JP5114870B2 - フィルタ回路、フィルタリング方法およびコンピュータプログラム - Google Patents

フィルタ回路、フィルタリング方法およびコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、フィルタ回路、フィルタリング方法およびコンピュータプログラムに関する。
RF(Radio Frequency;高周波)回路とデジタル回路とを、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路の一つのチップに収めた、無線通信用SoC(System On Chip)において、RF回路を小型化および低消費電力化するために、高速クロックによる電流モードサンプリングや、スイッチト・キャパシタ回路などのアナログ離散時間信号処理技術を用いて、フィルタリングやデシメーションを行う技術の開発が行われている(非特許文献1参照)。
ここで、積分器と櫛型フィルタを用いてデシメーションを行ったり、消費電力を抑えるために、オペアンプを用いずにキャパシタとスイッチだけで不完全積分器を構成し、フィルタリングや電圧の増幅を行ったりする技術が開示されている(特許文献1、非特許文献2参照)。
図14は、従来の不完全積分器の構成について説明する説明図である。図14に示したように、従来の技術に係る不完全積分器10は、加算器12と、乗算器13と、遅延素子
14とを含んで構成される。
加算器12は、不完全積分器10の入力と、遅延素子14からの出力とを加算して出力するものである。乗算器13は、加算器12からの出力を所定の比率であるα倍して乗算して出力するものである。遅延素子14は、乗算器13からの出力のクロックを所定のクロック数分遅延させて出力するものである。ここでは、遅延素子14は乗算器13からの出力を1クロック遅延させて出力している。
ここで、不完全積分器10の伝達関数H(z)は、数式1で表すことができる。
Figure 0005114870
・・・(数式1)
図15は、サンプリング周波数が2.4GHz、乗算器13の係数α=0.972の場合の、不完全積分器10の周波数特性について示す説明図である。図15に示したように、サンプリング周波数が2.4GHz、α=0.972の場合の不完全積分器10は、周波数が高くなるに従って信号が減衰する周波数特性を有している。
特開2005−124155号公報 L.Richard Carley and Tamal Mukherjee, "High-Speed Low-PowerIntegrating CMOS Sample-and-Hold Amplifier Architecture," Proceedings ofIEEE 1995 Custom Integrated Circuits Conference, pp 543-546, May 1995. Feng Chen and Bosco Leung, "A 0.25-mW Low-Pass PassiveSigma-Delta Modulator with Built-In Mixer for a 10-MHz IF Input," IEEE J.Solid-State Circuits, vol.32, pp. 774-782, June. 1997,
しかし、図14に示した不完全積分器の周波数特性には、図15に示したように、平坦な部分が存在しない。そのため、例えば無線LANやUWB(Ultra Wide Band;超広帯域無線)のような広帯域の信号を、この種の積分器からなるIIR(Infinite−duration Impulse Response)フィルタに入力すると、入力信号の周波数範囲内において、フィルタ特性に傾きが発生する。この結果、フィルタへの入力信号に対する出力信号の振幅の比が周波数によって異なってしまうので、正常な受信動作を実現することが出来ない。つまり、図14に示した不完全積分器を広帯域の信号の通信に用いると、信号が減衰してしまうために、広帯域の信号の通信に使用できないという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、不完全積分器の周波数特性の平坦な帯域を広げて広帯域の信号の通信に用いることができる、新規かつ改良された、フィルタ回路、フィルタリング方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入力された信号をフィルタリングして出力不完全積分器と、不完全積分器の後段に接続され、不完全積分器の出力を間引いて抽出するデシメータと、デシメータの後段に接続され、デシメータの出力をフィルタリングして雑音を抑制する不完全櫛形フィルタと、を含むことを特徴とする、フィルタ回路が提供される。
