JP5112509B2 - バランス型（ｂａｌａｎｃｅｄ）往復駆動によるハンズフリー搾乳器 - Google Patents

Description

（関連出願への言及）
本出願は、２００７年５月４日提出の「バランス型往復駆動部を備えるハンズフリー搾乳器」と称する米国仮特許出願第６０／９１５，９３７号の優先権を主張し、これは、参照によって本明細書に組み入れられる。

本発明は、一般に、乳幼児の母親から母乳を絞り出す搾乳器、より詳細には、内側及び外側方向のポンプ動作の際に乳房接触カップによって形成される真空室のふいご構造にポンプ力を付与する、バランス型プッシュプル真空生成システムを備えるハンズフリー搾乳器に関する。

乳幼児の母親の乳房とブラジャーとの間で保持されるように構成された内蔵型ポンプ機構及び電源を有する第１のハンズフリー搾乳器は、「携帯型ハンズフリー搾乳器のためのシステム及びその使用方法」と称する米国特許第７，２２３，２５５号明細書に記載されており、それは参照によって本明細書中に組み入れられる。この特許に記載されたハンズフリー搾乳器−Ｇｅｎ−１デザイン（Ｇｅｎ−１ ｄｅｓｉｇｎ）と呼ぶ−は、成功を収めた製品である。この特許は、第二世代の搾乳器に向けられており、そしてそれはＧｅｎ−２デザイン（Ｇｅｎ−２ ｄｅｓｉｇｎ）と呼ばれ、初期のＧｅｎ−１デザインに対して有意な改善を有している。

より具体的には、Ｇｅｎ−１デザインは、ポンプ機構の内側方向への動作の際にモーターによって生成される力を乳房カップの端部（乳房接触輪縁ともいう）に位置する真空室の可動部材（ふいご構造という）に付与することによって機能する。ポンプ機構によって真空室のふいご構造に付与される力は、ふいご構造を部分的に押し潰し、それによって真空室の容積を減らし、乳房カップの中の絞り出された母乳を一方向弁を通って回収バッグに押し進める陽圧を生じさせる。ポンプ機構の内側方向への動作が解除されたときに、Ｇｅｎ−１デザインのふいご構造は、外側方向への動作の際にその形状を弾力によって回復し、真空室の容積を元に戻し、それによって真空室の容積を増加させ、真空室内が陰圧になるように構成されている。一方向弁は、内側方向の動作の際に真空室に通気し、外側方向の動作の際に真空室を密閉して搾乳作用を起こさせる。即ち、ポンプの外側方向の動作が、乳房に吸引力を与え、内側方向の動作が絞り出された母乳を一方向弁を通って回収バッグに押し進める。

上述したように、Ｇｅｎ−１デザインは、内側方向の動作の際にのみ真空室に力を付与し、一方、外側方向の動作の際に乳房カップのふいご構造の弾力性が吸引力を作り出す、非バランス型ポンプ機構を利用している。従って、ポンプ機構は、スプリングによる圧縮とほぼ同じ、乳房カップの弾力性が吸引作用を生じさせる陰圧を作り出すのに十分な程、内側方向の動作の際に乳房カップのふいご構造を圧縮する必要がある。圧縮されたスプリングのように、乳房カップのふいご構造は、圧縮力が解除されたときに、その弾力性によってその形状を回復し、ポンプモーターの補助無しに吸引作用を生じる。ポンプモーターは、内側方向の動作の際にのみ力を付与する。このタイプのポンプ機構は高機能であるが、内側方向の動作の際に、かなり大きな力を乳房カップに与える必要があり、搾乳器のハウジング内の乳房カップの位置から乳房カップを外へ追いやる傾向にある。適切に拘束されていないと、その力によって乳房カップが搾乳器のハウジング中の位置からスポンと抜けてしまい、ポンプを故障させてしまう場合がある。乳房カップを、タブ（tabs）、デテント機構又はサポートリング等の適切な装置を用いてハウジング内の位置に拘束することはできるが、これらの機構（features）は搾乳器に複雑さとコストを付加する。

おそらくより重要なことは、追加の乳房カップ拘束機構が、搾乳器のハウジング内に乳房カップを適切に位置させた搾乳器を組み立てることをより難しくすることである。必然的に、一定数のユーザは、搾乳器を正しく組み立てることができない。残念なことに、乳房カップが適切な位置に取り付けられていない場合でも搾乳器が適切に働いているように見えるし、聞こえる。ユーザが、乳房カップが適切な位置に取り付けられていないことに気づくのが難しいことが分かる。真の問題が、乳房カップが搾乳器のハウジング内の適切な位置に取り付けられていないことである場合に、この問題を経験した何人かのユーザに、搾乳器は正しく組み立てられているけれども機能が良くないという誤った印象を与える。そのため、明らかに不適切な乳房カップの取り付けによる搾乳器の故障は、Ｇｅｎ−１デザインで繰り返し発生する問題となっている。

Ｇｅｎ−１デザインの非バランス型（即ち、内側方向の動作の際にのみモーターの力を適用すること）はまた、外側方向の動作のときに乳房カップ内に所望の吸引力を生じさせるのに十分なシリコンの自然な弾力性に対抗して、内側方向の動作のときに乳房カップのふいご構造を圧縮するために比較的強力なポンプモーターを必要とする。外側方向への動作時のモーターの補助の無い内側方向への動作時のこのスプリング力に対するポンピングは、効率的ではない。何故なら、モーターは、内側方向の動作時にはモーターから高い力が与えられるが、外側方向の動作時にはモーターによる力が与えられない非バランス型の様式で用いられるためである。この非バランス型のポンプデザインは、高い電力を必要とし、サイクル速度を低下させ、モーターに重い負担を掛け、内歯車軌道部品（internal gear train components）に、よりバランス型で得られるよりも高い程度のストレスが掛かる。従って、より効果的で、効率的で、ユーザフレンドリーな型のハンズフリー搾乳器が必要とされている。

本発明は、内側方向及び外側方向のポンプ動作の際に乳房接触カップによって形成される真空室のふいご構造にポンプ力を与える、バランス型プッシュプル真空生成システムを有するＧｅｎ−２デザインと呼ばれる、第２世代のハンズフリー搾乳器における上記必要性に合致するものである。より具体的には、この搾乳器は、内側方向の動作の際に真空室の容積が部分的に押し潰され、外側方向の動作の際に真空室の容積が回復する、弾力性のふいご構造を有する乳房カップを有する。回転式電気モーターの力を、ふいご構造を駆動する作動アームの往復直線動作に変換するカム駆動システムを有するポンプ機構は、内側方向のポンプ動作の際に真空室の容積を減らし、外側方向へのポンプ動作の際に真空室の容積を拡張させる力をふいご構造に与える。ふいご構造は、内側方向の動作の際に力を貯め（ポンプ力に抵抗し）、外側方向への動作の際に力を開放する（ポンプ力を補助する）スプリングのように動作し、カムトラックの形状は、ポンプの所望の動作プロファイルを作り出すように設計される。さらに、カムトラックの形状は、注意深く設計され、ポンプの所望の動作プロファイルを作り出すように微調整され、モーター電流スパイク（motor current spikes）、過度のギアストレス及び騒音を軽減しつつ、ポンプの望ましい吸引−解放プロファイルを作り出す。

