JP5093186B2 - リアクトル - Google Patents
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そして、コイル92に通電(図10、図11における符号I0)することによりこのコイル92の内側及び外周には磁束が形成される。この磁束は、ケース94の側壁941の周方向に略直交する方向に形成される。
すなわち、磁束は、コア93とケース94との境界面付近を通過する。このとき、上記磁束の電磁誘導によってケース94内の各部に微量の渦電流が発生する。そして、この微量な渦電流が互いに合流して、上記磁束のうちケース94内を通過する部分に直交する閉じた経路上において、周状に比較的大きな渦電流I1が流れることとなる。
したがって、従来においては、渦電流の発生の抑制とケースの強度確保との両立を図ることが困難となっていた。
樹脂に磁性粉末を混入させてなる磁性粉末混合樹脂からなるとともに上記コイルの内側及び外側において該コイルの巻回形状に沿って形成された本体部と、該本体部の外周面から上記コイルの巻回径方向の外側に向かって突出してなるとともに上記本体部と一体化した状態で形成される複数の被係合部とを有するコアと、
上記被係合部を係合するとともに内側面において上記コイルの巻回径方向の外側に向かって窪んだ状態で形成される係合部を複数備え、かつ、上記コイル及び上記コアを内側に収納するケースと、
該ケースの上記係合部内の一部であって上記ケースと上記コアとの間に配された電気的絶縁性を有する絶縁体と、を有し、
上記コアの上記被係合部は、上記本体部の周方向の複数箇所に配置され、隣り合う上記被係合部同士は互いに離間しており、
上記ケースの上記係合部内には、該係合部と上記コアの上記被係合部とが互いに接触している部分と、上記絶縁体が上記係合部と上記被係合部との間に介在している部分との双方が存在することを特徴とするリアクトルにある(請求項1)。
樹脂に磁性粉末を混入させてなる磁性粉末混合樹脂からなるとともに上記コイルの内側及び外側において該コイルの巻回形状に沿って形成され、かつ、外周面において上記コイルの巻回径方向の内側に向かって窪んでなる一又は二以上の凹状の被係合部を有するコアと、
上記被係合部に係合した状態で配される電気的絶縁性を有する絶縁体と、
上記絶縁体を係合するとともに内側面において上記コイルの巻回径方向の外側に向かって窪んだ状態で形成される係合部を備え、かつ、上記コイル及び上記コアを内側に収納するケースと、
を有することを特徴とするリアクトルにある。
上記コアは上記被係合部を備え、上記ケースは上記係合部を備えており、ケースの係合部内の一部であってケースとコアとの間に上記絶縁体が配されている。これにより、渦電流の発生を抑制することのできるリアクトルを得ることができる。
その結果、ケース内においてリアクトル性能に不要な渦電流が流れることによって発生する損失を低減することができる。これにより、不要な発熱を抑制することができるとともに、リアクトルのインダクタンスの低下を抑制することができる。
上記コアは上記被係合部を備え、上記ケースは上記係合部を備え、コアの被係合部とケースの係合部との双方に絶縁体が係合される。
これにより、本発明と同様に、ケースの強度低下を抑制しつつ渦電流の発生を抑制することのできるリアクトルを得ることができる。
また、上記磁性粉末混合樹脂に用いる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、上記ケースは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等、熱伝導性に優れた金属からなることが好ましい。
この場合には、被係合部及び係合部を容易に形成することができる。そのため、生産性に優れたリアクトルを得ることができる。また、ケースにおける渦電流を効果的に抑制することができる。
この場合には、ケースにおける巻回軸方向全域にわたって、渦電流の発生を防ぐことができる。
この場合には、上記係合部及び上記被係合部における係合がないと、ケースに対してコアが回転しうるが、本発明のように係合部と被係合部とを設けることでコアの回転を確実に防ぐことができる。その結果、強度に優れたリアクトルを得ることができる。
この場合には、係合部を容易に形成することができるとともに、係合部に被係合部を容易に係合することができるため、本発明のリアクトルを容易に製造することができる。
本発明の実施例にかかるリアクトルについて、図1〜図5を用いて説明する。
本例のリアクトル1は、図1、図2に示すように、以下のコイル2と、コア3と、ケース4と、絶縁体5とを有する。
コア3は、樹脂に磁性粉末を混入させてなる磁性粉末混合樹脂からなり、以下の本体部31と、被係合部32とを有する。
