本発明の観点によれば、選別装置によって選別された二番物を前記選別装置に還元搬送する脱穀機の二番還元装置において、以下の構成が提供される。即ち、二番還元装置は、前記二番物を搬送するための二番コンベアと、前記二番コンベアの終端部に略垂直に立設し、前記二番コンベアの軸方向に見たときに、脱穀機が備える揚穀コンベアと交差しないように配置される還元コンベアと、脱穀機において扱胴と平行に配置される処理胴よりも低い高さであって、当該脱穀機の一側の側壁の内外に跨るように、かつ前記還元コンベアと前記揚穀コンベアとの間に配置され、前記還元コンベアの終端部から投入される二番物を処理するための二番処理装置と、を備える。そして、前記二番処理装置は、前記二番物を処理した後の処理物を放出する。この処理物の放出方向は、前記選別装置の穀粒搬送方向上流側に向かう成分又は前記選別装置の幅方向成分の少なくとも何れか一方を含む。また、前記二番処理装置からの処理物の放出軌跡が、前記処理胴からの漏下物の落下軌跡と交差する。
これによれば、還元コンベアの配置が略垂直になるので、還元コンベアを配置するためのスペースを小さくすることができる。これにより、脱穀機の幅方向を短縮することができ、又は、脱穀機内のスペースを有効に活用することができる。また、二番処理装置によって処理物を放出するので、二番還元装置をシンプルな構成とすることができる。更に、処理物の放出方向が選別装置の上流側に向かう成分を含む場合、その処理物を選別装置によって効率良く選別できる。一方、処理物の放出方向が選別方向の幅方向成分を含む場合、二番物が選別装置の幅方向に十分に拡散され、選別装置の選別効率をより向上させることができる。また、二番処理装置からの処理物の放出軌跡が前記処理胴からの漏下物の落下軌跡と交差するので、前記処理胴によって処理された漏下物に対し、二番処理装置から放出された処理物を衝突させて、漏下物の落下地点を選別装置の搬送方向上流側に移動させることができる。これにより漏下物に対し選別装置で十分に選別処理でき、選別能力を向上させることができる。また、還元コンベアと揚穀コンベアとが交差しないので、還元コンベアと揚穀コンベアとを、脱穀機の一側の小さな幅のスペースに干渉させずに配置できる。従って、脱穀機の幅方向のスペースを有効に利用することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係るコンバインの側面図、図2はコンバインの平面図である。なお、以下の説明では、単に「左側」「右側」等というときは、コンバインの前進する方向に向かって左側及び右側を意味するものとする。
図1に示すように、本実施形態のコンバイン10は、稲、麦等の株元を刈り取るための刈取部12を機体前部に備え、進行部としてのクローラ部11を機体下部に備えて構成されている。そして図2に示すように、コンバイン10の左側の上部には、刈り取った穀稈を脱穀するための脱穀機14が備えられる。また、この脱穀機14と並設するように、グレンタンク15がコンバイン10の上部右側に備えられている。
グレンタンク15の前方には、コンバイン10を操作するための運転部17が配置されている。この運転部17には運転操作部52及び運転座席53等が設けられており、この運転操作部52を操作することによって刈取や走行等、コンバイン10の各種の操作を行うように構成されている。前記運転部17の下方には、コンバイン10の駆動源としてのエンジン18が配置されている。
図1に示すクローラ部11はコンバイン10の左右両側に配置されており、このクローラ部11が駆動することでコンバイン10を走行させるように構成されている。そして、この左右のクローラ部11を後述の走行ミッション装置によって制御することで、コンバイン10の走行方向及び速度の調節が可能になっている。
刈取部12は、前処理部25と、刈刃部13と、掻込装置47と、図略の搬送部と、を備えている。前処理部25はコンバイン10の機体の前方下部に配置され、分草板45と、引起し装置46とによって構成されている。引起し装置46は図略のタインを備えており、倒伏した作物を拾い上げたり、穂先を一定の幅に収束させたりする引起し作業を行う。分草板45は、刈り取るべき幅を規定するためのものであり、また、倒伏した状態の稲等を当該分草板45がすくい上げることによって、引起し装置46による前記引起し作業を容易にする。
