JP5104304B2 - カーボンブラックを含有した組成物、着色用組成物及び導電性組成物 - Google Patents
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Description
特には、安定したカーボンブラック一次粒子を有する組成物、着色用組成物及び導電性組成物に関する。
通常、カーボンブラックは、複数の基本粒子が化学的、物理的に結合した二次粒子、すなわち凝集体(ストラクチャともいう)として存在している(図4)。この凝集体は、不規則な鎖状に枝分かれした複雑な凝集構造をとっている。また、凝集体同士がVan der Waals力や単なる集合、付着、絡み合いなどから二次凝集体をも形成するため、十分なミクロ分散構造を得ることは困難であった。また複雑な形状を有しているため、例えば樹脂やゴムなどの媒体に分散しても、均一分散を困難にさせており。当該樹脂を成型しても、着色性にムラが生じたり、それら成型物の表面の光沢度や仕上がりが十分ではなかった。また、カーボンブラックは導電性材料としても使用されるが、従来のカーボンブラックでは、樹脂やゴムに分散した場合、分散が均一化しにくく、抵抗にムラを生じる問題があった。
本発明の他の目的は、一次粒子の状態で安定して存在するカーボンブラックを含有した組成物、着色用組成物又は導電性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、着色ムラや導電性ムラが少ない組成物、着色用組成物又は導電性組成物、又は組成物、着色用組成物又は導電性組成物を使用して、画像、部材、成型体などを作成した場合に、それらが均一な着色性、濃度又は導電性を示すことを可能とする組成物、着色用組成物又は導電性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、樹脂などに混合したときに、その成型物の表面仕上がり、表面光沢性が良好とすることが可能な組成物、着色用組成物又は導電性組成物を提供することにある。
(1)フェレ径の個数平均粒径が5〜300nmであり、かつ一次粒子を個数基準で5%以上であるカーボンブラックを含有することを特徴とする組成物。
(2)前記カーボンブラックの表面が有機化合物で表面処理されていることを特徴とする(1)に記載の組成物。
(3)前記有機化合物が、少なくともフェノール系化合物及びまたはアミン系化合物を含むことを特徴とする(2)に記載の組成物。
(4)フェレ径の個数平均粒径が5〜300nmであり、かつ一次粒子を個数基準で5%以上であるカーボンブラックを含有することを特徴とする着色用組成物。
(5)前記カーボンブラックの表面が有機化合物で表面処理されていることを特徴とする(4)に記載の着色用組成物。
(6)前記有機化合物が、少なくともフェノール系化合物及びまたはアミン系化合物を含むことを特徴とする(5)に記載の着色用組成物。
(7)フェレ径の個数平均粒径が5〜300nmであり、かつ一次粒子を個数基準で5%以上であるカーボンブラックを含有することを特徴とする導電性組成物。
(8)前記カーボンブラックの表面が有機化合物で表面処理されていることを特徴とする(7)に記載の導電性組成物。
(9)前記有機化合物が、少なくともフェノール系化合物及びまたはアミン系化合物を含むことを特徴とする(8)に記載の導電性組成物。
<カーボンブラック>
(1)フェレ径の個数平均粒径
本発明のカーボンブラックは、フェレ径の個数平均粒径が5〜300nmの範囲である。好ましくは、10〜100nmであり、特に好ましくは10〜80nmである。
このような範囲をとることによって、例えば樹脂成型物へ全体に分散することができ、特に表面に極度な表面粗さの不均一性をもたらすことが減少するため、表面性を向上させることが可能となる。
この個数平均粒径に制御するには、凝集体として存在するカーボンブラックの基本粒子径が上記の範囲に入るものを適宜選択して処理を行うことや、凝集体を一次粒子に分断する製造時の条件を変更することで達成すること出来る。
カーボンブラック単体からこのフェレ径の個数平均粒径を求めるときは、走査型電子顕微鏡(SEM)により、10万倍に拡大して撮影し、100個の粒子を適宜選択して算出する。
尚、樹脂などの成型物からカーボンブラックの平均粒径を求める場合は透過型電子顕微鏡(TEM)により10万倍に拡大して撮影し、100個の粒子を適宜選択して算出してもよい。