被係合部32は、本体部31の外周面310からコイル2の巻回径方向の外側に向かって突出してなるとともに本体部31と一体化した状態で一又は二以上形成されている。本例においては、被係合部32は、8個形成されている。
また、ケース4は、被係合部32を係合する係合部42を備えている。かかる係合部42は、ケース4の内側面410においてコイル2の巻回径方向の外側に向かって窪んだ状態で形成される。
そして、電気的絶縁性を有する絶縁体5が、ケース4の係合部42内の一部であってケース4とコア3との間に配されている。
本例のリアクトル1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である交流モータに通電する駆動電流の生成に用いられるインバータ等の電力変換装置に備えつけられる。
コイル2は、例えば銅からなる導体線20を螺旋状に巻回して、略円筒形状となるように構成されている。
また、磁性粉末混合樹脂としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、コア3は、前述した本体部31と被係合部32とからなる。
上記本体部31は円柱形状にて形成されており、一方、上記被係合部32は略楕円柱形状にて形成されている。
被係合部32は、本例においては、本体部31の周方向において8個均等配置されているが、1個以上形成されていれば、本発明の作用効果を発揮することができる。
また、リアクトル本体10を収納する部分、すなわち、ケース4の内側面410は、略円柱形状に形成されている。
そして、係合部42は、ケース4の側壁41の内側面410において、開口部400から底面部40に向かって、底面部40に垂直に形成されている。
そして、本例においては、図1に示すように、一つの被係合部32に対して二箇所において係合部42が接触している。
まず、図3(A)に示すとおり、例えば平角状の導体線20を螺旋状に巻回してコイル2を形成する。
次いで、内側面610に離型剤を塗布してあるリアクトル本体10を形成するための成形用型6内の所定の位置にコイル2を載置する。成形用型6のキャビティは、図3(B)に示すごとく、コア3の本体部31を成形するためのメインキャビティ611と、その外周に配されると共に被係合部32を成形するための複数のサブキャビティ612とを有する。
次いで、充填した磁性粉末混合樹脂を硬化させて、内部にコイル2を埋設した状態でコア3を成形する。これにより、リアクトル本体10を得ることができる。
次いで、図4に示すごとく、予め内部に所定量の液状の樹脂50を充填してあるケース4の内側に、リアクトル本体10を挿入する。これにより、ケース4の内側面410とリアクトル本体10との間の隙間、すなわち係合部42と被係合部32との間の隙間において樹脂50を這い上がらせて、図2に示すごとく、リアクトル本体10とケース4の内側面410との間に樹脂50を充填する。
なお、樹脂50は、リアクトル本体10の底面とケース4の底面部40との間にも残り、この部分においても膜状の絶縁体5が形成されることとなる(図2)。
以上の手順により、図1、図2に示すような本例のリアクトル1を作製することができる。
上記コア3は上記被係合部32を備え、上記ケース4は上記係合部42を備えており、ケース4の係合部42内の一部であってケース4とコア3との間に上記絶縁体5が配されている。これにより、渦電流の発生を抑制することのできるリアクトル1を得ることができる。
その結果、ケース4内においてリアクトル性能に不要な渦電流が流れることによって発生する損失を低減することができる。これにより、不要な発熱を抑制することができるとともに、リアクトル1のインダクタンスの低下を抑制することができる。
これに対して、図5(B)に示すごとく、絶縁体5を設けずに、被係合部32がその全周にわたって係合部42と接触している場合には、ケース4における被係合部32の周囲にも渦電流が形成され、結果として、ケース4の全周にわたる渦電流Iが形成されることとなる。
なお、図5(C)に示すごとく、係合部42、被係合部32をも設けない場合には、渦電流Iがより円滑につながり、ケース4の全周にわたって形成されることとなる。
また、絶縁体5は、コア3の外周面において、コイル2の巻回軸方向全体にわたって形成されているため、ケース4における巻回軸方向全域にわたって、渦電流の発生を防ぐことができる。
また、係合部42は、ケース4の開口部400から底面部40に向かって形成されているため、係合部42を容易に形成することができるとともに、係合部42に被係合部32を容易に係合することができるため、本例のリアクトル1を容易に製造することができる。
本例は、実施例1におけるリアクトル1の別の製造方法の例である。
すなわち、本例は、コア3を成形するために成形用型6(図3(B))を用いず、ケース4(図4(B))の内側にコイル2と磁性粉末混合樹脂と絶縁体5とを直接充填することによりリアクトル1を形成するものである。