内側方向及び外側方向の両方のポンプ動作の際に乳房カップのふいご構造に力を加えるバランス型駆動システムの使用は、乳房カップのふいご構造に要求される弾力性を、Ｇｅｎ−１デザインの場合よりも低減するので、より効果的で、効率的で、ユーザフレンドリーな搾乳器デザインとなる。例えば、ＡＡ電池２個で動くＧｅｎ−１デザインと比較すると、ＡＡ電池１個で動くＧｅｎ−２ポンプは、同程度のサイクル速度で同程度の吸引レベルを達成する。さらに、Ｇｅｎ−２デザインの低減されたポンプ力により、この実施形態で有意に低いＲＭＰ及び有意に小さいギア比でのモーター動作による改善された性能が達成される。そしてそれは、必要なギア噛合数を減らし、より大きく、より頑丈なギアにすることができる。これらの設計上の改善は、製造がより容易で、組み立てがより容易で、顕著に少ないポンプ駆動（pump drive train）部品からなり、コストがより低減され、より良好な性能を有し、より静かで、より頑丈な搾乳器が得られる。Ｇｅｎ−２ポンプはまた、下記に詳述するような、他の多数の重要な設計上の改善を含んでいる。Ｇｅｎ−２ポンプのこれらの追加の特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかとなるであろう。そのような全ての追加の特徴及び利点は、本発明の範囲内に包含される。

図１は、授乳婦の乳房と、当該授乳婦が身に着けたブラジャーのカップとの間の稼働位置に保持されつつ、ポンプが活発に母乳を乳房カップとブラジャーによって支持されている回収バッグに汲み出している、ハンズフリー搾乳器の側部断面図である。 図２は、搾乳ポンプ、乳房カップ、一方向弁、及び母乳輸送幹（milk transport stem）を含むハンズフリー搾乳器の主な部品及び付属品を示す分解斜視図である。 図３は、乳房カップがその稼働位置に取り付けられた、組み立てられたハンズフリー搾乳器の斜視図である。 図４は、乳房カップが取り除かれた、図３の組み立てられたハンズフリー搾乳器の斜視図である。 図５は、搾乳器の作動アームをはめ込む前の、ハンズフリー搾乳器のための乳房カップの斜視図である。 図６は、搾乳器の作動アームをはめ込んだ後の、図５の乳房カップの斜視図である。 図７は、一方向弁を受け入れるための開口を示す乳房カップの斜視図である。 図８は、乳房カップの側面図である。 図９Ａは、外側の位置での輪縁トップを示す乳房カップの側部断面図である。 図９Ｂは、内側の位置での輪縁トップを示す乳房カップの側部断面図である。 図１０は、搾乳器の内部構造の第一の斜視図である。 図１１は、搾乳器の内部構造の第二の斜視図である。 図１２は、搾乳器の駆動部の組み立て斜視図である。 図１３は、搾乳器の駆動部の第一の分解斜視図である。 図１４は、搾乳器の駆動部の第二の分解斜視図である。 図１５は、乳房カップの端面図である。 図１６は、乳房カップの底面図である。 図１７は、外側の位置での輪縁トップを有する乳房カップの斜視図である。 図１８は、内側の位置での輪縁トップを有する乳房カップの斜視図である。 図１９は、外側の位置での作動アーム及び輪縁トップを示す、乳房カップが取り付けられた搾乳器の斜視図である。 図２０は、内側の位置での作動アーム及び輪縁トップを示す、乳房カップが取り付けられた搾乳器の斜視図である。 図２１は、各稼働位置に組み込まれたバルブ、幹部及び回収バッグを有する搾乳器の斜視図である。 図２２は、各稼働位置に組み込まれたバルブ、幹部及び回収バッグを有する搾乳器の別の斜視図である。 図２３は、主な部品及び付属品を示す、搾乳器の分解斜視図である。 図２４は、搾乳器の駆動カムの正面図である。 図２５は、搾乳器の駆動カムの斜視図である。 図２６は、約２分の１の負荷サイクルを有する搾乳器の稼働曲線の実例である。 図２７は、約３分の２の負荷サイクルを有する搾乳器の稼働曲線の実例である。 図２８は、ベルト駆動を含む搾乳器の修正された駆動部の組み立て斜視図である。

（例示的実施態様の詳細な説明）
本発明は、内側方向及び外側方向のポンプ動作の際に乳房接触カップのふいご構造にポンプ力を与える、バランス型プッシュプル機械的作動装置及びカム駆動システムを有するハンズフリー搾乳器において具体化される。外側方向のポンプ動作時にふいご構造にモーターの力を与えないＧｅｎ−１デザインに対し、Ｇｅｎ−２搾乳器を、内側方向（押す）及び外側方向（引く）の両方の動作の際にふいご構造に幾らかのモーターの力を与えるように構成することで、駆動システムの有る程度のバランスを達成し、従って、Ｇｅｎ−１デザインを超えるバランスを改善する。例えば、内側方向への動作の際にポンプによって与えられる力が、外側方向への動作の際に与えられる力の８０％以内である、比較的高いレベルのバランスを達成する、Ｇｅｎ−２搾乳器におけるこのデザインの特徴が非常に注目されている。図面に示され下記に説明されている特定の実施形態では、Ｇｅｎ−２搾乳器は、例えば、内側方向への動作の際のポンプによって与えられる力が、通常稼働モードで、外側方向への動作の際に与えられる力の９０％以内又はそれ以上である、さらに高いレベルのバランスを達成するように十分に最適化されている。この高レベルのバランスは、回転式電気モーター動力を、作動アームの往復直線動作に変換して所望のポンプ稼働プロファイルを効率的に作成する、搾乳器の乳房カップの弾力性のあるふいご構造及びカム駆動システムの注意深い設計によって達成される。ふいご構造は、内側方向への動作の際に力を貯め（ポンプ力に抵抗し）、外側方向への動作の際に力を解放する（ポンプ力を補助する）スプリングのように作動し、カムトラックの形状は、所望のポンプの稼働プロファイルを作り出すように注意深く設計され、微調整される。

Ｇｅｎ−２搾乳器では、母乳収集システムの主要な部材は、乳房カップ内の空気を移動させ、真空を作り出す、乳首穴（nipple tunnel）（真空室とも呼ぶ）の端部に折り畳めるふいご構造を有するシリコン製の乳房カップを含む。真空室は、内側方向への（陽圧）ポンプ動作の際に開いて空気と母乳を乳首穴から排出させ、次いで外側方向への（陰圧）ポンプ動作の際に閉まって、乳首穴を密封し、乳首穴内に真空を作らせる、シリコン製の一方向弁によって換気される。乳房から絞り出された母乳は、乳房カップから、一方向弁を通り、波形のつぎ板（splint）又は開放ストロー（open straw）（幹とも呼ぶ）に沿って、冷凍庫グレードのポリエチレン製又は類似の母乳回収バッグ中に放出される。搾乳器は、ユーザの乳房とブラ（ブラジャーとも呼ぶ）のカップの間で保持され、回収バッグの幹部及び首はユーザの胸部とブラの下端縁の間を通り、回収バッグの保持領域（小袋部）は、ブラの下に支持される。母乳回収バッグの首の中に差し込む柔軟性のある波状のつぎ板又は開放ストローは、単純なスナップで、搾乳器のハウジングに連結される一方、つぎ板として働き、母乳回収バッグの首に開放通路を保持して、母乳がユーザのブラのピンと張ったバンドの下で母乳回収バッグの保持領域中に移動できるようにする。

