JP5099716B2 - メディア・コンテンツ情報分析装置および方法 - Google Patents

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Description

この発明は、メディア・コンテンツから受ける印象に基づき、多数のメディア・コンテンツを多次元空間内の座標として布置する技術に関する。
近年、コンピュータで管理されたりまたはネットワークを関して提供されるメディア・コンテンツの種類が増え、その数も膨大になっている。このため、利用者の好みに合うメディア・コンテンツを膨大なライブラリから容易に探し出せる仕組みがますます求められている。
例えば、一部のオンラインショッピングサイトでは、ユーザがある商品の購入手続きをすると、過去にその商品を購入した人物が別途購入した商品を推薦することが行われている。また、音楽検索の分野では、ユーザが再生中の音楽と似た印象を持つ音楽を検索する技術が知られている。例えば、特許文献1および2には、楽曲の特徴を数量化して1以上の因子で表現した楽曲パラメータを各楽曲毎に楽曲データ格納部に格納しておき、楽曲データ格納部にデータが格納されている各楽曲のうち、楽曲パラメータに含まれる第1因子の値が再生中の楽曲の第1因子の値よりも大きい楽曲を第1候補曲として特定する、楽曲再生装置が開示されている。
特開2002−278547号公報 特開2005−032409号公報
しかしながら、特許文献1および2では、再生中の楽曲に対して候補曲が特定されるので、ユーザが気分を変えたいようなときには適切な候補曲を特定することができない。また、楽曲の音響信号から楽曲パラメータを算出して楽曲データ格納部に格納しておかなければならず、楽曲数が増大するほどそれに要する処理量も膨大になるという問題がある。
本発明はこうした点に鑑みてなされたもので、その目的は、メディア・コンテンツについてコンテンツデータそのものを処理しなくても、コンテンツから受ける印象に基づき多数のメディア・コンテンツを多次元空間内に布置する技術を提供することにある。
本発明の一実施形態は、メディア・コンテンツ情報分析装置である。この装置は、複数の基準メディア・コンテンツの印象評定実験結果を保持する実験結果格納部と、印象評定実験結果に基づき、メディア・コンテンツから受ける印象に対応する複数の軸からなる多次元印象空間内で、基準メディア・コンテンツのそれぞれが布置される印象座標を計算する印象座標計算部と、基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツのメタ情報を保持するメタ情報格納部と、基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツのメタ情報に所定の統計分析を施すことによって、メタ情報の特徴を抽出した複数の特徴変数上の得点に変換するメタ情報分析部と、複数の特徴変数上の得点を格納する分析結果格納部と、基準メディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点を分析結果格納部から取得し、複数の特徴変数上の得点と印象座標とを複数の重回帰式によって関連づける重回帰分析部と、他のメディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点を分析結果格納部から取得し、該複数の特徴変数上の得点を複数の重回帰式に適用することによって、他のメディア・コンテンツの印象座標を推定する印象座標推定部と、を備える。
この態様によると、基準メディア・コンテンツについて、印象評定実験に基づき計算された印象座標とメタ情報から抽出された複数の特徴変数上の得点とを複数の重回帰式によって関連づける。そして、基準メディア・コンテンツ以外の他のメディア・コンテンツについては、複数の特徴変数上の得点を上記の重回帰式に適用することによって、印象座標を推定する。したがって、他のメディア・コンテンツについては、印象評定実験を経ることなく印象座標を求めることができる。また、メディア・コンテンツを印象空間内の座標として布置することで、メディア・コンテンツ全体の定量的な把握がしやすくなる。さらに、印象空間内においてあるメディア・コンテンツに対応する座標の近傍に位置する座標を選択することで、そのコンテンツと印象の近いコンテンツを容易に選び出すことができる。
メタ情報格納部は、各メディア・コンテンツの属性を表現する質的データをメタ情報として格納し、メタ情報分析部は、質的データに対してコレスポンデンス分析を施して複数の特徴変数上の得点に変換してもよい。これによると、コレスポンデンス分析によってメタ情報の質的データを数値データに変換するので、メタ情報と印象座標との関連づけを行うことができる。
ユーザがメタ情報を構成する一つまたは複数の属性に含まれる一つまたは複数の特定の項目の組を選択したことを入力として受け取る入力部と、各特定の項目に与えられた特徴変数上の得点を分析結果格納部から取得する項目受取部と、をさらに備えてもよい。この場合、印象座標推定部は、各特定の項目について変換された複数の特徴変数を重回帰式に適用することによって各項目に対応する印象座標を推定し、推定した各印象座標の重心位置を計算し、重心位置から所定の距離内にあるメディア・コンテンツを、特定の項目の組に適合したコンテンツとしてユーザに提示してもよい。これによると、ユーザの気分やシチュエーションといった属性のうち特定の項目を指定することで、その項目に適したメディア・コンテンツを比較的容易に検索することができる。
多次元印象空間は、心理的な印象を表す特徴軸の組合せで構成される空間であってもよい。これによると、メディア・コンテンツに対する定性的な印象を、少数の軸で構成される空間内の点として捉えることが可能になる。特徴軸は、快さ、迫力、明暗、鋭さ、力動感、ユニークさ、美しさ、汚さ、開放感などの心理的な印象に対応していれば任意のものを選択してよく、また多次元印象空間はこれらのうち任意の複数の軸の組合せで構成されてもよい。