刈刃部13は刈刃と受刃とを備えており、両者が左右に駆動されることによって作物の株元を切り取る。また、掻込装置47は刈刃部13の上方に配置されており、この掻込装置47は、刈刃部13によって切断された稈を掻き込み、図略の搬送部に受け渡す。この搬送部は搬送チェーン及び縦搬送チェーン等を備えており、後述の脱穀機14のフィードチェーン16に稲の株元を搬送するよう構成されている。
脱穀機14はフィードチェーン16を備え、このフィードチェーン16によって穀稈を挟持しながら搬送して脱穀するよう構成されている。穀稈の脱穀後、穀粒が藁屑より選別分離されて、精粒は一番物として前記グレンタンク15に貯溜される。藁屑は、コンバイン10後部に備えられる排藁カッター48によって適宜の長さに切り刻まれ、機外へ排出される。
次に図3、図4を参照して脱穀機14について説明する。図3は脱穀機14の構成を示す側面図である。図4は脱穀機14の背面図である。
脱穀機14は穀稈脱穀用の扱胴30を備え、この扱胴30は脱穀機14内の前部上方に設置されている。扱胴30は、その先端部が面取りされた円筒形状に構成されており、その中心軸を前記フィードチェーン16の搬送方向に略沿わせるように向けて配置されている。
扱胴30の外周には複数の扱歯81が植設されている。また、扱胴30の下方位置には粗選別を行うためのクリンプ網34が備えられる。このクリンプ網34は、扱胴30の下部を覆うように円弧面状に構成されている。
この構成で、穀稈はフィードチェーン16に挟持された状態で脱穀機14に搬送され、扱胴30の回転による衝撃作用、扱歯81によるしごき作用、そしてクリンプ網34によるもみほぐし作用等によって脱粒される。
脱穀機14は、扱胴30の終端部近傍に配置される送塵口処理胴31を備えている。この送塵口処理胴31は円筒状に形成され、その中心軸が扱胴30の中心軸と平行となるように配置されている。また、図3及び図4に示すように、送塵口処理胴31は、扱胴30の終端部と送塵口処理胴31の先端部がラップするようにして、扱胴30の右側に配置される。
送塵口処理胴31の外周には螺旋状の扱歯82が備えられている。また、送塵口処理胴31の下方には送塵口処理用クリンプ網99が備えられる。この送塵口処理用クリンプ網99は、送塵口処理胴31の下部を覆うように円弧面状に形成されている。
この構成で、扱胴30終端から送り出された籾、藁屑等は、送塵口処理胴31によって処理されるとともに、送塵口処理用クリンプ網99で粗選別される。粗選別後の籾や藁屑等は、後述する揺動選別装置32に漏下物100として落下する。
脱穀機14は、扱胴30及び送塵口処理胴31の下方に左右方向に横設される揺動選別装置32を備えている。また、揺動選別装置32の更に下方には風選別装置33が配置される。この揺動選別装置32と風選別装置33によって、脱穀機14における選別装置が構成されている。この構成で、脱穀された穀粒は、前記揺動選別装置32及び風選別装置33によって、精粒である一番物と、枝梗付き穀粒や穂切れ粒等である二番物とに選別される。
揺動選別装置32について説明する。この揺動選別装置32は、穀粒搬送方向の上流から下流に向かって順に、フィードパン35と、チャフシーブ36と、ストローラック37と、を備えている。フィードパン35は多量の穀粒が落下する場所に配置されており、後の選別を効率的に行うために、籾層を平均化する前処理を行う。チャフシーブ36は、フィードパン35から送られた穀粒と藁屑の粗選別を行うためのものであり、揺動選別装置32の幅方向に横架された複数のチャフフィンを備えている。このチャフフィンの角度は変更可能に構成されており、この角度を調節することによって穀粒の漏下量を調節することができる。例えば、チャフシーブ36上に堆積する籾層が厚い場合には、チャフシーブ36の角度を大きくすることで籾の漏下量を増加させて処理能力を増大させる一方、堆積する籾層が薄い場合には、チャフシーブ36の角度を小さくすることで籾の漏下量を制限して藁屑等の混入を防止することができる。ストローラック37は、藁屑をほぐすとともに、藁屑中に存在する穀粒を、再選別のために後述の二番コンベア24に落下させる。
