(発明の分野)
本発明は、タンパク質キナーゼ活性化剤または阻害剤としての式Iのテトラヒドロ−およびジヒドロキナゾリノンの使用、それらを製造する方法、疾患の治療のための医薬品を調製するためのそれらの使用、医薬組成物を製造するためのそれらの使用ならびに新規なテトラヒドロ−およびジヒドロキナゾリノンに関する。
(発明の背景)
重要なBビタミン類の1つである葉酸は、コファクターのテトラヒドロ葉酸結合体の生合成のための前駆物質である。これは、その後順々に、さまざまな生体系におけるホルミルおよびヒドロキシメチルの移動剤としてその両方に役立つ(B.R.Baker,L.Goodman,R.Koehler,J.Amer.Chem.Soc.1958,80,5779〜5786)。類似物の5,8−ジデアザ−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸または2−置換テトラヒドロ−キナゾリノンが、化学において(A.Gangjee,A.Vasudevan,J.Heterocyclic Chem.1997,34,1669〜1676;G.Bernath,J.Kobor,J.Lazar,F.Fulop,J.Heterocyclic Chem.1996,33,1983〜1988;G.Bernath,T.Janaky,G.Goendoes,J.Lazar,Z.Ecsery,Pharmazie 1983,38,270〜271;T.Nishio,M.Fujisawa,Y.Omote,J.Chem.Soc.,PerkinTrans.1,1987,2523〜2529)、および生物学において(T.Sekiya,H.Hiranuma,M.Uchide,S.Hata,S.Yamada,Chem.Pharma Bull.1981,29,948〜954;F.Claudi,G.Giorgioni,L.Scoccia,R.Ciccocuppo,I.Panocka,Eur.J.Med.Chem.1997,32,651〜660)かなりの注目を引いた。
上記化合物については、広範な生物活性が発見されている:抗癌特性、フェシウム菌に対する抗菌作用、ジヒドロ葉酸還元酵素およびチミジル酸合成酵素の阻害(M.G.Nair,R.Dhawan,M.Ghazala,T.I.Kalman,R.Ferone,Y.Agumont,R.L.Kisliuk,J.Med.Chem.1987,30,1256〜1261)、ならびに一部純化されたマウスの肝臓のホリルポリグルタメート合成酵素に対する良好な基質である能力(A.Rosowsky,R.A.Forsch,R.G.Moran,J.Med.Chem.1989,32,709〜715)。国際公開第0046214号は、心血管障害の治療のためのテトラヒドロキナゾリノン類について記載している。国際公開第042025号は、脳疾患の治療および予防のためのテトラヒドロキナゾリノン類について記載している。国際公開第04034972号は、キネシンスピンドルタンパク質調節物質としてのキナゾリノン様誘導体について記載している。
テトラヒドロキナゾリノン誘導体を調製する公知の方法がいくつか存在する(Y.Sanemitsu,S.Kawamura,J.Org.Chem.1993,58:414〜418;G.Bernath,F.Fulop,Synthesis,1985:1148〜1149)。しかしながら、アミジンのマイケル付加から出発して反応性の高いアクリレート類似物、2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチルにする方法は、他の研究グループによってはこれまでに報告されていない(M.Limbach,S.Dalai,A.deMeijere,Adv.Synth.Catal.2004,346:760〜766。1の化学の概要については、次を参照されたい:A.deMeijere,S.I.Kozhushkov,L.P.Hadjiarapoglou,Topics Curr.Chem.2000,207:149〜227)。最近発明者らは、式1の化合物へのアミジンのマイケル付加によりシクロブテンをアニレート化したピリミジノンを合成するための融通性のある方法について記載した。しかしながら、その後の熱によるシクロブテンの開環は、ディールス−アルダー反応が後に続き、分離不可能な混合物をもたらした(M.Notzel,K.Rauch,T.Labahn,A.de Meijere,Org.Lett.2002,4,839〜841)。
タンパク質キナーゼは、細胞外シグナルおよび細胞周期チェックポイントへの応答のような重要な細胞活性のためのシグナル伝達経路に含まれる。特定のタンパク質キナーゼの阻害または活性化は、例えば細胞外シグナルの効果を遮断すること、細胞周期チェックポイントから細胞を放出することなど、これらのシグナル伝達経路に介入する方法を提供する。タンパク質キナーゼの活性の欠損は、タンパク質キナーゼにより媒介されるシグナル伝達経路に欠損がある種々の病理学的または臨床的症状と関連する。このような状態としては、細胞周期調節または細胞外シグナルへの応答における欠損と関連した状態を含み、例えば、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、癌などを含みうる、例えば免疫学的障害、自己免疫疾患および免疫不全症、増殖過剰障害などである。それ故、純化したキナーゼタンパク質の調節に活性な、例えばその化合物の存在下で特定の基質のリン酸化反応を調節する化合物は、タンパク質キナーゼ依存型の疾患および状態、例えば、哺乳動物における癌、腫瘍増殖、動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、炎症性疾患などの治療に使用することができる。
かくして、有利な治療の必要性が依然として存在するため、本発明の優先される目的は、新規な薬剤的に活性な化合物または新たな薬の効能のための化合物を提供することであった。本発明のさらなる目的は、テトラヒドロ−およびジヒドロキナゾリノンを調製する新たな方法を提供することであった。
(発明の簡単な説明)
意外なことに、一般式Iの化合物は、Raf、Mek、PKB、Tie2、PDGFRおよびVEGFRの群から選択される1つまたは複数のタンパク質キナーゼの効果的な調節物質(活性化剤または阻害剤)として作用する薬剤活性を示す。
それ故、本発明の1実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤の調製のための、式I、
[式中、
は、単結合または二重結合であり、
R1は、Ar1、S−AまたはHetであり、
R2は、HまたはAであり、
R3は、H、A、CN、COOA、(CH)nNHA、(CH)nNA2、CONH2、CONHA、CONA2、(CH)nNHCONH2、(CH)nNHCONHAまたは(CH)nNHCONA2であり、
R4は、H、SO2Ar2、A、CN、COOA、(CH)nNHA、(CH)nNA2、CONH2、CONHA、CONA2、(CH)nNHCONH2、(CH)nNHCONHA、または(CH)nNHCONA2であり、
R5は、HまたはAであるか、あるいは
が二重結合である場合は無しであり、
Ar1は、Hal、S−A、Ph、−O(CH2)n−Ph、−N(CH2Ph)2からなる群から選択された1個または複数の置換基により場合により置換されているフェニルであり、
Ar2は、Hal、A、COOAからなる群から選択された1個または複数の置換基により場合により置換されているフェニルであり、
Aは、場合により1〜5個のH原子がFおよび/またはClによって置換されている1〜12個のC原子を有するアルキルまたはシクロアルキルであり、
Hetは、OOCA、Hal、A、(CH2)nAr2、(CH2)nシクロアルキル、OA、NH2、NHA、NA2、NO2、CN、COOH、COOA、CONH2、CONHA、CONA2、NHCOA、NHCONH2、NHCONA2、NHSO2A、COA、SO2NH2、SO2NHA、SO2NA2、SO2A、SOA2、CF3、OCF3およびSCF3からなる群から選択された1個または複数の置換基により場合により置換されている単環式もしくは二環式、飽和、不飽和または芳香族複素環残基(但し、前記複素環残基は、1個のN原子を少なくとも含有しており、1、2、3または4個のN原子、O原子および/またはS原子を含有し、Hetは、Nを介してピリミジノン環系に連結していることを条件とする)であり、
Halは、F,Cl、BrまたはIであり、
nは、0、1または2である]
の化合物または生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体(すべての比率のそれらの混合物を含む)の使用であって、前記障害が、増殖過剰障害および非増殖過剰障害からなる群から選択されることを特徴とする使用である。
本発明の好ましい実施形態は、化合物が、
a)6−ベンゼンスルホニル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
b)6−ベンゼンスルホニル−2−(p−クロロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
c)6−ベンゼンスルホニル−2−(o−ブロモフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
d)6−ベンゼンスルホニル−2−(o−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
e)6−ベンゼンスルホニル−2−[(p−ベンジルオキシ)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)オン
f)6−ベンゼンスルホニル−2−(o−ビフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
g)6−ベンゼンスルホニル−2−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
h)2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
i)2−(p−クロロフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
j)2−(o−ブロモフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
k)2−(o−フルオロフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
l)2−(p−ベンゾイルオキシフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
m)2−(o−ビフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
n)2−メチルチオ−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
o)2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3)−オン
p)2−(p−クロロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3)−オン
q)2−(o−ブロモフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3)−オン
r)2−(o−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3)−オン
s)2−[(p−ベンゾイルオキシ)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3)−オン
t)2−(o−ビフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3)−オン
u)6−ベンゼンスルホニル−6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
v)6−ベンゼンスルホニル−6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
w)6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
x)6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
y)6−メチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
z)6−エチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
aa)6−ベンゼンスルホニル−7−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)オン
bb)6−ベンゼンスルホニル−2−(モルホリン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
cc)2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−6−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
dd)6−ベンゼンスルホニル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
ee)2−(モルホリン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
ff)2−ピペラジン−1イル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
gg)2−(モルホリン−4−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
hh)2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
ii)2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
ならびに生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体からなる(すべての比率のそれらの混合物を含む)群から選択されることを特徴とする式Iの化合物の使用である。
本発明による化合物の適当な塩および薬剤的に許容できる塩は、通常の毒性のない塩であり、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩、トルエンスルホン酸塩)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)等の酸付加塩、またはアミノ酸(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸)との塩、またはアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)およびアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)等の金属塩、アンモニウム塩、あるいは有機塩基塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩)が挙げられる。
用語「薬剤的に使用できる誘導体」または「薬剤的に許容できる誘導体」は、例えば、本発明による化合物の塩およびいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈される。この用語は、本発明の化合物の薬剤的に許容できる誘導体、例えば、哺乳動物に投与されたとき、本発明の化合物またはそれらの活性代謝産物を提供する(直接または間接的に)ことができるエステルまたはアミドを指す。そのような誘導体は、当業者には必要以上の実験をすることなく、それが生理学的に機能する誘導体を教示する程度まで参照により本明細書に援用されているBurger's Medicinal Chemistry And Drug Discovery,5th Edition,Vol 1:Principlesand Practiceの教示を参照すれば明らかである。
用語「プロドラッグ誘導体」は、例えば、アルキルまたはアシル基、糖類またはオリゴペプチド類で修飾されており、生物体中で急速に開裂し、こうして本発明による活性成分を放出する例えば本発明の化合物を意味するものと解釈される。これらはまた、例えばInt.J.Pharm.115,61〜67(1995)に記載されているような本発明による化合物の生分解性ポリマー誘導体も含む。
本発明は、また、本発明による化合物の混合物、例えば2つのジアステレオマーの例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率の混合物にも関する。これらは特に好ましくは立体異性体化合物の混合物である。
さらに、本発明は、本発明による化合物の多形相、例えば、無定形および結晶性多形相を含む。
本明細書で使用する用語「溶媒和物」は、溶質と溶媒とにより形成されたさまざまな化学量論的組成の複合体を好ましくは指す。化合物の溶媒和物という用語は、したがって、不活性溶媒分子と化合物の相互の引き付け力によって形成されるそれらの付加物を意味するものと解釈される。本発明の目的にかなうそのような溶媒和物は、溶質の生物活性を妨害することはない。好ましくは、使用されるその溶媒は、薬剤的に許容できる溶媒である。適当な薬剤的に許容できる溶媒の例としては、非限定で、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。最も好ましくは使用されるその溶媒は水である。溶媒和物は、例えば、一水和物、二水和物またはアルコラートである。
本明細書に記載されているいくつかの化合物は、1つまたは複数のキラル原子を含むことができ、そうでなければ通常はエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーである2つ以上の立体異性体として存在することも可能である。したがって、本発明の化合物は立体異性体の混合物、特にエナンチオマーの混合物、同様に精製された立体異性体、特に精製されたエナンチオマー、または立体異性体に富む混合物、特にエナンチオマーに富む混合物を含む。本発明の化合物の個別の異性体、ならびに完全または部分的に平衡化したそれらの任意の混合物も本発明の範囲に含まれる。本発明は、1つまたは複数のキラル中心が逆になった異性体との混合物としての、上の式で表される化合物の個別の異性体も包含する。また当然のこととして、本発明の化合物のすべての互変異性体および互変異性体の混合物も、本発明の、好ましくはそれに対応する式または下位式の化合物の範囲内に含まれる。
得られたラセミ体は、本質的に公知である方法により機械的または化学的に異性体に分解できる。ジアステレオマーは光学活性分割剤を用いた反応によりラセミ混合物から好ましく形成される。適当な分割剤の例は、光学活性酸、例えばD型およびL型の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、またはβ−カンファースルホン酸などのさまざまな光学活性カンファースルホン酸である。光学活性分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を充填したカラムの助けを借りたエナンチオマーの分割も有利である。適当な溶離液の例は、ヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリル混合物である。
例えば、クロマトグラフィーまたは分別晶出のような標準的な精製プロセスによってもジアステレオマーの分割を実施することができる。
もちろん、すでに光学活性である出発物質を用いることによって、上記の方法により本発明の光学活性化合物を得ることも可能である。
特に指示しない限り、本発明の化合物に対する言及はそれに対応する下位式の言及を好ましく含むものと理解されたい。使用および組成物を含めた以下の実施形態は、本発明の化合物に関して説明されているが、好ましくは下位式にも適用できることはまた当然である。
本明細書において使用される「基」、「残基」および「ラジカル」または「複数の基」、「複数の残基」および「複数のラジカル」という用語は、当業界でよく見られる慣例であるように、通常はそれぞれ同義語として使用される。
本明細書において使用される「場合により」という用語は、その後に記載された事象(1つまたは複数)が起こる場合と起こらない場合があることを意味し、起こる事象(1つまたは複数)と起こらない事象との両方を含む。
本明細書において使用される「置換された」という用語は、名を挙げられた1つの置換基または複数の置換基での置換を好ましく指し、特に明記しない限り多様な置換度が可能である。
本発明の主題は、特に本発明の化合物であって、1つまたは複数の置換基または基、好ましくは置換基または基の大部分が、好ましい、より好ましい、さらにより好ましいまたは特に好ましいと指摘される効果を有するものである。
本明細書で使用される用語「ハロゲン」または「Hal」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を好ましくは指す。
本明細書で使用される用語「アルキル」または「A」は、1個から12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状の炭化水素であって、場合によって1〜5個のH原子がFおよび/またはClによって置換されており、多様な置換度が可能であるものを表す。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、限定はしないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、などが挙げられる。
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、各環が3個から7個の炭素原子を好ましくは有しており、場合によってアルキルリンカー、好ましくはC1〜C6アルキルリンカーを含み、それによってそれが結合することができる互いに結合している1個または複数の環を有する非芳香族環式炭化水素の環系を好ましくは表す。場合によって、「シクロアルキル」においては、多様な置換度が可能で、1〜5個のH原子がFおよび/またはClによって置換されている。このアルキルまたはC1〜C6アルキル基は、上で定義されているものである。「シクロアルキル」基の例としては、限定はしないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
本明細書で使用される用語「アリール」または「Ar」は、場合によって置換されているベンゼン環または場合によって置換されているベンゼン環系を表し、Ar1の場合は、Hal、S−A、Ph、−O(CH2)n−Ph、−N(CH2Ph)2によって場合により置換されており、Ar2の場合は、Hal、A、COOAによって場合により置換されており、多様な置換度が可能である。「アリール」基の例としては、限定はしないが、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニル、アントラシル、フェナントラシル、ならびにそれらの置換誘導体が挙げられる。
本明細書で使用される用語「複素環」または用語「Het」は、OOCA、Hal、A、(CH2)nAr2、(CH2)nシクロアルキル、OA、NH2、NHA、NA2、NO2、CN、COOH、COOA、CONH2、CONHA、CONA2、NHCOA、NHCONH2、NHCONA2、NHSO2A、COA、SO2NH2、SO2NHA、SO2NA2、SO2A、SOA2、CF3、OCF3およびSCF3からなる群から選択された1個または複数の置換基により場合により置換されている単環式もしくは二環式、飽和、不飽和または芳香族の3員から12員の複素環(但し、前記複素環残基は、1個のN原子を少なくとも含有しており、1、2、3または4個のN原子、O原子および/またはS原子を含有し、Hetは、Nを介してピリミジノン環系に連結していることを条件とする)を表す。「複素環」部分の例としては、限定はしないが、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロチオフェン、などが挙げられる。
化合物、特に本発明による化合物を定義するために使用される命名法は、一般に、化合物、特に有機化合物に対するIUPAC組織のルールに基づいている。
細胞制御を達成する主要な機構の1つは、細胞内の生化学的経路を順次調節する膜を越える細胞外シグナルの伝達によるものである。タンパク質リン酸化反応は、細胞内シグナルが分子から分子に伝播し、最終的に細胞の応答をもたらす1つの過程である。これらのシグナル伝達カスケードは、多くのタンパク質キナーゼならびにホスファターゼの存在から明らかなように、高度に制御され、しばしば重複する。タンパク質のリン酸化反応は、大部分はセリン、トレオニンまたはチロシン残基において発生し、タンパク質キナーゼは、それ故、それらのリン酸化反応部位の特異性により、すなわち、セリン/トレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼに分類されている。リン酸化反応は、そのような細胞内の遍在性の過程であるためと、細胞の表現型が、これらの経路の活性度に大きく影響されるために、多くの病状および/または疾病は、キナーゼカスケードの分子成分における異常な活性化または機能の変異のいずれかに起因するものと現在では考えられている。このため、多くの注目がそれらの活性を調節することができるこれらタンパク質および化合物の特徴付けに向けられた(次の総説を参照:Weinstein−Oppenheimerら、Pharma.&.Therap.,2000,88,229〜279)。
チロシンキナーゼは、アデノシン三リン酸の末端リン酸のタンパク質基質内のチロシン残基への移動に触媒作用をする酵素の一種である。チロシンキナーゼは、基質のリン酸化反応を介して多数の細胞機能に対するシグナル伝達において重要な役割を演じていることが考えられる。シグナル伝達の正確な機構は依然として不明確であるが、チロシンキナーゼは、細胞増殖、発癌および細胞分化における重要な誘導因子であることが示されている。チロシンキナーゼは、受容体型チロシンキナーゼまたは非受容体型チロシンキナーゼに分類することができる。受容体型チロシンキナーゼは、細胞外部分、膜貫通部分および細胞内部分を有しており、一方非受容体型チロシンキナーゼはもっぱら細胞内だけである。
チロシンキナーゼは、異なる生物活性を有するさまざまな膜貫通受容体からなる。かくして、受容体型チロシンキナーゼの約20のサブファミリーが確認されている。HERサブファミリーとして知られる1つのチロシンキナーゼサブファミリーは、EGFR、HER2、HER3およびHER4からなる。受容体のこのサブファミリーに由来するリガンドは、上皮増殖因子、YGF−α、アンフィレグリン(amphiregulin)、HB−EGF、ベータセルリンおよびヘレグリンを含む。これら受容体型チロシンキナーゼの別のサブファミリーは、インスリンサブファミリーであり、それはISN−R、IGF−IRおよびIR−Rを含む。PDGFサブファミリーは、PDGF−αおよびPDGF−β受容体、CSFIR、c−キットおよびFLK−IIを含む。さらに、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、胎児肝臓キナーゼ−1(FLK−1)、胎児肝臓キナーゼ−4(FLK−4)およびfmsチロシンキナーゼ−1(flt−1)からなるFLKファミリーがある。PDGFとFLKファミリーは、その2つの群の類似点のために通常一緒に議論される。受容体型チロシンキナーゼの詳細な論議については、参照により本明細書に援用されているPlowmanらの、DN& P7(6):334〜339、1994を参照されたい。
非受容体型チロシンキナーゼも同様に、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、AckおよびLIMKを含むさまざまなサブファミリーからなる。これらサブファミリーのそれぞれは、さらに異なる受容体に細分化される。例えば、Srcサブファミリーは、最も大きいサブファミリーの1つである。それは、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkを含む。酵素のSrcサブファミリーは、発癌と関連している。非受容体型チロシンキナーゼの詳細な論議については、参照により本明細書に援用されているBolenによる、Oncogene,8:2025〜2031(1993)を参照されたい。
受容体型チロシンキナーゼおよび非受容体型チロシンキナーゼは両方共、癌、乾癬および過免疫応答を含む多数の発病状態に導く細胞シグナル伝達経路に関与する。さまざまな受容体型チロシンキナーゼおよびそれらに結合する増殖因子が、あるものは血管新生を間接的に促進するかもしれないが、血管新生における役割を果たすことが提唱されている(MustonenおよびAlitalo、J.Cell Biol.129:895〜898、1995)。これらの受容体型チロシンキナーゼの1つは、FLK−1とも呼ばれる胎児肝臓キナーゼ1である。ヒトのFLK−1の類似体は、それが高い親和性でVEGFに結合するために、血管内皮細胞増殖因子受容体2またはVEGFR−2としても知られるキナーゼ挿入ドメイン含有受容体KDRである。最後に、この受容体のネズミのバージョンは、また、NYKとも呼ばれている(Oelrichsら、Oncogene8(1):11〜15,1993)。VEGFおよびKDRは、血管内皮細胞の増殖と血管の形成および出芽に極めて重要な役割を果たすリガンド受容体のペアであり、それぞれ血管形成および血管新生と呼ばれる。
血管新生は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の過剰活性を特徴とする。VEGFは実はリガンドのファミリーからなる(KlagsburnおよびD’Amore、Cytokine& Growth Factor Reviews 7:259〜270,1996)。VEGFは、高い親和力の膜貫通のチロシンキナーゼ受容体KDRと、Flt−1または血管内皮細胞増殖因子受容体1(VEGFR−1)としても知られる同類のfms様チロシンキナーゼ−1とを結合する。細胞培養および遺伝子ノックアウト実験により、各受容体は血管新生の異なる態様の一因となっていることが示されている。KDRはVEGFの分裂促進機能を媒介し、一方Fit−1は細胞癒着と関連するもの等の非分裂促進機能を調節するようである。KDRの抑制はしたがって分裂を促進するVEGFの活動のレベルを調節する。実際に、腫瘍増殖はVEGF受容体拮抗薬の抗血管新生効果により影響されやすいことが示されている(Kimら、Nature 362,pp.841〜844,1993)。
固形腫瘍は、それ故、これらの腫瘍がその増殖を支えるために必要な血管の形成のための血管新生に依存するため、チロシン阻害剤により治療することができる。これらの固形腫瘍としては、単球性白血病、脳、尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭および肺の癌腫が挙げられ、肺腺癌および小細胞腺癌を含む。さらなる例として、Raf活性化腫瘍遺伝子(例えば、K−Ras、Erb−B)の過剰発現または活性化が見られる癌腫が挙げられる。そのような癌腫としては膵癌および乳癌が挙げられる。これらのチロシンキナーゼの阻害剤は、それ故、これらの酵素によって引き起こされる増殖性疾患の予防および治療に適している。
