以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、本発明の電子機器を適用した実施形態における電子機器100の斜視図である。
図1に示すように、この電子機器100は、携帯型の電子機器であって、特にノート型パーソナルコンピュータである。電子機器100は、CPU、RAM、ROM、その他の電子部品から構成された演算処理回路を内蔵した本体1と、本体1に対して着脱自在であり、燃料を貯留した燃料容器10と、本体1に対して着脱自在であり、燃料容器10の燃料を用いて発電を行い、生成した電気エネルギーを本体1に供給することにより本体1を駆動する発電モジュール20と、を備える。
本体1は、キーボード2を備え付けた下筐体3と、液晶ディスプレイ4を備え付けた上筐体5と、を備える。上筐体5は下筐体3にヒンジ結合されており、上筐体5を下筐体3に重ねてキーボード2に液晶ディスプレイ4を相対させた状態で本体1を折り畳むことができるように構成されている。
ヒンジ結合部とは反対側の上筐体5の側面には第1の開口部6が形成されており、第1の開口部6に面する第1の収納空間7が上筐体5の内部に設けられている。また、燃料を貯留した燃料容器10が第1の開口部6に対して挿抜自在に設けられ、この燃料容器10は上筐体5に対して着脱自在となるように収納空間7に収納されるようになっている。
燃料容器10の底部には、内部の燃料を排出するための排出口11が形成されており、排出口11には、外部から燃料容器10に圧力が加えられても排出口11から内部の燃料が無用に流出することを阻止する逆止弁が設けられている。一方、第1の収納空間7内には管が設けられており、燃料容器10が第1の収納空間7に収納された場合に、この管が逆止弁に挿入されることにより逆止弁が開口するようになっている。これにより、燃料容器10の内部の燃料が本体1に供給される。なお、第1の開口部6には蓋が開閉自在に設けられている。
燃料容器10に貯留された燃料は、液状の化学燃料と水の混合液であり、化学燃料としてはメタノール、エタノール等のアルコール類やガソリンといった水素元素を含む化合物が適用可能である。ここでは、燃料としてメタノールと水の混合液を適用する。
下筐体3の側面には、第2の開口部8が形成され、第2の開口部8に面する第2の収納空間9が下筐体3の内部に設けられている。燃料を用いて発電を行う発電モジュール20が第2の開口部8に対して挿抜自在に設けられ、この発電モジュール20は下筐体3に対して着脱自在となるように第2の収納空間9に収納されるようになっている。第1の収納空間7内で燃料容器10の排出口11に連結する管は、上筐体5及び下筐体3の内部を通じてこの第2の収納空間9まで配管され、第2の収納空間9に収納された発電モジュール20に連結される。これにより、燃料容器10内の燃料が本体1内の管を通じて発電モジュール20に供給されるようになっている。
図1は、電子機器100に用いる発電モジュール20の数が一つの場合である。一方、発電モジュール20を2つ用いる場合には、図2のようになる。ここで、図2は、本発明の電子機器を適用した実施形態における電子機器120の斜視図である。
図2に示すように、別の機種の電子機器120においては、本体101の定格電圧・定格電流が、電子機器100の本体1の定格電圧・定格電流よりも大きいため、電子機器120の本体101に搭載可能な発電モジュール20の数が2つとなっており、2つの発電モジュール20,20は重ねた状態で並列配置されている。2つの発電モジュール20,20を第2の開口部108を通じて第2の収納空間109に収納されるようになっており、2つの発電モジュール20,20から本体101に電気エネルギーが供給される。ここで、2つの発電モジュール20,20を組み合わせた装置が、本発明を適用した実施形態における発電装置である。
つまり、電子機器に搭載可能な発電モジュール20の数はその電子機器本体の定格電圧・定格電流によって決まる。従って、更に別の機種の電子機器の本体には、発電モジュール20を三つ搭載しても良いし、更に多くの発電モジュール20を搭載しても良い。なお、図1、図2では、第2の収納空間9,109及び第2の開口部8,108に比較して発電モジュール20を大きく図示する。また、図2では、電子機器120において、電子機器100のいずれかの部分と同一の部分に対しては同一の符号を付し、同一の部分についての説明は省略する。
図3、図4、図5を用いて発電モジュール20について説明する。
ここで、図3は発電モジュール20の側面図であり、図4は発電モジュール20の平面図であり、図5は発電モジュール20の機能ブロック図である。図3に示すように、発電モジュール20は、裏面側の第1の多層基板21と、正面側の第2の多層基板22と、第1の多層基板21と第2の多層基板22との間に挟持された積層型(スタックセル型)の燃料電池(Fuel Cell)23と、を備える。第1の多層基板21、燃料電池23、第2の多層基板22の何れも図4の図示方向に見て(平面視して)同じ外形形状を呈し、その外形形状は矩形状となっている。これらの第1の多層基板21、燃料電池23、第2の多層基板22がこの順に積み重ねられ、これら第1の多層基板21、燃料電池23、第2の多層基板22全体として略直方体の形状を呈している。そして、第1の多層基板21、燃料電池23及び第2の多層基板22を積層したものが、発電モジュール20の本体となる。
図4に示すように、発電モジュール20の正面内の外縁付近には、8つの貫通穴28,28,…が発電モジュール20の正面外縁に沿ってほぼ等間隔に配列されている。これら貫通穴28,28,…は何れも円形の穴であり、発電モジュール20の正面(つまり、第2の多層基板22の上面)から発電モジュール20の裏面(つまり、第1の多層基板21の下面)までほぼ一直線状となって貫通している。
図4に示すように、発電モジュール20の正面内の長手方向両端のうち一方の端には、燃料取り込み用の第1流路24及び排気用の第2流路25が形成されており、もう一方の端には、空気取り込み用の第3流路26及び排気用の第4流路27が形成されている。第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27は何れも円形の穴であり、発電モジュール20の正面から発電モジュール20の裏面までほぼ一直線状となって貫通している。
図3に示すように、第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27の両側開口には蓋部材33を着脱自在に嵌め込めるようになっており、第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27の開口を蓋部材33によって閉塞することができるようになっている。また、第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27の両側開口にはリング状のパッキン35を着脱自在に装着できるようになっている。つまり、蓋部材33とパッキン35とを交換して第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27の両側開口それぞれに装着できるようになっている。
