しかしながら、上記従来のバーナでは、燃焼空気を、送気管を介してバーナケースに供給するのみであり、燃焼室内の他の部分には燃焼空気を供給していない。したがって、木質ペレットはバーナケースに供給される燃焼空気のみで燃焼することとなり、燃焼空気が不足し易く、不完全燃焼が生じる問題や、燃料の炭素成分が残留して多量の灰が生じる問題がある。また、不完全燃焼により、燃焼室内や熱交換器内に付着する煤の量が増大し、バーナや空気熱交換器のメンテナンスに手間がかかる問題がある。また、燃焼ガスに含まれる煤煙の量が多いので、大型の集塵装置が必要となり、バーナを用いた熱機器の大型化とコストアップを招く問題がある。さらに、植物性の再生燃料にはリグニン等の高分子成分が含まれており、煤煙や燃焼ガスが生じやすいが、これらの対策について何ら考慮されていない。
そこで、本発明の課題は、植物性再生燃料のような完全燃焼が比較的困難な燃料を、効果的に完全燃焼させることができるバーナを提供することにある。また、煤煙の発生を効果的に防止でき、したがって、メンテナンスの容易化と、熱源として利用される熱機器の小型化が可能なバーナを提供することにある。また、植物再生燃料を用いても、煤煙や燃焼ガスの発生を抑制できるバーナを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明のバーナは、
円筒状の燃焼室と、この燃焼室の周りを取り囲むように形成されて燃焼空気の予熱を行う円筒環状の予熱室と、上記燃焼室の上部と予熱室の上部とを連ねる連通部とを有する燃焼部を複数段備え、
上記燃焼部の予熱室は、下部から供給された燃焼空気が上部に向かって旋回状に流れるように形成され、
上記燃焼部の連通部は、上記予熱室で予熱された燃焼空気の旋回流を、上記燃焼室の下部に向かう下降旋回流と、上記燃焼室の上方に向かう上昇旋回流とに分ける分流部を有し、
2段目以降の燃焼部の燃焼室は、前段の燃焼部の分流部によって分流された燃焼空気の上昇旋回流と、同一段の燃焼部の分流部によって分流された燃焼空気の下降旋回流とが供給されて、燃料を燃焼するように形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、燃焼室を有する燃焼部を複数段備え、2段目以降の燃焼室に、前段からの燃焼空気の上昇旋回流と同一段からの燃焼空気の下降旋回流とを供給するので、各段に十分な燃焼空気を供給して燃料を高度に燃焼させることができる。しかも、各段の予熱室では、燃焼室の周りに旋回流を流して燃焼空気を余熱するので、予熱室における燃焼空気の滞在時間を十分に確保して十分に予熱を行うことができる。また、予熱室及び燃焼室に旋回流を流すことにより、燃焼空気や燃焼ガスの滞留部分を削減して効率的に予熱空気及び燃焼ガスを流すことができる。したがって、バーナの燃焼効率を効果的に向上でき、燃焼室の温度を効果的に上昇させて、燃料を完全燃焼させることができる。その結果、例えば植物性再生燃料を用いた場合においても、リグニン等の高分子成分を高度に酸化させて完全燃焼させることができる。また、燃焼室及び燃焼部の設置段数を適宜設定することにより、固体及び液体のいずれの燃料にも適用可能である。
また、予熱室と燃焼室に旋回流を形成することにより、予熱室に流れる燃焼空気と燃焼室に流れる燃焼ガスを高密度化できるので、バーナの小型化を図ることができる。また、燃料を完全燃焼させることにより、灰や煤煙の発生を効果的に低減できるので、バーナのメンテナンスの手間を削減でき、また、集塵に必要な装置構成を縮小できる。その結果、このバーナを用いることにより、コンパクトかつメンテナンスの容易な熱機器を構成することができる。
また、燃焼室の外周側に予熱室を配置しているので、予熱室を通る燃焼空気によって燃焼室の断熱を行うことができる。
本発明において、上下方向とは、円筒状の燃焼室及び円筒環状の予熱室の軸線が延在する方向を言い、軸線方向の一方を上側としたとき、軸線方向の他方が下側となる。すなわち、上下方向は、重力が作用する方向とは関連性が無く、円筒状の燃焼室及び円筒環状の予熱室は、軸線を鉛直方向に対して傾斜させて配置してもよく、或いは、軸線を略水平方向に向けて配置してもよい。
一実施形態のバーナは、各段の燃焼部の燃焼室は、前段の燃焼部の燃焼室よりも小径に形成されている。
上記実施形態によれば、後段の燃焼部ほど燃焼室の径を小さくすることにより、燃料ガスが後段の燃焼部に流れて燃焼過程が進むに伴い、燃焼ガスの流速及び圧力が増大する。これにより、後段ほど燃焼温度を上昇させて、燃焼効率の増大と完全燃焼の促進を行うことができる。ここで、燃料ガスには、燃料の微粒子や、燃料が熱分解してなるガス化燃料が含まれる。
一実施形態のバーナは、最下段の燃焼部の燃焼室に燃料を連続的に供給する燃料供給器を備える。
上記実施形態によれば、燃料を連続的に供給することにより、安定して燃料を燃焼して燃焼ガスを生成することができる。特に、着火が比較的困難な植物性再生燃料を用いた場合、バッチ式の燃料供給を行うよりも燃焼効率を大幅に向上することができる。
なお、他の実施形態のバーナとして、上記最下段の燃焼部の燃焼室の下側に、燃焼空気の予熱を行う円筒状の下部予熱室を配置すると共に、上記燃料供給器の燃料供給口の周りに、上記下部予熱室で予熱された燃焼空気を旋回状に吹き出す空気吹出口を配置するのが好ましい。この実施形態によれば、最下段の燃焼室の下側に配置された円筒状の下部予熱室により、燃焼空気を効果的に予熱して旋回流を生成することができる。また、予熱された燃焼空気を燃料供給口の周りの空気吹出口から旋回状に吹き出すことにより、燃料供給口から排出される燃料に、効率的に燃焼空気を供給することができる。また、最下段の燃焼室に、効率的に燃焼ガスの旋回流を生成することができる。
一実施形態のバーナは、上記各段の燃焼部の予熱室に燃焼空気を供給するブロワを備える。
