JP5110460B2 - アトピー性皮膚炎用外用剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カテキン類を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎用外用剤に関する。
近年、食生活の欧米化、大気汚染、ストレス過多等の原因によりアレルギー患者が急増している。国民の30%から40%が何らかのアレルギー疾患にかかっているとも言われている。医療費への負荷を考えたとき、日常摂取する飲食品でアレルギーの軽減を図ることが強く求められており、多数の抗アレルギー飲食品が開発されている。中でも生まれてくる子供の1/3がかかると言われているアトピー性皮膚炎に関しては、特に強い関心がもたれている。
アトピー性皮膚炎とは、表皮、中でも角層の異常に起因する皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常を伴い、多彩な非特異的刺激反応及び特異的アレルギー反応が関与して生じる掻痒を伴う皮膚における慢性的な炎症をその病態とする湿疹・皮膚炎群の一疾患をいう。その原因としては、体質的なものと環境的なものとが絡んでいると考えられているが、詳細な原因は不明である。
症状や経過には個人差が大きいものの、従来では、乳幼児期に始まり成人になれば治ると考えられていた。しかし、最近では成人になってから発症する人も増えている。また、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など他のアレルギー疾患を併発することが多く、伝染性膿痂疹(とびひ)などの感染症、白内障、網膜剥離等が起こる場合もある。
アトピー性皮膚炎は、遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であるため、疾患そのものを完治させることができる薬物療法はなく、対症療法を行うことが原則となる。現時点において、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤はステロイド外用剤(副腎皮質ホルモン)である。しかし、ステロイド外用剤は、医師の指導の下適切に使用しなければ副作用が出る場合がある。
具体的な副作用としては、細胞の増殖抑制によるものが圧倒的に多く、皮膚萎縮、ステロイド紫斑、ステロイドざ瘡、ステロイド潮紅、酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎、毛細血管拡張等が挙げられる。従ってステロイド外用剤を使用する場合は副作用を熟知し、常に副作用の発生を念頭におきながら使用しなければならない。
また、ステロイド以外の外用剤としては、非ステロイド系消炎剤外用剤(NSAID外用剤)があるが、抗炎症作用が極めて弱く、その適応範囲は狭い。更に、最近使用が開始された外用剤として、移植免疫抑制薬タクロリムスの外用剤がある。このタクロリムス外用剤は、ステロイド外用剤と同等の効力があると言われている(ステロイド3群に匹敵)。特に顔や首など皮膚の薄い部分での効果があり、顔の赤みや首の湿疹の治療に向いている。
しかし、タクロリムス外用剤は、使用開示直後から灼熱感等の刺激症状が副作用として現れ、慣れるまでに時間がかかる。また、皮膚の免疫力の低下による皮膚感染症がまれに発症する場合がある。さらに、長期使用における有用性や安全性が必ずしも確認されているわけではないため、医師の指導の下慎重に使用しなければならない。
このような事情のもと、ステロイド剤やタクロリムス外用剤を使用せずにアトピー性皮膚炎の症状を抑制する方法も検討されている。中でもカテキン類は花粉症のアレルギー症状の改善に有効であることが知られている。カテキン類とは、緑茶特有のタンニン又はポリフェノールの一種であり、緑茶の味を決める主成分の一つである。このカテキン類は、抗酸化作用、動脈硬化抑制作用、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用等、多様な作用があることが実証されている(非特許文献1)。
茶葉に含まれるエピガロカテキン−(3−O−メチル)ガレート、エピガロカテキン−(4−O−メチル)ガレートは強い抗アレルギー効果が報告されている。そのため、特許文献1ではこれらを有効成分として含有する経口剤が開示されている。また、カテキン類もTh2型サイトカインの産生を抑制する作用を有するため、特許文献2では、茶カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、エスクリン、クエルセチン、ナリンゲニン、ナリンギン、ケンフェロール、ヘスペリジン、リンゴ果皮抽出物、白樺茸エキス、ブドウ種子エキスを有効成分として含む食品が開示されている。
村松敬一郎編 「茶の科学」朝倉書店(2000) 特開2000−159670号公報 特開2004−75619号公報
上記の経口剤は、副作用が無いものの、患部への即効性は低い。一方、一般に外用剤は、患部への即効性を有している。そのため、カテキン類を含有する外用剤が望まれていた。しかしながら、カテキン類は酸化されやすく、長時間安定して存在させることは困難である。また、カテキン類を豊富に含有する茶葉から抽出した抽出物を添加して外用剤を製造した場合、カテキン類と同時に抽出されるクロロフィルのような他の化学成分の酸化により外用剤の色が黒っぽく変色してしまう。そのため、上記のようにカテキン類が含有されている経口薬はあってもヒトの皮膚から経皮吸収させる外用剤を作ることは困難であった。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、カテキン類を安定な状態で有効成分として含有するアトピー性皮膚炎用外用剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「おくむさし」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「紅花」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまみどり」、「からべに」、「香駿」、「そうふう」及び「おくみどり」、もしくはこれらの混合物の茶葉の抽出物を有効成分量含有するアトピー性皮膚炎用外用剤。
