JP5109492B2 - レーダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アレイアンテナの各アンテナ系統の伝送路の遅延時間の不均一さや、遅延時間の経時劣化や温度変化に起因する変動を更正して、放射電波の放射角や反射電波の検出角を正確に検出できるようにすることで測定精度を向上させたレーダ装置に関する。
また、送信アンテナと受信アンテナを共通化して、任意方向に対する電磁波の放射及び任意方向からの電磁波の受信を可能にしたレーダ装置に関するものである。
レーダ装置において、対象物までの方向を測る方法の1つに、複数のアンテナで受信した信号間の位相差を用いるものがある。送信アンテナにより放射された送信信号が目標物により反射され、その反射された送信信号を複数の受信アンテナにより受信する。そして、各受信アンテナで受信した受信信号の位相差から目標物の方向を求めることができる。
そのようなレーダ装置では、レーダ装置のチャンネルを構成する部品の特性のばらつきがあり、また、経時変化や温度変化を起こすため、チャンネル内で伝送位相が変化する。そのため、各受信アンテナ間の伝送遅れ位相差も経時に変化して、チャネル間の位相差に誤差及び時間的変動を生じ、目標物までの方向の測定結果にも誤差が生じる。
このような位相変化を補正する方法として、特許文献1、特許文献2が知られている。図5は、特許文献1に記載のレーダ装置である。このレーダ装置では、変調した較正用信号は、線路L10を通してチャンネルCH10、CH20に入力し、低雑音増幅器LNA10、LNA20により増幅され、ミキサMIX3、MIX4で発振器OSC6からの信号と混合され中間周波数に変換される。その後、チャンネルCH10のフェイズシフタPS1を調整することで、チャネル間の伝送遅れ位相差を補正している。したがって、遅れ位相差の較正の対象となっているのは、低雑音増幅器LNA10、LNA20とミキサMIX3、MIX4である。この方法では、発振器OSC1、5、6、7間での位相の同期を取っていないが、ミキサMIX3、MIX4は同じ発振器OSC6から、ミキサMIX5、MIX6は同じ発振器OSC7からの信号と混合しているので、チャンネルCH10、CH20の相対的な伝送位相差は正しく求めることができ、この相対的な位相差をゼロになるよう調整することで経時変化や温度変化による位相変化を較正できる。また、特許文献1では、この相対的な位相差をゼロに補正する方法として、フェイズシフタを用いずに、直接、信号処理手段P1において補正データを求め、メモリに格納し、その補正データを用いて位相差を補正する方法も記載されている。
このように、特許文献1に記載の位相補正方法は、各チャンネルの相対位相から位相差の変化を求め、その値を用いて位相を補正している。
また、電子的にビームの方向を変化させるフェーズドアレイアンテナは、特許文献2、3において、知られている。この文献では、共通のアンテナで送信と受信を行うようにしているが、送信信号と受信信号とを切換器で切換て、アンテナに送信し、また、アンテナから受信するようにしている。すなわち、送信と受信を同時には実行されていない。
また、特許文献4は、サーキュレータを用いて送受信共通のフェーズドアレイアンテナナに対して、送信と受信とを切り換えて、測定を行うものである。
特開2003−248054 特開2005−269569 特開2004−247922 特開2003−149323
しかし、特許文献1に記載の方法では、各チャンネル間で搬送波の伝送位相差を零とするために発振器OSC6から各受信チャンネルのミキサまでの長さを揃える必要があり、アンテナ数が増大すると、配線の自由度や小型化を阻害する原因となる。また、各アンテナに同相で較正用の信号を供給する必要があり、較正信号を供給する信号線を各アンテナに対して同一長さにする費用がある。アンテナ数が増加すると、この配線は困難となり、装置の小型化を阻害する。さらに、この配線を有したまま、送信、受信すると、送信信号、受信信号に影響を与え、正確な方位測定が困難となる。また、特許文献1の方法は、送信アンテナと受信アンテナとを別にするものであり、しかも、ビームの指向性を走査することはできない。
一方、特許文献2〜4は、送信アンテナと受信アンテナとが共用されており、ビームの指向性を走査することができる。しかし、これらは、送信と受信とを切り換えて、測定しているので、近距離を測定できないという問題がある。また、これらの文献には、アンテナを配置した受信面に垂直な方向を指向性の零点とする較正方法は開示がない。すなわち、各アンテナ回路系統を構成する回路素子は、全て同一の特性であることを前提としている。また、素子特性が経年変化することにより、レーダ装置の方位測定の精度が低下する問題を解決していない。
そこで本発明は、本発明は、較正用の信号を供給するための新たな配線を必要しないレーダ装置を実現することである。
さらに、フェーズドアレイアンテナを用いたレーダ装置の出荷時において、方位の零点の較正操作操作が必要のないレーダ装置を実現することを目的とする。
さらに、本発明は、零点較正を正確に行えるようにすることを目的とする。
第1の発明は、目標物までの方位又は距離を測定するレーダ装置において、複数のアンテナ素子を配置させ、目標物に対して送信信号を送信電波として放射し、同一のアンテナ素子により、目標物からの反射電波を受信信号として受信するアレイアンテナと、各アンテナ素子毎に設けられ、送信信号を生成し、その送信信号の位相を決定する送信移相器を有した送信装置と、各アンテナ素子毎に設けられ、受信信号を受信し、その受信信号の位相を決定する第1受信移相器を有した受信装置と、各アンテナ素子毎に設けられ、送信装置からの送信信号をアンテナ素子に通過させ、アンテナ素子からの受信信号を受信装置に通過させる方向性結合器と、送信電波の放射角を制御するために、各送信移相器の各移相量を制御して各アンテナ素子に供給する各送信信号の各送信位相を制御する送信位相制御装置と、反射電波の入射角を制御するために、各第1受信移相器の各移相量を制御して各アンテナ素子により受信される各受信信号の各受信位相を制御する受信位相制御装置とを有を有し、送信位相制御装置は、レーダ装置の較正時に、各アンテナ素子に供給する各送信信号の各送信位相を同一に同期させて、送信移相器の移相量を基準送信移相量とし、受信位相制御装置は、レーダ装置の較正時に、各送信信号の各方向性結合器を介して各受信装置へ迂回した各送信信号を各受信信号として、各アンテナ素子毎に、各受信信号の各受信位相を同一に同期させて、第1受信移相器の移相量を基準受信移相量とし、送信位相制御装置は、測定時には、各基準送信移相量を零点として、送信電波の放射角に応じた位相差だけ、隣接するアンテナ素子に対応する各送信移相器に設定する移相量を異ならせて、位相差を変化させ、受信位相制御装置は、測定時には、各基準受信移相量を零点として、反射波の入射角に応じた位相差だけ、隣接するアンテナ素子に対応する各受信移相器に設定する位相量を異ならせて、位相差を変化させることにより送信電波の放射角及び反射波の入射角を走査するすることを特徴とするレーダ装置である。
移相量は、遅延時間と等価である。使用している全周波数に対して、一定の遅延時間が設定される。したがって、移相量は、周波数により異なる値をとり、注目している周波数(主搬送波、副搬送波、ベースバンド信号)に関する位相量である。
本装置では、アレイアンテナを送信と受信とで共通で使用している。また、回路は送信系統と受信系統とを、各アンテナ素子毎に有して、送信と受信とを同時に行うことができるものである。また、放射電波や反射電波の指向性を制御及び変化させることができる。