多次元印象空間内での各メディア・コンテンツの印象座標を画像表示器に表示させる表示出力部をさらに備えてもよい。これによると、印象空間内に布置されたメディア・コンテンツの印象の傾向を視覚的に把握することが可能になる。
実験結果格納部は、基準メディア・コンテンツについてSD法による印象評定実験結果を保持しており、印象座標計算部は、SD法による印象評定結果に対して主成分分析または因子分析を施して多次元印象空間の軸を決定してもよい。これによると、基準メディア・コンテンツに対する多数の印象の尺度から、特徴軸となるより少数の成分または因子を抽出することができる。
本発明によれば、メディア・コンテンツについてコンテンツデータそのものを処理しなくても、コンテンツから受ける印象に基づき多数のメディア・コンテンツを多次元空間内に布置することができる。
本発明の一実施形態に係るメディア・コンテンツ情報分析装置の詳細な構成を説明する図である。 本実施形態のSD法で使用する評定尺度の一例を示す図である。 評定尺度として使用される反対語対の一例を列挙した表である。 メタ情報の一例を示す表である。 メディア・コンテンツ情報分析装置を用いて、多数のメディア・コンテンツを印象空間上に布置する大まかな手順を示すフローチャートである。 基準メディア・コンテンツの印象座標を計算する処理のフローチャートである。 図3で示した24対の評定尺度に対して主成分分析を施した結果を示す表である。 基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツについて、SD法を利用して得られた印象座標と、コレスポンデンス分析を利用して得られた特徴変数上の得点との関係を求める処理のフローチャートである。 他のメディア・コンテンツについて、コレスポンデンス分析から得られた特徴変数上の得点を印象座標に変換する処理のフローチャートである。 クロス集計表の一例を示す図である。 コレスポンデンス分析で得られた特徴変数1〜3の三軸に、「動物に例えたら」属性の各項目の得点をプロットしたグラフである。 コレスポンデンス分析で得られた特徴変数1〜3の三軸に、「動物に例えたら」属性の各項目の得点をプロットしたグラフである。 各楽曲のメタ情報から得られた、属性「動物に例えたら」および属性「花に例えたら」に関する特徴変数1〜3軸上の得点を示した表である。 重み係数についての計算結果を示す表である。 基準メディア・コンテンツである一部の楽曲について、印象評定実験により求められた印象座標と重回帰式により求められた座標とを比較するグラフである。 複数の属性についてユーザが特定した項目に適合するメディア・コンテンツを選択する処理のフローチャートである。
本発明の一実施形態は、楽曲等の音楽コンテンツ、動画、映画等の映像コンテンツ、小説、ブログ等のテキストコンテンツ、漫画、絵画等の画像コンテンツ、ゲームコンテンツ等といった種々のメディア・コンテンツを、それらコンテンツから受ける印象を表現した多次元印象空間上の座標に布置することを可能にする、メディア・コンテンツ情報分析装置である。この装置では、従来の手法では困難であった非常に多数のメディア・コンテンツを、比較的短時間かつ容易に印象空間上に布置することができる。このようにメディア・コンテンツを印象空間に布置することで、コンテンツ間の類似度が容易に把握できたり、ユーザの気分や感性、コンテンツを体感するシチュエーションなどに適合したメディア・コンテンツを選択しユーザに対して提供できるといった効果が得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係るメディア・コンテンツ情報分析装置100の詳細な構成を説明する図である。これらの構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図1では、メディア・コンテンツ情報分析装置100の典型的な使用例として、ユーザが操作する端末10と情報分析装置100とが直接若しくは有線または無線ネットワークを介して接続される場合について説明する。このとき、ユーザは端末10を介してデータの入力、分析の指示、出力結果の受領等の操作を行う。これに対し、メディア・コンテンツ情報分析装置100はサーバとして機能し、端末10からの支持の下、種々の分析の実行、分析結果の記憶、分析結果の画像化および出力を行う。
端末10は、典型的にはラップトップ型またはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)であり、入力装置としてのキーボードやマウス、出力装置としてのディスプレイ、通信装置としてのモデムやネットワークインタフェースカード等を備える。代替的に、端末10は、入力装置、出力装置、通信装置を備える携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯機器であってもよい。または、メディア・コンテンツ情報分析装置100の機能をソフトウェア・アプリケーションとして提供し、サーバからのダウンロード、記録媒体の読み込み等によりソフトウェア・アプリケーションをPC等の端末に取得し、これをインストールすることで、ユーザが操作する端末そのものがメディア・コンテンツ情報分析装置100として機能してもよい。
メディア・コンテンツ情報分析装置100は、主に、実験結果格納部20、入力部24、メタ情報処理部30、印象座標計算部40、重回帰分析部50、印象座標推定部60、表示出力部64を含む。
実験結果格納部20は、複数の基準メディア・コンテンツ22の印象評定実験結果を保持する。基準メディア・コンテンツとは、メディア・コンテンツ情報分析装置100で最終的に印象空間上に布置されるべき多数のメディア・コンテンツ(以下、「全メディア・コンテンツ」と言う)から抽出された、印象座標の基準とされるコンテンツである。基準メディア・コンテンツは複数の被験者による印象評定実験を受け、各コンテンツに印象結果が付与される。本実施形態では、周知のSD(Semantic Differential)法による印象評定実験を行うが、各コンテンツに対して印象結果を付与できれば、他の既知の印象評定実験を行ってもよい。全メディア・コンテンツの数に対する基準メディア・コンテンツの数は任意であるが、少なくとも数個を越える必要があり、基準コンテンツ数が多いほど後述する印象座標推定の精度は向上する。