係る構成によれば、不完全積分器はフィルタ回路に入力された信号をフィルタリングし、デシメータは不完全積分器の出力をダウンサンプリング(間引き抽出)し、不完全櫛形フィルタはデシメータの出力をフィルタリングして雑音を抑制する。その結果、本発明のある観点に係るフィルタ回路によれば、周波数特性の平坦な帯域を広げることができる。
不完全櫛型フィルタの伝達関数は、不完全櫛型フィルタの係数をα、不完全櫛型フィルタの遅延素子の遅延クロック数をM(Mは自然数)とした場合に、以下の数式2で表される関数であってもよい。その結果、不完全櫛型フィルタにおいて不完全積分器の周波数特性を平坦に補償することができる
Figure 0005114870
・・・(数式2)
不完全櫛型フィルタの係数αは、デシメータのレート変換比をRとした場合に、不完全積分器の係数αのR×M乗(Rは自然数)であってもよい。その結果、不完全櫛型フィルタにおいて不完全積分器のインパルス応答を正確に減算することができる。
不完全積分器の係数αがα=2−(1/K)であり、かつRM/Kが自然数であってもよい。その結果、不完全櫛型フィルタにおいて乗算器が不要となり、消費電力の低いフィルタ回路を構成することができる。
不完全積分器と、デシメータとの間に接続される少なくとも1つの積分器と、デシメータと不完全櫛型フィルタとの間に、積分器と同じ数だけ接続される、少なくとも1つの櫛型フィルタと、をさらに含んでもよい。その結果、エイリアシング周波数付近において信号をより減衰することができる。
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、不完全積分器に入力された信号をフィルタリングして出力するステップと、不完全積分器の出力をデシメータでダウンサンプリングするステップと、デシメータの出力を不完全櫛形フィルタでフィルタリングするステップと、を含むことを特徴とする、フィルタリング方法が提供される。
係る方法によれば、不完全積分器はフィルタ回路に入力された信号をフィルタリングし、デシメータは不完全積分器の出力をダウンサンプリング(間引き抽出)し、不完全櫛形フィルタはデシメータの出力をフィルタリングする。その結果、本発明のある観点に係るフィルタリング方法によれば、不完全積分器の周波数特性の平坦な帯域を広げることができる。
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、不完全積分器に入力された信号をフィルタリングして出力する処理と、不完全積分器の出力をデシメータでダウンサンプリングする処理と、デシメータの出力を不完全櫛形フィルタでフィルタリングする処理と、を実行させることを特徴とする、コンピュータプログラムが提供される。
係る構成によれば、不完全積分器はフィルタ回路に入力された信号をフィルタリングし、デシメータは不完全積分器の出力をダウンサンプリング(間引き抽出)し、不完全櫛形フィルタはデシメータの出力をフィルタリングする。その結果、本発明のある観点に係るコンピュータプログラムによれば、不完全積分器の周波数特性の平坦な帯域を広げることができる。
以上説明したように本発明によれば、不完全積分器の周波数特性の平坦な帯域を広げて、広帯域の信号の通信に用いることができる、新規かつ改良された、フィルタ回路、フィルタリング方法およびコンピュータプログラムを提供できるものである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
ハードウェアまたはソフトウェアで実現することができるデジタル信号処理装置のレート変換において、CIC(Cascaded Integrtor Comb)フィルタが用いられる。CICフィルタは、積分器と櫛型フィルタとを縦列に接続した構成を有している。CICフィルタは乗算器を含まない構成を有しているため、消費電力を小さく抑えることができる。以下、基本的な積分器と櫛型フィルタの構成について説明する。
図1は、積分器の基本的な構成について説明する説明図である。図1に示したように、積分器110は、加算器112と、遅延素子114とを含んで構成される。
加算器112は、積分器110の入力と、遅延素子114からの出力とを加算して出力するものである。遅延素子114は、加算器112の出力を所定のクロック数分遅延させて出力するものである。図1に示した積分器110においては、遅延素子114は1クロック分の信号を遅延(z−1)させており、加算器112では、積分器110に入力される入力信号と、遅延素子114からの1クロック分の遅延した出力信号を加算している。従って、積分器110の伝達関数H(z)は数式3で表すことができる。
Figure 0005114870
・・・(数式3)
図2は、図1に示した積分器110のインパルス応答の様子を示す説明図である。図2に示したように、積分器110のインパルス応答は、1が無限に連続する特性を有する。
以上、基本的な積分器の構成について説明した。次に、一般的な櫛型フィルタの構成について説明する。