上述のように、カテキン類は、抗酸化作用、動脈硬化抑制作用、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、殺菌作用、抗菌作用、消臭作用等様々な効果を有する。(1)の発明によれば、カテキンを豊富に含む茶葉の抽出物を、外用剤に有効成分量含有したことによって抗菌作用及び抗アレルギー作用の強い外用剤を提供することができる。また、(1)の発明に係る外用剤を患部に塗布することによって、患部の雑菌の繁殖を抑制することができ、弱っている皮膚のバリアー機能を補うことができる。これによって、ステロイドやタクロリムス外用剤を使用することなく痒みや湿疹等のアトピー性皮膚炎の症状を緩和することができる。
ここで「有効成分量」とは、抗アレルギー作用を奏する有効成分が、十分な効果を奏すると判断される場合の含有量をいう。具体的には、外用剤1g当たり茶葉抽出物を2mgから100mg、好ましくは2mgから50mg含有することをいう。
(2) 前記茶葉抽出物は、下記の一般式(1)で示されるメチル化カテキンを主成分とする(1)に記載のアトピー性皮膚炎用外用剤。
Figure 0005110460
[R,R,R,Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基のいずれかであり、X,Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基のどちらかである。]
カテキン類の中でも一般式(1)で示されるメチル化カテキンは特に強い抗アレルギー活性を有する。従って(2)の発明によれば、茶葉抽出物の主成分をメチル化カテキンとしたことによってより即効性のある外用剤を提供することができる。
ここで「メチル化カテキン」とは、上記一般式(1)で示されるものであり、メチル化されたカテキン及び精製の際の不可避成分をいう。本発明におけるメチル化カテキンは主として、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、EGCG3”Meという)、エピカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、ECG3”Meという)、エピカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、ECG4”Meという)、エピガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、EGCG4”Meという)、ガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、GCG3”Meという)、カテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、CG3”Meという)、カテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、CG4”Meという)、又は、ガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、GCG4”Meという)及びこれらの異性化体を含むことが好ましい。
(3) 前記茶葉抽出物を、製剤1g中に2mgから100mg含有する(1)又は(2)に記載のアトピー性皮膚炎用外用剤。
(3)の発明によれば、茶葉抽出物の含有量を上記の量としたことによって、カテキン類が外用剤中で抗アレルギー作用を奏することが可能となる。含有量が製剤1g中に2mg未満であると十分な抗アレルギー作用を奏することができない。また、含有量が100mgを超える場合は、外用剤中に安定して存在させることができず、長期保存が困難な場合もある。また、クリームの場合にはその乳化状態が破壊されてしまう場合がある。更により強い抗アレルギー作用を奏するためには、茶葉抽出物中のメチル化カテキンの含有量を、製剤1g中に2mgから100mgとすることが好ましく、2mgから50mgであることがより好ましい。
(4) 「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「おくむさし」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「紅花」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまみどり」、「からべに」、「香駿」、「そうふう」及び「おくみどり」、もしくはこれらの混合物の茶葉を30℃から60℃で抽出する抽出工程と、この抽出工程により得られた抽出物を、30℃から60℃で濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程により得られた茶葉濃縮物を、20℃から60℃で外用剤基材に混合する混合工程と、を有するアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
上述のようにカテキン類は酸化されやすいため、十分な抗アレルギー作用を奏するためには外用剤中でも安定して存在していなければならない。カテキン類は100℃付近の高温で効率よく抽出されるものの、このような高温ではカテキン類の熱異性化が生じてしまう。熱異性化されたカテキン類は抗アレルギー活性が向上するものの、変色してしまい外用剤へ添加したときの外観が好ましくない。また、保存性が低下してしまい長期保存が困難となってしまう。従って(4)の発明によれば、茶葉を抽出する際にその抽出温度を30℃から60℃としたことによって、外観を損なうことなく、かつ、長期保存に耐え得るアトピー性皮膚炎用外用剤を提供することができる。
(5)前記抽出工程後にクロロフィルを除去するクロロフィル除去工程を更に有する(4)に記載のアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