Ｇｅｎ−２ポンプ機構は往復直線運動によって作動アームを動かす、回転式電気モーターを含む。作動アームは、乳房カップの乳首穴の端部で、輪縁トップに連結されたディスクに連結されたバーブ（barb）と接触する。乳房カップが、ユーザの乳房によって気密シールを形成したときに、乳首穴は、真空室を形成する。作動アームの直線往復運動は、乳首穴の端部又は端部の近くで、内側方向への動作及び外側方向への動作によって相互にふいご構造を動かす。繰り返しサイクルの中で、内側方向への動作は真空室の容積を部分的に押し潰し、外側方向への動作は容積を回復し、乳首穴内で交互に吸引力を作りだし、開放する。

Ｇｅｎ−２搾乳器は、着脱可能な乳房カップを受け入れ支持するドーム型のハウジングの中に内臓型のポンプユニット及び電源を有する。ハウジングは、ポンプモーター、駆動部、及び１個以上の電池等の電源、並びにポンプの関係する電気的及び機械的な特徴をコンパクトに含んでいる。下記で詳述する実施形態では、例えば、ポンプは、電源として１個のＡＡ電池を用いて許容可能な性能を達成する。乳房カップを受け入れたポンプハウジングは、ユーザの乳房と通常のブラジャーの乳房カップの間に程よくフィットする。電動の駆動部は、手動の駆動機構によって置き換えられてもよい。さらに、電池は、ＤＣ電源に接続された電気プラグ（例えば、自動車の電力供給）又は通常のＡＣ電源コンセントに繋ぐように構成されたＡＣ電源コンバータ等の外部電源へのコネクターによって置き換えることができる。

通常使用モードの内側方向及び外側方向への動作の際に真空室にモーターの力を与える、モーター及び駆動部のバランス型動作は、Ｇｅｎ−１デザインに対するＧｅｎ−２デザインの重要な改善を代表する。事実、Ｇｅｎ−２ポンプはモーターと駆動部の動作の高レベルのバランスを達成し、内側方向及び外側方向への動作の際に、実質的に同量のモーターの力を真空室に与える。この高度にバランスのとれたモーターと駆動部の動作は、モーターと駆動部が必要とする最大量の力を低減し、そしてそれはＧｅｎ−２ポンプが、下位のＲＰＭモーター及びより低いギア比を使用できるようにすると共に、より高いポンプサイクル速度、より低い電力消費、及びより長い電池寿命を達成する。

別のＧｅｎ−２の改善点は、乳房カップ内に吸引力を作り出すふいご構造の設計に見出される。Ｇｅｎ−２のふいご構造は、乳首穴の端部で変形し、
内側方向への動作に対する抵抗を低減し、弾力性のシリコンのより効率的な動きを提供する表面積が実質的に減少している。ふいご構造に与えられるポンプ力の低減を可能にする、低減されたふいご構造の抵抗力は、ふいご構造付近の乳房カップ領域の乳首穴部が押し潰され、たわむことによって失われる真空度を顕著に低減することによって、乳房カップの真空保持率も改善する。伸長された漏斗形状部を有するように、乳房カップの乳房接触部も改善されており、そしてそれは、乳房カップと乳房の間の圧力をより均一に分配させるために、乳房のより広い部分に接触するように乳房表面をさらに伸長している。これにより、その他（otherwise）、搾乳器が乳房を強く押しやすい、きつい又は不均一にフィットするブラジャーから生じる圧点（pressure points）が乳房上にくることを回避する。改善された圧力分散により、乳管が圧縮されないので、乳房からポンプ中への母乳の流れが改善される。

Ｇｅｎ−２の乳房カップは、追加的な堅い支持リング無しでポンプ機構によって与えられる最高の真空度下で、その形状を維持するのに十分に堅い（即ち、乳首穴が部分的に潰れることと、真空度の損失を避ける）ように十分な厚さを有する乳首穴の側壁を含む追加的な改良点を有する。保持リブ（retention rib）及びポンプのハウジング内に乳房カップを保持するデテント機構を含む、乳房カップ保持特徴は、乳房カップのハウジング内での位置から乳房カップを押し出す傾向にある、内側方向への動作の際に与えられるポンプ力に対抗するために、乳房カップの最後尾のふいご構造（即ち、輪縁トップ又は乳首穴の端部の近く）に隣接するように移動されている。乳房カップ支持特徴をふいご構造に隣接させることは、乳房カップの領域における形状保持の補助を提供することを助ける。

背面輪縁周辺部のバーブ（barb）形状の乳房カップ保持リブはまた、使用中のハウジング中での良好な保持を提供すると同時に、ユーザによる挿入を容易にする。乳首穴の外壁上の側面のバーブは、乳房カップがポンプハウジング中に十分に挿入されたことをユーザに知らせる、触知性及び可聴式のフィードバックを提供するデテント機構として機能する。これらのバーブの端部の丸みのある形状は、乳房カップをハウジングから取り外し易くし、乳房カップの寿命を延ばす。一方向弁の埋め込み位置（recessed seating）は、弁が完全に嵌ったときに、ユーザに視覚的な合図を提供し、カップがハウジングに出し入れしたときに、乳房カップの弁の保持を補助する。

乳首穴の内部に関し、ユーザの乳首の端部が「最低位になる（bottoming out）」か、内側方向へのポンプ動作の際に動くふいご構造に取り付けられた乳首穴の端部に輪縁トップが触れる機会を減らすために、真空室の長さは、長くしてある。乳首穴の厚く、堅い側壁は、穴が、外側方向への動作の際に作り出される真空下でユーザの乳首を押し潰し、挟むのを防止する。乳首穴の内部に関し、乳首穴の底面は、そうしないと、こぼれたり無駄になったりするので、母乳が乳首穴の端部に溜まるのを防止するために排出口に向かって下方向に傾斜している。乳首穴領域から出てきた母乳を、母乳回収バッグ中へ効率的に輸送するための排出口へ効果的に流すのを助けるために、乳首穴の底面はまた、乳首穴の底部で、排出口をより大きく、より漏斗形状にする、明確な（distinct）桶又は母乳流路を有する。さらに、母乳が乳首穴から戻り、ユーザの衣服の上に流れる機会を最小限にするために、材料からなる（of material）高い「ダム」が、排出口と乳房カップがユーザの乳房と融合する乳首穴の最前部の間に配置される。

Ｇｅｎ−２デザインのプッシュプル式真空生成作用は、乳首穴の容積の膨張及び収縮の反復可能なレベルを強いることによって、一定した真空度を活発に作り出す。作動アームが輪縁トップを押すことと引くことの両方を可能にする、乳首穴の末端のバーブは、ユーザの特別な介助無しに、作動アームのデテント開口部との係合及びそれからの離脱の両方を行い易いような形状に作られている。乳房カップの型は、十分量のシリコンを乳房カップのディスク保持領域中に流れ込ませ、ディスクを所定位置に保持する材料からなる強い結合層を作り、耐久性のある乳房カップを製造するためのスロットを有する。一方向弁は、母乳をより自由に流し、乳房カップの乳首穴をより効率的に排出させるより大きな開口を有する。