上記実施形態によれば、各段の燃焼部の予熱室に燃焼空気を供給することにより、各段の燃焼室に、十分な量の新鮮な燃焼空気を予熱して供給でき、燃焼効率を向上できる。なお、各段の予熱室に対応してブロワを複数個備えてもよい。この場合、各段の燃焼室の温度や圧力に基づいて複数のブロワの吹き出し量を夫々制御することにより、燃焼過程をきめ細かく制御することができ、燃焼効率の向上と完全燃焼を行うことができる。
一実施形態のバーナは、上記分流部は、上記連通部を区画する上側壁面から下方に突出した筒状突部を含む。
上記実施形態によれば、連通部を区画する上側壁面から下方に突出した筒状突部により、各予熱室からの燃焼空気の旋回流を、各燃焼室の下部に向かって流れる下降旋回流と、各燃焼室の上方に向かって流れる上昇旋回流とに効果的に分流することができる。
一実施形態のバーナは、上記筒状突部は、複数の貫通孔を有する。
上記実施形態によれば、複数の貫通穴を筒状突部に形成することにより、予熱室からの燃焼空気の旋回流を、下降旋回流と上昇旋回流とに適切な割合で分流することができる。ここで、貫通孔は、筒状突部の軸線方向に対して平行の縦スリットでもよく、また、筒状突部の軸線方向に対して傾斜した傾斜スリットでもよく、筒状突部の軸線方向に対して直交する横スリットでもよく、或いは、筒状突部に分散して形成された丸孔や楕円穴でもよい。
一実施形態のバーナは、上記筒状突部は、後段の燃焼室と予熱室とを区画する筒状部材の下端側に連なって一体に形成されている。
上記実施形態によれば、筒状突部と筒状部材を一体に形成し、連通部を区画する上側壁面に筒状突部を嵌合させることにより、燃焼室が内部に形成されて高温により劣化が進み易い筒状部材を着脱可能にできる。その結果、劣化した筒状部材を容易に交換可能にして、メンテナンスの容易化を図ることができる。
一実施形態のバーナは、上記予熱室と燃焼室とを区画する筒状部材の外周面に、放熱部材が設けられている。
上記実施形態によれば、燃焼室の熱が、筒状部材の外周面に設けられた放熱部材を介して、外周側の予熱室を流れる燃焼空気に効率的に放熱される。したがって、燃焼空気を効果的に予熱して、燃焼室の燃焼効率を効果的に向上できる。ここで、放熱部材は、筒状部材の外周面に巻き回された螺旋状の板材や線材であるのが好ましい。放熱部材として螺旋状の板材を設置することにより、放熱効率の向上と燃焼空気の整流とを行うことができる。
一実施形態のバーナは、最下段の燃焼部の燃焼室に霧状の水を供給する水供給器を備える。
上記実施形態によれば、最下段の燃焼部の燃焼室に霧状の水を供給することにより、燃焼室内に酸素及び水素の少なくとも一方を生成して、燃焼室内の燃焼温度を上昇させることができる。上記水供給器は、例えばプランジャポンプを含んで形成することができる。
一実施形態のバーナは、上記燃料供給器はスクリューコンベヤを含み、
上記スクリューコンベヤは、搬送する燃料の逆流を防止する逆流防止部が設けられている。
上記実施形態によれば、燃料供給器にスクリューコンベヤを用いることにより、燃料の連続的な供給が可能となる。また、スクリューコンベヤの逆流防止部により、燃料の供給先である燃焼室内の圧力が上昇しても、燃料の逆流が効果的に防止される。
一実施形態のバーナは、上記逆流防止部は、スクリュー羽根の欠損部を含んで形成されている。
上記実施形態によれば、スクリューコンベヤのスクリュー羽根の欠損部に燃料が滞留することにより、燃料の密度が増大してプラグが形成される。この燃料のプラグにより、燃焼室内の圧力が上昇しても、燃料の逆流が防止される。このように、スクリュー羽根の欠損部を設けるという簡単な構成により、燃料の逆流防止を行うことができる。なお、スクリュー羽根の欠損部には、滞留する燃料の攪拌を行う攪拌部材を配置するのが好ましい。
一実施形態のバーナは、上記燃料供給器は、補助燃焼空気を供給するように形成されている。
上記実施形態によれば、燃料供給器によって燃料と共に補助燃焼空気を供給することにより、燃料の燃焼効率を高めることができる。
一実施形態のバーナは、上記燃料供給器は、燃焼温度の異常上昇に伴って燃料に水を供給する給水部を有する。
上記実施形態によれば、燃焼室内の燃焼温度が異常上昇するに伴い、給水部により燃料に水が供給されて燃焼室内の温度が効果的に低減する。これにより、燃焼温度の異常上昇によるバーナの故障を防止できる。ここで、燃焼温度の異常上昇は、例えば燃料供給器の温度を計測することによって検知することができる。或いは、予熱室の外周側を区画する円筒部材の温度や、燃焼室の外周側を区画する円筒部材の温度や、燃焼室内の温度や、排出する燃焼ガスの温度を計測して燃焼温度の異常上昇を検知してもよい。
一実施形態のバーナは、上記燃料は、木質ペレット、木屑、プラスチック屑、ゴム屑、RPF及びPCB廃液のうちの少なくとも1つを含む。
上記実施形態によれば、従来よりも高い燃焼効率を有するバーナにより、燃料としての木質ペレット、木屑、プラスチック屑、ゴム屑、RPF(Refuse Paper and Plastic Fuel:廃紙・廃プラスチック固形化燃料)及びPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃液を高度に燃焼させることができる。