SD法は、ある概念(ここでは「印象」)が内包する意味を形容する反対語の対からなる両極の評定尺度、または一つの語に対する当てはまり度合いからなる単極の評定尺度を用いて、対象の評定を行う手法である。各評定尺度に対して、対象とするメディア・コンテンツが各形容語に対してどの程度当てはまるかを、3段階から9段階の尺度を使用して複数の被験者に評定させる。そして、この評定尺度の各段階を順序尺度として数値を当てはめることによって数値化したデータに主成分分析または因子分析を施すことにより、少数の主成分または因子を抽出するとともに、各メディア・コンテンツの各主成分または各因子上の得点を得る。
図2は、本実施形態のSD法で使用する評定尺度の一例である。ここでは、反対語対として「きれいな−汚い」、「さわやかな−むさくるしい」の二つが例として示されている。各評定尺度には7段階があり、被験者は基準メディア・コンテンツを体感(つまり、コンテンツの種類に応じて視聴、聴取、または読了)して、左右両極のいずれの形容語に近い印象を自分が感じたかに応じて印を付ける。
図3は、本実施形態で使用される評定尺度としての反対語対の一例を列挙した表である。後述する実施例では、各被験者は、基準メディア・コンテンツのそれぞれに対して、図示の24対の評定尺度上で印象評定を行う実験に参加した。
このように、SD法を用いることで、メディア・コンテンツの印象を複数の成分から構成される多次元的なものとして数量解析の対象とすることができる。
図1に戻り、印象座標計算部40は、基準メディア・コンテンツの印象評定実験結果に基づき、メディア・コンテンツから受ける印象に対応する複数の軸からなる多次元の印象空間内で、各基準メディア・コンテンツが布置される印象座標を計算する。ここで、「印象空間」とは、心理的な印象を表す特徴軸の組合せで構成される空間である。印象座標計算部40は、SD法の評定尺度を数値化したものに対して周知の主成分分析または因子分析を施す主成分分析部42または因子分析部44を有しており、この分析から得られる複数の主成分または因子を、多次元印象空間の軸として決定する。印象空間の次元数すなわち軸数は四軸以下とすることが好ましく、三軸が最も好ましいが、五軸以上であってもよい。印象座標の計算についてはさらに後述する。
印象座標計算部40により求められた各基準メディア・コンテンツの印象座標は、印象座標格納部46に保持される。
メタ情報処理部30は、メタ情報格納部31、メタ情報分析部34および分析結果格納部37を含む。
メタ情報格納部31は、印象空間上に布置する全メディア・コンテンツのメタ情報を、基準メディア・コンテンツ32とそれ以外のメディア・コンテンツ(以下、「他のメディア・コンテンツ」と言う)33とに分けて保持する。ここで、「メタ情報」とは、各メディア・コンテンツの種々の属性を表現する質的データのことを言う。
図4は、メタ情報の一例を示す表120である。一番左の列122にはメディア・コンテンツの名称(ここでは「曲名」)が記載される。列124、126はメディア・コンテンツの属性を示す。ここでは、一例として、列122に記載された楽曲を動物に例えたら何であるかを表した「動物に例えたら」属性124と、列122に記載された楽曲を花に例えたら何であるかを表した「花に例えたら」属性126が記載されている。さらに、各属性には複数の項目が含まれる。表120では、「動物に例えたら」属性には「イヌ」「ゾウ」「オオカミ」「コアラ」「ウマ」、「花に例えたら」属性には「バラ」「ひまわり」「チューリップ」「コスモス」「サクラ」などの項目が示されている。なお、属性とその下位の項目は上記に限定されるものではなく、メディア・コンテンツを質的にまたは定性的に表現する任意の言葉を採用することができる。また、属性の数や下位の項目の数にも制限はない。
メタ情報格納部31には、基準メディア・コンテンツと他のメディア・コンテンツの別に、各コンテンツについて当てはまる属性の項目を記した表形式のメタ情報が予め準備されている。これらのメタ情報は、メディア・コンテンツの提供者によって作成され提供されることが好ましい。代替的に、メディア・コンテンツ情報分析装置100のユーザが、全メディア・コンテンツについてメタ情報を作成してもよい。
メタ情報は、図4の表120に示すように、メディア・コンテンツ毎に当てはまる属性の項目に印を付ける形であってよい。例えば、図4の上から五番目の楽曲Eは、動物に例えるとゾウの印象に合致しており、花に例えるとサクラの印象に合致していることを表している。なお、楽曲毎に一つの属性について二つ以上の項目に印が付けられてもよいし、いずれの項目にも印が付けられなくてもよい。
図1に戻り、メタ情報分析部34は、メタ情報格納部31に格納された基準メディア・コンテンツのメタ情報32および他のメディア・コンテンツのメタ情報33に対して統計的分析を施すことによって、メタ情報の特徴が抽出された複数の特徴変数上の得点に変換する。本実施形態では、メタ情報分析部34は、メタ情報に対して周知のコレスポンデンス分析を施して、複数の特徴変数上の得点に変換する特徴変数変換部35を含む。
コレスポンデンス分析は、多次元で集計されたデータを多次元空間にマッピングして、データ要素間の関係性を視覚的に表現する多変量解析手法である。本実施形態のコレスポンデンス分析では、図4に示したメタ情報の表からいずれかの属性を選び、その属性に含まれる全ての項目を行要素とし、選択されなかった他の属性に含まれる全ての項目を列要素として配列したクロス集計表を作成する。そして、クロス集計表から、各データの潜在的因子である複数の特徴変数を見つけ出す。
そして、特徴変数変換部35は、各属性の項目について、コレスポンデンス分析で見いだされた複数の特徴変数上の得点を計算する。複数の特徴変数上の得点の計算結果は、分析結果格納部37に格納される。
