以下に本発明の実施の形態を説明する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図2は、本発明を適用したFPD表示装置が有する画像信号処理装置の一実施の形態の構成例を示している。
図2の画像信号処理装置は、CRT以外の表示方式の表示装置、すなわち、ここでは、例えば、LCD等のFPDを有するFPD表示装置で画像信号を表示したときに、CRT表示装置で表示された画像に見えるように画像信号を処理する。
ここで、図2の画像信号処理装置について説明する前に、図2の画像信号処理装置で表示しようとしている画像を表示するCRT表示装置、すなわち、図2の画像信号処理装置がエミュレートするCRT表示装置について説明する。
図3は、CRT表示装置の構成例を示している。
CRT表示装置では、明るさ調整コントラスト調整部51と、高画質化処理部52において、画像信号に対して、図1の明るさ調整コントラスト調整部11と、高画質化処理部12のそれぞれと同様の処理が施され、その処理後の画像信号が、ゲイン調整部53、及び画像信号微分回路60に供給される。
ゲイン調整部(リミッタ)53は、後述するABL制御部59からのABL制御信号により、高画質化処理部52からの画像信号の信号レベルを制限し、γ補正部54に供給する。すなわち、ゲイン調整部53は、後述するCRT56の電子ビームの電流量を直接制限する代わりに、高画質化処理部52から画像信号のゲインを調整する。
γ補正部54は、ゲイン調整部53からの画像信号に対して、図1のγ補正部13と同様のγ補正処理を施し、その結果得られる画像信号を、ビデオ(Video)増幅器55に供給する。
ビデオ増幅器55は、γ補正部54からの画像信号を増幅し、CRT駆動画像信号として、CRT56に供給する。
一方、FBT(Flyback Transformer)57は、CRT表示装置において、電子ビームの水平走査を行うための水平偏向駆動電流、及びCRT(ブラウン管)56のアノード電圧を発生するためのトランスで、その出力は、ビーム電流検出部58に供給される。
ビーム電流検出部58は、FBT57の出力から、ABL制御に必要な電子ビームの電流量を検出し、CRT56、及びABL制御部59に供給する。
ABL制御部59は、ビーム電流検出部58からの電子ビームの電流値を計測し、画像信号の信号レベルを制御するABL制御のためのABL制御信号を、ゲイン調整部53に出力する。
一方、画像信号微分回路60は、高画質化処理部52からの画像信号を微分し、その結果得られる画像信号の微分値を、VM駆動回路61に供給する。
VM(Velocity Modulation)(速度変調)駆動回路61は、CRT表示装置において、電子ビームの偏向(水平偏向)速度を部分的に変えることで同一画像信号でも表示輝度を変えるVM処理を行う。CRT表示装置において、VM処理は、主たる水平偏向回路(偏向ヨークDY、FBT57、水平駆動回路(図示せず)等により構成される)とは別に、専用のVMコイル(図示せず)とVM駆動回路61を用いて実現される。
すなわち、VM駆動回路61は、画像信号微分回路60からの画像信号の微分値に基づき、VMコイルを駆動するVMコイル駆動信号を生成し、CRT56に供給する。
CRT56は、電子銃EGや、偏向ヨークDY等で構成される。CRT56では、電子銃EGが、ビーム電流検出部58の出力や、ビデオ増幅器55からのCRT駆動画像信号にしたがって電子ビームを放射し、その電子ビームが、コイルである偏向ヨークDYが発生する磁界に応じて水平と垂直の方向を変えて(走査され)、CRT56の蛍光面に衝突することにより、画像が表示される。
また、CRT56では、VM駆動回路61からのVMコイル駆動信号に応じて、VMコイルが駆動され、これにより、電子ビームの偏向速度が部分的に変更され、これにより、例えば、CRT56に表示される画像のエッジの強調等がされる。
図3からわかるように、CRT表示装置では、偏向速度を部分的に変えるVM処理、及び電子ビームの電流量を制限するABL処理(ABL制御)が画像信号が処理されるパス以外で行われ、CRT56に表示される画像の画質に影響を与える制御信号を作っている。
これらのVM処理、及びABL処理による影響が現れた画像をFPDで表示するには、FPDは、CRTと駆動方法が全く異なるため、画像信号が処理されるパス上で、VM処理、及びABL処理に相当する処理を行う形をとる必要がある。
そこで、図2の画像信号処理装置においては、図2に示すような処理順で画像信号を変換することにより、FPDの駆動方法に適応し、かつ、CRT表示装置と同様の自然な表示を行うことを可能とする。
すなわち、図2の画像信号処理装置において、明るさ調整コントラスト調整部31と、高画質化処理部32では、画像信号に対して、図1の明るさ調整コントラスト調整部11と、高画質化処理部12のそれぞれと同様の処理が施され、ABL処理部33、全画面明るさ平均レベル検出部36、及びピーク検出微分制御値検出部37に供給される。
ABL処理部33は、LCDにおいてCRTと同様の明るさ特性を得るために、画像が一定以上の明るさ(輝度とその面積)になる場合に、高画質化処理部32からの画像信号のレベルを、ABL制御部38からの制御に従って制限するABLエミュレート処理を行う。
ここで、図2におけるABLエミュレート処理は、図3におけるABL処理をエミュレーションする処理である。
すなわち、CRT表示装置で行われるABL処理は、CRTにおいて、電子ビーム(電流)が過大とならないよう一定以上の明るさ(輝度とその面積)になった場合に電流を制限する処理であるが、ABL処理部33は、図3におけるABL処理のエミュレーションを行う。
図2では、ABL処理部33は、CRTにおいて電子ビームの電流を制限することにより、大面積で明るい画像を表示させようとした場合に実際の表示輝度を低く抑える処理(ABLエミュレート処理)を、画像信号の信号レベルを制限する処理として非線形演算処理により行う。
すなわち、図2において、全画面明るさ平均レベル検出部36は、高画質化処理部32からの画像信号に基づき、画面の明るさや平均レベルを検出し、ピーク検出微分制御値検出部37、及びABL制御部38に供給する。ABL制御部38は、全画面明るさ平均レベル検出部36からの画面の明るさや平均レベルの検出結果より画面の明るさとその面積を検出し、それによって画面上の明るさを制限するための制御信号を生成して、ABL処理部33に供給する。ABL処理部33は、ABL制御部38からの制御信号を元に高画質化処理部32からの画像信号に対し上記非線形演算を行うことでABL処理を実現(エミュレート)する。
ABL処理部33でABL処理が施された画像信号は、VM処理部34に供給される。
VM処理部34は、図3のCRT表示装置におけるVM処理と同等の処理を画像信号に対して行うための処理ブロックで、図3のCRT表示装置で行われるVM処理のエミュレーションを行う。
すなわち、図2において、ピーク検出微分制御値検出部37は、高画質化処理部32からの画像信号から、画像信号の部分的なピーク信号や、画像信号の微分により得られるエッジ信号を求めて、全画面明るさ平均レベル検出部36からの画面の明るさや平均レベルとともに、VM制御部39に供給する。VM制御部39は、ピーク検出微分制御値検出部37からの、画像信号の部分的なピーク信号や画像信号の微分により得られるエッジ信号、画面の明るさなどを元に、部分的に画像信号のレベルを変化させる、CRT表示装置におけるVMコイル駆動信号に相当するVM制御信号を生成し、VM処理部34に供給する。
VM処理部34は、VM制御部39により生成されたVM制御信号により、部分的に、ABL処理部33からの画像信号のレベルを変化させる処理、すなわち、画像信号の部分的な補正、画像信号のエッジ部やピークの強調などの処理を行う。
ここで、図3のCRT表示装置では、CRT56において信号の立ち上がり時に輝度変化が不足するのを補うために、VM処理が行われるが、画像信号そのものに補正を掛けるのではなく、偏向ヨークDYにあるVMコイルを用い、CRT56特有の水平偏向の偏向速度(時間)を変化させることで結果として輝度を変化させている。
VM処理部34は、CRT表示装置で行われるVM処理によって生じる輝度変化分に相当する補正値を演算して、その補正値によって画像信号を補正する演算処理を行うことで、CRT表示装置で行われるVM処理のエミュレーションをする。
CRTγ処理部35は、LCDにおいて、従来のLCDパネルがパネル内部に持っていたCRTと同等のγ特性を得るための処理回路(変換回路)で行われていた処理を含むγ補正処理、及び色温度補償処理を行うため、各色信号(コンポーネント信号)のレベルを調整する処理を行う。
ここで、図2におけるCRTγ処理部35は、同一LCD画面上でCRTの特性だけでなくPDPやLEDディスプレイなど複数の表示特性を表現する際に必要となる電気光変換特性の補正を行う部分で、本実施の形態ではLCDの入力電圧−透過率特性をCRTの電気−輝度特性に合わせるために必要な処理を行う。
すなわち、図2において、表示色温度補償制御部40は、LCDの表示画面を複数の表示エリアに区分して、各表示エリアに、複数の異なる表示特性を持った表示デバイスで表示されるであろう画像と同様の画質の画像を提示するシステムにおいて、CRTで表示されるであろう画像と同様の画質の画像を表示させる表示エリアの表示色温度をCRT用の色温度として表示させるための制御信号を、各色信号(コンポーネント信号)のバランスを調整する制御を行うために生成し、CRTγ処理部35に供給する。そして、CRTγ処理部35では、表示色温度補償制御部40からの制御信号に従い、VM処理部34からの画像信号の各色信号のバランスを調整する処理も行う。
CRT、LCD、PDPではホワイトバランスや色温度、およびその対輝度変化がそれぞれ異なるため、図2の表示色温度補償制御部40が必要になる。
