JP5111549B2 - 電解水の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩酸などが添加された原料水を電気分解して次亜塩素酸水や塩素水などの電解水を製造する電解水の製造方法に関する。
電解水は、食塩水(塩化ナトリウム)や塩酸水溶液など、塩化物イオンを含有する原料水を電解槽内で電気分解することによって製造されるものである。電解水中には塩化物イオンの陽極酸化によって生成される塩素や次亜塩素酸、次亜塩素酸塩などが含有されており、電解水は殺菌や消毒等の効果を有する。
また、ナトリウム塩の含有量が少なく微酸性(pH4〜6)を呈する電解水として、希釈した塩酸水溶液の無隔膜電解槽内における電気分解により得られるものが知られている。この種の電解水は、例えば、水に次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合に比して、低塩素濃度であっても殺菌や消毒等の効果が高く、また、毎回使用する度に細かい濃度調整を行なう必要がない点で優れている。
一般に、電解水の製造においては、電解槽に印加する電気エネルギーの量に対して塩素の発生量が高いことが、効率の上で望ましいとされている。なお、この場合の効率とは、電解槽に投入した電力の1Whあたりに塩素が発生する量(mg)で表わされ、「電力効率」と称される。
このような電力効率は、可及的に高いほうが好ましいことは言うまでもないが、一方、原料となる電解質の消費量についても、所定の塩素量を発生させるために必要な電解質の消費量は、可及的に少ないほうが運転の効率が良いということができる。
なお、以下の説明においては、このような電力効率の高低や原料となる電解質の消費量などをまとめて、「電気分解の効率」と表現する場合がある。
電解水は、実際の工程においては、例えば、殺菌、洗浄、鮮度保持等の種々の目的に使用されているが、この場合、使用する電解水の有効塩素濃度が変動した場合には、殺菌、洗浄、鮮度保持等の効果もまた変動してしまう。従って、電解水製造装置の運転は、塩素の発生量が可及的に変動しない運転であること、即ち取得した電解水の有効塩素濃度が所定の範囲内に維持されていることが好ましいとされる。このため、電解水製造装置を運転する際には、生成する電解水の有効塩素濃度が可及的に一定になるように運転条件を設定し、また制御することが好ましいのである。
従来の電解水製造方法としては、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の電解水製造方法は、電解促進のための食塩水を上水と円滑に混合するため、上水の液流によるベンチュリ効果を利用して食塩水を吸引するエジェクターを備えており、エジェクターによって食塩水が混合された上水を電解槽に供給して電気分解し、電解水を製造するようになっている。
また、特許文献2には、供給配管を流れる水道水等の原水を電解殺菌する目的で、供給配管内に噴出嘴を設け、噴出嘴の上流側と下流側とを支流管で接続し、支流管の途中に拡散式食塩添加装置と無電解式電解槽とを設けた水電解消毒装置が記載されている。この水電解消毒装置は、供給配管を流れる原水の一部を支流管に自然分岐させるため、噴出嘴の前後に生じる圧力差を利用しており、支流管を流れる分岐原水に食塩を連続拡散させる定量ポンプ又は加圧ポンプ、及び/又は食塩水を無隔膜式電解槽に強制供給する定量ポンプ又は加圧ポンプ、等を一切使用しないことを特徴としている。
特開平9−253648号公報 特開2001−113278号公報
従来の電解水製造方法では、可及的に電力効率を高くすることが求められており、また、原料となる電解質の消費量も可及的に少なくして効率的な運転をすることが求められており、このような希望をより満たすことができる方法が待望されていた。
一方、従来の電解水製造方法では、運転を継続するうちに電解槽の温度が上昇することがある。電解槽の温度が上昇すると、電極等の経時的劣化により装置の寿命が短くなるという問題がある。また、電解槽の材質は、塩素等の腐食に耐える材質として塩化ビニル系の材料が使用されることが多いが、塩化ビニル系は電解槽の温度が上昇しすぎると耐熱性の関係で好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より電力効率が高く、原料となる電解質の消費量が少なく、しかも、運転中の電解槽の温度上昇を抑制できる電解水の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、原料水を電解槽内で電気分解して電解水を生成する電解水の製造方法であって、前記電解槽の内部において電解槽の入口から出口への流れを保つように前記原料水を通液するとともに、前記電解槽の内圧を−0.04MPa未満の負圧に維持することを特徴とする電解水の製造方法を提供する。
本発明の電解水の製造方法においては、前記電解槽の入口側に定量送水手段を設けて前記原料水を一定の流量で前記電解槽に供給するとともに、前記電解槽の出口側に吸引手段を設けて前記電解槽の内部を吸引することが好ましい。