図3は、櫛型フィルタの基本的な構成について説明する説明図である。図3に示したように、櫛型フィルタ120は、加算器122と、遅延素子124とを含んで構成される。
加算器122は、櫛型フィルタ120に入力される入力信号から、遅延素子124の出力を減算して出力している。遅延素子124は、櫛型フィルタ120に入力される入力信号をMクロック(Mは正の整数)遅延させて出力している。櫛型フィルタ120は、入力信号からMクロック遅延した信号を減算しているため、櫛型フィルタ120の伝達関数H(z)は、数式4で表すことができる。
Figure 0005114870
・・・(数式4)
図4は、図3に示した櫛形フィルタ120において、遅延素子124の係数MがM=4、すなわち、遅延素子124で4クロック分信号を遅延させた場合におけるインパルス応答の様子を示す説明図である。図4に示したように、櫛型フィルタ120のインパルス応答は、遅延素子124で4クロック分信号を遅延させているため、4サンプル離れた、共に大きさが1である正と負のインパルスとなる。
以上、基本的な櫛型フィルタの構成について説明した。上記のような積分器と櫛型フィルタを縦列に接続することで、CICフィルタを構成することができる。以下、一般的なCICフィルタの構成について説明する。
図5は、デシメーションに用いる場合のCICフィルタの基本的な構成について説明する説明図である。図5に示したように、CICフィルタ130は、積分器132と、デシメータ134と、櫛型フィルタ136とを含んで構成される。
積分器132は、図1に示した積分器110と同様の構成および特性を有し、積分器132に入力される入力信号と、1クロック分の遅延した出力信号とを加算して出力することを特徴とする。
デシメータ134は、信号を間引いてサンプリングレートを下げる。それにより、デシメータ134は入力された信号の信号レートを下げて出力する。図5に示したデシメータ134においては、信号レートを1/Rに下げていることを意味している。Rをレート変換比という。
櫛型フィルタ136は、図3に示した櫛型フィルタ120と同様の構成および特性を有しており、入力信号からMクロック分(Mは正の整数)の遅延した出力信号を減算して出力することを特徴とする。
図5に示したようなCICフィルタ130の伝達関数は、数式3に示した基本的な積分器の伝達関数と、数式4に示した基本的な櫛型フィルタの伝達関数とを乗算した形となる。しかし、デシメータ134において、積分器132からの出力信号のレートを1/Rに下げているため、櫛型フィルタ136に含まれる遅延素子では、CICフィルタ130に入力された信号をR×Mクロック分遅延させていることになる。すなわち、櫛型フィルタ136に含まれる遅延素子の指数は−RMとなる。従って、CICフィルタ130の伝達関数Hcic(z)は数式5で表すことができる。
Figure 0005114870
・・・(数式5)
図6は、図5に示したCICフィルタ130のインパルス応答の様子を示す説明図である。図6に示したように、CICフィルタ130のインパルス応答は、図2に示した積分器110のインパルス応答と、図4に示した櫛型フィルタ120のインパルス応答とを足し合わせた形となる。ここで、数式5においてR=2、M=2とすると、図6に示したように、大きさが1である4本のインパルス応答が生じることになる。
図7は、図5に示したCICフィルタ130において、サンプリング周波数が2.4GHz、R=4、M=6の場合の周波数特性を示す説明図である。図15に示した従来の不完全積分器の周波数特性と比較すると、周波数の低い部分においてはなだらかな特性を有し、100MHz毎のエイリアシング周波数付近には急峻なノッチを生じていることが分かる。
CICフィルタ130は、積分器132と櫛型フィルタ136とを縦列に接続した構成であり、その周波数特性は低域成分がなだらかな特性を有する。従って、低域成分の周波数特性に平坦な部分が存在していなかった不完全積分器を、このようなCICフィルタに含めることで、周波数特性を補償することが可能になる。
図14に示した従来の不完全積分器のインパルス応答は、図16のように、1本目は大きさがα =1で、徐々に大きさがα 、α ・・・と右肩下がりになる特性を有する。従って、図5に示したCICフィルタ130に不完全積分器を組み込んだ場合のインパルス応答も、大きさが1のインパルスが連続するのではなく、図8に示したように大きさが徐々に減少していく特性を有することになる。
ここで、不完全積分器をCICフィルタの一部に組み込み、図8に示したようなインパルス応答を得られるように、CICフィルタの各部のパラメータを調整することで、低域成分がなだらかな周波数特性を有するフィルタ回路を得ることができる。