本発明のカーボンブラックは、一次粒子をカーボンブラック中に個数基準で、5%以上含有する。上限としては、100%である。これらの割合は、適用する工業分野によって好適な割合が変わるが、一次粒子の存在割合が多いほど、適用する工業分野での製品の性能を良好にすることが可能となる。樹脂成型物であれば、樹脂中への緻密分散を向上させる結果、着色ムラや導電ムラを減少させることに貢献すると共に、成型物の機械的強度、表面光沢性などが向上する。具体的には、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上の順で好ましくなる。一次粒子の割合を測定するときは、上述の電子顕微鏡を用いて同様に行うが、測定粒子数はカーボンブラック粒子1000個中に存在する一次粒子をカウントして計算する。
本発明のカーボンブラックは、最終的に安定して存在するカーボンブラック粒子表面が、有機化合物などで表面処理されていることが好ましい。
表面処理とは、吸着及びグラフト化された状態の両方を含むが、確実に、前記有機化合物で表面処理されたときの効果をもたらすためには、有機化合物はグラフト化していることが望ましい。
有機化合物がグラフト化したカーボンブラックのグラフト化率は下記で定義される。
グラフト化率は、反応前有機化合物量をY、抽出された有機化合物をZとするとき、((Y−Z)/Y)×100(%)で表される。
グラフト化率は50%以上が好ましい。またカーボンブラック表面に均一に処理されているほど分散性が向上する。
本発明のカーボンブラックの好適な製法について説明する。
本発明で使用できる好適な製法としては、少なくとも以下の工程を有するものである。
(A)活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物で少なくとも基本粒子の凝集体(ストラクチャ)からなる二次粒子を含むカーボンブラックの表面を処理する表面処理工程
(B)少なくとも二次粒子を含むカーボンブラックに機械的剪断力を付与して一次粒子化させ、且つ、二次粒子から分離した分離目に有機化合物をグラフト化する工程
以下詳細に(A)、(B)について説明する。
本工程では、凝集体からなるカーボンブラックの表面を上記有機化合物で表面処理する工程である。
本工程では、最小凝集単位であるストラクチャの表面上に熱や機械的な力によりラジカルを発生させ、このラジカルを捕捉することが可能である有機化合物で表面処理する。この工程によって、カーボンブラック同士の強い凝集力により、再び凝集していた再凝集部位を効果的に減少させ、ストラクチャやカーボンブラックの一次粒子が凝集付着を防止することができる。
ここで表面処理とは、表面を有機化合物で吸着させる処理、有機化合物をグラフトさせる処理を含んでいる。一次粒子化した後に粒子を安定化させるために、二次粒子から分離した面以外の部分に二次粒子の表面全体に有機化合物がグラフト化されていることが好ましい。後述するグラフト工程後に安定して一次粒子を存在させるために、本工程で、カーボンブラック表面に有機化合物をグラフトさせることが好ましい。
表面処理工程においては、機械的剪断力を付与できる装置が好ましい。
本発明において表面処理工程に使用される好ましい混合装置については、ポリラボシステムミキサ(サーモエレクトロン社製)、リファイナ、単軸押出機、二軸押出機、遊星軸押出機、錐形軸押出機、連続混練機、密封ミキサー、Z形ニーダーなどを使用することができる。
Z=Q/A
Z:充満度(%) Q:充填物体積(m2) A:混合部空隙量(m2)
すなわち、混合時に高い充満状態とすることで機械的な剪断力が粒子全体に均一に付与することができる。この充満度が低い場合には剪断力の伝達が不十分となり、カーボンブラックや有機化合物の活性を高くすることができず、グラフト化が進行しにくくなる可能性がある。
本工程は、上記表面処理工程で再凝集部位が少なくなったカーボンブラックを開裂させ、二次粒子から一次粒子化させると同時に表面に有機化合物にてグラフト化し、安定な一次粒子化する工程である。すなわち、例えば、機械的剪断力を前記有機化合物で表面処理したカーボンブラックに付与し、基本粒子の凝集部に亀裂を生じさせつつその部分に有機化合物をグラフト化させ、カーボンブラックの再凝集を抑制していく。当該カーボンブラックに継続して機械的剪断力を付与することにより亀裂部分を拡大させ、一次粒子化させつつ有機化合物を開裂で生じた分離面にグラフト化させ、最終的に一次粒子として分離した時点では、凝集可能な活性部が存在しない状態とさせることで安定な次粒子として存在させる工程である。この場合、添加されている有機化合物にも同様の機械的剪断力が付与されているため、有機化合物自体も機械的剪断力にて活性化されており、グラフト化が促進される。
本発明では、少なくとも機械的剪断力を付与することによって、亀裂を起こさせることが好ましい。有機化合物で表面処理されたカーボンブラック(ストラクチャ)を、機械的剪断力が作用する場におき、表面処理されたカーボンブラックをストラクチャから一次粒子に調整することが望ましい。この機械的剪断力を付与する際には、他の上記に記載された亀裂を起こすための手段を合わせて使用してもよい。