次に風選別装置33について説明する。この風選別装置33は、唐箕ファン38と、セカンドファン55と、グレンシーブ39と、を備えている。唐箕ファン38はフィードパン35の下方に配置されるとともに、揺動選別装置32の幅方向に横設されている。セカンドファン55は、唐箕ファン38の後方に配置され、一番コンベア23と二番コンベア24の間に横設されている。グレンシーブ39はチャフシーブ36の下方に配置される。
以上の構成で、グレンシーブ39より落下してくる籾、藁屑等に対して、唐箕ファン38が生起する選別風が当てられる。そして、この選別風にかかわらず略垂直に落下する比重の重い物は一番コンベア23へ送られるとともに、比重のやや軽い物は二番物として二番コンベア24上に飛ばされる。以上により、脱穀後の処理物を比重選別することができる。なお、選別装置の選別精度を上げるために、比重が若干軽い程度の物についても二番コンベア24に落下するように選別風の強度等が調整されている。また、セカンドファン55は前述したように一番コンベア23の後方に配置されており、唐箕ファン38からの選別風が弱くなる下流側で補助風を生起し、藁屑等を確実に下流側へ吹き飛ばすように構成されている。
また、揺動選別装置32の終端部には吸引ファン(図3において図略)が備えられ、この吸引ファンによって選別後の藁屑等が吸塵され機外に排出されるように構成されている。
かかる揺動選別装置32と風選別装置33との相互作用により、脱穀後の処理物は、穀稈が搬送されてくる機体前方側から後方側に向けて運ばれ、一番物と二番物に選別される。
図4に示すように、前記一番コンベア23の搬送方向下流側の端部は脱穀機14の側壁90から突出するとともに、この突出部分には揚穀筒19が接続されている。この揚穀筒19は上下方向に向けて配設されるとともに、その内部には、一番物を上方のグレンタンク15に向けて運ぶための揚穀コンベア21が設けられている。この構成で、前記選別装置によって選別されて一番コンベア23に落下した一番物は、当該一番コンベア23によって図3の紙面手前側から奥側へ搬送される。そして一番物は、一番コンベア23の終端部から揚穀コンベア21に受け継がれ、前記グレンタンク15まで搬送される。
また、前記二番コンベア24の搬送方向下流側の端部は図4に示すように脱穀機14の側壁90から突出するとともに、この突出部分に還元筒20が接続されている。この還元筒20は上下方向に向けて配設されるとともに、その内部には、二番物を上方へ運ぶための還元コンベア22が設けられている。なお、この還元コンベア22は、揚穀コンベア21とほぼ平行な向きとなるように配設されている。この構成で、前記選別装置によって選別されて二番コンベア24に落下した二番物は、当該二番コンベア24によって図3の紙面手前側から奥側へ搬送される。そして二番物は、二番コンベア24の終端部から還元コンベア22に受け継がれ、上方へ搬送される。
還元コンベア22を搬送されてきた二番物は、二番処理装置44で処理され、揺動選別装置32上に還元される。なお、この二番物の還元のための構成の詳細については後述する。
以上に示すように、コンバイン10によって刈り取られた稲等から脱穀された穀粒は、選別装置によって一番物と二番物に選別される。そして選別された一番物は、一番コンベア23及び揚穀コンベア21を介してグレンタンク15に集積される。グレンタンク15内に貯溜された一番物は、前記排出オーガ51を介して機外に排出される。一方、二番物は、二番コンベア24、還元コンベア22及び二番処理装置44を経由して前記揺動選別装置32上に戻され、再び選別される。
次に図5を参照して脱穀機14及び選別装置の駆動伝達構成について説明する。図5はコンバイン10の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