クロロフィルは光エネルギーを吸収するための物質で、クロロフィルa、クロロフィルb、クロロフィルcの三種類の物質が存在する。このクロロフィルが外用剤中に存在すると、塗布した患部が光を吸収してしまうため、光過敏性の患者にとっては余計症状が悪化してしまうおそれがある。従って(5)の発明によれば、抽出工程でカテキン類と一緒に抽出されるクロロフィルを除去する工程を設けたことによって光過敏性の患者も安心して使用することができる外用剤を提供することができる。
本発明によれば、カテキン類を豊富に含む茶葉の抽出物を、外用剤に有効成分量含有したことによって抗菌作用及び抗アレルギー作用の強い外用剤を提供することができる。これによって、患部の雑菌の繁殖を抑制することができ、弱っている皮膚のバリアー機能を補うことができ、ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤を使用することなく痒みや湿疹等のアトピー性皮膚炎の症状を緩和することができる。
本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤は、茶葉の抽出物を濃縮した茶葉濃縮物を外用剤基材に混合して得られる。以下、その製造方法について詳しく説明するがこれに限定されるものではない。
[茶葉濃縮物の製造]
本発明に係る「抽出工程」において得られる「茶葉濃縮物」とは、茶葉を粉砕したものに溶剤を加えて抽出したものをいう。ここで、使用する茶葉は「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「おくむさし」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「紅花」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまみどり」、「からべに」、「香駿」、「そうふう」及び「おくみどり」、もしくはこれらの混合物の茶葉であり、「べにふうき」であることが好ましい。茶葉の粉砕物は均一な大きさであることが好ましいため、粉砕物をふるいにかけてもよい。
また、抽出溶剤としては毒性の無いものであればよく、エタノール、水、若しくはこれらの混合溶液であることが好ましく、抽出物中のカテキン類の回収率を考慮するとエタノールが含有されている溶剤を用いることがより好ましい。また、抽出温度としては30℃から60℃で抽出することが好ましく、50℃以下で行なうことが更に好ましい。60℃以上であるとカテキン類の熱異性化が開始してしまうためである。抽出は、一度抽出した後の残渣を回収して複数回行なっていてもよい。
また抽出は、化学分離精製手法として一般的に用いられる方法を使用してもよい。例えば、液−液分配、薄層クロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、分配カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、電気泳動や高速液体クロマトグラフィーなどを用いることができる。また、必要に応じこれらの分離精製手段を組み合わせて行なってもよい。
また本発明では、茶葉の抽出物からクロロフィルなどの色素類を固形吸着剤により除去してもよい。クロロフィルは光吸収性を有しているため、光線過敏症の患者が本発明に係る外用剤を使用する際はクロロフィルを除去しなければならないためである。クロロフィルの除去方法としては、具体的には抽出液に活性炭を添加し攪拌ろ過処理する方法、または、活性炭を充填したカラムに抽出液を流し、連続処理する方法等が挙げられる。
更に本発明では上記の方法により得られた茶葉の抽出物を「濃縮工程」により濃縮する。濃縮は通常行なわれている方法、例えば減圧下でロータリーエバポレータを用いて行なう。このときの温度は30℃から60℃であることが好ましく、50℃以下であることが更に好ましい。また濃縮は、開始時の60%程度の液量になるまで行うことが望ましい。
[外用剤の製造]
本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤の外用剤の剤型は、公知の軟膏剤、ジェル剤、ゲル剤、クリーム、パック剤、乳液などの半固形物や、ローション剤、化粧水等の液体、パウダー等の固形物が挙げられる。
上記に挙げる剤型の外用剤の製造方法としては、従来公知の方法を用いて製造することができるが、「混合工程」において茶葉濃縮物を混合する際の温度は、20℃から60℃であることが好ましく、50℃以下であることが更に好ましい。また、この茶葉濃縮物の添加量としては、0.1%から3%であることが好ましく、0.2%から2%であることがさらに好ましい。
本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤の外用剤に用いる基剤としては、上記の茶葉濃縮物が基剤中に均一に融解、配合、分散されうるものであれば特に限定されない。このような基剤としては、製剤学的に汎用されている外用基剤を用いることができる。具体的には、脂肪酸;例えばオレイン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、コルンビン酸、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、α−リノレン酸、チムノドン酸、ヘキサエン酸等、エステル油;例えばペンタエリスリトール−テトラ−2−エチルヘキサノエート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、オクチルドデシルミリステート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート等、ロウ;例えばミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ワセリン等、動物油及び植物油;例えばミンク油、オリーブ油、ヒマシ油、カカオ脂、パーム油、タラ肝油、牛脂、バター脂、月見草油、コメヌカ油、スクワラン等、鉱物油;例えば炭化水素系オイル、流動パラフィン、シリコーンオイル;例えばメチルフェニルシリコン、ジメチルシリコン等、高級アルコール;例えばラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール等が挙げられる。また、有機酸としては、α−ヒドロキシ酸、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、メバロン酸(メバロノラクトン)等を使用することができる。