本発明によれば、燃焼室を有する燃焼部を複数段備え、燃焼室の周りに配置した予熱室に旋回流を流して燃焼空気を余熱し、2段目以降の燃焼室に、前段からの燃焼空気の上昇旋回流と同一段からの燃焼空気の下降旋回流とを供給するので、燃焼室に十分に予熱した十分な量の燃焼空気を供給して燃料を高度に燃焼させることができて、バーナの燃焼効率を効果的に向上して燃料を完全燃焼させることができる。その結果、例えば木質ペレット、木屑、プラスチック屑、ゴム屑、RPF及びPCB廃液等のように、固体及び液体のいずれの燃料も高度に燃焼でき、また、灰や煤煙の排出量を少なくでき、また、高効率かつ小型の熱機器を構成することができる。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態としてのバーナを示す断面図である。このバーナ1は、燃料としての木質ペレットを燃焼して、ボイラ等の熱機器の熱源として用いられるものである。このバーナ1は、燃料を連続的に供給する燃料供給器2と、1次燃焼空気の旋回流を形成する下部予熱部3と、燃料の1次燃焼を行う1次燃焼部4と、燃料の2次燃焼を行う2次燃焼部5と、燃焼ガスを排気する排気筒6とで大略構成されている。
上記燃料供給器2は、図示しないホッパから木質ペレット8を供給する供給バルブ21と、この供給バルブ21から供給された木質ペレット8を搬送する第1スクリューコンベヤ22と、この第1スクリューコンベヤ22の終端に連なり、1次燃焼部4の燃焼室内に燃焼を供給する第2スクリューコンベヤ23とを有する。
供給バルブ21はロータリーバルブで形成されており、ケーシング内で回転駆動される回転羽根の回転数を制御して木質ペレット8の供給量を制御する。第1スクリューコンベヤ22及び第2スクリューコンベヤ23は、筒状のケーシング22a,23a内に、ケーシング22a,23aと同軸配置されて回転駆動される回転軸22b,23bと、この回転軸22b,23bの周りに固定されたスクリュー羽根22c,23cとを収容して形成されている。第1スクリューコンベヤ22の途中には、スクリュー羽根の欠損部が設けられており、この欠損部に対応する区間には、径方向に延びる複数の攪拌棒22dが回転軸22bの周りに螺旋状に固定されている。このスクリュー羽根の欠損部に木質ペレット8が滞留することにより木質ペレット8のプラグを形成し、供給先の1次燃焼部4内の燃焼室内の圧力が上昇しても、上昇した圧力の影響をプラグで止めて木質ペレット8の逆流を防止するようになっている。
第1スクリューコンベヤ22のスクリュー羽根の欠損部よりも下流側には、補助燃焼空気を供給する給気管25が設けられている。また、第1スクリューコンベヤ22のスクリュー羽根の欠損部よりも上流側には、異常高温時に燃料に水を供給する給水管26が設けられている。すなわち、給水管26の上流側に介設した電磁式の流量制御弁29と、第1スクリューコンベヤ22のケーシング22aに設置した温度センサ27と、温度センサ27からの出力信号S1を受けて流量制御弁29を制御する制御部28とを備える。温度センサ27の出力信号S1が示す温度が所定の基準値を超えると、1次燃焼部4の燃焼室温度が異常上昇したとして、制御部28が出力信号S1の値に応じた弁開度を示す信号を流量制御弁29に出力する。流量制御弁29は、弁体を開き駆動して、給水管26の上流側から上記弁開度に対応した流量の水を第1スクリューコンベヤ22に供給するようになっている。
下部予熱部3は、内部に下部予熱室を形成する概ね円筒形状のケーシング31と、ケーシング31の外周面に設けられて接線方向に1次燃焼空気を導入する1次空気導入口32を有する。ケーシング31の中央に、第2スクリューコンベヤ23が同軸に貫通して配置されている。ケーシング31の上端部には、燃料を保持する燃料保持部33が形成されている。燃料保持部33は、中心に向かうにつれて下方に傾斜すると共に平面視において環状の擂鉢部33aと、擂鉢部33aの内側に連なって上方に突出すると共にケーシング31の外周面と同軸の袖状部33bとを有する。燃料保持部33の袖状部33bの内側に第2スクリューコンベヤ23の先端部が配置され、この第2スクリューコンベヤ23の先端部に燃料供給口24が形成されている。第2スクリューコンベヤ23の先端部の外周面と、燃料保持部33の袖状部33bの内周面との間が所定の離隔距離で隔てられて、円筒環状の連通路が形成されている。この連通路の上端に、ケーシング31内の1次燃焼空気を吹き出す空気吹出口34が構成されている。この下部予熱部3は、空気を空気導入口32から円筒面の接線方向に導入することにより、ケーシング31内で1次燃焼空気の旋回流を形成して、空気吹出口34から旋回状の1次燃焼空気を吹き出すようになっている。
1次燃焼部4は、下部予熱部3のケーシング31と略同一の径を有する筒状の第1外筒41と、この第1外筒41の内側に配置された筒状の第1内筒42を有する。第1外筒41の下部には、接線方向に2次燃焼空気を導入する2次空気導入口41aが設けられている。第1外筒41と第1内筒42の下端は環状のフランジ43に連結されており、このフランジ43は下部予熱部3の上端部に固定されている。第1外筒41の上端には、環状の第1仕切板44が固定されている。
第1内筒42の外周面には、板材を螺旋状に巻き回して形成した螺旋突起45が固定されている。この螺旋突起45が設けられた第1内筒42の外周面と、第1外筒41の内周面との間に、円筒環状の第1予熱室46が形成されている。この第1予熱室46に、2次空気導入口41aから接線方向に2次燃焼空気が導入されることにより、下部から上部に向かう2次燃焼空気の旋回流が形成されるようになっている。第1内筒42の内側には、第1燃焼室47が形成されている。第1燃焼室47の下部に上記燃料保持部33が臨んでいて、この燃料保持部33の内側に、燃料を供給する燃料供給口24と、1次燃焼空気を供給する空気吹出口34とが開口している。第1内筒42は第1外筒41よりも高さが低く形成されており、第1内筒42の上端は第1仕切板44の下側面から所定の離隔をなしている。この第1仕切板44の下側面と第1内筒42の上端との間に、第1予熱室46と第1燃焼室47とを連通する第1連通部48が形成されている。この第1連通部48には、環状の第1仕切板44の開口から、分流部としての第1筒状突部49が下方に突出している。この第1筒状突部49は、後述する第2内筒52と一体に形成されており、この第2内筒52の下端部が第1筒状突部49になっている。
