイブ・ヘミング処理を施して端面処理を行った後、糊代部にホットエア−処理を行い、該糊代部のポリプロピレンフィルムを溶融し、その溶融面に、上記のブランク板の他方の端部を重ね合わせてその両者を貼り合わせて胴貼りシ−ル部を形成して筒状のスリ−ブを製造した。
次に、上記で製造した筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部を形成して本発明にかかるレトルト処理用紙容器を製造し、しかる後、そのレトルト処理用紙容器の開口部からカレ−を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面のポリプロピレンフィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行ってトップシ−ル部を形成して、内容物を充填包装した包装半製品を製造した。
次に、上記で製造した包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト処理包装体を製造した。
上記で製造したレトルト処理包装体は、本発明にかかるレトルト処理用紙容器が、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められなかった。
また、上記で製造した本発明にかかるレトルト処理包装体を室温で1っヶ月保存後、開封したところ、充填包装した中身のカレ−は、腐敗等も認められず、かつ、その風味等も損なわれず、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものであった。
【0031】
比較例1
上記の実施例1において、紙基材〔密度0.78、エッジウイック0.30、サイズ度420、坪量380g/m2〕をアルコキシシランコ−ト液からなるゾル−ゲル液に含浸させた後、加水分解、重縮合等により、紙基材を構成する繊維表面にシロキサン結合を有する有機ケイ素ポリマ−によるコ−ティング膜を形成して製造した撥水紙の代りに、耐酸紙(坪量380g/m2)を使用し、それ以外は、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様に、レトルト処理用紙容器、レトルト処理包装体を製造した。
【0032】
実験例
上記の実施例1〜4、および、比較例1で製造したレトルト処理用紙容器を使用して製造したレトルト処理包装体について、レトルト処理後の包装状態、および、室温で1ヶ月保存後、開封して、充填包装した内容物の状態を目視にて確認した。
上記のテスト結果について下記の表1に示す。
【0033】
Figure 0004139628
【0034】
上記の表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4にかかるものは、紙容器の変形等が認められず、また、層間剥離等も認められなかった。
また、内容物の品質保全性、充填包装適性等に優れているものであった。
これに対し、比較例1のものは、包装形態を保持し得ず、また、内容物の品質保全性、充填包装適性等に劣るものであった。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材に着目し、少なくとも、最外層、その表面にシリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、バリア性層、および、最内層を順次に積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製函してレトルト処理用紙容器を製造し、次いで、その開口部から内容物を充填し、更に、その開口部を密閉して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施してレトルト処理包装体を製造して、耐熱性、耐圧性、耐水性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、変形防止強度等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐えると共に層間剥離等も認められず、更に、使用後の紙容器についてその廃棄処理適性を有し、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品あるいはペットフ−ド等の動物用餌を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト処理用紙容器およびそれを使用したレトルト処理包装体を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかるレトルト処理用紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかるレトルト処理用紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程におけるレトルト処理用紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図4】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかるレトルト処理用紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程におけるレトルト処理用紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図5】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかるレトルト処理用紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程におけるレトルト処理用紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】上記の図5に示す本発明にかかるレトルト処理用紙容器を使用し、レトルト処理して製造した本発明にかかるレトルト処理包装体についてその構成を示す概略的斜視図である。
【符号の説明】
A A1 積層材
B ブランク板
C 筒状のスリ−ブ
D レトルト処理用紙容器
E レトルト処理包装体
1 最外層
2、2a シリコ−ン系撥水コ−ティング膜
3 紙基材
4 バリア性層
5 最内層
11 折り罫
12 糊代部
13 端部
14 胴貼りシ−ル部
15 底シ−ル部
16 上方に開口部
17 内容物
18 トップシ−ル部

Claims (1)

  1. 押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、押出ポリプロピレン樹脂層、ポリプロピレンフィルム、バリア性層、および、ポリプロピレンフィルムを順次に積層した積層構成からなる積層材、
    押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、押出ポリプロピレン樹脂層、ポリプロピレンフィルム、バリア性層、および、ポリプロピレンフィルムを順次に積層した積層構成からなる積層材、
    または、押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、シリコ−ン系撥水コ−ティング膜を設けた紙基材、押出ポリプロピレン樹脂層、押出ポリプロピレン樹脂層、ポリプロピレンフィルム、押出ポリプロピレン樹脂層、ポリプロピレンフィルム、バリア性層、および、ポリプロピレンフィルムを順次に積層した積層構成からなる積層材を使用し、
    これらを製函してなることを特徴とするレトルト処理用紙容器。
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