CRTγ処理部35が表示色温度補償制御部40からの制御信号に従って行う処理には従来LCDなどフラットパネルの内部で処理されていた、各パネルの階調特性をCRTと同等になるように変換していた処理回路が行う処理を含み、表示パネルによる特性の違いを吸収する処理を行う。
そして、CRTγ処理部35は、VM処理部34からの画像信号に対して、以上の処理を施した後、その処理後の画像信号を、図示せぬFPDとしてのLCDに供給して表示させる。
以上のように、図2の画像信号処理装置では、CRT表示装置において行われていた処理を画像信号処理に置き換えるだけではなく、処理手順(ABL処理部33の処理後に、VM処理部34の処理を行い、VM処理部34の処理後に、CRTγ処理部35の処理を行うという処理手順)も考慮することで、より正しくLCDの表示を、CRT表示装置で表示される画像の画質に近づけることを可能にする。したがって、図2の画像信号処理装置によれば、LCDにCRTと同等な表示特性にて画像を出力することが可能になる。
さらに、図2の画像信号処理装置によれば、CRTそのものの特性違いによる表示特性をエミュレートすることが可能になり、色合いや質感の違いを同一LCDにて切り替えることが可能になる。例えば、EBU蛍光体と一般蛍光体の発色の違いを同一画面上で比べることで送出時の色調整や画質調整を正確に行う、などを容易に行うことが可能になる。
また、図2の画像信号処理装置によれば、同様に、LCDとCRTの表示特性による違いを容易に確認することが可能である。
さらに、図2の画像信号処理装置によれば、本来の意味での「好みの画質」で画像を表示することが可能になる。
また、図2の画像信号処理装置によれば、処理の範囲を表示画面内で変える事により特性の異なる表示デバイス(例えば、蛍光体の異なるCRT、LCDとCRT、など)で表示される画像を同時に見ることが可能になるため、比較や調整といった用途での利用を容易にすることができる。
次に、図4のフローチャートを参照して、図2の画像信号処理装置による画像信号に対する処理の流れについて説明する。
明るさ調整コントラスト調整部31に、画像信号が供給されると、ステップS11において、明るさ調整コントラスト調整部31は、そこに供給される画像信号の明るさ調整をし、さらに、コントラスト調整をして、高画質化処理部32に供給して、処理は、ステップS12に進む。
ステップS12では、高画質化処理部32が、明るさ調整コントラスト調整部11からの画像信号に対して、画素数変換などを含む画像信号処理を行って、その画像信号処理後の画像信号を、ABL処理部33、全画面明るさ平均レベル検出部36、及びピーク検出微分制御値検出部37に供給して、処理は、ステップS13に進む。
ここで、全画面明るさ平均レベル検出部36は、高画質化処理部32からの画像信号に基づき、画面の明るさや平均レベルを検出し、ピーク検出微分制御値検出部37、及びABL制御部38に供給する。ABL制御部38は、全画面明るさ平均レベル検出部36からの画面の明るさや平均レベルの検出結果に基づき、画面上の明るさを制限するための制御信号を生成して、ABL処理部33に供給する。
また、ピーク検出微分制御値検出部37は、高画質化処理部32からの画像信号から、画像信号の部分的なピーク信号や、画像信号の微分により得られるエッジ信号を求めて、全画面明るさ平均レベル検出部36からの画面の明るさや平均レベルとともに、VM制御部39に供給する。VM制御部39は、ピーク検出微分制御値検出部37からの、画像信号の部分的なピーク信号や画像信号の微分により得られるエッジ信号、画面の明るさなどを元に、CRT表示装置におけるVMコイル駆動信号に相当するVM制御信号を生成し、VM処理部34に供給する。
ステップS33では、ABL処理部33が、高画質化処理部32からの画像信号に対してABL処理をエミュレートする処理を適用する。
すなわち、ABL処理部33は、ABL制御部38からの制御に従って、高画質化処理部32からの画像信号のレベルを制限する等のABL処理をエミュレートする処理(ABLエミュレート処理)を行い、その結果得られる画像信号を、VM処理部34に供給する。
そして、処理は、ステップS13からステップS14に進み、VM処理部34は、ABL処理部33からの画像信号に対してVM処理をエミュレートする処理を適用する。
すなわち、VM処理部34は、ステップS14において、VM制御部39から供給されるVM制御信号に従って、ABL処理部33からの画像信号の輝度を補正する等のVM処理をエミュレートする処理(VMエミュレート処理)を行い、その結果得られる画像信号を、CRTγ処理部35に供給して、処理は、ステップS15に進む。
ステップS15では、CRTγ処理部35は、VM処理部34からの画像信号に対してγ補正処理を施し、さらに、表示色温度補償制御部40からの制御信号に従い、VM処理部34からの画像信号の各色信号のバランスを調整する色温度補償処理を行う。そして、CRTγ処理部35は、色温度補償処理の結果得られる画像信号を、図示せぬFPDとしてのLCDに供給して表示させる。
次に、図5は、図2のVM処理部34の構成例を示すブロック図である。
図5において、VM処理部34は、輝度補正部210及びEB処理部220から構成される。
輝度補正部210は、ABL処理部33(図2)から供給される画像信号を対象として、CRT表示装置の電子ビームの水平偏向の偏向速度の変化が輝度に影響する影響分の補正を行う輝度補正処理を行い、その結果得られる画像信号を、EB処理部220に供給する。
すなわち、輝度補正部210は、VM係数発生部211及び演算部212から構成される。
VM係数発生部211には、VM制御部39(図2)から、VM制御信号が供給される。VM係数発生部211は、VM制御部39からのVM制御信号に従い、VM係数を発生し、演算部212に供給する。
演算部212には、VM係数発生部211からのVM係数が供給される他、ABL処理部33(図2)からの画像信号が供給される。
演算部212は、ABL処理部33(図2)からの画像信号に、VM係数発生部211からのVM係数を乗算することで、その画像信号について、CRT表示装置の電子ビームの水平偏向の偏向速度の変化が輝度に影響する影響分の補正を行い、その補正後の画像信号を、EB処理部220に供給する。
EB処理部220は、輝度補正部210からの画像信号(ABL処理部33で処理され、さらに、輝度補正部210で処理された画像信号)を対象として、CRT表示装置の電子ビームが広がってCRT表示装置の蛍光体に衝突することをエミュレートする処理(EB(Erectron Beam)エミュレート処理)を施し、CRTγ処理部35(図2)に供給する。
以上のように、VM処理部34で行われるVMエミュレート処理は、輝度補正部210で行われる輝度補正処理と、EB処理部220で行われるEBエミュレート処理とからなる。
図6は、図5のVM係数発生部211で発生するVM係数の例を示している。
VM係数は、CRT表示装置において、水平偏向(水平方向の偏向)の偏向速度を、VMコイル駆動信号により、注目画素(ここでは、VM処理により輝度を強調する補正をする画素)の位置で遅くすることによって、等価的に、注目画素の輝度を増すVM処理をエミュレーションするために、注目画素を中心として水平方向に並ぶ複数の画素を、輝度の補正対象として、その輝度の補正対象の画素の画素値(輝度)に乗算される係数である。
VM係数発生部211では、図6に示すように、輝度の補正対象の画素のうちの、注目画素の画素値に乗算されるVM係数は、1以上の値とされ、他の画素に乗算されるVM係数は、演算部212でのゲインが1となるように、1以下の値とされる。
図7は、図5のVM係数発生部211で発生されるVM係数を求める方法を示している。
すなわち、図7Aは、CRT表示装置の偏向ヨークDY(図3)に印加される電圧(偏向電圧)の波形を示している。
偏向ヨークDY(図3)に対しては、図7Aに示すように、時間tの経過に対して、一定の傾きで変化する偏向電圧が、水平走査の周期で繰り返し印加される。
図7Bは、CRT表示装置のVM駆動回路61(図3)で生成されるVMコイル駆動信号を示している。
CRT表示装置では、偏向ヨークDY(図3)にあるVMコイルが、図7BのVMコイル駆動信号によって駆動され、そのVMコイルが発生する磁界によって、電子ビームの偏向速度が、図7Cに示すように、部分的に変更される。
すなわち、図7Cは、図7BのVMコイル駆動信号によってVMコイルが磁界を発生する場合の、電子ビームの水平方向の位置の時間変化を示している。
電子ビームの水平方向の位置の時間変化(図7Cのグラフの傾き)、つまり、電子ビームの水平偏向の偏向速度は、VMコイルが磁界を発生することによって、その磁界が発生している区間等において一定ではなくなる(変化する)。
図7Dは、図7Aの偏向電圧による電子ビームの水平方向の位置の時間変化から、図7Cの電子ビームの水平方向の位置の時間変化を減算した減算値の微分値を示している。
図7Aの偏向電圧のみによって、電子ビームの水平偏向が行われる場合を基準とすると、VMコイル駆動信号によってVMコイルが磁界を発生する場合には、CRT表示装置のCRT56(図3)の蛍光体に衝突する電子ビームの強度(量)、つまり、CRT56に表示される画像の輝度(明るさ)は、図7Dに示すように変化する。
VM係数発生部211(図5)は、図7Dの微分値に相当する値を、VM係数として発生する。
なお、VM係数の具体的な値や、VM係数との乗算をする画素の範囲(注目画素を中心として水平方向に並ぶ幾つの画素の画素値を、VM係数と乗算するか)、注目画素とする画素の画素値(レベル)等は、図2の画像信号処理装置が表示をエミュレートするCRT表示装置の仕様等に応じて決定される。
次に、図5のEB処理部220で行われるEBエミュレート処理について説明する。