重回帰分析部50は、印象座標格納部46から、基準メディア・コンテンツについて求められた印象座標を取得する。また、メタ情報格納部31を参照して、基準メディア・コンテンツのそれぞれについて対応する属性の項目を確認する。続いて、分析結果格納部37から、各基準メディア・コンテンツの各属性の項目について与えられた複数の特徴変数上の得点を取得する。そして、基準メディア・コンテンツの印象座標と各属性項目の複数の特徴変数上の得点とを、複数の重回帰式によって関連づける周知の重回帰分析を実行する。得られた重回帰式は、他のメディア・コンテンツについて、複数の特徴変数上の得点から印象座標を推定するための変換式としての機能を有することになる。求められた重回帰式は、重回帰式格納部52に格納される。
印象座標推定部60は、メタ情報格納部31を参照して、他のメディア・コンテンツのそれぞれについて対応する属性の項目を確認する。続いて、分析結果格納部37から、各メディア・コンテンツの各属性の項目について与えられた複数の特徴変数上の得点を取得する。そして、これらの複数の特徴変数上の得点を、重回帰式格納部52に格納された複数の重回帰式に適用することによって、他のメディア・コンテンツの印象座標を推定する。このように、基準メディア・コンテンツについて求められた印象座標と複数の特徴変数上の得点とを関連づける重回帰式を用いることで、印象評定実験を経ていない他のメディア・コンテンツについても印象座標を求めることができる。
表示出力部64は、印象座標格納部46から基準メディア・コンテンツの印象座標を受け取るとともに、印象座標推定部60から他のメディア・コンテンツの印象座標を受け取る。そして、全メディア・コンテンツの印象座標を多次元の印象空間内に布置した画像を、端末10の画像表示手段に出力する。印象空間が三次元であれば、表示出力部64は、ユーザの操作により適宜回転表示が可能な三次元直交座標に各メディア・コンテンツの印象座標に対応する点が表示された画像を出力してもよい。または、印象空間の適当な二軸を選択し、二次元直交座標面に空間内の点が写像された画像を出力してもよい。また、端末10の画像表示手段に表示された印象座標の点をユーザがポイントすることで、その点に対応するメディア・コンテンツの名称や属性等の情報が画像表示手段に表示されるように構成してもよい。
以上のようにして、全メディア・コンテンツが印象空間内に布置された画像を得ることができる。これによって、ユーザは、全メディア・コンテンツが印象空間内にどのように分布しているのかを把握することができるため、単にメディア・コンテンツの一覧リストを閲覧している場合と比較して、多様な活用をすることができる。例えば、自分の保有しているメディア・コンテンツや、別のサーバ等に保存されているメディア・コンテンツの分析をメディア・コンテンツ情報分析装置100に指示し、それらがどのような印象の傾向を有しているかを把握することができる。また、あるメディア・コンテンツと比較的印象が近いメディア・コンテンツを容易に探し出すことができる。
また、ユーザは、様々な属性の所望の項目に適合するメディア・コンテンツを探し出すことができる。入力部24は、全メディア・コンテンツの印象座標が求められた後、端末10から、ユーザがメタ情報の属性の中から特定の項目を選択したことを入力として受け取ることができるように構成されている。ユーザによって選択される項目は単一であってもよいし、複数の属性にわたる複数の項目であってもよい。入力部24は、選択された特定の項目をメタ情報分析部34に送る。メタ情報分析部34の項目受取部36は特定の項目を受け取り、それぞれの項目に対して、分析結果格納部37に格納された、コレスポンデンス分析によって変換された特徴変数上の得点を取得する。これらの項目の特徴変数上の得点は、印象座標推定部60に送られる。
印象座標推定部60は、特定の項目についての複数の特徴変数上の得点を、重回帰式格納部52から取得した重回帰式に適用する。これによって、当該特定の項目の多次元印象空間内での位置を計算することができる。ユーザによって複数の項目が選択された場合、適合コンテンツ選択部62は、複数の項目それぞれについての多次元印象空間内での位置の重心点から所定の距離内にあるメディア・コンテンツを、特定の項目の組に適合したコンテンツとしてユーザに提示する。例えば、重心点から所定の距離内に含まれたメディア・コンテンツに関する情報を、端末10の画像表示装置に一覧表示させてもよい。または、三次元直交座標において重心点から所定の距離内に位置するメディア・コンテンツに対応する座標点を、端末10の画像表示装置において強調表示させてもよい。
これによって、例えば項目「ゾウ」の印象に適したメディア・コンテンツを探し出したりすることが可能になる。
続いて、メディア・コンテンツ情報分析装置100を用いた分析の手順を説明する。
図5は、メディア・コンテンツ情報分析装置100を用いて、多数のメディア・コンテンツを印象空間上に布置する大まかな手順を示すフローチャートである。
まず、印象空間上に布置しようとする全メディア・コンテンツについてのメタ情報を準備し、それらをメタ情報格納部31に格納する(S10)。続いて、全メディア・コンテンツの中から、印象評定実験の対象とすべき基準メディア・コンテンツを選び出し、被験者による印象評定実験を実施する(S12)。これらの準備が終了すると、メディア・コンテンツ情報分析装置100は、印象評定実験結果とメタ情報とに基づいて、全メディア・コンテンツの印象座標を計算する(S14)。
図6は、基準メディア・コンテンツの印象座標を計算する処理のフローチャートである。
基準メディア・コンテンツについてSD法による印象評定実験を実施し(S20)、この結果を実験結果格納部20に格納する(S22)。この作業は、メディア・コンテンツの供給者が行ってもよいし、ユーザが自ら行ってもよい。また、全メディア・コンテンツの中からの基準メディア・コンテンツの抽出は、印象が偏ったものばかりが選ばれないように人力で行われることが好ましいが、全メディア・コンテンツの中からランダムに基準メディア・コンテンツを選び出してもよい。