本発明によれば、電解槽の入口から前記原料水を前記電解槽に供給し、電解槽の内部で原料水の流れを保ちながら原料水を連続的に電気分解しつつ、電解槽の内圧を−0.04MPa未満の負圧にする。これによって電極に発生した水素ガス等の不溶性ガスを吸引して電解槽の外に素早く排出し、電気分解の効率を向上させることができる。これにより、熱に変換される電力を抑制できるので、電解槽の温度上昇が抑えられ、電極や電解槽等の経時的劣化などの不都合を抑制することができる。
本発明に使用される電解水製造装置の一形態例を示す概略構成図である。 本発明に使用される電解水製造装置におけるエジェクタの一例を示す(a)縦断面図、(b)駆動流体入口側の端面図、(c)被駆動流体入口側の端面図、(d)出口側の端面図である。 本発明に使用される電解水製造装置の改変例を示す概略構成図である。 試験例1における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化を示すグラフである。 試験例2における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化を示すグラフである。 試験例3における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化を示すグラフである。 試験例4における電解槽の内圧と電解水の有効塩素濃度の関係を示すグラフである。 試験例4における電解槽の内圧と電解水のpHの関係を示すグラフである。 試験例5における電解槽の内圧と電解水の有効塩素濃度の関係を示すグラフである。 試験例6の試験番号6−1における電解水の有効塩素濃度およびpHならびに電極の温度の経時的変化を示すグラフである。 試験例6の試験番号6−2における電解水の有効塩素濃度およびpHならびに電極の温度の経時的変化を示すグラフである。
以下、本発明に係る電解水の製造方法について説明する。
本発明において、電解槽内で電気分解される原料水は、塩化水素や塩化ナトリウムなど、電離によって塩化物イオンを生じる電解質を含有するものが用いられる。このような原料水は、塩酸水溶液や食塩水等の電解質水溶液を希釈水で適当な濃度に希釈して用いることが好ましい。
原料水の希釈に用いられる希釈水は、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水が好ましい。ここで、「実質的に塩化ナトリウムを含有しない」とは、原水に人為的なナトリウムの添加等が無く、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であることを意味している。
原料水として塩酸水溶液のみを用いることは好ましい態様であり、この場合、実質的にナトリウム塩を含有しない次亜塩素酸水を製造することができる。また、原料水として食塩水を用いた場合、強酸性次亜塩素酸水(いわゆる強電解水)を製造することができる。
実質的にナトリウム塩を含有しない次亜塩素酸水は、必要に応じて電気分解後に希釈水で再度希釈することにより、微酸性(pH4〜6)を呈する微酸性次亜塩素酸水の調製に用いることができる。微酸性次亜塩素酸水は、有効塩素濃度が比較的低くても良好な殺菌や消毒の効果が得られること、微酸性であるため自然水により近い物性を有していることなどの点で優れている。従って、本発明においては、実質的に塩化ナトリウムを含有しない状態で塩酸水溶液を原料水として用いることが好ましい。
ここで「実質的に塩化ナトリウムを含有しない状態で」の意味は、電解槽に通液するまでに人為的に塩化ナトリウムを添加することがないということである。この場合、希釈水や塩酸に自然に含有されている微量の塩化ナトリウムは考慮しない。
塩化ナトリウムが人為的に添加されていないということは、電解槽に通液される塩酸水溶液のナトリウムイオン濃度が、もとの希釈水又は塩酸に含有されていたナトリウムイオン濃度を超えることがないことを意味している。一般に、希釈水又は塩酸は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であるから、希釈した塩酸水溶液も、ナトリウムイオン濃度は200ppm以下である。
希釈した塩酸水溶液の塩化水素濃度は、電解槽中で適切な反応を起させるためには0.01%(質量%。以下、特に断りのない限り同じ。)以上であることが望ましく、特に0.1%以上であることが推奨される。ただし、経済性や安定した反応の進行を追及する場合には、塩化水素濃度は1.0%以上21.0%以下であることが望ましい。
上述のような原料水を電解槽に供給し、陰極と陽極との間を通過させて電気分解する。
本発明において、電解槽としては、その内部に原料水が入口側から出口側へと流れを保ちながら通液される連続式電解槽が用いられる。また、電解槽の入口側(上流側)に定量送水手段を設けて原料水を一定の流量で電解槽に供給するとともに、電解槽の出口側(下流側)に吸引手段を設けて電解槽内の液を吸引する。
電解槽は、例えば、陰極と陽極との間に隔膜を有しない無隔膜電解槽であることが好ましい。この無隔膜電解槽は、単極式のものであっても良いが、複極式の無隔膜電解槽であることが望ましい。
