以下、本発明のハイブリッド型作業機械を適用した実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械を含む建設機械を示す側面図である。
このハイブリッド型作業機械の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。また、上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びリフティングマグネット6と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に加えて、キャビン10及び動力源が搭載される。
[全体構成]
図2は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械の構成を表すブロック図である。この図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを太実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を細実線でそれぞれ示す。
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、ともに増力機としての減速機13の入力軸に接続されている。また、この減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
コントロールバルブ17は、本実施の形態の建設機械における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
また、電動発電機12には、インバータ18A及び昇降圧コンバータ100を介して蓄電器としてのバッテリ19が接続される。このインバータ18Aと昇降圧コンバータ100との間は、DCバス110によって接続されている。
また、このDCバス110には、インバータ18Bを介してリフティングマグネット6が接続されている。リフティングマグネット6は、金属物を磁気的に吸引するための磁気吸引力を発生する電磁石を含んでおり、インバータ18Bを介してDCバス110から電力が供給される。
また、DCバス110には、インバータ20を介して旋回用電動機21が接続されている。旋回用電動機21は、旋回機構2の動力源であり、上部旋回体3を右方向又は左方向に回転させるための駆動制御が行われる。
DCバス110は、バッテリ19、リフティングマグネット6、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行うために配設されている。
このDCバス110には、DCバス110の電圧値(以下、本実施の形態においてDCバス電圧値と称す)を検出するためのDCバス電圧検出部111が配設されている。検出されるDCバス電圧値は、コントローラ30に入力される。
また、バッテリ19には、バッテリ電圧値を検出するためのバッテリ電圧検出部112と、バッテリ電流値を検出するためのバッテリ電流検出部113が配設されている。これらによって検出されるバッテリ電圧値とバッテリ電流値は、コントローラ30に入力される。
旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26C、及びボタンスイッチ26Dを含み、レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cには、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29がそれぞれ接続される。この圧力センサ29には、本実施の形態の建設機械の電気系の駆動制御を行うコントローラ30が接続されている。
また、説明の便宜上、図2のブロック図ではボタンスイッチ26Dを操作装置26とは独立して示すが、このボタンスイッチ26Dは操作者の右側に位置するレバー26Aの頂部に配設される押ボタンスイッチであり、コントローラ30に電気的に接続される。このボタンスイッチ26Dはリフティングマグネット6の操作(励磁(吸引)又は消磁(釈放)の切替操作)を行うためのボタンスイッチである。また、励磁用と消磁用のスイッチは別々にされていてもよく、操作者の左前方にあるレバー26Bに励磁用スイッチを設置し、操作者の右前方にあるレバー26Aに励磁用のスイッチを設置してもよい。
なお、コントローラ30は、バッテリ19、昇降圧コンバータ100、及びDCバス110の異常を検出する異常検出部としての機能を備えており、異常を検出した場合には、異常内容を警報装置120を介して報知する。警報装置120は、例えば、キャビン10内の運転席周辺に配設されるモニタで構成される。
このような本実施の形態の建設機械は、エンジン11、電動発電機12、及び旋回用電動機21を動力源とするハイブリッド型作業機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
[各部の構成]
エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸は減速機13の一方の入力軸に接続される。このエンジン11は、建設機械の運転中は常時運転される。
電動発電機12は、電動(アシスト)運転及び発電運転の双方が可能な電動機であればよい。ここでは、電動発電機12として、インバータ20によって交流駆動される電動発電機を示す。この電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。電動発電機12の回転軸は減速機13の他方の入力軸に接続される。