EBエミュレート処理では、上述したように、CRT表示装置の電子ビームが広がってCRT表示装置のCRT56(図3)の蛍光体に衝突することをエミュレートする処理が行われる。
すなわち、いま、電子ビームを照射しようとする蛍光体に対応する画素(サブピクセル)を、注目画素とすると、電子ビームの強度が大である場合に、その電子ビームのスポットの形状が大となって、注目画素に対応する蛍光体だけでなく、その周辺の画素に対応する蛍光体にも衝突し、その周辺の画素の画素値に影響を与える。EBエミュレート処理では、その影響をエミュレートする処理が行われる。
図8は、電子ビームを照射する電子銃に与えられる電流(ビーム電流)と、そのビーム電流に対応して照射される電子ビームが、CRTの表示画面上に形成するスポットの径(スポットサイズ)との関係を示している。
なお、図8では、2種類のCRTについての、ビーム電流とスポットサイズとの関係が示されている。
ビーム電流とスポットサイズとの関係は、CRTの種類や最大輝度の設定などによって差があるものの、スポットサイズは、ビーム電流が大であるほど大となる。つまり、輝度が大であると、スポットサイズも大になる。
このようなビーム電流とスポットサイズとの関係は、例えば、特開2004- 39300号公報等に記載されている。
CRTの表示画面には、赤、緑、及び青の3色の蛍光体(蛍光物質)が塗布されており、その赤、緑、及び青の蛍光体に、赤、緑、及び青(用)の電子ビームが衝突することで、赤、緑、及び青の光が、それぞれ放出され、これにより、画像が表示される。
また、CRTには、赤、緑、及び青の3色の蛍光体に、赤、緑、及び青の電子ビームが照射されるように、電子ビームが通過する開口部が設けられた色選別機構が、表示画面に設けられている。
図9は、色選別機構を示している。
すなわち、図9Aは、色選別機構の1つであるシャドウマスクを示している。
シャドウマスクには、円形状の開口部としてのホールが設けられており、このホールを通過した電子ビームが蛍光体に照射される。
なお、図9Aにおいて、模様を付していない丸印は、赤の蛍光体に電子ビームを照射するためのホールを、斜線を付した丸印は、緑の蛍光体に電子ビームを照射するためのホールを、黒塗りの丸印は、青の蛍光体に電子ビームを照射するためのホールを、それぞれ示している。
図9Bは、色選別機構の他の1つであるアパーチャーグリルを示している。
アパーチャーグリルには、垂直方向に延びる開口部としてのスリットが設けられており、このスリットを通過した電子ビームが蛍光体に照射される。
なお、図9Bにおいて、模様を付していない方形は、赤の蛍光体に電子ビームを照射するためのスリットを、斜線を付した方形は、緑の蛍光体に電子ビームを照射するためのスリットを、黒塗りの方形は、青の蛍光体に電子ビームを照射するためのスリットを、それぞれ示している。
図8で説明したように、電子ビームのスポットサイズは、輝度が大であるほど大になる。
図10は、輝度が中程度である場合に、色選別機構上に形成される電子ビームのスポットを、図11は、輝度が大である場合に、色選別機構上に形成される電子ビームのスポットを、それぞれ模式的に示している。
なお、図10A及び図11Aは、色選別機構がシャドウマスクである場合に、そのシャドウマスク上に形成される電子ビームのスポットを示しており、図10B及び図11Bは、色選別機構がアパーチャーグリルである場合に、そのアパーチャーグリル上に形成される電子ビームのスポットを示している。
輝度が大であるほど、電子ビーム(のスポット)の中心部分の強度が大となり、それに引きずられる形で、電子ビームの周辺部分の強度も大となって、色選別機構上に形成される電子ビームのスポットのスポットサイズが大となる。その結果、電子ビームが、注目画素(電子ビームを照射しようとする蛍光体に対応する画素)に対応する蛍光体だけでなく、注目画素の周囲の画素に対応する蛍光体にも照射される。
図12は、色選別機構としてアパーチャーグリルが採用されている場合の、電子ビームが照射される様子を示す断面図である。
すなわち、図12Aは、ビーム電流が第1の電流値である場合の電子ビームが照射される様子を示しており、図12Bは、ビーム電流が第1の電流値より大の第2の電流値である場合の電子ビームが照射される様子を示している。
図12では、緑の蛍光体に対応する画素が注目画素となっており、ビーム電流が第1の電流値である場合の電子ビームは、図12Aに示すように、そのスポットサイズが、隣接するスリットどうしの間の範囲に収まっており、注目画素に対応する蛍光体にのみ照射され、かつ、それ以外の蛍光体に照射されないように遮断される。
一方、ビーム電流が第2の電流値である場合の電子ビームは、図12Bに示すように、そのスポットサイズが、隣接するスリットどうしの間の範囲に収まらず、注目画素に対応する蛍光体だけでなく、他の蛍光体にも照射される。
すなわち、ビーム電流が第2の電流値である場合の電子ビームのスポットサイズは、注目画素に対応する蛍光体のスリットの他、他のスリットをも含む大きさとなり、その結果、電子ビームが、他のスリットを通過し、注目画素に対応する蛍光体以外の蛍光体にも照射される。
なお、図12Bに示したように、電子ビームが、注目画素に対応する蛍光体のスリット以外のスリットをも通過する場合のビーム電流は、電子ビームのスポットサイズと、アパーチャーグリルのスリットのスリット幅との関係で決まる。
EBエミュレート処理では、以上のように、電子ビームが、注目画素に対応する蛍光体だけでなく、他の蛍光体にも照射されることで、画像が受ける影響が、画像信号に反映される。
ここで、図13は、2次元正規分布(ガウス分布)で近似した電子ビームの強度の分布を示している。
図14は、図13の電子ビームのうちの、アパーチャーグリルのスリットを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
すなわち、図14Aは、注目画素に対応する蛍光体のスリットを通過する電子ビームと、そのスリットの左右に隣接するスリットを通過する電子ビームとの強度の分布を示している。
電子ビームの大部分は、注目画素に対応する蛍光体のスリットを通過するが、電子ビームの残りの一部が、注目画素に対応する蛍光体のスリットの左に隣接する左スリットと、右に隣接する右スリットとを通過し、その通過した電子ビームによって、左スリットの蛍光体に対応する画素と、右スリットの蛍光体に対応する画素との表示が影響を受ける。
なお、図14Bは、図14Aに示した電子ビームの強度の分布のうちの、注目画素に対応する蛍光体のスリットを通過する電子ビームの強度の分布を示しており、図14Cは、左スリット及び右スリットを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
図15は、図13の場合よりも強度が大の電子ビームの強度の分布と、その電子ビームのうちの、アパーチャーグリルのスリットを通過する電子ビームの強度の分布とを示している。
すなわち、図15Aは、図13の場合よりも強度が大の電子ビームの強度の分布を示している。
図15Aの電子ビームは、図13の電子ビームよりもスポットサイズ(強度が所定値以上の範囲)が大となっている。
図15Bは、図15Aの電子ビームのうちの、アパーチャーグリルのスリットを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
図15Bでは、図14の場合に比較して、左スリット及び右スリットを通過する電子ビームの強度が大になっており、したがって、左スリットの蛍光体に対応する画素と、右スリットの蛍光体に対応する画素との表示には、より大きな影響がでる。
なお、図15Cは、図15Bに示した電子ビームの強度の分布のうちの、注目画素に対応する蛍光体のスリットを通過する電子ビームの強度の分布を示しており、図15Dは、左スリット及び右スリットを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
図16は、図13に示した電子ビームの強度の分布と、その電子ビームのうちの、シャドウマスクのスリットを通過する電子ビームの強度の分布とを示している。
すなわち、図16Aは、図13と同一の電子ビームの強度の分布を示している。
図16Bは、図16Aの電子ビームのうちの、シャドウマスクのホールを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
すなわち、図16Bは、注目画素に対応する蛍光体のホールを通過する電子ビームと、そのホールの周辺のホール(周辺ホール)を通過する電子ビームとの強度の分布を示している。
図16Cは、図16Bに示した電子ビームの強度の分布のうちの、注目画素に対応する蛍光体のホールを通過する電子ビームの強度の分布を示しており、図16Dは、周辺ホールを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
図17は、図16の場合よりも強度が大の電子ビームの強度の分布と、その電子ビームのうちの、シャドウマスクのホールを通過する電子ビームの強度の分布とを示している。
すなわち、図17Aは、図16の場合よりも強度が大の電子ビームの強度の分布を示している。
図17Aの電子ビームは、図16Aの電子ビームよりもスポットサイズ(強度が所定値以上の範囲)が大となっている。
図17Bは、図17Aの電子ビームのうちの、シャドウマスクのホールを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
図17Bでは、図16Bの場合に比較して、周辺ホールを通過する電子ビームの強度が大になっており、したがって、周辺ホールの蛍光体に対応する画素の表示には、図16Bの場合より大きな影響がでる。