Ｇｅｎ−２ポンプでは、電気機械的動作が、Ｇｅｎ−１デザインの電子的制御駆動部に置き換わっているが、真空度及びサイクル速度の両方の調整はそれでも可能である。Ｇｅｎ−２ポンプのカム駆動システムは、ポンプの複雑さとコストを低減する。さらに、カム駆動システムは、効率を最大にし、ギア及びモーターのストレスを減らすために、カムトラックの形状を注意深く設計することによって制御される、力の分布曲線を有する作動アームのプッシュプル式の往復直線動作を可能にする。正味の利点はポンプのより低いスピードでより静かなモーターによる高いサイクル速度である。より小さなギア比は、Ｇｅｎ−２ポンプが、より少ない数の、よりおおきく、より強固で、かつより静かなギアを利用することを可能にする。Ｇｅｎ−２カム駆動システムによって提供される総ギア比の要求の低減は、より多く歯が表面に接触するより大きなギアを考慮に入れている（allow for）。より高い強度及び信頼性に加え、これらのより大きな歯を有するギアは、さらなる表面接触及びより低い動作速度と組み合わされて、非常に静かな駆動動作を提供する、より柔軟な材料で製造することができる。

Ｇｅｎ−２ポンプはまた、干渉型（interference-based）真空調節機構を有する。具体的には、二つの平行で、部分的に同一平面上にあるスライドパネル（sliding
panels）（即ち、カムフォロア及び作動アーム）が、通常の最大真空動作の際に予圧されて、二つのパネルを一緒に効果的にロックするコイルバネによって接合されている。しかしながら、作動アームパネルの直線的な動きが真空調節機構のシャフトによって邪魔されると、作動アームパネルは最早、カムフォロアパネルの動きと内側に向かって並進しない（translates inward）。その代わり、カムフォロアパネルは、カムギアのカム軌道との関係に従って動き続ける。二つのパネルの並進の差は、二つのパネルのスプリングリンケージの圧縮によって吸収される。予想される通常の使用では、ユーザは、ポンプを最大限の真空度で、真空調節機構による干渉無しに、従って、リンキングスプリングの追加的な強制された圧縮無しで作動させるであろう。従って、通常の使用は最も効率的な動作モードである。カムフォロアと作動アームの間のスプリングリンケージはまた、作動アームの動きが邪魔された場合、例えば、作動アームが外部の物体によってブロックされたり、手動で定位置に保持されたときに、モーター及びギアトレインがひっかかることなく回り続けることができる利点を与える。

次に、図面を見ると、幾つかの図面を通して同じ要素は同じ要素の番号で呼ぶが、Ｇｅｎ−２搾乳器の特定の実施形態は、図面中に示され、付随する文章中で説明される。Ｇｅｎ−２搾乳器は、元のＧｅｎ−１ポンプデザインの成功した技術を利用しており、性能、使いやすさ、製造可能性及び信頼性に関しては顕著に改善されている。Ｇｅｎ−２ポンプの意図される使用は、ユーザの乳房及び通常のブラジャーのカップの間で支持され、母乳回収への全体としてのアプローチは、Ｇｅｎ−１デザインから大きくは変わっていない。一方、Ｇｅｎ−２ポンプメカニズム及び乳房カップは、多数の主な改良を達成するために、実質上設計し直されている。

図１は、授乳婦の乳房１２と授乳婦が身に付けているブラジャーのカップ１４の間の動作位置に保持され、ポンプが活発に授乳婦の乳房から母乳をポンピングしている、ハンズフリーＧｅｎ−２搾乳器１０の側面断面図である。搾乳器１０は、ブラジャーのカップ１４の内側表面と、授乳婦の乳房１２と接触する乳房カップ１８を受け入れる内部ハウジング１９に面したドーム型の外部ハウジング１６を有する。乳房カップ１８は、乳房カップと授乳婦の乳房との間に、乳房カップの底部を通って開口部又は排出口２４によって通気される真空室２２を形成する乳首穴を有する。外部ハウジング１６は、乳房に対して搾乳器を、その作動位置に配置した後に、ユーザに乳首の位置及び状態が見えるように、透明窓（例えば、図２３に示す、着脱可能なカバープレート６５）を有していてもよい。これは、ユーザが乳房に対するポンプの位置を調整し、乳首穴の中心に乳首を持ってくることを可能にし、また、ユーザにポンピング中の乳首を観察できるようにする。これは、例えば、母乳の減少、母乳の流れ及び乳首の陥没への意識を保たせるのを補助できる。

内側方向への動作の際に、ポンプ機構（図１２〜１４に最もよく示されている）は、真空室の末端（輪縁トップとも呼ぶ）に位置する一体化された（モールド成形された）ディスクを押し、真空室の末端又は末端の近くに位置するふいご構造（図９Ａ〜Ｂ、１７及び１８に最もよく示されている）を部分的に押し潰し（内側方向に動かし）、それによって真空室の容積を減らし、真空室内を陽圧にする。外側方向への動作の際に、ポンプ機構は、真空室の上部のディスクに取り付けられたバーブを引っ張って、ふいご構造をその元の形状に回復させ（外側方向に動かし）、真空室の元の容積に戻し、それによって真空室の容積を増やして、真空室内を陰圧にする。一方向弁２０は、内側方向への動作の際に真空室を通気し、外側方向への動作の際に真空室を密封して搾乳動作を起こさせる。絞り出された母乳は、排出口２４を通り、一方向弁２０を通過し、波型の幹部２６の外面に沿って、搾乳器及びブラジャーの底縁部の伸縮性のワイヤ又は他の構造体によって支持された回収バッグ２８中に押し進められる。

図２は、ポンプ機構及び電源、乳房カップ１８、一方向弁２０及び幹部２６を含む、ポンプ筐体（pump enclosure）１５を有する、ハンズフリー搾乳器１０の主な要素を示す分解斜視図である。ポンプ筐体１５は、ドーム型の外部ハウジング１６及び乳房カップ１８を受け入れるように構成された内部ハウジング１９を有する。搾乳器１０は、スライドする出力制御スイッチ３０及び真空制御つまみ３２も有する。この特定の実施形態では、ポンプのサイクル速度に影響を及ぼす出力制御スイッチ３０は、速い、遅い及びオフの３つの設定を有する。真空制御つまみ３２は、フル回転より僅かに小さい回転範囲によって回転し、ポンプ動作の長さを調整することによって真空度を調節してもよい。

図３は、乳房カップ１８が動作位置に組み込まれた、組み立てられたハンズフリー搾乳器１０の斜視図である。図４は、乳房カップが取り外された搾乳器の斜視図である。これらの図は、出力スイッチ制御つまみ３０及び真空度調節つまみ３２も示す。この実施形態は３位式の出力スイッチを有するが、サイクル速度調節機構は、ユーザがポンプのサイクル速度を調節できるようにする、すり板、ダイアル又は多位置選択スイッチ等のより多数の使用可能な速度設定を有していてもよい。サイクル速度調整は、通常は、例えば、抵抗性の分圧器又は電圧制限ダイオードによって、ポンプモーターに印加する電圧を調節することによって達成される。真空度調節つまみ３２は、ユーザが真空の強さ又はポンプによって作り出される吸引力を調節することを可能にする。真空度調整は、この実施形態では、真空度調節つまみ３２に接続されたシャフト上の偏心カム表面によって、ポンプ作動アームの動作長さを調節することによって通常は達成される。真空度調節機構の偏心カムは、選択的にブロックし、それによってポンプ作動アームの動作長さを調節する