ここでの機械的剪断力とは前述の表面処理工程での機械的剪断力と同様な剪断力を加えることが好ましい。
使用可能なカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等、いずれの市販のものが使用できるが、凝集体構造を有しているカーボンブラックを使用する。この凝集体構造とは、基本粒子である一次粒子が凝集して形成されて、ストラクチャ構造を有するもので、いわゆる一次粒子の凝集体からなる、二次粒子化されたカーボンブラックを意味する。また、カーボンブラックへの有機化合物の表面処理やグラフト反応を円滑にするために、カーボンブラックの表面に十分なカルボキシル基、キノン基、フェノール基やラクトン基などの酸素含有官能基及び層面周縁の活発な水素原子が多く存在していることが望ましい。そのため、本発明で使用されるカーボンブラックについて、酸素含有量が0.1%以上であり、水素含有量は0.2%以上であることが好ましい。特には、酸素含有量が、10%以下、水素含有量は、1%以下である。ここで酸素含有量、水素含有量はそれぞれ、酸素元素数又は水素元素数を全元素数(炭素、酸素、水素の元素の和)で割った値で求められる。
このような範囲を選択することにより、カーボンブラックへの有機化合物の表面処理やグラフト反応を円滑にすることができる。
表面処理工程でカーボンブラックを表面処理するために、もしくはグラフト工程でカーボンブラックにグラフト化するために使用する有機化合物は、遊離基を備えているかまたは生成することができる有機化合物である。
遊離基を生成することができる有機化合物において、遊離基を生成する条件は特に制限がないが、本発明で使用される有機化合物の場合は、グラフト工程中には、遊離基を有している状態となることが必要である。当該有機化合物は、少なくとも電子移動により遊離基を生成可能な化合物、熱分解により遊離基を生成可能な化合物、せん断力等により化合物の構造が断裂された結果、遊離基を生成可能な化合物が好ましい。
また、これらの有機化合物は、反応を確実に制御するために、イソシアネート基を持たないことが好ましい。すなわち、過度な反応性を有する有機化合物を使用した場合には均一なグラフト化反応が形成されにくくなってしまい、反応時間や有機化合物量を多量に使用しなくてはならなくなる場合がある。この理由として明確ではないが、前述の様な反応性の高い有機化合物を使用した場合には、表面活性点以外にも反応が進行してしまい、本来の目的である機械的剪断力により形成された活性点への反応が不十分となってしまうためと推定される。
(有機化合物1〜88)
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チオール系及びチオエーテル系化合物
(有機化合物145〜153)
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リン酸エステル系化合物
(有機化合物154〜160)
(有機化合物154)
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(有機化合物157)
(有機化合物158)
(有機化合物159)
(有機化合物160)
フェノール系有機化合物
(有機化合物161)
組成物、着色用組成物、導電性組成物について説明する。以下、特段の説明がない限り、カーボンブラック組成物とは、上記組成物、着色用組成物、導電性組成物を指すものとする。
水系媒体としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を含む水溶液が挙げられる。
また、水又は水系媒体には、界面活性剤を含ませても良い。
具体的には、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、オレフィンの単独もしくは共重合体の他、他のモノマーとの共重合体などを含み、例えば高、中、低圧法により製造された高、中、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ−1,2−プタジエン樹脂、エチレン−ブテン共重合体、エチル−、プロピル−、ブチル−の各アクリレートもしくはメタクリレートとの共重合体、またこれらをそれぞれ塩素化したもの、あるいはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製:フェレ径の個数平均粒径=210nm)と同カーボンブラックに対して100重量部に対して有機化合物48(分子量=741、融点=125℃)50重量部を添加し、二軸押し出し機に投入した。この二軸押し出し機は、2本のスクリューにて混合するもので、PCM−30(池貝製作所製)を使用した。連続式に混練できる構成とはせず、出口を密閉し2本のスクリューにて攪拌することができるように改造したものである。両者を充満度が94%となるように装置内に投入後、第一温度(Tp1)160℃(融点+35℃)に加熱した状態で、攪拌を行った。