図17Cは、図17Bに示した電子ビームの強度の分布のうちの、注目画素に対応する蛍光体のホールを通過する電子ビームの強度の分布を示しており、図17Dは、周辺ホールを通過する電子ビームの強度の分布を示している。
なお、図13ないし図17では、電子ビームのスポットの拡がりを分かりやすくするため、電子ビームの強度を表す高さ方向のスケールを、位置を表すx方向及びy方向のスケールよりも圧縮してある。
ところで、1次元正規分布(1次元の正規分布)のある区間の面積は、1次元正規分布を表す式(1)の確率密度関数f(x)を、面積を求めようとする区間に亘って積分することで求めることができる。
ここで、式(1)において、μは、平均値を表し、σ2は、分散を表す。
上述したように、電子ビームの強度の分布を、2次元正規分布(2次元の正規分布)で近似する場合、ある範囲の電子ビームの強度は、2次元正規分布を表す式(2)の確率密度関数f(x,y)を、強度を求めようとする範囲に亘って積分することで求めることができる。
ここで、式(2)において、μxは、x方向の平均値を表し、μyは、y方向の平均値を表す。また、σx 2は、x方向の分散を表し、σy 2は、x方向の分散を表す。ρxyは、x方向とy方向の相関係数(x方向とy方向の共分散を、x方向の標準偏差σxとy方向の標準偏差σyとの積で除算した値)を表す。
平均値(平均ベクトル)(μx,μy)は、理想的には、電子ビームの中心の位置(x,y)を表す。いま、説明を簡単にするために、電子ビームの中心の位置(x,y)を、(0,0)(原点)とすると、平均値μx及びμyは0となる。
また、CRT表示装置において、電子銃やカソード等の設計は、電子ビームのスポットが円形となるように行われることから、相関係数ρxyを0とする。
いま、色選別機構が、アパーチャーグリルであるとすると、平均値μx及びμy、並びに、相関係数ρxyを0とした式(2)の確率密度関数f(x,y)を、スリットの範囲で積分することにより、スリットを通過する電子ビームの強度(量)を求めることができる。
すなわち、図18は、スリットを通過する電子ビームの強度を求める積分を説明する図である。
図18Aは、水平方向であるx方向の積分の区間を示している。
注目画素に対応する蛍光体のスリット(注目スリット)を通過する電子ビームの強度は、x方向については、アパーチャーグリルのスリットのスリット幅をSとすると、-S/2から+S/2の範囲に亘って、確率密度関数f(x,y)を積分することにより求めることができる。
また、左スリットを通過する電子ビームの強度は、x方向については、その左スリットのスリット幅に亘って、確率密度関数f(x,y)を積分することにより求めることができ、右スリットを通過する電子ビームの強度は、x方向については、その右スリットのスリット幅に亘って、確率密度関数f(x,y)を積分することにより求めることができる。
図18A及び図18Cは、垂直方向であるy方向の積分の区間を示している。
注目スリットを通過する電子ビームの強度は、y方向については、図18Bに示すように、-∞から+∞の範囲に亘って、確率密度関数f(x,y)を積分することにより求めることができる。
左スリット及び右スリットを通過する電子ビームの強度それぞれも、y方向については、図18Cに示すように、-∞から+∞の範囲に亘って、確率密度関数f(x,y)を積分することにより求めることができる。
一方、電子ビーム全体の強度は、x方向及びy方向のいずれにも、-∞から+∞の範囲に亘って、確率密度関数f(x,y)を積分することにより求めることができ、いま、その値をP0とする。
また、注目スリットを通過する電子ビームの強度をP1と表すとともに、左スリット及び右スリットを通過する電子ビームの強度それぞれを、PL及びPRと表すこととする。
この場合、注目画素の表示には、電子ビーム全体の強度P0のうちの、強度P1だけが影響し、この注目画素の表示によって、電子ビーム全体の強度P0のうちの、強度PLが、左スリットの蛍光体に対応する画素(左画素)の表示に影響し、強度PRが、左スリットの蛍光体に対応する画素(右画素)の表示に影響する。
すなわち、電子ビーム全体の強度P0を基準とすると、注目画素の表示には、電子ビームの強度のP1/P0が影響し、さらに、電子ビームの強度のPL/P0が左画素の表示に影響を与えるとともに、電子ビームの強度のPR/P0が右画素の表示に影響を与える。
したがって、注目画素の表示を基準とすると、注目画素の表示は、左画素の表示に、PL/P0/(P1/P0)だけ影響を与え、右画素の表示に、PR/P0/(P1/P0)だけ影響を与える。
EBエミュレート処理では、左画素については、注目画素の表示の影響を反映するために、注目画素の表示の影響分PL/P0/(P1/P0)を、EBエミュレート処理に用いるEB係数として、左画素の画素値に乗算し、その結果得られる乗算値が、左画素の(元の)画素値に加算される。さらに、EBエミュレート処理では、左画素の表示に影響を与える、左画素の周囲の画素の表示の影響分をEB係数として、同様の処理が行われ、これにより、左画素の周囲の画素の表示時に電子ビームが広がって、左画素の蛍光体に衝突することによる影響を考慮した左画素の画素値が求められる。
右画素についても、同様に、右素の周囲の画素の表示時に電子ビームが広がって、右画素の蛍光体に衝突することによる影響を考慮した右画素の画素値が求められる。
なお、色選別機構が、シャドウマスクである場合も、アパーチャーグリルの場合と同様にして、EBエミュレート処理に用いるEB係数を求めることができる。但し、シャドウマスクについては、アパーチャーグリルの場合に比較して、積分が複雑になる。シャドウマスクについては、上述の積分を用いるのではなく、シャドウマスクのホールの位置とホールの半径からモンテカルロ法などで、EB係数を求める方が容易である。
以上のように、EB係数は、理論上は、計算によって求めることが可能であるが、図8に示したように、電子ビームのスポットサイズは、ビーム電流によって変化する。したがって、EB係数を求めるには、電子ビームの強度の分布を近似する式(2)の確率密度関数f(x,y)の分散σx 2及びσy 2を、ビーム電流の電流値ごとに変える必要がある。
また、上述の場合には、電子ビームが、色選別機構(アパーチャーグリル、及びシャドウマスク)に入射する角度が直角であることを、当然の前提としたが、実際には、電子ビームが色選別機構に入射する角度は、表示画面の中央から離れるほど浅くなる。
すなわち、図19は、電子ビームが色選別機構としてのアパーチャーグリルに入射する様子を示している。
図19Aは、表示画面の中央付近での、電子ビームがアパーチャーグリルに入射する様子を示している。
図19Aに示すように、表示画面の中央付近では、電子ビームは、アパーチャーグリルに対して、垂直に入射する。
図19Bは、表示画面の中央から離れた位置での、電子ビームがアパーチャーグリルに入射する様子を示している
図19Bに示すように、表示画面の中央から離れた位置では、電子ビームは、垂直から傾いた角度で、アパーチャーグリルに入射する。
電子ビームが、図19Bに示したように、垂直から傾いた角度で、アパーチャーグリルに入射する場合、電子ビームの強度の分布は、式(2)の確率密度関数f(x,y)の形状から乖離するため、電子ビームがアパーチャーグリルに垂直に入射することを前提として、EB係数を求めたのでは、EB係数の精度が劣化する。
以上から、EB係数は、計算のみによって求めるのではなく、実験も併用して求めることが望ましい。
次に、図20、及び図21を参照して、図5のEB処理部220で行われるEBエミュレート処理についてさらに説明する。
図20は、画素と、電子ビームの強度の分布とを示している。
すなわち、図20Aは、画素Eを中心とする横×縦が3×3の9画素A,B,C,D,F,G,H、及びIを示している。
いま、図20Aにおいて、画素Eを注目画素として注目する。また、横方向をx方向とし、縦方向をy方向とするとともに、注目画素Eの位置(x,y)を基準として、他の画素AないしD及びFないしIの位置を表すこととする。
この場合、画素どうしの間隔を1とすると、画素Aの位置は(x-1,y-1)に、画素Bの位置は(x,y-1)に、画素Cの位置は(x+1,y-1)に、画素Dの位置は(x-1,y)に、画素Fの位置は(x+1,y)に、画素Gの位置は(x-1,y+1)に、画素Hの位置は(x,y+1)に、画素Iの位置は(x+1,y+1)に、それぞれなる。
ここで、画素Aを、その位置(x-1,y-1)をも用いて、画素A(x-1,y-1)ともいい、画素A(x-1,y-1)の画素値を、画素値Aともいう。他の画素BないしIについても同様とする。
図20B及び図20Cは、CRT表示装置において、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームの強度の分布を模式的に示している。
すなわち、図20Bは、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームの強度のx方向の分布を表し、図20Cは、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームの強度のy方向の分布を表している。
注目画素E(x,y)の画素値Eが大であるほど、電子ビームは、図20B及び図20Cに示すように広がり、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示に影響を与える。
このため、図5のEB処理部220は、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示に影響を与える程度を表すEB係数を、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の画素値AないしD及びFないしIに乗算することにより、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示に影響を与える影響分を求め、その影響分を考慮して、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の、EBエミュレート処理後の画素値を決定する。