すなわち、導体線20を螺旋状に巻回してなるコイル2を、スペーサなどを介してケース4の内側に載置する。そして、ケース4の係合部42の内側に、成形された樹脂50を差し込んでおく。
以上の手順により、被係合部32と係合部42との間に樹脂50(絶縁体5)が介在した状態で、被係合部32が係合部42に係合されて、リアクトル1が形成される。
本例は、図6に示すように、コア3を平面視したとき係合部42及び被係合部32が略四角形状となるように形成したリアクトル1の例である。
そして、被係合部32の外側320と係合部42の対向面420との間に絶縁体5が介設されている。
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
本例は、図7に示すように、コア3の被係合部32をコイル2の巻回軸方向に対して斜めに螺旋状に形成した例である。
このコア3の形状に合わせて、ケース4の係合部42も巻回軸方向に対して斜めに形成してある(図示略)。
この場合には、被係合部32及び係合部42の形状に沿ってリアクトル本体10をケース4に対してねじ込むことにより、ケース4内にリアクトル本体10を配置することができる。その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
本例は、図8に示すごとく、被係合部32を、コイル2の巻回軸方向における係合部42の長さよりも短く形成したリアクトル1の例である。
この場合には、巻回軸方向の位置によっては、ケース4の係合部42に、コア3の被係合部32と絶縁体5とが配置されている部分と、絶縁体5のみが配置されている部分とが形成されることとなる。
その他は、実施例1と同様である。
本例は、図9に示すように、コア3が、コイル2の巻回径方向の内側に向かって窪んだ状態で外周面310に形成される複数の凹状の被係合部33を有し、この被係合部33とケース4の内側面410に形成した係合部42とに係合する絶縁体5を設けたリアクトル1の例である。
すなわち、被係合部33と係合部42との双方に係合するように配置された絶縁体5によって、コア3とケース4との係合を図っている。そして、この絶縁体5の存在によって、実施例1と同様に、ケース4における渦電流の発生を抑制することができる。
なお、本例においては、絶縁体5を円柱形状としたが、四角柱形状等、他の形状とすることもできる。
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
2 コイル
20 導体線
3 コア
31 本体部
310 外周面
32 被係合部
4 ケース
41 側壁
410 内側面
42 係合部
5 絶縁体
Claims (5)
- 導体線を螺旋状に巻回してなるコイルと、
樹脂に磁性粉末を混入させてなる磁性粉末混合樹脂からなるとともに上記コイルの内側及び外側において該コイルの巻回形状に沿って形成された本体部と、該本体部の外周面から上記コイルの巻回径方向の外側に向かって突出してなるとともに上記本体部と一体化した状態で形成される複数の被係合部とを有するコアと、
上記被係合部を係合するとともに内側面において上記コイルの巻回径方向の外側に向かって窪んだ状態で形成される係合部を複数備え、かつ、上記コイル及び上記コアを内側に収納するケースと、
該ケースの上記係合部内の一部であって上記ケースと上記コアとの間に配された電気的絶縁性を有する絶縁体と、を有し、
上記コアの上記被係合部は、上記本体部の周方向の複数箇所に配置され、隣り合う上記被係合部同士は互いに離間しており、
上記ケースの上記係合部内には、該係合部と上記コアの上記被係合部とが互いに接触している部分と、上記絶縁体が上記係合部と上記被係合部との間に介在している部分との双方が存在することを特徴とするリアクトル。 - 請求項1において、上記被係合部は、上記コイルの巻回軸方向に沿って形成されていることを特徴とするリアクトル。
- 請求項1又は2において、上記絶縁体は、上記コアの外周面において、上記コイルの巻回軸方向全体にわたって形成されていることを特徴とするリアクトル。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記コアは、略円柱形状にて形成されることを特徴とするリアクトル。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記ケースは、一方の面に形成された開口部と、該開口部と対向する底面部とを有し、上記係合部は、上記開口部から上記底面部に向かって形成されていることを特徴とするリアクトル。
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