VEGFの血管新生作用は腫瘍に限定されない。VEGFは糖尿病性網膜症における網膜内またはその付近に生ずる血管新生作用の主な原因となる。網膜内のこの血管増殖は視覚退化を最高にして失明に導く。眼のVEGFのmRNAおよびタンパク質のレベルは、霊長類における網膜静脈閉鎖症およびマウスにおける減少したpO2レベル等の新血管新生をもたらす条件により上昇する。抗VEGFモノクローナル抗体またはVEGF受容体免疫融合体の眼球内注射は、霊長類およびげっ歯類モデルの両方における眼の新血管新生を阻害する。ヒトの糖尿病性網膜症におけるVEGFの誘発の原因とは関係なく、眼のVEGFを阻害することは、この疾患の治療に対して適切である。
VEGFの発現はまた、壊死の部位と隣接する動物およびヒトの腫瘍の低酸素領域において著しく増加する。加えて、VEGFは、腫瘍遺伝子のras、raf、srcおよび変異体p53(それらはすべて癌との闘いにおいて重要である)の発現により上方制御される。抗VEGFモノクローナル抗体は、ヌードマウスにおけるヒト腫瘍の増殖を阻害する。同じ腫瘍細胞が培養液中でVEGFを発現し続けるものの、その抗体はそれらの分裂速度を低下しない。したがって、腫瘍から誘導されたVEGFは自己分泌分裂促進因子としては機能しない。VEGFは、それ故そのパラ分泌血管内皮細胞の走化活性および分裂促進活性を通して血管新生を促進することによりインビボの腫瘍の増殖に寄与する。これらのモノクローナル抗体はまた、無胸腺マウスにおいて、一般的にはよく血管新生されていないヒト結腸癌の増殖を阻害し、接種した細胞から起こる腫瘍の数を減少する。
細胞質のチロシンキナーゼドメインを取り除くために切断されているが膜アンカーを保持しているマウスKDR受容体のホモログである、Flk−1、Flt−1のVEGF結合コンストラクトの発現は、膜貫通内皮細胞VEGF受容体との異種二量体形成の優勢な負のメカニズムによって、マウスにおける移植可能な神経膠芽腫の増殖を事実上停止する。
ヌードマウスにおける固形腫瘍として通常は増殖する胚性幹細胞は、両方のVEGF対立遺伝子がノックアウトされている場合は検知される腫瘍を生じない。総合すれば、これらのデータは固形腫瘍の増殖におけるVDGFの役割を示している。KDRまたはFlt−1の阻害は、病的血管新生に関与し、腫瘍の増殖は血管新生に依存することが知られているため、これらの受容体は、血管新生が全体的な病変の一部である疾患、例えば、炎症、糖尿病網膜血管新生、ならびにさまざまな形態の癌の治療に適している(Weidnerら、N.Engl.J.Med.,324,pp.1〜8,1991)。
内皮特異性受容体型のチロシンキナーゼTIE−2のリガンド、アンジオポイエチン1(Ang1)は、新規血管新生因子である(Davisら、Cell,1996,87:1161〜1169;Partanenら、Mol.Cell Biol.,12:1698〜1707(1992);米国特許第5521073号;同第5879672号;同第5877020号;および同第6030831号)。その頭文字のTIEは「IgおよびEGFホモロジードメインを有するチロシンキナーゼ」を表す。TIEは、もっぱら血管内皮細胞および初期の造血細胞中に発現する受容体型のチロシンキナーゼの種類を識別するために使用される。TIE受容体キナーゼは、鎖間のジスルフィド架橋結合により安定化された細胞外の折り畳み単位からなるEGF様のドメインおよび免疫グロブリン(Ig)様のドメインが存在することを特徴とする(Partanenら、Curr.Topics Microbiol.Immunol.,1999,237:159〜172)。血管発達の初期段階にその機能を発揮するVEGFとは対照的に、Ang1およびその受容体TIE−2は血管発達の後期中すなわち血管変換(血管内腔の形成に関係する変換)および成熟の途中に作用する(Yancopoulosら、Cell,1998,93:661〜664;Peters,K.G.,Circ.Res.,1998,83(3):342〜3;Suriら、Cell 87,1171〜1180(1996))。
したがって、TIE−2の阻害は、血管新生による新たな血管系の変換および成熟を妨げ、したがって血管新生の過程を妨げるはずであるものと期待される。その上、VEGFR−2のキナーゼドメイン結合部位の阻害は、チロシン残基のリン酸化反応を妨害し、血管新生の開始を妨げることに寄与するであろう。それ故、TIE−2および/またはVEGFR−2の阻害は、腫瘍の血管新生を妨げ、腫瘍の増殖を遅くするかまたは完全になくすことに寄与することが想定されるはずである。したがって、不適切な血管新生が伴う癌およびその他の疾患の治療を提供することができる。
本発明は、未制御または支障のあるTIE−2活性に関連する疾患の予防および/または治療のためにTIE−2を制御、調節または阻害する方法を対象とする。特に本発明の化合物はまた、いくつかの形態の癌の治療において使用することもできる。さらに、本発明の化合物は、いくつかの既存の癌化学療法における相加作用または相乗効果を提供することができかつ/またはいくつかの既存の癌化学療法および放射線治療の有効性を修復するために使用することができる。
本発明は、さらに、Rafキナーゼの阻害剤としての化合物に関する。タンパク質リン酸化反応は細胞機能を制御するための基本的な過程である。タンパク質キナーゼおよびホスファターゼの両方の協調的作用により、リン酸化反応とそれによる特定の目標タンパク質の活性を制御する。タンパク質リン酸化反応の顕著な役割の1つは、細胞外シグナルが、例えばp21ras/Ras経路における一連のタンパク質リン酸化反応および脱リン酸化反応事象により増幅および伝播されるシグナル伝達にある。
p21ras遺伝子は、Harvey(H−Ras)およびKirsten(K−Ras)ラット肉腫ウイルスの腫瘍遺伝子として発見された。ヒトにおいて、細胞Ras遺伝子(c−Ras)の独特の突然変異が、多くの異なるタイプの癌と関連付けられている。Rasを構造的に活性化するこれらの突然変異による対立遺伝子は、培養液中で、例えばネズミの細胞株NIH3T3等の細胞を形質転換することが示されている。
p21ras腫瘍遺伝子は、ヒトの固形癌の発生および進行に対する主たる寄与体であり、すべてのヒトの癌腫の30%において突然変異を起こす(Boltonら、(1994)Ann.Rep.Med.Chem.,29,165〜74;Bos.(1989)CancerRes.,49,4682〜9)。Rasタンパク質は、突然変異していないその通常の形態においては、殆どすべての組織内で成長因子受容体により導かれるシグナル伝達カスケードの重要な要素である(Avruchら、(1994)TrendsBiochem.Sci.,19,279〜83)。
生化学的に、Rasは、グアニンヌクレオチドに結合しているタンパク質であり、GTPに結合した活性形とGDPに結合した静止形の間の循環が、Ras内在性のGTPアーゼ活性およびその他の調節タンパク質により完全に制御される。Ras遺伝子産物は、グアニン三リン酸(GTP)およびグアニン二リン酸(GDP)に結合し、GTPをGDPに加水分解する。Rasは、GTPに結合した状態で活性である。癌細胞中のRas突然変異体において内在性GTPアーゼの活性は低下し、そのタンパク質は、その結果、例えば酵素Rafキナーゼ等の下流のエフェクターに構造的増殖シグナルを伝達する。これによりこれらの突然変異体を持っている細胞の癌性増殖がもたらされる(Magnusonら、(1994)Semin.CancerBiol.,5,247〜53)。Rasプロト癌遺伝子は、高等真核生物における受容体タイプおよび非受容体タイプのチロシンキナーゼにより惹起された増殖および分化シグナルを変換するために、機能的に損なわれていないC−Raf−1プロト癌遺伝子を必要とする。
C−Raf−1プロト癌遺伝子を活性化するためには活性化したRasが必要であるが、RasがRaf−1タンパク質(Ser/Thr)キナーゼを活性化する生化学的ステップは、現在かなり明らかにされている。Rafキナーゼのシグナル伝達を、非活性化抗体をRafキナーゼに投与することによるか、またはRafキナーゼの基質であるドミナントネガティブなRafキナーゼもしくはドミナントネガティブなMEK(MAPKK)の同時発現により阻害することで活性なRasの効果を阻害することによって、形質転換した細胞の正常な増殖表現型への復帰がもたらされることが示されている。Daumら、(1994)Trends Biochem.Sci.,19,474〜80;Fridmanら、(1994)J Biol.Chem.,269,30105〜8、Kolchら、(1991)Nature,349,426〜28)および総説は、Weinstein−Oppenheimerら、Pharm.&Therap.(2000),88,229〜279を参照されたい。
同様に、Rafキナーゼの阻害(アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによる)は、さまざまなヒト腫瘍タイプの増殖の阻害とインビトロおよびインビボにおいて相関している(Moniaら、Nat.Med.1996,2,668〜75)。
Rafセリンおよびスレオニン特異的タンパク質キナーゼは、さまざまな細胞系における細胞増殖を刺激する細胞質内酵素である(Rapp,U.R.ら、(1988)The OncogeneHandbookにおいて;T.Curran,E.P.ReddyおよびA.Skalka(編者)Elsevier Science Publishers;The Netherlands,pp.213〜253;Rapp,U.R.ら、(1988)Cold Spring Harbor Sym.Quant.Biol.53:173〜184;Rapp,U.R.ら(1990)Inv Curr.Top.Microbiol.Immunol.PotterおよびMelchers(編者),Berlin,Springer−Verlag 166:129〜139)。
以下の3つのアイソザイムの特性が示されている:
C−Raf(Raf−1)(Bonner,T.I.ら、(1986)Nucleic Acids Res.14:1009〜1015)、A−Raf(Beck,T.W.ら、(1987)Nucleic Acids Res.15:595〜609)、およびB−Raf(Qkawa,S.ら、(1998)Mol.Cell.Biol.8:2651〜2654;Sithanandam,G.ら、(1990)Oncogene:1775)が明らかである。これらの酵素はさまざまな組織中でそれらの発現が異なる。Raf−1は試験したすべての臓器およびすべての細胞株中で発現し、A−RafおよびB−Rafはそれぞれ泌尿生殖器組織および脳組織に発現する(Storm,S.M.(1990)Oncogene 5:345〜351)。
Raf遺伝子はプロト癌遺伝子であり、それらは、特別に改変された形態で発現するとき細胞の悪性転換を惹起することができる。発癌活性化をもたらす遺伝的障害は、タンパク質のN−末端の負の制御ドメインの除去またはそれとの干渉により、構造的に活性なタンパク質キナーゼを発生する(Heidecker,G.ら、(1990)Mol.Cell.Biol.10:2503〜2512;Rapp,U.R.ら、(1987)Oncogenes and Cancerにおいて;S.A.Aaronson, J.Bishop, T.Sugimura, M.Terada, K.ToyoshimaおよびP.K.Vogt(編者)、Japan Scientific Press、東京)。大腸菌発現ベクターにより用意された発癌作用があるが野生型ではないRafタンパク質の異形をNIH3T3中に微量注入することにより、形態変換が生じ、DNAの合成が促進される(Rapp,U.R.ら、(1987)Oncogenesand Cancerにおいて;S.A.Aaronson, J.Bishop, T.Sugimura, M.Terada, K.ToyoshimaおよびP.K.Vogt(編者)、Japan Scientific Press、東京;Smith,M.R.ら、(1990)Mol.Cell.Biol.10:3828〜3833)。
そのような訳で、活性化されたRaf−1は細胞増殖の細胞内活性化因子である。Raf−1タンパク質セリンキナーゼは、Raf腫瘍遺伝子が、細胞突然変異(Ras復帰変異体細胞)または抗Ras抗体の微量注入のいずれかによる細胞Ras活性の妨害に起因する成長停止に打ち勝つため、分裂促進因子のシグナル伝達の下流のエフェクターの候補である(Rapp,U.R.ら、(1988)The OncogeneHandbookにおいて、T.Curran, E.P.ReddyおよびA.Skalka(編者), Elsevier Science Publishers;オランダ、pp.213〜253;Smith,M.R.ら、(1986)Nature(ロンドン)320:540〜543)。
C−Raf機能は、さまざまな膜結合型腫瘍遺伝子による形質転換および血清中に含まれる分裂促進因子による増殖促進に対して必要である(Smith,M.R.ら、(1986)Nature(ロンドン)320:540〜543)。Raf−1タンパク質セリンキナーゼ活性は、分裂促進因子によりリン酸化反応を介して制御され(Morrison,D.K.ら、(1989)Cell58:648〜657)、それは、また、細胞内分布にも影響を及ぼす(Olah,Z.ら、(1991)Exp.Brain Res.84:403;Rapp,U.R.ら、(1988)Cold Spring Harbor Sym.Quant.Biol.53:173〜184)。Raf−1活性化増殖因子としては、血小板由来増殖因子(PDGF)(Morrison,D.K.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8855〜8859)、コロニー刺激因子(Baccarini,M.ら、(1990)EMBO J.9:3649〜3657)、インスリン(Blackshear,P.J.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:12115〜12118)、上皮細胞増殖因子(EGF)(Morrison,R.K.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8855〜8859)、インターロイキン−2(Turner,B.C.ら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1227)およびインターロイキン−3、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Carroll,M.P.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:19812〜19817)などが挙げられる。
細胞の分裂促進因子処理の後、一時的に活性化されたRaf−1タンパク質セリンキナーゼは、核周囲領域および核に転位する(Olah,Z.ら、(1991)Exp.BrainRes.84:403;Rapp,U.R.ら、(1988)Cold Spring Harbor Sym.Quant.Biol.53:173〜184)。活性化したRafを含有する細胞は、それらの遺伝子発現のパターンが変化し(Heidecker,G.ら、(1989)Genes and signal transduction inmultistage carcinogenesisにおいて,N.Coburn(編者), Marcel Dekker,Inc.,New York, pp.339〜374)、Raf腫瘍遺伝子は、一時的なトランスフェクションアッセイにおいてAp−1/PEA3依存性のプロモーターからの転写を活性化する(Jamal,S.ら、(1990)Science 344:463〜466;Kaibuchi,K.ら、(1989)J.Biol.Chem.264:20855〜20858;Wasylyk,C.ら、(1989)Mol.Cell.Biol.9:2247〜2250)。
Raf−1を細胞外の分裂促進因子によって活性化するには、少なくとも2つの独立した経路:1つは、タンパク質キナーゼC(KC)を含有するもの、第2としておよびタンパク質チロシンキナーゼにより惹起されるもの、が存在する(Blackshear,P.J.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:12131〜12134;Kovacina,K.S.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:12115〜12118;Morrison,D.K.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:8855〜8859;Siegel,J.N.ら、(1990)J.Biol.Chem.265:18472〜18480;Turner,B.C.ら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:1227)。いずれの場合においても活性化にはRaf−1タンパク質のリン酸化反応を必要とする。Raf−1リン酸化反応は、自己リン酸化により増幅されるキナーゼカスケードの結果であり得る、または、ジアシルグリセロールによるPKC活性化に類似した推定上の活性化リガンドのRaf−1制御ドメインへの結合により惹起される自己リン酸化によりもっぱら引き起こされ得る(Nishizuka,Y.(1986)Science 233:305〜312)。
タンパク質キナーゼPKB(AKTおよびRAC−PKとしても知られる)は、セリン/トレオニンキナーゼのAKT/PKBファミリーのメンバーであり、ヒト悪性腫瘍におけるシグナル経路の多様な組合せに含まれていることが示された(Nicholsonら、Cell.Signal.,2002,14,381〜395)。PKBは、AKT/PKBファミリーの他のメンバーと同様に、刺激されていない細胞のサイトゾル中に位置しており、刺激を受けると細胞膜に転位する。PKBの転位は、血小板由来増殖因子、上皮細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子を含む多数のリガンド、例えば熱ショックおよび高浸透圧等の細胞ストレス、ならびにインスリンによって活性化することができ(Bos,TrendsBiochem.Sci.,1995,20,441〜442)、他の研究は、ワートマニンに感じやすいPI3キナーゼによりこの活性化がなされることを示した(Frankeら、Science,1997,275,665〜668)。原形質膜に一旦局在化すると、PKBは、アポトーシス、インスリンの代謝効果、分化および/または増殖、タンパク質合成ならびにストレス応答を含めた細胞内のいくつかの機能を媒介することが示されている(AlessiおよびCohen,Curr.Opin.Genet.Dev.,1998,8:55〜62;Downward,Curr.Opin.Cell Biol.,1998,10,262〜267)。
PKBは、1991年に3つのグループによって独立にクローン化された(Bellacosaら、Science,1991,254,274〜277;CofferおよびWoodgett,Eur.J.Biochem.,1991,201,475〜481;Jonesら、CellRegul.,1991,2,1001〜1009)が、そのヒトの原発性胃癌との関連は、早くも1987年に認められた(Staalら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1987,84,5034〜5037)。PKBαの配列決定により、PKA(約68%)およびPKCアイソザイム(約73%)に対するキナーゼドメイン内の相同性が明らかとなり(Jonesら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1991,88,4171〜5)、これがそのPKBとしての改名をもたらした真相である。PKBには3つのイソ型および2つのスプライスバリアントが存在する(PKBα,β,γ,β1,γ1;Brazilら、Trends in Bio Sci,2001,26,657〜663)。PKBαは、胃腺癌および乳癌細胞系において増幅または過剰発現することが見出された(Staalら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1987,84,5034〜7;Jonesら、CellRegul.,1991,2,1001〜9)。PKBβは、乳癌において3%(Bellacosaら、Int.J.Cancer,1995 64,280〜5)、膵癌において12%(Chengら、Proc.Natl.Acad.Sci, U.S.A.,1996,93,3636〜41)、卵巣癌において15%(Bellacosaら、Int.J.Cancer,1995,64,280〜5;Chengら、Proc.Natl.Acad.SciU.S.A.,1992,89,9267〜71)の増幅または過剰発現をする。
PKBγは、エストロゲン受容体欠乏性乳癌およびアンドロゲン非依存性前立腺細胞系において過剰発現する(Nakataniら、J.Biol.Chem.1999,274,21528〜32)。
PKBは、染色体バンド14q32における染色体再配置内に含まれる遺伝子であることが提議されている。この座位は、ヒトT細胞悪性腫瘍、例えば前リンパ球性白血病および混合型小児白血病において再配列を受けることが知られている(Staalら、Genomics,1988,2,96〜98)。
PKBは、また、ASK−1、Bad、Caspase9およびFKHRの抑制性のリン酸化反応によって「プログラム細胞死」またはアポトーシスを防止する役割を果たす(Nicholsonら、Cell Signalling2001,14,281〜395の総説を参照)。PKBは、UV放射(Dudekら、Science,1997,275,661〜665)、IGF1の神経細胞からの離脱、細胞外マトリックスからの脱離、ストレスおよび熱ショック(AlessiおよびCohen,Curr.Opin.Genet.Dev.,1998,8:55〜62)を含めた多数の作用因子から細胞を保護するためにそれらに生存シグナル(Lawlorら、J.of Cell Science 2001,114,2903〜2910の総説を参照)を提供することが示されている。
二重に特異的なホスファターゼPTEN(第10染色体から削除されたホスファターゼとテンシンの相同体)は、Ptdlns(3,4,5)P3の脱リン酸化により細胞中のPtdlns(3,4,5)P3濃度を増す。Ptdlns(3,4,5)P3は、PKBのPHドメイン(プレクストリン相同ドメイン)に結合する。この結合は、PKBの膜転位および活性化に対する基本的なステップである。PTENは、神経膠芽腫およびメラノーマ細胞系、進行性前立腺癌ならびに子宮内膜癌の大部分において突然変異した腫瘍抑制遺伝子である。さらにそれは、遺伝性疾患、例えば、カウデン病、レルミット−デュクロ病およびBannayan−Zonana症候群等の患者の>80%において削除されている。これらの患者は、多発性良性腫瘍(harmatomas)ならびに乳房および甲状腺の悪性腫瘍への感受性増大を含めた多数の類似の特徴を見せる(DiCristofanoら、Cell,2000,100,387〜390)。
PTEN+/−ヘテロ接合体マウス(PTEN−/−ヘテロ接合体マウスは生存できない)由来の細胞系は、PKB活性の増大と平行してPtdlns(3,4,5)P3濃度の増大を示し、それに伴ってアポトーシスへの感受性が減少する(Di Christofanoら、Nat.Genet.1998,19,348〜355;Stambolicら、Cell,1998,95,29〜39,Myersら、Proc.Natl.Acad.Si.U.S.A.,1998,96:13513〜13518)。
PKBはまた、p21細胞周期阻害剤を阻害することによって細胞周期の進行を促進することもできる(Zhouら、Nat.Cell Biol.,2002,3:245〜252)。
これらの知見により、正常なアポトーシスへの進行を避けることによって癌腫の優先的な生存および増殖を可能にする癌細胞で見られるPKBの過剰発現を説明することができる。
今のところPKBの活動を効果的に阻害する公知の治療薬はない。したがって、化学療法薬としてすべての種類の癌におけるプロアポトーシスタンパク質の活性化に対するPKB機能を効果的に阻害することができる、さらなる薬剤に対する必要性が長期にわたって感じられるままとなっている。
タンパク質キナーゼのシグナル伝達を特に阻害、制限および/または調節し、さまざまな疾患の治療のための薬剤として使用することができる小化合物を同定することが望ましく、本発明の目的である。
したがって、本発明のさらなる好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤を調製するための式Iの化合物の使用である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、タンパク質キナーゼによって引き起こされ、媒介されかつ/または伝播される障害の治療および/または予防のための薬剤を製造するための式Iの化合物の使用である。
本明細書で論ずる障害は、たいてい、2つのグループ、増殖過剰障害および非増殖過剰障害に分けられる。これに関連して、感染症または伝染病、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺肥大、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症は、非癌性障害として見なされ、そのうち、感染症、関節炎、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患および免疫不全症は、非増殖過剰障害として通常は見なされる。これに関連して、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、肝癌、腎癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病は、癌性障害として見なされ、そのすべてが増殖過剰障害として通常は見なされる。
したがって、本発明の好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤を調製するための式Iの化合物の使用であって、その障害が増殖過剰障害および非増殖過剰障害からなる群から選択されることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態に置いて、障害は非癌性である。
それ故、式Iの化合物は、乾癬、関節炎、関節リウマチ、炎症、子宮内膜症、瘢痕、感染症類、ヘリコバクター・ピロリ感染、A型インフルエンザ感染、良性前立腺肥大症、免疫不全症、自己免疫疾患、免疫疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、線維症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血管疾患、循環器疾患、腎疾患および血管新生障害、メサンギウム細胞増殖障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、悪性腎硬化症、血栓性微小血管症候群、臓器移植拒絶反応、糸球体症、代謝障害および神経変性疾患からなる群から選択される障害の治療および/または予防のための薬剤の調製に使用することができる。
本発明と一致する感染症としては、限定はしないが、バクテリア、菌類、ウイルスおよび原虫などの病原微生物により引き起こされる感染症、例えば、インフルエンザ(Pleschka,S.ら、Nature Cell Biol.2001,3,301〜305頁)、レトロウイルスによる例えばHIV感染(Yang,X.ら、J.Biol.Chem.1999,274,27981〜27988頁;Popik,Wら、MolCel Biol.1996,16,6532〜6541頁)、B型肝炎(Benn,Jら、Proc.Natl.Acad.Sci.1995,92,11215〜11219頁)、C型肝炎(Aokiら、J.Virol.2000,74,1736〜1741頁)、パピローマウイルス感染、パラインフルエンザ感染、ライノウイルス感染、アデノウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、ならびに皮膚のウイルスおよびバクテリア感染(例えば、口唇ヘルペス、いぼ、水痘、伝染性軟属腫、帯状疱疹、おでき、蜂巣炎、丹毒、膿痂疹、たむし、足白癬および白癬)が挙げられる。
さらに、本発明の好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤を調製するための式Iの化合物の使用であって、その障害が増殖過剰障害からなる群から選択されることを特徴とする。
細胞増殖の調節不全と関連する多数の障害が存在する。重要な状態としては、限定はしないが、以下の状態が挙げられる。主題化合物は、平滑筋細胞および/または炎症細胞の血管の内膜層への増殖および/または遊走があって、その血管を通る血流の制限、例えば新生内膜の閉塞性破壊、をもたらすさまざまな状態の治療において有用である。重要な閉塞性血管状態としては、アテローム性動脈硬化症、移植手術後の移植片冠血管疾患、静脈移植片狭窄、吻合部周囲補綴移植片狭窄、血管形成またはステント留置後の再狭窄、などが挙げられる。
さらに、式Iの化合物は、抗血管新生特性を好ましくは示す。したがって、本発明の化合物は、関節炎および再狭窄を含む血管増殖性障害;肝硬変およびアテローム性動脈硬化症を含む線維性障害;糸球体腎炎、糖尿病性腎症、悪性腎硬化症、血栓性微小血管症候群、臓器移植拒絶反応および糸球体症を含むメサンギウム細胞増殖性障害;乾癬、糖尿病、慢性創傷治癒、炎症および神経変性疾患を含む代謝障害、などの新血管形成および/または血管透過性と関連する障害の領域における細胞増殖を特徴とする哺乳動物を苦しめる1つまたは複数の疾患の治療に有利に採用することができる。
血管新生過程は、予め存在する脈管構造から新しい血管、一般的には毛細血管が発生することである。血管新生は、(i)内皮細胞の活性化、(ii)血管の透過性の増加、(iii)その後の基底膜の溶解および血漿成分の管外遊出による暫定的なフィブリンゲル細胞外マトリックスの形成、(iv)内皮細胞の増殖および動員、(v)機能的毛細血管を形成するための動員された内皮細胞の再構築、(vi)毛細血管ループの形成、ならびに(vii)基底膜の沈着および新たに形成された血管への血管周囲細胞の加入を伴うと定義されている。
正常な血管形成は、胚の発生から成熟にわたって組織が成長する間に活性化してから、成人期には相対的な休止期に入る。
正常な血管新生は、創傷治癒および女性の生殖周期のある段階でも活性化する。不適当または病的な血管新生はさまざまな網膜症、虚血性疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症性障害、関節リウマチ、および癌を含めた数々の疾患状態と関連付けられている。疾患状態における血管新生の役割は、例えば、Fanら、Trendsin Pharmacol Sci.16:54 66;Shawverら、DOT Vol.2,No.2 February 1997;Folkmann,1995,NatureMedicine 1:27〜31に論じられている。