攪拌条件において、第一攪拌速度(Sv1)は、スクリュー回転を毎分30回転として、第一処理時間(T1)として10分間設定し、攪拌処理を実施した。攪拌処理後、サンプリングをし、ソックスレー抽出にてグラフト化の状態を確認すると、約30%のグラフト化率であることがわかった。すなわち、カーボンブラック表面にグラフト化が進行している状態となっていることが確認された。
ついで、混合装置の攪拌条件として第二攪拌速度(Sv2)をスクリューの回転数で毎分50回転とし、第二温度(Tp2)を180℃(融点+55℃)とし、より機械的剪断力が高い条件へ変更し、第二処理時間(T2)を60分間とし処理を行った。その後、冷却し、処理されたカーボンブラックを取り出した。そのカーブンブラックの表面には前記有機化合物が91%のグラフト化率でグラフト化されていた。また、一次粒子が65個数%存在していた。また、カーボンブラックのフェレ径の個数平均粒径は42nmであった。このカーボンブラックを「カーボンブラック1」とする。
20部のカーボンブラック1および100部のポリエチレン樹脂(高密度ポリエチレン樹脂(HDPE):日本ポリオレフィン製、ジェイレクス HD KM568A(MFR:19g/10min,JIS−K6924−2))を、溶融混練し、ストランド化し、冷却後ペレッタイザーを用いて円柱状のカーボンブラック含有ポリエチレン樹脂(No.1)を得た。
実施例1において、条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にしてカーボンブラック2,3,4を得た。また、これらのカーボンブラックをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.2〜4)を得た。
カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)100重量部と、同カーボンブラックに対して有機化合物47(分子量=784、融点=221℃)80重量部を充満度が94%となるように、実施例1で使用したバッチ式二軸押し出し機に投入した。ついで、240℃(融点+19℃)(Tp1)に加熱した状態で、攪拌を行った。攪拌は、攪拌速度(Sv1)をスクリュー回転で毎分35回転とし、15分間(T1)攪拌処理を実施した。攪拌処理後、サンプリングをし、ソックスレー抽出にてグラフト化の状態を確認すると、約32%のグラフト化率であることがわかった。すなわち、表面にグラフト化が進行している状態となっていることが確認された。ついで、攪拌条件として、攪拌速度(Sv2)をスクリューの回転数で毎分55回転とし、加熱温度(第二温度Tp2)を270℃(融点+49℃)とし、より機械的剪断力が高い条件へ変更し、処理時間(T2)として70分間、処理を行った。その後、冷却し、処理されたカーボンブラックを取り出した。表面には前記有機化合物が72%のグラフト化率でグラフト化されていた。また、一次粒子が53個数%存在していた。また、フェレ径の個数平均粒径は48nmであった。このカーボンブラックを「カーボンブラック5」とする。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.5)を得た。
実施例1において、条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にしてカーボンブラック6〜9を得た。また、これらのカーボンブラックをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.6〜9)を得た。
実施例1において、カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)の代わりにRaven1035(コロンビア化学工業社製)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にしてカーボンブラック10を得た。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.10)を得た。
実施例5において、カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)の代わりにRaven1035(コロンビア化学工業社製)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にしてカーボンブラック11を得た。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.11)を得た。