方向性結合器により、迂回した送信信号を、送信系統及び受信系統の位相の較正に用いた点が特徴である。迂回は、送信信号の一部を受信系統に送出する場合の他、方向性接合器から受信系統に漏れた場合を含む概念である。較正のための特別な配線などを必要としていない。
第2の発明は、送信移相制御装置は、順次、一つのアンテナ素子に供給する送信信号と他の一つのアンテナ素子に供給する送信信号を90度移相させた信号とをミキシングしてベースバンドの信号を抽出し、その信号が零となるように、基準送信移相量を、順次、決定することを特徴とする。
また、第3の発明は、受信移相制御装置は、順次、一つのアンテナ素子の系統における受信装置へ迂回した送信信号である受信信号と、他の一つのアンテナ素子の系統における受信装置へ迂回した送信信号である受信信号を90度移相させた信号とをミキシングしてベースバンドの信号を抽出し、その信号が零となるように、基準受信移相量を、順次、決定することを特徴とする。
第4の発明は、送信装置は、送信ベースバンド信号で副搬送波を変調して中間周波送信信号を出力する第2変調器と、該中間周波送信信号により、副搬送波よりも周波数の高い主搬送波を振幅変調して送信信号を出力する第1変調器とを有し、受信装置は、受信信号を主搬送波で振幅復調して、中間周波受信信号とする第1復調器と、中間周波受信信号を副搬送波で振幅復調して受信ベースバンド信号とする第2復調器とを有することを特徴とする。
周波数の高い主搬送波と周波数が主搬送波よりも低い副搬送波との2段階変調を用いたことが特徴である。
第5の発明は、受信装置は、第2復調器に入力する副搬送波の位相を決定する第2受信移相器を有し、受信位相制御装置は、レーダ装置の較正時には、第2復調器の出力する第1受信ベースバンド信号の振幅を零又は最大とするように第2受信移相器の移相量を制御することを特徴とする。
第2復調器の出力する第1受信ベースバンド信号の振幅を零とする場合とは、第2復調器に入力する方向性結合器を介して迂回した送信信号の副搬送波の位相と、第2復調器に入力する副搬送波の位相差が、π/2の奇数倍になるように、第2受信移相器に設定される移相量を制御するものである。この条件を満たすように、第2受信移相器によって設定される遅延時間が設定されることと等価である。
第2復調器の出力する第1受信ベースバンド信号の振幅を最大とする場合とは、第2復調器に入力する方向性結合器を介して迂回した送信信号の副搬送波の位相と、第2復調器に入力する副搬送波の位相差が零となるように、第2受信移相器に設定される移相量を制御するものである。この条件を満たすように、第2受信移相器によって設定される遅延時間が設定されることと等価である。この場合には、回路全体における一巡の遅延時間を補償するように、遅延時間が設定されることと等価である。
第6の発明は、受信装置は、第2復調器に入力する副搬送波の位相を決定する第2受信移相器と、第2受信移相器の出力信号を90度移相させる90度移相器と、第2受信移相器の出力信号と90度移相器の出力信号とを入力してベースバンド信号を得る第3復調器とを有し、受信移相制御装置は、第3復調器の出力する第2受信ベースバンド信号の振幅を零とするように第2受信移相器の移相量を制御することを特徴とする。
また、第7の発明は、第2復調器の出力する第1受信ベースバンド信号と、第2受信ベースバンド信号とから、主搬送波及び副搬送波の周波数に基づく変動を除去した信号から、距離を測定することを特徴とする。
また、第8の発明は、送信移相器は、副搬送波の位相を制御することを特徴とする。
各チャネルの伝送位相差を較正するために設定する位相を周波数の低い副搬送波の位相としたことが特徴である。
第9の発明は、第1受信移相器は、中間周波受信信号の位相を制御することを特徴とする。
中間周波数受信信号で、各チャネル間の伝送遅れ位相量を同一したことが特徴である。
また、第10の発明は、副搬送波をFMCW信号して、第2復調器の出力信号から距離を測定することを特徴とする。
本発明の第1の発明においては、フェーズドアレイアンテナを用いたレーダ装置において、そのアンテナを送信と受信とで共用しており、また、同時に送信と受信とが可能となる。したがって、装置が小型化できる共に、測定できないタイミングが存在しないので、近距離測定も可能となる。
また、方向性結合器を介して、送信装置から受信装置に迂回した送信信号において、送信点において各チャネルの送信位相が同一となり、受信点において各チャネルの受信位相が同一となる。したがって、特別に、較正用の信号を供給する装置が必要ではなくなるので、構成が簡単となると共に、装置を小型化できる。また、送信に用いる搬送波を用いているので、測定時における信号に対しても誤差なく零点の較正を行うことができる。これにより、正確に、アンテナ素子が配置された放射面に垂直な方向に、放射電波を放射することができ、また、その方向からの反射波を受信することができる。これにより、方位の零点較正が正確に行える。
また、上記の較正後の方位の零点を基準として、各チャネルの送信信号の位相及び受信信号の位相を変化させているので、アンテナに任意の指向性を持たせたり、指向性を走査することができる。
第4の発明は、2段階の変調を行い、第6の発明では、周波数の低い副搬送波で、零点較正をするための位相を変化させるようにしているので、位相の変化を容易に行うことができる。高い送信周波数の搬送波で位相を制御することは容易ではないが、低い周波数の副搬送波で位相を制御することは容易である。また、指向性の制御のための位相も、副搬送波で行っているので、その制御が容易となるし、方位の決定精度も向上する。
本発明では、測定に使用する搬送波を用いて、零点を較正している。その搬送波で送出される送信信号の受信装置への迂回信号を用いて較正している。したがって、方位や距離の測定時にも、測定用の送信信号が受信装置に迂回し、又は漏れて、測定誤差の原因となる。第5の発明では、この迂回送信信号を、受信装置の第1受信ベースバンド信号において、振幅が零又は最大となるように、復調のための副搬送波の位相を制御している。この条件で副搬送波の位相を制御することで、迂回送信信号の測定への影響を排除することができる。
第9の発明では、反射電波の入射方向の零点の較正に、受信装置における中間周波受信信号の位相を変化させるようにしている。すなわち、主搬送波よりも周波数の低い副搬送波の周波数帯で位相を変化させているので、第8の発明と同様に、位相の制御が容易となり、較正が正確となる。また、測定時においても、検出可能な反射波の入射角を正確に制御できる。
以下、本発明の具体的な実施例を図を参照しながら説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明によるレーダ装置の構成を示したブロック図である。図2は、チャネルkのみを抽出して示している。レーダ装置は、図1に示すように、チャネル1〜nのnチャネルを有している。各チャネルkは、アンテナ素子10−k、送信装置20−k、受信装置30−k、方向性結合器40−kを有している。n本のアンテナ素子10−1〜10−nは、等間隔dで同一平面である放射面S上に配置されている。このn本のアンテナ素子によりアレイアンテナが構成されている。
チャネル1に関する構成を説明する。送信装置20−1は、副搬送波を入力して増幅する可変利得増幅器21−1、その増幅器21−1の出力の位相を所定量だけシフトさせる送信移相器22−1を有する。送信移相器22−1の出力信号は、第2変調器23−1に入力している。第2変調器23−1は、送信ベースバンド信号である周期Tの矩形波で、所定位相だけシフトされた副搬送波をASK変調するASK変調器である。第2変調器23−1の出力する中間周波送信信号は、第1変調器24−1に入力している。第1変調器24−1は、主搬送波を入力しており、第2変調器23−1の出力する中間周波送信信号により、主搬送波を振幅変調する。第1変調器24−1は、周波数シフトさせるミキサーである。第1変調器24−1の出力信号は増幅器25−1に入力して増幅され、その出力信号は、所定帯域信号のみを通過させる帯域通過フィルタ26−1に入力している。帯域通過フィルタ26−1により所定帯域の信号が抽出されて、送信信号として出力される。その送信信号は増幅器27−1に入力している。