しかし、不完全積分器を単純にCICフィルタに組み込んでしまうと、櫛型フィルタの負のインパルス応答が不完全積分器の正のインパルス応答より大きいために、図8のようなインパルス応答にならず、負のインパルス応答が僅かに残ってしまう。そこで、櫛型フィルタに乗算器を組み込み、櫛型フィルタの負のインパルス応答の大きさと不完全積分器の正のインパルス応答の大きさが一致するように、櫛型フィルタの乗算器および遅延素子のパラメータを調整することによって、図8のようなインパルス応答が得られるようにする。
一般的なCICフィルタの伝達関数は数式5に示した通りである。従って、図8のようなインパルス応答を得るためには、CICフィルタの伝達関数Hcic(z)を数式6で表される数式にする。
Figure 0005114870
・・・(数式6)
ここで、αは櫛型フィルタに組み込んだ乗算器の係数である。
この櫛型フィルタに組み込んだ乗算器の係数αを適切な値にすることで、図8のようなインパルス応答を得ることができる。図8のようなインパルス応答を得るためのαの値は、数式5からα=α RMである。従って、櫛型フィルタの伝達関数H(z)は数式7のように表される。
Figure 0005114870
・・・(数式7)
図9は、乗算器を組み込んだ櫛型フィルタのインパルス応答の様子について説明する説明図である。図9のように、乗算器を組み込んだ櫛型フィルタは1本の大きさが1である正のインパルス応答と、大きさが1より小さな−α RMである1本の負のインパルス応答が、正のインパルスからRMクロック離れた場所に生じることになる(図9ではRM=4として表している)。
このように、不完全積分器をCICフィルタに組み込み、CICフィルタを構成する櫛型フィルタに乗算器を組み込んで不完全な櫛型フィルタ(以下「不完全櫛型フィルタ」と称する)とすることで、不完全積分器の周波数特性の補償を行うことができる。
図10は、本発明の一実施形態に係る不完全積分器を組み込んだCICフィルタの構成について説明する説明図である。図10に示したように、CICフィルタ100は本発明のフィルタ回路の一例であり、CICフィルタ100は、不完全積分器150と、デシメータ134と、不完全櫛型フィルタ160とを含んで構成されている。不完全積分器150は、加算器152と、乗算器153と、遅延素子154とを含んで構成され、不完全櫛型フィルタ160は、加算器162と、乗算器163と、遅延素子164とを含んで構成されている。
加算器152は、不完全積分器150に入力された入力信号と、遅延素子154からの出力信号とを加算して出力する。乗算器153は、加算器152からの出力信号を入力し、所定の比率で乗算して出力する。遅延素子154は、乗算器153からの出力信号を入力し、1クロック遅延させて出力する。
加算器162は、不完全櫛型フィルタ160に入力された入力信号と、遅延素子164からの出力信号とを減算して出力する。乗算器163は、不完全櫛型フィルタ160の入力信号を、所定の比率で乗算して出力する。遅延素子164は、乗算器163からの出力信号を入力し、Mクロック分(Mは正の整数)遅延させて出力する。
図11は、図10に示したCICフィルタ100において、サンプリング周波数が2.4GHz、乗算器163の指数RMにおいてR=4、M=6の場合の周波数特性を示す説明図である。図15に示した従来の不完全積分器の周波数特性に比べ、図11に示した周波数特性は低域成分がなだらかになっているのが分かる。従って、不完全積分器を組み込んだCICフィルタは、無線LANやUWBのような広帯域の信号を通した場合、高域成分を減衰させることなく信号を通過させることができる。
一方、図15に示した、理想積分器を用いた場合のCICフィルタの周波数特性に比べると、100MHz置きのエイリアシング周波数におけるノッチが浅く、エイリアシングによる減衰が少ない。しかし、CICフィルタは積分器と櫛型フィルタの数を増やすことでエイリアシングによる減衰を増やすことが可能であるため、積分器と櫛型フィルタを増やすことでノッチを深くすることができる。
このように、不完全積分器をCICフィルタの一部とすることによって、不完全積分器の周波数特性を補償することが可能となる。しかし、図10に示したCICフィルタ100では、櫛型フィルタに乗算器を組み込むことで不完全櫛型フィルタとして用いている。前段の不完全積分器150に含まれる乗算器はアナログ的なものを用いることができるために、不完全積分器に乗算器を用いたとしても大きな回路は必要としない。しかし、後段の櫛型フィルタではデジタル的な処理を行う必要があり、この後段の櫛型フィルタに乗算器を用いると、A/D変換器を組み込まなければならない等、却って処理が面倒になり、また回路も大きくなってしまう。すなわち、元々CICフィルタは乗算器を必要としないメリットがあったが、不完全積分器の周波数特性を補償するためには、櫛型フィルタにデジタル処理を要する乗算器を用いなければならず、このままでは元々CICフィルタが有していたメリットが損なわれてしまう。