一般に、無隔膜電解槽の中で複数の電極を結線する方式としては、単極式と複極式の2種類がある。単極式とは、電極の全てが電源の正極又は負極に接続される方式であり、複極式とは、例えば、複数の電極を一定間隔で重ね合わせ、相互に絶縁した構造を有しており、電源の正極に接続された陽極(即ちアノード)と、電源の負極に接続された陰極(即ちカソード)との間に、いずれの極とも接続されない中間電極が少なくとも1枚存在する方式である。
なお、電気分解の際には、電極1対あたりの電圧は1.5V以上4.0V以下であることが望ましい。複極式無隔膜電解槽の場合は、前記のようにカソードとアノードとの間に中間電極が存在しているが、「電極1対あたりの電圧」とは、カソード、アノード、及び中間電極を含めて、隣り合った2枚の電極の間の電圧を意味する用語である。
一般に、電極1対あたりの電圧を上げていくと、1.3V以上で塩素が発生し始め、1.5V以上で最大の発生量に達する。従って、電極1対あたりの電圧は1.5V以上が望ましい。また、電圧が4.0Vを超えると、酸素が発生し始め、5.0Vを超えるとオゾンが発生し始める。オゾンの発生は望ましくないため、電圧は5.0V以下が望ましい。また、酸素の発生は電力の無駄になるため、電圧は4.0V以下が特に望ましい。なお、電圧は、経済上の観点からは、3.0V以下であることが好ましい。少なくとも、オゾンの発生は作業環境の面で好ましくないため、電圧は5.0V以下が望ましく、使用する電解水は特にオゾンのない電解水であることが好ましい。
電解槽内で原料水を電気分解すると、原料水中の塩化物イオンが酸化されて塩素が発生するとともに、水または塩化水素に由来する水素イオンの還元により、水素が発生する。塩素は水に溶解しやすく、水と反応して次亜塩素酸を生成する。これに対して水素ガスは水溶性が低いので、液相の中で気泡等として存在する。
本発明では、電解槽の出口側に吸引手段を設けて電解槽内の液を吸引することにより、電解槽の内圧が負圧となる状態に維持する。これにより、電解槽内の気相が電解槽外へ素早く排出されやすくなる。このとき、気相とともに液相も電解槽外へ排出されるが、定量送水手段により電解槽への原料水の供給流量を一定に維持するので、電解槽内の液相の量を維持することができ、電気分解の効率を向上することができる。
すなわち、電解槽として連続式電解槽が用いられ、電解槽の上流に原料水を一定の流量で電解槽に供給する定量送水手段が設けられ、電解槽の下流に電解槽の内部を吸引する吸引手段が設けられている電解水製造装置は、電解槽の内部に程度の高い負圧を生じさせるとともに、この負圧を安定的に維持しながら運転することに適している。
運転中、電解槽の内圧は、−0.04MPa未満に維持する。この場合、電気分解を極めて効率良く進行させることができる。電解槽内で安定した気液混相流が得られ、気相の排出が促進されるものと考えられる。電解槽内圧が−0.0999MPa程度以下の高真空範囲であると、設備費が高価になるおそれがある。
特に好ましい電解槽内圧は−0.099MPa以上−0.05MPa以下であり、この範囲内であれば、電解効率の向上効果をより確実に得ることができる。
前記電解槽の出口は、可能な限り電解槽の上方の位置で開口させることが好ましい。これにより、電極の表面で発生したガスが出口から排出されやすくなり、電解槽内部での滞留を抑制することができる。
また、電解槽内において電極は、電極間に形成される流路が鉛直方向に連通するように設置することが好ましい。これにより、電解槽内での流体の流れを円滑にし、ガスが電極間の空間に滞留して流路を狭めることを抑制することができる。
前記吸引手段としては、エジェクタや吸引ポンプ等を用いることができる。吸引手段は電力のエネルギーを利用した電動ポンプであってもよいが、経済性や装置の小型化などの点では、希釈水を駆動流体とするエジェクタを用いることが好ましい。エジェクタを用いると、希釈水の運動エネルギーを有効利用できるのみならず、電解水と希釈水との混合をエジェクタ内で効果的に行うことができる。
前記定量送水手段としては、定量ポンプや加圧ポンプ等を用いることができる。塩酸水溶液等の電解質水溶液を希釈水で希釈したものを原料水として用いる場合、電解質水溶液を希釈水で希釈してなる原料水の流量を一定に維持する方法を用いることができるほか、希釈水の流量に対して電解質水溶液の流量が充分に小さい場合は、希釈水の流量を定量送水によって一定に維持する方法を用いても同等の効果を得ることができる。
電解槽から電解水を排出した後は、電解水を取得する。なお、電解槽から排出された電解水を希釈した後で取得しても良い。一般に、電解水の製造においては、塩素濃度が高い水を少量だけ製造し、その後これを希釈して使用することが経済性の上からは望ましいためである。従って、電気分解した後は、希釈した上で電解水を採取することが好ましいのである。
電解水の希釈に用いられる希釈水は、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水が好ましい。
電解水の希釈の度合いは、pHが4.0以上、好ましくは4.5〜7.0の範囲から逸脱しないようにし、有効塩素濃度が10〜30ppmの範囲になるように希釈することが好ましい。