癌では固形腫瘍の成長は血管新生に依存することが示されている(Folkmann,J.,J.Nat'l.CancerInst.,1990,82,4〜6参照)。それ故、前血管新生経路を標的とすることは医学上大きな必要性があってまだそれが満たされていないこれらの領域に新しい治療法を提供するために広く追求されている戦略である。
いくつかのタンパク質キナーゼは血管新生プロセスに関与する。内皮増殖因子(例えば血管内皮増殖因子VEGF)は、受容体型チロシンキナーゼ(例えばVEGFR−2)およびRas/Raf/Mek/Erkキナーゼカスケードを介したシグナルを活性化する。VEGFによるVEGFR−2の活性化は腫瘍の血管新生を開始するシグナル伝達経路における重大なステップである。VEGFの発現は腫瘍細胞に構成性である場合があり、ある刺激に応答して上方制御されることもある。そのような刺激の1つは低酸素状態であり、その場合VEGFの発現は腫瘍および関連する宿主組織の両方で上方制御される。VEGFリガンドは、その細胞外VEGF結合部位と結合することによりVEGFR−2を活性化する。これはVEGFRの受容体二量体化およびVEGFR−2の細胞内キナーゼドメインでのチロシン残基の自己リン酸化をもたらす。キナーゼドメインはATPからチロシン残基にリン酸塩を輸送するように作動することによって、VEGFR−2の下流のシグナル伝達タンパク質のための結合部位を提供し、最終的に血管新生の開始をもたらす(McMahon,G.,TheOncologist,Vol.5,No.90001,3〜10,2000年4月)。
B−raf遺伝子中に標的破壊を有するマウスは発生中に血管欠損で死亡する(Wojnowski,L.ら、1997,Nature genetics 16,293〜296頁)。これらのマウスは血管系の形成および血管新生に欠陥を示し、例えば血管の拡大および分化した内皮細胞のアポトーシス死の増加を示す。
生殖組織の増殖過剰および組織再構築または修復がある疾患、例えば子宮癌、精巣癌、卵巣癌、子宮内膜症、子宮頚の扁平上皮癌および腺上皮癌などは、主題化合物の投与により細胞数が減少する。神経細胞の成長および増殖も重要である。
腫瘍細胞は無制御の成長、周辺組織への浸潤および遠隔部位への転移蔓延を特徴とする。成長および増大は増殖能だけではなく、細胞死(アポトーシス)を下方調節し血管新生を活性化して腫瘍新生血管を作り出す能力も必要とする。
本発明の好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための式Iの化合物の使用であって、その障害が癌であることを特徴とする。
それ故、本発明の好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための一般式Iの化合物の使用であって、その障害は、癌腫類、例えば、メラノーマ、脳癌、肺癌、非小細胞肺癌、移行および扁平上皮尿路癌、膀胱癌、胃癌(gastric cancer)、膵癌、結腸癌、十二指腸癌、腺管癌、子宮内膜癌、胃潰瘍(stomach cancer)、結腸直腸癌、肝癌、腎癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、甲状腺癌、形成異常口腔粘膜、ポリープ症、浸潤性口腔癌など;神経悪性腫瘍、例えば、神経芽細胞腫、神経膠腫など;血液悪性腫瘍、例えば、小児急性白血病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、悪性皮膚T細胞、菌状息肉腫、菌状息肉腫ではない皮膚T細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、T細胞が豊富な皮膚リンパ球過形成、水疱性類天疱瘡、円板状エリテマトーデス、扁平苔癬など;などからなる群から選択されることを特徴とする。
神経組織の腫瘍、例えば神経膠腫、神経腫などが特に重要である。特に重要な癌の一部として主として腺癌のサブタイプである乳癌が挙げられる。腺管癌はインサイチュ(in situ)での非浸潤乳癌で最もよく見られる種類である。DCISにおいて悪性細胞は腺管の壁を通過して乳房の脂肪組織に転移していない。浸潤性(または侵食性)腺管癌(IDC)は腺管の壁を通過して転移し、乳房の脂肪組織に進入している。浸潤性(または侵食性)小葉癌(ILC)は、体内の他の部位に転移する潜在性を有する点でIDCに似ている。浸潤性乳癌の約10%から15%が浸潤性小葉癌である。
非小細胞肺癌もまた重要である。非小細胞肺癌(NSCLC)は肺癌の3つの一般サブタイプから構成されている。類表皮癌(扁平上皮癌とも呼ばれる)は、通常は大きな気管支の1つに始まり比較的ゆっくりと成長する。これらの腫瘍の大きさは非常に小さいものから極めて大きなものまで多様である。腺癌は肺の外表面近くで成長を始め大きさと成長速度の両方が多様でありうる。一部のゆっくりと成長する腺癌は肺胞細胞癌として記載される。大細胞癌は肺の表面近くで始まり速やかに成長し、診断時には通常かなり大きく成長している。他のあまり見られない肺癌の形態は類癌腫、円柱腫、粘液性類表皮腫および悪性中皮腫である。
メラノーマはメラニン細胞の悪性腫瘍である。大部分のメラノーマは皮膚に現れるが、神経堤細胞が遊走する粘膜表面または他の部位でも生じうる。メラノーマは主に成人に生じ、症例の半分超が皮膚の一見正常な領域に生じる。予後は臨床因子および組織因子により、ならびに病変の解剖学的位置に影響される。メラノーマの浸潤の厚さおよび/またはレベル、有糸分裂指数、腫瘍に浸潤するリンパ球、および原発部位での潰瘍形成または出血が予後に影響する。臨床病期は、腫瘍が所属リンパ節または遠隔部位に広がったかに基づく。原発部位に臨床的に限局された疾患については、メラノーマの局所浸潤の厚さおよび深さが大きいほどリンパ節への転移の可能性は高く、予後は不良となる。メラノーマは(リンパ管を介した)局所拡大により蔓延し、および/または血行経路により遠隔部位に蔓延する可能性がある。いずれの器官も転移により影響を受けるおそれがあるが、肺と肝臓が一般的な部位である。
重要な他の増殖過剰疾患は、上皮の増殖過剰、組織、再構成および修復に関係する。例えば、乾癬の慢性皮膚炎症は増殖性上皮ケラチノサイト、ならびにCD4+記憶T細胞、好中球およびマクロファージを含めた浸潤単核細胞と関連する。
免疫細胞の増殖は、多数の自己免疫障害およびリンパ増殖障害と関連している。重要な疾患には、多発性硬化症、慢性関節リウマチおよびインスリン依存性糖尿病がある。証拠により、アポトーシスにおける異常が全身性エリテマトーデス(SLE)の病原に関与することが示唆されている。他のリンパ増殖状態は、多数の白血病およびリンパ腫と同様に自己免疫リンパ増殖症候群であるリンパ球アポトーシス遺伝性障害である。環境因子および食物因子に対するアレルギーの症状、ならびに炎症性腸疾患の症状も本発明の化合物により軽減されうる。
主題の方法に使用するために、主題の化合物を本発明による化合物以外の薬学的な有効薬、特に他の抗転移剤、抗腫瘍剤または抗血管新生剤を用いて処方できる。重要な血管新生抑制化合物としては、アンジオスタチン、エンドスタチン、コラーゲンアルファのカルボキシ末端ペプチド(XV)などが挙げられる。重要な細胞毒性剤および細胞増殖抑制剤としては、アドリアマイシン、アレラン(aleran)、Ara−C、BICNU、ブスルファン、CNNU,シスプラチン、サイトキサン、ダウノルビシン、DTIC,5−FU,ハイドレア、イホスファミド、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ナイトロジェンマスタード、ベルバン(velban)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、VP−16、カルボプラチン、フルダラビン、ゲムシタビン、イダルビシン、イリノテカン、ロイスタチン、ナベルビン、タキソール、タキソテール、トポテカンなどが挙げられる。例えば、骨状態の場合、好都合と思われる組合せとしては、アレンドロネートおよびリセドロネートなどの再吸収抑制ビスホスホネート;αvβ3拮抗薬などのインテグリン遮断薬(以下でさらに明らかにする);PREMPRO(登録商標)、PREMARIN(登録商標)およびENDOMETRION(登録商標)などのホルモン補充療法で使用される結合型エストロゲン;ラロキシフェン、ドロロキシフェン、CP−336、156(Pfizer)およびラソフォキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節物質(SERMs);カテプシンK阻害剤;およびATPプロトンポンプ阻害剤とのものが挙げられる。
本化合物はまた、既知の抗癌剤との組み合わせにも適している。これらの既知の抗癌剤としては、以下の:エストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞傷害性作用物質、抗増殖性作用物質、プレニル化タンパク質プロテアーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬およびその他の血管新生阻害薬が挙げられる。本化合物は、放射線治療と同時に投与するのに特に適している。放射線治療との組み合わせにおけるVEGF阻害の相乗効果が技術的に記載されている(WO00/61186参照)。
それ故、本発明の好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための一般式Iの化合物の使用であって、本発明による1つまたは複数の化合物の治療有効量を、細胞傷害性作用物質、抗増殖性作用物質、プレニル化タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬、成長因子受容体阻害薬および血管形成阻害薬からなる群から選択される化合物との組合せで投与することを特徴とする。
さらに、本発明の好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための一般式Iの化合物の使用であって、本発明による1つまたは複数の化合物の治療有効量を、放射線治療と、エストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞傷害性作用物質、抗増殖性作用物質、プレニル化タンパク質プロテアーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬、成長因子受容体阻害薬および血管形成阻害薬からなる群から選択される化合物との組合せで投与することを特徴とする。
「エストロゲン受容体調節物質」とは、その機構は無視して、エストロゲンの受容体への結合を干渉するかまたは阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調節物質の例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−l−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)フェニル2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が挙げられる。
「アンドロゲン受容体調節物質」とは、機構は無視して、アンドロゲンの受容体への結合を干渉するかまたは阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調節物質の例としては、フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
「レチノイド受容体調節物質」とは、機構は無視して、レチノイドの受容体への結合を干渉するかまたは阻害する化合物を指す。上記レチノイド受容体調節物質の例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
「細胞傷害性作用物質」とは、主として細胞機能に対する直接作用によるかまたは細胞減数分裂を伴う阻害もしくは干渉により細胞死をもたらす化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、マイクロチューブリン阻害薬およびトポイソメラーゼ阻害薬が含まれる。
細胞傷害性作用物質の例としては、非限定で、チラパザミン、セルテネフ、カケクチン、イフォスアミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモロゾマイド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium chloride)、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)μ−[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−l0−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトザントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バイルビシン(valrubicin)、アムルビシン、アンチネオプラストン、3'−デアミノ−3'−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシンが挙げられる(WO00/50032参照)。
マイクロチューブリン阻害薬の例としては、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3',4'−ジデヒドロ−4'−デオキシ−8'−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オウリスターチン(auristatin)、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、無水ビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797が挙げられる。
トポイソメラーゼ阻害薬のいくつかの例は、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3',4'−O−エキソベンジリデンシャルトルーシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3',4':b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル](20S)−カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2'−ジメチルアミノ−2'−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−l−カルボキシアミド、アスラクライン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3',4':6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]フォルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキシアミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
「抗増殖性作用物質」としては、アンチセンスRNAおよびアンチセンスDNAのオリゴヌクレオチド、例えば、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、INX3001など、および、代謝拮抗物質、例えば、エノシタビン、カルモフール、テガフル、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビン水酸化ナトリウム(fosteabine sodium hydrate)、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2'−デオキシ−2'−メチリデンシチジン、2'−フルオロメチレン−2'−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾルリル)スルホニル]−N'−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アピリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−フォルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワンソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2'−シアノ−2'−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどが挙げられる。「抗増殖性作用物質」としてはまた、「血管新生阻害薬」のもとで掲げたもの以外のトラスツズマブ等の増殖因子に対するモノクローナル抗体、および組換えウイルスが介在する遺伝子により送達することができるp53等の腫瘍抑制遺伝子導入も含まれる(例えば、米国特許第6069134号参照)。
意外にも、上記のテトラ−およびジヒドロキナゾリノン誘導体を調製する問題は、位置選択的なディールス−アルダー反応を経てさらなる誘導体に適する付加物を与えるジエノフィルとしてフェニルビニルスルホンを選択すること(R.V.C.Carr,L.Paquette,J.Amer.Chem.Soc.1980,102,853〜855;R.V.C.Carr,R.V.Williams,L.Paquette,J.Org.Chem.1983,48,4976〜4986)によって解決した。このスルホンは、分子内のシクロブテン環とのディールス−アルダー反応におけるジエノフィルとして使用されたが(E.J.Bush,D.W.Jones,J.Chem.Soc.,PerkinTrans.1,1997,3531〜3536;E.J.Bush,D.W.Jones,T.P.Mark,Tett.Lett.1994,36,9755〜9758;T.Kametani,Y.Suzuki,T.Honda,Chem.Pharma.Bull.1986,34,4971−4977)、シクロブテン環への位置選択的分子間付加は決して達成されていない。
それ故、本発明は、フェニルビニルスルホンのシクロブテンをアニール化したピリミジノンへの位置選択的付加による、2−アリール、2−アミノおよび2−アリール−6−アルキル置換テトラ−およびジヒドロキナゾリノンの合成ならびにその後のCH(SO2Ph)におけるスルホニル基の還元的脱離によるアルキル化に関する。
塩基性条件下(Et3N、ジオキサン)で、アミジン類(式2参照)は、マイケル付加を楽々と受け、2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチルとなり(式1参照)、その後シクロプロピルの開環反応が続いてシクロブテンがアニール化したピリミジノン(式3参照)を68〜83%の収率で与える。位置選択的フェニルビニルスルホンによるディールス−アルダー付加環化が後に続く後者の175℃での熱開環反応は、2−アリール−6−(フェニルスルホニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリノン誘導体(式5参照)を43〜83%の収率で与える。スルホニル基の塩基性脱離およびその後の水素化により、2−アリールテトラヒドロキナゾリノン誘導体(式7参照)が優秀な収率でもたらされる。水素化に続くスルホン中心での脱プロトン化、アルキル化およびスルホン基の脱離によって、2,6−二置換テトラヒドロキナゾリノン(式10a〜b参照)が与えられる。第二級アミンによる式3gにおけるSMe基の求核置換反応によって、2−アミノテトラヒドロキナゾリノン類(式14a〜c参照)を得る。
要するに、シクロブテンをアニール化したピリミジノン(式3a〜g参照)を、アミジンの2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(式1参照)へのマイケル付加によって調製し、これを熱開環反応およびフェニルビニルスルホンによる位置選択的ディールス−アルダー反応にかける。発明者らは、PhSO2Hの塩基性脱離反応および水素化反応の二段階の手順によってスルホン基を成功裡に除去した。発明者らは、芳香族亜硝酸塩を、5個炭素系シクロプロピル構成単位の2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(式1参照)を用いて5つの簡単なステップで、2−アリール−6−アルキルテトラヒドロキナゾリノン誘導体(式10a〜b参照)に良好な全収率で変換する方法を開発した。
それ故、本発明の好ましい実施形態は、式Iによる化合物を製造する方法であって、
a)
が単結合であり、式II、
(式中、R1およびR2は、上で定義したものである)の化合物を、式III、
(式中、R3、R4およびR5は上で定義したものである)の化合物と反応させることを特徴とするか、
b)
が、二重結合であり、R4−Hを化合物式Iから除去する(ここで、R4は、SO2Ar2であり、
は、単結合となる)ことを特徴とするか、
c)
が単結合であり、
が二重結合である式Iの化合物において前記二重結合を水素化によって単結合に変換することを特徴とするか、
d)式1で定義した残基R1、R2、R3、R4および/またはR5を、
例えば
i.アルキル基を導入する、
ii.S−A残基をHet残基に転化する
ことによって別の残基R1、R2、R3、R4および/またはR5に転化することを特徴とするか、
式Iの化合物を単離しかつ/または酸もしくは塩基で処理してそれらの塩を得ることを特徴とする方法である。
最初のステップにおいて、式3に合致する化合物を、2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(式1参照)の溶液を、有機アミン塩基の存在下で過剰の式2によるアミジンと共に撹拌することによって得る。溶媒は、好ましくは、エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンであり、使用する塩基は、好ましくは、ジイソプロピルジエチルアミン、トリエチルアミンであり、温度は好ましくは室温である。
次に、式5の化合物を、式3の化合物を過剰の式4の化合物(例えば、フェニルスルホン)と共に封かん管中100℃と220℃の間の温度で撹拌することによって得る。
式6に合致する化合物は、過剰のDBUまたはt−ブチルカリウムのような有機塩基を適当な溶媒中の式5によるスルホンの懸濁液に加え、得られた溶液を周囲温度で撹拌することによって得る。その溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、テトラヒドロフランまたはジオキサンから、好ましくはテトラヒドロフランまたはジクロロメタンから選択する。
式6に合致する化合物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランまたはジオキサンのような溶媒中の無水条件下で、アルミナまたは木炭のような固体の担体に固定したパラジウムまたは白金のような不均一系触媒作用を用い(これは反応の完了後にパッドまたはセライトを通す濾過によって除去する)、ガス状の水素により処理することによって式7に合致する化合物に変換することができる。
式9の化合物は、文献に記載されている標準的方法によって得られる保護誘導体5a−TMS(トリメチルシリル、TMSは、適当な保護基の例として示されている)を介して得られる。5a−TMSは、テトラヒドロフラン中、−78℃と−15℃の間の温度で、ブチルリチウムで処理する。アルキル化試薬、例えばヨードメタンをやや過剰で加え、温度を4〜15時間の間に室温までゆっくりと調整する。
式11に合致する化合物は、式6に合致する化合物と同様にして得られる。式10に合致する化合物は、式7に合致する化合物と同様にして得られる。
式13に合致する化合物は、ステップ1およびステップ2と同様にしてもたらされる式5に合致する構成単位(R1の場所にS−Aを有する)を、必要に応じて10〜24時間密閉した反応管中で150℃と200℃の間の温度で過剰のアミン(例えばモルホリン)で処理することによって得られる。
式15に合致する化合物は、式6に合致する化合物と同様にして得られる。式14に合致する化合物は、式7に合致する化合物と同様にして得られる。
すべての粗生成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油エーテルをそれぞれ含有する溶媒混合物を用いる標準的なクロマトグラフィーにかけた。
製造方法のさらに詳細な説明については、実施例1〜7および好ましい条件の以下の概要を参照されたい。
式Iに合致する化合物の生理学的に許容できる塩は、また、上記の反応によって得られた式Iの化合物を単離および/または酸または塩基で処理することによって得ることができる。
式Iの化合物、および同様に、それらを調製するための出発材料は、実施例に記載されている方法によるか、文献(例えば、Houben−Weyl,Methodender Organischen Chemie [有機化学の方法],Georg Thieme Verlag,Stuttgart;Organic Reactions,JohnWiley & Sons,Inc.,New York等の標準的な著作物)に記載されているそれ自体知られている方法により、正確には既知であって前記反応に適した条件下で調製する。それ自体知られている別形を使用することもできるがここでさらに詳しく記述することはしない。
特許請求されているプロセスに対する出発物質は、必要な場合は、反応混合物からそれらを単離するのではなく、代わりにそれらをさらに式Iの化合物に直ちに転化することによってインサイチュ(in situ)で形成することもできる。他方では、その反応を段階的に行うことが可能である。
好ましくは、該化合物の反応は、それぞれの反応条件のもとで好ましくは不活性である適当な溶媒の存在下で行う。適当な溶媒の例は、炭化水素類、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムまたはジクロロメタン等;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはt−ブタノール等;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサン等;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルまたはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等;ケトン類、例えばアセトンまたはブタノン等;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチルピロリジノン(NMP)等;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;ニトロ化合物類、例えば、ニトロメタンまたはニトロベンゼン等;酢酸エチル等のエステル類、あるいは前記溶媒の混合物または水との混合物類である。極性溶媒が一般に好ましい。適当な極性溶媒の例は、塩素化炭化水素類、アルコール類、グリコールエーテル類、ニトリル類、アミド類およびスルホキシド類またはそれらの混合物である。より好ましくは、アミド類、特にジメチルホルムアミド(DMF)である。
上で述べたように、反応温度は、反応ステップおよび使用される条件によって、約−100℃と300℃の間である。
反応時間は、それぞれの化合物の反応性およびそれぞれの反応条件によって、一般的に、数分と数日の間の範囲である。適当な反応時間は、当該技術で公知の方法、例えば、反応モニタリング法によって容易に決定することが可能である。上で与えられた温度に基づいて、適当な反応時間は、一般に1分と48時間の範囲にある。
式Iの塩基は、酸を使用した関連する酸付加塩に、例えば当量の塩基と酸をエタノール等の好ましくは不活性溶媒中で反応させ、続いて蒸発させることにより、転化させることができる。この反応のための適当な酸は、特に生理学的に許容される塩を生じさせるものである。したがって、無機酸、例えば硫酸、亜硫酸、ジチオン酸、硝酸、ハロゲン化水素酸類、例えば塩化水素酸または臭化水素酸等、リン酸類例えばオルトリン酸等、スルファミン酸、さらに有機酸、特に、脂肪族、脂環族、芳香脂肪族、芳香族または複素環式一塩基性または多塩基性カルボン酸、スルホン酸または硫酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ピバリン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンまたはエタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリメトキシ安息香酸、アダマンタンカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、エンボン酸、クロロフェノキシ酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリオキシル酸、パルミチン酸、パラクロロフェノキシイソ酪酸、シクロヘキサンカルボン酸、グルコース1−リン酸、ナフタレンモノおよびジスルホン酸またはラウリル硫酸を使用することが可能である。
生理的非許容性の酸との塩、例えばピクリン酸塩は、式Iの化合物を単離および/または精製するために使用することができる。
他方、式Iの化合物は、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)を使用して対応する金属塩、特に、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩に、あるいは対応するアンモニウム塩に転化することができる。適当な塩は、さらに、置換アンモニウム塩、例えば、ジメチル−、ジエチル−およびジイソプロピルアンモニウム塩、モノエタノール−、ジエタノール−およびジイソプロパノールアンモニウム塩、シクロヘキシル−およびジシクロヘキシルアンモニウム塩、ジベンジルエチレンジアンモニウム塩、さらに、例えば、アルギニンまたはリシンとの塩である。
必要に応じて、式Iの遊離塩基は、その分子中にさらなる酸基が存在しない限り、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム等の強塩基で処理することによってそれらの塩から遊離させることができる。式Iの化合物が遊離の酸基を有する場合は塩基で処理することによって塩の形成を同様に達成することができる。適当な塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物または第一級、第二級または第三級アミンの形の有機塩基である。
本明細書に記載のあらゆる反応ステップの後には、1つまたは複数の後処理および/または単離処理が場合によっては続く。適切な上記処理は、例えば、Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie [有機化学の方法],Georg Thieme Verlag, Stuttgart等の標準的な著作物から当該技術分野では公知である。かかる処理の例としては、限定はしないが、溶媒の蒸発、蒸留、結晶化、分別結晶化、抽出処理、洗浄処理、消化処理、濾過処理、クロマトグラフィー、HPLCによるクロマトグラフィーおよび乾燥処理、特に真空中および/または高温における乾燥処理が挙げられる。
意外にも、発明者らは、タンパク質キナーゼ調節物質(活性化剤または阻害剤)としての薬剤活性を示し、したがって上記の疾患の治療に有用な新規なテトラヒドロ−およびジヒドロキナゾリノン誘導体をさらに見出した。