図５は、搾乳器の作動アーム３４を取り付ける前の搾乳器１８の斜視図である。乳房カップ１８は、作動アーム３４中の鍵穴又は涙型デテント開口部４０と係合する付属バーブ３８を有するオーバーモールドディスクを有する、乳首穴４６の末端の輪縁トップ３６を有する。図６は、バーブ３８がデテント開口部４０に係合された乳房カップ１８を示す。バーブ３８及びデテント開口部４０は、乳房カップが搾乳器内に受け入れられたときに、バーブがデテント開口部としっかりと係合し、乳房カップが搾乳器から取り外されたときに、バーブがデテント開口部から開放されるように構成される。乳房カップ１８はまた、外側の位置で図５に示されるふいご構造４２を有する。ふいご構造４２は、図６、８、９Ａ、１６、１７及び１９でも外側の位置で示されている。ポンプ機構の内側方向への動作の際に、作動アーム３４は輪縁トップ３６をその内側の位置に押し、それによって、ふいご構造４２が、乳首穴によって形成される真空室の容積を減らし、それによって真空室内を陽圧にする。ふいご構造４２は、図９Ｂ、１８及び２０では、内側の位置で示されている。外側方向への動作の際に、作動アーム３４は輪縁トップ３６をその外側の位置に引き、ふいご構造が真空室の容積を増加し、それによって真空室内を陰圧にするか又は吸引力を生成させる。ふいご構造４２の弾力性が内側方向への動作に抵抗し、外側方向への動作を補助し、ポンプのバランス型動作を助ける。通常の使用モードでは、乳房カップが真空を作ることにより、ふいご構造の元来の弾力性の外側方向への力が、乳房カップ内に作り出された真空の内側方向への力を大きく打ち消し、ポンプ動作のバランスをもたらす。

乳房カップ１８の真空室は、ふいご構造４２の逆の動作の際に生成される高い真空度で押し潰されないように十分に厚い側壁を有する乳首穴４６によって形成される。即ち、乳首穴４６は、支持リング又はポンプハウジング内の他の構造によるさらなる支持無しに、ふいご構造４２の逆の動作を支持するために十分に堅い。これは、追加の支持として別個の支持リングを必要とするＧｅｎ−１の乳房カップの設計に対して大きな改良である。

乳房カップ１８はまた、漏斗型の乳房接触部４８を有し、それは乳房接触表面とそれに関係する圧縮力（圧力）を乳房と乳房カップの顕著に大きな部分に広げる。乳房カップはまた、外側の輪縁領域５０を有し、それは接触部と一緒になって授乳婦の乳房との（with）気密シールを形成する。乳房接触表面領域を広げることは、乳房中の乳管の圧縮による乳汁の流れを制限してしまう望ましくない可能性を減らす。乳房カップ１８は、ふいご構造４２に最も近い乳首穴の外壁の端部に向いて位置している捕捉リブ５３によってポンプハウジング内に保持される。乳首穴の外壁に位置する一対のデテントタブは、「カチッという音がしてはまり」、乳房カップがハウジング中に完全に挿入されたことを示す、はっきりとユーザに聞こえるフィードバックを与える。一方のデテントタブ５２ａは図５に示され、反対側のデテントタブは、乳首穴４６の反対側に位置する。両方のデテントタブ５２ａ及び５２ｂは、図１５及び１６に示されている。

図７は、乳首穴４６、乳房接触部４８、外側の輪縁領域５０、及び一方向弁を受け入れる排出口２４が見える乳房カップ１８の斜視図である。図８は、乳房カップ１８の側面図である。図９Ａは、外側の位置にある輪縁トップ３６が見える乳房カップ１８の断面側面図である。図９Ｂは、内側の位置にある輪縁トップ３６を有する乳房カップ１８を示す同様の図である。内側方向へのポンプ動作の際に、搾乳器の作動アームが図９Ａに示す外側の位置から輪縁トップ３６を図９Ｂに示す内側の位置に押し、それによって乳房カップとユーザの乳房によって形成される真空室の内側が陽圧となる。内側方向への動作の際に、排出口２４に位置する一方向弁が陽圧を解消し、母乳を乳房カップから排出口を通って吐き出す。外側方向へのポンプ動作の際に、搾乳器の作動アームが、図９Ｂに示す内側の位置から輪縁トップ３６を図９Ａに示す外側の位置に引張り、それによって真空室の内側に陰圧（吸引力）を生じさせる。外側方向への動作の際に、排出口２４に位置する一方向弁は、排出口を密封し、真空室内の陰圧（吸引力）を持続させ、ユーザの乳房から母乳を絞り出すのを促進する搾乳動作を起こさせる。前述したように、ふいご構造４２は、乳房カップが通常モードで循環的に動作し、外側方向への動作の際に吸引力を生成し維持し、内側方向への動作の際に一方向弁によって開放された排出口を通って母乳を絞り出しているときに、ポンプ機構が輪縁トップ３６に与える力の量が、内側方向及び外側方向へのポンプ動作の際で実質的に同じになるように、弾力性をもって内側方向への動作に抵抗し、外側方向への動作を補助する。

図１０及び１１は、搾乳器１０の内部構造の斜視図である。これらの図面は、外部ハウジング１６、動力スイッチ制御つまみ３０、及びポンプの外に位置する真空度調節つまみ３２を示す。ハウジングの内側に、乳房カップは、電源５２、本実施形態では１本のＡＡ電池、によって電力を供給されるポンプ機構５０を有する。ポンプ機構５０は、モーター５４及び駆動部５６を有し、それらは図１２の組み立て図及び図１３及び１４の展開図により明確に示されている。モーター５４の回転運動を作動アーム３４の往復直線運動に変換する駆動部５６は、騒音低減のための多数の衝撃吸収套管によってポンプハウジングに取り付けられているモータープレート６０によって支持される。モータープレート６０は、モーターを支持し、カムフォロア７２及び作動アーム３４のそれぞれを受けるためのスライドチャンネル又はスライドスロット６８及び７０とともにギア支持材６２、６４及び６６を有する。モーター５４はピニオンギア８０を駆動し、第１ギア支持材６２によって支持される駆動ギア８２と噛み合い、駆動ギア８２は、第２ギア支持材６４によって支持される変換ギア（translation gear）８４と噛み合い、変換ギア８４は、第３ギア支持材６６によって支持されるカムギア８６と噛み合う。

カムギア８６の表面は、カムフォロア７２上のカムフォロアピン９２と噛み合い、カムギアの回転運動をカムフォロアの直線運動に変換するカムトラック９０（図２４及び２５に示されている）を含む。カムフォロア７２は、コイルバネ９４によって作動アーム３４と噛み合い、そしてそれは、作動アームが拘束されないときに、作動アームを駆動するのに必要な力を支持するのに十分に堅い。カムフォロア７２は、バネ９４と接続する突起７３を有し、突起は、作動アーム３４のバネ通路９５（図１４に示される）内に収まる。コイルバネ９４は、作動アーム３４の動きが抑圧されたときに、カムフォロア７２がその動きの範囲で移動できるように縮む。特に、作動アーム３４の動きは、作動アームの動作を制御する、真空度調節つまみ３２によって駆動されるカムシャフト９６（図１３に示される）によって選択的に抑圧される。カムシャフト９６は、真空度調節つまみ３２が回されるに連れて、作動アーム３４の利用可能な行程の変化量をブロックする、偏心カム表面を有する（又はカムシャフトの中心に対して半径が異なる複数の平らな接触面を含んでいてもよい）。

