JP5113292B2 - 高周波数多軸シミュレーションシステム - Google Patents

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Description

本願は、医療用インプラントデバイスのための試験装置及び方法に関する。
米国特許第5670708号明細書
多軸疲労試験装置は、複数のアクチュエータによって駆動される多入力多出力機械的リンク機構(linkage)と、リアルタイムでかつ同期して複数のアクチュエータそれぞれを動作させ、ユーザが規定する複数の疲労サイクルプロファイルを生成するコントローラと、を有する。機械的リンク機構を駆動する少なくとも1つのアクチュエータは、剛性により特徴付けられる人工負荷に対して作用する。剛性は、試験装置の共振周波数を増大させ、幅広い範囲の試料に対してより高周波数で疲労試験することを可能とする。
本発明の一形態は、高周波数多軸シミュレーションシステムを対象としており、このシステムは、MIMOリンク機構を有する試験装置であって、MIMOリンク機構が、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータによって駆動され、MIMOリンク機構が、試料に作用して第1シミュレーション軸及び第2シミュレーション軸に沿うシミュレーションを提供する、試験装置と、ユーザが指定した第1シミュレーションプロファイル及び第2シミュレーションプロファイルにしたがって第1及び第2アクチュエータを動作させるように構成されたコントローラと、第1アクチュエータによって駆動される第1人工負荷と、第2アクチュエータによって駆動される第2人工負荷と、を備え、第1及び第2人工負荷が、当該シミュレーションシステムの共振周波数を増大させる。一態様において、第1シミュレーション軸は、軸方向zであり、第2シミュレーション軸は、屈曲角である。一態様において、第1捩れ組立体は、試料を支持する試料ホルダの第1端部に接続され、第2捩れ組立体は、試料ホルダの第2端部に接続され、第1及び第2捩れ組立体は、ユーザが指定した第3シミュレーションプロファイルにしたがって第3アクチュエータによって駆動される。一態様において、第3アクチュエータは、第1及び第2アクチュエータと独立してコントローラによって同時に動作される。一態様において、流動経路は、ユーザが指定した第4シミュレーションプロファイルにしたがって試料を通る流体流動を提供する。一態様において、流動経路は、試料を通るパルス状の流動を提供するポンプを有する。一態様において、第1人工負荷は、バネである。一態様において、バネを特徴付けるバネ定数の値は、シミュレーションシステムを特徴付ける共振周波数を増大させるために選択される。一態様において、第1人工負荷が、ダンパをさらに備える。一態様において、シミュレーションシステムを特徴付ける共振周波数は、約5Hzより大きい。一態様において、シミュレーションシステムを特徴付ける共振周波数は、約8Hzより大きい。一態様において、バネは、試料を特徴付ける剛性値よりも少なくとも10倍大きい剛性値によって特徴付けられる。一態様において、ユーザが指定した第1シミュレーションプロファイルは、プロファイル周波数によって特徴付けられ、プロファイル周波数は、4Hzから10Hzの周波数範囲にある。一態様において、ユーザが指定した第1シミュレーションプロファイルは、プロファイル周波数によって特徴付けられ、プロファイル周波数は、12Hzから30Hzの周波数範囲にある。一態様において、第1人工負荷は、アクチュエータである。
本発明の別の形態は、ユーザによるコントローラの調整を排除する方法を対象としており、この方法は、コントローラが、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータによって駆動されるMIMOリンク機構を動作させ、MIMOリンク機構が、試料剛性によって特徴付けられる試料に作用し、第1シミュレーション軸及び第2シミュレーション軸に沿うシミュレーションを提供し、方法は、第1アクチュエータに第1人工負荷を、第2アクチュエータに第2人工負荷を付与する工程を備え、第1人工負荷が、第1アクチュエータの剛性を試料剛性よりも少なくとも10倍大きい値まで増大させるために選択され、第2人工負荷が、第2アクチュエータの剛性を試料剛性よりも少なくとも10倍大きい値まで増大させるために選択される。