図21は、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示に影響を与える影響分(以下、適宜、EB影響分という)を求める回路の構成例を示している。
画素値Aは演算部242Aに、画素値Bは演算部242Bに、画素値Cは演算部242Cに、画素値Dは演算部242Dに、画素値EはEB係数発生部241に、画素値Fは演算部242Fに、画素値Gは演算部242Gに、画素値Hは演算部242Hに、画素値Iは演算部242Iに、それぞれ供給される。
EB係数発生部241は、画素値Eに基づいて、注目画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示に影響を与える程度を表すEB係数AEB,BEB,CEB,DEB,FEB,GEB,HEB、及びIEBを発生し、演算部242A,242B,242C,242D,242F,242G,242H、及び242Iに、それぞれ供給する。
演算部242Aないし242D、及び242Fないし242Iは、そこに供給される画素値AないしD、及びFないしIと、EB係数発生部241からのEB係数AEBないしDEB、及びFEBないしIEBとを、それぞれ乗算し、その結果得られる値A'ないしD'、及びF'ないしI'を、EB影響分として出力する。
画素値Eは、そのまま出力され、他の画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)を表示するときの電子ビームそれぞれが、注目画素E(x,y)の表示に影響を与えるEB影響分と加算され、その加算値が、注目画素E(x,y)の、EBエミュレート処理後の画素値とされる。
図22は、図5のEB処理部220の構成例を示すブロック図である。
図22において、EB処理部220は、EB機能部250から構成され、EB機能部250は、遅延部251ないし259、EB係数発生部260、及び積和演算部261から構成される。
EB機能部250は、例えば、図20に示したように、画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが、その画素E(x,y)に隣接する画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示に影響を与えることとして、つまり、画素E(x,y)については、その画素E(x,y)に隣接する画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)それぞれからのEB影響分があるとして、画素E(x,y)の、EBエミュレート処理後の画素値を求める。
すなわち、EB機能部250には、輝度補正部210(図5)から画像信号が供給される。
EB機能部250では、輝度補正部210からの画像信号を構成する画素の画素値が、ラスタスキャン順に、遅延部251,253、及び258、EB係数発生部260、並びに積和演算部261に供給される。
遅延部251は、輝度補正部210からの画素値を1ライン(水平ライン)分だけ遅延して、遅延部252に供給する。遅延部252は、遅延部251からの画素値を1ライン分だけ遅延して、遅延部254、及び積和演算部261に供給する。
遅延部254は、遅延部252からの画素値を1画素分だけ遅延して、遅延部255、及び積和演算部261に供給する。遅延部255は、遅延部254からの画素値を1画素分だけ遅延して、積和演算部261に供給する。
遅延部253は、輝度補正部210からの画素値を1ライン分だけ遅延して、遅延部256、及び積和演算部261に供給する。遅延部256は、遅延部253からの画素値を1画素分だけ遅延して、遅延部257、及び積和演算部261に供給する。遅延部257は、遅延部256からの画素値を1画素分だけ遅延して、積和演算部261に供給する。
遅延部258は、輝度補正部210からの画素値を1画素分だけ遅延して、遅延部259、及び積和演算部261に供給する。遅延部259は、遅延部258からの画素値を1画素分だけ遅延して、積和演算部261に供給する。
EB係数発生部260は、輝度補正部210からの画素値に基づき、その画素値が、隣接する画素値に与えるEB影響分を求めるための、上述したようなEB係数を発生し、積和演算部261に供給する。
積和演算部261は、輝度補正部210からの画素値と、遅延部252ないし255、及び257ないし259それぞれからの画素値との、合計で8つの画素値それぞれと、EB係数発生部260からのEB係数とを乗算することにより、その8つの画素値から、遅延部256で遅延された画素値が受けるEB影響分を求め、そのEB影響分を、遅延部256からの画素値に加算することで、遅延部256からの画素値について、EBエミュレート処理後の画素値を求めて出力する。
したがって、例えば、図20に示した画素値AないしIがラスタスキャン順で、EB機能部250に供給され、いま、画素値Iが、EB機能部250に供給されたとすると、遅延部255の出力は画素値Aに、遅延部254の出力は画素値Bに、遅延部252の出力は画素値Cに、遅延部257の出力は画素値Dに、遅延部256の出力は画素値Eに、遅延部253の出力は画素値Fに、遅延部259の出力は画素値Gに、遅延部258の出力は画素値Hに、それぞれなって、積和演算部261に供給される。
また、EB係数発生部260及び積和演算部261には、EB機能部250に供給された画素値Iが供給される。
EB係数発生部260には、画素値Iが供給される前に、画素値AないしHが供給されているので、EB係数発生部260では、画素値AないしIのそれぞれが、隣接する画素値に影響するEB影響分を求めるためのEB係数が発生され、積和演算部261に供給されている。
積和演算部261は、遅延部256からの画素値Eと、EB係数発生部260からの、画素値AないしD、及びFないしIのそれぞれが、画素値Eに影響するEB影響分を求めるためのEB係数それぞれとを乗算することにより、画素値AないしD、及びFないしIのそれぞれが、画素値Eに影響するEB影響分を求め、遅延部256からの画素値Eと加算して、その加算値を、遅延部256からの画素値Eについての、EBエミュレート処理後の画素値として出力する。
次に、図23は、図5のEB処理部220の他の構成例を示している。
なお、図中、図22の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図23のEB処理部220は、EB機能部250を有する点で、図22の場合と共通し、セレクタ271及び272をさらに有する点で、図22の場合と相違している。
図23のEB処理部220では、輝度補正部210(図5)からの画像信号が、セレクタ271に供給される。
また、セレクタ271には、セレクタ272からの画像信号も供給される。
セレクタ271は、輝度補正部210からの画像信号、又は、セレクタ272からの画像信号のうちの一方を選択し、EB機能部250に供給する。
セレクタ272には、EB機能部250からの、EBエミュレート処理後の画像信号が供給される。
セレクタ272は、EB機能部250からの画像信号を、最終的なEBエミュレート処理後の画像信号として出力するか、又は、セレクタ271に供給する。
以上のように構成されるEB処理部220では、セレクタ271は、まず、輝度補正部210からの画像信号を選択し、EB機能部250に供給する。
EB機能部250は、セレクタ271からの画像信号に対して、EBエミュレート処理を施し、セレクタ272に供給する。
セレクタ272は、EB機能部250からの画像信号を、セレクタ271に供給する。
セレクタ271は、セレクタ272からの画像信号を選択し、EB機能部250に供給する。
以上のようにして、EB機能部250において、輝度補正部210からの画像信号に対して、所定の回数だけ、EBエミュレート処理が繰り返し施されると、セレクタ272は、EB機能部250からの画像信号を、最終的なEBエミュレート処理後の画像信号として出力する。
以上のように、EBエミュレート処理は、再帰的に行うことができる。
なお、図22では、説明を簡単にするために、画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが、その画素E(x,y)に隣接する画素A(x-1,y-1)ないしD(x-1,y)及びF(x+1,y)ないしI(x+1,y+1)の表示にしか影響を与えないこととしたが、画素E(x,y)を表示するときの電子ビームが表示に影響を与える画素の範囲は、電子ビームの強度の分布が異なるごとに異なる。
次に、図24は、図2のCRTγ処理部35の色温度補償処理を行う部分の構成例を示している。
図24において、制御部281には、表示色温度補償制御部40(図2)からの制御信号が供給され、レベルシフト部282には、VM処理部34(図2)からの画像信号としての色信号R(Red),G(Green),B(Blue)が供給される。
制御部281は、表示色温度補償制御部40からの制御信号が表す色温度の設定値に基づき、レベルシフト部282とゲイン調整部283を制御する。
レベルシフト部282は、VM処理部34からの色信号R,G,Bについて、制御部281からの制御に従ったレベルのシフト(加算)を行い(CRT表示装置においてはDCバイアス)、その結果得られる色信号R,G,Bを、ゲイン調整部283に供給する。
ゲイン調整部283は、レベルシフト部282からの色信号R,G,Bのゲインの調整を、制御部281からの制御に従って行い、その結果得られる色信号R,G,Bを、色温度補償処理後の色信号R,G,Bとして出力する。