そこで、不完全櫛型フィルタ160の乗算器163の係数を、2−1、2−2、2−3・・・のように2のべき乗にすれば、乗算器163で行う処理をビットシフトで代用することができる。乗算器163で行う処理をビットシフトで代用すれば、ビットシフトを行う回路だけを用意すればよく、乗算器の大きな回路を用いる必要が無くなる。そのために、不完全積分器150の乗算器153の係数と、デシメータ134のレート変換比Rを、不完全櫛型フィルタ160の乗算器163の係数が2のべき乗になるように定めることで、不完全積分器をCICフィルタの一部にすることによっても、櫛型フィルタに乗算器を用いずに済むことになる。以下、CICフィルタ100の各部のパラメータの条件について説明する。
(1)不完全積分器の乗算器の係数は、2のべき乗であること。
不完全積分器150の乗算器153の係数αは、数式8のように2のべき乗にする。
Figure 0005114870
・・・(数式8)
ここでKは設計パラメータであり、自然数であることとする。
(2)櫛型フィルタの乗算器の係数は、不完全積分器の乗算器の係数のRM乗であること。
櫛型フィルタの乗算器163の係数αは、数式9のように、数式8に示した不完全積分器150の乗算器153の係数αのRM乗とする。
Figure 0005114870
・・・(数式9)
ここでRはデシメータ134のレート変換比であり、Mは設計パラメータである。RとMはいずれも自然数であることとする。
(3)RM/Kが自然数であること。
数式9のαに数式8を代入すると、αは数式10のようになる。
Figure 0005114870
・・・(数式10)
従って、αの指数RM/Kが自然数であれば、不完全櫛型フィルタ160の乗算器163の係数が、2−1、2−2、2−3・・・のように2のべき乗になる。乗算器163の係数を2のべき乗にすれば、乗算器163で行う処理をビットシフトで代用することができ、回路の大規模化を抑え、消費電力の少ないフィルタ回路を構成することができる。
以下、各部のパラメータの例を示す。
(i)R=2、M=2、K=4、α=0.841、α=0.5
(ii)R=3、M=11、K=33、α=0.979、α=0.5
(iii)R=4、M=6、K=24、α=0.972、α=0.5
(iv)R=8、M=6、K=24、α=0.972、α=0.25
なお、これらのパラメータはあくまで一例であり、パラメータの組み合わせはこれに限られない。以下、本発明の一実施形態にかかるフィルタ回路およびフィルタリング方法について説明する。
図12は、本発明の一実施形態にかかるCICフィルタの構成について説明する説明図である。図12に示したように、本発明の一実施形態にかかるCICフィルタ100aは本発明のフィルタ回路の一例であり、CICフィルタ100aは、不完全積分器150と、積分器132a、132b、132cと、デシメータ134と、櫛型フィルタ136a、136b、136cと、不完全櫛型フィルタ160とを含んで構成される。
不完全積分器150は、さらに加算器152と、乗算器153と、遅延素子154とを含んで構成され、不完全櫛型フィルタ160は、加算器162と、乗算器163と、遅延素子164とを含んで構成される。
加算器152は、不完全積分器150に入力された入力信号と、遅延素子154からの出力信号とを加算して出力する。乗算器153は、加算器152からの出力信号を入力し、所定の比率で乗算して出力する。遅延素子154は、乗算器153からの出力信号を入力し、所定のクロック数分遅延させて出力する。ここでは、遅延素子154は入力信号を1クロック分遅延させて出力する。
加算器162は、不完全櫛型フィルタ160の入力信号と、遅延素子164からの出力信号とを減算して出力する。乗算器163は、不完全櫛型フィルタ160に入力された入力信号を、所定の比率で乗算して出力する。遅延素子164は、乗算器163からの出力を入力し、Mクロック分(Mは正の整数)遅延させて出力する。
図13は、図12に示したCICフィルタ100aの周波数特性について説明する説明図である、ここでは、図12に示したCICフィルタ100aにおいて、R=4、M=6、K=24、α=0.972、α=0.5の場合の周波数特性について説明する説明図である。符号182は不完全櫛型フィルタ160を接続していない場合の周波数特性を示し、符号184は不完全櫛型フィルタ160を接続した場合の周波数特性を示している。
図13に示したように、補償用の不完全櫛型フィルタ160を接続していない場合では低域成分での周波数特性が傾斜しており、信号の低域成分を効果的に通過させることができない。しかし、不完全櫛型フィルタ160を接続した場合では高域成分での周波数特性がなだらかになっており、不完全櫛型フィルタ160を接続していない場合に比べて、信号の高域成分を効果的に通過させることができるようになる。