第1筒状突部49には、貫通孔としての縦スリット49aが複数個形成されている。この縦スリット49aは、第1筒状突部49(及び第2内筒52)の軸線方向と略平行に延在して形成されている。この縦スリット49aにより、第1予熱室46からの2次燃焼空気の旋回流を、下降旋回流と上昇旋回流とに適切な割合で分流するようにしている。なお、第1筒状突部49の貫通孔は縦スリット49aに限られず、図2Aの模式展開図に示すように、第1筒状突部49の軸線方向に対して傾斜した傾斜スリット49bでもよい。或いは、図2Bの模式展開図に示すように、第1筒状突部49の軸線方向に対して直交する横スリット49cでもよく、また、図2Cの模式展開図に示すように、第1筒状突部49に分散して形成された丸孔49dでもよい。しかしながら、第1筒状突部49には縦スリット49a等の貫通孔を必ずしも設ける必要は無い。すなわち、第1筒状突部49に貫通孔を設けなくても、2次燃焼空気の旋回流を下降旋回流と上昇旋回流とに分流することが可能である。
1次燃焼部4には、バーナの起動時に燃料に着火する着火部7が設けられている。着火部7は、第1外筒41及び第1内筒42を貫通して固定された角筒状のケーシング71と、ケーシング71内に配置された燃料噴射ノズル72と、ケーシング71内に配置されたスパークプラグ73とを有する。燃料噴射ノズル72は、着火燃料としての灯油が2〜3kg/cm2の圧力で供給され、先端に設けられた噴口から噴射するようになっている。スパークプラグ73は、数千〜1万ボルトの電圧が印加され、先端の電極とケーシングとの間に電気放電によって火花を生成して、噴霧状の灯油に着火するようになっている。なお、スパークプラグ73は、ケーシング71を接地電極としないで、中心電極と接地電極との2つの電極を有するものを用いてもよい。ケーシング71の第1外筒41よりも外側の部分には、着火時の燃焼空気を供給する給気管74が接続されている。着火部7は、第1内筒42の中心に向かうにつれて下方に傾斜して固定されており、燃料噴射ノズル72の噴口とスパークプラグ73の電極とが、燃料保持部33上の燃料に向かうように配置されている。
また、1次燃焼部4の下部には、図示しないメンテナンス開口が設けられている。このメンテナンス開口は、第1外筒41と第1内筒42とに径方向の同一位置に設けられた矩形の貫通穴で形成されている。このメンテナンス開口は、第1外筒41の貫通穴に嵌る外蓋と、第1内筒42の貫通穴に嵌る内蓋とを有する2重構造の閉鎖蓋で閉じるようになっており、閉塞蓋の外蓋と内蓋との間には、2次燃焼空気の旋回流が流通可能な空気通路が設けられている。バーナ1の運転後にメンテナンス開口を開いて、燃料に含まれていた金属屑や燃焼後に残留した灰を除去するようになっている。
2次燃焼部5は、1次燃焼部4の外筒41よりも小さい径を有する筒状の第2外筒51と、この第2外筒51の内側に配置された筒状の第2内筒52を有する。第2外筒51の下部には、接線方向に3次燃焼空気を導入する3次空気導入口51aが設けられている。第2外筒51の下端には鍔状のフランジ51bが設けられており、フランジ51bが第1仕切板44に固定されている。第2外筒51の上端には、環状の第2仕切板54が固定されている。第2内筒52は、上記第1仕切板44に取り付けられている。
図3は、第2内筒52を第1仕切板44に取り付ける様子を示す分解斜視図である。第2内筒52の外周面には、下端から上方に所定距離をおいた位置に、環状の係止環53が固定されている。第2内筒52の下端部を環状の第1仕切板44の開口44aに嵌合させて、係止環53を第1仕切板44の上側面に係止させて、第2内筒52を第1仕切板44に取り付けている。第2内筒52を第1仕切板44に取り付けると、第2内筒52の下端部が第1仕切板44の下側面よりも所定長さだけ突出する。この突出した第2内筒52の下端部が、1次燃焼部4の第1分流部(第1筒状突部49)として機能するようになっている。なお、環状の係止環53の第2内筒52に対する上下方向の固定位置を調整可能にして、第2内筒52を第1仕切板44に取り付けたときに下側面から第2内筒52の下端部が突出する量を調整可能にして、第1筒状突部49の上下方向長さを調整可能にしてもよい。これにより、第1筒状突部49が燃焼空気を上昇旋回流と下降旋回流とに分流する割合を適宜調整することができる。係止環53の第2内筒52に対する上下方向の固定位置は、係止環53の内周面と第2内筒52の外周面とにネジ切りをして互いに螺合させることにより、係止環53を第2内筒52に対して回転させて調整することができる。
また、第2内筒52を第1仕切板44に着脱自在に形成しているので、第2燃焼室57の燃焼温度が高温となって第2内筒52の劣化が進行した場合、第2内筒52を容易に交換することができる。
第2内筒52の外周面には、板材を螺旋状に巻き回して形成された螺旋突起55が固定されている。この螺旋突起55が設けられた第2内筒52の外周面と、第2外筒51の内周面との間に、図1に示すように円筒環状の第2予熱室56が形成されている。この第2予熱室56に、3次空気導入口51aから接線方向に3次燃焼空気が導入されることにより、下部から上部に向かう燃焼空気の旋回流が形成されるようになっている。第2内筒52の内側には、第2燃焼室57が形成されている。第2内筒52は第2外筒51よりも高さが低く形成されており、第2内筒52の上端は第2仕切板54の下側面から所定の離隔をなしている。この第2仕切板54の下側面と第2内筒52の上端との間に、第2予熱室56と第2燃焼室57とを連通する第2連通部58が形成されている。この第2連通部58には、環状の第2仕切板54の開口から、第2分流部としての第2筒状突部59が下方に突出している。この第2筒状突部59は排気筒6と一体に形成されており、この排気筒6の下端部が第2筒状突部59になっている。