受信装置30−1は、アンテナ素子10−1からの受信信号、方向性結合器40−1から迂回した(漏れた)迂回送信信号(以下、「漏れ送信信号」という)を受信信号として入力する増幅器31−1を有している。したがって、受信信号は、物体からの反射電波による受信信号と、漏れ送信信号とが混合された信号である。増幅器31−1の出力する受信信号は、第1復調器32−1に入力している。第1復調器32−1には、増幅器31−1の出力する受信信号と、主搬送波とが入力している。第1復調器32−1は、受信信号を主搬送波で振幅復調する。第1復調器32−1は、信号を周波数をシフトさせるミキサーである。第1復調器32−1の出力信号は、所定帯域信号のみを通過させる帯域通過フィルタ33−1に入力し、所定帯域に制限された中間周波受信信号が得られる。その中間周波受信信号は可変利得増幅器34−1に入力している。可変利得増幅器34−1の出力信号は、第1受信移相器35−1に入力されており、中間周波受信信号の位相が所定量だけシフトされる。第1受信移相器35−1の出力する位相が所定量だけシフトされた中間周波受信信号は、第2復調器36−1に入力している。一方、副搬送波は、その位相を所定量だけシフトする第2受信移相器37−1に入力しており、その出力信号は、第2復調器36−1に入力している。第2復調器36−1は、所定量だけ位相がシフトした中間周波受信信号を、所定量だけ位相がシフトした副搬送波で振幅復調する。この出力信号は、後述する信号処理装置70に配設されているベースバンド帯域のみを抽出する帯域通過フィルタ77−1に入力し、受信ベースバンド信号が得られる。第2復調器36−1は、入力信号の周波数をシフトさせるミキサーである。
方向性結合器40−1は、送信装置20−1の出力する送信信号をアンテナ素子10−1に出力し、アンテナ素子10−1で反射電波を受信して得られた受信信号を受信装置30−1に出力する装置である。具体的には、サーキュレータ、90度ハイブリッドで構成される。これらの方向性結合器40−1による送信装置20−1と受信装置30−1間のアイソレーションは、通常は、20〜30dBである。したがって、送信装置20−1から受信装置30−1へ、20〜30dB減衰した漏れ送信信号が受信信号として、伝送される。本件発明は、この漏れ送信信号を、レーダ装置の方向の零点較正に使用している。
任意のチャネルkに関する構成は、上記したチャネル1の構成と同一である。レーダ装置は、その他、送信電波として各アンテナ素子から放射される各送信信号の各送信位相を制御する送信位相制御装置50、各アンテナ素子により受信される各受信信号の各受信位相を制御する受信位相制御装置60とを有している。
送信位相制御装置50は、レーダ装置の較正時においては、各アンテナ素子からの放射電波が放射面Sに垂直な方向に放射されるように、各送信位相を同一に同期させる。また、送信位相制御装置50は、測定時には、放射電波の放射角を任意の角になるように、または、放射角を走査するように各送信位相を制御するのに利用するものである。
送信位相制御装置50においては、各チャネルkの送信装置20−kの増幅器27−kの出力点を、以下、送信点といい、この送信点Pにおける送信信号の位相を送信位相という。チャネル1の送信点Pは、90°移相器51−1に接続されており、その出力信号は、ミキサー52−2に入力している。ミキサー52−2は、チャネル2の送信点Pにも接続されている。ミキサー52−2の出力は、図1に示す構成を有した信号処理装置70の帯域通過フィルタに入力する。なお、図1には、各ミキサー52−kの出力信号を入力する回路は、明確には図示されていないが、図1に図示されているものと同一の構成を有するものが、信号処理装置70に存在する。または、各ミキサー52−kの出力信号を、図示しないスイッチを介して、図1に図示されている帯域通過フィルタ77−kに入力させるようにしても良い。すなわち、帯域通過フィルタ77−kへの入力を受信装置30−kからの出力と、後述するミキサー62−kの出力と、ミキサー52−kの出力との3者で、切り換えるようにしても良い。
ミキサー52−2は、チャネル1からの送信信号を90°位相シフトした信号と、チャネル2の送信信号を入力して、その出力信号を帯域通過フィル77−2を通過させて、ベースバンド信号に復調する装置である。以下、チャネル2以降の任意チャネルkについても、同様な構成を有しており、ミキサー52−kは、チャネルk−1の送信信号を90°位相シフトした信号と、チャネルkの送信信号とを入力して、この出力から、ベースバンド信号を得ている。チャネル1については、上記の構成は有していないが、これは、各チャネルkの送信位相をチャネル1の送信位相に同一に同期させるためである。
受信位相制御装置60においては、レーダ装置の較正時においては、上記の送信位相制御装置50により、各チャネルの送信位相が同一に同期された状態で、漏れ送信信号を方向性結合器を介して、受信信号として入力して、この受信信号の受信位相が同一になるように制御する装置である。すなわち、受信位相制御装置60は、各アンテナ素子からの放射電波が放射面Sに垂直な方向に放射された場合に、放射面Sに垂直な方向から入射する反射電波のみが抽出されるようにレーダ装置の入射方位に関する零点を較正する装置である。また、受信位相制御装置60は、測定時には、検出すべき反射電波の入射角を放射角に等しく、任意の角になるように、または、その入射角を放射角に等くして、走査するように各受信位相を制御するものである。
受信位相制御装置60において、各チャネルkの受信装置30−kの第1受信移相器35−kの出力点を、以下、受信点といい、この受信点Rにおける受信信号の位相を受信位相という。チャネル1の受信点Rは、90°移相器61−1に接続されており、その出力信号は、ミキサー62−1に入力している。ミキサー62−2の出力は、図1に示す構成を有した信号処理装置70の帯域通過フィルタに入力する。なお、図1には、各ミキサー62−kの出力信号を入力する回路は、明確には図示されていないが、図1に図示されているものと同一の構成を有するものが、信号処理装置70に存在する。または、各ミキサー62−kの出力信号を、図示しないスイッチを介して、図1に図示されている帯域通過フィルタ77−kに入力させるようにしても良い。すなわち、帯域通過フィルタ77−kへの入力を受信装置30−kからの出力と、ミキサー52−kからの出力と、ミキサー62−kの出力との3者で、切り換えるようにしても良い。
ミキサー62−1は、チャネル2の受信点Rにも接続されている。ミキサー復調器62−1は、チャネル1からの受信信号を90°位相シフトした信号と、チャネル2の受信信号を入力して、その出力信号を帯域通過フィルタ77−1を通過させて、ベースバンド信号に復調する装置である。以下、チャネル1〜チャネルn−1の任意チャネルkについても、同様な構成を有しており、ミキサー62−kは、チャネルkの受信信号を90°位相シフトした信号と、チャネルk+1の受信信号とを入力して、この出力からベースバンド信号を得ている。チャネルnについては、上記の構成は有していないが、これは、各チャネルkの受信位相をチャネルnの受信位相に同一に同期させるためである。