また、使用することができるリン脂質として、モノアシルエステル型グリセロリン脂質やジアシルエステル型グリセロリン脂質等が挙げられる。具体的には、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴエミリンを挙げることができる。また、天然由来のレシチン(例えば卵黄)や、上記具体例の水素添加物も使用することができる。
また、本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤をクリームとした場合に使用することができる乳化剤及び界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤を挙げることができる。ノニオン界面活性剤として、ソルビタンエステル(例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、グリセロールエーテル(例えばグリセロールモノイソステアレート、グリセロールモノミリステート)、ポリオキシエチレングリセロールエーテル(例えばポリオキシエチレングリセロールモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセロールモノミリステート)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えばジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート)、グリセリン脂肪酸エステル(例えばグリセリルモノカプレート、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノパルミテート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリノレエート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノジリノレエート、グリセリルモノジカプレート)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレングリセリルモノミリステート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート)、ポリオキシエチレン分岐アルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンオクチルドデシルアルコール、ポリオキシエチレン−2−デシルテトラデシルアルコール)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンジヒドロコレステロールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油イソステアレート)、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル)等が挙げられる。
また、陰イオン界面活性剤として、高級脂肪酸(例えばオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、バルミチン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸)の塩(例えばジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アミノ酸塩、カリウム塩、ナトリウム塩)、エーテルカルボン酸アルカリ塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルサルコン塩、高級アルキルスルホン酸塩が挙げられる。さらに、陽イオン界面活性剤又は両性界面活性剤として、アルキル4級アンモニウム塩、ポリアミン、アルキルアミン塩等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤に使用することができる粉末剤として、タルク、カオリン、フラー土、ゴム、デンプン、シリカ、珪酸、珪酸アルミニウム水和物、化学修飾珪酸アルミニウムマグネシウム、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアリールアンモニウムスヌクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスヌクタイト、モノステアリン酸エチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、チョーク、ガム質、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤に使用することができるポリオールとして、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、エリスリトール、マルトトリオース、スレイトール、ショ糖、グルコース、マルトース、マルチトース、フルクトース、キシリトース等が挙げられる。