それ故、本発明の好ましい実施形態は、式IV、
(式中、R1、R2、R3、R4、R5および
は、上で定義したものであり、残基R3、R4およびR5の少なくとも1つは、H以外の意味を有さなければならないか、
が二重結合であることを条件とする)の化合物、
ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、式IVと合致する化合物であって、
が単結合であり、
R1が、Ar1、S−AまたはHetであり、
R2、R3、R5が、Hであり、
R4が、SO2Ar2である
化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、式IVと合致する化合物であって、
が二重結合であり、
R1が、Ar1、S−AまたはHetであり、
R2、R3、R4が、Hであり、
R5が、存在しない
化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、式IVと合致する化合物であって、
が単結合であり、
R1が、フェニルであり、
R2、R3が、Hであり、
R4が、SO2Ar2であり、
R5が、Aである
化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、式IVと合致する化合物であって、
が単結合であり、
R1が、フェニルであり、
R2、R3、R4が、Hであり、
R5が、Aである
化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、式IVと合致する化合物であって、
が二重結合であり、
R1が、フェニルであり、
R2、R3が、Hであり、
R4が、Aであり、
R5が、存在しない
化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明のさらに好ましい実施形態は、式IVと合致する化合物であって、
が単結合であり、
R1が、Hetであり、
R2、R3、R5が、Hであり、
R4が、SO2Ar2である
化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
本発明の特に好ましい実施形態は、式IVに合致する化合物であって、
a)6−ベンゼンスルホニル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
b)6−ベンゼンスルホニル−2−(p−クロロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
c)6−ベンゼンスルホニル−2−(o−ブロモフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
d)6−ベンゼンスルホニル−2−(o−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
e)6−ベンゼンスルホニル−2−[(p−ベンジルオキシ)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)オン
f)6−ベンゼンスルホニル−2−(o−ビフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
g)6−ベンゼンスルホニル−2−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
h)2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
i)2−(p−クロロフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
j)2−(o−ブロモフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
k)2−(o−フルオロフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
l)2−(p−ベンゾイルオキシフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
m)2−(o−ビフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
n)2−メチルチオ−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
o)6−ベンゼンスルホニル−6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
p)6−ベンゼンスルホニル−6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
q)6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
r)6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
s)6−メチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
t)6−エチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
u)6−ベンゼンスルホニル−7−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)オン
v)6−ベンゼンスルホニル−2−(モルホリン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
w)2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−6−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
x)6−ベンゼンスルホニル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
y)2−(モルホリン−4−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
z)2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
aa)2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン
からなる群から選択される化合物ならびにすべての比率のそれらの混合物を含めた生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体である。
上で述べたように、式IVに合致する化合物は、Raf、Mek、PKB、Tie2、PDGFRおよびVEGFRの群から選択される1つまたは複数のタンパク質キナーゼの効果的な調節物質(活性化剤または阻害剤)である。
したがって、本発明の化合物は、シグナル伝達、タンパク質キナーゼまたは本出願を通して記載されている任意の臨床的障害を研究するための試薬として有用でもあり得る。
シグナル伝達経路の同定および他のシグナル伝達系とのクロストークの検出のために、さまざまな科学者が適当なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデル(例えばKhwajaら、EMBO,1997,16,2783〜93)およびトランスジェニック動物モデル(例えば Whiteら、Oncogene,2001,20,7064〜7072)を生み出した。シグナル伝達カスケードにおける特定のステップの検討については、シグナル調整のための妨害化合物を使用できる(例えばStephensら、Biochemical J.,2000,351,95〜105)。本発明による化合物は、動物および/または細胞培養モデルにおけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路の検討のための、または本出願を通して挙げられている臨床的障害のいずれかのための試薬としても有用であり得る。
キナーゼ活性の測定は、当業者に実行可能な周知の技術である。基質、例えばヒストン(例えばAlessiら、FEBS Lett.1996,399,3,333〜8頁)またはミエリン塩基性タンパク質を用いたキナーゼ活性検出のための一般的検査系は文献に十分記述されている(例えばCampos−Gonzalez,R.およびGlenney,Jr.,J.R.1992J.Biol.Chem.267,14535頁)。
キナーゼ阻害剤の同定のためにさまざまなアッセイ系が利用できる(例えばWaltersら、Nature Drug Discovery 2003,2;259〜266頁を参照)。例えばシンチレーション近接アッセイ(例えばSorgら、J.of.Biomolecular Screening,2002,7,11〜19)またはフラッシュプレートアッセイではγATPを用いた基質としてのタンパク質またはペプチドの放射性リン酸化を測定できる。阻害性化合物の存在下ではシグナルが検出できないか、または減少した放射性シグナルが検出できる。さらにホモジニアス時間分解蛍光共鳴エネルギー移動法(HTR−FRET)および蛍光偏光法(FP)がアッセイ法に有用である(例えば Sillsら、J,of Biomolecular Screening,2002:191〜214)。
他の非放射性のELISAに基づくアッセイ法は、特異的リン酸化抗体(AB)を使用する。リン酸化ABはリン酸化基質にだけ結合する。この結合はペルオキシダーゼ結合二次抗体で検出可能であり、例えば化学ルミネセンスにより測定される(例えばRossら、Biochem.J.,2002,366:977〜981)。
さらに、本発明による化合物は、例えば実施例10に記載されているアッセイにより試験することができる。その他のアッセイは文献から公知であり、当業者であれば容易に実施することができる(例えば、Dhanabalら、CancerRes.59:189〜197;Xinら、J.Biol.Chem.274:9116〜9121;Sheuら、Anticancer Res.18:4435〜4441;Ausprunkら、Dev.Biol.38:237〜248;Gimbroneら、J.Natl.Cancer Inst.52:413〜427;Nicosiaら、In Vitro 18:538〜549を参照)。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、障害の治療および/または予防のための薬剤を調製するための本発明の化合物の使用である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、タンパク質キナーゼによって引き起こされ、媒介されかつ/または伝播される障害の治療および/または予防のための薬剤を調製するための本発明の化合物の使用である。
とりわけ、本発明のさらなる好ましい実施形態は、本発明による化合物の、式Iの化合物に対して上で明示した障害、またはこの出願を通して記載されている臨床的障害のいずれかのための使用である。
本発明は、それ故、薬剤としての式IVの化合物ならびに生理学的に許容できるそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体(すべての比率のそれらの混合物を含む)に関する。
したがって、本発明のさらなる好ましい実施形態は、医薬組成物であって、それは本発明による1つまたは複数の化合物の治療有効量を含有することを特徴とする。
本発明のさらなる実施形態は、医薬組成物であって、それは生理学的に許容できる賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および本発明による化合物以外の薬剤的に活性な作用物質からなる群から選択された1つまたは複数の追加の化合物を含むことを特徴とする。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、セット(キット)であって、
a)本発明による1つまたは複数の化合物の治療有効量と、
b)本発明による化合物以外のさらなる薬剤的に活性な作用物質の1つまたは複数の治療有効量との別々の小包装からなるセット(キット)である。
本発明のさらなる実施形態は、前記医薬組成物の製造プロセスであって、本発明による1つまたは複数の化合物および固体、液体または半液体の賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体ならびに本発明による化合物以外の薬剤的に活性な作用物質からなる1つまたは複数の化合物を、適当な剤形に変換することを特徴とするプロセスである。
本発明の医薬組成物は、それらの意図した目的を達成する任意の方法によって投与することができる。例えば、投与は、経口、非経口、局所、経腸、静脈内、筋肉内、吸入、経鼻、関節内、脊髄内、経気管、経眼球、皮下、腹腔内、経皮、または頬側の経路によることができる。別法では、または同時に、経口経路によることができる。投与される用量は、レシピエントの年齢、健康状態、および体重、もしあれば併用療法の種類、治療の頻度、および望ましい効用の性質に依存しよう。非経口的投与が好ましい。経口投与は特に好ましい。
適当な剤形には、限定はしないが、例えば下記のような当業界で公知の方法に従って製造できるカプセル剤、錠剤、ペレット剤、糖衣錠、半固形剤、粉剤、顆粒剤、坐剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、吸入剤、注射剤、パップ剤、ゲル剤、テープ剤、点眼剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤、懸濁剤、乳剤がある。
錠剤:
有効成分および助剤の混合、前記混合物を錠剤に圧縮(直接圧縮)、場合により圧縮前に混合物の一部を造粒。
カプセル剤:
有効成分および助剤を混合して流動性粉末を得、場合により粉末を造粒、開いたカプセルに粉末/顆粒を充填、カプセルにキャップをする。
半固形剤(軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤):
水性または脂肪性担体に有効成分を溶解/分散、その後に水相/脂肪相をそれぞれ相補的な脂肪相、水相と混合、均質化(クリーム剤のみ)。
坐剤(直腸坐剤および膣坐剤):
熱で液化した担体物質(直腸:担体物質は通常はロウ、膣:担体は通常ゲル化剤を加熱した溶液)に有効成分を溶解/分散、坐剤型への前記混合物の注型、徐冷および型からの坐剤の取り出し。
エアゾール剤:
噴射剤に有効薬剤を分散/溶解、前記混合物をアトマイザーに充填。
一般に、医薬組成物および/または製剤の製造のための非化学的経路は、本発明による1つまたは複数の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与するために適した剤形に転換する、当該技術分野では公知の適当な機械的手段に基づく加工ステップを含む。通常は、本発明による1つまたは複数の化合物のそのような剤形への転換は、担体、賦形剤、助剤および本発明による化合物以外の医薬有効成分からなる群から選択される1つまたは複数の化合物の添加を含む。適当な加工ステップには、限定はしないが、それぞれの有効成分および不活性成分の組合せ、粉砕、混合、造粒、溶解、分散、均質化、注型および/または圧縮が含まれる。前記加工ステップを実施する機械的手段は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Editionから当該技術分野では公知である。本明細書において、有効成分は好ましくは本発明による少なくとも1つの化合物および本発明による化合物以外の価値ある医薬品特性を示す1つまたは複数の追加の化合物であり、好ましくは本明細書に開示の本発明による化合物以外の薬学的有効薬である。
経口使用に対して特に適するのは錠剤、ピル、コーティングを施した錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、シロップ剤、ジュース剤またはドロップ剤であり、直腸使用に対しては坐剤であり、非経口使用に適するものは、液剤、好ましくは油性または水性液剤、さらには懸濁剤、乳剤あるいは植込み剤であり、局所使用に適するものは、軟膏剤、クリーム剤または粉剤である。当該新規化合物は、また、凍結乾燥することができ、得られた凍結乾燥物を、例えば、注射製剤の調製に使用することができる。指示された製剤は、滅菌することができかつ/または助剤、例えば、滑剤、防腐剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧を修正するための塩、緩衝物質、染料、香料ならびに/または複数のさらなる有効成分、例えば1つまたは複数のビタミン類を含むことができる。
適当な賦形剤は、経腸(例えば経口)、非経口または局所投与に適し、新規な化合物と反応しない有機または無機物であり、例えば水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール三酢酸、ゼラチン、炭水化物類例えばラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールまたはデンプン(トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン)、セルロース製剤などおよび/またはリン酸カルシウム類例えばリン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよび/またはワセリンである。
必要に応じて、崩壊剤、例えば上記のデンプン類およびまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム等を添加することができる。助剤としては、非限定で、流動性調節物質および滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム等のその塩、および/またはポリエチレングリコールが挙げられる。糖衣錠のコアは、必要に応じて胃液に耐性を有する適当なコーティングを施す。この目的のために、濃縮した糖類の溶液を用いることができ、それは場合によってアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。胃液に耐性のあるコーティングを製造するためまたは持続性作用の利点を与える剤形を提供するため、錠剤、糖衣錠またはピルは、外側が内側の外皮の形をしている内側製剤成分と外側製剤成分とを含むことができる。この2つの成分は、腸溶性の層によって分離することができ、これによって胃内の崩壊に耐え、内側成分が十二指腸までそのまま通過することまたは放出を遅らすことに役立つ。さまざまな物質を、上記腸溶性層またはコーティング用に使用することができ、多くのポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、アセチルアルコールのような物質との混合物、適当なセルロース製剤例えばフタル酸アセチルセルロース、酢酸セルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの溶液が使用される。染料または顔料を、例えば、識別のためまたは活性化合物用量の組合せを特徴付けるために錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
適当な担体物質は、経腸(例えば経口)または非経口投与または局所適用に適し、当該新規化合物と反応しない有機または無機物質、例えば、水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトースまたはデンプンなどの炭水化物類、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよびワセリンである。特に、錠剤、コーティングを施した錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁剤、ドロップ剤または坐剤は、経腸投与に使用され、液剤、好ましくは油性または水性液剤、さらに懸濁剤、乳剤または植込み剤は、非経口投与に使用され、軟膏剤、クリーム剤または粉剤は局所適用に使用される。当該新規化合物はまた、凍結乾燥することができ、得られた凍結乾燥物を、例えば注射製剤の製造に使用することができる。
指示された製剤は、滅菌することができ、かつ/または賦形剤、例えば滑剤、防腐剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝物質、着色料、香料および/または芳香剤を含有させることができる。必要に応じてそれらはまた、複数のさらなる有効成分、例えば1つまたは複数のビタミン類を含むことができる。
経口で使用することができるその他の医薬品製剤としては、ゼラチン製の押し込み型のカプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤からできた軟質の密封カプセル剤が挙げられる。押し込み型のカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、および場合によっては安定剤と混合することができる顆粒の形をした活性化合物を含有することができる。軟質のカプセル中で、該活性化合物は、脂肪油、または液体パラフィンなどの適当な液体中に好ましくは溶解もしくは懸濁されている。さらに安定剤を加えてもよい。
本発明の新規組成物を経口投与するために組み込むことができる液体の形態としては、水溶液、適切に風味付けしたシロップ、水性または油性懸濁液、および綿実油、ゴマ油、ココナッツ油またはピーナッツ油などの食用油による風味付けした乳液、ならびにエリキシル剤および類似の薬剤媒体が挙げられる。水性懸濁剤用の適当な分散剤もしくは懸濁化剤としては、トラガカント、アカシアなどの合成および天然ゴム、アルギン酸、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが挙げられる。
非経口投与用の適当な製剤としては、水溶性の形の活性化合物、例えば水溶性塩とアルカリ溶液の水溶液が挙げられる。さらに、適切な油状注射懸濁剤としての活性化合物の懸濁液を投与することができる。適当な脂肪親和性溶媒もしくは媒体としては脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル類、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリドあるいはポリエチレングリコール−400(当該化合物はPEG−400に可溶性である)が挙げられる。
水性注射懸濁剤は、懸濁液の粘度を増す物質を含有してもよく、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、および/またはデキストランを挙げることができ、場合によって、その懸濁剤は安定剤を含有することもできる。
吸入噴霧としての投与には、有効成分が噴射剤ガスまたは噴射剤ガス混合物(例えばCO2またはクロロフルオロ炭素)に溶解または懸濁している噴霧剤を使用することが可能である。ここで微粉状にした有効成分を使用するのが有利であり、この場合1つまたは複数のさらなる生理学的に許容できる溶媒、例えばエタノールが存在してもよい。従来の吸入器を採用して吸入溶液を投与できる。
直腸に使用することができる可能性のある医薬品製剤としては、例えば、1つまたは複数の活性化合物の坐剤ベースとの組合せからなる坐剤を挙げることができる。適切な坐剤ベースは、例えば、天然もしくは合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素類である。さらに、活性化合物の塩との組合せからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能性のある塩材料としては、例えば、液状トリグリセリド類、ポリエチレングリコール類、またはパラフィン炭化水素類が挙げられる。
医薬での使用に対して、本発明の化合物は、薬剤的に許容できる塩の形であり得る。また一方その他の塩も、本発明による化合物またはそれらの薬剤的に許容できる塩の調製において有用であり得る。本発明の化合物の適当な薬剤的に許容できる塩としては、例えば、本発明による化合物の溶液を、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの薬剤的に許容できる酸の溶液と混合することによって形成することができる酸付加塩が挙げられる。さらに、本発明の化合物が酸部分を持つ場合、その薬剤的に許容できる適当な塩としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムもしくはマグネシウム塩、および適当な有機塩基により形成された塩、例えば第四級アンモニウム塩を含むことができる。
本発明は、上記の本発明の化合物のプロドラッグ類をその範囲に含む。一般に、上記プロドラッグ類は、インビボで本発明の所要の化合物に容易に転化することができる本発明の化合物の機能的誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、例えば、Design of Prodrugs,編者H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
該医薬製剤は、ヒトおよび動物の医療における薬剤として採用することができる。本明細書において使用される「有効量」という用語は、例えば研究者または臨床家により探求されている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または医薬品の量を意味する。さらに、「治療有効量」という用語は、そのような量を投与されていない対応する被験者に比べて、治療、治癒、予防の改良、疾患、障害または副作用の改善、あるいは疾患または障害の進行速度の減少をもたらす任意の量を意味する。この用語は、その範囲内に正常な生理機能を高めるために有効な量も含む。本発明による1つまたは複数の化合物の前記治療有効量は、当業者には公知であるか当該技術分野では公知の標準的方法によって容易に決定することができる。
本発明による物質は、一般には市販の製剤と同じように投与される。通常、治療的に有効である適当な用量は、用量単位当たり、0.0005mgと1000mgの間、好ましくは0.005mgと500mgの間、特に0.5mgと100mgの範囲内にある。1日の用量は、体重1kg当たり好ましくは約0.001mgと10mgの間である。
当業者であれば、用量レベルが、特定の化合物、症状の重症度および副作用への患者の感受性に応じて変動しうることは容易に理解するであろう。特定の化合物によってはその他のものよりより効能がある。与えられた化合物に対する好ましい薬用量は、当業者によりさまざまな方法によって容易に決定される。好ましい方法は、与えられた化合物の生理学的な効力を測定することである。
ホストすなわち患者は、任意の哺乳動物種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ;ウシ;イヌ;ネコなどからでありうる。動物モデルはヒトの疾患の治療のためのモデルを提供するため、実験的研究にとって重要である。
しかしながら、個々の患者に対する特定の投与量は、例えば、使用した特定の化合物の有効性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌の種類、投与時間および経路、排泄速度、投与の種類および投与されるべき剤形、医薬の組合せおよび治療に関与する特定の障害の重症度などの、多くの要因に依存する。個々の患者に対する特定の治療学的に有効な投与量は、日常の実験法により、例えば治療学的治療を助言し世話をする医者または治療者により、容易に決定できる。
増殖過剰障害の場合、特定の細胞の主題化合物による処理に対する感受性は、インビトロ試験により測定することができる。一般的には、細胞の培養液をさまざまな濃度の主題化合物と活性物質が細胞死を引き起こすか遊走を阻止することを可能にするのに十分な時間帯(通常は1時間と1週間の間)にわたって組み合わせる。インビトロ試験に対しては生検標本からの培養細胞を使用することができる。処理後に残った生存細胞を次に数える。
用量は利用される特定の化合物、特定の障害、患者の状態などに応じて変動する。一般的には治療用量は、患者の生存を維持する一方で標的組織における好ましくない細胞数を実質的に減少させるのには十分である。細胞負荷が実質的な減少、例えば少なくとも約50%の減少に達するまで治療を一般に継続し、好ましくない細胞が体内から本質的に何も検出されなくなるまで継続することができる。
さらなる詳細がなくても、当業者であれば上記の記述を最大限の範囲で利用することが当然可能であると思われる。好ましい実施形態は、それ故、全くいかようにも限定するものではない単なる説明のための開示と見なすべきである。
上文および下文において温度はすべて℃で示している。以下の実施例において「従来の作業」とは、必要に応じて溶媒を除去し、必要に応じて水を加え、必要に応じて最終生成物の構成によってpHを2と10の間に調整し、その混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、層を分離し、有機相を飽和NaHCO3溶液で、必要に応じて水および飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して蒸発させ、生成物を、シリカゲルを用いたクロマトグラフィー、分取用HPLCおよび/または晶析により精製することを意味する。精製した化合物は、必要に応じて凍結乾燥させる。
質量分析法(MS):ESI(電気スプレー電離)(M+H)+。
略語および頭字語のリスト:
AcOH:酢酸、anh:無水、atm:気圧(単数または複数)、BOC:t−ブトキシカルボニル、CDI:1,1'−カルボニルジイミダゾール、conc:濃縮した、d:日(単数または複数)、dec:分解、DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド、DMPU:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DPPA:ジフェニルホスホリルアジド、EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、EtOAc:酢酸エチル、EtOH:エタノール(100%)、Et2O:ジエチルエーテル、Et3N:トリエチルアミン、h:時間(単数または複数)、MeOH:メタノール、pet.ether:石油エーテル(沸点範囲30〜60℃)、temp.:温度、THF:テトラヒドロフラン、TFA:トリフルオロAcOH、Tf:トリフルオロメタンスルホニル。
実施例1:
ニトリルからアミドを調製するさまざまな方法をチェックすることにより、発明者らは、R.T.Boere,R.T.Onkley,R.W.Reedにより記載されている方法が発明者らの物質に対してはベストであることを見出した(R.A.Moss,J.Terpinski,D.P.Cox,D.Z.Denneey,K.K.Jespersen,J.Amer.Chem.Soc.1985,107,2743〜2748;R.T.Boere,R.T.Onkley,R.W.Reed,J.Organomet.Chem.1987,331,161〜168;F.C.Shaefer,A.P.Krapcho,J.Org.Chem.1962,27,1255〜1258;A.Thurkauf,A.Hutchison,J.Peterson,R.Meade,J.Med.Chem.1995,38,2251〜2255;W.Saal,R.A.Engh,A.Eichinger,B.Gabriel,R.Kucznierz,J.Saure,Arch.Phar.1996,329,73〜82)。