減速機13は、2つの入力軸と1つの出力軸を有する。2つの入力軸の各々には、エンジン11の駆動軸と電動発電機12の駆動軸が接続される。また、出力軸にはメインポンプ14の駆動軸が接続される。エンジン11の負荷が大きい場合には、電動発電機12が電動(アシスト)運転を行い、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。これによりエンジン11の駆動がアシストされる。一方、エンジン11の負荷が小さい場合は、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電運転による発電を行う。電動発電機12の力行運転と発電運転の切り替えは、コントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
メインポンプ14は、コントロールバルブ17に供給するための油圧を発生するポンプである。この油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。
パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。この油圧操作系の構成については後述する。
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧駆動制御する油圧制御装置である。
インバータ18Aは、上述の如く電動発電機12と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。これにより、インバータ18Aが電動発電機12を電動運転している際には、必要な電力をバッテリ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を発電運転している際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19に充電する。
インバータ18Bは、リフティングマグネット6と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、電磁石をオンにする際には、リフティングマグネット6へ要求された電力をDCバス110より供給する。また、電磁石をオフにする場合には、回生された電力をDCバス110に供給する。
バッテリ19は、昇降圧コンバータ100を介してインバータ18A、インバータ18B、及びインバータ20に接続されている。これにより、バッテリ19は、電動発電機12の電動(アシスト)運転と旋回用電動機21の力行運転との少なくともどちらか一方が行われている際、又は、リフティングマグネット6を励磁する(オンにする)際には、必要な電力を供給する。また、バッテリ19は、電動発電機12の発電運転と旋回用電動機21の回生運転の少なくともどちらか一方が行われている際、又は、リフティングマグネット6を消磁する(オフにする)ときに回生電力が発生している際には、発電運転又は回生運転によって発生した電力を電気エネルギとして蓄積する。
なお、DCバス110には、インバータ18A、18B、及び20を介して、電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21が接続されているため、電動発電機12で発電された電力がリフティングマグネット6又は旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、リフティングマグネット6で回生された電力が電動発電機12又は旋回用電動機21に供給される場合もあり、さらに、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12又はリフティングマグネット6に供給される場合もある。
このバッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、リフティングマグネット6の駆動状態、旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100によって行われる。この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値、及びバッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値に基づき、コントローラ30によって行われる。
インバータ20は、上述の如く旋回用電動機21と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、旋回用電動機21に対して運転制御を行う。これにより、インバータが旋回用電動機21の力行を運転制御している際には、必要な電力をバッテリ19から昇降圧コンバータ100を介して旋回用電動機21に供給する。また、旋回用電動機21が回生運転をしている際には、旋回用電動機21により発電された電力を昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19へ充電する。
昇降圧コンバータ100は、一側がDCバス110を介して電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21に接続されるとともに、他側がバッテリ19に接続されており、DCバス電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧又は降圧を切り替える制御を行う。