また、上記の送信位相制御装置50及び受信位相制御装置60は、信号処理装置70を共通に有している。信号処理装置は、各チャネルkの受信装置30−kの第2復調器36−kの出力する信号を入力する帯域通過フィルタ77−kを有している。帯域通過フィルタ77−kにより、受信ベースバンド信号が得られる。この信号は、A/D変換器71−kによりディジタルデータに変換され、そのデータは、復調器72−k、73−kに入力している。復調器72−kには、90°移相器74−kにより送信ベースバンド信号の位相が90°シフトされた信号が入力し、復調器73−kには、送信ベースバンド信号が入力されている。また、復調器72−k、73−kの出力は、位相検出器75−kに入力し、その出力は、本レーダ装置の全体を制御する制御装置76に入力している。復調器72−k、73−k、90°移相器74−kは、直交復調器を構成している。他のチャネルについても、同一構成である。A/D変換器71−kの後段は、全て、ディジタル処理で実行されており、コンピュータシステムで実現されている。
また、信号処理装置70は、図示していないが、前述したように、送信位相制御装置50の各ミキサー52−kの出力、受信位相制御装置60の各ミキサー62−kの出力も、入力している。すなわち、ベースバンドのみを通過させる帯域通過フィルタ77−kと、上記のA/D変換器71−k、復調器72−k、73−k、90°移相器74−k、位相検出器75−kと同一構成の装置を、それぞれ、ミキサー52−k、ミキサー62−kの出力用に準備されている。または、前述したように、それらの出力信号と、受信データベース信号との3者を切換器により、図1に図示されている処理装置70に入力するようにしても良い。これにより、各チャネルで、送信位相を同期するための位相検出、各チャネルで受信位相を同期させるための位相検出が可能となる。
制御装置76は、本レーダ装置の全体を制御するである。制御装置76は、次の制御を行うものである。主搬送波、副搬送波を送信するタイミングを制御する。各チャネルの送信位相を検出して各チャネルの送信位相を同期させるための送信移相器22−kにおける移相量を設定する。送信ベースバンド信号を第2変調器23−kへ入力させるタイミングを制御する。測定時において第2変調器23−kを制御して、副搬送波を単に通過させる制御をする。可変利得増幅器21−k、34−kの増幅率を制御して送信信号、受信信号の振幅を制御する。各チャネルの受信位相を検出して、各チャネルの受信位相を同期させるための第1受信移相器35−kの移相量を制御する。受信ベースバンド信号の位相を検出して、漏れ送信信号をキャンセルするために、第2受信移相器37−kの移相量を制御する。目標物までの距離や方位を測定する時に、モノパルスやFMCW信号を与える制御をし、受信信号から距離や方位を測定する。測定時に、放射電波の放射角を制御するために送信移相器22−kの移相量を制御する。測定時に、反射電波の入射角を制御するために第1受信移相器35−kの移相量を制御する。放射角や入射角を走査する場合には、これらの各チャネルの位相量を時間関数で変化させる制御を行う。制御装置76は、主として、上記の制御を行う装置である。
次に、本レーダ装置における較正の原理及び作用について説明する。
1.変調方式
本実施例では、送信ベースバンド信号で副搬送波を変調して、中間周波送信信号を得て、この中間周波送信信号で主搬送波を変調する2段階変調を行っている。
主搬送波をcos(ω0t) 、副搬送波:cos(ω1t) とする。主搬送波、副搬送波は、単一の発振器から出力される基準周波数の信号からPLL回路により位相同期して得られるものである。具体的には、主搬送波は、74.5GHz、副搬送波は、2.5GHzである。 送信移相器22−kによる副搬送波の移相量をφk (遅れ移相量を正とする)とする。送信移相器22−kの出力は、送信移相器22−kの入力点での信号や搬送波の位相や、それらの振幅の変動を無視すると、cos(ω1t−φk )となる。
また、送信ベースバンド信号をf k (t) とする。具体的には、周波数10MHzの方形波である。第2変調器23−kでは、副搬送波が、送信ベースバンド信号でASK変調される。したがって、第2変調器23−k出力は、振幅と位相の変化を無視すると、f k (t) ・cos(ω1t−φk ) となる。第1変調器24−kは、そのASK変調された信号により、主搬送波を振幅変調する。したがって、第1変調器24−kの出力は、振幅と位相の変化を無視すると、f k (t) ・cos(ω1t−φk ) ・cos(ω0t) となる。
この変調された信号は、帯域通過フィルタ26−kにより、主搬送波に対する上側帯波だけが抽出される。したがって、送信点Pにおける送信信号は次のように表現できる。
k ・f k (t-tp,k ) ・cos[( ω1 +ω0 )t +θk ] …(1)
ただし、ak は、可変利得増幅器21−kによる利得調整や、伝送路による主搬送波及び副搬送波の振幅変動を考慮して、チャネル毎に異なる値をとり得る。また、θk は、主搬送波及び副搬送波の共通の発振器の出力点での位相を基準にした位相である。この位相の基準点を、以下、位相基準点という。信号は、送信移相器22−kによる遅れ移相量φk や、信号伝送路や搬送波供給線路などの全伝送路による遅れ移相量により、位相変動を受けるので、それらの位相変位を全て考慮して、送信点Pにおける位相をθk とする。ただし、送信点における位相は、進み位相を正として定義する。また、t p,k は、位相基準点に対する信号f k の時間遅れである。
θk とφk との間には、
θk =−φk −γk …(2)
の関係が成立する。
ただし、γk は、送信移相器22−kによる遅れ移相量φk を除く、位相基準点から各チャネルの送信点Pまでの伝送路による遅れ位相量である。
2.送信位相の同期
次に、送信点Pにおける各チャネルの送信位相を同期させる方法について説明する。ミキサー52−kは、チャネルk−1の送信信号を90°位相遅延させた信号と、チャネルkの送信信号を入力している。したがって、ミキサー52−kの出力信号は、次のようになる。
k ・f k (t-tp,k ) ・cos[( ω1 +ω0 )t +θk ]
・ak-1 ・f k-1 (t-tp,k-1 ')・sin[( ω1 +ω0 )t +θk-1 ] …(3)
ただし、t p,k-1 'は、90度位相遅れを考慮した値である。
この信号を下側帯波、すなわち、ベースバンドのみを抽出する帯域通過フィルタを通過させる。その帯域通過フィルタの出力信号は、次のようになる。
-(1/2) ・ak ・f k (t-tp,k ) ・ak-1 ・f k-1(t-t p,k-1 ')sin(θk −θk-1) …(4)
この信号を零とするように、θk を決定することができる。また、この信号を送信ベースバンド信号f (t) で直交復調することで、送信点Pにおけるf k (t) とf k-1 (t) との遅れ時間差t p,k −t p,k-1 'に相当する位相差を検出することができる。この位相差 は、(θk −θk-1 )と関連した値である。
また、(2)式から次の関係式が成立する。
θk −θk-1 =(−φk −γk )−(−φk-1 −γk-1
=(φk-1 −φk )−(γk-1 −γk ) …(5)
θk −θk-1 =0とするφk は、次式となる。
φk =φk-1 −(γk-1 −γk ) …(6)
まず、チャネル1の送信移相器22−1の移相量φ1 をφ0 に固定する。次に、チャネル2の送信移相器22−2の移相量φ2 を変化させながら、θ2 −θ1 =0となるφ2 を決定し、この移相量φ2 を送信移相器22−2に設定する。
これにより、φ2 は、次ように、チャネルの伝送路の遅れ位相差を補償する値となる。 φ2 =φ1 −(γ1 −γ2
=φ0 −(γ1 −γ2 ) …(7)