図4に示すように、発電モジュール20の長手方向両端の側面のうち一方の側面には、燃料取り込み用の穴29及び排気用の穴30が形成されており、他方の側面には空気取り込み用の穴31及び排気用の穴32が形成されている。燃料取り込み穴29は第1流路24に対して直交して第1流路24まで通じており、排気穴30は第2流路25に対して直交して第2流路25まで通じている。空気取り込み穴31は第3流路26に対して直交して第3流路26まで通じており、排気穴32は第4流路27に対して直交して第4流路27まで通じている。
燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31及び排気穴32の何れにも蓋部材33を着脱自在に嵌め込めるようになっており、燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31及び排気穴32を蓋部材33によって閉塞することができるようになっている。また、燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31及び排気穴32の何れにも、貫通した内部流路34aを形成したコネクタ34を着脱自在に嵌め込めるようになっている。つまり、蓋部材33とコネクタ34とを交換して燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31及び排気穴32それぞれに嵌め込めることができるようになっている。
第1の多層基板21及び第2の多層基板22は、どちらもセラミック、プラスチック、ガラス、シリコン等の材料(セラミックがより好ましい。)から板状に形成された基板を複数枚積層したものである。図6に示すように、第1の多層基板21及び第2の多層基板22を構成した複数の基板には溝21a,22a、穴、その他の溝が形成されており、これら複数の基板を積層することによって、溝、穴による流路がそれぞれ第1の多層基板21、第2の多層基板22に幾つか形成されている。ここで、図6は図4に示された切断線VI−VIに沿った断面図である。図6において第1の多層基板21、第2の多層基板22及び燃料電池23の厚さを強調して図示し、第2の多層基板22の上層側の図示を省略する。
図6に示すように、燃料電池23は、第1の多層基板21側から順にセパレータ71、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)72、両面セパレータ73、膜電極接合体74、セパレータ75を積層した構造を有している。セパレータ71、膜電極接合体72、両面セパレータ73、膜電極接合体74及びセパレータ75の何れも図4の図示方向に見て(平面視して)同じ外形形状を呈し、その外形形状は第1の多層基板21及び第2の多層基板22と同形の矩形状となっている。
セパレータ71、両面セパレータ73、セパレータ75の何れも、セラミック、シリコン、アルミニウム、ガラス等の材料(セラミックがより好ましい。)を板状に形成したものである。図7は、セパレータ71の膜電極接合体72との接合面の平面図である。図7に示すように、セパレータ71の膜電極接合体72との接合面には葛折り状の溝(マイクロ流路)71aが凹んだ状態に形成されており、この溝71aに蓋をするようにセパレータ71に膜電極接合体72を接合することによって、この溝71aがセパレータ71と膜電極接合体72との接合部に設けられたマイクロ流路となる。また、セパレータ71の膜電極接合体72との接合面からセパレータ71の側面の一部にかけて、金メッキ等の導電性薄膜が成膜されている。また、マイクロ流路71aの一方の端部71bには、第1の多層基板21及び第2の多層基板22に形成された流路を介してバルブ65(バルブ65については後述する。)に通じており、マイクロ流路71aの他方の端部71cには、第1の多層基板21及び第2の多層基板22に形成された流路を介して第2流路25に通じている。
図6に示すように、膜電極接合体72は、固体高分子電解質膜72aと、固体高分子電解質膜72aの両面それぞれに接合されたガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)電極72b,72cと、固体高分子電解質膜72aの外周部を挟持したガスケット72d,72eと、から構成されている。
固体高分子電解質膜72aは、平面視して(図4の図示方向に見て)、第1の多層基板21、セパレータ71、両面セパレータ73、セパレータ75及び第2の多層基板22と同じ外形形状を呈し、その外形形状は矩形状となっている。ガスケット72d,72eは矩形枠状に形成されており、ガスケット72d,72eの間に固体高分子電解質膜72aの外周部が挟持されている。ガスケット72d,72eの内側において固体高分子電解質膜72aがガス拡散層電極72b,72cの間に挟持されている。この膜電極接合体72は、そのガス拡散層電極72bがマイクロ流路71aに面するように、セパレータ71に接合されている。なお、第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27及び貫通穴28,28,…はガスケット72d,72eにおいて膜電極接合体72を貫通している。
固体高分子電解質膜72aは、水素イオン(H+)を選択的に透過させるものである。ガス拡散層電極72b,72cはともに水素、水、酸素等のガスを透過して拡散させるものであり、例えば炭素微粒子からなる担体としての膜に白金微粒子を触媒として担持させたものである。
両面セパレータ73の膜電極接合体72,74それぞれとの接合面には、マイクロ流路73a,73bとしての葛折り状の溝が凹んだ状態に形成されている。マイクロ流路73a,73bの各一端部は、第2の多層基板22に形成された流路を介して一酸化炭素除去器53(一酸化炭素除去器53については後述する。)の開口部53f(図8に図示。)に通じており、マイクロ流路73a,73bの各他端部は、第2の多層基板22に形成された流路を介して第4流路27に通じている。両面セパレータ73の膜電極接合体72,74それぞれとの接合面から両面セパレータ73の側面の一部にかけて、金メッキ等の導電性薄膜が成膜されている。両面セパレータ73は、膜電極接合体72のガス拡散層電極72cがマイクロ流路73aに面するように、膜電極接合体72に接合されている。
膜電極接合体74は、膜電極接合体72と同一の構成をしており、固体高分子電解質膜74aと、固体高分子電解質膜74aを挟持した一対のガス拡散層電極74b,74cと、固体高分子電解質膜74aの外周部を挟持した一対のガスケット74d,74eと、から構成されている。膜電極接合体74は、そのガス拡散層電極74cがマイクロ流路73bに面するように、両面セパレータ73に接合されている。