第2筒状突部59には、第1筒状突部49と同様に、貫通孔としての縦スリット59aが複数個形成されている。この縦スリット59aにより、第2予熱室56からの3次燃焼空気の旋回流を、下降旋回流と上昇旋回流とに適切な割合で分流するようにしている。なお、第2筒状突部59の貫通孔は縦スリット59aに限られず、図2Aと同様の傾斜スリットでもよく、図2Bと同様の横スリットでもよく、また、図2Cと同様の丸孔でもよい。しかしながら、第2筒状突部59には、縦スリット59a等の貫通孔を必ずしも設ける必要は無い。
2次燃焼部5の第2外筒51は、1次燃焼部4の第1外筒41よりも軸線方向寸法及び直径のいずれも小さく形成されている。また、2次燃焼部5の第2内筒52は、1次燃焼部4の第1内筒42よりも軸線方向寸法及び直径のいずれも小さく形成されている。
排気筒6は、2次燃焼部5の第2内筒52よりも小径の筒状であり、排気筒6の外周面には、下端から上方に所定距離をおいた位置に、環状の係止環63が固定されている。排気筒6の下端部を環状の第2仕切板54の開口に嵌合させて、係止環63を第2仕切板54の上側面に係止させることにより、排気筒6を第2仕切板54に取り付けている。排気筒6を第2仕切板54に取り付けると、排気筒6の下端部が第2仕切板54の下側面よりも所定長さだけ突出する。この突出した排気筒6の下端部が、2次燃焼部5の第2分流部(第2筒状突部59)として機能するようになっている。なお、第2内筒52の場合と同様に、環状の係止環63の排気筒6に対する上下方向の固定位置を調整可能にして、排気筒6を第2仕切板54に取り付けたときに下側面から排気筒6の下端部が突出する量を調整可能にして、第2筒状突部59の上下方向長さを調整可能にしてもよい。
本実施形態のバーナ1は、以下のように動作する。まず、燃料供給器2を起動して、図示しないホッパから供給バルブ21により所定量の木質ペレット8を排出し、この木質ペレット8を第1スクリューコンベヤ22と第2スクリューコンベヤ23とで第1燃焼室47内に搬送する。第1燃焼室47内に搬送された木質ペレット8は燃料供給口24から排出され、この燃料供給口24から燃料保持部33の擂鉢部33aに亘って堆積する。第1燃焼室47内に所定量の木質ペレット8を供給すると、着火部7を動作させ、燃料噴射ノズル72から木質ペレット8に向けて灯油を噴射すると共にスパークプラグ73に電圧を印加し、灯油に点火して木質ペレット8に着火させる。また、図示しないブロワを起動して、下部予熱部3の1次空気導入口32と、1次燃焼部4の2次空気導入口41aと、2次燃焼部5の3次空気導入口51aに燃焼空気を供給する。また、上記ブロワから第1スクリューコンベヤ22の給気管25に補助燃焼空気を供給する。これらの全燃焼空気量は、燃料空気比に換算して1:1.5程度に設定する。
下部予熱部3では、1次空気導入口32からケーシング31の外周面の接線方向に1次燃焼空気を導入し(矢印F0)、ケーシング31内に1次燃焼空気の旋回流(矢印F1)を生成する。この1次燃焼空気の旋回流を、第2スクリューコンベヤ23の先端部の外周面と燃料保持部33の袖状部33bの内周面との間の連通路に導く(矢印F2)。連通路を通った1次燃焼空気の旋回流は、空気吹出口34から第1燃焼室47内に吹き出される。
1次燃焼部4では、2次空気導入口41aから第1外筒41の接線方向に2次燃焼空気を導入することにより(矢印F10)、第1予熱室46内に、下部から上部に向かう2次燃焼空気の旋回流(矢印F11)を生成する。第1予熱室46内を通る2次燃焼空気は、第1内筒42及び螺旋突起45を介して第1燃焼室47の熱を受けて予熱される。2次燃焼空気を第1予熱室46内に旋回状に流すことにより、第1予熱室46内の滞在時間を確保して十分に予熱することができる。また、螺旋突起45により、放熱面積を増大して2次燃焼空気の予熱効率を更に向上できると共に、2次燃焼空気の流れを旋回状に整流することができる。なお、螺旋突起45は設置しなくてもよい。
図4Aは、1次燃焼部4の予熱室49と第1連通部48における2次燃焼空気の流れを示した模式図であり、図4Bは、第1燃焼室47における2次燃焼空気及び燃焼ガスの流れを示した模式図である。図1及び図4Aに示すように、予熱されて第1外筒41内の上部の第1連通部48に達した2次燃焼空気の旋回流は、第1筒状突部49により、下降旋回流と上昇旋回流とに分流する。詳しくは、第1筒状突部49の外周面に沿って流れて第1燃焼室47内の下部に向かう下降旋回流(矢印F12)と、第1筒状突部49の縦スリット49aを通過して第1筒状突部49の内側を上方に流れる上昇旋回流(矢印F13)とに分流する。第1筒状突部49で分流された下降旋回流は、第1燃焼室47の外径部を下方に向かって流れ、下部の燃料保持部33の木質ペレット8の近傍に達する。このように、第1燃焼室47において、空気吹出口34から第1燃焼空気を供給すると共に、予熱された2次燃焼空気を上部から下方に向かって供給するので、燃料保持部33上の木質ペレット8を高温で燃焼して効率的に熱分解することができる。
また、給気管25に導入した補助燃焼空気を、第1及び第2スクリューコンベヤ22,23を介して燃料供給口24から第1燃焼室47内に供給することにより、第1燃焼室47の燃焼空気量を更に増大することができる。また、給気管25に補助燃焼空気を導入することにより、燃焼に伴って第1燃焼室47内の圧力が上昇しても、スクリューコンベヤ22,23への燃焼ガスの流入や、木質ペレット8の逆流等の不都合を防止できる。