次に、チャネル3の送信移相器22−2の移相量φ3 を変化させながら、θ3 −θ2 =0となるφ3 を決定する。これを順次、繰り返せば、各チャネルの送信位相θk を同一に同期させることができる。
チャネルkの送信移相器22−kの移相量φk は、次式を満たす。
φk =φk-1 −(γk-1 −γk
=φ0 −(γ1 −γk ) …(8)
すなわち、φk は、チャネルkの伝送路の移相量γk のチャネル1の伝送路の移相量γ1 に対する偏差だけ、φ0 を補正した値となる。
この状態で、送信電波を各アンテナ素子から放射すれば、それらの位相は同期しているので、放射面Sに垂直な方向に送信電波は放射されることになる。
なお、90°移相器52−kを用いずに、隣接するチャネルの信号をミキシングしても良い。この場合には(4)式の係数はcos(θk −θk-1 )となるので、(4)式の振幅が最大となるようにθk を決定すれば、θk −θk-1 =0は満たされる。この時、f(t) による直交復調により、f k とf k-1 の時間差を検出すれば、直接、時間差(t p,k −t p,k-1 )相当する、位相差(θk −θk-1 )を検出することも可能となる。
3.受信位相の同期
次に、受信位相の同期方法について説明する。
チャネルkの第1復調器32−kの入力点での受信信号(漏れ送信信号)は、送信信号が(1)式で与えられるので、次式で表すことができる。
k ・f k (t-tD,k ) ・cos[( ω1 +ω0 )t +θk −αk ] …(9)
ただし、bk は、方向性結合器40−kによる減衰、伝送路の損失による減衰を考慮した受信信号の振幅である。また、αk は、送信点Pからこの入力点までの伝送路による遅れ移相量である。t D,k は、この入力点における信号f k の位相基準点に対する時間遅れである。
次に、この受信信号は、第1復調器32−kにより、主搬送波で復調される。その出力信号は、主搬送波の位相基準点に対する位相、その振幅の変化を無視して、振幅を1として、表現すると、次式で与得られる。
f k (t-tD,k ) ・cos[( ω1 +ω0 )t +θk −αk ] ・cos(ω0t) …(10)
この信号は、帯域通過フィルタ33−kにより、主搬送波に対する下側帯波である中間周波受信信号に変換される。係数を1として、
f k (t-tD,k ) ・cos(ω1t +θk −αk ) …(11)
となる。
次に、この信号は、第1受信移相器35−kにより、移相量βk だけ遅延される。この第1受信移相器35−kの出力点である受信点Rの受信信号を、振幅変動や、位相変動を全て考慮して、次のように定義できる。
c k ・f k (t-tR,k ) ・cos(ω1t +Θk ) …(12)
ただし、t R,k は、この受信点Rにおける信号f k の位相基準点に対する時間遅れである。また、位相に関して次式が成立する。
Θk =θk −βk −ζk …(13)
ただし、ζk は、送信点Pの送信位相がθk であるので、第1受信移相器35−kでの移相量βk を除く、受信点Rの送信点Pに対する全ての伝送路による遅れ移相量である。ζk の中には、信号伝送路による遅延の他、復調のために第1受信移相器35−kに入力する主搬送波の位相基準点に対する遅れ移相量も含まれている。
次に、第1受信移相器35−kの出力点である受信点Rにおける各チャネルの受信位相を同期させる方法について説明する。ミキサー62−kは、チャネルkの受信信号を90°位相を遅延させた信号と、チャネルk+1の受信信号を入力している。したがって、ミキサー62−kの出力信号は、次のようになる。
k ・f k (t-tR,k ' ) ・sin(ω1t+Θk
・ck+1 ・f k+1 (t-tR,k+1)・cos(ω1t+Θk+1
…(14)
ただし、t R,k ' は、90°の位相遅れを考慮した遅延時間である。
この信号を下側帯波、すなわち、ベースバンドのみを抽出する帯域通過フィルタを通過させる。その帯域通過フィルタの出力信号は、次のようになる。
(1/2)・ck ・f k (t-tR,k ' ) ・ck+1 ・f k+1 (t-tR,k+1) sin( Θk −Θk+1 ) …(15)
この信号が零となるように、Θk を決定することができる。また、この信号を送信ベースバンド信号f (t) で直交復調することで、受信点Pにおけるf k (t) とf k-1 (t) との遅れ時間差t R,k ' −t R,k+1 に相当する位相差を検出することができる。この位相差は、(Θk −Θk+1 )と関連した値である。
また、(13)式から次の関係式が成立する。
Θk −Θk+1 =(θk −βk −ζk )−(θk+1 −βk+1 −ζk+1
=(θk −θk+1 )−(βk −βk+1 )−(ζk −ζk+1 ) …(16) 送信点Pでの各送信位相は同一で同期がとれているので、θk =θk+1 である。
したがって、
Θk −Θk+1 =0とするβk は、次式となる。
βk =βk+1 −(ζk −ζk+1 ) …(17) である。
まず、チャネルnの第1受信移相器35−nの移相量βn をβ0 に固定する。次に、チャネルn−1の第1受信移相器35−(n−1)の移相量βn-1 を変化させながら、Θn-1 −Θn =0となるβn-1 を決定し、この移相量βn-1 を第1受信移相器35−(n−1)に設定する。
これにより、βn-1 は、次ように、チャネルの伝送路の遅れ位相差などを補償する値となる。
βn-1 =βn −(ζn-1 −ζn ) …(18)
次に、チャネルn−2の第1受信移相器35−(n−2)の移相量βn-2 を変化させながら、Θn-2 −Θn-1 =0となるβn-2 を決定する。これを順次、繰り返せば、各チャネルの受信位相Θk を同一に同期させることができる。
チャネルkの第1受信移相器35−kの移相量βk は、次式を満たす。
βk =βk+1 −(ζk −ζk+1
=β0 −(ζk −ζn ) …(19)
すなわち、βk は、β0 に対して、チャネルkの送信点Pから受信点Rまでの伝送路による遅延移相量ζk のチャネルnに対する送信点Pから受信点Rまでの伝送路による遅延移相量ζ n に対する偏差だけ、補正を受ける。
この状態で、反射電波を各アンテナ素子から受信すれば、放射面Sに垂直な方向から入射した反射電波のみ、位相が同期するので、放射面Sに垂直な方向から入射した反射電波のみを復調することができる。
このようにして、上記の各チャネルにおける各送信位相を同一に同期させ、各受信位相を同一に同期させることで、放射面Sに対する垂直放射、垂直入射の指向性を実現でき、指向性の零点較正が完了する。
なお、90°移相器61−kを用いずに、隣接するチャネルの信号をミキシングしても良い。この場合には(15)式の係数はcos(Θk −Θk+1 )となるので、(15)式の振幅が最大となるようにΘk を決定すれば、Θk −Θk+1 =0は満たされる。この時、f(t) による直交復調により、f k とf k+1 の時間差を検出すれば、直接、時間差(t R,k −t R,k+1 )相当する、位相差(Θk −Θk+1 )を検出することも可能となる。
4.漏れ送信信号の位相同期
第1受信移相器35−kの出力点である受信点Rの信号は(12)式で表現される。また、第2受信移相器37−kでの移相量ηk とし、第2復調器36−kに入力する副搬送波の位相基準点に対する位相をεk とする。すると、第2復調器36−kに入力する副搬送波は、振幅を1として、cos(ω1t+ εk )で表される。したがって、第2復調器36−kの出力信号は、次式で表される。
k ・f k (t-tC,k ) ・cos(ω1t +Θk )・cos(ω1t +εk ) …(20)
ただし、t C,k は、この出力点での位相基準点に対する信号f k の時間遅れである。