本発明の別の形態は、高周波数多軸シミュレーションシステムを対象としており、このシステムは、MIMOリンク機構を有する試験装置であって、MIMOリンク機構が、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータによって駆動され、MIMOリンク機構が、試料に作用して少なくとも第1シミュレーション軸及び第2シミュレーション軸に沿うシミュレーションを提供する、試験装置と、ユーザが指定した第1シミュレーションプロファイル及び第2シミュレーションプロファイルにしたがって第1及び第2アクチュエータを動作させるように構成されたコントローラと、第1アクチュエータによって駆動される第1人工負荷と、第2アクチュエータによって駆動される第2人工負荷と、第1及び第2人工負荷が、シミュレーションシステムの共振周波数を増大させる。一態様において、第1シミュレーション軸は、軸方向歪みであり、第2シミュレーション軸は、屈曲角である。一態様において、第1捩れ組立体は、試料を支持する試料ホルダの第1端部に接続され、第2捩れ組立体は、試料ホルダの第2端部に接続され、第1及び第2捩れ組立体は、ユーザが指定した第3シミュレーションプロファイルにしたがって第3アクチュエータによって駆動される。一態様において、第3アクチュエータは、第1及び第2アクチュエータと独立してコントローラによって同時に動作される。
多軸シミュレーションシステムの一実施形態を示す概略図である。 図1に示すシステムのコントローラの一部を示すブロック図である。 図1に示す試験装置を示す斜視図である。 多軸シミュレーションシステムの別の実施形態における試験フレームを示す斜視図である。 図4に示す試験フレームの一部を示す側面図である。 図4に示すシステムの共振特性を示す図である。
図1は、多軸シミュレーションシステム100の一例を示す概略図である。図1において、試料は、多軸試験装置110に取り付けられた試料ホルダ101内に保持されている。試料は、好ましくは、埋込可能なステントであるが、別の埋込型デバイスまたはバイオプロテーゼデバイスを図1に示すシミュレーションシステム100で試験してもよい。
試験装置110は、共通の回動点回りで回転可能な一対のレバー腕部115を有する。各レバー腕部115は、共通の駆動リンク112に機械的に接続されており、この駆動リンクは、本明細書では鋏状アクチュエータと称される第1アクチュエータ120の駆動シャフトに接続されている。共通の駆動リンク112が図1において上方に移動されるにしたがって、レバー腕部115は、共通の回動点回りに下方に回転し、これにより、試料ホルダ101の屈曲角を増大させる。共通の駆動リンク112が図1において下方に移動されるにしたがって、レバー腕部115は、互いに向かって上方に回転し、試料ホルダ101の屈曲角を減少させる。試料ホルダの屈曲角は、試料ホルダの端部と屈曲ツール119が試料ホルダ101に接触する接触点とによって形成される角度である。
屈曲ツール119は、試料ホルダ101の長さに沿うほぼ中間において試料ホルダ101に接触する。屈曲ツール119が図1において下方に移動されるにしたがって、屈曲ツール119は、試料を軸方向で引っ張る一方、同様に、試料ホルダ101内に保持されている試料を屈曲させる。屈曲ツール119は、ここでは伸展アクチュエータと称される第2アクチュエータ130によって駆動される。屈曲ツールは、試料ホルダに接触する湾曲面を有してもよい。使用してもよい屈曲ツールの他の実施例は、2007年6月4日に出願された米国特許出願第11/757772号に記載されており、そのすべては、参考として本明細書に組み込まれる。
各レバー腕部115は、捩れ組立体117を支持している。各捩れ組立体117は、試料ホルダ101の端部を支持しており、試料ホルダ101に流動経路150を形成し、試料ホルダ101の長手方向軸回りの回転を与える。試料ホルダ101の回転は、本明細書では捩れアクチュエータと称される第3アクチュエータ140によって駆動される。好ましい実施形態において、機械的リンク機構は、捩れアクチュエータ140に、かつ各捩れ組立体117に結合されており、試料ホルダ101の各端部は、捩れアクチュエータ140によって駆動されると、逆方向に回転される。