このように、燃焼空気が予熱されて上下方向から旋回状に供給される第1燃焼室47は、燃料としての木質ペレット8を安定した温度で燃焼することができる。木質ペレット8の熱分解に伴ってガス化燃料が生成され、ガス化燃料を多く含む燃焼ガスが、矢印F14で示すように、第1燃焼室47の内径部を上方に向かって旋回状に流れる。なお、この上昇旋回流には、ガス化燃料に限られず、熱分解過程の木質ペレット8の微粒子や、ガス化燃料の酸化物も含まれる。
ガス化燃料を多く含む燃焼ガスは、旋回流を形成して上昇し、第1連通部48を通って2次燃焼部5の第2燃焼室57に流入する。
図4Cは、2次燃焼部5の第2燃焼室57における燃焼空気及び燃焼ガスの流れを示した模式図である。第2燃焼室57では、内径部に、上方に向かう燃焼ガスの旋回流が流れる(矢印F24)と共に、外径部に、第1筒状突部49の縦スリット49aを通過した2次燃焼空気の上昇旋回流(矢印F13)が流入する。
また、2次燃焼部5では、3次空気導入口51aから第2外筒51の接線方向に3次燃焼空気を導入することにより(矢印F20)、第2予熱室56内に、下部から上部に向かう3次燃焼空気の旋回流(矢印F21)を生成する。第2予熱室56内を通る3次燃焼空気は、第2内筒52及び螺旋突起55を介して第2燃焼室57の熱を受けて予熱される。1次燃焼部4と同様に、3次燃焼空気を第2予熱室56内に旋回状に流すことにより、第2予熱室56内の滞在時間を確保して十分に予熱することができる。また、螺旋突起55により、放熱面積を増大して3次燃焼空気の予熱効率を更に向上でき、また、3次燃焼空気を旋回状に整流することができる。
予熱されて第2外筒51内の上部の第2連通部58に達した3次燃焼空気の旋回流は、第2筒状突部59により、下降旋回流と上昇旋回流とに分流する。詳しくは、第2筒状突部59の外周面に沿って流れて第2燃焼室57内の下部に向かう下降旋回流(矢印F22)と、第2筒状突部59の縦スリット59aを通過して排気筒6の内側を上方に流れる上昇旋回流(矢印F23)とに分流する。第2筒状突部59で分流された3次燃焼空気の下降旋回流は、第2燃焼室57の外径部を下方に向かって流れる。
このように、第2燃焼室57に、十分に予熱した2次燃焼空気を下部から上方に供給する(矢印F13)と共に、十分に予熱した3次燃焼空気を上部から下方に供給する(矢印F22)ので、1次燃焼部4で木質ペレット8が熱分解されてなるガス化燃料を高温により効率的に酸化することができる。また、燃焼ガスに残留する燃料の微粒子を効率的に分解及び酸化することができる。このようにして、1次及び2次燃焼部4,5による燃焼過程を経ることにより、木質ペレット8を完全燃焼させることができる。このように、2段の燃焼部4,5で木質ペレットを燃焼させることにより、第2燃焼室57の上端近傍において、900℃〜1000℃の燃焼温度を生成することができる。
第2燃焼室57で可燃成分の大部分が燃焼した燃焼ガスは、第2連通部58を通って排気筒6に流入する。排気筒6には、第2筒状突部59で分流された上昇旋回流が流入しており、この上昇旋回流により燃焼ガスが効率的に排出される。
以上のように、本実施形態のバーナによれば、第1燃焼室47に、1次燃焼空気を旋回状に下部から供給すると共に、予熱した2次燃焼空気の下降旋回流を上部から供給することにより、木質ペレット8の熱分解を高効率に行うことができる。更に、第2燃焼室57に、予熱した2次燃焼空気の上昇旋回流を下部から供給すると共に、予熱した3次燃焼空気の下降旋回流を上部から供給することにより、木質ペレット8の熱分解により生成されたガス化燃料を高度に酸化できる。したがって、植物性再生燃料に含まれるリグニン等のような高分子成分に対しても、効果的に熱分解と酸化を行って完全燃焼をすることができる。その結果、従来よりも灰や煤煙の発生量を大幅に削減することができる。また、下部予熱部3と、1次燃焼部4と、2次燃焼部5と、排気筒6との各部において、燃焼空気や燃焼ガスを旋回状に流すことにより、各部の寸法を増大することなく燃焼空気や燃焼ガスの滞留時間を延長できるので、バーナの大型化をすることなく、燃焼空気の予熱効率や燃料の燃焼効率を向上することができる。すなわち、小型でありながら、植物性再生燃料等を完全燃焼させることができ、煤煙排出量の少ないバーナを実現することができる。
また、本実施形態のバーナ1は、第1燃焼室47内の燃焼温度が上昇するに伴って圧力が上昇するが、第1スクリューコンベヤ22の途中にスクリュー羽根の欠損部を設けて木質ペレット8のプラグを形成するので、簡易な構造により木質ペレット8の逆流や燃焼ガスの逆流を防止することができる。
また、本実施形態のバーナ1は、第1燃焼室47から第1スクリューコンベヤ22に伝導する熱を温度センサ27で検出して、第1燃焼室47の燃焼温度の異常上昇に対処することができる。すなわち、第1燃焼室47の燃焼温度が異常上昇して温度センサ27の検出値が所定温度を越えると、制御部28の制御により、流量制御弁29が開き動作されて給水管26から第1スクリューコンベヤ22に給水する。これにより、第1燃焼室47内の温度を効果的に低下させて異常燃焼を迅速に停止させることができる。なお、第1スクリューコンベヤ22の温度を検出する以外に、第1燃焼室47を区画する第1内筒42の温度や、第1外筒41の温度を検出してもよい。あるいは、第2燃焼室57を区画する第2内筒52の温度や、第2外筒51の温度を検出してもよい。