アリールニトリルのTHF溶液をLiHMDSのヘキサン中の1N溶液に加え、続いて5〜6NのイソプロパノールHClで失活させると、アミジン(式2b−e参照)が形成され、良好乃至最高の収率で単離される。意外にも、同じ条件下で、o−フェニルベンゾニトリルはアミジンを与えない(式2参照)。この化合物は、Wolfgangvon der Sallらの修正された方法によって調製される(W.Saal,R.A.Engh,A.Eichinger,B.Gabriel,R.Kucznierz,J.Saure,Arch.Phar.1996,329,73〜82)。o−フェニルベンゾニトリルのトルエン中の溶液を新たに用意したMeAl(Cl)NH2のトルエン中の溶液に加えると、式2fの化合物が58%の収率で単離される(スキーム1)。
スキーム1:ニトリルからのアミジンの合成。条件A:LiHMDS(1N、ヘキサン)、THF、25℃、4h;条件B:Me3Al(1M、トルエン)、NH4Cl、トルエン、120℃、15h。
実施例2:
2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(式1参照)と2当量のベンズアミジン塩酸(式2a参照)の混合物を、4当量のトリエチルアミンが存在するジオキサン中、室温で48時間撹拌すると、3−フェニル−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3a参照)が83%の収率で単離される。同様に、同じ条件下で、対応するピリミジノンが良好な収率(68〜82%)で得られる。反応性がそれより低いS−メチルイソチオ尿素ヘミ硫酸塩(式2g参照)は、対応するピリミジノン(式3g参照)を50℃で74%の収率で生成する(スキーム2)。
スキーム2:シクロブテンをアニレート化したピリミジノン(式3参照)の合成のためのアミジンの式1の化合物へのマイケル付加。
これらのシクロブテンアニレート化ピリミジノン(式3参照)は、ベンゾシクロブテンのヘテロ類似体に似ており、予想通り、同様に熱によって開環され、その後ジエノフィルと反応してテトラヒドロキナゾリノン誘導体を与える。反応条件を最適化するため、発明者らは式3aの化合物を選択する。以前に報告されているように(M.Notzel,K.Rauch,T.Labahn,A.de Meijere,Org.Lett.2002,4,839〜841)、式3aの化合物の過剰のアクリル酸メチルまたはアクロロニトリルとの反応は、分離不可能なジアステレオマーの混合物をもたらす。式3aの化合物の過剰のフェニルビニルスルホンとの密閉パイレックス管中でのトルエン中もしくは1,2−ジクロロベンゼン中の175℃での12時間にわたる最初の反応は、対応するディールス−アルダー付加物の非常に低い収率を与えるが(表1、記載事項1、2)、面白いことにその位置異性体の1つだけを与える。その収率は、その反応を無溶剤条件下で行うことにより増大する。式4の化合物の融点は68℃であり、それ故発明者らは、この反応を式4の化合物の液体中で行おうとした。式3aの化合物と10倍過剰の式4の化合物の混合物を175℃で12h加熱すると、2−フェニル−6−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5a参照)が、1つの位置異性体として84%の収率で単離される(記載事項3)。構造は、1H−NMR、13C−NMR、HMBC(異核多結合コヒーレンス)、HMQC(ヘテロ核多重量子コヒーレンス)、ならびにMSに基づいて特定される。式4の化合物の量を4当量に減少しても収率は変わらないが(記載事項4)、さらに1.5当量に下げるか温度を低下すると大幅に収率が下がる(記載事項5および6)。
表1:反応条件の最適化と式3aの化合物のディールス−アルダー反応物の収率。
式3aの化合物に対する最適条件が見つかった(記載事項4)後、開環反応を、式3a〜gの化合物において実施し、対応する式5a〜gの化合物の付加物を良好な収率で合成する(スキーム3)。
スキーム3:式3a〜gの化合物のフェニルビニルスルホン(式4参照)との位置選択的なディールス−アルダー反応。
段階的マイケル付加反応およびディールス−アルダー反応が成功裡に実施された後だけに、これらの2つの操作をワンポットで行ってみることは興味深い。実際に、フェニルビニルスルホンを、パイレックスのボトル中Et3N存在下の48h後のベンズアミジン塩酸(式2a参照)と式1の化合物との粗反応混合物に加え、175℃で12h加熱すると、式5aの化合物が43%の収率で単離される。式3dの化合物の場合は少し高めの収率が得られる(スキーム4)。
スキーム4:式1の化合物および式2a、dによるアミジンからの式5a、dのテトラヒドロキナゾリノンのワンポット合成。
実施例3:
テトラヒドロキナゾリン環が形成された後、次の課題はスルホニル基を除去することである。この目的のためにはいくつかの方法が知られているが、Na2HPO4の存在下でNa/Hgアマルガムを関与させる方法(B.M.Trost,H.C.Arndt,P.E.Strege,T.R.Verhoeven,Tett.Lett.1976,39,3477〜3478)が最も広く用いられている。しかしながら、式5aの化合物ならびにそのO−TMS保護もしくはN−Boc保護をした同等物をMeOH中でNa/HgおよびNa2HPO4(それぞれ4当量)と反応させると、還元的脱離は全く起こらず、(脱保護された)出発物質のみが単離される。試薬をNa−サンド/EtOHに変化させることによって(Y.Masaki,Y.Serizawa,K.Nagata,K.Kaji,Chemistry Lett.1984,2105〜2108;D.F.Taber,Q.Jiang,B.Chen,W.Zhang,C.L.Campbell,J.Org.Chem.2002,67,4821〜4827)も、相当量のベンズアルデヒドのみが単離される。この問題は、PhSO2基の塩基性脱離に続いてPd触媒を用いてC=C結合を水素化する2段階の手段を用いることによって解決される。式5aの化合物のTHF溶液に、3当量のKOtBuを加えると、脱離生成物の式6aの化合物が2h後96%の収率で得られる。その後の式6aの化合物のMeOH中の標準的条件のもとでの水素化によって、標的物質の2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリノン(式7a参照)が91%の収率で生じる。同じように、式7c〜fの化合物が、式5c〜fの化合物から優れた収率で得られる。式6bの化合物および式6eの化合物はMeOH中の溶解性が低いために、この反応はAcOH中で行い、式7bの化合物および式7eの化合物をそれぞれ94%および93%の収率で生じさせる。式6gの化合物の場合、触媒毒となるSMe基の存在によって水素化反応がうまくいかない。所望の生成物の代わりに若干量のSMe基のない物質が単離される。これらの結果をスキーム5にまとめる。
スキーム5:PhSO2Hの塩基性脱離とその後の水素化:2−置換テトラヒドロキナゾリノンの調製:a)KOtBu(3当量)、THF、25℃、2h;b)Pd/C、H2、MeOHまたはAcOH、25℃、4h
実施例4:
C−6における強電子受容体−フェニルスルホニル基−の存在は、この中心におけるさらなる誘導体化、すなわち、O−またはN−保護された前駆物質から発生する対応するアニオンのアルキル化を可能にする。意外にも、N−Bocで保護した化合物(式5a−Bocの化合物)のTHF溶液をnBuLiにさらし、続いてMeIで処理するとC−6におけるアルキル化は観察されず、代わりにN−Boc−2−フェニル−8−メチル−6−フェニルスルホニルテトラヒドロキナゾリノン(式8参照)のみが単離される。塩基をnBuLiからLDAまたはNaHMDSのいずれかに変えることにより、同じ生成物がそれより低い収率で生じる(スキーム6)。
スキーム6:式5aのN−Boc保護した化合物のC−8におけるアルキル化。
また一方、C−6位における置換は、保護基を変えることによって達成することができる。したがって、O−TMS保護の化合物(式5a−TMS参照)をnBuLiにさらし、続いてハロゲン化アルキルで処理することによって式9a〜bの所望の生成物が良好な収率で得られる。スルホン基を脱離し、続いてハロゲン化することによって、2−フェニル−6−アルキルテトラヒドロキナゾリノン(式10a〜b参照)がもたらされる(スキーム7)。
スキーム7:2−アルキル−テトラヒドロキナゾリノン(式10a、b参照)を調製するためのPhSO2−基の除去が後に続くスルホンセンター(C−6)におけるアルキル化:a)HMDS(過剰)、(NH4)2SO4、還流、10h;99% b)nBuLi、THF、−78℃、30分;R1X、−78℃→室温、2h;NH4Cl/H2O;c)KOtBu(3当量)、THF、25℃、2h;d)Pd/C、H2、MeOH、25℃、4h
実施例5:
C−6における置換が成功した後、発明者らは7位においても置換が得られるかどうかを探ろうとする。明らかな選択の対象はフェニルプロペニルスルホンを使用することである。実際に、式3aの化合物を(E)−p−トリル−1−プロペニルスルホン(式4−Me参照)と反応させると、対応するシクロ付加生成物(式12参照)が、27%の収率ではあるが2つのジアステレオマーの混合物として単離される。エチル基を導入する試みは、対応するスルホンがその反応条件下で重合するために失敗する(スキーム8)。
スキーム8:p−トリル−1−プロペニルスルホン(式4−Me参照)の式3aの化合物との反応。
実施例6:
C−2におけるさらなる誘導体化の機会を調査するため、発明者らは式5gの化合物におけるSMe基を第2級アミンによって置換することを意図する。式5gの化合物をDMF中の2当量のモルホリンと密閉したパイレックス瓶中180℃で12h反応させることによる2−モルホリノ−テトラヒドロキナゾリノンを得ようとする最初の試みは失敗し、この実験は単に2−ジメチルアミノ−6−フェニルスルホニルテトラヒドロキナゾリノン(式16参照)を78%の収率で与える。明らかに、この生成物は、高温におけるDMFの不安定性およびジメチルアミンによるSMeの置換によって形成される。これは式5gの化合物を過剰のDMF中180℃でモルホリンなしで加熱することによって確認され、同じ生成物が86%の収率で単離される。式5gの化合物を過剰のモルホリンと溶媒なしで、180℃で12h加熱すると、2−モルホリノ−6−フェニルスルホニルテトラヒドロキナゾリノン(式13a参照)が93%の収率で得られる。同様に、N−ベンジルおよびN−メチルピペラジンは、対応する式13b、cの置換生成物をそれぞれ92%および91%の収率で成功裡に与える。前とは違って、5当量のKOtBuおよび長い時間帯(15h)が、式13a〜cの化合物における脱離反応を完了するために必要である。式15a〜cの化合物の標準条件を用いる水素化は、式14a〜cの化合物の2−ピペラジニルおよび2−N−メチルピペラジニル誘導体を非常に良好な収率で与える(スキーム9)。
スキーム9:式5gの化合物におけるSMe基のアミンによる求核置換反応。
実施例7:
試薬は、すべて購入したものをさらに精製しないで使用する。有機溶媒中の反応は、すべて乾燥窒素の雰囲気下での標準的なシュレンク技法を用いて行う。溶媒は、使用前に通常の方法によって精製し乾燥する。テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トルエンは、ナトリウム/ベンゾフェノンから新たに蒸留する。−溶媒は次のように略記する:DCM=ジクロロメタン、EE=酢酸エチル、MeOH=メタノール、PE=ペンタン、Et2O=ジエチルエーテル、HMDS=ヘキサメチルジシラザン。−1Hおよび13CNMRスペクトルは、Bruker AM250またはVarian200もしくは300測定器のいずれかにより周囲温度で記録する。化学シフト(δ)は、溶媒の共鳴に関するppmで与える(1H:クロロホルムに対しては7.26ppmまたは[D6]DMSOに対しては2.49ppm;13C:CDCl3に対しては77.0ppm、または[D6]DMSOに対しては39.7ppm)。結合定数(J)は、Hzで与えられる。シグナルの多重度は、次のように記載する:s=単一線、br.s=広幅単一線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、dt=三重線の二重線。−シグナルの多重度は、DEPT技術によって測定する:DEPT:+=第一級(CH3)または第三級(CH)(正のDEPT−シグナル)、−=第二級(CH2)(負のDEPT−シグナル)、Cquat=第四級C原子。13CNMRスペクトル中のJ値は、13C−19F結合を表す。−IR:Bruker IFS66。−MS:Varian MATCH7、MAT731。クロマトグラフ分離は、Merckシリカゲル60(0.063〜0.200mm、70〜230メッシュASTM)により行う。カラムの寸法は、「シリカカラムの直径×高さ」としてのcmで与えられる。−TLC:Machery−Nagel、すぐ使用できるTLCプレートAlugram(登録商標)Sil G/UV254。254nmのUV光のもとで検出。−融点(未補正)は、Buchi 510装置のキャピラリー中で測定する。元素分析:ゲッチンゲン大学有機化学研究所微量分析研究室(Mikroanalytisches Laboratorium des Instituts fur Organische Chemie der Universitat Gottingen)。室温は、RTと略記する。Pd/Cは、Merckから購入した。
ベンズアミジン塩酸(式2a参照)、S−メチルイソチオ尿素ヘミ硫酸塩(式2g参照)は、Aldrichから購入した。
一般法A:
p−クロロベンズアミジン塩酸(式2b参照):50mLの乾燥した反応フラスコに、THF(22mmol)中の1MのLiHMDS、2mLのTHF中のp−クロロベンゾニトリル(2.76g、20.0mmol)を加え、その反応混合物をRTで4h撹拌を保ち、その時点で5〜6NのHCl(iPrOH中、15mL)を加える。その粗反応混合物を0℃で一晩保つ。沈殿した生成物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、白色固体としての式2bの化合物、融点238℃(文献値融点243〜245℃)の3.5g(93%)を得る(E.Ragona,D.L.Nelson,M.Mares−Guis,J.Amer.Chem.Soc.1975,97,6844〜6848)。−IR(KBr):ν(〜)=3239cm−1、3054、1678、1460、1401、1036、715。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=7.60〜7.77(m,2H)、7.85〜7.97(m,2H)、8.4(br.s,3H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,[D6)DMSO)、δ=126.79(C(四重線))、129.36(+)、130.57(+)、139.1(C(四重線))、165.1(NCN)。
o−ブロモベンズアミジン塩酸(式2c参照):一般法Aを使用し、o−ブロモベンゾニトリル(3.68g、20.0mmol)と22mLの1MのLiHMDSとから、白色結晶、融点>250℃、としての4.3g(91%)の式2cの化合物を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3228cm−1、3059、1669、1458、1401、1030、728。−1H NMR(250MHz,CD3OD):δ=4.92(br.s,4H,NH)、7.54〜7.68(m,3H)、7.74〜7.86(m,1H)。−13C NMR(62.9MHz,CD3OD):δ=121.1(C(四重線))、129.5(+)、131.0(+)、133.3(C(四重線))、134.8(+)、135.0(+)、168.4(NCN)。−MS(DCI,70eV)m/z(%):399(6)[2M−2Na+H+]、216(M−HCl+NH4 +)、199(100)[M−HCl+H+)。
o−フルオロベンズアミジン塩酸(式2d参照):一般法Aを使用し、o−フルオロベンゾニトリル(2.40g、20.0mmol)と22mLの1MのLiHMDSとから、白色結晶、融点98〜100℃、としての2.8g(80%)の式2dの化合物を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3477cm−1、3144、1701、1674、1476、1401、1228、774、684。−1H NMR(250MHz,CD3OD):δ=4.98(br.s,4H,NH)、7.38〜7.49(m,2H)、7.64〜7.80(m,1H)。−13C NMR(62.9MHz,CD3OD):δ=118.2(d,2JC−F=9.2Hz,+)、118.8(d,2JC−F=3.2Hz,C(四重線))、126.6(+)、131.4(+)、136.8(+)、161.2(d,1JC−F=253.7Hz,C(四重線))、164.9(NCN)。
p−ベンジルオキシベンズアミジン塩酸(式2e参照):一般法Aを使用し、o−ベンジルオキシベンゾニトリル(2.09g、10.0mmol)と11mLの1MのLiHMDSとから、白色結晶、融点181〜182℃(文献値融点179〜180℃)(R.Pierre,B.Jean−Daniel,N.Emmanuel,D.Catherine,P.Francois,A.Marie−Luce,Eur.J.Med.Chem.1989,24,427〜434)、としての2.42g(92%)の式2eの化合物を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3317cm−1、3125、1677、1609、1486、1267、1190、1010、837、763。−1H NMR(250MHz,CD3OD):δ=4.92(br.s,4H,NH)、5.24(s,2H)、7.19〜7.28(m,2H)、7.32〜7.52(m,5H)7.79〜7.84(m,2H)。−13C NMR(75.5MHz,CD3OD):δ=71.4(−,OCH2)、116.7(+)、121.14(C(四重線))、128.7(+)、129.2(+)、129.6(+)、131.1(+)、137.6(Cipso)、164.9(Cipso)、168.4(NCN)。
一般法B:
o−フェニルベンズアミジン(式2f参照):40mLのトルエン中のNH4Cl(2.14g、40.0mmol)の懸濁液に、Me3Al(トルエン中2M、40mmol)を5℃で30分間かけて加える。次いで温度がRTになるまで放置し、撹拌をメタンの発生が止むまで(〜2h)続ける。MeAl(Cl)NH2のこの溶液に5mLのトルエン中のo−ビフェニルニトリル(2.86g、16mmol)を5分で加え、得られた溶液を20h還流する。冷却後、この粗反応混合物を100mLのジクロロメタン中の20gのSiO2の懸濁液に注ぎ、濾過し、固体残渣を2×50mLのMeOHで洗浄し、溶媒を、組み合わせた溶液から真空で除去する。この残渣を100mLの水に懸濁させ、30mLの2NのHClをそれに加え、酢酸エチル(2×50mL)で抽出する。その水層に60mLの2NのNaOHを加え、DCM(3×50mL)で抽出する。このDCM層をMgSO4で乾燥し、濾過して溶媒を真空で除去し、白色固体、融点148〜150℃(文献値融点149〜151℃[11e])としての1.83g(58%)の式2fの化合物を得た。−IR(KBr):ν(〜)=3408cm−1、3059、1674、1639、1600、1427、1199、744、701。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=5.4(br.s,3H,NH)、7.31〜7.55(m,9H)。−13C NMR(62.9MHz,[D6]DMSO):δ=127.3、128.1、128.3、128.6、129.2、136.2、137.5、139.0、140.5、165.9(NCN)。−MS(70eV)、m/z(%):196(10)[M+]、195(100)[M+−1]、178(31)、77(8)。
一般手順1(GP−1):
2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3参照):2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(式1参照)、2モルのそれぞれのアミジン(式2参照)および4モルのEt3Nの溶液を、無水のジオキサン中、室温で48h撹拌する。濾過後固体の残渣をDCM中に懸濁させ、水で洗浄する。水層をDCMで3回洗浄する。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥し、真空で蒸発させ、その粗生成物をカラムクロマトグラフィーにかける。
3−フェニル−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3a参照):GP−1により、25mLのジオキサン中の、式1の化合物(365mg、2.5mmol)、ベンズアミジン塩酸(式2a参照、793mg、5.00mmol)およびトリエチルアミン(1.01g、10mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.3、Et2O、1.5×30cm、30gのSiO2)にかけ、融点191℃の白色固体としての式3aの化合物411mg(83%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3008cm−1、2937、1670、1557、1498、1321、1082、838、766。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=3.01(t,J=3.2Hz,2H)、3.22(t,J=3.2Hz,2H)、7.47〜7.53(m,3H)、8.05〜8.2(m,2H)、12.54(br,s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=25.7(−)、33.7(−)、124.1(C−6)、127.6(+)、128.9(+)、131.7、(+)、132.5(Cipso)、158.6(C−1/C−3)、160.52(C−3/C−1)、171.9(C−5)。−MS(70eV)、m/z(%):198(100)[M+]、170(7)[M+−CH2CH2]、104(91)[HN=CPh+]、77(44)[Ph+]。−C12H10N2O(198.2):計算値:C 72.71,H 5.08,N 14.13;実測値:C 72.44,H 5.38,N 14.03。
3−(p−クロロフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3b参照):GP−1により、25mLのジオキサン中の、式1の化合物(365mg、2.5mmol)、p−クロロベンズアミジン塩酸(式2b参照、955mg、5.00mmol)およびトリエチルアミン(1.01g、10mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.31、DCM/MeOH=25:1、1.5×20cm、25gのSiO2)にかけ、融点218〜219℃の白色固体としての式3bの化合物455mg(78%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3078cm−1、2938、1668、1520、1491、1322、1092、1076、837、760。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=2.9(t,J=3.1Hz,2H)、3.15(t,J=3.1Hz,2H)、7.6(d,J=8.5Hz,2H)、8.05(d,J=8.5Hz,2H)。−13C NMR(62.9MHz,[D6]DMSO)、δ=25.1(−)、33.6(−)、126.1(C−6)、128.9(+)、129.8(+)、136.6(Cipso)、152.1(C−Cl)、158.2(C−1/C−3)、159.6(C−3/C−1)、171.5(C−5)。−MS(70eV)、m/z(%):234/232(33/100)[M+]、204(6)[M+−C2H4]、138/140(57/18)[HN=CC6H4Cl+]、111(15)[C5H4Cl+]。−C12H9ClN2O(232.7):計算値:C 61.95,H 3.90,N 12.04;実測値:C 61.63,H 3.78,N 11.83。
3−(o−ブロモフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3c参照):GP−1により、60mLのジオキサン中の、式1の化合物(1.1g、7.5mmol)、o−ブロモベンズアミジン塩酸(式2c参照、3.50g、15.00mmol)およびトリエチルアミン(3.03g、30mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.35、Et2O/MeOH=50:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけ、融点178〜179℃の白色固体としての式3cの化合物1.59g(76%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2925cm−1、2847、1662、1540、1472、1326、1089、778、762。−1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=3.0(t,J=4.2Hz,2H)、3.2(t,J=4.2Hz,2H)、7.3〜7.5(m,2H)、7.52〜7.7(m,2H)、11.0(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=25.4(−)、33.7(−)、120.9(C−6)、125.1(C−Br)、127.7(+)、130.9(+)、132.0(+)、133.7(+)、134.6(Cipso)、157.6(C−1/C−3)、160.3(C−3/C−1)、171.2(C−5)。−MS(70eV)、m/z(%):279/277(21/22)[M++1]、278/276(97/100)[M+]、184/182(41/42)[HNCC6H4Br+]、102(58)、95(79)。−C12H10BrN2O(277.1):計算値:C 52.01,H 3.27,N 10.11;実測値:C 51.92,H 3.37,N 9.94。
3−(o−フルオロフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3d参照):GP−1により、50mLのジオキサン中の、式1の化合物(730mg、5mmol)、o−フルオロベンズアミジン塩酸(式2d参照、1.75g、10.0mmol)およびトリエチルアミン(2.02g、20mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.5、Et2O/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけ、融点184〜185℃の白色固体としての式3dの化合物884mg(82%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3095cm−1、2976、2947、1668、1617、1532、1319、1223、1084、753。−1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=3.04(t,J=4.2Hz,2H)、3.25(t,J=4.2Hz,2H)、7.16〜7.42(m,2H)、7.48〜7.62(m,H)、7.91〜8.20−(m,1H)、10.22(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=25.4(−)、33.8(−)、116.6(+,d,2JC−F=22.9Hz)120.1(d,2JC−F=9.2Hz,Cipso)、125.0(+,d,3JC−F=3.5Hz)、130.9(+,d,4JC−F=1.5Hz)、133.6(+,d,3JC−F=9.2Hz)、156.7(C−1/C−3)、156.8(C−3/C−1)、160.2(d,1JC−F=251Hz)、171.0(C−5)。−MS(70eV)、m/z(%):217(17)[M++1]、216(100)[M+]、122(42)[HN=CC6H4F+]、102(20)、95(24)[C6H4F+]。−C12H10FN2O(116.2):計算値:C 66.66,H 4.20,N 12.96;実測値:C 66.50,H 4.28,N 13.03。
3−(p−ベンジルオキシフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3e参照):GP−1により、50mLのジオキサン中の、式1の化合物(660mg、4.5mmol)、p−ベンゾイルオキシベンズアミジン塩酸(式2e参照、2.4g、9.00mmol)およびトリエチルアミン(1.82g、18.0mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.34、DCM/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけ、融点212〜213℃の白色固体としての式3eの化合物930mg(68%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3088cm−1、2936、1664、1608、1504、1303、1252、1189、843、762。−1H NMR(300MHz,CDCl3):δ=3.01(t,J=3.8Hz,2H)、3.20(t,J=3.8Hz,2H)、5.15(s,2H,OCH2)、7.04〜7.12(m,2H)、7.30〜7.47(m,5H)、7.95〜8.22(m,2H)、11.48(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,[D6]DMSO):δ=24.6(−)、32.9(−)、69.4(−,OCH2)、114.7(+)、122.5(C−6)、124.9(Cipso)、127.6(+)、127.8(+)、128.4(+)、129.4(+)、136.5(Cipso)、156.7(Cipso)、159.9(C−1/C−3)、160.9(C−3/C−1)、169.9(C−5)。MS(70eV)、m/z(%):304(8)[M+]、91(100)[C7H7 +]。−C19H16N2O2(304.6):計算値:C 74.98,H 5.30,N 9.20;実測値:C 74.78,H 5.01,N 8.98。