なお、有効塩素濃度は、オルトトリジン法(日本薬学会編、「衛生試験法・注解1980」、第746頁、金原出版株式会社、1980年3月20日)又はヨウ素滴定法(社団法人日本水道協会、「上水試験方法・1993年版」、第218〜219頁、平成5年11月15日)によって測定することが可能である。
吸引手段の下流には混合器を設けることが好ましい。これにより、塩素の水への溶解を促進することができる。電解槽から排出された電解水を希釈する場合には、さらに電解水と希釈水との混合をも促進することができる。
混合器としては、スタティックミキサーのような静的な混合器が好ましいが、撹拌子や撹拌羽根等を回転させるなどの動的な混合器であってもよい。また、吸引手段と混合器とが一体的に設けられた器具を採用することも可能である。
また、電解水は、中和剤により中和しても良い。このような中和剤としては、アルカリ性の薬品が好適であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を使用することができるが、水酸化ナトリウムが最も望ましい。このように電解水を中和する場合は、中和剤の添加は、希釈の前であっても後であっても良いが、後の方が望ましい。
次に、本発明の電解水製造方法の実施形態例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に用いられる電解水製造装置の一形態例を示す概略構成図である。図1に示す電解水製造装置1は、希釈水入口11から流入した希釈水が通水される第1の希釈水流路10と、第1の希釈水流路10から分岐されて電解槽40に希釈水を供給する第2の希釈水流路20と、塩酸タンク31に貯留された塩酸水溶液が通液される塩酸流路30と、原料水を電気分解する電解槽40と、電解槽40から排出された電解水が通液される電解水排出路51とを有している。
第1の希釈水流路10には、希釈水入口11から流入した希釈水中のごみなどを分離するストレーナ12と、このストレーナ12の下流側で希釈水の流量を測定する流量計13と、この流量計13の下流側で希釈水流路10を開閉する電磁弁14と、電磁弁14の下流側で希釈水流路10内の希釈水の圧力を測定する第1の圧力計15と、第1の圧力計15の下流側で希釈水の流量を一定に調整する定流量弁16と、定流量弁16の下流側で希釈水流路10内の希釈水の圧力を測定する第2の圧力計17と、第2の圧力計17の下流側で希釈水の逆流を阻止する逆止弁18とが設けられている。また、逆止弁18の下流側には必要に応じて希釈水を排出するためのドレン10aが分岐されており、このドレン10aは開閉弁10bによって開閉可能になっている。この開閉弁10bとしては、例えば、通電により流路を開くソレノイドバルブが用いられ、通常運転時には閉鎖させておく。
第2の希釈水流路20は、第1の希釈水流路10のストレーナ12と流量計13との間から分岐されており、電解槽40まで配設されている。図1に示す電解水製造装置1の場合、第2の希釈水流路20の途中には希釈水を貯留する希釈水タンク21が設けられている。希釈水タンク21はタンク内の希釈水のレベルを検出するレベルスイッチ22を備える。希釈水タンク21の上流側および下流側には、第2の希釈水流路20を開閉するための開閉弁23,24が設けられている。また、希釈水タンク21とその下流側の開閉弁24との間からは、開閉弁20bを備えるドレン20aが分岐されている。
開閉弁24の下流側には、希釈水を一定の流量で電解槽40に供給する定量送水手段25としての希釈水ポンプが設けられており、希釈水ポンプ25の下流側には、希釈水の逆流を阻止する逆止弁26が設けられている。
塩酸タンク31はタンク内の塩酸水溶液のレベルを検出するレベルスイッチ32を備えている。塩酸流路30は、塩酸タンク31の下流側で塩酸流路30を開閉する開閉弁33と、塩酸タンク31内の塩酸水溶液を電解槽40に供給する塩酸ポンプ34と、塩酸ポンプ34の下流側で塩酸水溶液の逆流を阻止する逆止弁35とを備えている。
電解槽40は、原料水が入口41側から出口42側へと流れを保ちながら通液される連続式電解槽である。図示した電解槽40は、電源43の正極に接続された陽極44(アノード)と、電源43の負極に接続された陰極45(アノード)と、陽極44および陰極45の間に設置された中間電極46とを備えた複極式電解槽であり、これらの電極44,45,46は塩化ビニルなどからなす電解槽本体47に収容されている。電解槽40の入口41には、第2の希釈水流路20を介して供給される希釈水と塩酸流路30を解して供給される塩酸水溶液とを合流させる合流器48が設けられている。
電解槽40の入口41は電解槽本体47の下部に、出口42は電解槽本体47の上部に設けられており、電極44,45,46は鉛直方向に立ち上がるように配設されている。
電解槽40の出口42側には電解水排出路51を介して吸引手段60が接続されている。吸引手段60は電解槽40からガスとともに電解水を吸引して電解槽40の内圧を負圧に維持するものである。
図1に示す形態例において吸引手段60は、電解水排出路51と第1の希釈水流路10との合流箇所に設けられたエジェクタであり、第1の希釈水流路10から供給される希釈水を駆動流体として電解水を吸引するとともに、電解水と希釈水とを混合して電解水を希釈するようになっている。