流動経路150は、試料及び試料ホルダ101を通るように流体を向ける。本明細書ではポンプと称される第4アクチュエータ155は、流動経路を回るように流体を移動させ、ポンプセンサ157によって観測される。好ましい実施形態において、ポンプ155は、流動経路150を通る拍動流を形成する。拍動流システムの例は、1997年9月23日に発行された米国特許第5670708号明細書に記載されており、そのすべては、参考として本明細書に組み込まれる。試料を通過する拍動流が試料に周方向歪みを引き起こすと考えられており、この周方向歪みは、例えば動脈における試料の使用状態をより詳しくシミュレーションする。流動経路センサ159は、流動経路内の流体の1以上の状態を観測する。流動経路センサの例には、これに限定されないが、圧力センサ、質量または容積流動センサ、pHセンサ、粒子センサ、温度センサ及び化学センサが含まれる。流体は、生理食塩水混合物であってもよく、この生理食塩水混合物は、使用中に試料と接触する流体の予期される特徴をシミュレーションする。流体は、試料が生細胞を含む場合に、生細胞を支持する培養液を含んでもよい。
図1で示す図は、一例のみを示しているが、多軸試験装置110は、好ましくは、1を超える試料を支持するように、より好ましくは少なくとも10の試料を同時に支持するように構成されている。各試料は、別個の流動経路に接続されてもよく、または、試料の複数のグループで流動経路を共有してもよい。
コントローラ160は、シミュレーションシステム100の動作を管理しており、コンピュータ165とインタフェースモジュール167とを有する。コンピュータ165は、情報を視認するためのディスプレイのようなI/Oデバイスと、キーボード、マウス、タッチパッドまたはコンピュータに情報を入力するための他の同様のデバイスのような入力デバイスと、を有する。コンピュータ165は、制御プログラムを実行するプロセッサと、制御プログラム及びユーザまたはセンサ125、135、145、157、159から受信したデータを記録する、コンピュータで読み込み可能な媒体と、を有する。インタフェースモジュール167は、コンピュータからの命令を受信し、受信した命令に及びセンサ125、135、145、157、159からのデータに応じて、アクチュエータ120、130、140、155それぞれを動作させる。明確にするため、図1は、インタフェースモジュール167と各センサ及びアクチュエータとの間の制御線のすべては示していない。
制御プログラムは、ユーザが多軸シミュレータの動作を規定するさまざまなパラメータを選択または設定することを可能とする。このような制御プログラムの例は、ミネソタ州のエデンプレーリーにあるボーズコーポレーションのElectroForceシステムグループから入手可能なWinTest(登録商標)制御プログラムである。例としてかつこれに限定されずに、ユーザが試料の疲労試験を実行したい場合、ユーザは、実行する疲労サイクル数と、所望のシミュレーション軸それぞれに対するサイクルプロファイルと、を入力する。各サイクルプロファイルは、他のサイクルプロファイルから独立して設計されている。例えば、ユーザは、拍動ポンプについて所定のサイクルプロファイルのリストから矩形波プロファイルを選択し、所望のサイクル周波数と所望のポンプ圧についての最大値及び最小値とを入力する。ユーザは、試料にかける捩れについて正弦波を選択し、所望の捩れサイクル周波数と所望の捩れプロファイルに対する最大値及び最小値とを入力する。ユーザは、X−Yデータ対としてユーザが規定した屈曲プロファイルと異なるユーザが規定した軸方向歪みプロファイルとを入力する。制御プログラムは、入力データを記録し、インタフェースモジュールに周期的に命令を送信して、試験の動作を制御する。制御プログラムは、インタフェースモジュールからセンサ情報を受信し、センサ情報を後の分析のために記録する。
図1に示す構成において、試料は、4軸、すなわち周方向歪み、捩れ、軸方向歪み及び屈曲角に沿うシミュレーションを同時に受ける。多軸シミュレーションは、使用状態において予期されるより現実的なシミュレーションを提供し、単なる屈曲疲労試験からの情報に対してより信頼性のある情報を提供すると考えられている。試料の周方向歪みは、拍動流プロファイルが占めており、著しい誤差なく他のシミュレーション軸から独立して実行される。同様に、試料の捩れは、ユーザが入力した捩れプロファイルに従う捩れアクチュエータ140によって制御された軸方向の回転が占められており、著しい誤差なく他のシミュレーション軸から独立して実行される。しかしながら、試料の軸方向歪み及び屈曲角は、試験装置110の機械的リンク機構に起因して、鋏状アクチュエータ120及び伸展アクチュエータ130からの変位の組み合わせに由来する。軸方向歪み及び屈曲角のシミュレーション軸間のリンク機構は、著しく強く、鋏状アクチュエータ及び伸展アクチュエータ双方にかけられた正弦プロファイルは、正弦状でない試料の軸方向歪み及び屈曲角をもたらす。