本実施形態のコンバイン10が備えるエンジン18の動力は、エンジン18の出力軸60から、クローラ部11を駆動させる走行ミッション装置61、脱穀機14の各部、排出オーガ51及び刈取部12にそれぞれ分岐して伝達される。
エンジン18の駆動力の一部は、動力の断接制御のための脱穀クラッチ71を介して、唐箕ファン38及び一番コンベア23に伝達される。この駆動力は更に、セカンドファン55、二番コンベア24、揺動選別装置32、吸引ファン40、排藁カッター48、及びフィードチェーン16へ伝達される。
エンジン18の駆動力の一部は、扱胴駆動軸49を経由して扱胴30及び送塵口処理胴31に伝達される。また、扱胴30に伝達された駆動力は、更に、排藁を前記排藁カッター48へ搬送するための排藁搬送部76へ伝達される。
前記一番コンベア23の端部にはベベルギア等を介して揚穀コンベア21が連結されており、一番コンベア23に伝達された駆動力によって揚穀コンベア21が駆動されるようになっている。
また、前記二番コンベア24の端部には還元コンベア22がベベルギア等を介して連結されており、更に還元コンベア22の端部には二番処理装置44の入力軸が連結されている。これにより、二番コンベア24に伝達された駆動力は、更に還元コンベア22及び二番処理装置44へ伝達される。
グレンタンク15には、前記排出オーガ51へ穀粒を搬送するための底コンベア67及び縦コンベア68を備えている。また、排出オーガ51には排出コンベア69が内蔵されている。エンジン18の駆動力の一部はこれらのコンベアにも伝達され、それぞれのコンベアを駆動することができる。
次に二番還元装置の詳細について説明する。図6は、二番処理装置44及びその周辺を示す平面図である。図7は、二番処理装置44及びその周辺を示す正面図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態の二番還元装置は、前記二番コンベア24と、前記還元コンベア22と、二番処理装置44と、を備える。この二番処理装置44は、脱穀機14内の送塵口処理胴31より低い高さの位置に配置されるとともに、脱穀機14の一側の側壁90の内外に跨るように配置されている。
二番処理装置44は、回転可能な二番処理胴42と、この二番処理胴42を収容する円筒形状の二番処理ハウジング43と、を備えている。この二番処理ハウジング43が脱穀機14の外側にせり出している部分は、ケーシング54で覆われている。図6に示すように、二番処理胴42(二番処理装置44)は還元筒20と揚穀筒19との間に配置されている。
図4等に示すように、前記ケーシング54には、還元コンベア22を内蔵する還元筒20が接続されている。また、図6に示すように、ケーシング54の内部にはプーリ、ベルト及びギア等からなる伝達部87が備えられており、還元コンベア22からの駆動力を二番処理装置44に伝達できるように構成されている。
前記ケーシング54の内部において、前記還元筒20の上端には二番物投入口56が備えられる。還元筒20内の二番物は、この二番物投入口56を介して二番処理装置44に投入できるように構成されている。また、前記二番処理装置44の二番処理ハウジング43は、その上方が開放されており、前記二番物投入口56から投入された二番物を受入れ可能となっている。
前記二番物投入口56に対面する位置において、還元コンベア22の軸部には送穀羽根83が固定される。この構成で、還元コンベア22を搬送されてきた二番物は、前記送穀羽根83によって、二番物投入口56から押し出されるようにして二番処理装置44に投入される。
前記二番処理胴42は、その中心軸を上下方向に向けて配置され、前記還元コンベア22の動力が伝達部87を介して伝達されることで回転駆動される。この二番処理胴42の外周には処理歯84が突設される一方、前記二番処理ハウジング43の内壁にはツースバー85が備えられている。この構成で、二番処理胴42が回転すると、前記処理歯84と前記ツースバー85とが籾と枝梗を分離させ、単粒化することができる。