3−(ビフェニル−2−イル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3f参照):GP−1により、25mLのジオキサン中の、式1の化合物(527mg、3.6mmol)、o−ビフェニルベンズアミジン塩酸(式2f参照、1.40g、7.20mmol)およびトリエチルアミン(1.44g、14.2mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.41、Et2O、1.5×20cm、20gのSiO2)にかけ、融点176〜177℃の白色固体としての式3fの化合物425mg(80%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2928cm−1、1675、1540、1478、1323、1088、976、745、698。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.92(t,J=4.2Hz,2H)、3.18(t,J=4.2Hz,2H)、7.22〜7.41(m,5H)、7.44〜7.78(m,4H)、9.22(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=25.0(−)33.5(−)、123.8(C−6)、127.7(+)、128.1(+)、128.8(+)、129.8(+)、130.7(+)、132.3(Cipso)、139.2(Cipso)、140.6(Cipso)、157.3(C−1/C−3)、161.9(C−3/C−1)、170.8(C−5)。−MS(70eV)、m/z(%):274(42)[M+]、273(100)[M+−1]、245(8)、178(11)。
3−メチルチオ−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3g参照):50mLの乾燥した反応フラスコ中で、25mLの無水ジオキサン中の2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(365mg、2.50mmol)、S−メチルイソチオ尿素ヘミ硫酸塩(式2g参照)(1.392g、5.00mmol)およびトリエチルアミン(1.52g、15.0mmol)を50℃で48h撹拌する。濾過後、固体の残渣をDCM(25mL)中に懸濁させ、水で洗浄する。その水層をDCM(2×25mL)で抽出する。溶媒を真空で除去した後、カラムクロマトグラフィー(Rf=0.3、DCM/MeOH=25:1、1.5×30cm、30gのSiO2)にかけて、融点215℃の白色固体としての式3gの化合物310mg(74%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2996cm−1、2928、1654、1541、1456、1396、1297、1189、922、751。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.58(s,3H,SMe)、2.95(t,J=3.1Hz,2H,CH2)、3.15(t,J=3.1Hz,2H,CH2)、11.5(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,[D6]DMSO):13.4(+)、24.9(−)、33.2(+)、120.4(C−6)、152.3(C−1/C−3)、156.6(C−3/C−1)、164.98(C−5)。−MS(70eV)、m/z(%):169(12)[M++1]、168(100)[M+]、121(14)[M+−SMe]、93(22)、74(16)。−C7H8N2OS(168.2):計算値:C 49.98,H 4.79,N 16.65;実測値:C 49.66,H 5.14,N 16.50。
一般手順2(GP−2):
6−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5参照):密閉したパイレックス管中で、1当量の2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オンを4当量のフェニルビニルスルホンと共に175℃で12h撹拌する。その混合物をそのまま放置して室温まで冷却し、DCM/MeOH(10:1)に溶解してカラムクロマトグラフィーにかける。
6−ベンゼンスルホニル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5a参照):GP−2により、3−フェニル−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3a参照、198mg、1.00mmol)およびフェニルビニルスルホン(670mg、4.00mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.41、Et2O/MeOH=25:1、1×30cm、25gのSiO2)にかけて、融点>250℃の白色固体としての式4bの化合物303mg(81%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2931cm−1、1637、1551、1316、1146、1085、699。−1H NMR(200MHz,[D6]DMSO):δ=1.60〜1.83(m,1H)、2.10〜2.30(m,1H)、2.30〜2.45(m,1H)、2.65〜2.82(m,3H)、3.6〜3.8[m,1H,C(6)−H]、7.4〜7.6(m,3H)、7.60〜7.85(m,3H)、7.85〜8.10(m,4H)、12.6(br,s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,[D6]DMSO):δ=21.1(−)、21.7(−)、29.8(−)、57.4(+,C−6)、115.9(C−4a)、127.5(+)、128.5(+)、128.5(+)、129.5(+)、131.3(+)、132.2(Cipso)、134.1(+)、136.9(Cipso)、153.9(C−8a)、159.0(C−2/C−4)、162.5(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):366(2)[M+]、225(24)[M+−SO2Ph]、224(100)[M+−SO2Ph−H]、180(8)、104(12)、77(18)[Ph+]。−C20H18N2O3S(366.5):計算値:C 65.56,H 4.95,N 7.64;実測値:C 65.89,H 4.86,N 7.49。
6−ベンゼンスルホニル−2−(p−クロロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5b参照):GP−2により、3−(p−クロロフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3b参照、400mg、1.70mmol)およびフェニルビニルスルホン(1.15g、6.80mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.41、DCM/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけて、融点>250℃の白色固体としての式4bの化合物410mg(59%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3067cm−1、2946、1655、1548、1506、1321、1146、1087、842、749、689。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=1.68〜1.80(m,1H)、2.20〜2.75(m,5H)、3.60〜3.71[m,1H,C(6)−H]、7.52〜7.62(m,2H)、7.71〜7.80(m,3H)、7.85〜7.97(m,2H)、8.02〜8.11(m,2H)。−13C NMR(63.9MHz,[D6]DMSO):δ=21.5(−)、22.0(−)、30.0()、57.5(+,C−6)、117.0(C−4a)、128.8(+)、128.9(+)、129.5(+)、129.8(+)、131.0(C−Cl)、134.4(+)、136.6(Cipso)、137.1(Cipso)、153.1(C−8a)、159.6(C−2/C−4)、162.5(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):400(1)[M+]、261/259(10/36)[M+−SO2Ph]、260/258(32/100)[M+−HSO2Ph]、140/138(5/13)[HN=CC6H4Cl+]。
6−ベンゼンスルホニル−2−(o−ブロモフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5c参照):GP−2により、3−(o−ブロモフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3c参照、1.10g、3.60mmol)およびフェニルビニルスルホン(2.32g、12.0mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.43、Et2O/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけて、融点221〜222℃の白色固体としての式5cの化合物683mg(43%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3064cm−1、2932、1653、1604、1544、1447、1301、1147、1084、764、690。−1H NMR(300MHz,CDCl3):δ=1.80〜2.01(m,1H)、2.42〜3.01[m,1H,C(6)−H]、7.35〜7.45(m,2H)、7.53〜7.75(m,5H)、7.95〜8.01(m,2H)、11.04(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=21.5(−)、22.1(−)、30.6(−)、58.6(+,C−6)、117.6(C−4a)、120.9(C−Br)、127.8(+)、129.0(+)、129.3(+)、130.9(+)、132.1(4.)、133.6(+)、134.0(+)、134.6(Cipso)、136.8(Cipso)、154.3(C−8a)、160.3(C−2/C−4)、162.4(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):446/444(1/1)[M+]、318/316(9/10)、304/302(95/100)[M+−HSO2Ph]、260/258(11/11)141(18)[PhSO2 +]、77(52)[Ph+]。−C20H17BrN2O3S(445.3):計算値:C 53.93,H 3.85,N 6.29;実測値:C 54.22,H 3.71,N 6.34。
6−ベンゼンスルホニル−2−(o−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5d参照):GP−2により、3−(o−フルオロフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3d参照、648mg、3mmol)およびフェニルビニルスルホン(2.01g、12.0mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.45、Et2O/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけて、融点201〜202℃の白色固体としての式5dの化合物881mg(70%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3073cm−1、2941、1672、1603、1558、1449、1308、1146、1084、779、689。−1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=1.81〜2.12(m,1H)、2.48〜3.11(m,5H)、3.22〜3.40[m,1H,C(6)−H]、7.10〜7.38(m,3H)、7.50〜7.81(m,4H)、7.95〜8.20(m,2H)、10.67(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=21.4(−)、22.3(−)、30.7(−)、59.0(+)、116.6(+,d,2JC−F=22.9Hz)、117.7(C−4a)、119.4(d,2JC−F=9.2Hz,Cipso)、125.1(+,d,3JC−F=3.1Hz)、129.0(+)、129.3(+)、131.0(+,d,4JC−F=1.1Hz)、133.7(+,d,3JC−F=9.2Hz)、133.9(+)、136.8(Cipso)、150.5(d,3JC−F=1.5Hz)、160.1(C−2)、160.5(d,1JC−F=250.6Hz,C−F)、163.0(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):384(1)[M+]、243(23)[M+−SO2Ph]、242(100)[M+−HSO2Ph]、122(16)、77(22)[Ph+]。−C20H10FN2O3S(384.4):計算値:C 62.49,H 4.46,N 7.29;実測値:C 62.30,H 4.30,N 7.11。
6−ベンゼンスルホニル−2−[(p−ベンジルオキシ)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5e参照):GP−2により、3−(p−ベンジルオキシフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3e参照、652mg、2.1mmol)およびフェニルビニルスルホン(2.43g、8.50mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.40、DCM/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけて、融点>250℃の白色固体としての式5eの化合物670mg(66%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3072cm−1、2939、1649、1607、1547、1516、1304、1259、1144、1085、837、742、687。−1H NMR(300MHz,[D6]DMSO):δ=1.71〜1.84(m,1H)、2.18〜2.31(m,1H)、2.40〜2.58(m,1H)、2.64〜2.78(m,3H)、3.55〜3.73[m,1H,C(6)−H]、5.21(s,2H)、7.05〜7.12(m,2H)、7.31〜7.48(m,5H)、7.64〜7.8(m,3H)、7.90〜7.98(m,2H)、8.04〜8.11(m,2H)、12.15(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,[D6]DMSO):δ=21.1(−)、22.0(−)、29.7(−)、57.4(+)、69.3(−)、114.7(+)、114.9(C−4a)、124.3(Cipso)、127.6(+)、127.8(+)、128.4(+)、128.4(+)、129.2(+)、129.5(+)、134.0(+)、136.5(Cipso)、136.9(Cipso)、153.8(C−8a)、160.8(C−2/C−4)、162.5,(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):472(2)[M+]、330(49)[M+−SO2Ph]、91(100)[C7H7 +]。−C27H24N2O4S(472.6):計算値:C 68.63,H 5.12,N 5.93;実測値:C 68.80,H 5.04,N 6.08。
6−ベンゼンスルホニル−2−(o−ビフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5f参照):GP−2により、3−(o−ビフェニル)−2,4−ジアザビシクロ[4.2.0]オクタ−1(6),2−ジエン−5−オン(式3f参照、501mg、1.83mmol)およびフェニルビニルスルホン(1.23g、7.32mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.31、Et2O/MeOH=25:1、3×30cm、50gのSiO2)にかけて、融点194〜195℃の白色固体としての式5fの化合物522mg(65%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3059cm−1、3059、2933、1647、1546、1447、1320、1302、1145、1085、742、688。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.82〜1.95(m,1H)、2.42〜2.95(m,5H)、3.21〜3.31[m,1H,C(6)−H]、7.20〜7.39(m,5H)、7.42〜7.78(m,7H)、7.90〜8.02(m,2H)、9.1(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=21.3(−)、22.1(−)、30.5(−)、59.1(+)、116.5(C−4a)、127.7(+)、128.1(+)、128.4(+)、128.9(+)、129.0(+)、130.0(+)、130.9(+)、131.0(+)、131.7(+)、133.9(Cipso)、136.9(Cipso)、139.2(Cipso)、140.7(Cipso)、155.7(C−8a)、160.1(C−2/C−4)、162.0(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):442(4)[M+]、300(100)[M+−SO2Ph]、180(16)、122(17)。−C26H22N2O3S(442.5):計算値:C 70.57,H 5.01,N 6.33;実測値:C 70.53,H 4.98,N 6.04。
6−ベンゼンスルホニル−2−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5g参照):GP−2により、式3gの化合物(168mg、1.00mmol)およびフェニルビニルスルホン(672g、7.32mmol)から得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.41、DCM/MeOH=25:1、1.5×20cm、25gのSiO2)にかけて、融点>250℃の白色固体としての式5fの化合物189mg(56%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3059cm−1、2918、2847、1644、1576、1448、1315、1150、1088、723、689。−1H NMR(200MHz,[D6]DMSO):δ=1.57〜1.79(m,1H)、2.11〜2.38(m,3H)、2.43(s,3H)、2.58〜2.70(m,2H)、3.52〜3.73[m,1H,C(6)−H]、7.60〜7.81(m,3H)、7.85〜7.95(m,2H)、12.56(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,[D6]DMSO):δ=12.5(+)、21.0(−)、21.4(−)、29.8(−)、57.3(+)、117.2(C−4a)、128.4(+)、129.5(+)、134.0(+)、136.9(Cipso)154.3(C−8a)、159.8(C−2/C−4)、162.7(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):336(2)[M+]、195(18)、194(100)[M+−SO2Ph]、−C15H16N2O3S2(336.4):計算値:C 53.55,H 4.79,N 8.33;実測値:C 53.56,H 4.52,N 8.20。
一般手順3(GP−3)
2−アリール−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6参照):THF中の式5のスルホンの懸濁液に、3当量のKOtBuを加え、得られた溶液を室温で2h撹拌し、NH4Clの飽和水溶液(10mL)と共に分液ロートに注ぎ、DCM(3×20mL)で抽出する。その有機層をMgSO4上で乾燥し、溶媒を真空中で除去し、式6の化合物を得て、それをさらに精製することなく次の反応で使用する。
2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6a参照):GP−3により、式5aのスルホン(366mg、1.00mmol)とKOtBu(336mg、3.00mmol)とから、Rf=0.5(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で、融点241℃の淡黄色固体としての式6aの化合物210mg(96%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3032cm−1、2932、1653、1505、1317、930、718。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.42〜2.58[m,2H,C(7)−H]、2.89[t,J=9.6Hz,2H,C(8)−H]、6.04[dt,J=9.7および4.3Hz,1H,C(6)−H]、6.73[dt,J=9.7および1.8Hz,1H,C(5)−H]、7.48〜7.56(m,3H)、8.14〜8.22(m,2H)、12.58(br.s,1H,NH)。−13C NMR−(62.9MHz,CDCl3):δ=22.7(−)、29.6(−)、117.2(C−4a)、119.5(+,C−5)、127.4(+)、127.6(+)、128.9(+)、131.7(+,C−6)、132.1(Cipso)、154.6(C−8a)、161.4(C−2/C−4)、161.9(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):224(100)[M+]、223(98)、180(19)[M+−CONH2]、104(14)[PhCNH+]、77(20)[Ph+]。−C14H12N2O(224.3):計算値:C 74.98,H 5.39,N 12.55;実測値:C 74.71,H 5.31,N 12.31。
2−(p−クロロフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6b参照):GP−3により、式5bのスルホン(200mg、0.50mmol)とKOtBu(168mg、1.50mmol)とから、Rf=0.48(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で、融点>250℃の淡黄色固体としての式6bの化合物123mg(95%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3029cm−1、2934、1652、1504、1389、1176、1091、738。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.42〜2.56[m,2H,C(7)−H]、2.87[t,J=9.6Hz,2H,C(8)−H]、6.06[dt,J=9.5および4.3Hz,1H,C(6)−H]、6.71[dt,J=9.5および1.8Hz,1H,C(5)−H]、7.48〜7.56(m,2H)、8.16〜8.27(m,2H)、13.1(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=22.3(−)、28.7(−)、116.8(C−4a)、119.6(+,C−5)、127.7(+)、128.9(+)、129.5(+)、131.7(+,C−6)、136.5(Cipso)、153.3(C−8a)、159.6(C−2/C−4)、162.5(C−4/C−2)。−MS(70eV)m/z(%):260/258(32/100)[M+]、259/257(40/98)[M+−H]、216/214(28/8)、104(14)、77(20)[Ph+]。−C14H11ClN2O(258.7):計算値:C 65.00,H 4.29,N 10.83;実測値:C 64.93,H 4.08,N 10.99。
2−(o−ブロモフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6c参照):GP−3により、式5cのスルホン(400mg、0.90mmol)とKOtBu(302mg、2.70mmol)とから、Rf=0.55(Et2O)で、融点202℃の淡黄色固体としての式6cの化合物285mg(94%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3035cm−1、2836、1665、1491、1324、1183、928、767、735。−1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=2.15〜2.30[m,2H,C(7)−H]、2.85[t,J=9.1Hz,2H,C(8)−H]、6.04[dt,J=9.6および4.4Hz,1H,C(6)−H]、6.59[dt,J=9,6および1.7Hz,1H,C(5)−H]、7.28〜7.81(m,4H)、11.55(br.s,1H,N−H)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=22.5(−)、29.0(−)、118.0(C−8a)、119.3(+,C−5)、121.1(C−Br)、127.7(+,C−6)、127.9(+)、131.1(+)、131.8(+)、133.7(+)、134.3(Cipso)、154.4(C−8a)、160.6(C−2/C−4)、160.6(C−4/C−2)、−MS(70eV)、m/z(%):304/302(96/100)[M+]、203/301(98/80)、259/257(24/26)、102(28)。−C14H11BrN2O(303.2):計算値:C 55.47,H 3.66,N 9.24;実測値:C 55.22,H 3.70,N 9.03。
2−(o−フルオロフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6d参照):GP−3により、式5dのスルホン(384mg、1.00mmol)とKOtBu(336mg、3.00mmol)とから、Rf=0.51(Et2O)で、融点191℃の淡黄色固体としての式6dの化合物223mg(92%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3043cm−1、2934、2886、1653、1559、1327、1220、1181、1122、774。−1H NMR(250MHz,CDCl3):=2.38〜2.52[m,2H,C(7)−H]、2.85[t,J=9.3Hz,2H,C(8)−H]、5.98[dt,3J=9.5および4.4Hz,1H,C(6)−H]、6.61[dt,J=9.5および1.7Hz,1H,C(5)−H]、7.12〜7.35(m,2H)、7.41〜7.54(m,1H)、7.98〜8.12(m,1H)、11.51(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=22.5(−)、29.0(−)、116.5(+,d,2JC−F=22.7Hz)、118.0(C−4a)、119.4(+,C−5)、120.1(C(四重線),d,2JC−F=9.0Hz)、124.8(+,d,3JC−F=3.1Hz)、127.8(+,C−6)、130.9(+)、133.3(+,d,3JC−F=9.2Hz)、134.5(Cipso)、155.3(C(四重線),d,1JC−F 250.6Hz)、157.5(C−8a)、158.4(C−2/C−4)、162.4(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):242(100)[M+]、241(85)、198(24)、102(12)。−C14H11FN2O(242.3):計算値:C 69.41,H 4.58,N 11.56;実測値:C 69.22,H 4.83,N 11.45。
2−(p−ベンゾイルオキシフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6e参照):GP−3により、式5dのスルホン(400mg、0.85mmol)とKOtBu(285mg、2.50mmol)とから、Rf=0.62(CH2Cl2/MeOH=25/1)で、融点247℃の淡黄色固体としての式6eの化合物258mg(92%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3032cm−1、2943、1646、1606、1512、1305、999、753、677。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.40〜2.58(m,2H)、2.85[t,J=9.1Hz,2H,C(8)−H]、5.15(s,2H)、6.01[dt,J=9.6および4.4Hz,1H,C(6)−H]、6.7[dt,J=9.6および1.7Hz,1H,C(5)−H]、7.02〜7.18(m,2H)、7.30〜7.62(m,5H)、8.06〜8.22(m,2H)、12.23(br.s,1H,NH)。−13C NMR(75.5MHz,CDCl3):δ=22.7(−)、28.6(−)、69.4(−)、114.8(C−4a)、119.5(+,C−5)、126.34(+,C−6)、127.7(+)、127.9(+)、128.4(+)、129.2(+)、131.5(Cipso)、136.5(Cipso)、140.8(Cipso)、155.9(C−8a)、159.9(C−2/C−4)、160.9(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):330(55)[M+]、239(8)、91(100)[C7H7 +]。
2−(o−ビフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6f参照):GP−3により、式5fのスルホン(300mg、0.68mmol)とKOtBu(224mg、2.00mmol)とから、Rf=0.55(Et2O)で、融点193℃の淡黄色固体としての式6fの化合物177mg(87%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3070cm−1、2936、1634、1549、1507、1321、1165、979、699。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.38〜2.51[m,2H,C(7)−H]、2.88[t,J=9.2Hz,2H,C(8)−H]、5.98[dt,J=9.5および4.4Hz,1H,C(6)−H]、6.57[dt,J=9.5および1.7Hz,1H,C(5)−H]、7.22〜7.36(m,5H)、7.44〜7.62(m,3H)、7.76〜7.82(m,1H)9.51(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=22.5(−)、38.7(−)、117.2(C−4a)、119.3(+,C−5)、127.8(+,C−6)、127.9(+)、128.6(+)、129.1(+)、130.2(+)、130.9(+)、131.1(+)、131.5(Cipso)、139.1(Cipso)、140.8(Cipso)、155.8(C−8a)、159.8(C−2/C−4)、160.0(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):301(28)[M++1]、300(100)[M+]、299(40)、180(38)、122(43)、77(78)。−C14H11ClN2O(300.4):計算値:C 79.98,H 5.37,N 9.33;実測値:C 79.64,H 5.24,N 9.57。