続いて、印象座標計算部40は、SD法による印象評定実験結果に対して主成分分析または因子分析を実行し、この分析から得られた複数の主成分または因子を、多次元印象空間の軸として決定する(S24)。そして、決定された複数の軸からなる印象空間内での各基準メディア・コンテンツの印象座標を計算する(S26)。この印象座標は、印象座標格納部46に保持される。
図7は、図3で示した24対のSD法による評定尺度に対して主成分分析を施した場合の一例を示す。図示するように、この例では、四つの主成分が抽出されている。図7については、後で詳細に説明する。
図8は、基準メディア・コンテンツについて、SD法を利用して得られた印象座標と、コレスポンデンス分析を利用して得られた特徴変数上の得点との関係を求める処理のフローチャートである。
メタ情報分析部34は、基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツの質的データであるメタ情報を、メタ情報格納部31から取得する(S30)。続いて基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツのメタ情報に対してコレスポンデンス分析を実施し(S32)、メタ情報に含まれる各属性の項目を複数の特徴変数上の得点に変換する(S34)。各メディア・コンテンツの特徴変数上の得点は、一旦分析結果格納部37に格納される。
重回帰分析部50は、印象座標格納部46から基準メディア・コンテンツの印象座標を、分析結果格納部37から各基準メディア・コンテンツの各属性の項目について与えられた特徴変数上の得点を取得し、これら二群の変数間で重回帰分析を実行する(S36)。求められた複数の重回帰式は、重回帰式格納部52に格納される(S38)。
図9は、他のメディア・コンテンツについて、コレスポンデンス分析から得られた特徴変数上の得点を印象座標に変換する処理のフローチャートである。
印象座標推定部60は、分析結果格納部37から、各他のメディア・コンテンツの各属性の項目について与えられた特徴変数上の得点を取得する(S54)。続いて、この特徴変数上の得点に対して重回帰式格納部52に格納されている重回帰式を適用して(S56)、他のメディア・コンテンツの印象空間内での印象座標を推定する(S58)。
(実施例)
以下では、一例としてメディア・コンテンツが楽曲である場合に、上述したメディア・コンテンツ情報分析装置100を用いて多数の楽曲を印象空間上に布置した実施例について説明する。しかしながら、この説明は、他のメディア・コンテンツに対しても必要な修正を施した上で適用することができる。
この実施例では、予め10万曲分の楽曲についてメタ情報を作成しておき、これらをメタ情報格納部31に格納しておいた。そしてこれら10万曲の中から100曲を選曲し、実際に複数の被験者に対して各楽曲を聴取させ、各楽曲の印象を評定させる実験を行った。印象評定実験は上述のSD法に従い、図3に示した24対の評定尺度についてそれぞれ7段階で評定させた。ここで、印象を評定する際には、楽曲の歌詞、音色等を含めた総合的な印象を評定するよう被験者に指示された。実験の条件は以下の通りである。
・被験者:8人(音楽家3人、一般人5人)
・楽曲の聴取は防音室で行う
・10曲分を一セット(約45分)とし、休憩を10〜15分挟みながら一日に3〜5セットを聴取する。
実験で得られた評定尺度は数値化され、100曲の楽曲は、各評定尺度についての得点を成分または因子に持つ24次元座標空間内の点で表される。
こうして求められた100曲分の印象評定実験結果に対して、印象座標計算部40により主成分分析を実行した。上記100曲分の評定尺度について求められた各主成分144への各評定尺度142の負荷量を図7に示す。四つの主成分144のうち、一番左の列に示した主成分は、評定尺度の上から1〜7番目について他の評定尺度よりも大きな絶対値を持つ負荷量を有していることが分かる。本願の発明者らは、これら7つの評定尺度(すなわち、「きれいな−汚い」から「一人で聴きたい−一人で聴きたくない」)に基づき、この主成分が「快さ」の印象に相当する成分と結論した。また、左から二列目に示した主成分は、評定尺度の上から16〜21番目について他の評定尺度よりも大きな絶対値を持つ負荷量を有していることが分かる。発明者らは、この6つの評定尺度(すなわち、「陽気な−悲しい」から「温かい−冷たい」)に基づき、この主成分が「明暗」の印象に相当する成分と結論した。さらに、左から三列目に示した主成分は、評定尺度の上から8〜15番目について他の評定尺度よりも大きな絶対値を持つ負荷量を有していることが分かる。発明者らは、この8つの評定尺度(すなわち、「たるんだ」−「ひきしまった」から「集中して聴きたい」−「ぼんやり聴きたい」)に基づき、この主成分が「迫力」の印象に相当する成分と結論した。
上記三つの主成分の累積寄与率は約76%であった。したがって、印象評定実験で使用された基準メディア・コンテンツとしての100曲分の楽曲の印象は、「快さ」「迫力」「明暗」の三つの主成分で十分説明できることが分かった。印象座標計算部40は、100曲の基準メディア・コンテンツの24次元座標空間内の点を「快さ」「迫力」「明暗」の三軸からなる印象空間に写像することで印象座標を計算し、印象座標格納部46に格納する。
上記印象評定実験とは別に、メタ情報分析部34は、100曲の基準メディア・コンテンツおよびそれ以外の他のメディア・コンテンツのメタ情報を使用して、コレスポンデンス分析のためのクロス集計表を作成する。
図10は、クロス集計表の一例を示す。クロス集計表150では、図4に示した複数の属性のうち「動物に例えたら」を選択し、これに含まれる項目「イヌ」「ネコ」等を列要素156として配列し、それ以外の全ての属性152(例えば、「花に例えたら」など)に含まれる全ての項目を、行要素154として配列する。そして、行要素と列要素のいずれにも合致するメディア・コンテンツの数をカウントする。図10の例であれば、「動物に例えたら」属性の項目「イヌ」に印が付けられたコンテンツのうち、「バラ」「ひまわり」「チューリップ」「コスモス」「サクラ」の各項目にも印が付けられたメディア・コンテンツの数を、基準メディア・コンテンツのメタ情報32および他のメディア・コンテンツのメタ情報33の全体の情報の中でカウントする。