セパレータ75の膜電極接合体74との接合面には、マイクロ流路75aとしての葛折り状の溝が凹んだ状態に形成されており、ガス拡散層電極74bがマイクロ流路75aに面するように、セパレータ75と膜電極接合体74とが接合されている。また、セパレータ75の膜電極接合体74との接合面からセパレータ75の側面の一部にかけて、金メッキ等の導電性薄膜が成膜されている。また、マイクロ流路75aの一方の端部は、第2の多層基板22に形成された流路を通じてバルブ65に通じており、マイクロ流路75aの他方の端部は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて第2流路25に通じている。
以上の燃料電池23では、マイクロ流路73a,73bそれぞれには一酸化炭素除去器53から水素ガスが供給され、膜電極接合体72のガス拡散層電極72c及び膜電極接合体74のガス拡散層電極74c中に水素ガスが浸透・拡散し、水素ガスが電気化学反応式(1)に示すように触媒の作用を受けて水素イオンと電子とに分離する。
H2→2H++2e- … (1)
水素イオンは固体高分子電解質膜72a,74aを通じて対側のガス拡散層電極72b,74bに伝導し、電子はガス拡散層電極72c,74cにより取り出される。従って、ガス拡散層電極72c,74cが燃料極(カソード)として機能し、ガス拡散層電極72c,74cに接した両面セパレータ73の導電性薄膜が集電体として機能する。なお、ガス拡散層電極72c,74cに接した両面セパレータ73の導電性薄膜は充放電制御部90(図5に図示。充放電制御部90については後述する。)に接続されている。
一方、マイクロ流路71a,75aそれぞれにはバルブ65から空気が供給され、空気中の酸素ガスが膜電極接合体72のガス拡散層電極72b及び膜電極接合体74のガス拡散層電極74b中に浸透・拡散する。そして、電気化学反応式(2)に示すように、浸透した酸素ガスと、固体高分子電解質膜72a,74aを通過した水素イオンと、ガス拡散層電極72c,74cにより取り出された電子とが反応して水が生成物として生成される。ガス拡散層電極72b,74bで生成された水はガス拡散層電極72b,74bを透過して、マイクロ流路71a,75aにまで拡散する。
2H++1/2O2+2e-→H2O … (2)
燃料電池23で上記(1),(2)に示す電気化学反応が起こることにより電気エネルギーが生成される。ここで、ガス拡散層電極72b,74bが空気極(アノード)として機能し、ガス拡散層電極72b,74bに接したセパレータ71,75の導電性薄膜が集電体として機能する。また、ガス拡散層電極72b,74bに接したセパレータ71,75の導電性薄膜が充放電制御部90に接続されており、生成された電気エネルギーが充放電制御部90に供給されるようになっている。
図4に示すように、第2の多層基板22の上面(発電モジュール20の正面)には、平面視して正方形状又は矩形状を呈した三つの凹部41,42,43が凹んだ状態に形成されている。凹部41,42,43は、この順に発電モジュール20の長手方向に沿って配列されている。図4の図示方向に見て左側の凹部41には制御回路44が搭載され、中央の凹部42にはマイクロリアクタで構成された反応装置45が搭載され、右側の凹部43には検出駆動部46が搭載されている。制御回路44、反応装置45及び検出駆動部46の高さはそれぞれ凹部41,42,43の深さよりも低く、制御回路44、反応装置45及び検出駆動部46が第2の多層基板22の上面よりも没している。
図4及び図5を用いて検出駆動部46について説明する。検出駆動部46は、燃料ポンプ61と、燃料用のバルブ62と、空気ポンプ63と、空気用の2つのバルブ64,65と、三つの流量センサ66,67,68と、から構成されている。
燃料ポンプ61の取り込み口は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて燃料取り込み用の第1流路24に連繋しており、燃料ポンプ61の排出口は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて燃料用のバルブ62に連繋している。燃料用のバルブ62は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて反応装置45の気化器51(気化器51については後述する。)の開口部51d(図8に図示。)に連繋しており、燃料用のバルブ62から気化器51までの間の流路に流量センサ66が設けられている。
燃料ポンプ61は、燃料を取り込み口から取り込んで排出口から排出することによって、燃料の液送を行うものである。燃料用のバルブ62は、燃料ポンプ61によって液送される燃料の流量を調節するものである。流量センサ66は、燃料ポンプ61によって液送される燃料の流量を検知し、検知した流量に応じた大きさの電流、電圧を出力するように設けられている。
空気ポンプ63の取り込み口は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて空気取り込み用の第3流路26に連繋しており、空気ポンプ63の排出口は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて空気用のバルブ64及びバルブ65に連繋している。一方の空気用バルブ64は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて反応装置45の一酸化炭素除去器53(一酸化炭素除去器53については後述する。)に通じており、空気用バルブ64から一酸化炭素除去器53までの間の流路に流量センサ67が設けられている。他方の空気用バルブ65は、第2の多層基板22に形成された流路を通じて燃料電池23のマイクロ流路75aに通じており、更に第2の多層基板22に形成された流路及び第1の多層基板21に形成された流路を通じて燃料電池23のマイクロ流路71aにも通じている。
空気ポンプ63は、空気取り込み孔31から取り込んだ空気を取り込み口から取り込みして排気口から排出することによって、空気を送るものである。一方の空気用バルブ64は、空気ポンプ63によって一酸化炭素除去器53へ送られる空気の流量を調節するものであり、他方の空気用バルブ65は、空気ポンプ63によって燃料電池23へ送られる空気の流量を調節するものである。流量センサ67は、空気ポンプ63から気化器51へ送られる空気の流量を検知し、検出した流量に応じた大きさの電流、電圧を出力するように設けられている。流量センサ68は、空気ポンプ63から燃料電池23へ送られる空気の流量を検知し、検出した流量に応じた大きさの電流、電圧を出力するように設けられている。