第2復調器36−kの出力信号を帯域通過フィルタ77−kを通過させて得られる受信ベースバンド信号は、次式で表される。帯域通過フィルタ77−kは、副搬送波に対して下側帯波を通過させるフィルタである。
K ・f k (t-tC,k ) ・cos(Θk −εk ) …(21)
εk =−ηk −μk …(22)
ただし、μk は、位相基準点と第2復調器36−kまでの副搬送波の伝送路における遅れ移相量である。
(21)式から、受信ベースバンド信号の振幅が最大となるように、εk を決定すれば、Θk −εk =0の条件を満たすことができる。このようにして、位相差(Θk −εk )が零となるように、第2受信移相器37−kの移相量ηk を決定すれば、漏れ送信信号の測定への影響を排除することができる。
すなわち、較正時に、設定すべき第2受信移相器37−kの移相量ηk は、次式で表される。
ηk =−Θk −μk …(23)
なお、(2)、(13)式によると、Θk は、次式で表される。
Θk =θk −βk −ζk
=−φk −γk −βk −ζk …(24)
よって、ηk は、次式で表される。
ηk =φk +γk +βk +ζk −μk …(25)
このようにして決定された較正時における各チャネルkの移相量をηk0 とする。
なお、(21)式で表される漏れ送信信号の受信ベースバンド信号を、最大とするような移相量ηk の設定は、次の方法によっても良い。
(21)式で表される漏れ送信信号の受信ベースバンド信号が零となるように移相量ηk を決定する。その移相量ηk は、次式で与えられる。
ηk =(2m+1)π/2+φk +γk +βk +ζk −μk …(26)
ただし、mは整数。したがって、受信ベースバンド信号が零となるように最小正数の移相量ηk を決定して、その値から、(2m+1)π/2を引いた値が最小正数となるように整数mを決定する。そのmによって与えられる(2m+1)π/2を(26)式から減算すれば、最小正数の(φk +γk +βk +ζk −μk )を得ることができる。この値を、改めて移相量ηk として、第2受信移相器37−kに設定しても良い。すなわち、零点で測定した方が、各チャネルでの受信ベースバンド信号の値が変動しないので、移相量ηk を正確に求めることができる。
(25)式で決定されるηk は、副搬送波の周波数に換算した位相である。移相量(ηk +μk )は、位相基準点の信号に対する、漏れ送信信号が回路を伝送して、第2復調器36−kの出力点に至るまでの遅延時間tC に、相当する副搬送波の遅延移相量を意味する。すなわち、移相量ηk から遅延時間tC は、tC =(ηk +μk )/ω1 により求めることができる。また、遅延時間tC は、次のようにして求めることも可能である。第2受信移相器には、上記のようにして、(25)式で決定された移相量ηk が設定されている。この時の受信ベースバンド信号は、送信ベースバンド信号は、回路を伝搬するのに、遅延時間tC だけ遅れるので、位相基準点の時刻tを基準にして、次式で表される。
K ・f k (t−tC,k )・cos(Θk −εk
=eK ・f k (t−tC,k ) …(27)
この受信ベースバンド信号を送信ベースバンド信号f k (t)で直交復調すれば、遅延時間tC,k に相当する回路の全移相量を求めることができる。この移相量から回路の全遅延時間tC,k を決定することも可能となる。
また、図4に示すように、第2受信移相器37−kの出力を90°移相器38−kで90°遅延さた副搬送波sin(ω1t +εk )を第3復調器39−kに入力させる。また、第3復調器39−kには、受信点Rの信号を入力して、この信号を受信ベースバンド信号に復調する。その第2受信ベースバンド信号RS2は、次式となる。
−eK ・f k (t-tC,k ) ・sin ( Θk −εk ) …(28)
この第2復調信号RS2が零となるように移相量ηk を設定しても良い。
5.距離測定
次に、モノパルスによる距離の測定は次のようになる。第2受信移相器37−kでの移相量ηk は(25)式で決定された値に設定されている。第2変調器23−kで変調する送信ベースバンド信号をモノパルスとする。このモノパルスで副搬送波を振幅変調し、さらに、主搬送波を振幅変調した信号を送信信号として、放射電波を放射する。そして、反射電波を受信して、復調して受信ベースバンド信号が得られる。この時、アンテナ10−kと目標物との距離の2倍に相当する遅延時間をtL,k とする。反射電波の受信信号に関しても、移相量ηk により、Θk −εk =0となる。周波数ω0 +ω1 の空間電波に関して、tL の遅延を受けるので、反射電波の受信ベースバンド信号は、次式で表される。
K ・f k (t−tC,k −tL,k )・cos [ ( ω0 +ω1 )・tL,k ] …(29)
しかし、受信ベースバンド信号には、漏れ送信信号が混在している。この受信ベースバンド信号から、次のように、距離に応じた遅延時間tL,k を求めることができる。受信ベースバンド信号を信号f k (t)で直交復調して、その成分(x,y)が得られる。漏れ送信信号は、較正時の漏れ送信信号と同一であり、較正時の直交復調成分(x0,0 )は既知である。したがって、直交復調成分(x,y)から直交復調成分(x0,0 )を減算すれば、受信信号から漏れ送信信号をキャンセルした、反射電波のみの受信信号の直交復調成分(x1,1 )が求められる。(x1,1 )の値から、遅延時間(tC,k +tL,k )を得ることができる。また、較正時において、遅延時間tC,k は、(x0,0 )から得られているので、遅延時間(tC,k +tL,k )から、較正時に測定された遅延時間tC,k を減算すれば、漏れ送信信号が存在していても、真の距離成分だけの遅延時間tL,k だけを抽出することができる。この遅延時間tL,k からtL,k ・c/2により、真の距離を測定することができる。ただし、cは、光速度である。
上記の遅延時間の測定においては、第1受信ベースバンド信号RS1は、同式から明らかなように、遅延時間tL,k により、cos [ ( ω0 +ω1 )・tL,k ] で変動する。そこで、上述した図4に示すように第1復調副搬送波を90°だけ遅延した第2復調副搬送波で復調する。これにより得られた反射電波の第2受信ベースバンド信号RS2は、次式で表される。この信号RS2には、漏れ送信信号は含まれていない。
K ・f k (t−tC,k −tL,k )・sin[( ω0 +ω1 )・tL,k ] …(30)
一方、第1受信ベースバンド信号RS1には、漏れ送信信号が含まれており、漏れ送信信号の受信ベースバンド信号を表す(27)式と、反射電波の受信ベースバンド信号を表す(29)式を加算した式で表される。較正時の測定におて、漏れ送信信号の受信ベースバンド信号eK ・f k (t−tC,k )を記憶しておいて、この信号を、第1受信ベースバンド信号RS1から減算すれば次式の値を得ることができる。
K ・f k (t−tC,k −tL,k )・cos[( ω0 +ω1 )・tL,k ] …(31)
(30)、(31)式に加法定理を用いれば、cos,sin の係数を消去した反射電波のみのf k (t−tC,k −tL,k )を得ることができる。この関数をf k (t)で直交復調すれば、遅延時間tC,k +tL,k を得ることができ、その値から、較正時に得られている遅延時間tC,k を減算すれば、遅延時間tL,k を求めることができる。このようにして、係数が、距離により高周波ω0 +ω1 変動しないようにして、正確に距離を求めることができる。
また、較正時に、漏れ送信信号が受信ベースバンド信号に現れないように、移相量ηk を設定した場合には、Θk −εk =π/2であるので、受信ベースバンド信号は、次式で表される。