なお、色温度補償処理の方法としては、その他、例えば、特開平08-163582号公報や、特開2002-232905号公報に記載されている方法を採用することができる。
図25は、図2のVM処理部34の他の構成例を示している。
なお、図中、図5のVM処理部34と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図25のVM処理部34は、輝度補正部210(図5)に代えて、輝度補正部310が設けられていることを除き、図5のVM処理部34と同様に構成されている。
図26は、図25の輝度補正部310の構成例を示している。
図26において、輝度補正部310は、遅延タイミング調整部311、微分回路312、スレッショルド処理部313、波形整形処理部314、及び乗算回路315から構成され、例えば、特開昭61-167280号公報(特公平05-84706号公報)や、国際公開第WO00/010324号パンフレット等に記載されている、CRT表示装置におけるVM処理(電子ビームの速度変調)のエミュレーションとしての輝度補正を行う。
すなわち、輝度補正部310には、ABL処理部33(図2)からの画像信号が供給され、その画像信号は、遅延タイミング調整部311、及び微分回路312に供給される。
遅延タイミング調整部311は、ABL処理部33からの画像信号を、微分回路312、スレッショルド処理部313、及び波形整形処理部314での処理に要する時間に対応する時間だけ遅延し、乗算回路315に供給する。
一方、微分回路312は、ABL処理部33からの画像信号を1次微分することにより、その画像信号のエッジの部分を検出し、そのエッジの部分の微分値(1次微分の微分値)を、スレッショルド処理部313に供給する。
スレッショルド処理部313は、微分回路312からの微分値の絶対値を、所定の閾値と比較し、絶対値が所定の閾値より大の微分値だけを、波形整形処理部314に供給することで、微分値の絶対値が所定の閾値以下のエッジの部分に対して、輝度補正が行われることを制限する。
波形整形処理部314は、スレッショルド処理部313からの微分値に基づき、エッジの部分の画素値に乗算することにより輝度補正を行うVM係数として、平均値が1.0となるVM係数を算出し、乗算回路315に供給する。
乗算回路315は、遅延タイミング調整部311から供給される画像信号におけるエッジの部分の画素値と、波形整形処理部314から供給されるVM係数とを乗算することにより、そのエッジの部分の輝度補正を行って、EB処理部220(図25)に供給する。
なお、波形整形処理部314で算出するVM係数は、エッジの部分の輝度補正の程度をユーザの好みに合致するように、例えば、ユーザの操作に応じて調整することが可能である。
また、スレッショルド処理部313、及び波形整形処理部314は、それぞれ、VM制御部39(図2)から供給されるVM制御信号に従い、動作条件を設定する。
図27は、波形整形処理部314で算出されるVM係数と、そのVM係数を用いて輝度補正が行われる前後の画像信号との例を示している。
すなわち、図27Aは、VM係数の第1の例を示している。
図27Aでは、エッジ画素値(エッジを構成する、大の画素値と小の画素値とのうちの、大の画素値)に乗算されるVM係数が、1.1となっており、エッジ画素値の左と右に隣接する画素値それぞれに乗算されるVM係数が、いずれも、0.95になっている。
図27Bは、VM係数の第2の例を示している。
図27Bでは、エッジ画素値に乗算されるVM係数が、1.2になっており、エッジ画素値の左と、そのさらに左に隣接する画素値それぞれに乗算されるVM係数、及び、エッジ画素値の右と、そのさらに右に隣接する画素値それぞれに乗算されるVM係数が、いずれも、0.95になっている。
図27Cは、輝度補正がされる前の画像信号を示している。
図27Cでは、左から3番目の画素値と、4番目の画素値との間がエッジとなっており、したがって、左から4番目の画素値が、エッジ画素値になっている。
図27Dは、図27Cの画像信号に対して、図27AのVM係数を用いて輝度補正を行って得られる画像信号を示している。
図27Dの画像信号では、図27Cの元の画像信号と比較して、エッジ画素値である4番目の画素値が大になっているとともに、左から3番目の画素値と5番目の画素値が小になっており、その結果、エッジが強調されている。
図27Eは、図27Cの画像信号に対して、図27BのVM係数を用いて輝度補正を行って得られる画像信号を示している。
図27Eの画像信号では、図27Cの元の画像信号と比較して、エッジ画素値である4番目の画素値が大になっているとともに、左から2番目、3番目、5番目、及び6番目の画素値が小になっており、その結果、エッジが、図27Dの場合より強調されている。
なお、図27のVM係数は、一例にすぎない。また、図27では、左から右方向に見て、暗い画像から明るい画像に変化するエッジの部分を示したが、明るい画像から暗い画像に変化するエッジの部分についても、同様に、輝度補正が行われる。
次に、図28は、図25の輝度補正部310の他の構成例を示している。
図28において、輝度補正部310は、タップ選択部321、クラス分類部322、タップ係数記憶部326、及び予測部327から構成され、例えば、特開平07-95591号公報(特許第3271101号)等に記載のDRCを利用して、輝度補正を行う。
ここで、DRCについて説明する。
DRCは、第1の画像信号を第2の画像信号に変換(マッピング)する処理であり、第1と第2の画像データの定義によって様々な信号処理を行うことができる。
即ち、例えば、第1の画像信号を低空間解像度の画像信号とするとともに、第2の画像信号を高空間解像度の画像信号とすれば、DRCは、空間解像度を向上させる空間解像度創造(向上)処理ということができる。
また、例えば、第1の画像信号を低S/N(Siginal/Noise)の画像信号とするとともに、第2の画像信号を高S/Nの画像信号とすれば、DRCは、ノイズを除去するノイズ除去処理ということができる。
さらに、例えば、第1の画像信号を所定の画素数(サイズ)の画像信号とするとともに、第2の画像信号を、第1の画像信号の画素数を多くまたは少なくした画像信号とすれば、DRCは、画像のリサイズ(拡大または縮小)を行うリサイズ処理ということができる。
また、例えば、第1の画像信号を低時間解像度の画像信号とするとともに、第2の画像信号を高時間解像度の画像信号とすれば、DRCは、時間解像度を向上させる時間解像度創造(向上)処理ということができる。
さらに、例えば、第1の画像信号を、MPEG(Moving Picture Experts Group)符号化などのブロック単位で符号化された画像信号を復号することによって得られる復号画像信号とするとともに、第2の画像信号を、符号化前の画像信号とすれば、DRCは、MPEG符号化および復号によって生じるブロック歪み等の各種の歪みを除去する歪み除去処理ということができる。
なお、空間解像度創造処理において、低空間解像度の画像信号である第1の画像信号を、高空間解像度の画像信号である第2の画像信号に変換するにあたっては、第2の画像信号を、第1の画像信号と同一の画素数の画像信号とすることもできるし、第1の画像信号よりも画素数が多い画像信号とすることもできる。第2の画像信号を、第1の画像信号よりも画素数が多い画像信号とする場合、空間解像度創造処理は、空間解像度を向上させる処理であるとともに、画像サイズ(画素数)を拡大するリサイズ処理でもある。
以上のように、DRCによれば、第1および第2の画像信号をどのように定義するかによって、様々な信号処理を実現することができる。
DRCでは、第2の画像信号のうちの注目している注目画素を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類することにより得られるクラスのタップ係数と、注目画素に対して選択される第1の画像信号の複数の画素(の画素値)とを用いた予測演算により、注目画素の画素値(の予測値)が求められる。
図28において、ABL処理部33(図2)からVM処理部34の輝度補正部310に供給される画像信号は、第1の画像信号として、タップ選択部321に供給される。
タップ選択部321は、ABL処理部33からの第1の画像信号の輝度補正を行って得られる画像信号を、第2の画像信号として、その第2の画像信号を構成する画素を、順次、注目画素とし、注目画素(の画素値)を予測するのに用いる第1の画像信号を構成する画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして選択する。
具体的には、タップ選択部321は、注目画素の時空間の位置から空間的または時間的に近い位置にある第1の画像信号の複数の画素を、予測タップとして選択する。
さらに、タップ選択部321は、注目画素を、複数のクラスのうちのいずれかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いる第1の画像信号を構成する画素の幾つかを、クラスタップとして選択する。すなわち、タップ選択部321は、タップ選択部321が予測タップを選択するのと同様にして、クラスタップを選択する。
なお、予測タップとクラスタップは、同一のタップ構造(注目画素に対する位置関係)を有するものであっても良いし、異なるタップ構造を有するものであっても良い。
タップ選択部321で得られた予測タップは、予測部327に供給され、タップ選択部321で得られたクラスタップは、クラス分類部322に供給される。
クラス分類部322は、クラス予測係数記憶部323、予測部324、及びクラス決定部325から構成され、タップ選択部321からのクラスタップに基づき、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、タップ係数記憶部326に供給する。