電動発電機12が電動(アシスト)運転を行う場合には、インバータ18Aを介して電動発電機12に電力を供給する必要があるため、DCバス電圧値を昇圧する必要がある。一方、電動発電機12が発電運転を行う場合には、発電された電力をインバータ18Aを介してバッテリ19に充電する必要があるため、DCバス電圧値を降圧する必要がある。
これは、リフティングマグネット6の励磁(オン)と消磁(オフ)、及び旋回用電動機21の力行運転と回生運転においても同様である。電動発電機12はエンジン11の負荷状態に応じて運転状態が切り替えられ、リフティングマグネット6は作業状態において駆動状態(励磁と消磁)が切り替えられ、さらに、旋回用電動機21は上部旋回体3の旋回動作に応じて運転状態が切り替えられる。
このため、電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21には、いずれかにDCバス110を介して電力供給が行われ、いずれかからDCバス110に電力供給が行う状況が生じうる。
このため、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
DCバス110は、3つのインバータ18A、18B、及び20と昇降圧コンバータとの間に配設されており、バッテリ19、電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う。
DCバス電圧検出部111は、DCバス電圧値を検出するための電圧検出部である。検出されるDCバス電圧値はコントローラ30に入力され、このDCバス電圧値を一定の範囲内に収めるための昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
バッテリ電圧検出部112は、バッテリ19の電圧値を検出するための電圧検出部であり、バッテリの充電状態を検出するために用いられる。検出されるバッテリ電圧値は、コントローラ30に入力され、昇降圧コンバータ100の昇降圧制御の応答性が向上するように昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
バッテリ電流検出部113は、バッテリ19の電流値を検出するための電流検出部である。バッテリ電流値は、バッテリ19から昇降圧コンバータ100に流れる電流を正の値として検出される。検出されるバッテリ電流値は、コントローラ30に入力され、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
旋回用電動機21は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であればよく、上部旋回体3の旋回機構2を駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が減速機24にて増幅され、上部旋回体3が加減速制御され回転運動を行う。また、上部旋回体3の慣性回転により、減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させることができる。ここでは、旋回用電動機21として、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ20によって交流駆動される電動機を示す。この旋回用電動機21は、例えば、磁石埋込型のIPMモータで構成することができる。これにより、より大きな誘導起電力を発生させることができるので、回生時に旋回用電動機21にて発電される電力を増大させることができる。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで旋回用電動機21の回転前の回転軸21Aの回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出するように構成されている。旋回用電動機21の回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構2の回転角度及び回転方向が導出される。また、図2にはレゾルバ22を取り付けた形態を示すが、電動機の回転センサを有しないインバータ制御方式を用いてもよい。
メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ23は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ30によって行われる。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構2に機械的に伝達する減速機である。これにより、力行運転の際には、旋回用電動機21の回転力を増力させ、より大きな回転力として旋回体へ伝達することができる。これとは逆に、回生運転の際には、旋回体で発生した回転数を増加させ、より多くの回転動作を旋回用電動機21に発生させることができる。
旋回機構2は、旋回用電動機21のメカニカルブレーキ23が解除された状態で旋回可能となり、これにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
操作装置26は、旋回用電動機21、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための操作装置であり、レバー26A、レバー26B、ペダル26C、及びボタンスイッチ26Dを含む。レバー26A、レバー26B、ペダル26C、及びボタンスイッチ26Dは、キャビン10内の運転席の前方に配設されている。