図2に、本発明に用いられる電解水製造装置で使用可能なエジェクタ60の一例を示す。このエジェクタ60は、駆動流体入口61から流入された駆動流体を内部に形成された噴射口62から噴射させることによって負圧を発生し、この負圧を利用して被駆動流体を被駆動流体入口63から吸引し、駆動流体および被駆動流体を出口64から排出するものである。ここで駆動流体は第1の希釈水流路10から供給される希釈水であり、被駆動流体は、電解槽40から排出された電解水とガスとの混合物である。
エジェクタ60の構造をさらに詳しく説明すると、このエジェクタ60は、一端に駆動流体入口61が形成されるとともに他端に噴射口62が形成された第1部材65と、噴射口62に対面して受け口66aを有するとともに受け口66aとは反対側の端部に出口64を有する第2部材66と、第1部材65および第2部材66が互いに向かい合うように嵌合される第3部材67とから構成され、第3部材67の側部には被駆動流体入口63を有する側管部67aが突設されている。第1部材65の噴射口62側の端部の外面はテーパ状に縮径しており、第2部材66の受け口66aの内径は第1部材65の噴射口62側の端部の外径よりも大きくなっていて、その隙間68を通って被駆動流体が受け口66aへと流入できるようになっている。
吸引手段60の出口は、希釈水によって希釈された電解水が電解水出口53まで通液される希釈電解水流路52に接続されている。希釈電解水流路52は、吸引手段60の下流側に設けられた混合器54と、混合器54の下流側で希釈電解水流路52の本流から分岐して再度合流するバイパス管55と、バイパス管55の流れを開閉する開閉弁56と、バイパス管55を流れる電解水のpHを測定するpH計57とを備えている。
上記の電解水製造装置1の動作は以下のとおりである。
希釈水入口11から希釈水を流入させると、希釈水の一部は第2の希釈水流路20に分岐して希釈水タンク21に貯留される一方、希釈水の残部は第1の希釈水流路10を送水され、定流量弁16によって一定の流量に調整されてエジェクタ60の駆動流体入口61に流入する。エジェクタ60では希釈水の液流によって負圧が生じ、電解槽40の内部を負圧の状態に維持する。
希釈水タンク21に貯留された希釈水は、希釈水ポンプ25によって第2の希釈水流路20を一定の流量で送水される。
また、塩酸タンク31に貯留された塩酸水溶液は、塩酸ポンプ34によって所定の流量で塩酸流路30を送液される。塩酸水溶液と希釈水は合流器48で混合され、塩化物イオン濃度が適切に調整された原料水とされた後に電解槽40に流入する。
電解槽40に流入した原料水は、電解槽40の入口41から出口42までを流れる間に電極44,45,46間を流通し、電圧を印加されて電気分解される。この際、電極44,45,46から発生する水素ガスなどの余分なガスは、電解水とともにエジェクタ60によって吸引され、電解槽40から速やかに排出される。
電解槽40から排出された電解水は、エジェクタ60において第1の希釈水流路10を送水された希釈水と混合され、混合器54を経て均一に混合された後、希釈電解水流路52を通って電解水出口53から排出される。電解水と希釈水の混合比を適切に調整すれば、電解水出口53から排出された状態で使用に適した電解水を取得することも可能である。電解水出口53から取得された電解水は、必要に応じて、適当な有効塩素濃度となるように希釈したり、中和剤を添加してpHを調整することもできる。電解水出口53から取得された電解水を直ちに使用する必要がない場合は、図示しない電解水タンクに一時的に貯留してもよい。
以上説明したように、本形態例の電解水の製造方法によれば、電解槽40の内部を負圧(−0.04MPa未満)に維持して運転することにより、電解槽40内で発生した水素ガス等の不溶性ガスを吸引して電解槽40の外に素早く排出し、電気分解の効率を向上させることができる。これにより、熱に変換される電力を抑制できるので、電解槽の温度上昇が抑えられ、電極や電解槽等の経時的劣化などの不都合を抑制することができる。
なお、本発明に用いられる電解水製造装置1によれば、吸引手段60として、第1の希釈水流路10と電解水排出路51の合流箇所にエジェクタが設けられているので、第1の希釈水流路10から供給される希釈水の運動エネルギーを有効利用できる。
吸引手段60の下流に混合器54が設けられているので、塩素の水への溶解や電解水と希釈水との混合を促進することができる。
電解槽40の出口42が電解槽本体47の上部に開口されているので、電極の表面で発生したガスを出口42から排出することが容易になり、電解槽40内部にガスが滞留することを抑制することができる。
電解槽40の各電極板44,45,46が鉛直方向に立ち上がるように配設されているので、電極44,45,46間の空間が上方に開放され、ガスが電極44,45,46間の空間に滞留することを抑制することができる。
電解槽40の入口41が陽極44側に、出口42が陰極45側に設けられているので、電解槽40内部での原料水の滞留時間を確保し、原料水に含有された塩化物イオンの電解酸化を効率よく進行させ、塩素や次亜塩素酸の収率を向上することができる。