図5、図8及び図9を用いて反応装置45について説明する。ここで、図8は、反応装置45の裏面側から見て示した斜視図であり、図9は、図8に示された切断線IX−IXに沿った断面図である。反応装置45は、燃料用バルブ62から送られた燃料を加熱することにより燃料を気化する微小化学反応炉である気化器51と、気化器51から送られた混合気を水素と二酸化炭素に改質する微小化学反応炉である改質器52と、改質器52から送られた混合気に含まれる一酸化炭素を除去する微小化学反応炉である一酸化炭素除去器53と、を具備し、気化器51、改質器52及び一酸化炭素除去器53を連ねた構造を有する。
気化器51は、セラミック、シリコン、アルミニウム、ガラス等の材料(シリコン、ガラスがより好ましい。)から板状に形成された2枚の基板51a,51bを互いに重ね合わせて接合した構造を有している。一方の基板51aの他方の基板51bとの接合面には葛折り状の溝がエッチング法又はサンドブラス法により凹んだ状態に形成されており、この溝に蓋をするように一方の基板51aに他方の基板51bを接合することによって、この溝が2枚の基板51a,51bの接合部に設けられたマイクロ流路51cとなる。
基板51bの接合面とは反対側の面にはマイクロ流路51cの一方の端にまで通じる開口部51dが形成されている。この開口部51dは、第2の多層基板22に形成された流路に連結し、この流路によって燃料用バルブ62に通じている。これにより、燃料がバルブ62から開口部51dを通じてマイクロ流路51cに供給されるようになっている。
基板51aの接合面とは反対側の面には薄膜ヒータ54が形成されている。薄膜ヒータ54は電気エネルギーにより発熱する電熱膜であり、具体的には電気抵抗性発熱体、半導体性発熱体を薄膜状に成膜したものである。薄膜ヒータ54は電気的特性(例えば、抵抗値)が温度に依存する材料から形成されたものであり、薄膜ヒータ54の温度が定まれば電気的特性が一義的に定まるようになっている。特に、薄膜ヒータ54の温度と電気的特性との関係は線形関係となっている。従って、薄膜ヒータ54の抵抗、電流、電圧から薄膜ヒータ54の温度を求めることができる。
改質器52は気化器51と同様に2枚の基板52a,52bを接合した構造を有し、2枚の基板52a,52bの接合部にマイクロ流路52cが設けられており、基板52aの接合面とは反対側の面に薄膜ヒータ55が成膜されている。改質器52のマイクロ流路52cの一方の端部は、気化器51のマイクロ流路51cの他方の端部(開口部51dとは反対側の端部)に連繋している。
一酸化炭素除去器53も気化器51と同様に2枚の基板53a,53bを接合した構造を有し、2枚の基板53a,53bの接合部にマイクロ流路53cが設けられており、基板53aの接合面とは反対側の面に薄膜ヒータ56が成膜されている。一酸化炭素除去器53のマイクロ流路53cの一方の端部は、改質器52のマイクロ流路52cの他方の端部に連結している。基板53bの接合面とは反対側の面にはマイクロ流路53cの一方の端部にまで通じる開口部53eが形成されている。この開口部53eは、第2の多層基板22に形成された流路に連結し、この流路によって空気用バルブ64に通じている。更に、基板53bの接合面とは反対側の面にはマイクロ流路53cの他方の端部にまで通じる開口部53fが形成されている。この開口部53fは、第2の多層基板22に形成された流路に連結し、この流路によって燃料電池23のマイクロ流路73a,73bに通じている。
改質器52のマイクロ流路52cの壁面には、触媒52dが形成されている。触媒52dは、メタノールと水の混合気を水素と二酸化炭素に改質する(下記化学反応式(3)参照。)触媒である。一例を挙げると、触媒52dは、担体としてアルミニウム酸化物に銅及び亜鉛を担持させたCuO−ZnO系触媒(CuO/ZnO/Al2O3化合物)である。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 … (3)
なお、触媒52dによってメタノールと水蒸気が完全に二酸化炭素及び水素に改質されない場合もあり、この場合、化学反応式(4)のように、メタノールと水蒸気が反応して二酸化炭素、一酸化炭素及び水蒸気が生成される。
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 … (4)
一酸化炭素除去器53のマイクロ流路53cの壁面には、触媒53dが形成されている。触媒53dは、一酸化炭素と水の混合気を水素と二酸化炭素とに水性シフトする(下記化学反応式(5)参照)触媒であったり、一酸化炭素を選択的に酸化する(下記化学反応式(6)参照)触媒であったりする。一例を挙げると、触媒53dは、担体としてアルミニウム酸化物に白金及びレニウムを担持させた触媒である。
CO+H2O→CO2+H2 … (5)
2CO+O2→2CO2 … (6)
なお、一酸化炭素除去器53が上記化学反応式(5)の反応のみをもたらす反応器であった場合、バルブ64、流量センサ67は必要ない。
次に、図5を用いて制御回路44について説明する。
制御回路44は、CPU(Central Processing Unit)80と、RAM(Random Access Memory)81と、ROM(Read Only Memory)82と、D/A(Digital to Analog)コンバータ83と、A/D(Analog to Digital)コンバータ84と、ドライバ85,86,87,88,89と、充放電制御部90と、二次電池91と、DC/DC(Direct Current to Direct Current)コンバータ92と、から構成されている。第2の多層基板22にはプリント回路基板(PCB:Print Circuit Board)としてバス、配線等が形成されており、CPU80、RAM81、ROM82、D/Aコンバータ83、A/Dコンバータ84、ドライバ85,86,87,88,89、充放電制御部90、二次電池91及びDC/DCコンバータ92が凹部41に搭載され、更にバス、配線に接続されることによって、制御回路44が構成されている。
ROM82は、CPU80にとって読取可能且つ実行可能なプログラムが格納されている。CPU80は、ROM82に格納されたプログラムを読み込み、そのプログラムに従った処理を行うことによって制御回路44全体の制御を行うように設けられている。RAM81は、CPU80に作業領域を提供するものであり、プログラムに従ってCPU80が実行した処理により生成されたデータ、CPU80が読み出したデータを一時的に記憶するように設けられている。
ドライバ85は、CPU80の指令に従って燃料ポンプ61を駆動し、燃料ポンプ61の動作速度を制御するように設けられている。ドライバ86は、CPU80の指令に従って空気ポンプ63を駆動し、空気ポンプ63の動作速度を制御するように設けられている。