レバー26Aは、旋回用電動機21及びアーム5を操作するためのレバーであり、レバー26Bは、ブーム4及びバケット6を操作するためのレバーである。また、ペダル26Cは、下部走行体1を操作するための一対のペダルであり、運転席の足下に設けられる。
また、ボタンスイッチ26Dは、リフティングマグネット6の操作(励磁(吸引)又は消磁(釈放)の切替操作)を行うためのスイッチであり、レバー26Aの頂部に配設され、運転者が右手親指で容易に切替操作を行えるように構成されている。
この操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)をレバー26A、26B、及びペダル26Cの操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
また、操作装置26は、ボタンスイッチ26Dに入力されるリフティングマグネット6の操作内容(励磁(吸引)又は消磁(釈放))を表す電気信号をコントローラ30に伝達する。
レバー26A及び26Bとペダル26Cの各々が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
また、ボタンスイッチ26Dが操作されると、リフティングマグネット6の駆動状態(励磁(吸引)又は消磁(釈放))が切り替えられる。
なお、油圧ライン27は、油圧モータ1A及び1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の駆動に必要な油圧をコントロールバルブに供給する。
旋回用操作検出部としての圧力センサ29では、操作装置26に対して旋回機構2を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。これにより、操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量を的確に把握することができる。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。また、本実施の形態では、レバー操作検出部としての圧力センサを用いる形態について説明するが、操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量をそのまま電気信号で読み取るセンサを用いてもよい。
[コントローラ30]
コントローラ30は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械の駆動制御を行う制御装置であり、旋回駆動制御部40、及び駆動制御部50を含み、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
旋回駆動制御部40は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構2を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。
駆動制御部50は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)、リフティングマグネット6の駆動制御(励磁(オン)と消磁(オフ)の切り替え)、及び、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるバッテリ19の充放電制御を行うための制御装置である。駆動制御部50は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、リフティングマグネット6の駆動状態(励磁(オン)と消磁(オフ))、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりバッテリ19の充放電制御を行う。
この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値、及びバッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値に基づいて行われる。
また、コントローラ30は、バッテリ19、昇降圧コンバータ100、又はDCバス110の異常を検出する異常検出部としての機能を備える。この異常検出部としてのコントローラ30は、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値が所定の電圧閾値を超えないかどうかの監視(バッテリ19の過電圧の監視)、バッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値が所定の電流閾値を超えないかどうかの監視(昇降圧コンバータ100の過電流の監視)、及び、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値が所定の電圧閾値を超えないかどうかの監視(DCバス電圧値の過電圧の監視)を行う。
コントローラ30は、バッテリ19、昇降圧コンバータ100、又はDCバス110のいずれかの異常を検出した場合は、警報内容を警報装置120に表示させる。この警報装置120は、上述のように、例えば、キャビン10内の運転席周辺に配設されるモニタで構成される。
なお、コントローラ30は、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値が所定の電圧閾値を超えたと判定した場合、バッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値が所定の電流閾値を超えたと判定した場合、及び、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値が所定の電圧閾値を超えたと判定した場合には、駆動制御部50に昇降圧コンバータ100の駆動を停止させる。