電解槽の上流側で塩酸水溶液と混合される希釈水を希釈水タンクに一時的に貯留してから電解槽に送水することができるので、希釈水ポンプ25(定量送水手段)の上流側における希釈水の流れをより安定にすることができ、流量の制御をより確実に行うことができる、また、希釈水入口11からの希釈水の流量が一時的に減量することなどがあったとしても、第2の希釈水流路20側の希釈水の流量を確実に維持することができる。
なお、本発明に用いられる電解水製造装置は、図3に示すように、希釈水タンク21を省略することも可能である。図3において、図1に示す符号と同一の符号は、図1に示す構成と同一又は同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する場合がある。
図3に示す改変例に係る電解水製造装置1Aでは、第2の希釈水流路20は、第1の希釈水流路10の逆止弁18とドレン10aとの間から分岐されており、定量送水手段25としての希釈水ポンプと、その下流側に設けられた逆止弁26とを有する。
このような電解水製造装置1Aによれば、図1に示す電解水製造装置1と同様に、電解槽40の内部を負圧に維持して運転することが容易になり、電解槽40内で発生した水素ガス等の不溶性ガスを吸引して電解槽40の外に素早く排出し、電気分解の効率を向上させることができる。これにより、熱に変換される電力を抑制できるので、電解槽の温度上昇が抑えられ、電極や電解槽等の経時的劣化などの不都合を抑制することができる。
また、希釈水タンク等を省略して、電解水製造装置1Aの構成を簡略化することができるので、電解水製造装置1Aの設置スペース等を節約することができる。
本発明の効果を確認するため試験例を実施したので、以下に説明する。
まず、後述の各試験例において、原水および/または電解水の各種物性を測定する際に用いた測定方法を以下に示す。
(pHの測定方法)
横河電機株式会社製のpHメータ(型番PH81 No.62852)または株式会社堀場製作所製のpHメータ(型番B−211 No.8010214)を用いて測定した。
(硬度の測定方法)
株式会社共立理化学研究所製のドロップテスト試薬(型番WAD−TH)を用いて全硬度を測定した。
(希釈水の流量の測定方法)
横河電気株式会社製電磁流量計(AXF050G、No.S5D603536 431)を用いて測定した。
(使用塩酸)
クリーン化学工業社製、ピュアスターメイト21(塩化水素21%)を使用した。
(ヨウ素滴定法による電解水の有効塩素濃度の測定方法)
[試薬類]
・0.01mol/L滴定用チオ硫酸ナトリウム規定液溶液
・ヨウ化カリウム水溶液(小さじ2杯を水100mLに溶解し、褐色びんに保存したもの)
・酢酸水溶液(水で半分に希釈し、褐色びんに保存したもの)
・可溶性澱粉水溶液(大さじ1杯を湯100mLに溶解し、冷蔵したもの)
[器具類]
・ビュレット(簡易にはピペットまたはシリンジで代用可能)
・三角フラスコ(呼び容量300mLまたは500mL)
・スポイト3個(それぞれヨウ化カリウム水溶液専用、酢酸水溶液専用、可溶性澱粉水溶液専用とする。)
・メスシリンダー(200mLの計量が可能なもの)
[操作手順]
1.メスシリンダーを用いて電解水200mLを測りとる。
2.測りとった電解水を三角フラスコに移す。
3.スポイトを用いて電解水にヨウ化カリウム水溶液を1滴加えて撹拌する(混合後に黄色を呈すること)。
4.スポイトを用いて電解水に酢酸水溶液を1滴加えて撹拌する。
5.フラスコを回して混ぜる。
6.ビュレットにチオ硫酸ナトリウム規定液を入れて、液面の読みを記録する(このときの読みをa mLとする)。
7.ビュレットのコックを徐々に開き、三角フラスコを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム規定液を滴下する(液の黄色がだんだん薄くなる)。
8.液の黄色が薄くなったら、スポイトを用いて澱粉水溶液を1滴加えて撹拌する(混合後に紫色を呈すること)。
9.液の紫色が消失するまでチオ硫酸ナトリウム規定液の滴下を続け、紫色が消失したときの液面の読みを記録する(このときの読みをb mLとする)。
10.有効塩素濃度[ppm]を計算式 (b−a)×1.77 により計算する。
(試験例1)
図3の構成を有する電解水製造装置1Aを用い、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとし、電解槽の内圧が−0.05MPaに維持されるように調整して電解水の製造を行った。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。用いる希釈水の硬度およびpHを測定したところ、硬度は90であり、pHは7.36であった。
電解電圧42V、電解電流1.6Aとして電解水製造装置を連続運転した。9:30から16:30までの7時間にわたり、電解水出口から吐出される電解水を30分おきに取得し、電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
また、運転開始後と運転終了前に塩酸タンクのレベルを測定し、これに基づいて運転中に使用された塩酸の消費量を算出した。6時間23分の間に塩酸が0.69kg消費されており、塩酸タンク内の塩酸水溶液の消費量は1時間あたり0.108kgであった。