さらに、試料の最大軸方向歪みまたは屈曲角は、軸方向歪み及び屈曲角のシミュレーション軸間のリンク機構を考慮しないと、所望の最大値よりも大きくなることがある。図1に示す試験装置110は、多入力多出力(MIMO)リンク機構の例である。図1の例において、複数の入力は、同様に鋏状アクチュエータ及び伸展アクチュエータにおける位置として参照される変位であり、複数の出力は、試料軸方向歪み及び試料屈曲角である。ユーザが屈曲角から独立して軸方向歪みを特定できるが、鋏状アクチュエータまたは伸展アクチュエータの運動が試料の軸方向歪み及び屈曲角に影響を与えるので、鋏状アクチュエータは、伸展アクチュエータから独立して操作されるべきでない。2007年6月26日に出願された米国特許出願第11/768675号は、MIMOリンク機構を制御するための方法を開示しており、そのすべては、本明細書に参考として組み込まれる。
図2は、図1に示すシステムのためのコントローラの一部のブロック図であり、同一の参照符号は、同一の構造を示している。図2において、試料軸方向歪み201及び試料屈曲角205についてユーザが規定したサイクルプロファイルは、波形シーケンス発生器210に送信される。波形シーケンス発生器210は、ユーザが規定した歪み及び屈曲角の値をコンピュータに記録されている試験装置の幾何形状モデルに基づくアクチュエータの変位に変換される。各アクチュエータ120、130は、それぞれフィードバックコントローラ230、235によって制御される。センサ125及び135は、アクチュエータ120及び130それぞれの駆動シャフトの位置を観測する。アクチュエータ120及び130は、好ましくは、可動磁石線形モータであるが、他の実施形態では、他のタイプのアクチュエータを使用して試験装置を動作させてもよい。センサ125及び135は、好ましくは、LVDT位置センサであるが、他の実施形態では、センサ分野において入手可能な他のタイプのセンサを用いてもよい。加算モジュール220、225は、誤差信号221、226を発生させ、この誤差信号は、波形シーケンス発生器210からのアクチュエータの変位とセンサ125、135からの検出した変位との間の差を示す。誤差信号221及び226は、これらのフィードバック制御コントローラ230及び235それぞれに入力される。
図3は、図1に示す試験装置の斜視図であり、1を超えるステントが同時に試験され、これにより結果の統計の信頼性を増大させながら全体の試験時間を減少させる例を示している。明確にするため、屈曲ツール組立体と試料ホルダとは、図3において示されておらず、同一の参照符号は、図1のように同一の構造を示している。図3に示す例では、鉤タイプのグリップ352を使用して試料ホルダを保持しているが、試験される試料に応じて他のタイプのグリップを用いてもよい。
図3において、捩れ組立体117は、レバー腕部115に取り付けられたバー340によって支持されている。捩れレバー腕部337の一端部は、捩れ組立体117に回動可能に取り付けられており、捩れレバー腕部337の他端は、捩れリンク機構335に回動可能に取り付けられている。捩れリンク機構335は、図示しないアクチュエータに機械的に連結されている。捩れリンク機構335を移動させるにしたがって、捩れレバー腕部337は、支持バー340にある捩れ組立体それぞれに回転を加える。各捩れリンク機構335は、別個のアクチュエータによって独立して操作されてもよい。好ましい実施形態において、単一のアクチュエータは、双方の捩れリンク機構335を駆動させ、一方の支持バーにある捩れ組立体は、他方の支持バーにある捩れ組立体の回転方向とは逆方向に回転される。
図4は、多軸シミュレーションシステムの別の実施形態における試験フレーム400を示す斜視図である。図4において、アクチュエータ431は、ここでは伸展アクチュエータと称されており、下側クロスバー430、バイパスロッド432、上側クロスバー434、上側ロッド436及びメザニン(mezzanine)クロスバー438に機械的に連結されている。図示しない屈曲ツール組立体は、メザニンクロスバー438に機械的に連結され、図4に示す方向に関して試料ホルダの上方から図示しない試料ホルダと接触する。試験される試料のタイプに応じて、別の屈曲ツール組立体を用いてもよい。図4に示す方向において、伸展アクチュエータ431が下側クロスバー430を下方に移動させるにしたがって、屈曲ツール組立体は、試料ホルダに接触し、試料に軸方向歪みを与え、試料の屈曲角を低減する。伸展アクチュエータ431が下側クロスバー430を上方に移動させるにしたがって、屈曲ツールは、試料の屈曲角を増大させ、試料にかかる軸方向歪みを低減する。