図3は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械に用いる昇降圧コンバータの回路構成を概略的に示す図である。この昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、バッテリ19を接続するための電源接続端子104、負荷105を接続するための出力端子106、及び、一対の出力端子106に並列に挿入される平滑用のコンデンサ107を備える。コンバータ100の出力端子106と負荷105との間は、DCバス110によって接続される。なお、バッテリ19は、図2におけるバッテリ19に相当し、負荷105は、図2における電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21に相当する。図3では、図の簡略化のためにインバータ18A、18B、及び20(図2参照)を省略する。また、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102BをPWM駆動する駆動制御部50を省略する。
リアクトル101は、一端が昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続されるとともに、他端が電源接続端子104に接続されており、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス110に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、後述する昇降圧コンバータの駆動制御装置からゲート端子にPWM電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
バッテリ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図3には、蓄電器としてバッテリ19を示すが、バッテリ19の代わりに、コンデンサ、充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。なお、このバッテリ19は、図2に示すバッテリ19に相当する。
電源接続端子104及び出力端子106は、バッテリ19及び負荷105が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
バッテリ電圧検出部112は、バッテリ19の電圧値(vbat_det)を検出し、DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧(以下、DCバス電圧:vdc_det)を検出する。
出力端子106に接続される負荷105は、電力供給による駆動と回生による発電が可能な電気負荷であればよく、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータやリフティングマグネットで構成することができる。図3には、直流駆動用の負荷105を示すが、インバータを介して交流駆動される電気負荷であってもよい。
平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化できる蓄電素子であればよい。
バッテリ電流検出部113は、バッテリ19に通流する電流の値を検出可能な検出手段であればよく、電流検出用の抵抗器を含む。このバッテリ電流検出部113は、バッテリ19に通流する電流値(ibat_det)を検出する。
[昇降圧動作]
このような昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力をDCバス110に供給する。これにより、DCバス110が昇圧される。
また、DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT102Bを介して、負荷105によって発生される回生電力をDCバス110からバッテリ19に供給する。これにより、DCバス110に蓄積された電力がバッテリ19に充電され、DCバス110が降圧される。
ここで、本実施の形態の昇降圧コンバータ100は、ハイブリッド式の建設用機械の電源制御部に適用するため、コンデンサ107の電圧値が約200〜360V、出力端子106における出力定格電圧が約360V、定格出力が約20kW、瞬時最大出力電力が±80kW、定格電流が±100A、瞬時最大電流が±400A程度となる。このため、リアクトル101、昇圧用IGBT102A、降圧用IGBT102B、電源接続端子104、出力端子106、及びコンデンサ107は、このような用途に耐えうるものであることが要求される。
なお、この図3では、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102BをPWM駆動する駆動制御部50を省略したが、駆動制御部50は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
[リフティングマグネットの釈放時の制御処理]
図4は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械におけるリフティングマグネットを釈放(消磁)する際の制御処理の手順を示す図である。この制御処理は、コントローラ30によって実行される。