−uK ・f k (t−tC,k −tL,k )・sin [ ( ω0 +ω1 )・tL,k ] …(32) この漏れ送信信号を含まない受信ベースバンド信号を、上述のように、直交復調すれば、遅延時間tC,k +tL,k を得ることができ、上記したように、距離に応じた遅延時間tL,k を求めることができる。
さらに、図4に示す漏れ送信信号を含まない第2受信ベースバンド信号RS2を用いても良い。すなわち、(30)式で表される受信ベースバンド信号をf k (t)で直交復調することで(tC,k −tL,k )を得ることでき、この値から距離に対応した遅延時間tL,k を得ることができる。
このようにして、漏れ送信信号の影響を排除して、距離を測定することが可能となる。
FMCW信号で距離を測定する場合には、次のようになる。較正は、上記の手法により行われおり、漏れ送信信号の受信ベースバンド信号の振幅を最大とするように、移相量ηk は設定されている。この状態で、副搬送波を三角波で周波数変調してFMCW信号を得る。このFMCW信号を図1の副搬送波として用いる。ただし、第2変調器23−kはスルーとする。FMCW信号の周波数増大部だけに注目すると、FMCW信号は、cos[( ω1 +χt)t] で表される。位相基準点でのFMCW信号の時刻tに対する、反射電波の受信信号の第2復調器36−kの出力点での遅延時間は、(tC,k +tL,k )である。また、漏れ送信信号の遅延時間はtC,k である。第2受信移相器37−kの移相量ηk は、(25)式を満たすように設定されている。すなわち、移相量(ηk +μk )は、第2復調器37−kに入力させる復調のためのFMCW信号の位相基準点からの遅延時間に相当し、その値がtC,k となるように位相量ηk により設定されていることを意味する。したがって、第2復調器36−kにおいて、漏れ送信信号のFMCW信号の周波数と、復調搬送波のFMCW信号は、周波数が同期しており、漏れ送信信号の受信ベースバンド信号は、直流となり、ビート信号は発生しない。
また、反射波による受信信号の場合には、漏れ送信信号に比べて測定距離に応じた遅延時間tL だけ遅れる。したがって、第2復調器36−kの出力点での受信ベースバンド信号は、次式で表される。
K ・cos[χ・tL,k ・t−ν〕 …(33)
ただし、νは、遅れ位相であるが、FMCWで距離を測定する場合には、位相項は測定には影響しないので、結果として現れる位相をνで表記した。
これにより、受信ベースバンド信号からビート周波数χ・tL,k を測定することで、距離に対応した遅延時間tL,k を求めることがてき、この遅延時間から、目標物までの距離を正確に求めることができる。
尚、指向性を一定周期で走査する場合には、後述の放射角の走査の章で説明するように、この移相量ηk も、その周期で変動させる必要がある。
6.放射角の走査
上述のレーダ装置の較正において、送信移相器22−kに設定された移相量φk と、第1受信移相器32−kに設定された移相量βk とを、それぞれ、零点位相量φk0、βk0とする。次に、図3に示すように、アンテナ素子間の距離をdと、放射電波の放射角、反射波の入射角をψとする。ただし、放射角ψ、入射角ψは、アンテナ素子が配置される放射面Sの法線方向に対する角度である。放射角ψで放射電波を放射するには、放射方向に垂直な面が各アンテナ素子からの放射電波の等位相面にする必要がある。このため、図3から分かるように、アンテナ素子10−2の送信信号の送信位相θ2 は、アンテナ素子10−1の送信信号の送信位相θ1 に対して、次式を満たすΔθだけ、位相を遅らせなければならい。
Δθ=2π・d・sin ψ/λ …(34)
ただし、λは、送信電波77GHz(=2π(ω0 +ω))の波長である。また、ψを−π/2〜π/2の全範囲をとり得るものとすると、グレーティングローブを生じさせないためには、d<1/λの関係を必要とする。
同様に、任意の隣接するアンテナ素子10−kの送信位相θk は、アンテナ素子10−(k−1)の送信位相θk-1 に対して、Δθだけ位相を遅らせなければならない。
したがって、アンテナ素子kの送信位相θk は、零点位相θk0を用いて、次式で表される。
θk =θk0−(k−1)・Δθ …(35)
この送信位相θk で、各アンテナ素子から電波を放射する時、等位相面は、放射角ψの方向に進行する。
送信位相θk0を実現するための送信移相器22−kに設定された位相量はφk0であるので、結局、送信移相器22−kの移相量φk を次式とすれば、(35)式の送信位相を実現することができる。
φk =φk0−(k−1)・Δθ =φk0−(k−1)・(2π・d・sin ψ/λ) …(36)
一方、入射角ψの反射電波を検出する時には、図2から明らかなように、任意の隣接するアンテナ素子10−kの受信位相Θk は、アンテナ素子10−(k−1)の受信位相Θk-1 に対して、Δθだけ位相を遅らせなければ、各アンテナの受信信号の受信位相は、同相にはならない。
したがって、アンテナ素子kの受信位相Θk は、アンテナ素子kの零点受信位相Θk0を用いて、次式で表される。
Θk =Θk0−(k−1)・Δθ …(37)
受信位相Θk0を実現するための第1受信移相器35−kに設定された位相量はβk0であるので、結局、第1受信移相器35−kの移相量βk を次式とすれば、(37)式の受信位相を実現することができる。
βk =βk0−(k−1)・Δθ
=βk0−(k−1)・(2π・d・sin ψ/λ) …(38)
このように、全ての第1受信移相器35−kの移相量βk が設定された状態で、全ての第1受信移相器35−kの出力する中間周波受信信号の位相は、入射角ψの反射電波の等位相面の受信信号となる。上記では、アンテナ素子10−1を基準に他のアンテナ素子の送信位相と受信位相とを制御したので、位相整合された受信信号は、アンテナ素子10−1と目標物との往復経路による信号に整合されることになる。この結果、目標物までの測定距離は、アンテナ素子10−1から目標物までの距離となる。
(36)、(38)式において、走査角速度をωs とすれば、移相量の時間関数φk (t) 、βk (t) は、次式となる。
φk (t) =φk0−(k−1)・(2π・d・sin ωs t /λ) …(39)
βk (t) =βk0−(k−1)・(2π・d・sin ωs t /λ) …(40)
このように、送信移相量と受信移相量とを、それぞれ、φk (t) 、βk (t) で変化させれば、放射角ψが、−π/2〜π/2の範囲で角速度ωs で放射方向を走査することができる。
7.距離測定
距離測定には、FMCW信号や、モノパルスを用いることが考えられる。FMCW信号を用いる場合には、主搬送波を三角波で周波数変調したFMCW信号を図1において主搬送波に代えて入力する。または、FMCW信号は副搬送波を三角波で変調して得ても良く、図1において副搬送波に代えて、FMCW信号を送信移相器22−kと、第2復調器36−kに入力する。
いずれの場合にも、帯域通過フィルタ77−kの出力する受信ベースバンド信号では、反射電波の等位相面での受信信号となり、アンテナ10−1と目標物との往復距離に比例したビート周波数が得られることになる。
ところが、上記したように、φk (t) 、βk (t) は、(39)、(40)で変化しているので、漏れ送信信号が、帯域通過フィルタ77−kの出力である受信ベースバンド信号において、現れないためには、第2受信移相器37−kにより設定される位相量ηk が(25)式を満たす必要がある。したがって、移相量ηk も角周波数ωs で変化させる必要がある。
ηk =ηk0−(k−1)・(2π・d・sin ωs t /λ)
−(k−1)・(2π・d・sin ωs t /λ)