また、本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤にUV吸収剤が添加されていてもよい。具体的には、オキシベンゾン(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、オキシベンゾンスルホン酸、オキシベンゾンスルホン酸(三水塩)、グアイアズレン、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸メチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、シノキサート(p−メトキシケイ皮酸2−エトキシエチル)、ジ−p−メトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキシル酸グリセリル、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、p−ヒドロキシアニソール、p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピルケイ皮酸エステル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン、サリチル酸−2−エチルヘキシル、グリセリル−p−ミノベンゾエート、オルトアミノ安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、アミル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルフォン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォン酸、ジカロイルトリオレエート、p−メトキシケイ炭酸−2−エトキシエチル、ブチルメトキシベンゾイルメタン、グリセリル−モノ−2−エチルヘキサノイル−ジ−p−メトキシベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−ビスヒドロキシプロピルアミノベゾエート等が挙げられる。
また、本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤の抗アレルギー作用を増強させるために、抗真菌剤、抗菌剤、サルファ剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、抗生物質、局所麻酔剤、抗ウイルス剤、代謝拮抗剤等を必要に応じて適宜添加することができる。具体的には下記の物質が挙げられる。
抗真菌剤としては、例えば塩酸クロコナゾール、塩酸ネチコナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、硝酸ミコナゾール、チオコナゾール、ビホナゾール、ラノコナゾール等を含むイミダゾール系化合物や塩酸アモロルフィン、塩酸テルビナフィン、塩酸ブテナフィン、シクロピロクスオラミン、トルシクラート、トルナフタート等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えばエノキサシン、塩化メチルロザニリン、塩酸シプロフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、オフロキサシン、シノキサシン、スパルフロキサシン、トシル酸トスフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、ピペミド酸三水和物、ピロミド酸、フレロキサシン、レボフロキサシン等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
サルファ剤としては、アセチルスルファメトキサゾール、サラゾスルファピリジン、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファジメトキシン、スルファチアゾール、スルファフェナゾール、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメトピラジン、スルファメトミジン、スルファメチゾール、スルファメラジン、スルファモノメトキシン、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン、スルフイソミジンナトリウム、ホモスルファミン等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば塩酸シプロへプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸プロメタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、シメチジン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、パモ酸ヒドロキシジン、ファモチジン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、メキタジン等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
抗アレルギー剤としては、例えばアステミゾール、アンレキサノクス、イブジラスト、エバスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸エビナスチン、塩酸オザグレル、塩酸セチリジン、オキサトミド、クロモグリク酸ナトリウム、セラトロダスト、タザノラスト、テルフェナジン、トシル酸スプラタスト、トラニラスト、フマル酸エメダスチン、フマル酸ケトチフェン、プランルカスト水和物、ペミロラストカリウム、レピリナスト等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