コントローラ30は、ボタンスイッチ26Dが押されることにより、釈放(消磁)指令が入力されたか否かを判定する(ステップS1)。この制御処理は、リフティングマグネット6を釈放(消磁)する際に、消磁動作を制限するための処理だからである。このため、ステップS1の判定は、釈放(消磁)指令の入力を確認するまで繰り返し実行される。
コントローラ30は、釈放(消磁)指令が入力されたと判定した場合は、昇降圧コンバータ100が異常で駆動停止状態であるか否かを判定する(ステップS2)。昇降圧コンバータ100が駆動停止状態である場合は、図3においてバッテリ19からダイオード102bを介してDCバス110に電力供給は行えるが、リフティングマグネット6を含む負荷105からの回生電力をバッテリ19に供給することはできないため、リフティングマグネット6の消磁動作を制限することにより、バッテリ19、昇降圧コンバータ100、及びDCバス110の損傷を抑制する必要があるからである。
なお、昇降圧コンバータ100が異常で駆動停止状態になるのは、バッテリ19の過電圧、昇降圧コンバータ100の過電流、又はDCバス電圧値の過電圧がコントローラ30によって検知された場合である。
コントローラ30は、昇降圧コンバータ100が異常で駆動停止状態であると判定した場合は、リフティングマグネット6の消磁動作を制限する(ステップS3A)。リフティングマグネット6を急激に消磁すると、多大な回生電力がDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100が駆動停止している状態ではDCバス電圧値が急激に上昇し、DCバス110や昇降圧コンバータ100、あるいはその周辺の回路に損傷を来す可能性があるからである。
なお、リフティングマグネット6の消磁動作の制限方法については後述する。
次いで、コントローラ30は、インバータ18Bで検出されるリフティングマグネット6の端子電圧を監視し、この端子電圧が所定値以下になったときにリフティングマグネット6の消磁動作を停止させる(ステップS4)。リフティングマグネット6の回生によって生じる電圧値が所定値以下になれば、駆動を停止して自然放電させてもDCバス電圧値が急激に上昇することはなく、DCバス110や昇降圧コンバータ100、あるいはその周辺の回路に損傷を来す可能性が極めて低いからである。
また、ステップS2において、昇降圧コンバータ100が異常で駆動停止状態ではないと判定した場合は、手順はステップS3Bに進行し、コントローラ30は、リフティングマグネット6の通常通りの消磁動作を実行する。これにより、リフティングマグネット6にはインバータ18Bを介して、励磁(吸引)を行う際とは逆極性の電圧が短時間の間に印加され、磁気吸引力が急激に低下し、金属製の吸着物が釈放される。なお、リフティングマグネットの消磁(釈放)によって生じる多大な回生電力は、DCバス110に供給され、そのときのDCバス電圧値やバッテリ19の充電率等に応じて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作又は降圧動作が実行される。
コントローラ30は、以上でリフティングマグネットを釈放(消磁)する際の制御処理を終了する。
[消磁動作の制限方法]
次に、リフティングマグネット6の消磁動作の制限方法について説明する。本実施の形態のハイブリッド型作業機械では、コントローラ30によってバッテリ19、昇降圧コンバータ100、又はDCバス110の少なくともいずれか一つの異常が検出された場合は、昇降圧コンバータ100の駆動が停止され、この駆動停止状態の間はリフティングマグネット6の消磁動作が制限される。これは、コントローラ30により、図4に示す処理手順におけるステップS3Aにおいて実行される処理であり、具体的には、以下のように消磁動作の制限が行われる。
(1)消磁動作の制限は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値が所定値まで低下するまで待機することによって実現されてもよい。DCバス電圧値は、DCバス110に接続されるリフティングマグネット6以外の機器による電力消費により、徐々に低下するからである。
(2)また、(1)の場合に、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値が所定値まで低下するまで待機することに代えて、DCバス電圧値が所定値まで低下するまでインバータ18Bを介して電力を供給することにより、リフティングマグネット6を励磁(吸引)した状態に保持しても(すなわち、消磁動作を停止させても)よい。
(3)また、DCバス電圧値が所定値まで低下した後に、徐々に消磁動作を実行することにより、消磁動作の制限を実現してもよい。
消磁動作の制限として、消磁動作を徐々に実行する際には、リフティングマグネット6からDCバス110へ供給される単位時間あたりの回生電力がDCバス110の単位時間あたりの消費電力よりも少なくなるように、消磁動作の制限が行われてもよい。
ハイブリッド型作業機械では、電動発電機12によるメインポンプ14のアシストや旋回用電動機21の力行運転等により、常時DCバス110の電力が消費される。このため、DCバス110の単位時間あたりの消費電力は、例えば、電動発電機12と旋回用電動機21の駆動に必要な単位時間あたりの消費電力に予め設定すればよく、電動発電機12と旋回用電動機21の定格出力等を用いて予め設定してもよい。
(4)また、DCバス電圧値が所定値まで低下した後に、徐々に消磁動作を実行する場合には、(3)の代わりに、リフティングマグネットを自然放電させることにより、消磁動作の制限を実現してもよい。自然放電の場合はリフティングマグネット6からDCバス110に供給される回生電力は微小であるため、DCバス電圧値が急激に上昇することを避けることができる。