2−メチルチオ−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式6g参照):GP−3により、式5gのスルホン(336mg、1.00mmol)とKOtBu(336mg、3.00mmol)とから、Rf=0.45(Et2O)で、融点214℃の淡黄色固体としての式6gの化合物181mg(98%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2922cm−1、2836、1641、1623、1540、1271、1138、1203、943。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.38〜2.49[m,2H,C(7)−H]、2.60(s,3H)、2.76[t,J=9.3Hz,2H,C(8)−H]、5.98[dt,J=9.7および4.3Hz,1H,C(6)−H]、6.61[dt,J=9.および1.8Hz,1H,C(5)−H]、12.9(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=13.3(+)、22.4(−)、29.4(−)、114.6(C−4a)、119.3(+,C−5)、126.0(+,C−6)、157.0(C−8a)、161.2(C−2/C−4)、162.2(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):194(100)[M+]、147(12)、121(16)、92(14)。−C9H10N2OS(194.3):計算値:C 55.65,H 5.19,N 14.42;実測値:C 55.39,H 5.32,N 14.16。
一般手順4(GP−4):
2−アリール−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7参照):50mLの窒素を吹き込んだ火炎乾燥したフラスコ中に、Pd/C(10%Pd w/w)を加え、続いて10mLのMeOHを加える。この混合物を、H2下で30分間撹拌し、その時点で式6の化合物のMeOH中の溶液を注射器から加え、反応が完了するまで撹拌を継続する。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、溶媒を真空中で除去し、白色固体としての式7の化合物を得る。
2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7a参照):GP−4により、20mLのMeOH中の、式6a(224mg、1.00mmol)と10mgのPd/Cとから4h後に得られた粗反応混合物によって、融点224℃の式7aの化合物206mg(91%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=2934cm−1、2848、1634、1550、1319、1165、979、698。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.75〜1.91(m,4H)、2.50〜2.65(m,2H)、2.71〜2.78(m,2H)、7.40〜7.58(m,3H)、8.11〜8.22(m,2H)、12.38(br.s,1H,NH)。−13C(62.9MHz,CDCl3):δ=21.8(−)、21.9(−)、22.3(−)、31.9(−)、120.2 C−4a()、127.5(+)、128.8(+)、131.4(+)、132.5(Cipso)、153.2(C−8a)、162.5(C−2/C−4)、164.5(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):227(19)[M++1]、226(100)[M+]、225(51)、211(31)、198(10)、104(21)。−C14H14N2O(226.3):計算値:C 74.31,H 6.24,N 12.38;実測値:C 74.34,H 6.55,N 12.29。
2−(p−クロロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7b参照):GP−4により、10mLのAcOH中の、式6b(51.6mg、0.20mmol)と20mgのPd/Cとから8h後に得られた粗反応混合物によって、式7bの固体で融点=255℃の化合物49mg(94%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=3070cm−1、2936、1634、1549、1507、1321、1014、929、699。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.74〜1.93(m,4H)、2.50〜2.62(m,2H)、2.66〜2.79(m,2H)、7.42〜7.58(m,2H)、8.13〜8.24(m,2H)、12.92(br.s,1H,NH)。−13C(62.9MHz,CDCl3):δ=21.8、(−)、21.9(−)、22.4(−)、32.0(−)、120.4(C−4a)、127.4(+)、128.9(+)、129.0(Cipso)、131.4(C−Cl)、157.5(C−2/C−8a)、157.6(C−8a/C−2)、162.5(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):262/260(16/51)[M+]、226(100)[M+−C1+1]、225(52)[M+−Cl]、211(37)、104(32)、77(26)。
2−(o−ブロモフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7c参照):GP−4により、20mLのMeOH中の、式6c(100mg、0.33mmol)と20mgのPd/C(10重量%)とから4h後に得られた生の反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、溶媒を真空中で除去し、融点が193℃の白色固体としての式7bの化合物93mg(92%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3035cm−1、2944、1648、1559、1319、1227、1031、977、927、760、728。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.72〜1.91(m,4H)、2.38〜2.51(m,2H)、2.60〜2.78(m,2H)、7.28〜7.42(m,2H)、7.51〜7.68(m,2H)、12.12(br.s,1H,NH)。−13C(62.9MHz,CDCl3):δ=21.5(−)、21.8(−)、22.1(−)、31.6(−)、121.1(C−4a)、127.6(+)、131.0(+)、131.7(+)、133.4(+)、134.6(Cipso)、156.2(C−8a)、161.8(C−2)、163.6(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):304/306(100/95)[M+]、289/291(28/27)、225(11)[M+−Br]。−C14H13BrN2O(305.2):計算値:C 55.10,H 4.29,N 9.18;実測値:C 55.32,H 4.14,N 8.97。
2−(o−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7d参照):GP−4により、20mLのMeOH中の、式6d(100mg、0.41mmol)と20mgのPd/Cとから4h後に得られた粗反応混合物によって、式7dの融点170℃の化合物93mg(92%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=3026cm−1、2952、1647、1564、1327、1233、1163、979、928、761。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.66〜1.92(m,4H)、2.49〜2.61(m,2H)、2.63〜2.74(m,2H)、7.16〜7.34(m,2H)、7.22〜7.58(m,1H)、8.14〜8.25(m,1H)、10.2(br.s,1H,NH)。−13C(62.9MHz,CDCl3):δ=21.6、(−)、21.9(−)、22.2(−)、31.7(−)、116.4(+,d,2JC−F=22.9Hz)、120.3(C(四重線),d,2JC−F=9.2Hz)、121.2(C−4a)、124.8(+,d,3JC−F=3.1Hz)、130.9(+)、132.5(+,d,3JC−F=9.2Hz)、154.0(C(四重線),d,1JC−F=250.6Hz)、161.5(C−8a)、162.4(C−2/C−4)、162.7(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):244(100)[M+]、243(48)、229(28)、122(16)。−C14H13FN2O(244.3):計算値:C 68.84,H 5.56,N 11.47;実測値:C 69.09,H 5.21,N 11.61。
2−[(p−ベンゾイルオキシ)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7e参照):GP−4により、10mLのAcOH中の、式6e(165mg、0.50mmol)と25mgのPd/Cとから8h後に得られた粗反応混合物によって、融点>250℃の式7eの化合物113mg(93%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=3430cm−1、2940、1641、1515、1324、1289、1182、1113、932、847、768。−1H NMR(300MHz,[D6]DMSO):δ=1.61〜1.80(m,4H)、2.31〜2.41(m,2H)、2.54〜2.61(m,2H)、6.78〜6.89(d,J=8.3Hz,2H)、7.88〜7.99(d,J=8.3Hz,2H)、10.6(br.s,1H,NH)。−13C(75.5MHz,[D6)DMSO):δ=21.5,(−)、21.6(−)、21.9(−)、31.1(−)、115,2(C−4a)、117.8(C(四重線))、122.8(Cipso)、129.1(+)、153.0(C−8a)、160.5(C−2/C−4)、162.9(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):242(100)[M+]、241(44)、227(27)、120(31)。
2−(o−ビフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式7f参照):GP−4により、20mLのMeOH中の、式6f(120mg、0.4mmol)と10mgのPd/Cとから4h後に得られた粗反応混合物によって、融点190℃の式7fの化合物112mg(93%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=3027cm−1、2936、1643、1566、1324、1225、1170、978、764。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.66〜1.84(m,4H)、2.38〜2.48(m,2H)、2.57〜2.66(m,2H)、7.21〜7.42(m,5H)、7.48〜7.61(m,2H)、7.72〜7.79(m,2H)、11.1(br.s,1H,NH)。−13C(62.9MHz,CDCl3):δ=21.6(−)、21.7(−)、22.1(−)、31.6(−)、119.9(C−4a)、127.3(+)、127.4(+)、128.1(+)、128.3(+)、129.0(+)、130.0(+)、130.7(+)、132.1(Cipso)、139.5(+)、140.7(Cipso)、156.1(C−8a)、161.5(C−2/C−4)、163.3(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):302(72)[M+]、301(35)、180(58)、124(100)。−C22H18N2O(302.4):計算値:C 79.44,H 6.00,N 9.26;実測値:C 79.89,H 5.68,N 9.49。
ワンポット合成
6−ベンゼンスルホニル−2−フェニルテトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式5a参照)のワンポット合成:10mLのパイレックス瓶に2−クロロ−2−シクロプロピリデン酢酸メチル(式1参照)(147mg、1mmol)、ベンズアミジン塩酸(式2a参照)(313mg、2mmol)およびトリエチルアミン(405mg、4mmol)を充填し、5mLのジオキサン中、RTで2dにわたって撹拌し、その時点でフェニルビニルスルホン(672mg、4mmol)を加え、瓶を密閉して175℃で15h加熱する。冷却後、その反応混合物から溶媒を除去し、それをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:2)にかけ、白色固体としての式5aの化合物157mg(43%)を得る。上と同じ方法を用いて、式5dの化合物177mg(46%)を、1(147mg、1mmol)、o−フルオロベンズアミジン塩酸(式2d参照)(349mg、2mmol)、トリエチルアミン(405mg、4mmol)およびフェニルビニルスルホン(672mg、4mmol)から得る。
6−ベンゼンスルホニル−4−オキソ−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(H)−3−カルボン酸t−ブチルエステル(式5a−Boc参照):10mLのTHF中の式5aの化合物(183.2mg、0.50mmol)の懸濁液に、(Boc)2O(218.3mg、1.0mmol)、Et3N(50.6mg、0.5mmol)およびDMAP(122.2mg、0.5mmol)を室温で加え、得られた溶液を2h撹拌する。この反応混合物を25mLのDCMで希釈し、10mLの1NのHClで洗浄する。有機層を分離し、水層をDCM(2×20mL)で抽出する。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥し、溶媒を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.5、ヘキサン/EE=2:1、1×20cm、「フラッシュ法」SiO2)により精製して融点153℃の白色固体としての生成物191mg(82%)を得る。−1R(KBr):ν(〜)=3066cm−1、2985、1752、1595、1421、1249、1146。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.62(s,9H)、1.84〜2.04(m,1H)、2.40〜2.56(m,1H)、2.79〜3.25(m,4H)、3.31〜3.44[m,1H,C(6)−H]、7.42〜7.51(m,3H)、7.58〜7.78(m,3H)、7.95〜8.02(m,2H)、8.28〜8.39(m,2H)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3);δ=21.8(−)、22.0(−)、27.5(+)、31.0(−)、58.9(+)、85.2(C(四重線))、114.5(C−4a)、128.2(+)、128.4(+)、129.0(+)、129.4(+)、130.6(+)、134.2(Cipso)、136.4(+)、136.5(Cipso)、148.9(C−8a)、162.6(C−2/C−4)、163.4(C−4/C−2)167.0(C=O)。−MS(70eV)、m/z(%):466(1)[M+]、225(20)、224(100)[M+−SO2Ph−Boc−H]、57(16)。
6−ベンゼンスルホニル−8−メチル−4−オキソ−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(H)−3−カルボン酸t−ブチルエステル(式8参照):10mLのTHF中の式5a−Bocの化合物(233mg、0.5mmol)の溶液に、nBuLi(0.24mL、ヘキサン中2.45M)を−78℃で15分間にわたって加える。暗赤色の溶液を、この温度で15分間撹拌し、その時点で1mLのTHF中のMeI(92.3mg、0.65mmol)を加え、冷却浴を除去し、室温で撹拌を2時間継続する。その反応混合物を10mLのNH4Cl飽和水溶液を含有する分液ロートに注ぎ、Et2O(3×15mL)で抽出する。合わせた有機溶液をMgSO4上で乾燥する。溶媒を除去し、その後のカラムクロマトグラフィー(Rf=0.55、ヘキサン/EE=2:1、1×20cm、「フラッシュ法」SiO2)により融点98℃の白色固体としての表題生成物66mg(28%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3029cm−1、2981、1762、1540、1410、1243、1148、856。−1H NMR(300MHz,CDCl3):δ=1.35(d,J=7.3Hz,3H)、1.58(s,9H)2.04〜2.32(m,2H)、2.75〜3.12(m,2H)、3.25〜3.39(m,1H)、3.40〜3.52[m,1H,C(6)−H]、7.38〜7.46(m,3H)、7.58〜7.77(m,3H)、7.92〜7.98(m,2H)、8.30〜8.39(m,2H)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=21.6(+)、22.2(−)、27.9(+)、28.4(−)、34.8(+)、55.8(+)、85.4(C(四重線))、114.0(C−4a)、128.1(+)、128.3(+)、129.1(+)、129.5(+)、131.2(+)、134.2(+)、136.4(Cipso)、149.2(C−8a)、162.5(C−2/C−4)、163.4(C−4/C−2)171.4(C=O)。−MS(DCI,70eV)、m/z(%):498(5)[M++NH4]、481(100)[M++H]、381(79)、341(82)。
6−ベンゼンスルホニル−2−フェニル−4−トリメチルシリルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン(式5a−TMS参照):25mLの乾燥した反応フラスコ中に、15mlのHMDS中の式5fの化合物(1.6g、4.4mmol)を20mgの(NH4)2SO4と共に加える。この反応混合物を15h還流させる。冷却後、HMDSを真空中で除去し、反応混合物を20mLのジクロロメタンで希釈し、5mLの水で洗浄し、MgSO4上で乾燥する。溶媒の除去によって、融点>250℃の白色固体としての式8の化合物1.91g(99%)を得る。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=0.45(s,9H)、1.80〜1.98(m,1H)、2.35〜2.51(m,1H)、2.75〜2.87(m,2H)、3.02〜3.21(m,2H)、3.25〜3.41(m,1H)、7.18〜7.32(m,3H)、7.58〜7.75(m,3H)、7.95〜8.03(m,2H)、8.25〜8.36(m,2H)。−13C(62.9MHz,CDCl3):δ=0.31(+)、21.86(−)、22.23(−)、30.81(−)、59.5(+)、112.3(C−4a)、127.3(+)、127.8(+)、128.4(+)、128.9(+)、129.0(+)、130.2(+)、134.0(+)、136.8(Cipso)、137.5(Cipso)、161.4(C−8a)、164.1(C−2/C−4)、166.4(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):438(2)[M+]、296(100)[M+−SO2Ph]、281(23)[M+−SO2Ph−Me]、247(63)、175(25)。
6−ベンゼンスルホニル−6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式9a参照):15mLのTHF中の式8のスルホン(439mg、1mmol)の冷却した溶液に、nBuLi(ヘキサン中1.77M、0.62mL)を−78℃で15分間かけて加える。得られた混合物をさらに15分間撹拌し、その時点で1mlのTHF中のCH3I(156mg、1.1mmol)を加え、冷却浴を除去し、RTで撹拌を2h続ける。その反応混合物を10mLのNH4Cl飽和水溶液を含有する分液ロートに注ぎ、DCM(3×15mL)で抽出する。溶媒を除去し、その後のカラムクロマトグラフィー(Rf=0.32、DCM/MeOH=25:1、1.5×30cm、25gのSiO2)により融点>250℃の白色固体としての式9aの化合物315mg(83%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3057cm−1、2943、1644、1553、1447、1300、1153、1088、701。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=1.22(s,3H)、1.84〜2.51(m,2H)、2.62〜2.83(m,3H)、7.38〜7.60(m,3H)、7.63〜8.10(m,7H)。−13C NMR(62.9MHz,[D6)DMSO):δ=18.1(+)、26.2(−)、27.8(−)、28.1(−)、60.4(C(四重線))、115.7(C−4a)、127.8(+)、128.8(+)、129.6(+)、130.5(+)、132.4(+)、134.6(Cipso)、154.1(C−8a)、158.4(C−2)、164.2(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):380(1)[M+],238(100)[M+−SO2Ph]、77(30)。−C21H20N2O3S(380.5):計算値:C 66.30,H 5.30,N 7.36;実測値:C 66.13,H 5.60,N 7.61。
6−ベンゼンスルホニル−6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式9b参照):上で示した方法による式8の化合物(439mg、1mmol)、nBuLi(1.77M、0.62mL)およびEtBr(119mg、1.1mmol)から得られた粗混合物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.38、DCM/MeOH=25:1、1.5×30cm、25gのSiO2)にかけ、融点242℃の白色固体としての式9bの化合物339mg(86%)を産出する。−IR(KBr):u=3065cm−1、2941、1644、1554、1447、1301、1151、1079、763、692。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=1.11(t,J=7.3,3H)、1.62〜1.81(m,2H)、2.12〜2.44(m,3H)、2.71〜3.02(m,3H)、7.41〜7.74(m,6H)、7.91〜8.21(m,4H)、12.7(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,[D6]DMSO):δ=8.6(+)、23.3(−)、24.4(−)、28.4(−)、28.8(−)、67.9(C(四重線))、116.2(C−4a)、127.5(+)、128.8(+)、129.0(+)、130.1(+)、131.8(+)、133.8(Cipso)、135.7(+)、153.9(C−8a)、160.7(C−2/C−4)、164.4(C−4/C−2)−MS(70eV)、m/z(%):394(1)[M+]、253(52)[M+−SO2Ph]、252(100)[M+−SO2Ph−H]、237(14)、211(15)、104(11)。
6−メチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式11a参照):GP−3により、式9aのスルホン(265mg、0.7mmol)とKOtBu(235mg、2.1mmol)とから、Rf=0.6(ヘキサン/EE=1:2)で、融点218℃の淡黄色固体としての式11aの化合物160mg(96%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3031cm−1、2924、1636、1506、1436、1314、1182、932、772、699。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.96(s,3H)、2.39[t,J=9.1Hz,2H,C(7)−H]、2.89[t,J=9.1Hz,2H,C(8)−H]、6.46[s,1H,C(5)−H]、7.42〜7.61(m,3H)、8.18〜8.36(m,2H)、13.3(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=23.4(+)、28.3(−)、29.9(−)、114.3(+,C−5)、117.8(C−4a)、127.5(+)、128.8(+)、131.3(+)、132.3(Cipso)、137.7(+,C−6)、153.4(C−8a)、159.4(C−2/C−4)、161.9(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):238(100)[M+]237(38)、223(50)[M+−Me]、194(10)[M+−CONH2]、104(14)、77(10)[Ph+]。
6−エチル−2−フェニル−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式11b参照):GP−3により、式9bのスルホン(197mg、0.5mmol)とKOtBu(168mg、1.5mmol)とから、Rf=0.6(ヘキサン/EE=1:2)で、融点198℃の淡黄色固体としての式11bの化合物118mg(98%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3020cm−1、2955、2922、1630、1532、1321、1098、922、699。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.16(t,J=7.32Hz,3H)、2.26(q,J=7.3Hz,2H)、2.40[t,J=8.9Hz,2H,C(7)−H]、2.89[t,J=8.9Hz,2H,C(8)−H]、6.47[s,2H,C(5)−H]、7.42〜7.61(m,3H)、8.22〜8.38(m,2H)、13.45(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=11.8(+)、26.9(−)、23.0(−)、30.1(−)、112.4(+,C−5)、117.8(C−4a)、127.5(+)、128.7(+)、131.3(+)、132.3(C−6)、143.2(Cipso)、153.4(C−8a)、159.7(C−2/C−4)、162.0(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):252(100)[M+]、237(80)[M+−Me]、223(25)[M+−Et]、180(20)。
6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式10a参照):GP−4により、25mLのMeOH中の、式11aの化合物(100mg、0.42mmol)、22mgのPd/Cから4h後に得られた粗反応混合物により、融点237℃の式10aの化合物97mg(96%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=3072cm−1、2948、1641、1507、1316、1073、697。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.12(d,3JH,H=6.5Hz,3H)、1.38〜1.56(m,1H)、1.76〜2.15(m,3H)、2.68〜2.86(m,3H)、7.20〜7.38(m,3H)、8.02〜8.14(m,2H)、11.68(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=21.5(+)、28.0(+)、30.1(−)、30.4(−)、31.8(−)、119.6(C−4a)、127.5(+)、128.8(+)、131.3(+)、132.4(Cipso)、153.3(C−8a)、162.2(C−2/C−4)、164.8(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):240(100)[M+]、225(90)[M+−Me]、198(49)、104(31)、77(16)。−C15H16N2O(240.3):計算値:C 74.97,H 6.71,N 11.66;実測値:C 74.77,H 6.99,N 11.53。
6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式10b参照):GP−4により、25mLのMeOH中の式11bの化合物(76mg、0.30mmol)、15mgのPd/Cから4h後に得られた粗反応混合物により、融点221℃の式10bの化合物74mg(96%)を産出する。−IR(KBr):ν(〜)=2922cm−1、1642、1549、1315、919、697。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.02(t,J=7.3Hz,3H)、1.24〜1.68(m,4H)、1.80〜2.15(m,2H)、2.55〜3.00(m,3H)、7.36〜7.60(m,3H)、8.10〜8.32(m,2H)、13.12(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=11.5(+)、27.9(−)、28.1(−)、28.8(−)、31.8(−)、34.7(+)、119.6(C−4a)、127.5(+)、128.7(+)、131.3(+)、132.4(Cipso)、153.2(C−8a)、162.4(C−2/C−4)、164.9(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):254(80)[M+]、225(100)[M+−Et]、198(36)、104(22)。−C15H18N2O(254.3):計算値:C 75.56,H 7.15,N 11.01;実測値:C 75.36,H 7.45,N 10.88。