メタ情報分析部34は、周知のコレスポンデンス分析によって、図10のクロス集計表を説明する複数の特徴変数を計算する。この実施例では、三つの特徴変数までの累積寄与率が約74%となり、三つの特徴変数でクロス集計表の全体データを十分説明できることが分かった。
図11および図12は、コレスポンデンス分析で得られた三つの特徴変数1〜3の三軸上に、「動物に例えたら」属性の各項目の得点をプロットしたグラフの例を示す。図11は、特徴変数1および特徴変数2で構成される平面上への各項目のプロットであり、図12は、特徴変数1および特徴変数3で構成される平面上への各項目のプロットである。
他の属性である「花に例えたら」等についても、同様にしてコレスポンデンス分析で得られた特徴変数1〜3の三軸上に、それぞれの属性の各項目の得点をプロットしたグラフを作成することができる。
発明者らは、楽曲の各属性の項目毎にコレスポンデンス分析で得られた複数の特徴変数上の得点が与えられていることを利用して、各楽曲を三次元空間上に布置することができることに着目した。
これまでの処理によって、基準メディア・コンテンツである100曲の楽曲については、SD法による印象評定実験と主成分分析によって得られた「快さ」「迫力」「明暗」の三軸からなる印象空間内の印象座標が既に求められている。各楽曲の属性項目についてコレスポンデンス分析で得られた複数の特徴変数上の得点を用いて、各楽曲の印象座標を計算するには、「快さ」「迫力」「明暗」で表される印象座標(x、y、z)のいずれか一つを目的変数とし、各属性における複数の特徴変数上の得点を説明変数とする重回帰式を求めればよい。
具体的には、以下の手順で行う。まず、重回帰分析部50は、基準メディア・コンテンツであるいずれか一つの楽曲を選択し、その楽曲の印象座標(x、y、z)を印象座標格納部46から取得する。続いて、重回帰分析部50は、選択した楽曲のメタ情報を参照して、印が付けられている属性の項目が何であるかを確認する。続いて、分析結果格納部37から各属性の項目について求められた特徴変数上の得点を取得し、それらを用いて以下のような重回帰式を作成する。
x=wx1・(属性A1)+wx2・(属性A2)+wx3・(属性A3)+wx4・(属性B1)+wx5・(属性B2)+wx6・(属性B3)+・・・+b 式(1)
ここで、wxiは座標xについての重み係数であり、(属性A1)は、属性Aの次元1(特徴変数1)の得点であることを表し、上記式(1)はメタ情報に含まれる全ての属性について重み付き加算を求めることを表している。例えば属性が五つある場合、それぞれ三つの特徴変数上の得点があるので、重み係数wx1からwx15までの分について加算する。また、bは定数である。他の印象座標y、zについても同様の重回帰式を作成する。
各楽曲について、実際には属性内の各項目について得点が与えられているので、一つの属性内で複数の項目に印が付けられているときは、各項目の得点の重心を求めてそれを属性の得点とする。一つの属性内でいずれの項目にも印が付けられていないときは、全ての項目の得点の重心を求めてそれを属性の得点とする。
図13は、列162に示した各楽曲について、属性「動物に例えたら」と属性「花に例えたら」についての特徴変数1〜3の得点を求めた表160である。行164における「動物1」〜「動物3」は、それぞれ属性「動物に例えたら」についての特徴変数1〜特徴変数3上の得点であることを示している。「花1」〜「花3」についても同様である。この得点を用いて、基準メディア・コンテンツの全楽曲について、それぞれx、y、zの三つの重回帰式が作成されることになる。
そして、重回帰分析部50は、基準メディア・コンテンツの各楽曲の印象座標を式(1)に代入し、最小二乗法を用いて全楽曲についての誤差が最小となる重み係数wを計算する。
図14は、重み係数についての計算結果を示す表170である。左列172は属性を表し、属性の後の数字はコレスポンデンス分析によって得られた特徴変数の識別子を表す。右3列174は、「快さ」「迫力」「明暗」(つまり、x、y、z)の軸毎に、各属性の各特徴変数上の得点に付与される重み係数を表している。「快さ」「迫力」「明暗」の各軸について、それぞれ重相関係数を計算すると約0.9前後となり、精度の良い重回帰式が求められたことが分かる。
重回帰分析部50は、得られた重み係数を各軸毎に式(1)に代入したものを、複数の重回帰式として重回帰式格納部52に格納する。このように、楽曲毎に各属性についての各特徴変数上の得点に重み付けをした上で、印象座標との重回帰計算を行うことで、印象評定実験の結果とメタ情報の属性の項目との関連性を求めることができる。
印象座標推定部60は、基準メディア・コンテンツ以外の他のメディア・コンテンツである各楽曲のメタ情報を参照して、印が付けられている属性の項目が何であるかを確認する。続いて、分析結果格納部37から、各楽曲の各属性の項目について与えられた複数の特徴変数上の得点を取得し、それらを上述の重回帰式に代入することによって、その楽曲の印象座標を推定することができる。このようにして、他のメディア・コンテンツについても、印象評定実験を経ることなく印象座標を求めることができる。
図15は、基準メディア・コンテンツであるいくつかの楽曲について、印象評定実験により求められた印象座標(図中、白抜きの記号で示す)と、重回帰式により求められた座標(図中、黒抜きの記号で示す)とを表したグラフである。形状が同じ記号は、同一の楽曲であることを示している。図示のように、重回帰式を用いることで、印象座標を精度良く推定できることが分かる。
上述したように、メタ情報の各属性の各項目に対して、コレスポンデンス分析により複数の特徴変数上の得点が与えられたため、これを利用して、ユーザが選択した特定の項目に最も適合するメディア・コンテンツを全メディア・コンテンツから選び出すことができる。
図16は、ユーザの選択した複数の属性にわたる複数項目に適合するメディア・コンテンツを選択する処理のフローチャートである。