真空度調節の提供に加え、作動アーム３４とカムフォロア７２の間の駆動リンケージにおけるコイルバネ９４の配置は、作動アーム３４が他の障害物によって手動によりブロックされたとき、例えば、作動アームが動かなくなるか、又は人の手で押さえつけられたときでも、カムフォロアがその動きの全経路を通して往復運動し続けることを可能にする。従って、コイルバネ９４は、駆動部及びモーターにストレス軽減を提供し、作動アームをブロックすることによって手動で動かなくすることはできない。これは、失速（stalling）等の作動アームが動かなくなること、モーターをオーバーヒートさせ得る潜在的な過電流状態、ギアの剥がれ（stripping）、ギア支持材の破壊、モータープレートのたわみ若しくは破壊等によるポンプへの損傷の可能性を回避する有益な設計上の特徴である。コイルバネ９４はまた、例えば、最高で２５０ｍｍＨｇといった、ポンプが生み出せる最大真空度を制限するように選択することができる。それにより、ポンプ動作の際に授乳婦の乳房に圧力を掛けすぎることへの有益な安全策が提供される。

図１５は、乳房カップ１８の端面図であり、図１６は、ふいご構造４２、乳首穴４６、乳房接触部４８、外部輪縁領域５０、デテントタブ５２ａ−ｂ、一方向弁を受け入れる排出口２４、輪縁トップ３６及びバーブ３８が見える乳房カップの底面図である。図１７は、外側の位置の輪縁トップ３６及びバー部３８を有する乳房カップ１８の斜視図である。この図では、排出口２４中の作動位置にある一方向弁２０も見える。図１８は、内側の位置の輪縁トップ３６を有する乳房カップ１８の斜視図である。図１９は、外側の位置の作動アーム３４及び輪縁トップ３６が見える、乳房カップ１８が取り付けられた搾乳器１０の斜視図である。図２０は、内側の位置の作動アーム３４及び輪縁トップ３６が見える、乳房カップ１８が取り付けられた搾乳器１０の斜視図である。

図２１は、弁２０、幹部２６及び回収バッグ２８がそれぞれの作動位置に組み込まれた搾乳器１０の斜視図である。回収バッグは、幹部２６を受け入れる長い首２７を有する。回収バッグの首の中に受け入れられた幹部は、ポンプ筐体（pump enclosure）の開口部中に延びており、そしてそこで、回収バッグの首は、幹部の最上部とポンプ筐体との間の位置に捕獲される。筐体は、乳房カップの排出口に対して幹部の最上部を保持し、乳房カップの排出口２４から回収バッグの容器部分への、母乳が漏れない移動経路を提供する。図１に示すように、回収バッグの長い首の中に受け入れられた幹部２６は、回収バッグの容器部分又はポーチがブラジャーの下に吊るされ、ブラジャーによって支持されるように、ブラジャーの底部とユーザの胸部の間を通る。幹部及び回収バッグの首がブラジャーの底部及びユーザの胸部の間に十分しっかりと捕らえられ、母乳回収バッグの容器部分を手や他の支持装置を用いることなくブラジャーの下に支持する場合であっても、幹部２６の横の範囲を横切る波形は、母乳が、ブラジャーの底部のそばを通って幹部の外側に沿って輸送されることを可能にする。回収バッグ２８はまた、首２７からバッグの容器部分中に延びるとじ目（seams）２９を有する。これらのとじ目は、母乳が入っている回収バッグが、幹部２６がバッグから取りはずされて、その側方に横たえられた（laid on its side）ときに、回収バッグから母乳がこぼれるのを防止する。この母乳回収システムは、Ｇｅｎ−１デザインで非常にうまくいくことが証明されており、従って、Ｇｅｎ−２デザインでも、幾つかの有益な改良を伴って維持されている。

図２２は、弁２０、幹部２６及び回収バッグ２８がそれらの作動位置に組み込まれた搾乳器１０の別の斜視図である。図２１及び２２では、外部ハウジング１６に取り付けられる着脱可能なカバープレート６５（図２３に示す）は、透明であるか、又は乳房カップ１８の上部及び作動アーム３４との接触面が見えるように取りはずされる。カバープレート６５は、取り付けられているときに、作動アームと乳房カップの係合領域で、ユーザがポンプの内側を見られるように透明であってもよい。シリコン製の乳房カップもまた、実質的に透明なので、ユーザは乳首及び母乳の流れをカバープレート又は窓６５を通して観察することができる。そして、カバープレート又は窓６５は、作動アームと乳房カップの間の係合領域に物理的にアクセスできるように着脱可能であってもよい。これは、必要ならば、作動アームが乳房カップと適切に係合されていることを確実にするために、ユーザが、バーブ３８及び作動アーム３４中のデテント開口部４０の間の接触面を観察し、調整することを助ける。搾乳器の内側のハウジング１９は、ユーザが搾乳器を乳房上で適切に位置決めするのを助けるために、上から搾乳器の乳房と乳首穴の接触面を見ることができるように、電源スイッチ及び真空制御つまみに隣接した、追加的な透明窓を搾乳器筐体の上に有していてもよい。所望ならば、搾乳器の筐体全体が、内部のポンプ要素が最もよく見えるようにし、搾乳器を乳房上で適切に位置決めするのを助けるために、透明な材料で作られていてもよい。

図２３は、主要な要素及び付属品を示した、分解された搾乳器１０の特定の実施形態の斜視図である。搾乳器の付属品は、乳房カップ１８、一方向弁２０、幹部２６及び回収バッグ２８を有している。駆動部の要素は、モータープレート６０、モーター５４のドライブシャフトに取り付けられるピニオンギア８０、駆動ギア８２、変換ギア８４、及びカムギア８６を有している。モータープレート６０のギアポストは、モータープレートの材料中に鋳造されていてもよいし、ステンレスピン等の挿入物であってもよい。カムギア８６は、カムフォロア７２を、カムスロット９０（図２４及び２５に示す）に乗るカムフォロアピン９２（図１３及び１４に示す）によって駆動する。この実施形態では、カムフォロアピン９２は、自己潤滑性の表面を提供し、カムスロットとカムフォロアピンの摩擦を低減し、カムギアの寿命を延ばすために、ＴＥＦＬＯＮ（登録商標）又は他の好適な材料をしみ込ませたＮＹＬＯＮ（登録商標）で作られていてもよいスリーブ１１２で覆われる。カムフォロア７２は、コイルバネ９４によって作動アーム３４に結合される。フード３３は、防音（sound proofing）及び液体又は他の汚染物が入らないようにシールするために、作動アーム３４を覆う。モータープレート６０は、騒音を低減するために、ブッシュ（bushings）２５によってポンプ筐体に搭載される。

乳房カップの調節要素は、偏心カムシャフト９６を駆動する、真空制御つまみ３２を有する。カムシャフトは、真空度調節をするために作動アーム３４の動作の一部を選択的にブロックする一方、作動アーム及びカムフォロア７２の間の結合中のコイルバネ９４は、カムシャフトによって作動アームの動作の一部がブロックされるか否かに関係なく、カムフォロアが全動作範囲を動けるようにする。耐水性のガスケット１１０は、真空制御つまみ３２と搾乳器のハウジングの間の界面をシールする。電力制御つまみ３０は、ネジ１１２でハウジングにしっかり固定されている、３位式（three-position）電力制御スイッチ１１６を操作する。耐水性のガスケット１１４は、電力制御つまみ３０と搾乳器のハウジングの間の界面をシールする。