6−ベンゼンスルホニル−7−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)オン(式12参照):10mLのパイレックス管中に式3aの化合物(99mg、0.5mmol)および(E)−p−トリル−1−プロペニルスルホン(式4−Me参照)(392mg、2mmol)を加え、その管を175℃で12h加熱する。室温まで冷却した後、その反応混合物をDCM/MeOHに溶解し、カラムクロマトグラフィー(Rf=0.40、ヘキサン/EE=1:2)にかけ、融点247℃の白色固体としての表題化合物53mg(27%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3034cm−1、2927、1653、1507、1302、1142、1018。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.26(d,J=7.8Hz,3H)、2.41〜2.76(m,4H)、2.88〜3.04(m,1H)、3.13〜3.36(m,1H)、7.32〜7.55(m,6H)、7.72〜7.82(m,2H)、8.06〜8.16(m,2H)、12.8(br.s,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=20.4(+)、21.7(+)、27.2(−)、37.3(−)、63.2(+)、115.6(C−4a)、127.5(+)、128.7(+)、128.9(+)、130.0(+)、131.7(+)、132.0(+)、135.2(Cipso)、144.8(C−8a)、154.1(C−2)、163.7(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):394(2)[M+]、239(36)、238(100)、223(28)、180(20)。
6−ベンゼンスルホニル−2−(モルホリン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式13a参照):10mLのパイレックス瓶中で式5gの化合物(168mg、0.5mmol)を2mLのモルホリンと混合する。この瓶をしっかりと密閉し、180℃で15h加熱する。この反応混合物をRTまで冷却し、過剰のモルホリンを真空中で除去し、粗生成物をSiO2のパッド(2×3cm、10g、DCM/MeOH=10:1)を通して濾過し、融点>250℃の白色固体としての式12a化合物175mg(93%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2902cm−1、2848、1656、1590、1395、1300、1267、1146、1114、979、742、722。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):δ=1.55〜1.72(m,1H)、2.05〜2.32(m,2H)、3.41〜3.72(m,9H)、7.60〜7.81(m,3H)、7.82〜7.92(m,2H)、8.86(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz;[D6]DMSO):δ=21.5(−)、21.7(−)、44.8(−)、58.1(+)、65.8(−)、128.7(+)、129.8(+)、134.3(+)、137.2(Cipso)151.9(C−8a)、159.1(C−2)、163.4(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):375(8)[M+]、233(100)[M+−SO2Ph]、202(23)、176(10)。−C13H21N3O4S(375.5):計算値:C 57.58,H 5.64,N 11.19;実測値:C 57.26,H 5.65,N 11.53。
2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−6−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式13b参照):上で示した方法に続いて、式5gの化合物(750mg、2.23mmol)とN−ベンジルピペラジン(1.57g、8.92mmol)とから、式13bの化合物を、融点>250℃の白色固体として92%(953mg)の収率で得る。−IR(KBr):ν(〜)=2937cm−1、2816、1653、1576、1304、1262、1144、745。−1H NMR(250MHz,[D6]DMSO):1.52〜1.71(m,1H)、2.08〜2.42(m,7H)、3.41〜3.63(m,9H)、7.17〜7.38(m,5H)、7.62〜7.94(m,5H)。−13C NMR(50.3MHz,[D6]DMSO):δ=20.9(−)、21.2(−)、29.6(−)、43.9(−)、51.6(−)、58.1(+)、61.4(−)、104.4(C−4a)、126.4(+)、127.6(+)、128.0(+)、128.3(+)、128.9(+)、133.4(+)、137.1(Cipso)、137.5(Cipso)、152.5(C−8a)、159.4(C−2)、163.1(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):464(14)[M+]、429(12)、412(16)、318(68)、159(96)、91(100)。−C25H28N4O3S(464.6):計算値:C 64.63,H 6.07,N 12.06;実測値:C 64.48,H 6.17,N 11.97。
6−ベンゼンスルホニル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式13c参照):上で示した方法に続いて、式5gの化合物(336mg、1.00mmol)と2mLのN−メチルピペラジンとから、式13cの化合物を、融点>250℃の白色固体として91%(352mg)の収率で得る。−IR(KBr):ν(〜)=3232cm−1、2930、2797、1631、1585、1301、1266、1147、1083、1003、721。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.78〜1.92(m,1H)、2.38(s,3H)、2.41(m,4H)、2.43〜2.80(m,5H)、3.13〜3.26(m,1H,CH)、3.68〜3.81(m,4H)、7.52〜7.71(m,3H)、8.89〜8.98(m,2H)11.42(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,[D6]DMSO):δ=21.0(−)、21.2(−)、29.6(−)、43.8(−)、45.1(+)、53.7(−)、58.0(+)、104.4(C−4a)、128.0(+)、129.0(+)、133.4(+)、137.1(Cipso)、152.6(C−8a)、159.3(C−2)、163.2(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):388(16)[M+]、318(100)、306(24)、176(74)、83(55)、71(26)。−C19H22N4O3S(388.5):計算値:C 58.74,H 6.23,N 14.42;実測値:C 58.64,H 6.14,N 14.29。
2−(モルホリン−4−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式15a参照):式13aの化合物(175mg、0.47mmol)の10mLのTHF中の懸濁液に、KOtBu(264mg、2.35mmol)を加え、その反応混合物をRTで15h撹拌する。次にそれを10mLのNH4Cl飽和水溶液を含有する分液ロートに注ぎ、DCM(3×15mL)で抽出する。有機溶液をMgSO4中で乾燥し、溶媒を真空中で除去する。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Rf=0.45、Et2O/MeOH=25:1、1.5×30cm、25gのSiO2)にかけ、融点228〜230℃の白色固体としての式15aの化合物60mg(84%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2924cm−1、2849、1637、1585、1382、1263、1171、1115、987、862、729。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.28〜2.40(m,2H)、2.62[t,J=9.6Hz,2H,C(8)−H]、3.81(s,8H)、6.45[dt,J=9.7および4.3Hz,1H,C(6)−H]、6.73[dt,J=9.7および1.8Hz,1H,C(5)−H]、12.12(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz CDCl3):δ=22.6(−)、30.2(−)、44.9(−)、66.4(−)、107.5(C−4a)、119.6(+,C−5)、122.1(+,C−6)、152.4(C−8a)、162.5(C−2/C−4)、164.2(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):234(11)[M++1]、233(100)[M+]、202(62)[M+−CH2OH]、188(16)、176(30)。−C12H15N3O2(233.3):計算値:C 61.79,H 6.48,N 18.01;実測値:C 61.54,H 6.72,N 17.91。
2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式15b参照):式13bの化合物(200mg、0.43mmol)とKOtBu(480mg、4.30mmol)とから上で示した方法により得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(Rf=0.41、DCM/MeOH=25:1、1.5×30cm、25gのSiO2)にかけ、融点196〜197℃の白色固体としての式15bの化合物131mg(94%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3040cm−1、2953、1636、1576、1388、1311、1277、1170、1005、848、726。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.22〜2.40(m,2H)、2.49〜2.63(m,6H)、3.54(s,2H)、3.72〜3.82(m,4H)、5.68[dt,J=9.5および4.3Hz,1H,C(6)−H]、6.42[dt,J=9.5およびl.7Hz,1H,C(5)−H]、7.26〜7.38(m,5H)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=22.7(−)、29.7(−)、44.5(−)、46.0(−)、54.5(−)、107.1(C−4a)、119.8(+,C−5)、121.6(+,C−6)、127.2(+)、128.3(+)、137.6(Cipso)、152.2(C−8a)、162.5(C−2/C−4)、164.2(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):322(71)[M+]、189(30)、176(100)、146(38)、91(53)。−C19H22N4O(322.4):計算値:C 70.78,H 6.88,N 17.38;実測値:C 70.45,H 6.47,N 17.50。
2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式15c参照):式13cの化合物(220mg、0.57mmol)とKOtBu(638mg、5.70mmol)とから上で示した方法により得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(Rf=0.40、DCM/MeOH=25:1、1.5×20cm、25gのAl2O3)にかけ、融点188℃の白色固体としての式15cの化合物121mg(94%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3101cm−1、2935、2792、1654、1582、1387、1267、1140、1005、727。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=2.21〜2.38(m,5H)、2.41〜2.54(m,4H)、2.55〜2.66(m,2H)、3.64〜3.81(m,4H)、5.72[dt,J=9.7および4.3Hz,1H,C(6)−H]、6.48[dt,J=9.7および1.8Hz,1H,C(5)−H]。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=22.6(−)、25.5(−)、44.4(−)、46.0(+)、54.5(−)、107.1(C−4a)、119.8(+,C−5)、121.6(+,C−6)、156.9(C−8a)、162.5(C−2/C−4)、164.2(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):246(49)[M+]、189(12)、176(100)。−C13H18N4O(246.3):計算値:C 62.39,H 7.37,N 22.75;実測値:C 62.37,H 7.23,N 22.59。
2−(モルホリン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式14a参照):火炎乾燥し、窒素を吹き込んだ50mLの反応フラスコ中に、15mgのPd/C(10%w/w)を10mLのMeOHと共に加える。この混合物を、H2下で30分間撹拌し、その時点で15mLのMeOH中の式15aの化合物(100mg、0.43mmol)を注射器から加え、撹拌を15h続ける。その混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、溶媒を真空中で除去して、融点204〜205℃の白色固体としての式14aの化合物97mg(96%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2925cm−1、2856、1640、1576、1386、1270、1165、1121、1001、877、767。−1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=1.63〜1.90(m,4H)、2.30〜2.42(m,2H)、2.43〜2.58(m,2H)、3.56〜3.92(m,8H)、11.6(br.s,1H,NH)。−13C NMR(50.3MHz,CDCl3):δ=21.3(−)、23.2(−)、22.5(−)、32.2(−)、44.9(−)、66.5(−)、109.7(C−4a)、156.6(C−8a)、163.6(C−2/C−4)、165.7(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):235(84)[M+]、204(100)[M+−CH2OH]、190(40)、178(90)、150(47)。−C12H17N3O2(235.3):計算値:C 61.26,H 7.28,N 17.86;実測値:C 61.41,H 7.40,N 17.65。
2−ピペラジン−1−イル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式14b参照):上で示した方法に従って式15bの化合物(150mg、0.47mmol)から90%(99mg)の収率で、融点121℃の白色固体としての式14bの化合物を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2930cm−1、1700、1635、1576、1437、1398、1267、998。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.60〜1.82(m,4H)、2.28〜2.54(m,4H)、2.84〜3.02(m,4H)、3.62〜3.71(m,4H)、11.81(br.s,1H,NH)。−13C NMR(75.5MHz,CDCl3):δ=21.4(−)、22.3(−)、22.6(−)、32.3(−)、45.6(−)、109.2(C−4a)、151.7(C−8a)、163.5(C−2)、165.5(C−4)。−MS(70eV)、m/z(%):234(21)[M+]、192(33)、178(55)、166(74)、72(100)。
2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式14c参照):上で示した方法に従って式15cの化合物(100mg、0.41mmol)から83%(84mg)の収率で、融点210℃の白色固体としての式14cの化合物を得る。−IR(KBr):ν(〜)=3091cm−1、2934、2785、1642、1576、1387、1308、1267、1150、1000、845。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.61〜1.80(m,4H)、2.24〜2.40(m,5H)、2.42〜2.58(m,6H)、3.64〜3.74(m,4H)、11.81(br.s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=21.3(−)、22.3(−)、22.6(−)、32.3(−)、44.5(−)、46.0(+)、54.6(−)、109.7(C−4a)、151.5(C−8a)、163.6(C−2/C−4)、165.6(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):248(17)[M+]、178(100)、166(12)、83(28)、71(19)。−C13H20N4O(248.3):計算値:C 62.88,H 8.12,N 22.56;実測値:C 62.59,H 8.12,N 22.40。
2−ジメチルアミノ−6−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式16参照):10mLのパイレックス瓶中、式5gの化合物(168mg、0.5mmol)を2mLのDMFに溶解する。この瓶をしっかりと密閉し、180℃で12h加熱する。この反応混合物を室温まで冷却し、過剰のDMFを減圧下で除去し、その粗生成物をSiO2のパッド(2×3cm、10g、DCM/MeOH=10:1)を通して濾過し、融点249℃の白色固体としての式16の化合物143mg(86%)を得る。−IR(KBr):ν(〜)=2929cm−1、1635、1586、1302、1138、1084。−1H NMR(250MHz,CDCl3):δ=1.71〜1.92(m,1H)、2.31〜2.87(m,4H)、3.11(s,3H)、3.13〜3.26(m,1H)、3.58〜3.72(m,1H)、7.53〜7.74(m,3H)、7.90〜7.99(m,2H)、11.59(br s,1H,NH)。−13C NMR(62.9MHz,CDCl3):δ=21.5(−)、22.0(−)、31.1(−)、37.4(+)、59.9(+)、104.1(C−4a)、128.9(+)、129.1(+)、133.8(+)、137.1(Cipso)、152.5(C−8a)、161.9(C−2/C−4)、164.8(C−4/C−2)。−MS(70eV)、m/z(%):333(6)[M+]、192(20)、191(100)、162(10)、77(15)。
実施例8:6−ベンゼンスルホニル−6−エチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン(式9b参照)
相当する原子を発生するために使用される対称変換。
実施例9:本発明に折る製造手順により得られる更なる化合物
実施例10:VEGF受容体キナーゼアッセイ
VEGF受容体キナーゼ活性を、放射標識リン酸のポリグルタミン酸/チロシンが4:1の(pEY)基質中への取り込みによって測定する。ホスホリル化pEY製品がフィルター膜に捕捉され放射標識リン酸の取り込みがシンチレーション計数により数値化される。
材料
VEGF受容体キナーゼ:ヒトKDRの細胞間チロシンキナーゼドメイン(Terman,B.I.ら、Oncogene(1991)Vol.6,pp.1677〜1683.)およびFlt−1(Shibuya,M.ら、Oncogene(1990)Vol.5,pp.519〜524)は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子融合タンパク質としてクローン化した。これは、GST遺伝子のカルボキシル末端におけるインフレーム融合物としてのKDRキナーゼの細胞質ドメインをクローン化することによって達成された。可溶性組換え型GSTキナーゼドメイン融合タンパク質を、バキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T、Pharmingen社)を使用してヨトウガ(Spodoptera frugiperda(Sf21))由来昆虫細胞(Invitrogen社)中に発現させた。
溶解緩衝液:50mMのトリス(pH7.4)、0.5MのNaCl、5mMのDTT、1mMのEDTA、0.5%のトリトンX−100、10%のグリセロール、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンの各10mg/ml、および1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物(すべてSigma社)。
洗浄緩衝液:50mMのトリス(pH7.4)、0.5MのNaCl、5mMのDTT、1mMのEDTA、0.05%のトリトンX−100、10%のグリセロール、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンの各10mg/ml、および1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物
透析用緩衝液:50mMのトリス(pH7.4)、0.5MのNaCl、5mMのDTT、1mMのEDTA、0.05%のトリトンX−100、50%のグリセロール、ロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンの各10mg/ml、および1mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物。
10×反応緩衝液:200mMのトリス(pH7.4)、1.0MのNaCl、50mMのMnCl2、10mMのDTTおよび5mg/mlのウシ血清アルブミン[BSA](Sigma社)
酵素希釈緩衝液:50mMのトリス(pH7.4)、0.1MのNaCl、1mMのDTT、10%のグリセロール、100mg/mlのBSA。
10×基質:750μg/mlのポリ(グルタミン酸/チロシン;4:1)(Sigma社)
停止溶液:30%トリクロロ酢酸、0.2Mのピロリン酸ナトリウム(いずれもFisher社)
洗浄溶液:15%トリクロロ酢酸、0.2Mのピロリン酸ナトリウム
フィルタープレート
ミリポア#MAFC NOB、GF/Cグラスファイバー 96−ウェルプレート。
方法A−タンパク質精製
1.Sf21細胞に、5ウイルス粒子/細胞の感染多重度の組換えウイルスにより感染させ、27℃で48時間培養する。
2.すべてのステップを4℃で実施する。感染した細胞は、1000×gで遠心分離することにより収集し、1/10容の溶解緩衝液により4℃で30分間溶解させ、続いて100.000×gで1時間の遠心分離をする。その上清を次に溶解緩衝液で平衡化させたグルタチオンセファローズカラム(Pharmacia社)に通し、5容の同じ緩衝液、続いて5容の洗浄緩衝液で洗浄する。組換え型GST−KDRタンパク質を洗浄緩衝液/10mMの還元グルタチオン(Sigma社)により溶出し、透析用緩衝液に向かって透析させる。
方法B−VEGF受容体キナーゼアッセイ
1.50%DMSO中のアッセイに5μlの阻害薬または対照を加える
2.5μlの10×反応緩衝液、5μlの25mM ATP/10μCi[33P]ATP(Amersham社)および5μlの10×基質を含有する35μlの反応混合物を加える
3.酵素希釈緩衝液中の10μlのKDR(25nM)を添加することにより反応を開始させる
4.混合し、室温で15分間培養する
5.50μlの停止溶液を加えて反応を停止させる
6.4℃で15分間培養する
7.90μlのアリコートをフィルタープレートに移す
8.吸引し、洗浄溶液により3回洗浄する
9.30μlのシンチレーションカクテルを加え、プレートをシールし、Wallace Microbetaシンチレーションカウンターで数える。
ヒト臍静脈内皮細胞有糸分裂誘発アッセイ
増殖因子に対して細胞分裂応答を仲介するVEGF受容体の発現は、血管内皮細胞に大部分は限定される。培養液中のヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、VEGFの処置により増殖し、VEGF刺激に対するKDRキナーゼ阻害薬の影響を数量化するアッセイ系として使用することができる。記載されているアッセイにおいて、静止状態のHUVECの単層は、VEGFまたは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の添加2時間前に、媒体または試験化合物で処理する。VEGFまたはbFGFに対する細胞分裂の応答は、[3H]チミジンの細胞DNAへの取り込みを計量することによって測定する。
材料
HUVEC:初代培養単離品としての凍結HUVECを、クロネティクス社(CloneticsCorp.)から購入する。その細胞は、内皮増殖培地(EGM;クロネティクス社)で得られ、継代3〜7における分裂促進アッセイに使用する。
培養皿:NUNCLON 96ウェルポリスチレン組織培養皿(NUNC #167008)
アッセイ培地:1g/mlのグルコース(低グルコースDMEM;Mediatech社)と10%(V/V)のウシ胎仔血清(Clonetics社)を含有するダルベッコ変法イーグル培地
試験化合物:試験化合物の作業原液は、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に、それらの望ましい最終濃度の400倍の大きさに希釈する。1倍濃度への最終の希釈は、細胞に加える直前にアッセイ培地中で行った。
10×増殖因子:ヒトVEGF165(500ng/ml;R&D Systems社)およびbFGF(10ng/ml;R&D Systems社)の溶液をアッセイ培地中で調製する。
10×[3H]チミジン:[メチル−3H]チミジン(20Ci/mmol;Dupont-NEN社)を低グルコースDMEM培地中80μCi/mlに希釈する。
細胞洗浄培地:1mg/mlのウシ血清アルブミン(Boehringer-Mannheim社)を含有するハンクの平衡塩類溶液(Hank’s balanced salt solution)
細胞溶解液:1N NaOH、2%(w/v)のNa2CO3。
方法1
EGM中に保存したHUVEC単層を、トリプシン化によって収集し、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μlのアッセイ培地につき4000個の細胞密度で蒔く。5%のCO2を含有する湿った雰囲気中、37℃で24時間にわたり細胞増殖を阻止する。
方法2
増殖阻止培地を、媒体(0.25%[v/v]のDMSO)または望ましい最終濃度の試験化合物のいずれかを含有する100μlのアッセイ培地により置換する。測定はすべて3回繰り返して行う。細胞を次に、試験化合物が細胞に入るようにするため、37℃/5%CO2で2時間培養する。
方法3
2時間にわたる前処理の後、細胞を、アッセイ培地、10×VEGH溶液または10×bFGF溶液のいずれかの10μl/ウェルを添加して刺激する。細胞を次に37℃/5%CO2で培養する。
方法4
24時間後、増殖因子の存在下、10×[3H]チミジン(10μl/ウェル)を加える。
方法5
[3H]チミジンの添加3日後、培地を吸引により除去し、細胞を細胞洗浄培地で2度洗浄する(400μl/ウェルに続いて200μl/ウェル)。洗浄した接着細胞を、次に、細胞溶解液(100μl/ウェル)を加え、37℃に30分加温して可溶化する。細胞溶解物を、150μlの水を含有する7mlのシンチレーションガラス瓶に移す。シンチレーションカクテル(5ml/ガラス瓶)を加え、細胞関連放射能を液体シンチレーション分光法により測定する。
これらのアッセイによれば、式Iの化合物はVEGFの阻害薬であり、したがって、眼疾患、例えば糖尿病性網膜症の治療、および癌腫、例えば固形腫瘍の治療等における血管新生の阻害に適している。本化合物は、培養液中のヒト血管内皮細胞のVEGF刺激の有糸分裂誘発を0.01〜5.0μMのIC50値で阻害する。これらの化合物はまた、関係するチロシンキナーゼについての選択性を示す(例えば、FGFR1およびSrcファミリー;SrcキナーゼとVEGFRキナーゼの間の関係、Eliceiriら、MolecularCell, Vol.4, pp.915〜924, December 1999参照)。
実施例11:注射バイアル
100gの本発明の活性化合物および5gのリン酸一水素二ナトリウムの3lの2回蒸留水の溶液を、2Nの塩酸、を用いてpH6.5に調整し、無菌ろ過し、注射バイアルに移し、無菌状態で凍結乾燥し、無菌条件下で密封する。各注射バイアルは5mgの有効成分を含有する。
実施例12:坐薬
本発明による20gの活性化合物の混合物を、100gのダイズレシチンおよび1400gのカカオバターと共に溶融し、型に注ぎ冷却する。各坐薬は、20mgの有効成分を含有する。
実施例13:溶液
940mlの2回蒸留水中の、本発明による1gの活性化合物、9.38gのNaH2PO4・2H2O、28.48gのNa2HPO4・12H2Oおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムの溶液を調製する。そのpHを、6.8に調整し、その溶液を1lとし、放射殺菌により無菌化する。この溶液は、点眼液の形で使用することができる。
実施例14:軟膏
500mgの本発明の活性化合物を、99.5gのワセリンと無菌状態のもとで混合する。
実施例15:錠剤
1kgの本発明の活性化合物、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムを、圧縮して、各錠剤が10mgの活性化合物を含有するように従来のやり方で錠剤を生じさせる。
実施例16:コーティング錠
錠剤を実施例Eと同様に圧縮成型し、その後、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび着色料のコーティングを使用して従来のやり方で被覆する。
実施例17:カプセル
2kgの本発明の活性化合物を、各カプセルが20mgの活性化合物を含有するように、従来のやり方で硬質のゼラチンカプセルに分注する。