アクチュエータ421は、ここでは鋏状アクチュエータと称されており、支持ロッド420及び鋏状クロスバー422に機械的に連結されている。支持ロッド420は、上側クロスバー434の開口部を自由に通過し、支持ロッド420は、上側クロスバー434に接触しない。鋏状クロスバー422は、鋏状試験装置402に機械的に結合されており、捩れ組立体バー440を支持するレバー腕部を操作する。図4に示す方向において、鋏状アクチュエータ421が支持ロッド420を下方に移動させるにしたがって、鋏状試験装置のレバー腕部は、下方に回転され、試料の屈曲角を増大させる。鋏状アクチュエータ421が支持ロッド420を上方に移動させるにしたがって、鋏状試験装置のレバー腕部は、上方に回転され、試料の屈曲角を減少させる。
アクチュエータ441は、ここでは捩れアクチュエータと称されており、捩れレバー腕部445に機械的に連結されている。捩れレバー腕部445は、捩れ組立体支持部440によって支持された捩れ組立体417それぞれに機械的に連結されている。図4に示す方向において、捩れアクチュエータ441が捩れレバー腕部445を左に移動させるにしたがって、捩れレバー腕部445は、捩れ組立体417を上方から見た場合に、時計回りの回転を与える。第2捩れレバー腕部は、図4において隠されているが、第2捩れ組立体を上方から見た場合に、時計回りの回転を与えるように構成されている。
図5は、図4に示す試験フレームの一部を示す側面図であり、同一の参照符号は、同一の構造を示している。図5において、捩れ組立体417は、断面図で示されている。明確にするため、試料ホルダ及び屈曲ツール組立体は、図5において示されていない。また、図5は、シミュレーションシステムにおいて使用される鋏状試験装置の別の実施例を示している。図5において、ベアリング540は、捩れ組立体417を回転させることが可能である一方、捩れ組立体は、捩れ組立体支持部440によって支持されている。捩れ組立体417は、さまざまなホルダグリップを受けるように構成されており、このホルダグリップは、試験される試料のタイプに応じてユーザが選択する。ポート557は、捩れ組立体流動プレナム(plenum)555と流体連結しており、この捩れ組立体流動プレナムは、試験中に試料に流体流動を提供する。装填ポート550は、開口されてもよく、試料を試料ホルダに装填して流動ループ内の空気をパージする。
明確にするため、図4は、図1に示すような流動経路サブシステムを示していないが、理解すべきことは、図4に示す実施形態が、好ましくは流動経路サブシステムを有することである。図4は、同様に明確にするため、コントローラサブシステムを示しておらず、このコントローラサブシステムは、伸展アクチュエータ431、鋏状アクチュエータ421、捩れアクチュエータ441及び流動経路サブシステムのパルス状流動ポンプを操作し、シミュレーションシステムの状態のセンサ情報を収集する。理解すべきことは、図4に示す実施形態が、図1において上述したようなコントローラサブシステムを有することである。図4に示す試験装置402は、図1に示す装置とは異なる機械的リンク機構を有しているが、試験装置402は、MIMOリンク機構であり、伸展アクチュエータ431及び鋏状アクチュエータ421の双方は、試料の軸方向歪みと試料の屈曲角とを計算するために使用される。コントローラは、試験装置402の幾何形状モデルの一部に基づいて、組織的な態様で伸展アクチュエータ431及び鋏状アクチュエータ421を操作し、ユーザが所望する試料の軸方向歪み及び試料の屈曲角を形成する。図4において、伸展アクチュエータ、鋏状アクチュエータ及び捩れアクチュエータは、最も好ましくは、可動磁石式リニアモータであるが、理解すべきことは、実施形態が可動磁石式リニアモータに限定されないことである。例えば、限定せずに、空圧式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、回転式電気モータを使用して試験フレームを操作する機械的移動を発生させてもよい。さらに、シミュレーションシステムの具体的な用途に応じて、異なるタイプのアクチュエータの組み合わせを使用してもよい。