抗炎症剤としては、例えばアクタリット、アズレン、アセメタシン、アスピリン、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナクナトリウム、アンピロキシカム、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、ウフェナマート、エトドラク、エピリゾール、エモルファゾン、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、塩酸ブプレノルフィン、塩酸ペンタゾシン、エンフェナム、オキサプロジン、グリチルレチン酸、クロタミトン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、ジフルニサル、ジクロフェナクナトリウム、スプロフェン、スリンダク、チアプロフェン、テノキシカム、トリメチンナトリウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、ピロキシカム、フェナセチン、フェニルブタゾン、フェノプロフェンカルシウム、フェルビナク、フェンブフェン、ブコローム、ブフェキサマク、プラノプロフェン、フルルビプロフェン、フロクタフェニン、メシル酸ジメトチアジン、メチアジン、ベンダザック、ヘパリン類似物質、マレイン酸プログルメタシン、メクロフェナム、メフェナム酸、ロキソプロフェンナトリウム、ロベンザリット二ナトリウム、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
抗生物質としては、例えばアセチルキタサマイシン、アセチルスピラマイシン、アムホチリシンB、アモキシシリン、アンピシリン、一硫酸カナマイシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、塩酸アクラルビシン、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸クリンダマイシン、塩酸セフェタメトピボキシル、塩酸セフォチアムへキセチル、塩酸セフカペンピボキシル、塩酸セフメノキシム、塩酸タランピシリン、塩酸テトラサイクリン、塩酸デメチルクロルテトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、塩酸ドキソルビシン、塩酸バカンピシリン、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、塩酸バンコマイシン、塩酸ピブメシリナム、塩酸プレオマイシン、塩酸ミノサイクリン、塩酸リンコマイシン、塩酸レナンピシリン、カルベニシリンナトリウム、キタサマイシン、クラブラン酸カリウム、クラリスロマイシン、グリセオフルビン、クロキサシンナトリウム、クロラムフェニコール、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、サイクロセリン、酢酸ミデカマイシン、シクラシリン、ジクロキサシリンナトリウム、シッカニン、ジョサマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、スルベニシリンナトリウム、セファクロル、セファゾリン、セファトリジンプロピレングリコール、セファドロキシル、セファピリン、セファマンドールナトリウム、セファレキシン、セファロチンナトリウム、セファロリジン、セフィキシム、セフォキシチンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン、セフォペラゾンナトリウム、セフジトレンピボキシル、セフジニル、セフスロジンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフチブテン、セフテラムピボキシル、セフビラミドナトリウム、セフブペラゾンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフメタゾールナトリウム、セフラジン、セフロキサジン、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、チカルシリンナトリウム、テトラサイクリン、トシル酸スルタミシリン、トブラマイシン、トリコマイシン、ナイスタチン、バリオチン、パルミチン酸クロラムフェニコール、ピペラシリンナトリウム、ピマリシン、ファロペネムナトリウム、プロピオン酸ジョサマイシン、フェネチシリンカリウム、フェノキシメチルペニシリンカリウム、ベンジルペニシリンカリウム、ベンジルペニシリンベンザチン、ホスホマイシンカルシウム、マイトマイシンC、ミデカマイシン、メタリン酸テトラサイクリン、ラタモキセフナトリウム、リファンピシン、硫酸アストロマイシン、硫酸アミカシン、硫酸カナマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ジべカシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸ネチルマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸べカナマイシン、硫酸ペプロマイシン、硫酸ポリミキシンB、硫酸ミクロノマイシン、硫酸リボスタマイシン、リン酸クリンダマイシン、ロキシスロマイシン、ロキタマイシン等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
局所麻酔剤としては、例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸オキシブプロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸プロカイン、塩酸メピバカイン、塩酸リドカイン、オキセサゼイン、リドカイン等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
抗ウイルス剤としては、例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、サニルブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、ネビラピン、メシル酸サキナビル、メシル酸ネルフィナビル、ラミブジン、リトナビル、硫酸インジナビル等、又はそれらの塩の付加及び置換物等が挙げられる。
