JP5109738B2 - 表面状態の評価方法 - Google Patents
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Description
但し、Xは極小接触角、Yは通常接触角、a,bはいずれも係数である。
図6は、横軸に時間をとり、縦軸に極小接触角をとって、グリセリンと水との混合比が異なる3種類の液体について、極小接触角の経時変化を測定した結果を示す図である。なお、ここでは、内径が5μのキャピラリを用いて表面自由エネルギーが相互に異なる複数の試料の上に混合液を滴下して、極小接触角を測定している。
以下、実際に極小接触角及び通常接触角を測定し、直線回帰式を求めた結果について説明する。
図10は、横軸にプローブ液体として水を用いて測定した通常接触角をとり、縦軸にプローブ液体としてグリセリンと水との混合液(グリセリン:水=3:1)を用いて測定した通常接触角をとって、両者の相関を調べた結果を示す図である。なお、接触角の測定には、試料として、実験2と同様に紫外線の照射量を変えて表面自由エネルギーを変化させた複数の磁気ディスクを用いた。
次に、水酸基を有しないジヨードメタンを用いて、通常接触角と極小接触角との相関を調べた結果について説明する。なお、接触角の測定には、試料として、実験2と同様に紫外線の照射量を変えて表面自由エネルギーを変化させた複数の磁気ディスクを用いた。
図12は、横軸に水の通常接触角をとり、縦軸にエチレングリコール(2価のアルコール)と水との混合液の通常接触角をとって、両者の相関を調べた結果を示す図である。なお、混合液中のエチレングリコールと水の割合(体積比)は1:1である。また、接触角の測定には、試料として、実験2と同様に紫外線の照射量を変えて表面自由エネルギーを変化させた複数の磁気ディスクを用いた。但し、紫外線の照射時間は1秒間〜30秒間とした。
図13は、横軸に通常接触角をとり、縦軸に極小接触角をとって、プローブ液体としてエチレングリコールと水との混合液を用いたときの両者の相関を調べた結果を示す図である。なお、混合液中のエチレングリコールと水との混合割合(体積比)は1:1である。また、接触角の測定には、試料として、実験2と同様に紫外線の照射量を変えて表面自由エネルギーを変化させた複数の磁気ディスクを用いた。
以下、比較例として、水酸基を含まず、水素結合が可能でありかつ水に溶解しやすいホルムアルデヒドと水との混合液をプローブ液体として用いた場合について説明する。
固体試料の表面自由エネルギーをγS、液体試料の表面自由エネルギーをγL、固体試料と液体との接触角をθSL、固体試料と液体との界面自由エネルギーをγSLとすれば下記(2)式に示すYoungの式が成立する。
また、液体が固体表面に付着することにより安定化するエネルギーである接着仕事WSLは下記Dupreの式(3)に従う。
以上の2式から下記Young−Dupreの式(4)が導出され、接着仕事は液体の表面自由エネルギーと接触角から求められることになる。
この接着仕事に対して表面自由エネルギーの各成分の幾何平均則を適用すると、下記(5)式が成り立つ。
ここでd、hはそれぞれ分散成分、水素結合成分を意味する。
極小接触角を測定する際には、ガラス製の小径キャピラリを通して、試料の表面へ液体を滴下する。市販されているキャピラリには内径が5μm,30μm,50μm等のものがあるが、内径が5μmのキャピラリを用いてジヨードメタンを滴下しようとすると、図15に示すようにジヨードメタン15がキャピラリ11のガラス壁面に付着し、滴下できない。これは、ジヨードメタンの表面張力が低く、ガラスの表面張力が引力として作用するためである。従って、ガラスの表面に何らかの処理を施し、表面張力を下げる必要がある。
300ピコリットル以下の前記プローブ液を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の水を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す直線回帰式を使用して前記プローブ液の極小接触角を水の通常接触角に変換する工程と、
前記水の通常接触角への変換結果を基に前記測定試料の表面状態を評価する工程と
を有することを特徴とする表面状態の評価方法。
表面エネルギーが相互に異なる複数の標準化試料の上に前記プローブ液を300ピコリットル以下の容量で滴下して極小接触角を測定し、前記複数の標準化試料の上に水を1マイクロリットル以上の容量で滴下して通常接触角を測定し、前記極小接触角の測定結果及び前記通常接触角の測定結果を直線回帰分析して得ることを特徴とする付記1に記載の表面状態の評価方法。
300ピコリットル以下の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す直線回帰式を使用して前記炭化水素系液体の極小接触角を通常接触角に変換する工程と、
前記炭化水素系液体の通常接触角への変換結果を基に前記測定試料の表面状態を評価する工程と
を有することを特徴とする表面状態の評価方法。