また、本実施形態のバーナ1では、燃料としての木質チップ8を連続供給するための燃料供給器2に、木質チップ8を搬送する第1スクリューコンベヤ22と、木質チップ8を第1燃焼室47に供給する第2スクリューコンベヤ23とを組み合わせて配置したが、単一のスクリューコンベヤを用いることもできる。例えば、図1の第1スクリューコンベヤ22と同様のスクリューコンベヤの先端に、図5Aに示すような供給ヘッド120を一体に形成したものを用いることができる。このスクリューコンベヤは、図5Aに示すように、ケーシング121の先端部分が湾曲しており、先端に設けられたフランジ121aが直線部分の延在方向と略直角の方向を向いている。図5Bは、供給ヘッド120の平面図である。ケーシング121の湾曲部には、直線部に配置されたスクリュー羽根123を回転駆動する回転軸122の軸受部121bが設けられている。ケーシング121の先端のフランジ121aに空気供給口121cが貫通して形成されていると共に、フランジ121aの上面に、空気供給口121cと連通する環状かつ中空の空気分配ダクト125が固定されている。空気分配ダクト125の内周側の開口は、スクリューコンベヤのケーシング121の内周面と連なっており、第1燃焼室47内に木質チップ8を排出する燃料供給口124になっている。空気分配ダクト125には、軸線方向に延びる第1スリット125aが内周面に形成されていると共に、径方向及び軸線方向に延びる第2スリット125bが上端面及び内周面に形成されている。第2スリット125bの上端面部分は、空気分配ダクト125の径方向に対して傾斜して延在している。空気供給口121cに1次燃焼空気を供給することにより、この空気供給口121cから空気分配ダクト125内に供給された1次燃焼空気が、第2スリット125bから旋回状に吹き出すようになっている。すなわち、この供給ヘッド120を有するスクリューコンベヤを用いた場合、ブロワから空気供給口121cに1次燃焼空気を直接供給して第2スリット125bから旋回状に吹き出すことができるので、下部予熱部3を削除することができる。
このスクリューコンベヤの供給ヘッド120には、空気分配ダクト125の上端面の外周部分と外周面を取り囲むように、燃料拡散部材127が取り付けられている。燃料拡散部材127は概ね円筒形状を有し、上端部の内周面が、下方ほど内径側に向かうように傾斜した傾斜面127aに形成されている。燃料拡散部材127の傾斜面127aが、空気分配ダクト125の第2スリット125bの外周側を取り囲むように配置されている。燃料拡散部材127の下端部には、軸線方向に突出した歯127bが周方向に複数個配列されており、この燃料拡散部材127の下端部の下方に、燃料拡散部材127を回転駆動する駆動部128が配置されている。駆動部128は、回転駆動される回転軸128aと、この回転軸128aに固定された偏心回転体128bとで形成されている。回転軸128aが回転するに伴い、偏心回転体128bのアームの先端部が燃料拡散部材127の歯127bに順次係合して、燃料拡散部材127を周方向に回転駆動するようになっている。燃料拡散部材127の回転に伴い、空気分配ダクト125の内周側の燃料供給口124から排出された木質チップ8を燃料拡散部材127の外径側に拡散させるようになっている。この供給ヘッド120を有するスクリューコンベヤを燃料供給器2に用いることにより、下部予熱部3を削除して更にバーナの小型化を図ることができる。また、図1の第2スクリューコンベヤ23を削除して、上下方向の寸法を短くすることができる。
本実施形態のバーナ1は、図6に示すように、横型の蒸気ボイラ110の熱源として用いることができる。この蒸気ボイラ110は、ケーシング111と、このケーシング内に水平方向に配列された複数の煙管112と、この煙管112の両端部を支持して内側に蒸気室を形成する管板113,113と、蒸気室内に水を供給する給水口114と、蒸気室内の蒸気を排出する排出口115とを有する。ケーシング111の一端にバーナ1の排気筒6が接続されていると共に、ケーシング111の他端に燃焼ガスの集塵装置116が接続されている。バーナ1には、下部予熱部3、1次燃焼部4及び2次燃焼部5に燃焼空気を供給するシロッコ型のブロワ9が、分流管91を介して接続されている。また、ブロワ9から分流管91を介して、第1スクリューコンベヤ22の給気管25に補助燃焼空気が供給されるようになっている。この蒸気ボイラ110は、ケーシング111内で燃焼ガスが流れる方向が2箇所で反転される3パス型のボイラである。すなわち、ケーシング111の一端にバーナ1から高温の燃焼ガスが供給され(矢印G1)、燃焼ガスが第1群の煙管112を通って蒸気室内の蒸気(又は水)と熱交換を行った後に流れが反転し(矢印G2)、第2群の煙管112を通って蒸気(又は水)と熱交換を行った後に再度流れが反転し(矢印G3)、第3群の煙管112を通って蒸気(又は水)と熱交換を行った後にケーシング111から排出される(矢印G4)。ケーシング111から排出された燃焼ガスは、集塵装置116で煤塵が収集されて大気に放出される。集塵装置116には、フィルタ式、静電式又はサイクロン式等の集塵装置を用いることができる。
上記実施形態のバーナ1は、排気筒6から排出される燃焼ガス温度を検出する温度センサ61と、燃料供給器2の駆動モータMへの供給電力を制御する第1インバータ117と、ブロワ9の駆動モータへの供給電力を制御する第2インバータ118と、温度センサ61からの出力を受け、この温度センサ61の検出値に基づいて、各インバータ117,118のスイッチング速度を制御する制御部119とを備える。この制御部119により、燃焼ガスの温度を安定して所定温度に制御して、蒸気ボイラ110の排出口115から排出される蒸気の温度を安定して所定温度にすることができる。
すなわち、温度センサ61により検出された燃焼ガス温度が目標値よりも低い場合、制御部119から第1インバータ117に、燃焼ガス温度の目標値との差分に対応する制御信号C1を出力する。これにより、燃料供給器2の供給バルブ21、第1スクリューコンベヤ22及び第2スクリューコンベヤ23の各々を駆動するモータMの回転数を増大させて、第1燃焼室47への木質ペレット8の供給量を増大させる。これと共に、制御部119から第2インバータ118に、燃焼ガス温度の目標値との差分に対応する制御信号C2を出力する。これにより、ブロワを駆動するモータの回転数を増大させて、下部予熱部3と、1次燃焼部4と、2次燃焼部5に供給する燃焼空気の流量を増大させる。こうして木質ペレット8の燃焼量を増大して、燃焼ガス温度を上昇させて目標値に近づけることができる。