代謝拮抗剤としては、例えば、アクチノマイシンD、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、ウべニメクス、ウラシル、エトポシド、エノシタビン、塩酸アクラルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸イリノテカン、塩酸エピルビシン、塩酸ドウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸ファドロゾール水和物、塩酸ブレオマイシン、塩酸プロカルバジン、塩酸ミトキサントロン、カルボプラチン、カルモフール、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、シクロホスファミド、シスプラチン、シゾフイラン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、ジノスタチンスチマラマー、酒石酸ビノレルビン、ソブゾキサン、チオテパ、テガフール、ドキシフルリジン、ドセタキセル水和物、トレチノイン、ネオカルチノスタチン、ネダプラチン、パクリタキセル、ビカルタミド、ヒドロキシカルバミド、ホスフェストロール、ブスルファン、フルオロウラシル、フルタミド、プロピルチオウラシル、ペントスタチン、ポルフィマーナトリウム、メチルテストステロン、メピチオスタン、G−メルカプトプリンリポシド、メルカプトプリン、メトトレキサート、メルファラン、溶連菌抽出物、硫酸ペプロマイシン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、レンチナン等、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
更に、必要に応じて他の薬効成分を含んでもよい。これらの薬効成分としては、公知の清涼成分、ビタミン剤、角質剥離剤、皮質抑制剤、抗脂漏剤、消炎剤、殺菌剤、鎮痒剤等、また、皮膚疾患に用いることのできる薬剤を例示することができ、具体的には、メントール、ビタミンA,B群,C,D,E剤等、サリチル酸、エストラジオール、グリチルリチン酸、塩化ベンザルコニウム、フェノール、カンフル等が挙げられる。また、上記以外の薬剤、例えば、麻薬及び覚醒剤類例えば、塩酸エチルモルヒネ、塩酸オキシコドン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン、塩酸メタンフェタミン、dl−塩酸メチルエフェドリン、塩酸モルヒネ、クエン酸フェンタニル、酒石酸レバロルファン等;局所殺菌剤例えば、ポビドンヨード、ヨードホルム等;酵素製剤例えば、塩化リゾチーム、ストレプトキナーゼ、ストレプトドルナーゼトリプシン、デオキシリボヌクレアーゼ等;生薬類例えば、シコンエキス、ロートエキス等;大腸菌死菌、エピジヒドロコレステリン、トリベノシド等の痔用薬;止血剤例えば、トロンビン、酸化セルロース、アルギン酸ナトリウム等を組み合わせて添加してもよい。
その他、抗酸化剤等長期間に渡って安定した品質を保持することができるような保存料を添加してもよい。
以上のようにして製造された本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤は、アトピー性皮膚疾患に対し、例えば、1日2回乃至3回程度皮膚に塗布する。
<外用剤の製造>
「べにふうき」の茶葉粉末300gを200メッシュ以下の粒径になるように粉砕した。これを70%のエタノール1500mlで50℃のもと30分間抽出し、吸引ろ過を行なった。次いで、残渣を回収し、先程と同様に70%エタノールを1500ml添加し、50℃で30分間抽出し、吸引ろ過を行なった。これらの抽出物を、ロータリーエバポレーター(ヤマト科学株式会社製)を用いて50℃で濃縮を行なった。なお、減圧下で濃縮を行なうため液温は50℃であると考えられる。得られた茶葉抽出物中のカテキン類含有量をHPLC(株式会社島津製作所製)で測定したところ20.6%であった。
本発明に係るアトピー性皮膚炎用外用剤(以下、適宜「外用剤」とする)を以下の処方のもと、公知の方法に従って製造した。なおその際、茶葉抽出物の濃度1%、2.1%、8.4%と変化させた。
[抽出物濃度1%の外用剤]
べにふうき茶葉抽出物 1%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0%
モノステアリン酸グリセリン 4.0%
パラフィン 2.5%
セタノール 3.0%
スクワラン 4.0%
シリコン油 0.8%
グリセリン 25%
1,3ブチレングリコール 6.0%
メチルパラベン 0.1%
プロピルパラベン 0.05%
精製水 適量
[抽出物濃度2.1%の外用剤]
べにふうき茶葉抽出物 2.1%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0%
モノステアリン酸グリセリン 4.0%
パラフィン 2.5%
セタノール 3.0%
スクワラン 4.0%
シリコン油 1.0%
グリセリン 25%
1,3ブチレングリコール 6.0%
メチルパラベン 0.1%
プロピルパラベン 0.05%
精製水 適量
[抽出物濃度8.4%の外用剤]
べにふうき茶葉抽出物 8.4%
水素添加大豆リン脂質 4.0%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.5%
セタノール 3.0%
メチルポリシロキサン 1.5%
スクワラン 3.0%
グリセリン 10.0%
1.3ブチレングリコール 12.0%
水酸化ナトリウム 0.02%
カルボキシビニルポリマー 0.08%
ヒドロキシメチルセルロース 0.04%
パラオキシ安息香酸メチル 0.1%
精製水 適量
<外用剤の安定性>
上記の条件で製造した外用剤の安定性を検討した。まず、上記3種の外用剤を容器(ポリプロピレン製、乳白色)に入れ、温度40℃、湿度75%の環境下に設定した安定性試験器にて保存試験(加速)を行い、外用剤中のカテキン類の定量を行なった。サンプリングは1、3、7、14日目に実施した。
外用剤中のカテキン類の濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。このときの測定条件を下記に示す。
検出波長:231nm、カラム温度:30℃、流量:1.0mL/min