実施例1において、条件を表1及び表2に示す通りとした以外は同様にしてカーボンブラック12〜13を得た。また、これらのカーボンブラックをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.12〜13)を得た。
表面処理及びグラフト工程を受けていないカーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)をカーボンブラック14とする。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.14)を得た。
実施例1において、第一処理時間(T1)1分経過後、試料を取り出した。このものをカーボンブラック15とする。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.15)を得た。
実施例1において、有機化合物を、遊離基が発生しないステアリン酸(分子量=284、融点=70℃)(比較化合物1)に変更した以外は、同様に処理した。このものをカーボンブラック16とする。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.16)を得た。
比較例3のカーボンブラック16において、出発材料のカーボンブラックをフェレ径の個数平均粒径が500μmのカーボンブラックに、変更した以外は、同様に処理した。この処理したカーボンブラック200部を、100部のカーボンブラック1に、に混合して、フェレ径の個数平均径が320μm、一次粒子の個数割合15%のカーボンブラックを作成した。このものをカーボンブラック17とする。このカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にカーボンブラック組成物(No.17)を得た。
評価1)体積抵抗値のムラ
上記で得られたカーボンブラック組成物1〜17をそれぞれ、200℃にてプレス成形することにより、10cm×10cm×0.2cmの評価用サンプルを作製した。
評価用サンプル10点の体積固有抵抗値を日本ゴム協会SRIS−2301に準じて測定し、導電性のばらつきについて評価した。
評価基準は以下の通りである。
A:10サンプルの体積固有抵抗値のばらつきが±1%未満
B:10サンプルの体積固有抵抗値のばらつきが±1%以上5%未満
C:10サンプルの体積固有抵抗値のばらつきが±5%を越えるもの
上記で得られたカーボンブラック組成物1〜17をそれぞれ、200℃にてプレス成形することにより、30cm×30cm×0.1cmの評価用サンプルを10点ずつ作製した。
上記で得られたカーボンブラック組成物1〜17をそれぞれ、200℃にてプレス成形することにより、10cm×10cm×0.2cmの評価用サンプルを作製した。
これらのサンプルを用いて光沢度のばらつきを光沢計(日本電色工業株式会社製)を用いて評価をおこなった。尚、表面光沢度を測定角20°で測定した。
評価基準は以下の通りである。
A:10サンプルの光沢度のばらつきが±3%以内
B:10サンプルの光沢度のばらつきが±3を越え6%以内
C:10サンプルの光沢度のばらつきが±6%を越えるもの
これらの結果を表3に示す。
[実施例11]
実施例1で作製されたカーボンブラック1、20質量部、分散剤(Solsperse17000(Avecia製)) 5部、媒体(IsoparL(エクソン社製))75部を超音波分散し、カーボンブラック組成物18を作製した。このカーボンブラック組成物18をスプレー塗布し、紙を着色した。
実施例11において、カーボンブラック14〜17をそれぞれ使用した以外は、同様にカーボンブラック組成物19〜22を作製し、また同様に紙を着色した。
A:濃度ムラは全く見られない
B:僅かに濃度ムラが見られる。
C:明らかに濃度ムラが見られ、大部分の人が確認できる。
D:顕著な濃度ムラが見られる。
本発明では、比較的良好な分散性及び相容性を備えているばかりではなく着色性や導電性が均一な組成物又はその組成物を利用した最終形態における着色性や導電性を均一とすることができる組成物を提供することができる。この組成物はさまざまな工業分野への適用が可能である。
Claims (6)
- 前記カーボンブラックの表面が有機化合物で、無溶媒下、機械的剪断力を付与することによりグラフトされていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 前記カーボンブラックの表面が有機化合物で、無溶媒下、機械的剪断力を付与することによりグラフトされていることを特徴とする請求項3に記載の着色用組成物。
- 前記カーボンブラックの表面が有機化合物で、無溶媒下、機械的剪断力を付与することによりグラフトされていることを特徴とする請求項5に記載の導電性組成物。
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