=ηk0−2(k−1)・(2π・d・sin ωs t /λ) …(41)
ただし、ηk0は、較正時に(25)式で設定された値である。
このように、第2受信移相器36−kに設定する移相量ηk を時間変動させることで、受信ベースバンド信号において、ωs の周波数成分を除去することができる。
〔変形例〕
上記実施例において、第1変調器24−k、第1復調器32−kは、3次の非線形を利用したサブハーモニックミキサーを用いても良い。この場合には、主搬送波の周波数は、ω0 の1/2、すなわち、37.25GHzを用いる。また、図1の増幅器27−kの出力に、入力信号の周波数を2倍にする注入同期プッシュ−プッシュ(push-push)発振器を用いても良い。この場合には、2・(ω0 +ω1 )=77.0GHzを実現するには、副搬送波を2.5GHzを用いる場合には、主搬送波は、36GHzを用いる必要がある。
本発明は、目標物が存在する方位や距離を測定するレーダ装置の測定精度の向上に寄与し、アンテナを送信と受信とで共用したフェーズドアレイレーダを実現することができる。
本発明の具体的な実施例に係るレーダ装置の構成を示したブロッグ図。 同レーダ装置のチャネルkの構成を示すブロック図。 方位の走査を行うための送信位相と受信位相とを決定する方法を示した説明図。 本発明の具体的な他の実施例に係るレーダ装置の構成を示したブロッグ図。 従来のレーダ装置を示すブロック図。
10−k…アンテナ素子
20−k…送信装置
30−k…受信装置
40−k…方向性結合器
50…送信位相制御装置
60…受信位相制御装置
70…信号処理装置
22−k…送信移相器
23−k…第2変調器
24−k…第1変調器
26−k,33−k,77−k…帯域通過フィルタ
52−k,62−k…ミキサー
32−k…第1復調器
35−k…第1受信移相器
36−k…第2復調器
37−k…第2受信移相器

Claims (10)

  1. 目標物までの方位又は距離を測定するレーダ装置において、
    複数のアンテナ素子を配置させ、前記目標物に対して送信信号を送信電波として放射し、同一のアンテナ素子により、前記目標物からの反射電波を受信信号として受信するアレイアンテナと、
    各アンテナ素子毎に設けられ、前記送信信号を生成し、その送信信号の位相を決定する送信移相器を有した送信装置と、
    各アンテナ素子毎に設けられ、前記受信信号を受信し、その受信信号の位相を決定する第1受信移相器を有した受信装置と、
    各アンテナ素子毎に設けられ、前記送信装置からの前記送信信号を前記アンテナ素子に通過させ、前記アンテナ素子からの前記受信信号を前記受信装置に通過させる方向性結合器と、
    前記送信電波の放射角を制御するために、前記各送信移相器の各移相量を制御して前記各アンテナ素子に供給する前記各送信信号の各送信位相を制御する送信位相制御装置と、
    前記反射電波の入射角を制御するために、前記各第1受信移相器の各移相量を制御して前記各アンテナ素子により受信される前記各受信信号の各受信位相を制御する受信位相制御装置と
    を有し、
    前記送信位相制御装置は、前記レーダ装置の較正時に、前記各アンテナ素子に供給する前記各送信信号の各送信位相を同一に同期させて、前記送信移相器の移相量を基準送信移相量とし、
    前記受信位相制御装置は、前記レーダ装置の較正時に、前記各送信信号の前記各方向性結合器を介して前記各受信装置へ迂回した各送信信号を前記各受信信号として、前記各アンテナ素子毎に、前記各受信信号の各受信位相を同一に同期させて、前記第1受信移相器の移相量を基準受信移相量とし、
    前記送信位相制御装置は、測定時には、前記各基準送信移相量を零点として、前記送信電波の放射角に応じた位相差だけ、隣接するアンテナ素子に対応する前記各送信移相器に設定する移相量を異ならせて、前記位相差を変化させ、
    前記受信位相制御装置は、測定時には、前記各基準受信移相量を零点として、前記反射波の入射角に応じた位相差だけ、隣接するアンテナ素子に対応する前記各受信移相器に設定する位相量を異ならせて、前記位相差を変化させる
    ことにより送信電波の放射角及び反射波の入射角を走査する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記送信移相制御装置は、順次、一つのアンテナ素子に供給する送信信号と他の一つのアンテナ素子に供給する送信信号を90度移相させた信号とをミキシングしてベースバンドの信号を抽出し、その信号が零となるように、前記基準送信移相量を、順次、決定することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 前記受信移相制御装置は、順次、一つのアンテナ素子の系統における前記受信装置へ迂回した送信信号である前記受信信号と、他の一つのアンテナ素子の系統における前記受信装置へ迂回した送信信号である前記受信信号を90度移相させた信号とをミキシングしてベースバンドの信号を抽出し、その信号が零となるように、前記基準受信移相量を、順次、決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーダ装置。
  4. 前記送信装置は、送信ベースバンド信号で副搬送波を変調して中間周波送信信号を出力する第2変調器と、該中間周波送信信号により、前記副搬送波よりも周波数の高い主搬送波を振幅変調して前記送信信号を出力する第1変調器とを有し、
    前記受信装置は、前記受信信号を主搬送波で振幅復調して、中間周波受信信号とする第1復調器と、前記中間周波受信信号を前記副搬送波で振幅復調して受信ベースバンド信号とする第2復調器とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のレーダ装置。
  5. 前記受信装置は、前記第2復調器に入力する前記副搬送波の位相を決定する第2受信移相器を有し、
    前記受信位相制御装置は、前記レーダ装置の較正時には、前記第2復調器の出力する第1受信ベースバンド信号の振幅を零又は最大とするように前記第2受信移相器の移相量を制御することを特徴とする請求項4に記載のレーダ装置。
  6. 前記受信装置は、前記第2復調器に入力する前記副搬送波の位相を決定する第2受信移相器と、
    前記第2受信移相器の出力信号を90度移相させる90度移相器と、
    前記第2受信移相器の出力信号と前記90度移相器の出力信号とを入力してベースバンド信号を得る第3復調器とを有し、
    前記受信移相制御装置は、前記第3復調器の出力する第2受信ベースバンド信号の振幅を零とするように前記第2受信移相器の移相量を制御することを特徴とする請求項4に記載のレーダ装置。
  7. 前記第2復調器の出力する第1受信ベースバンド信号と、前記第2受信ベースバンド信号とから、前記主搬送波及び前記副搬送波の周波数に基づく変動を除去した信号から、前記距離を測定することを特徴とする請求項6に記載のレーダ装置。
  8. 前記送信移相器は、前記副搬送波の位相を制御することを特徴とする請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載のレーダ装置。
  9. 前記第1受信移相器は、前記中間周波受信信号の位相を制御することを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1項に記載のレーダ装置。
  10. 前記副搬送波をFMCW信号して、前記第2復調器の出力信号から前記距離を測定することを特徴とする請求項4乃至請求項9の何れか1項に記載のレーダ装置。
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