ここで、クラス分類部322によるクラス分類の詳細については、後述する。
タップ係数記憶部326は、後述する学習によって求められたクラスごとのタップ係数を、VM係数として記憶し、さらに、その記憶したタップ係数のうちの、クラス分類部322から供給されるクラスコードに対応するアドレスに記憶されているタップ係数(クラス分類部322から供給されるクラスコードが表すクラスのタップ係数)を出力する。このタップ係数は、予測部327に供給される。
ここで、タップ係数とは、ディジタルフィルタにおける、いわゆるタップにおいて入力データと乗算される係数に相当するものである。
予測部327は、タップ選択部321が出力する予測タップと、タップ係数記憶部326が出力するタップ係数とを取得し、その予測タップとタップ係数とを用いて、注目画素の真値の予測値を求める所定の予測演算を行う。これにより、予測部327は、注目画素の画素値(の予測値)、すなわち、第2の画像信号を構成する画素の画素値、つまり、輝度補正後の画素値を求めて出力する。
なお、クラス分類部322を構成するクラス予測係数記憶部323、及び予測部324、並びに、タップ係数記憶部326は、それぞれ、VM制御部39(図2)から供給されるVM制御信号に従い、動作条件の設定や必要な選択を行う。
次に、図28のタップ係数記憶部326に、VM係数として記憶されるクラスごとのタップ係数の学習について説明する。
DRCの所定の予測演算に用いられるタップ係数は、多数の画像信号を、学習用の画像信号として用いた学習によって求められる。
すなわち、例えば、いま、輝度補正前の画像信号を、第1の画像信号とするとともに、その第1の画像信号について輝度補正を行って得られる、輝度補正後の画像信号を、第2の画像信号として、DRCにおいて、第1の画像信号から予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、第2の画像信号の注目画素の画素値を、所定の予測演算によって求める(予測する)こととする。
所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、第2の画像信号の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
但し、式(3)において、xnは、第2の画像信号の注目画素yについての予測タップを構成する、第1の画像信号のn番目の画素(以下、適宜、補正前画素という)の画素値を表し、wnは、n番目の補正前画素(の画素値)と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(3)では、予測タップが、N個の補正前画素x1,x2,・・・,xNで構成されるものとしてある。
ここで、第2の画像信号の注目画素の画素値yは、式(3)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第2の画像信号の第kサンプルの画素値の真値をykと表すとともに、式(3)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(4)の予測値yk’は、式(3)にしたがって求められるため、式(4)のyk’を、式(3)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(5)において、xn,kは、第2の画像信号の第kサンプルの画素についての予測タップを構成するn番目の補正前画素を表す。
式(5)(または式(4))の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、第2の画像信号の画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての第2の画像信号の画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(6)において、Kは、第2の画像信号の画素ykと、その第2の画像信号の画素ykについての予測タップを構成する補正前画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの総数)を表す。
式(6)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(7)に示すように、総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするwnによって与えられる。
そこで、上述の式(5)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(7)と(8)から、次式が得られる。
式(9)のekに、式(5)を代入することにより、式(9)は、式(10)に示す正規方程式で表すことができる。
式(10)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、タップ係数wnについて解くことができる。
式(10)の正規方程式を、クラスごとにたてて解くことにより、最適なタップ係数(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にするタップ係数)wnを、クラスごとに求めることができる。
以上のようにして、タップ係数wnを求める学習は、例えば、後述するコンピュータ(図31)によって行うことができる。
次に、図29のフローチャートを参照して、コンピュータが行う、タップ係数wnを求める学習の処理(学習処理)について、説明する。
まず最初に、ステップS21において、コンピュータは、あらかじめ学習用に用意された学習用画像信号から、第2の画像信号に相当する教師データと、第1の画像信号に相当する生徒データを生成して、処理は、ステップS22に進む。
すなわち、コンピュータは、学習用画像信号から、タップ係数の学習の教師(真値)となる、第2の画像信号に相当する教師データとして、式(3)による予測演算としての写像の写像先の画素値、つまり、輝度補正後の画素値を生成する。
さらに、コンピュータは、学習用画像信号から、タップ係数の学習の生徒となる、第1の画像信号に相当する生徒データとして、式(3)による予測演算としての写像による変換対象の画素値を生成する。ここでは、コンピュータは、例えば、学習用画像信号を、そのまま、第1の画像信号に相当する生徒データとする。
ステップS22では、コンピュータは、教師データのうち、まだ、注目画素としていないものを、注目画素として選択し、処理は、ステップS23に進む。ステップS23では、コンピュータは、図28のタップ選択部321と同様に、注目画素について、生徒データから予測タップとする複数の画素を選択するとともに、クラスタップとする複数の画素を選択して、処理は、ステップS24に進む。
ステップS24では、コンピュータは、注目画素についてのクラスタップに基づき、注目画素のクラス分類を、図28のクラス分類部322と同様にして行い、注目画素のクラスに対応するクラスコードを得て、処理は、ステップS25に進む。
ステップS25では、コンピュータは、注目画素と、注目画素について選択された予測タップを構成する生徒データとを対象とした式(10)の足し込みを、注目画素のクラスについて行い、処理は、ステップS26に進む。
すなわち、コンピュータは、注目画素のクラスについて、予測タップ(生徒データ)xn,kを用い、式(10)の左辺の行列における生徒データどうしの乗算(xn,kxn',k)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、コンピュータは、注目画素のクラスについて、予測タップ(生徒データ)xn,kと教師データykを用い、式(10)の右辺のベクトルにおける生徒データxn,kおよび教師データykの乗算(xn,kyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
すなわち、コンピュータは、注目画素のクラスにおいて、前回、注目画素とされた教師データについて求められた式(10)における左辺の行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)を、その内蔵するメモリ(例えば、図31のRAM104)に記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)またはベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)に対して、新たに注目画素とされた教師データについて、その教師データyk+1および生徒データxn,k+1を用いて計算される、対応するコンポーネントxn,k+1xn',k+1またはxn,k+1yk+1を足し込む(式(10)のサメーションで表される加算を行う)。
ステップS26では、コンピュータが、まだ、注目画素としていない教師データがあるかどうかを判定する。ステップS26において、注目画素としていない教師データが、まだあると判定された場合、ステップS22に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS26において、注目画素としていない教師データがないと判定された場合、処理は、ステップS27に進み、コンピュータは、いままでのステップS22乃至S26の処理によって得られたクラスごとの式(10)における左辺の行列と、右辺のベクトルによって構成されるクラスごとの正規方程式を解くことにより、クラスごとに、タップ係数wnを求めて出力し、処理を終了する。
図28のタップ係数記憶部326には、以上のようにして求められたクラスごとのタップ係数wnが、VM係数として記憶されている。
次に、図28のクラス分類部322によるクラス分類について説明する。