D/Aコンバータ83は、CPU80から出力されたデジタルの流量調節データをアナログの電流又は電圧の大きさに変換し、その大きさの電流、電圧をバルブ62,64,65それぞれに供給するように設けられている。これにより、バルブ62による燃料の流量調節、バルブ64による空気の流量調節、バルブ65による空気の流量調節がCPU80によって制御されるようになっている。
A/Dコンバータ84は、流量センサ66,67,68それぞれから入力した電気信号(電流の大きさ、電圧の大きさ)をデジタルの流量データに変換し、変換した流量データをCPU80に出力するように設けられている。これにより、燃料ポンプ61によって液送される燃料の流量のデータ、空気ポンプ63から気化器51へ送られる空気の流量のデータ、及び、空気ポンプ63から燃料電池23へ送られる空気の流量のデータが、CPU80にフィードバックされる。CPU83は、流量センサ66,67,68それぞれからフィードバックされた流量のデータに基づき、バルブ62,64,65の制御を行う機能を有する。このようなCPU80のフィードバック制御機能は、CPU80がROM82から読み込んだプログラムにより実現される。
ドライバ87,88,89は、CPU80の指令に従って薄膜ヒータ54,55,56をそれぞれ駆動し、それぞれの薄膜ヒータ54,55,56に供給する電流、電圧を制御することによりそれぞれの薄膜ヒータ54,55,56の温度を制御するように設けられている。薄膜ヒータ54,55,56の電気的特性が温度に依存するので、ドライバ87,88,89からそれぞれの薄膜ヒータ54,55,56に供給される電流、電圧が温度データとしてCPU80にフィードバックされ、CPU83は、薄膜ヒータ54,55,56それぞれからフィードバックされた温度のデータに基づき、薄膜ヒータ54,55,56それぞれの温度制御を行う機能を有する。このようなCPU83の温度制御機能は、CPU83がROM82から読み込んだプログラムにより実現される。
二次電池91は、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等の充放電可能な電池である。
充放電制御部90は、CPU80の指令に従って、燃料電池23から供給された電気エネルギーを二次電池91に充電させたり、二次電池91から電気エネルギーを放電させてDC/DCコンバータ92に供給したり、燃料電池23から供給された電気エネルギーをDC/DCコンバータ92に供給したりするように設けられている。
DC/DCコンバータ92は、CPU80の指令に従って、充放電制御部90から供給された電気エネルギーとしての直流電流の電圧を変換し、外部に供給するように設けられている。
図3に示すように、発電モジュール20の側面のうち主に第2の多層基板22の側面には、DC/DCコンバータ92の出力端子である陽極端子92aと陰極端子92bが設けられている。なお、制御回路44全体への電気エネルギーの供給はDC/DCコンバータ92によって行われる。
また、発電モジュール20の側面のうち主に第2の多層基板22の側面には、複数の通信用電極93,93,…が本体1,101や他の発電モジュール20とデータの入出力を行うインターフェースとして設けられている。通信用電極93,93,…は、第2の多層基板22に形成されたバスに接続されている。
また、発電モジュール20の側面のうち主に第2の多層基板22の側面には、2つの主副設定用電極94,94が図5に示された主副設定用スイッチ85として設けられている。主副設定用電極94,94は、第2の多層基板22に形成されたバスに接続されている。主副設定用電極94,94は、本体101に発電モジュール20を複数搭載する場合において、親(主)用の発電モジュール20と子(副)用の発電モジュール20を設定するために用いられる。つまり、主副設定用電極94,94を導電させると(この場合、主副設定用スイッチ85がオンである。)、CPU80はその発電モジュール20を親として認識するように設けられ、主副設定用電極94,94を絶縁させると(この場合、主副設定用スイッチ85がオフである。)、CPU80はその発電モジュール20を子として認識するように設けられている。このようなCPU80の主副認識機能は、CPU80がROM82から読み込んだプログラムにより実現される。
次に、本体1に一つの発電モジュール20を搭載して用いる場合に、電子機器100の使用法及び電子機器100の動作について説明する。
図10、図11に示すように、第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27の両側開口それぞれに蓋部材33を嵌めて、第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27の開口を蓋部材33によって閉塞する。また、燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31、排気穴32それぞれにコネクタ34を嵌め込む。
次に、燃料容器10を本体1(図1に図示。)の第1の収納空間7に装着する。次に、発電モジュール20を本体1の第2の収納空間9に装着すると、燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31、排気穴32それぞれに嵌め込んだ四つのコネクタ34,34,…が本体1に連結する。詳細には、燃料取り込み穴29に嵌め込んだコネクタ34が、第1の収納空間7内で燃料容器10の排出口11に通じる管に連結し、空気取り込み穴31に嵌め込んだコネクタ34は、本体1に設けられた空気フィルタに通じる管に連結し、排気穴30,32に嵌め込んだコネクタ34は、本体1に設けられた排気口に通じる管に連結する。これにより、燃料容器10から本体1を介して発電モジュール20に燃料の供給が可能となり、外気から空気フィルタ、本体1を介して発電モジュール20に空気の供給が可能となる。
また、本体1の第2の収納空間9の壁面には、主副設定用電極94,94を互いに接続させるための主設定用端子と、主設定用端子によって主となった発電モジュール20の通信用通信用電極93,93,…とそれぞれ接続するための通信用端子と、電気エネルギー入力用端子とが設けられており、発電モジュール20を本体1の第2の収納空間9に装着すると、主副設定用電極94,94が主設定用端子に共通接続することによって導電し、通信用電極93,93,…がそれぞれ通信用端子に接続し、陽極端子92a、陰極端子92bがそれぞれ電気エネルギー入力用端子に接続する。主副設定用電極94,94を主設定用端子によって導電させると、発電モジュール20のCPU80がその発電モジュール20を親として認識する。通信用電極93,93,…をそれぞれ通信用端子に接続させると、本体1と発電モジュール20との間でデータの入出力が可能となる。また、陽極端子92a、陰極端子92bをそれぞれ電気エネルギー入力端子に接続させると、発電モジュール20から本体1に電気エネルギーの供給することが可能となる。