ユーザは、試験される試料に適したさまざまな捩れ組立体のグリップ及び試料ホルダを選択してもよい。しかしながら、試料ホルダ及び試料は、試料ホルダの各端部を保持する捩れ組立体を結合する。捩れ組立体の結合は、試験フレームの共振特性を変更し、ユーザの能力を超えてコントローラのパラメータを調整する必要がある。さらに、ユーザが所望する試験周波数近傍の共振は、共振近傍においてシステムの動的特性が迅速に変化することの主な原因となりうるより複雑なコントローラを必要とする。例えば、典型的な疲労試験において、ユーザは、シミュレーションシステムを高周波数で操作して疲労試験における目標サイクル数を達成するために必要な時間を低減することを希望することがある。所望の試験周波数近傍の共振は、共振の影響を避けるためにユーザを低周波数で疲労試験を実施させ、これにより、疲労試験の継続期間を長くする。
好ましい実施形態において、伸展アクチュエータ及び鋏状アクチュエータは、試験装置の動作と平行して追加の負荷に対して押し引きするように構成されている。追加の負荷は、システムを強化する機能を果たし、シミュレーションシステムの本来の共振特性を高周波数に移動させ、これにより、より高周波数での疲労試験を可能とする。追加の負荷は、追加の負荷の剛性が一般的にユーザによって採用されたさまざまな試料ホルダと試料とを組み合わせたものの剛性よりも大きくなる、通常少なくとも10倍より大きくするにしたがって、ユーザにより調整されるコントローラの必要性をしばしば排除する。
図4を参照すると、鋏状クロスバー422は、支持ロッド420回りに対称に配置された2つの鋏状バネ組立体を支持しており、非平衡な構造から支持ロッド420にかかる屈曲ストレスを低減する。鋏状バネ組立体は、バネ支持ロッド470を有する。各バネ支持ロッド470は、上側バネ473及び下側バネ477を支持する。上側バネの一端部と下側バネの一端部とは、バネ支持ロッド470に取り付けられている。上側バネの他端部と下側バネの他端部とは、バネアンカー475に取り付けられている。バネアンカー475は、フレーム筐体474に固定されており、共通の機械的基準を提供する。鋏状クロスバー422を図4の方向において下方に移動させるにしたがって、各上側バネ473は、収縮され、各下側バネ477は、伸長される。反対に、鋏状クロスバー422を上方に移動させるにしたがって、各上側バネ473は、伸長され、各下側バネ477は、収縮される。バネの伸長及び収縮は、試験装置を操作しかつ追加の負荷に対して作用するために必要なより大きな力を発生させるより強力なアクチュエータを必要とする。あるいは、ユーザは、追加の負荷を調整するために、同時に試験する試料数を低減しなければならないことがある。バネの選択は、限定されないが、必要なバネの伸長/収縮、所望の軸方向剛性及びバネの疲労速度を含む要素に基づいてもよい。
図4において、伸展アクチュエータ431は、バイパスロッド432に位置する追加の負荷に対して作用する。バイパスロッド432は、伸展アクチュエータのシャフト軸回りで対称に構成されており、構造が非平衡になることによって発生する屈曲ストレスを低減する。図4において、上側負荷バネ483の一端部と下側負荷バネ487の一端部とは、バイパスロッド432に取り付けられている。上側負荷バネ483の他端部と下側負荷バネ487の他端部とは、バネアンカー485に取り付けられている。バネアンカー485は、フレーム筐体484に固定されており、上側負荷バネ483及び下側負荷バネ487を共通の基準に固定する。
図6は、図4に示す試験フレームの共振特性を示している。図6において、鋏状アクチュエータの出力は、ボルトの入力当たりのmmの移動量からなる単位で、フィードバック制御のない周波数特性として示されている。参照符号610は、人工負荷がない状態における鋏状アクチュエータの挙動を示しており、参照符号650は、人工負荷がある状態における鋏状アクチュエータの挙動を示している。参照符号610は、出力利得が約100である状態で約2.8Hzで共振のピークがあり、この約100の出力利得は、入力電圧における小さな変更が大きな移動を形成するので、システムの制御を困難にする。人工負荷がない状態におけるシステムの操作は、2.8Hzの共振のため、約2Hz未満に制限されることがある。人工負荷を追加することは、システムを補強する機能があり、参照符号650で示すように、共振を高周波数に移動させ、共振周波数は、約8.3Hzである。人工負荷を支持する追加の支持ベアリング及び構造体は、共振を所定の利得まで抑制し、この利得は、コントローラが共振周波数辺りで操作することを可能とする。人工負荷は、アクチュエータの共振特性を著しく改善し、シミュレーションシステムは、アクチュエータの全体の移動範囲にわたって、約4Hzから10Hzの高周波数で操作することが可能であり、制限されたアクチュエータの運動範囲にわたって、約12Hzから30Hzのより高い周波数で操作する。