試験例1の結果を表1に示す。図4は、試験例1における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
(試験例2)
第1の希釈水流路と電解水排出路との合流箇所にエジェクタが設けられていない従来の電解水製造装置を用い、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとして電解水の製造を行った。用いる希釈水の硬度およびpHを測定したところ、硬度は80であり、pHは7.05であった。用いた塩酸水溶液の濃度は、試験例1と同じである。
電解電圧42V、電解電流1.7Aとして電解水製造装置を連続運転した。9:30から16:30までの7時間にわたり、電解水出口から吐出される電解水を30分おきに取得し、電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
また、運転開始後と運転終了前に塩酸タンクのレベルを測定し、これに基づいて運転中に使用された塩酸の消費量を算出した。7時間30分の間に塩酸が1.59kg消費されており、塩酸タンク内の塩酸水溶液の消費量は1時間あたり0.212kgであった。
試験例2の結果を表2に示す。図5は、試験例2における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
(試験例1と試験例2の結果の対比)
試験例1と試験例2の結果を比較すると、有効塩素濃度が約15ppmの電解水を製造するために必要な塩酸消費量は、試験例1は試験例2の約半分で済んでいることが分かる。このことから、本発明の電解水の製造方法は、従来の電解水製造装置に比べて電気分解の効率が極めて良いことが確認された。
(試験例3)
図3の構成を有する電解水製造装置1Aを用い、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとし、電解槽の内圧が−0.05MPaに維持されるように調整して電解水の製造を行った。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。用いる希釈水の硬度およびpHを測定したところ、硬度は85であり、pHは7.13であった。用いた塩酸水溶液の濃度は、試験例1と同じである。
電解電圧42V、電解電流2.6Aとして電解水製造装置を連続運転した。9:00から16:30までの7時間30分にわたり、電解水出口から吐出される電解水を30分おきに取得し、電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
また、運転開始後と運転終了前に塩酸タンクのレベルを測定し、これに基づいて運転中に使用された塩酸の消費量を算出した。7時間45分の間に塩酸が1.42kg消費されており、塩酸タンク内の塩酸水溶液の消費量は1時間あたり0.183kgであった。
試験例3の結果を表3に示す。図6は、試験例3における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
試験例3の結果によれば、本発明の電解水の製造方法によって有効塩素濃度が約30ppmの電解水を製造するために必要な塩酸消費量は、従来の電解水製造方法によって有効塩素濃度が約15ppmの電解水を製造するために必要な塩酸消費量よりもやや少ない程度であった。このことから、本発明の電解水の製造方法は、従来の電解水製造方法に比べて電気分解の効率が極めて良いことが確認された。
(試験例4)
図3の構成を有する電解水製造装置1Aにおいて、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとして電解水の製造を6回行った(それぞれ試験番号4−1〜4−6と呼ぶことにする)。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。
電解槽の内圧を測定しつつ、電解槽の内圧を種々変化させて運転し、電解水出口から吐出された電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
なお、試験例4の運転を実施している間、希釈水の硬度は80〜85の範囲内であり、希釈水のpHは6.4〜7.2の範囲内であった。
試験例4の結果を表4および表5に示す。図7は、試験例4における電解槽の内圧と電解水の有効塩素濃度の関係をグラフに表したものである。図8は、試験例4における電解槽の内圧と電解水のpHの関係をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
Figure 0005111549
電解槽の内圧を−0.04MPa未満の圧力まで下げて運転した場合には、−0.04MPa以上で運転した場合に比べて、電解電流および電解電圧が同等であっても、有効塩素濃度が上昇しており、かつpHの値も低下している。すなわち、電解槽の内圧を−0.04MPa未満の圧力まで下げて運転すれば、電気分解の効率が向上することが明らかである。なお、電気分解の効率の向上の効果をより確実に得るためには、電解槽の内圧を−0.05MPa以下に下げて運転することが好ましい。