乳房カップの電気要素は、モーター５４、電池５２、及びスイッチ１１６によってモーターを電池に電気的に接続するための配線１１８を有する。電池は、ポンプハウジング中のソケット中にはまるスプリング型の電池端子（battery terminal）９７と、ハウジング中のソケットにはまるｃ−チャンネル１２０によって支持される板バネ型の電池端子２１によって電気的に接続される。

搾乳器ハウジングの要素は、乳房カップ１８を受け入れる内側ハウジング１９、ユーザのブラジャーの乳房カップの内面に向きあうドーム型の外側ハウジング１６、及び着脱可能な電池カバー２３を有する。外側ハウジング１６は、着脱可能な（かつ、所望ならば、透明な）カバープレート又は窓６５を有する。内側ハウジング１９はまた、ハウジングの上部の、真空度制御つまみ３２及び電力制御つまみ３０の下に、透明な窓を有していてもよい。

図２４は、丸いやや膨らんだ形状を有し、所望のポンプ動作曲線を作り出すカムトラック９０が見える搾乳器のカムギア８６の正面図であり、図２５は、その斜視図である。前述したように、カムトラック９０の形状は、所望の吸引−解放比又は負荷サイクル（duty cycle）を含む所望の特性を有する動作曲線を作り出すように、正確に選択できる。図２６は、約１／２の負荷サイクルを有する搾乳器に関する実例の動作曲線１００である。図２７は、約２／３の負荷サイクルを有する搾乳器に関する実例の動作曲線１０２である。図に示すように、動作曲線１００は、約１：１の吸引−解放比（即ち、吸引時間＝ｘ、解放時間＝ｘ）を有するのに対し、動作曲線１０２は、約２：１の吸引−解放比（即ち、吸引時間＝２ｙ、解放時間＝ｙ）を有する。図２４及び２５を参照すると、動作曲線１００、１０２の形状は、カムトラック９０の形状によって制御され、モーター及びギアトレインの動作可能範囲内でカムトラックの形状を変化させることによって調整することができる。乳房カップのギアトレイン及びふいご構造の動的特性もまた、搾乳器の性能に影響を与える。

さらに図８、９Ａ−Ｂ及び１５−１８に示される乳房カップ及び図２４及び２５に示されるカムトラックの形状と共に図２６及び２７を参照すると、搾乳器の性能は、一般に、駆動部における高いバランスを有する乳房カップを設計することによって最適化され、乳房カップ１８のふいご構造４２は、正常な動作条件での外側方向への動作とほぼ同じ力の量を内側方向の動作の際に必要とする。２５０ｍｍＨｇの陰圧までは、外側方向への動作（一方向弁が閉じている場合）で生成され、一方、内側方向への動作（一方向弁が開いている場合）では、絞り出された母乳が一方向弁を通って回収バッグへ排出するために、ほんの小さな陽圧が必要とされる。一方、ふいご構造のシリコンは、内側方向への動作に抵抗し、ふいごは、弾力性によって元の形状に戻るので、外側方向の動作を補助する。即ち、ふいご構造は、内側方向への動作の際に力を貯め、外側方向への動作の際に力を解放するバネのように働く。この構成により、正常な動作条件で、ふいご構造が、外側方向への動作の際と内側方向への動作の際がほぼ同じ最大量を必要とする場合に、一般に最適化され、最少の最大電力消費量及び比較的安定したモーターの電流プロファイルをもたらす。

ポンプが許容可能に動作するためには正確な電力最適化は必要ではないが、ポンプ動力学を考慮することは、エンジニアが、搾乳器の基本的な設計基準に合った効率的なポンプデザインを得るために、利用可能な設計上のパラメーターの中から選択することを可能にする。設計上の目標は、２５０ｍｍＨｇを超えない、それに近い最大吸引力を含み、２１０〜２４０ｍｍＨｇの範囲の最大吸引力が、許容可能な結果を得るために求められる。約２／３の負荷サイクルを有する動作プロファイルは、生きた（live）乳幼児の測定された吸引−解放プロファイルとほぼ一致しているため、望ましいと考えられる。そして、１／２〜２／３の範囲の負荷サイクルを有する動作プロファイルは、許容可能な結果をもたらすと期待される。ポンプは、乳幼児とほぼ一致する約６０サイクル／秒で動作すべきであり、４５〜６５サイクルの範囲のサイクル速度が、許容可能な結果をもたらすと期待される。Ｇｅｎ−２デザインによる実験によって、本出願に記載した実施形態が、これらの設計基準に合致し、生きた授乳婦に関して許容可能に動作することが確認される。

より具体的には、これらの設計の目標は、５０デュロメーター（durometer）のシリコンから製造され、図８、９Ａ−Ｂ及び１５−１８に示される乳房カッププロファイル、約７．５〜８．５ｍｍの範囲の作動アームの直線動作を作り出す図２５及び２６に示されるカムトラックの形状、及び１．５ＶのＡＡ電池１個で駆動されるモーターを用いて達成され得る。搾乳器のこの特定の実施形態に関しては、モーターは、２．４Ｖの直流電流及び７，７００ｒｐｍ（例えば、マブチＦＦ−１８０ＳＨモーター）で評価され（rated for）てもよい。モーターの動作スピードは、モーターにかけられた負荷の関数であり、例えば、抵抗電圧分配器又は電圧制限ダイオードの使用によって、約１．０〜１．５ボルトの範囲に渡って印加される電圧を調整することによってさらに制御できる。真空度調節は、作動アームの動作を選択的にブロックし、それにより約６〜８ｍｍの範囲で制御するカムシャフトによって制御できる。カムフォロアと作動アームの間の駆動部のコイルバネは、乳房カップによって高められる吸引力が、約２５０ｍｍＨｇ以下に制限されるように選択すべきである。

ポンプの動作音は、駆動ギアに５０デュロメーターのウレタン等の比較的柔軟な材料を用いることによって軽減することができる。さらに騒音を軽減することが望まれるならば、図２８に示すように、ピニオンギアと駆動ギアの間の噛み合わせを、ベルト駆動部によって置き換えてもよい。それ以外のギアは、５０デュロメーターのウレタンであってもよいし、又はＮＹＬＯＮ（登録商標）又は他の好適な材料から製造されていてもよい。ＴＥＦＬＯＮ（登録商標）を含浸したＮＹＬＯＮ（登録商標）等の自己注油材料からのギアの製造も望ましい。ギアの歯は、適用可能な図面に示されるように駆動部のがたがたいう音を最小限にするように形作られているべきであり、ギアは、機械によって切る、射出成形する、又は別の好適な方法によって製造することができる。ハウジングは、許容可能な強度及び耐久性を示す、ＬＥＸＡＮ（登録商標）等の所望の形状に射出成形するのに好適な材料から作ることができる。