ユーザが端末10を用いて、メタ情報に含まれる特定の項目の組を選択すると、その情報が入力部24により受け取られる(S70)。項目受取部36が特定の項目の組を受け取り、それぞれの項目に与えられた各特徴変数上の得点を分析結果格納部37から取得し、印象座標推定部60に出力する(S72)。
印象座標推定部60内の適合コンテンツ選択部62は、重回帰式格納部52から重回帰式を取得し、各項目の特徴変数上の得点を代入して(S74)、各項目に対応する印象座標を推定する(S76)。次に、適合コンテンツ選択部62は、これら各項目に対応する印象座標の重心を求める(S78)。この重心座標は、特定の項目の組が印象空間内で占める重心と考えることができ、この重心位置から所定の距離内に含まれるメディア・コンテンツを、ユーザの選択した特定の項目の組に適合したコンテンツとして出力する(S80)。なお、ユーザの選択した項目が一つであれば、重心を求める必要はない。
これにより、大量のメディア・コンテンツの中から、ユーザの気分やシチュエーションに合ったコンテンツを容易に抽出することができる。例えば、「ゾウ」の印象に適した音楽を聴きたいといった気分のときには、属性の項目として「ゾウ」を選択すればよい。このように、歌手名、曲名、作曲家といったメタデータを利用する従来の音楽管理ソフトにおける楽曲の検索とは全く異なるやり方で、所望のコンテンツを検索できるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、一部の基準メディア・コンテンツについて印象評定実験を行うことによって、それ以外の多数のメディア・コンテンツを、印象評定実験を行うことなく「快さ」「迫力」「明暗」の軸からなる印象空間内に布置することができる。一般に、印象空間に布置すべきメディア・コンテンツの数が膨大になると、それらの印象を一つずつ評定することは、莫大な時間を要するために実際的に不可能であるが、本実施形態では、印象評定実験と、メタ情報と、統計的手法とを組み合わせることで、多数のメディア・コンテンツの印象座標を短期間に推定することを可能にした。
また、定性的な印象で把握されるメディア・コンテンツを多次元の印象空間内に布置することによって、メディア・コンテンツをある程度定量的に把握することが可能になる。例えば、ユーザが収集したりまたは業者が提供しているメディア・コンテンツの全体の傾向を、印象空間内の座標分布によって直感的に把握することができる。また、ユーザが体験中のメディア・コンテンツに対応する座標を印象空間内で選択することで、その座標から所定の範囲内に座標が位置するメディア・コンテンツを、類似コンテンツとしてユーザに提案または提供することが可能になる。さらに、ユーザが特定の属性を選択することで、その属性に適合するメディア・コンテンツをユーザに提供することが可能になる。
上述の特許文献1および2で示したような従来の印象検索手法では、対象となる楽曲の音響信号そのものを入力して楽曲パラメータを算出しなければならないのに対し、本実施形態では、メディア・コンテンツの印象座標を定めるにあたり、メディア・コンテンツそのもののデータを必要としない点に注意すべきである。印象座標の計算に用いられるのは、基準メディア・コンテンツについての印象評定実験結果と、全メディア・コンテンツのメタ情報のみである。このため、全メディア・コンテンツのメタ情報が準備されているという条件の下では、例えば楽曲を空間内に布置する場合に、全楽曲データの数値計算が必要となる従来技術と比較して、計算に要する時間が少なくて済み、また処理能力が比較的低いコンピュータを情報分析装置として用いることが可能になる。
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、本実施例において示された各機能ブロックの単体若しくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
上述の実施の形態および実施例では、印象空間を構成する三軸を「快さ」「迫力」「明暗」で表したが、これらに限定される訳ではない。心理的な印象に対応する軸として、「鋭さ」「力動感」「ユニークさ」「美しさ」「汚さ」「開放感」などの種々の軸を設定することも可能であり、また多次元印象空間はこれらの軸のうち任意の複数の軸で構成することができる。したがって、本発明は、印象空間の軸の名称によって何ら限定を受けるものではない。
上述の実施の形態および実施例では、メディア・コンテンツが楽曲ある場合について説明したが、本発明は様々なメディア・コンテンツに対して適宜必要な修正を加えた上で適用することが可能である。一例として、動画等の映像コンテンツ、音響信号を含まない小説、ブログ等のテキストコンテンツ、漫画、絵画等の画像コンテンツについても、大量のコンテンツについてそれらを印象空間内の印象座標として布置することができる。さらに、一つのコンテンツ内で印象の異なる複数の楽曲や映像が使用される映画等のコンテンツでも、全体の印象を基にして印象評定実験を実施し、またメタ情報を作成しておけば、本発明を適用することが可能である。
10 端末、 20 実験結果格納部、 24 入力部、 30 メタ情報処理部、 31 メタ情報格納部、 32 基準コンテンツのメタ情報、 33 他のコンテンツのメタ情報、 34 メタ情報分析部、 35 特徴変数変換部、 36 項目受取部、 37 分析結果格納部、 40 印象座標計算部、 42 主成分分析部、 44 因子分析部、 46 印象座標格納部、 50 重回帰分析部、 52 重回帰式格納部、 60 印象座標推定部、 62 適合コンテンツ選択部、 64 表示出力部、 100 メディア・コンテンツ情報分析装置。

Claims (8)

  1. 複数の基準メディア・コンテンツの印象評定実験結果を保持する実験結果格納部と、
    前記印象評定実験結果に基づき、メディア・コンテンツから受ける印象に対応する複数の軸からなる多次元印象空間内で、前記基準メディア・コンテンツのそれぞれが布置される印象座標を計算する印象座標計算部と、