そして、発電モジュール20が作動し、CPU80がドライバ86、87それぞれを介して空気ポンプ63、燃料ポンプ61を作動させ、更にドライバ87,88,89それぞれを介して薄膜ヒータ54,55,56を発熱させる。ここで、発電モジュール20の作動は、本体1から通信用端子、通信用電極93,93,93を介してCPU80に作動信号が入力されることによって開始する。
発電モジュール20の作動中、CPU80は、薄膜ヒータ54,55,56それぞれからフィードバックされた温度のデータに基づき、薄膜ヒータ54,55,56それぞれが所定温度になるように温度制御を行う。
燃料ポンプ61が作動すると、燃料容器10の燃料が燃料取り込み穴29を通じて発電モジュール20に供給され、発電モジュール20に供給された燃料がバルブ62、流量センサ66を介して気化器51に液送される。また、空気ポンプ63が作動すると、外気の空気が空気取り込み穴31を通じて発電モジュール20に供給され、発電モジュール20に供給された空気がバルブ64、流量センサ67を介して一酸化炭素除去器53に送られるとともにバルブ65、流量センサ68を介して燃料電池23に送られる。ここで、CPU80は、流量センサ66,67,68それぞれからフィードバックされた流量のデータに基づき、所定の流量となるようにバルブ62,64,65それぞれを制御する。
気化器51では、供給された燃料が加熱されて気化(蒸発)し、メタノール及び水(水蒸気)の混合気となって改質器52のマイクロ流路52cに供給される。
改質器52では、気化器51から供給された混合気が改質器52のマイクロ流路52cを流動している時に、混合気中のメタノールと水蒸気が触媒52dにより反応して二酸化炭素及び水素が生成される(上記化学反応式(3)を参照。)。また、改質器52では、混合気中のメタノールと水蒸気が完全に二酸化炭素及び水素に改質されない場合もあり、この場合、化学反応式(4)のように、メタノールと水蒸気が反応して二酸化炭素、一酸化炭素が生成される(上記化学反応式(4)を参照。)。改質器52で生成された一酸化炭素、二酸化炭素及び水素等からなる混合気が一酸化炭素除去器53に供給される。
一酸化炭素除去器53では、改質器52から供給された混合気がマイクロ流路53cを流動している時に、混合気中の一酸化炭素と水蒸気から二酸化炭素及び水素が生成されたり、混合気の中から特異的に選択された一酸化炭素と、バルブ65から供給された空気に含まれる酸素とが反応して二酸化炭素が生成されたりする(上記化学反応式(5)、(6)を参照。)。
このように、反応装置45の気化器51、改質器52及び一酸化炭素除去器53を経た燃料から二酸化炭素と水素が生成される。反応装置45で生成された生成物(二酸化炭素及び水素等)は、燃料電池23に供給される。
燃料電池23に供給された混合気がマイクロ流路73a,73bを流動し、混合気中の水素が膜電極接合体72のガス拡散層電極72c及び膜電極接合体74のガス拡散層電極74cの触媒作用を受けて水素イオンと電子とに分離する(上記電気化学反応式(1)を参照。)。生成された水素イオンは、固体高分子電解質膜72a,74aを透過する。
マイクロ流路73a,73bを流動し終わった混合気(水素が非常に希薄である。)は、第4流路27及び排気穴32を通じて本体1へ排気され、更に本体1から外部に排気される。
一方、燃料電池23に供給された空気がマイクロ流路71a,75aを流動し、空気中の酸素が膜電極接合体72のガス拡散層電極72b及び膜電極接合体74のガス拡散層電極74bの作用を受けて水素イオンと電子と反応し、水が生成される(上記電気化学反応式(2)を参照。)。
マイクロ流路71a,75aを流動し終わった空気(酸素が希薄である。)は、第2流路25及び排気穴30を通じて本体1へ排気され、更に本体1から外部に排気される。
燃料電池23によって生成された電気エネルギーは、充放電制御部90によって二次電池91に充電される。更には、生成された電気エネルギーは、充放電制御部90によってDC/DCコンバータ92に供給され、DC/DCコンバータ92によって直流電流の所定電圧に変換され、陽極端子92a及び陰極端子92bを通じて本体1に供給される。本体1は、供給された電気エネルギーにより動作する。
発電モジュール20に動作している時、CPU80が通信用電極93,93,…及び通信用端子を介して、本体1に対してデータの入出力を行う。
次に、本体101に複数の発電モジュール20,20を搭載して用いる場合に、電子機器120の使用方法及び電子機器120の動作について説明する。
図12、図13に示すように、一方の発電モジュール20の第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27をそれぞれ他方の発電モジュール20の第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27に位置合わせをし、一方の発電モジュール20に他方の発電モジュール20を重ねる。ここで、一方の発電モジュール20の下面を他方の発電モジュール20の上面に当接させ、その当接面側の第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27の開口にパッキン35を装着する。更には、発電モジュール20に他方の発電モジュール20を重ねることで、一方の発電モジュール20の貫通穴28,28,…を他方の発電モジュール20の貫通穴28,28,…にそれぞれ位置合わせする。
次に、貫通穴28,28,…にボルト38,38,…をそれぞれ挿入し、反対側から出たボルト38,38,…の先端部にナット39,39,…をそれぞれ螺合させる。ここで、何れのボルト38も、貫通穴28に挿通するロッド部38bと、ロッド部38bの一方の端部に一体形成された係合部としての頭部38aと、から構成されており、ロッド部38bの外周には螺旋状のねじ切りが形成されており、頭部38aの直径はロッド部38bの直径よりも大きい。別の係合部としてのナット39をロッド部38bの先端部に螺合することにより、ボルト38の頭部38aが貫通穴28の周囲において一方の発電モジュール20に係合し、別の係合部としてのナット39が貫通穴28の反対側の周囲において他方の発電モジュール20に係合し、頭部38aとナット39が互いに近づく方向に発電モジュール20,20を締め付け合う。以上のようにして、2つの発電モジュール20,20を組み付ける。
次に、第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27の両側開口それぞれに蓋部材33を嵌めて、第1流路24、第2流路25、第3流路26及び第4流路27の開口を蓋部材33によって閉塞する。
次に、2つの発電モジュール20,20の燃料取り込み穴29,29のうち一方にコネクタ34を嵌め込み、他方に蓋部材33を嵌め込む。2つの排気穴30,30、2つの空気取り込み穴31,31、2つの排気穴32,32についても同様に、一方にコネクタ34を嵌め込み、他方に蓋部材33を嵌め込む。