図6及び図7に示すように、二番処理ハウジング43が脱穀機14の内部空間に露出する部分において、処理後の二番物を放出するための開口部57が備えられている。また、この開口部57に対面する位置において、二番処理胴42の下部には跳出し羽根86が固定される。この跳出し羽根86は、二番処理胴42とともに回転するように構成されている。
この構成で、還元コンベア22によって搬送されてきた二番物は二番処理装置44によって処理され、二番処理物101となって前記開口部57から揺動選別装置32上に放出される。このとき、二番処理胴42は、図6に示すように、前記跳出し羽根86によって二番処理物101を斜め前方へ押し出すように回転する。従って、二番処理物101は、この開口部57から揺動選別装置32の前部(揺動選別装置32の穀粒搬送方向上流側)に向かって水平に放出される。
前記開口部57は円弧状に大きく開口されているので、二番処理物101は前記跳出し羽根86の回転によって様々な角度で(略扇状に)放出されるが、殆どの場合、斜め前方に向けて放出される。即ち、処理物の放出方向は図8の白抜き矢印で示すように、揺動選別装置32の穀粒搬送方向上流側に向かう成分を含むと同時に、揺動選別装置32の幅方向成分も含んでいる。従って、放出された二番処理物101は、揺動選別装置32の穀粒搬送方向上流側に落下するとともに、揺動選別装置32の幅方向で広範囲の領域に撒かれることになる。
ここで、前述したように、二番処理装置44は送塵口処理胴31よりも低い高さに配置される。また前記二番処理装置44から斜め前方に放出される二番処理物101の軌跡は、図8に示すように、送塵口処理胴31で処理されて送塵口処理用クリンプ網99から垂直に落下する漏下物100と交差する。
従って、送塵口処理用クリンプ網99から落下する漏下物100の一部は、二番処理装置44から放出される二番処理物101と衝突し、当該漏下物100は斜め前方に押し出される形となる。更に、二番処理装置44による起風等によっても漏下物100は斜め前方に押し出される。具体的には、二番処理胴42(跳出し羽根86)の回転によって、開口部57から揺動選別装置32の斜め前方に向かって流れる風が生起され、前記漏下物100は、この風の流れによっても斜め前方に押し出される。これらによって、漏下物100の落下地点を揺動選別装置32の上流側方向及び幅方向へ移動させることができるので、漏下物100の選別効率を向上させることができる。特に、漏下物100が堆積しやすい送塵口処理胴31の下方においても、本実施形態の二番処理装置44によって漏下物100が揺動選別装置32の中央側へと押し出されるので、拡散による選別効率の向上に寄与する効果が高い。また、二番処理物101及び漏下物100は、互いに衝突することで拡散し、揺動選別装置32上に広く均等に撒かれる。従って、この意味でも選別ロスを低減することができる。
以上に示すように、本実施形態の脱穀機14の二番還元装置は、前記二番物を搬送するための二番コンベア24と、二番コンベア24の終端部に略垂直に立設する還元コンベア22と、還元コンベア22の終端部から投入される二番物を処理するための二番処理装置44と、を備える。また、二番処理装置44は二番処理物101を放出するよう構成されている。その放出方向は、揺動選別装置32の穀粒搬送方向上流側に向かう成分、及び、前記揺動選別装置32の幅方向成分の両方を含むように、斜め前方を向いている。
この構成により、還元コンベア22の配置が略垂直になるので、還元コンベア22を配置するためのスペースを小さくすることができる。これにより、脱穀機14の幅方向を短縮することができ、又は脱穀機14内のスペースを有効に活用することができる。また、二番処理装置44によって二番処理物101を揺動選別装置32の上流側に放出するので、その二番処理物101を揺動選別装置32で効率良く選別できる。更に、二番処理物101を揺動選別装置32の上流側へ搬送するための特別な構成が不要になるので、二番還元装置をシンプルな構成とすることができる。更に、二番処理物101が揺動選別装置32の幅方向に十分に拡散されるので、揺動選別装置32の選別効率をより向上させることができる。