    前記基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツのメタ情報を保持するメタ情報格納部と、
    前記基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツのメタ情報に所定の統計分析を施すことによって、メタ情報の特徴を抽出した複数の特徴変数上の得点に変換するメタ情報分析部と、
    前記複数の特徴変数上の得点を格納する分析結果格納部と、
    前記基準メディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点を前記分析結果格納部から取得し、該複数の特徴変数上の得点と前記印象座標とを複数の重回帰式によって関連づける重回帰分析部と、
    前記他のメディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点を前記分析結果格納部から取得し、該複数の特徴変数上の得点を前記複数の重回帰式に適用することによって、前記他のメディア・コンテンツの印象座標を推定する印象座標推定部と、
    を備えることを特徴とするメディア・コンテンツ情報分析装置。
  2. 前記メタ情報格納部は、各メディア・コンテンツの属性を表現する質的データをメタ情報として格納し、
    前記メタ情報分析部は、前記質的データに対してコレスポンデンス分析を施して前記複数の特徴変数に変換することを特徴とする請求項1に記載のメディア・コンテンツ情報分析装置。
  3. ユーザがメタ情報を構成する一つまたは複数の属性に含まれる一つまたは複数の特定の項目の組を選択したことを入力として受け取る入力部と、
    各特定の項目に与えられた特徴変数上の得点を前記分析結果格納部から取得する項目受取部と、をさらに備え、
    前記印象座標推定部は、各特定の項目について変換された複数の特徴変数を前記重回帰式に適用することによって各項目に対応する印象座標を推定し、推定した各印象座標の重心位置を計算し、該重心位置から所定の距離内にあるメディア・コンテンツを、前記特定の項目の組に適合したコンテンツとしてユーザに提示することを特徴とする請求項1または2に記載のメディア・コンテンツ情報分析装置。
  4. 前記多次元印象空間は、心理的な印象を表す特徴軸の組合せで構成される空間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のメディア・コンテンツ情報分析装置。
  5. 前記多次元印象空間内での各メディア・コンテンツの印象座標を画像表示器に表示させる表示出力部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のメディア・コンテンツ情報分析装置。
  6. 前記実験結果格納部は、前記基準メディア・コンテンツについてSD法による印象評定実験結果を保持しており、
    前記印象座標計算部は、SD法による印象評定結果に対して主成分分析または因子分析を施して多次元印象空間の軸を決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のメディア・コンテンツ情報分析装置。
  7. コンピュータで実行されたときに、複数のメディア・コンテンツを多次元印象空間内の対応する座標に布置させるメディア・コンテンツ情報分析プログラムであって、
    複数の基準メディア・コンテンツの印象評定実験結果をメモリから取得し、メディア・コンテンツから受ける印象に対応する複数の軸からなる多次元印象空間内で前記基準メディア・コンテンツのそれぞれが布置される印象座標を計算する機能と、
    前記基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツについて予め保持されているメタ情報をメモリから取得し、該メタ情報に所定の統計分析を施すことによって、複数の特徴変数上の得点に変換する機能と、
    前記複数の特徴変数上の得点をメモリに格納する機能と、
    前記基準メディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点をメモリから取得し、該複数の特徴変数上の得点と前記印象座標とを複数の重回帰式によって関連づける機能と、
    前記他のメディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点をメモリから取得し、該複数の特徴変数上の得点を前記複数の重回帰式に適用することによって、前記他のメディア・コンテンツの印象座標を推定する機能と、
    を含むことを特徴とするメディア・コンテンツ情報分析プログラム。
  8. 複数のメディア・コンテンツを多次元印象空間内の対応する座標に布置させる方法であって、
    複数の基準メディア・コンテンツの印象評定実験結果をメモリから取得し、メディア・コンテンツから受ける印象に対応する複数の軸からなる多次元印象空間内で前記基準メディア・コンテンツのそれぞれが布置される印象座標を計算し、
    前記基準メディア・コンテンツおよび他のメディア・コンテンツについて予め保持されているメタ情報をメモリから取得し、該メタ情報に所定の統計分析を施すことによって、複数の特徴変数上の得点に変換し、
    前記複数の特徴変数上の得点をメモリに格納し、
    前記基準メディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点をメモリから取得し、該複数の特徴変数上の得点と前記印象座標とを複数の重回帰式によって関連づけ、
    前記他のメディア・コンテンツについて求められた複数の特徴変数上の得点をメモリから取得し、該複数の特徴変数上の得点を前記複数の重回帰式に適用することによって、前記他のメディア・コンテンツの印象座標を推定することを含むメディア・コンテンツ情報分析方法。
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