なお、消磁動作の制限は、上述の(1)又は(2)に、(3)又は(4)を任意に組み合わせることによって実現されてもよいし、DCバス電圧値が所定値まで低下することを待たずに徐々に消磁動作を実行するようにしても昇降圧コンバータ100やDCバス110の損傷を抑制できる場合は、(1)及び(2)を行うことなく、(3)又は(4)のみによって消磁動作の制限が実現されてもよい。
また、(3)又は(4)の後に、コントローラ30がインバータ18Bを介してリフティングマグネット6の端子電圧を監視し、所定値(例えば、20(V))以下になった場合には、リフティングマグネット6の消磁動作を停止させてもよい。所定値以下の場合には、回生電力は微小となり、かつ、磁気吸引力は発生されないからである。
以上のように、昇降圧コンバータ100が異常で駆動停止状態である場合にリフティングマグネット6の操作入力があった場合には、リフティングマグネット6の消磁動作を制限するため、DCバス110に多大な回生電力が供給されてDCバス電圧値が急激に上昇することを未然に防ぐことができる。これにより、昇降圧コンバータ100やDCバス110等の損傷を抑制することができ、この結果、電力系統の信頼性の高いハイブリッド型作業機械を提供することができる。
また、以上の説明は、リフティングマグネット6が励磁されていることが前提であり、リフティングマグネット6が励磁されている状態は、金属製の物体等を吸引して運搬している可能性が高い。このため、このような状態で異常の発生により昇降圧コンバータ100が駆動停止状態にされた場合には、オペレータが作業を停止させようとしてリフティングマグネット6を消磁(釈放)する可能性がある。ボタンスイッチ26Dが操作されてリフティングマグネット6が消磁されると、DCバス電圧値の急激な上昇により昇降圧コンバータ100やDCバス110の損傷が生じる。
[動作説明]
図5は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械でリフティングマグネットの消磁動作の制限を行う際のDCバス電圧値とリフティングマグネットの端子電圧値とを示す特性図であり、(a)は本実施の形態のハイブリッド型作業機械による特性、(b)は比較例として本実施の形態のように消磁動作の制限が行われない場合の特性を示す。
なお、リフティングマグネット6の端子電圧値は、インバータ18Bにおいて検出される値であり、励磁(吸引)に必要な電圧値を正の値、消磁(釈放)される際に得られる回生電力を負の値で表す。
[本実施の形態の動作説明]
図5(a)に示すように、時刻t=0(秒)ではDCバス電圧値はV1(V)に保持されており、リフティングマグネット6は消磁されているので、リフティングマグネット6の端子電圧は0(V)である。この状態は時刻t=5(秒)まで継続する。
時刻t=5(秒)においてリフティングマグネット6が励磁され、吸引が開始されると、吸着力の立ち上がり応答性を改善するために、リフティングマグネット6の端子電圧は最大電圧V2にされる。このとき、DCバス110からリフティングマグネット6へ電力供給が行われることによってDCバス電圧値が低下することを予防するために、昇降圧コンバータ100はDCバス110を昇圧し、これによりDCバス電圧値は略一定に保持される。この状態は時刻t=約7(秒)まで継続する。
時刻t=約7秒と時刻t=約10秒で、リフティングマグネット6の出力はオペレータの操作により多段に制御される。
時刻t=約7(秒)でリフティングマグネット6の端子電圧はV3(V)に低下される。
さらに、時刻t=約10(秒)でリフティングマグネット6の端子電圧はV4(V)に低下される。なお、この状態は保持される。
時刻t=約13(秒)で異常が発生することによって昇降圧コンバータ100が駆動停止状態にされると、リフティングマグネット6は励磁されたままであるが、昇降圧コンバータ100は駆動が停止されているため、DCバス電圧値は低下しはじめる。この状態は時刻t=18(秒)まで継続する。この時間帯は、オペレータによるレバー操作によって、ブーム4の上下動作、旋回動作等の運転は可能となっているが、リフティングマグネット6はオペレータの操作にかかわらず吸着が持続される時間帯となっている。
時刻t=約18(秒)で、ボタンスイッチ26Dが操作され、リフティングマグネット6を消磁(釈放)するための操作が入力される。このとき、コントローラ30はリフティングマグネット6の回生電力によりDCバス電圧が上昇しないように徐々に実行する。
その後、リフティングマグネット6は徐々に消磁され続け、それに伴い吸着力が低下すると徐々に釈放が実行される。また、これに伴い、DCバス電圧値はV5(V)まで低下する。
以上のように、本実施の形態のハイブリッド型作業機械による異常時におけるリフティングマグネット6の消磁動作の制限は実行される。
バッテリ19、昇降圧コンバータ100、又はDCバス110の異常が検知された場合には、リフティングマグネット6の消磁動作が制限されるので、リフティングマグネット6の回生電力によってDCバス電圧値が急激に上昇することは未然に抑制される。これにより、昇降圧コンバータ100やDCバス110等の損傷が抑制される。
[比較例における動作説明]