また、前記二番処理装置44は、脱穀機14において扱胴30と平行に配置される送塵口処理胴31よりも低い高さの位置に配置される。そして、二番処理装置44からの二番処理物101が放出される軌跡は、図8等に示すように、送塵口処理胴31からの漏下物100の落下軌跡と交差している。
この構成により、送塵口処理胴31によって処理された漏下物100に対し、二番処理装置44から放出された二番処理物101を衝突させて、漏下物100の落下地点を揺動選別装置32の搬送方向上流側や揺動選別装置32の中央側に移動させることができる。また、二番処理装置44が備える二番処理胴42の回転によって風が生じ、この風によっても、漏下物100は揺動選別装置32の上流側や揺動選別装置32の中央側へ押されつつ落下する。これらによって、漏下物100は揺動選別装置32の幅方向に効果的に拡散されながら穀粒搬送方向の上流側に落下し、揺動選別装置32によって十分に選別処理される。一般的に、送塵口処理胴31は比較的後方に配置されているため、送塵口処理胴31によって処理された籾及び藁等がそのまま揺動選別装置32の下流側に漏下すれば、揺動選別装置32は下流側の領域だけを用いて選別しなければならないために選別能力を十分に発揮しにくい。しかしながら、本実施形態によれば、漏下物100が二番処理装置44によって揺動選別装置32の上流側に押され、更に揺動選別装置32の幅方向に拡散されるので、選別領域が拡がり揺動選別装置32の選別能力を効率的に発揮させることができる。
また図3に示すように、前記還元コンベア22は、二番コンベア24の軸方向に見たときに、脱穀機14が備える揚穀コンベア21と交差しないように、ほぼ平行に配置されている。
この構成により、還元コンベア22と揚穀コンベア21とを、脱穀機14の一側の小さな幅のスペースに干渉させずに配置できる(図4を参照)。従って、脱穀機14の幅方向のスペースを有効に利用することができる。本実施形態のコンバイン10では、還元コンベア22及び揚穀コンベア21の両者を小さな幅にまとめて配置することにより生まれる空間を使って、揺動選別装置32の幅を拡げて、選別装置の処理能力を向上させることとしている。ただし、揺動選別装置32を幅広とすることに限らず、脱穀機14の横に配置するグレンタンク15の容量を増やしたり、コンバイン10の幅方向のサイズを小さくしたりすることも可能である。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。なお、変形例において上記実施形態と同一及び類似する部材には、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
上記実施形態では二番処理装置44は還元筒20の近傍に配置されており、二番物投入口56を介して二番物を還元コンベア22から二番処理装置44に放出する構成としているが、この構成に代えて、図9に示すように、二番処理装置44を還元コンベア22の終端部に直接接続する構成とすることもできる。この場合、二番処理胴42の軸部は還元コンベア22の駆動軸と同軸上に配置すると、構成をコンパクトにすることができる。
また上記実施形態では、二番処理装置44内に跳出し羽根86が収納されている構成であるが、この構成に代えて、跳出し羽根86を脱穀機14の内部空間に露出させる構成とすることもできる。特に、跳出し羽根86を送塵口処理胴31の直下方位置まで突出して設けると、跳出し羽根86によって前記漏下物100を直接前方に押しやることができる。
二番処理装置44を送塵口処理胴31の直下方の位置に配置して、二番処理ハウジング43の上端を開放し、還元コンベア22で搬送された二番物と送塵口処理胴31からの漏下物100の両方を受け入れて二番処理装置44で処理するように変更することができる。
二番処理胴42の軸方向を機体前後方向に向けたり、左右方向に向けて配置することができる。また、開口部57からほぼ水平に二番処理物101を放出することに代えて、例えば斜め上方に向けて放出するように変更することができる。