このように、不完全櫛型フィルタ160の乗算器163の係数αを、不完全積分器150の乗算器153の係数αのRM乗にすることで、周波数特性を広帯域化することができる。また、不完全櫛型フィルタ160の乗算器163の係数αを2のべき乗となるように、不完全積分器150の乗算器153の係数αの値やデシメータ134のレート変換比Rを設定することで、不完全櫛型フィルタ160において乗算器の代わりにビットシフト回路を用いることで不完全積分器150の周波数特性を補償することができる。その結果、本発明の一実施形態にかかるCICフィルタ100aによれば、消費電力が少なく、広帯域の信号を通過させることができるフィルタ回路を実現することができる。
なお,上述したフィルタリング方法は,不完全積分器150に入力された信号をフィルタリングして出力する処理と、不完全積分器150の出力をデシメータ134で間引いて抽出する処理と、デシメータ134の出力を補償用櫛形フィルタ160でフィルタリングする処理とを含む、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
積分器の基本的な構成について説明する説明図である。 図1に示した積分器のインパルス応答の様子を示す説明図である。 櫛型フィルタの基本的な構成について説明する説明図である。 図3に示した櫛型フィルタのインパルス応答の様子を示す説明図である。 CICフィルタの基本的な構成について説明する説明図である。 図5に示したCICフィルタのインパルス応答の様子を示す説明図である。 図5に示したCICフィルタの周波数特性を示す説明図である。 図5に示した不完全積分器のインパルス応答の様子を示す説明図である。 図5に示した櫛型フィルタのインパルス応答の様子を示す説明図である。 本発明の一実施形態におけるCICフィルタの構成について説明する説明図である。 同実施の形態におけるCICフィルタの周波数特性を示す説明図である。 同実施の形態におけるCICフィルタの構成について説明する説明図である。 同実施の形態におけるCICフィルタの周波数特性を示す説明図である。 従来の不完全積分器の構成について説明する説明図である。 従来の不完全積分器の周波数特性について説明する説明図である。 従来の不完全積分器のインパルス応答の様子を示す説明図である。
符号の説明
100、100a CICフィルタ
132a、132b、132c 積分器
134 デシメータ
136a、136b、136c 櫛型フィルタ
150 不完全積分器
160 不完全櫛型フィルタ

Claims (7)

  1. 入力された信号をフィルタリングして出力する、
    Figure 0005114870
    を伝達関数とする不完全積分器と;
    前記不完全積分器の後段に接続され、前記不完全積分器の出力を間引いて抽出するデシメータと;
    前記デシメータの後段に接続され、前記デシメータの出力をフィルタリングして雑音を抑制する不完全櫛形フィルタと;
    を含むことを特徴とする、フィルタ回路。
    (α は前記不完全積分器の乗算器の係数)
  2. 前記不完全櫛型フィルタの伝達関数は、前記不完全櫛型フィルタの係数をα、前記不完全櫛型フィルタの遅延素子の遅延クロック数をM(Mは自然数)とした場合に、
    Figure 0005114870
    であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ回路。
  3. 前記不完全櫛型フィルタの係数αは、前記デシメータのレート変換比をRとした場合に、前記不完全積分器の乗算器の係数αのR×M乗(Rは自然数)であることを特徴とする、請求項2に記載のフィルタ回路。
  4. 前記不完全積分器の乗算器の係数αがα=2−(1/K)(Kは自然数)であり、かつRM/Kが自然数であることを特徴とする、請求項3に記載のフィルタ回路。
  5. 前記不完全積分器と、前記デシメータとの間に接続される少なくとも1つの積分器と;
    前記デシメータと前記不完全櫛型フィルタとの間に、前記積分器と同じ数だけ接続される、少なくとも1つの櫛型フィルタと;
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ回路。
  6. 不完全積分器に入力された信号をフィルタリングして出力するステップと;
    前記不完全積分器の出力をデシメータで間引いて抽出するステップと;
    前記デシメータの出力を不完全櫛形フィルタでフィルタリングするステップと;
    を含むことを特徴とする、フィルタリング方法。
  7. コンピュータに、
    不完全積分器に入力された信号をフィルタリングして出力する処理と;
    前記不完全積分器の出力をデシメータで間引いて抽出する処理と;
    前記デシメータの出力を不完全櫛形フィルタでフィルタリングして雑音を抑制する処理と;
    を実行させるための、コンピュータプログラム。
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