(試験例5)
図3の構成を有する電解水製造装置1Aにおいて、希釈水入口から流入される希釈水の流量を10000L/hとして電解水の製造を4回行った(それぞれ試験番号5−1〜5−4と呼ぶことにする)。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。
電解槽の内圧を測定しつつ、電解槽の内圧を−0.03MPaと−0.09MPaの2通りに変化させて運転し、電解水出口から吐出された電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
なお、試験例5の運転を実施している間、希釈水の硬度は85〜100の範囲内であり、希釈水のpHは6.5〜6.7の範囲内であった。
試験例5の結果を表6に示す。図9は、試験例5における電解槽の内圧と電解水の有効塩素濃度の関係をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
電解槽の内圧を−0.09MPaに下げて運転した場合には、−0.03MPaで運転した場合に比べて、電解水の有効塩素濃度が約1.5倍になっており、換言すれば電力効率が約1.5倍にも上昇しており、電気分解の効率が高いことが明らかである。すなわち、電解槽の内圧を−0.04MPa未満の圧力まで下げて運転すれば電気分解の効率が向上するという試験例4の結果が、希釈水流量10000L/hの場合においても追認された。
(試験例6)
図3の構成を有する電解水製造装置1Aにおいて、希釈水入口から流入される希釈水の流量を10000L/hとして電解水を製造した。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置し、電解槽40に陽極44および陰極45の温度を測定するための温度計を設置した。
試験番号6−1として、電解槽の内圧が−0.03MPaに維持されるように調整して運転し、電解水出口から吐出された電解水のpHおよび有効塩素濃度、ならびに陽極および陰極の温度を測定した。
なお、試験番号6−1の運転に際して、希釈水の硬度およびpHを測定したところ、希釈水の硬度は75であり、希釈水のpHは6.4であった。
試験番号6−1の結果を表7に示す。図10は、試験番号6−1における電解水の有効塩素濃度およびpHならびに電極の温度の経時的変化をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
試験番号6−2として、電解槽の内圧が−0.09MPaに維持されるように調整して運転し、電解水出口から吐出された電解水のpHおよび有効塩素濃度、ならびに陽極および陰極の温度を測定した。
なお、試験番号6−2の運転に際して、希釈水の硬度およびpHを測定したところ、希釈水の硬度は65であり、希釈水のpHは6.4であった。
試験番号6−2の結果を表8に示す。図11は、試験番号6−2における電解水の有効塩素濃度およびpHならびに電極の温度の経時的変化をグラフに表したものである。
Figure 0005111549
試験番号6−1の結果と試験番号6−2の結果の比較から分かるように、電解槽の内圧を−0.09MPaに下げて運転した場合には、−0.03MPaで運転した場合に比べて、電解水の有効塩素濃度が大きいため、電気分解の効率が高いことが明らかである。
また、電極の温度についてみれば、運転開始から1時間以上経過した段階で、内圧−0.03MPaの場合には55℃以上に上昇しているのに対し、内圧−0.09MPaの場合には32〜37℃程度までしか上昇していない。しかも内圧−0.09MPaで運転した場合には、9:55〜10:15の20分間に陽極温度は+3.0℃、陰極温度は+3.5℃上昇しているのに対し、10:15〜10:45の30分間では陽極温度は+0.6℃、陰極温度は+1.1℃しか上昇しておらず、運転を継続するにつれて温度の上昇が鈍化する傾向を示した。すなわち、本発明の電解水の製造方法を用いることにより、電解槽の温度上昇が抑制されることが明らかである。
従って、本発明によれば、温度の影響が大きいとされる電極の寿命が大幅に延びることになるため、メンテナンスの作業負担やコスト負担を低減することができる。
1,1A…電解水製造装置、10…希釈水流路、25…定量送水手段(希釈水ポンプ)、
40…電解槽、41…電解槽の入口、42…電解槽の出口、44,45,46…電極、5
4…混合器、60…吸引手段(エジェクタ)。

Claims (2)

  1. 原料水を電解槽内で電気分解して電解水を生成する電解水の製造方法であって、
    前記電解槽の内部において電解槽の入口から出口への流れを保つように前記原料水を通
    液するとともに、前記電解槽の内圧を−0.04MPa未満の負圧に維持することを特徴
    とする電解水の製造方法。
  2. 前記電解槽の入口側に定量送水手段を設けて前記原料水を一定の流量で前記電解槽に供給するとともに、前記電解槽の出口側に吸引手段を設けて前記電解槽の内部を吸引することを特徴とする請求項1に記載の電解水の製造方法。
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