図4が人工負荷としてバネを示しているが、他の実施形態には、人工負荷として他のタイプまたは組み合わせの構造体が含まれる。例えば、ダンパをバネと組み合わせて共振ピークの強度を制御してもよい。別の例において、人工負荷は、コントローラによって操作されてシステムに対して所望の共振挙動に変更をもたらすアクチュエータであってもよい。
上記システム及び方法の実施形態は、当業者に明らかであるコンピュータ構成部材及びコンピュータが実施する工程を備える。例えば、当業者により理解すべきことは、コンピュータが実施する工程が、例えばフロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、光学ディスク、フラッシュROM、不揮発性ROM及びRAMのようなコンピュータで読み込み可能な媒体にあるコンピュータで実行可能な指示として記録されてもよいことである。さらに、当業者により理解すべきことは、コンピュータで実行可能な指示が、例えばマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイなどのようなさまざまなプロセッサで実行されてもよいことである。開示を容易にするため、上記システム及び方法の各工程または要素をコンピュータシステムの一部として本明細書で説明していないが、当業者は、各工程または要素が対応するコンピュータシステムまたはソフトウェアコンポーネントを有することを理解する。したがって、このようなコンピュータシステム及び/またはソフトウェアコンポーネントは、これらの対応する工程または要素(すなわち、これらの機能性)を説明することによって使用可能であり、本発明の範囲内にある。
このため、本発明の少なくとも例示的な実施形態を説明することによって、さまざまな変更及び改良は、当業者に容易に想到し、本発明の範囲内にあることを目的とする。したがって、上述の記載は、ただ例としたものであり、限定することを意図していない。本発明は、ただ以下の特許請求の範囲及びこれの均等のものに定義されたとおりに限定される。
100 シミュレーションシステム,多軸シミュレーションシステム、101 試料ホルダ、110 試験装置,多軸試験装置、117,417 捩れ組立体、120,421 鋏状アクチュエータ,第1アクチュエータ、130,431 伸展アクチュエータ,第2アクチュエータ、140,441 捩れアクチュエータ,第3アクチュエータ、150 流動経路、155 ポンプ,第4アクチュエータ、160 コントローラ、230,235 フィードバック制御コントローラ,フィードバックコントローラ、335 捩れリンク機構、337,445 レバー腕部、402 鋏状試験装置,試験装置、473 上側バネ、477 下側バネ、483 上側負荷バネ、487 下側負荷バネ

Claims (14)

  1. 高周波多軸シミュレーションシステムであって、
    第1アクチュエータによって駆動される第1及び第2レバー腕部を備える第1リンク機構であって、当該第1リンク機構が、試料ホルダに作用して、前記第1アクチュエータによって駆動されると前記試料ホルダの第1及び第2端部を移動させることによって前記試料ホルダを屈曲させる、第1リンク機構と、
    第2アクチュエータによって駆動される屈曲ツールを備える第2リンク機構であって、当該第2リンク機構が、前記試料ホルダに作用して、前記第2アクチュエータによって駆動されると試料を押圧することによって前記試料ホルダを軸方向に歪ませかつ前記試料ホルダを屈曲させる、第2リンク機構と、
    を備える試験装置と、
    ユーザが指定した第1シミュレーションプロファイル及び第2シミュレーションプロファイルにしたがって前記第1及び第2アクチュエータを動作させるように構成されたコントローラと、
    前記第1アクチュエータによって駆動される第1人工負荷と、
    前記第2アクチュエータによって駆動される第2人工負荷と、
    を有し、
    前記第1及び第2人工負荷が、当該シミュレーションシステムの共振周波数を増大させ、
    前記第1及び第2人工負荷が、前記試料ホルダの剛性と比較して前記試験装置の剛性を占めることを特徴とする高周波多軸シミュレーションシステム。
  2. 前記試験装置が、
    前記第1レバー腕部に結合された第1捩れ組立体と、
    前記第2レバー腕部に結合された第2捩れ組立体と、
    をさらに備え、
    前記第1及び第2捩れ組立体が、第3アクチュエータによって駆動されて前記試料ホルダの前記第1及び第2端部それぞれにトルクをかけ、