移動相 :0.1M リン酸水素緩衝液(pH2.5)及び、0.1mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)とアセトニトリルの混合液(混合比は87:13)
カラム :Ф4.0mm×250mm(D)のODSカラム
この結果を表1及び表2に示す。表1は外用剤中の総カテキン含量の推移を示し、表2は測定開始0日目のカテキン類の含有量を100%としたときの含有量の経過を示した図である。これより、カテキン類の安定性は、温度によって左右されることが示された。カテキン類の中でも特にエピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCG)及びエピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(EGCG3”Me)については顕著な減少傾向を示した。エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECG)については特に大きな変動は確認されなかった。また、外用剤の色調及び触感については、目視での変化は認められなかった。
Figure 0005110460
Figure 0005110460
<外用剤の安全性(パッチテスト)>
18歳以上の女性22人を被験者として上記の条件で製造した外用剤の安全性を検討した。茶葉抽出物濃度が2.1%の外用剤をパッチテスト用試料とし、日本薬局方注射用蒸留水及び白色ワセリンを対照試料として試験を行った。パッチテストユニットにFinn chamber(EPITEST, Finland) on Scanpor tape(NORGESPLASTER, Norway)を用い、上記試料を被験者の脊部(傍脊椎部)に24時間貼付した。ユニット除去後、30分から60分(貼付24時間後)及び貼付48時間後に下記の判定基準(ICDRG基準)に従って判定した。その結果、24時間後には被験者全員が陰性であり、48時間後には1人に軽い紅斑が発症した以外は、陰性であったことが示された。
[判定基準]
−(−) 反応無し
±(±) 軽い紅斑
+(+) 紅斑
++(II) 紅斑+浮腫、丘疹
++(III) 紅斑+浮腫+丘疹+小水疱
++++(IV) 大水疱
<外用剤の有効性:ステロイド外用剤の減量効果についての検討>
アトピー性皮膚炎で治療中の小児9名(5.6±2.5才)を被験者とし、茶葉抽出物濃度2.1%の外用剤を用いてステロイド外用剤の減量効果を検討した。対照試料として白色ワセリンを用いた。
試験は、外用剤及び対照試料を左右に分けて保湿剤として8週間外用した。ステロイド及びタクロリムス外用剤は、日本皮膚科学会によるガイドラインに基づき外用し、その使用量を計量した。また、SCORADによる症状評価並びに日記による主観的評価を行った。
SCORADによる定義は以下の通りである。客観的要素として、体全体の皮疹範囲(数値A)及び重症度(数値B)を用い、主観的要素として、痒みと不眠(数値C)を用いる。これらの数値を最終値算出式=A/5+7B/2+Cに外挿して得られた0から103の間の数値を症状評価値とする。
ここで数値Aは、体全体を100%として皮疹範囲を算出したものであり、数値Bは、紅斑、浮腫/丘疹、痂皮/滲出、苔癬化、掻破痕、皮膚の乾燥について、それぞれ0(なし)から3(重症)の数字で評価したものの合計値である。また、数値Cについては痒みと不眠をそれぞれ0から10の数値で評価したものをいう。
その結果、図1及び図2に示すように、外用剤及び対照試料共に症状の改善が確認された。症状の改善程度はほぼ同一であったが、本発明に係る外用剤を使用した方がステロイド剤及びタクロリムス剤の使用量は減少することが示された。
また、主観的な評価としては、表3に示すように茶葉特有の香りが好まれ、においが良好であると評価した患者が多かった。
Figure 0005110460
実施例において、ステロイド外用剤の減量効果についての検討結果を示した図である。 実施例において、ステロイド外用剤の減量効果についての検討結果を示した図である。

Claims (5)

  1. 「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「おくむさし」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「紅花」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまみどり」、「からべに」、「香駿」、「そうふう」及び「おくみどり」、もしくはこれらの混合物の茶葉を30℃から60℃で抽出する抽出工程と、
    この抽出工程により得られた抽出物を、30℃から60℃で濃縮する濃縮工程と、
    この濃縮工程により得られた茶葉濃縮物を、20℃から60℃で外用剤基材に混合する混合工程と、
    を有するアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
  2. 前記抽出工程後にクロロフィルを除去するクロロフィル除去工程を更に有する請求項に記載のアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
  3. 前記抽出工程は、エタノールを含有する溶剤を用いて行われる、請求項1又は2に記載のアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
  4. 前記抽出工程は、抽出した後の残渣を用いてさらに行われる、請求項1から3のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
  5. 前記濃縮工程は、50℃以下の温度で開始時の60%程度の液量になるまで行われる、請求項1から4のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎用外用剤の製造方法。
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