次に、燃料容器10を本体101(図2に図示。)の第1の収納空間7に装着する。次に、組み付けた2つの発電モジュール20,20を本体101の第2の収納空間109に装着すると、燃料取り込み穴29、排気穴30、空気取り込み穴31、排気穴32それぞれに嵌め込んだ四つのコネクタ34,34,…が本体101に連結する。詳細には、燃料取り込み穴29に嵌め込んだコネクタ34が、第1の収納空間7内で燃料容器10の排出口11に通じる管に連結し、空気取り込み穴31に嵌め込んだコネクタ34は、本体101に設けられた空気フィルタに通じる管に連結し、排気穴30,32に嵌め込んだコネクタ34は、本体101に設けられた排気口に通じる管に連結する。これにより、燃料容器10から本体101を介して発電モジュール20に燃料の供給が可能となり、外気から空気フィルタ、本体101を介して発電モジュール20に空気の供給が可能となる。
また、本体101の第2の収納空間109の壁面には、主副設定用電極94,94を互いに接続させるための主設定用端子と、主設定用端子によって親(主)となった発電モジュール20の通信用通信用電極93,93,…とそれぞれ接続するための主通信用端子と、主となった発電モジュール20の通信用通信用電極93,93,…と子(副)となった発電モジュール20の通信用通信用電極93,93,…とを互いに接続させるための主副間通信用端子と、発電モジュール20,20が本体101の定格出力に応じて並列接続または直列接続するように、陽極端子92a,92a、陰極端子92b,92bを適宜接続させて出力させるための電気エネルギー入力用端子と、が設けられている。ここで、発電モジュール20,20を本体101の第2の収納空間109に装着すると、一方の発電モジュール20の主副設定用電極94,94が主設定用端子に接続して導電し、他方の発電モジュール20の主副設定用電極94,94は絶縁されたままとなる。これにより、一方の発電モジュール20のCPU80がその発電モジュール20を親として認識し、他方の発電モジュール20のCPU80がその発電モジュール20を子として認識する。
更に、発電モジュール20,20を本体101の第2の収納空間109に装着すると、2つの発電モジュール20,20の通信用電極93,93,…がそれぞれ主副間通信用端子に接続する。そして、また親となる発電モジュール20は、その通信用電極93が本体101の主通信用端子と接続され、主副通信用端子を介して子となった発電モジュール20の発電状態等の情報を一元管理して本体101にその管理情報を主通信用端子を介して伝達する。これにより、本体101は親となる発電モジュール20との間の接続だけで親及び子の発電モジュール20,20の情報を知ることができる。
更には、発電モジュール20,20を本体101の第2の収納空間109に装着すると、2つの発電モジュール20,20の陽極端子92a,92a、陰極端子92b,92bが電気エネルギー入力用端子に接続する。これにより、2つの発電モジュール20,20から本体101に電気エネルギーの供給することが可能となるが、2つの発電モジュール20,20が直列接続であっても良いし、並列接続であっても良い。直列接続とは、一方の発電モジュール20の陽極端子92aが本体101の電気エネルギー入力端子に接続し、一方の発電モジュール20の陰極端子92bが本体101の収納空間109に設けられた短絡端子によって他方の発電モジュール20の陽極端子92aに接続され、他方の発電モジュール20の陰極端子92bが本体101の別の電気エネルギー入力端子に接続した状態をいう。並列接続とは、両方の発電モジュール20,20の陽極端子92a,92aが本体101の電気エネルギー入力端子に共通接続され、両方の発電モジュール20,20の陰極端子92b,92bが本体101の別の電気エネルギー入力端子に共通接続された状態をいう。
発電モジュール20,20がそれぞれ作動する。これにより、上記のような発電モジュール20が1つの場合と同様に、発電モジュール20,20がそれぞれ発電を行い、発電モジュール20,20から本体101に電気エネルギーが供給される。本体101は、供給された電気エネルギーにより動作する。
発電モジュール20,20で発電が行われている最中には、どちらの発電モジュール20,20のCPU80,80も、上記のような発電モジュール20が一つの場合と同様にフィードバック制御を行う。ここで、発電モジュール20,20に動作している時、どちらのCPU80,80も通信用電極93,93,…及び通信用端子を介して、本体101に対してデータの入出力を行う。更には、CPU80,80同士も通信用電極93,93,…及び通信用端子を介してデータの入出力を行うが、親として設定された発電モジュール20のCPU80が子として設定された発電モジュール20のCPU80に対しての通信制御を行い、親の発電モジュール20のCPU80が子の発電モジュール20の動作状況を確認する。親の発電モジュール20のCPU80が子の発電モジュール20の動作状況に応じて、親の発電モジュール20のCPU80が子の発電モジュール20のCPU80に指令を出力し、これにより両方の発電モジュール20,20の出力電力を均一化するとともに安定化させる。
更には、子の発電モジュール20に異常が発生した場合、親の発電モジュール20のCPU80が親の発電モジュール20のバルブ62,64,65による流量を上げて、親の発電モジュール20の出力電力を上昇させる。
更には、子の発電モジュール20のCPU80に異常が発生した場合、親の発電モジュール20のCPU80が、子の発電モジュール20のCPU80に代わって、通信用電極93,93,…及び通信用端子を通じて、子の発電モジュール20のバルブ62,64,65、燃料ポンプ61、空気ポンプ63、充放電制御部90、DC/DCコンバータ92等の通信制御を行う。
以上のように、本実施の形態によれば、発電モジュール20が制御回路44、反応装置45、検出駆動部46及び燃料電池23を一体にしてユニット化したものであるため、燃料及び空気を供給すること、燃料から水素を生成すること、水素と空気を電気化学反応させて電気エネルギーを生成すること、全体の制御を行うことが、一つの発電モジュール20で可能となる。このような発電モジュール20が本体1,101に対して着脱自在となっているため、その発電モジュール20を2機種の本体1,101の間で使い回すことができる。従って、本体1,101それぞれに対して、最適な燃料電池、反応装置、検出駆動部、制御回路の設計を行わなくても済むことが可能となる。複数機種の電子機器を設計するに際して、それぞれの機種に対して燃料電池等の最適設計を行わなくても良いため、設計コストの削減を図ることができる。
なお、副(子)となる発電モジュール20が複数の場合に、本体101の第2の収納空間109の壁面には、副となった発電モジュール20の通信用通信用電極93,93,…と他の副となった発電モジュール20の通信用通信用電極93,93,…とを互いに接続させるための副副間通信用端子が設けられていてもよい。