    前記コントローラが、ユーザが指定する第3シミュレーションプロファイルにしたがって前記第3アクチュエータを動作させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  3. 前記第1及び第2捩れ組立体によって前記試料に付与されたトルクが、前記第1及び第2リンク機構によって前記試料に付与される屈曲及び軸方向歪みとほぼ独立しており、
    前記第3アクチュエータが、第1及び第2アクチュエータと独立して前記コントローラによって同時に動作されることを特徴とする請求項2に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  4. 前記試料ホルダを通る流体流動を提供する流動経路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  5. 流動経路が、前記試料ホルダを通るパルス状の流動を提供するポンプを有し、
    前記パルス状の流動が、前記試料に周方向歪みをもたらし、
    前記コントローラが、ユーザが指定した第4シミュレーションプロファイルにしたがって前記周方向歪みを制御するように前記ポンプを動作させるようにさらに構成されていることを特徴とする請求項4に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  6. 前記第1人工負荷が、バネであることを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  7. 前記第1人工負荷が、ダンパをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  8. 当該シミュレーションシステムを特徴付ける前記共振周波数が、約5Hzより大きいことを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  9. 当該シミュレーションシステムを特徴付ける前記共振周波数が、約8Hzより大きいことを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  10. 前記バネが、前記試料を特徴付ける剛性値よりも少なくとも10倍大きい剛性値によって特徴付けられることを特徴とする請求項6に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  11. ユーザが指定した前記第1シミュレーションプロファイルが、プロファイル周波数によって特徴付けられ、
    前記プロファイル周波数が、4Hzから10Hzの周波数範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  12. ユーザが指定した前記第1シミュレーションプロファイルが、プロファイル周波数によって特徴付けられ、
    前記プロファイル周波数が、12Hzから30Hzの周波数範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  13. 前記第1人工負荷が、アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の高周波多軸シミュレーションシステム。
  14. 高周波多軸シミュレーションシステムを動作させる方法であって、
    前記シミュレーションシステムが、第1及び第2レバー腕部を備える第1リンク機構と屈曲ツールを備える試験装置と、試料ホルダと、を備え、
    当該方法が、
    第1人工負荷と前記第1リンク機構とを第1アクチュエータで駆動し、前記試料ホルダの第1及び第2端部を移動させることによって前記試料ホルダを屈曲させる工程と、
    第2人工負荷と前記第2リンク機構とを第2アクチュエータで駆動し、前記試料ホルダを押圧することによって、前記試料ホルダを軸方向で歪ませかつ前記試料ホルダを屈曲させる工程と、
    ユーザが指定した第1シミュレーションプロファイル及び第2シミュレーションプロファイルにしたがって前記第1及び第2アクチュエータを動作させる工程と、
    を備え、
    前記第1及び第2人工負荷が、前記シミュレーションシステムの共振周波数を増大させ、
    前記第1及び第2人工負荷が、前記試料ホルダの剛性と比較して前記試験装置の剛性を占めることを特徴とする方法。
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