モータープレートは、ＬＥＸＡＮ（登録商標）等の同様の材料から製造してもよく、ギアの支柱は、モータープレートの一部として成型されていてもよいし、ステンレスのピン等の金属製のインサートであってもよい。モータープレートとハウジングの間の付着点のブッシュは、ゴム又はＮＥＯＰＲＥＮＥ（登録商標）若しくはこの目的に好適な他の任意の材料等の合成材料から作ることができる。曲がりを生じ得るので、カムフォロア及び作動アームがスライドする、スライドチャンネル又はスロットを締め付ける形で、モータープレートが曲がらないように十分に堅いことが重要である。曲がらないようにするために、スライドチャンネルは、ステンレス等の金属インサートによって補強され、堅さを増しててもよい。作動アーム及びカムフォロアは、ＵＬＴＥＭ（登録商標）、ＮＹＬＯＮ（登録商標）又は他の好適な材料からなっていてもよく、ＴＥＦＬＯＮ（登録商標）を染み込ませたＮＹＬＯＮ等の自己注油材料もこれらの要素に望ましい。カムフォロアのピンは、カムフォロアの部分として成型されていてもよい。カムフォロアピンは、ステンレス等の好適な材料から作られたスリーブによって覆われていてもよいし、又はステンレスのピン等の金属インサートであってもよい。カムフォロアピンは、ポンプの通常動作の際に、カムフォロアピンとカムギアのカムスロットの間の摩擦を低減するために、ＴＥＦＬＯＮ（登録商標）を染み込ませたＮＹＬＯＮ又は同様の材料からなるスリーブを有していてもよい（carry）。

図２８は、モーター駆動ギアと主駆動ギアの間にベルト駆動部１０６を有する搾乳器のための修正された駆動部１０４の組み立てられた斜視図を示す。ベルト駆動部は、駆動部によって生成される騒音をさらに低減する。

上記説明に照らせば、本発明が搾乳器の顕著な改善を提供することが理解されるであろう。上記説明は本発明の例示的な実施形態にのみ関係し、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲を離れることなく、多様な変更がその中でなされてもよいと理解すべきである。

Claims (20)

1. 内側方向へのポンプ動作及び外側方向へのポンプ動作によって往復運動をするポンプ機構を支持するハウジング、
   成人の乳房を受け入れることで気密シールを形成するように構成された接触部を備える前記ポンプ機構と係合されたハウジングによって支持されるように構成された乳房カップ
   とを有し；
   前記乳房カップと乳房が、内側方向へのポンプ動作の際に圧縮されて容積が減少し、外側方向へのポンプ動作の際に拡張されて容積が増加するように構成された真空室を形成し；
   前記乳房カップがさらに、
   乳房から絞り出された母乳を放出する排出口、
   前記真空室が内側方向へのポンプ動作の際に圧縮されて前記真空室内が陽圧になったときに、母乳が前記排出口を通過できるように前記真空室を通気する（vent）一方向弁
   を備え、
   前記一方向弁はさらに、前記真空室が外側方向へのポンプ動作の際に拡張されて、前記真空室内が陰圧になったときに、前記真空室を密封することにより、乳房から母乳を絞り出す搾乳動作を作り出し；
   前記ポンプ機構が、内側方向へのポンプ動作の際に前記真空室を圧縮する力を付与し、外側方向へのポンプ動作の際に前記真空室を拡張する力を付与するバランスのとれた（balanced）駆動システムを備えた搾乳器。
2. 前記ハウジングと乳房カップが、成人の乳房とブラジャーの乳房カップの間で支持されるようにサイズ調整され、構成され、前記搾乳器が乳房から母乳を積極的にポンピングし、母乳を前記排出口から絞り出す、請求項１に記載の搾乳器。
3. 前記ハウジング及び乳房カップが、手又は他の支持装置の援助無しで前記ブラジャーによって支持されるようにサイズ調整され、構成される、請求項２に記載の搾乳器。
4. 前記ハウジングが、前記ポンプ機構に電力を供給するための電池を受け入れるように構成されている、請求項３に記載の搾乳器。
5. 前記ハウジングが、前記ポンプ機構に電力を供給するための電池コードを受け入れるように構成されている、請求項４に記載の搾乳器。
6. 前記真空室が、内側方向への動作の際に前記ポンプ機構によって付与される力に抵抗し、外側方向への動作の際に前記ポンプ機構によって付与される力を補助する弾力性のふいご構造を有する、請求項１に記載の搾乳器。
7. 内側方向への動作の際の通常動作の前記ポンプ機構によって付与される力が、外側方向への動作の際の前記ポンプ機構によって付与される力の８０％以内である、請求項６に記載の搾乳器。
8. 前記一方向弁が、前記乳房カップの前記排出口内に脱着可能に受け入れられる、請求項１に記載の搾乳器。
9. 前記乳房カップが、前記ハウジング内に着脱可能に受け入れられる、請求項１に記載の搾乳器。
10. さらにモーター、及び前記モーターの回転運動を、前記乳房カップと着脱可能に係合し、内側方向へのポンプ動作の際にふいご構造を押して前記真空室を圧縮し、外側方向へのポンプ動作の際に前記ふいご構造を引っ張って前記真空室を拡張させる、作動アームの直線状の往復運動に変換するカムギアを有する、請求項１に記載の搾乳器。
11. さらに、前記作動アームの動きの一部を選択的にブロックし、内側方向及び外側方向へのポンプ動作の距離を調整し、前記真空室によって生成される陰圧量を調整する真空調節機構を有する、請求項１０に記載の搾乳器。
12. さらに、真空調節機構が、前記カムギアの回転をブロックすることなく、前記作動アームの動作の一部を選択的にブロックできるようにする、前記カムギアと作動アームの間の動力伝達のスプリングリンケージ（spring linkage）を有する、請求項１１に記載の搾乳器。
13. 前記真空調節機構が、カムシャフトの回転に対応する前記作動アーム動作の変化量を選択的にブロックする偏心カム面を有するカムシャフトを有する、請求項１２に記載の搾乳器。
14. 前記ハウジングが、乳房が前記乳房カップの前記接触部に受け入れられたときに、ユーザの乳房の乳首が見えるようにする透明窓を有する、請求項１に記載の搾乳器。
15. さらに、前記乳房カップから絞り出された母乳を回収するための母乳回収容器を有する、請求項１に記載の搾乳器。
16. 前記母乳回収容器が、細長い首及び前記首と液体が流れるように接続された容器部分を有する母乳回収バッグを有する、請求項１５に記載の搾乳器。
17. さらに、前記乳房カップの排出口と液体連通された結合端及び前記回収バッグの細長い首の中に受け入れられる幹部を有する母乳導管を有し、前記ブラジャーが、手又は他の支持装置の援助無しに、前記ハウジング、前記乳房接触面の輪縁、前記母乳導管、及び前記母乳回収バッグを支持する、請求項１６に記載の搾乳器。
18. 前記回収バッグの細長い首の中に受け入れられる母乳導管が、前記ブラジャーの下縁と前記ブラジャーを着用するユーザの身体の間を通過するように構成されている、請求項１７に記載の搾乳器。
19. 前記母乳導管の幹部が、伸長した寸法及び縮小した寸法を規定し、前記幹部が、前記縮小した寸法を横切る確定していない波形を規定する、請求項１８に記載の搾乳器。
20. 前記母乳回収バッグの容器部分が第１及び第２の側面を有し、前記母乳回収バッグが前記細長い首の中に受け入れられた前記母乳導管無しに、前記第１又は第２の側面に水平に横たえられたときに、前記容器部分の中に含有される母乳が細長い首から漏れるのを防止するための、前記母乳回収バッグの容器部分の一部の中に前記第１及び第２の側面を一緒に封じる１以上の縫い目を有する、請求項１６に記載の搾乳器。

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