表面エネルギーが相互に異なる複数の標準化試料の上に前記炭化水素系液体を300ピコリットル以下の容量で滴下して極小接触角を測定し、前記複数の標準化試料の上に前記炭化水素系液体を1マイクロリットル以上の容量で滴下して通常接触角を測定し、前記極小接触角の測定結果及び前記通常接触角の測定結果を直線回帰分析して得ることを特徴とする付記3に記載の表面状態の評価方法。
300ピコリットル以下の前記プローブ液を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の水を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す第1の直線回帰式を使用して前記プローブ液の極小接触角を水の通常接触角に変換する工程と、
前記測定試料の上に炭化水素系液体を300ピコリットルの容量で滴下して極小接触角を測定する工程と、
300ピコリットル以下の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す第2の直線回帰式を使用して前記炭化水素系液体の極小接触角を通常接触角に変換する工程と、
前記第1の直線回帰式により変換した前記水の通常接触角と前記第2の直線回帰式により変換した前記炭化水素系液体の通常接触角とを用いて前記測定試料の表面自由エネルギーを求める工程と
を有することを特徴とする表面状態の評価方法。
磁気記録媒体に対向する対向面の表面自由エネルギーが、前記付記5に記載の方法により測定したときに15mN/m乃至30mN/mとなるように制御されていることを特徴とする磁気ヘッド。
5…記録・再生素子、
6…スライダ、
10…試料、
11…キャピラリ、
12…液滴、
13…光源、
14…カメラ、
15…ジヨードメタン、
30…磁気ヘッド。
Claims (5)
- 測定試料の上に多価アルコール又は多価アルコールと水との混合液からなるプローブ液を300ピコリットル以下の容量で滴下して極小接触角を測定する工程と、
300ピコリットル以下の前記プローブ液を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の水を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す直線回帰式を使用して前記プローブ液の極小接触角を水の通常接触角に変換する工程と、
前記水の通常接触角への変換結果を基に前記測定試料の表面状態を評価する工程と
を有することを特徴とする表面状態の評価方法。 - 前記直線回帰式を、
表面エネルギーが相互に異なる複数の標準化試料の上に前記プローブ液を300ピコリットル以下の容量で滴下して極小接触角を測定し、前記複数の標準化試料の上に水を1マイクロリットル以上の容量で滴下して通常接触角を測定し、前記極小接触角の測定結果及び前記通常接触角の測定結果を直線回帰分析して得ることを特徴とする請求項1に記載の表面状態の評価方法。 - 測定試料の上に炭化水素系液体を300ピコリットルの容量で滴下して極小接触角を測定する工程と、
300ピコリットル以下の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す直線回帰式を使用して前記炭化水素系液体の極小接触角を通常接触角に変換する工程と、
前記炭化水素系液体の通常接触角への変換結果を基に前記測定試料の表面状態を評価する工程と
を有することを特徴とする表面状態の評価方法。 - 前記直線回帰式を、
表面エネルギーが相互に異なる複数の標準化試料の上に前記炭化水素系液体を300ピコリットル以下の容量で滴下して極小接触角を測定し、前記複数の標準化試料の上に前記炭化水素系液体を1マイクロリットル以上の容量で滴下して通常接触角を測定し、前記極小接触角の測定結果及び前記通常接触角の測定結果を直線回帰分析して得ることを特徴とする請求項3に記載の表面状態の評価方法。 - 測定試料の上に多価アルコール又は多価アルコールと水との混合液からなるプローブ液を300ピコリットル以下の容量で滴下して極小接触角を測定する工程と、
300ピコリットル以下の前記プローブ液を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の水を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す第1の直線回帰式を使用して前記プローブ液の極小接触角を水の通常接触角に変換する工程と、
前記測定試料の上に炭化水素系液体を300ピコリットルの容量で滴下して極小接触角を測定する工程と、
300ピコリットル以下の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの極小接触角と1マイクロリットル以上の前記炭化水素系液体を用いて測定したときの通常接触角との相関関係を示す第2の直線回帰式を使用して前記炭化水素系液体の極小接触角を通常接触角に変換する工程と、
前記第1の直線回帰式により変換した前記水の通常接触角と前記第2の直線回帰式により変換した前記炭化水素系液体の通常接触角とを用いて前記測定試料の表面自由エネルギーを求める工程と
を有することを特徴とする表面状態の評価方法。
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