比較例では、本実施の形態のように消磁動作の制限が行われない。また、図5(a)に示す本実施の形態の特性では、異常の発生によって昇降圧コンバータ100が駆動停止状態にされてから約2秒後にリフティングマグネット6を消磁動作に切り替えるためにボタンスイッチ26Dが操作される場合について説明したが、本実施の形態の効果を分かりやすくするために、比較例では、異常の発生によって昇降圧コンバータ100が駆動停止状態にされてから60秒後にリフティングマグネット6を消磁動作に切り替えるためにボタンスイッチ26Dが操作される場合について説明する。60秒経過することにより、比較例では本実施の形態よりもDCバス電圧値はV6(V)程度まで低下する。この電圧値V6(V)は、図5(a)に示すV5(V)よりも低い値である。
図5(b)に示すように、時刻t=5(秒)においてリフティングマグネット6が励磁されて端子電圧はV2(V)にされ、時刻t=約7(秒)でリフティングマグネット6の端子電圧はV3(V)に低下され、さらに、時刻t=約10(秒)でリフティングマグネット6の端子電圧は約V4(V)に低下されるところまでは、図5(a)と同一である。この状態は時刻t=約35(秒)まで継続する。
時刻t=約35(秒)で異常が発生することによって昇降圧コンバータ100が駆動停止状態にされると、リフティングマグネット6は励磁されたままであるが、昇降圧コンバータ100は駆動が停止されているため、DCバス電圧値は低下しはじめる。
時刻t=約90(秒)ではDCバス電圧値とリフティングマグネット6の端子電圧値が同一(V4(V))となるため、その後はDCバス電圧値とリフティングマグネット6の端子電圧値とは、ともに低下する。
時刻t=100(秒)でボタンスイッチ26Dが操作され、リフティングマグネット6を消磁(釈放)するための操作が入力されると、リフティングマグネット6に電圧が印加される。この際、釈放動作によりリフティングマグネット6のコイルに蓄積されている電気的エネルギが放出されることで、DCバス110へ回生電力が戻される。これにより、急激にDCバス電圧値が上昇する。
このように、比較例では、異常発生によって昇降圧コンバータ100が駆動停止状態であるときに、リフティングマグネット6が消磁されると、DCバス電圧値が急激に上昇するため、昇降圧コンバータ100やDCバス110の損傷が生じる可能性がある。
比較例では、異常の発生によって昇降圧コンバータ100が駆動停止状態にされてから60秒後にリフティングマグネット6を消磁動作に切り替えるためにボタンスイッチ26Dが操作される場合について説明したが、さらに早い時期にボタンスイッチ26Dが操作されると、DCバス電圧値がより高い状態でDCバス110に回生電力が供給されるため、DCバス電圧値はV7(V)よりもさらに上昇することが考えられる。
以上より、本実施の形態のハイブリッド型作業機械によれば、バッテリ19、昇降圧コンバータ100、又はDCバス110の異常が検知された場合には、リフティングマグネット6の消磁動作が制限されるので、リフティングマグネット6の回生電力によってDCバス電圧値が急激に上昇することが未然に抑制され、昇降圧コンバータ100やDCバス110等の損傷を抑制することができる。
なお、以上では、昇降圧コンバータ100が異常で駆動停止状態になるのは、バッテリ19の過電圧、昇降圧コンバータ100の過電流、又はDCバス電圧値の過電圧がコントローラ30によって検知された場合のいずれかである形態について説明したが、バッテリ19の温度を監視しておき、この温度が所定の温度閾値を超えた場合、又は、リアクトル101の温度を監視しておき、この温度が所定の温度閾値を超えた場合のいずれかの場合においても、昇降圧コンバータ100を駆動停止状態にするようにしてもよい。
また、以上では、警報装置120がキャビン10内の運転席周辺に配設されるモニタであり、このモニタに異常内容が表示される形態について説明したが、警報装置120は運転席周辺のモニタに限られず、運転席周辺に配設される警報灯、又は、警報音を発生する警報音発生装置等で構成されてもよい。
また、以上では、DCバス110にインバータ18A、18B、及び20を介して電動発電機12、リフティングマグネット6、及び旋回用電動機21が接続される形態について説明したが、リフティングマグネット以外の作業要素は、ハイブリッド型作業機械の仕様に応じて変更されてもよい。例えば、ブーム軸やアーム軸等に発電機を備える場合は、インバータを介してDCバス110に発電機が接続されてもよい。
また、以上では、PI制御を用いる形態について説明したが、制御方式はPI制御方式に限られるものではなく、ヒステリシス制御、ロバスト制御、適応制御、比例制御、積分制御、ゲインスケジューリング制御、又は、スライディングモード制御であってもよい。
以上では、ハイブリッド型建設機械について説明したが、ハイブリッド型作業機械は、建設機械以外の形態の作業機械であってもよく、例えば、ハイブリッド型の運搬荷役機械(クレーンやフォークリフト)であってもよい。
例えば、図2に示すエンジン11及び電動発電機12をクレーンのエンジン及びアシスト用電動発電機として用い、図2に示す旋回用電動機21をクレーンの荷役作業において部品や貨物等を上昇又は下降させるための動力源に用いればよい。特に、部品や貨物等を上昇又は下降させるための動力源は、リフティングマグネット6の吸引/釈放、ワイヤの巻き取り、又は引出に伴って力行運転(巻き取り時)と回生運転(引出時)を行うため、ハイブリッド型作業機械として上述のハイブリッド型建設機械と同様に実施することができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態のハイブリッド型作業機械について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。