クラス分類部322において、タップ選択部321からの、注目画素についてのクラスタップは、予測部324、及びクラス決定部325に供給される。
予測部324は、タップ選択部321からのクラスタップを構成する複数の画素のうちの1つの画素の画素値を、他の画素の画素値と、クラス予測係数記憶部323に記憶されたクラス予測係数とを用いて予測し、その予測値を、クラス決定部325に供給する。
すなわち、クラス予測係数記憶部323は、クラスごとに、クラスタップを構成する複数の画素のうちの1つの画素の画素値を予測するのに用いられるクラス予測係数を記憶している。
具体的には、注目画素についてのクラスタップが、M+1個の画素の画素値から構成され、予測部324が、例えば、クラスタップを構成するM+1個の画素の画素値x1,x2,・・・,xM,xM+1のうちの、M+1番目の画素値xM+1を、予測対象として、他のM個の画素x1,x2,・・・,xMを用いて、予測対象であるM+1番目の画素値xM+1を予測することとすると、クラス予測係数記憶部323は、例えば、クラス#jについて、M個の画素x1,x2,・・・,xMそれぞれと乗算されるM個のクラス予測係数cj,1,cj,2,・・・,cj,Mを記憶している。
この場合、予測部324は、例えば、式x'j,M+1=x1cj,1+x2cj,2+・・・+,xMcj,Mに従って、クラス#jについての、予測対象の画素値xM+1の予測値x'j,M+1を求める。
例えば、いま、クラス分類によって、注目画素がJ個のクラス#1ないし#Jのうちのいずれかのクラスに分類されるとすると、予測部324は、クラス#1ないし#Jのそれぞれについて、予測値x'1,M+1ないしx'J,M+1を求め、クラス決定部325に供給する。
クラス決定部325は、予測部324からの予測値x'1,M+1ないしx'J,M+1それぞれを、タップ選択部321からの、注目画素についてのクラスタップの予測対象のM+1番目の画素値(真値)xM+1と比較し、予測値x'1,M+1ないしx'J,M+1のうちの、予測対象のM+1番目の画素値xM+1との予測誤差が最も小さい予測値x'j,M+1を求めるのに用いられたクラス予測係数cj,1,cj,2,・・・,cj,Mのクラス#jを、注目画素のクラスに決定し、そのクラス#jを表すクラスコードを、タップ係数記憶部326(図28)に供給する。
ここで、クラス予測係数記憶部323に記憶されるクラス予測係数cj,mは、学習によって求められる。
クラス予測係数cj,mを求める学習は、例えば、後述するコンピュータ(図31)によって行うことができる。
図30のフローチャートを参照して、コンピュータが行う、クラス予測係数cj,mを求める学習の処理(学習処理)について説明する。
コンピュータは、ステップS31において、例えば、図29のステップS21と同様に、学習用画像信号から、第2の画像信号に相当する教師データと、第1の画像信号に相当する生徒データを生成する。さらに、コンピュータは、ステップS31において、教師データを、順次、注目画素として選択し、各注目画素について、図29のステップS23と同様に、生徒データからクラスタップとする複数の画素を選択して、処理は、ステップS32に進む。
ステップS32では、コンピュータは、クラスを表す変数jを、1に初期化して、処理は、ステップS33に進む。
ステップS33では、コンピュータは、ステップS31で得たクラスタップのすべてを、学習用のクラスタップ(学習用クラスタップ)として選択して、処理は、ステップS34に進む。
ステップS34では、コンピュータは、図29のタップ係数の学習の場合と同様に、式x'j,M+1=x1cj,1+x2cj,2+・・・+,xMcj,Mに従って求められる、クラス#jについての、予測対象の画素値xM+1の予測値x'j,M+1の、真値xM+1に対する予測誤差を最小にする正規方程式(式(10)に相当する正規方程式)を、学習用クラスタップを対象として生成し、処理は、ステップS35に進む。
ステップS35では、コンピュータは、ステップS34で得た正規方程式を解くことで、クラス#jについてのクラス予測係数cj,mを求め(m=1,2,・・・,M)、処理は、ステップS36に進む。
ステップS36では、コンピュータは、変数jがクラスの総数Jに等しいかどうかを判定し、等しくないと判定した場合、処理は、ステップS37に進む。
コンピュータは、ステップS37において、変数jを1だけインクリメントして、処理は、ステップS38に進み、ステップS35で得たクラス予測係数cj,mを用い、学習用クラスタップを対象として、予測対象の画素xM+1を予測したときの予測誤差を求めて、処理は、ステップS39に進む。
ステップS39では、コンピュータは、学習用クラスタップの中から、ステップS38で求めた予測誤差が所定の閾値以上となるものを、新たな学習用クラスタップとして選択する。
そして、処理は、ステップS39からステップS34に戻り、以下、上述した場合と同様にして、新たな学習用クラスタップを用いて、クラス#jについてのクラス予測係数cj,mが求められる。
一方、ステップS36において、変数jがクラスの総数Jに等しいと判定された場合、すなわち、J個のクラス#1ないし#Jすべてについて、クラス予測係数c1,mないしcJ,mが求められた場合、処理は、終了する。
以上のように、図2の画像信号処理装置では、CRT表示装置が、電子ビームにより蛍光体を光らせることで表示をしていることに鑑み、電子ビームを偏向する際に行う処理、及び、電子ビームの物理的な形状とその変化による表示への影響を考慮した信号処理を行うので、LCD等を用いたFPD表示装置において、CRT表示装置で表示したのと同等の画質の画像を表示することが可能となる。
さらに、図2の画像信号処理装置によれば、CRTそのものの特性違いによる表示特性をエミュレートすることが可能になり、輝度特性や質感の違いを同一LCDにて切り替えることが可能になる。例えば、業務用のCRTと一般用(一般向け)のCRTの発色特性の違いを同一画面上で比べることで送出時の色調整や画質調整を正確に行う、などを容易に行うことが可能になる。
また、図2の画像信号処理装置によれば、同様に、LCDとCRTの表示特性による違いを容易に確認することが可能である。
さらに、図2の画像信号処理装置によれば、本来の意味での「好みの画質」で画像を表示することが可能になる。
また、図2の画像信号処理装置によれば、処理の範囲を表示画面内で変える事により特性の異なる表示デバイス(例えば、業務用と一般用のCRT、LCDとCRT、など)を同時に見ることが可能になるため、比較や調整といった用途での利用を容易にすることができる。
次に、上述した一連の処理のうちの少なくとも一部は、専用のハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
そこで、図31は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体111に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部108で受信し、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵している。CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されており、CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU102は、ハードディスク105に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部108で受信されてハードディスク105にインストールされたプログラム、またはドライブ109に装着されたリムーバブル記録媒体111から読み出されてハードディスク105にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。これにより、CPU102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
11 明るさ調整コントラスト調整部, 12 高画質化処理部, 13 γ補正部, 31 明るさ調整コントラスト調整部, 32 高画質化処理部, 33 ABL処理部, 34 VM処理部, 35 CRTγ処理部, 36 全画面明るさ平均レベル検出部, 37 ピーク検出微分制御値検出部, 38 ABL制御部, 39 VM制御部, 40 表示色温度補償制御部, 51 明るさ調整コントラスト調整部, 52 高画質化処理部, 53 ゲイン調整部, 54 γ補正部, 55 ビデオ増幅器, 56 CRT, 57 FBT, 58 ビーム電流検出部, 59 ABL制御部, 60 画像信号微分回路, 61 VM駆動回路, 101 バス, 102 CPU, 103 ROM, 104 RAM, 105 ハードディスク, 106 出力部, 107 入力部, 108 通信部, 109 ドライブ, 110 入出力インタフェース, 111 リムーバブル記録媒体 210 輝度補正部, 211 VM係数発生部, 212 演算部, 220 EB処理部, 241 EB係数発生部, 242Aないし242D,242Fないし242I 演算部, 251ないし259 遅延部, 260 EB係数発生部, 261 積和演算部, 271,272 セレクタ, 281 制御部, 282 レベルシフト部, 283 ゲイン調整部, 310 輝度補正部, 311 遅延タイミング調整部, 312 微分回路, 313 スレッショルド処理部, 314 波形整形処理部, 315 乗算回路, 321 タップ選択部, 322 クラス分類部, 323 クラス予測係数記憶部, 324 予測部, 325 クラス決定部, 326 タップ係数記憶部, 327 予測部