また、発電モジュール20の正面から裏面に貫通する第1流路24、第2流路25、第3流路26、第4流路27が形成されているため、2つの発電モジュール20,20を積み重ねるだけで、燃料取り込み用、空気取り込み用、排気用の穴を共通化することができる。
また、発電モジュール20の正面から裏面に貫通する貫通穴28,28,…が形成されているため、上述したように2つの発電モジュール20,20を積み重ねた場合、ボルト38とナット39による締結によって2つの発電モジュール20,20を簡単に組み付けることができる。
また、燃料取り込み穴29、空気取り込み穴31、排気穴30,32に装着する部材は蓋部材33、コネクタ34から選択するだけで、更に、流路24〜27の両側開口に装着する部材は蓋部材33、パッキン35から選択するだけで、発電モジュール20を一個でも複数でも運転動作させることができる。また、電子機器の本体の定格電力等に応じた数の発電モジュール20を重ねることにより、その本体の設計変更を行うことなく、その本体用の電源として簡単確実に用いることができる。
また、発電モジュール20の側面に陽極端子92aと陰極端子92bが設けられているので、発電モジュール20を本体1,101に搭載するだけで、発電モジュール20で本体1,101を動作させることが可能となる。発電モジュール20の側面に陽極端子92aと陰極端子92bが設けられているので、電子機器の本体に設けられた端子と陽極端子92aと陰極端子92bとの配線構造を変更するだけで、並列接続や直列接続に設計変更することが簡単に行える。
また、燃料電池23が第1の多層基板21と第2の多層基板22との間に挟持されているため、反応装置45に設けられた薄膜ヒータ54,55,56の熱が燃料電池23に伝導し、燃料電池23も加熱される。従って、燃料電池23における電気化学反応の効率が熱によって向上する。更には、中央の凹部42に反応装置45が搭載されているので、発電モジュール20全体での熱損失を減少させることができる。このように、発電モジュール20全体での熱エネルギーを効率よく用いることができる。
親として設定された発電モジュール20のCPU80が子として設定された発電モジュール20のCPU80に対しての通信制御を行い、親の発電モジュール20のCPU80が子の発電モジュール20の動作状況を確認し、子の発電モジュール20に異常が発生した場合、親の発電モジュール20の出力電力を上昇させるので、安定して電気エネルギーを生成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態では、燃料電池23が水素と酸素との電気化学反応により電気エネルギーを生成するものであったが、燃料電池23の代わりに、メタノールと水と酸素との電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池を設けても良い。この場合、その燃料電池の燃料極に面するマイクロ流路には、気化したメタノールと水の混合気が燃料ポンプの圧力によって供給され、その燃料電池の空気極に面するマイクロ流路には、空気が空気ポンプの圧力によって供給される。また、上記実施形態では反応装置45が、気化器51と、改質器52と、一酸化炭素除去器53と、を備えたものであるが、メタノールと水と酸素との電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池の場合には、このような反応装置45の代わりに気化器を備えた反応装置を設ける。従って、反応装置における燃料の反応は燃料の化学変化を伴うことのみならず、反応装置45の代わりに設けた反応装置(気化器)のように燃料の状態変化(液体から気体への気化)を伴うものであっても良く、この場合に生成物は燃料の気体(蒸気)である。ここで、メタノールと水と酸素との電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池の場合、燃料極では、電気化学反応式(7)に示すように、反応装置の気化器から供給された混合気が、燃料極の触媒の作用を受けて水素イオンと電子と二酸化炭素に分離する。水素イオンはイオン伝導膜を通じて空気極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。一方、空気極では、電気化学反応式(8)に示すように、空気中の酸素と、燃料電池の電解質膜を通過した水素イオンと、燃料極により取り出された電子とが反応して水が副生成物として生成される。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- … (7)
6H++3/2O2+6e-→3H2O … (8)
また、上記実施形態では、2つの発電モジュール20,20を積み重ねて用いた場合を例にして説明したが、3つ以上の発電モジュール20,20,…を積み重ねて、別の機種の本体に搭載して用いても良い。
上記実施形態では、燃料電池23は、3つの領域(凹部)41,42,43と重なるように形成されているが、3つの領域41,42,43のうちの少なくとも1つの領域よりも広く形成されていれば、燃料電池23の表面積が増大でき、迅速に本体1,101の定格出力を発電することができる。また燃料電池23は1つの発電モジュール20で2つ積層されていたが、3層以上であってもよく、出力電圧が比較的小さければ単層であってもよい。
また、上記実施形態では、電子機器100,120としてノート型パーソナルコンピュータを例として挙げたが、携帯電話機、PDA、電子手帳、腕時計、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、遊技機、家庭用電気機器、その他の電子機器にも本発明を適用することができる。これらの電子機器本体に一又は複数の発電モジュール20を着脱自在に設けて用いる。
上記実施形態では、反応装置45を加熱する手段として薄膜ヒータ54,55,56を設けたが、薄膜ヒータ54,55,56は、電圧信号によって迅速に温度制御が可能なので、薄膜ヒータ54,55,56を気化器51、改質器52、一酸化炭素除去器53の温度の微調整するための補助熱源として用い、さらに燃料に酸素を加えて燃焼することによって大きな熱量を気化器51、改質器52、一酸化炭素除去器53に供給する燃焼器を反応装置45内に設けて発熱効率を向上することが好ましい。このとき、燃焼器は気化器51、改質器52、一酸化炭素除去器53毎に設けてもよく、また、一番高い反応温度を要する改質器52近傍にのみ配置してもよい。後者の場合、燃焼器からの熱の伝搬によって気化器51及び一酸化炭素除去器53がそれぞれ要する反応温度に近づくように、基板51a,51b、基板52a,52b及び基板53a,53bの材料、寸法、形状を適宜設定して、最適の温度勾配が得られる構造にすることが好ましい。