一方、温度センサ61により検出された燃焼ガス温度が目標値よりも高い場合、制御部119から第1インバータ117に、燃焼ガス温度の目標値との差分に対応する制御信号C1を出力する。これにより、燃料供給器2の各部を駆動するモータMの回転数を減少させて、第1燃焼室47への木質ペレット8の供給量を削減する。これと共に、制御部119から第2インバータ118に、燃焼ガス温度の目標値との差分に対応する制御信号C2を出力する。これにより、ブロワを駆動するモータの回転数を減少させて、下部予熱部3と、1次燃焼部4と、2次燃焼部5に供給する燃焼空気の流量を減少させる。こうして、木質ペレット8の燃焼量を低減して、燃焼ガス温度を下降させて目標値に近づけることができる。
このように、制御部119により、燃焼ガス温度に基づいてフィードバック制御を行うことにより、燃焼ガスの温度を所定の目標値に維持して、蒸気ボイラ110の排出口115から排出される蒸気の温度を安定して所定温度にすることができる。なお、温度センサは、排気筒6以外に、各燃焼部4,5の外筒41,51や内筒42,52に配置してもよい。また、蒸気ボイラ110の排出口115に温度センサを設け、この温度センサが検出する蒸気の温度に基づいて、制御部119により木質ペレット8の供給量と燃焼空気の流量とを制御してもよい。
さらに、上記制御部119は、バーナ1の起動時から所定期間においては、燃料供給器2の駆動モータの回転数を所定の低回転数に制限し、かつ、ブロワの駆動モータの回転数を所定の低回転数に制限して、起動運転を行うのが好ましい。その後、バーナ1の運転時間が起動時から所定時間を越えると、上述の温度センサ61の出力に基づいたフィードバック制御を行う。また、バーナ1の停止信号を受けるに伴い、フィードバック制御を停止して、燃料供給器2の駆動モータの回転数を所定の低回転数に制限し、かつ、ブロワの駆動モータの回転数を所定の低回転数に制限して停止運転を行うのが好ましい。このように、起動時に、予め定められた比較的少ない燃料と燃焼空気量を供給することにより、着火が比較的困難な植物性再生燃料を用いた場合でも、確実に燃料を着火させてバーナを起動することができる。また、停止時に、予め定められた比較的少ない燃料と燃焼空気量を供給することにより、燃料の燃焼を確実に停止させることができる。
本実施形態のバーナ1は、燃料としての木質ペレット8を完全燃焼させることができるので、燃焼ガスに含まれる煤の量が従来よりも少ない。したがって、蒸気ボイラ110のケーシング111内や煙管112内に残留する煤の量を少なくできるので、煤の除去を行うためのメンテナンス頻度を従来よりも削減でき、ランニングコストの削減を図ることができる。また、煤の残留による蒸気ボイラ110の劣化を防止することができる。また、バーナ1の燃焼ガスに含まれる煤の量が少ないので、小容量の集塵装置116を用いることができ、蒸気ボイラ110の周辺機器のコスト削減と小型化を図ることができる。
ところで、本実施形態のバーナ1は、ケーシング内において燃焼ガスが単一方向に流れる1パス型ボイラや、燃焼ガスの流れの方向が1箇所で反転される2パス型のボイラ等の熱源として用いることもできる。また、燃焼ガスを煙管に流す煙管ボイラ以外に、燃焼ガスが供給される加熱室内に水管を配置した水管ボイラに用いることもできる。また、熱交換を行う煙管又は水管を鉛直方向に配置した縦型ボイラに用いることもできる。また、蒸気ボイラに限られず、温水を生成する温水ボイラの熱源に本実施形態のバーナ1を用いてもよい。更に、本実施形態のバーナ1は、ボイラ以外に、温風装置や冷凍機等の熱源として広く用いることができる。いずれの用途においても、小型かつ高効率であり、しかも、メンテナンスの容易な熱機器を実現することができる。
本実施形態のバーナ1は、木質チップ8以外の他の燃料を広く用いることができ、例えば、木屑、木皮、プラスチック屑、ゴム屑又はRPF(廃紙・廃プラスチック固形化燃料)等を燃料として用いることができる。本実施形態のバーナ1によれば、いずれの燃料も完全燃焼させることができ、従来よりも少ない煤塵排出量のもと、高い燃焼効率が得られる。なお、プラスチック屑、ゴム屑又はRPF等を燃料に用いる場合、1次及び2次燃焼部4,5に加えて、3次燃焼部を設けた3段型のバーナとするのが好ましい。すなわち、図1の第2仕切板54に、第2外筒51と略相似形かつ小型の第3外筒を固定し、その内側に、第2内筒52と略相似形かつ小型の第3内筒を嵌合させる。第3外筒の上端に、第2仕切板54と略相似形かつ小型の第3仕切板を固定し、第3仕切板の開口に排気筒6と略相似形かつ小型の排気筒を固定する。これにより、第3内筒の内側に第3燃焼室を形成すると共に、第3燃焼室の外周側に第3予熱室を形成する。第3燃焼室に、3次燃焼空気の上昇旋回流(矢印F23)を供給すると共に、第3予熱室で予熱された4次燃焼空気を排気筒の下端部で分流し、分流した4次燃焼空気の下降旋回流を第3燃焼室に供給する。こうして、多段の燃焼室で燃焼を行うことにより、プラスチック屑等の燃料を完全燃焼させることができる。また、燃料の種類に応じて、4段以上の燃焼室及び予熱室を設けてもよい。
また、バーナ1の燃料は、単一の燃料を燃焼させるのみに限られず、連続して複数の燃料を燃焼させてもよい。この場合、燃料の酸化温度等に応じて、燃焼空気の量を適宜調節すればよい。また、複数の燃料を同時に燃焼させてもよい。また、固体燃料と液体燃料との複相燃料を燃焼させることもできる。
また、バーナ1の下部予熱部3、1次燃焼部4、2次燃焼部5及び第1スクリューコンベヤ22の給気管25に燃焼空気を供給するブロワは、単一でなくてもよく、各供給先にブロワを別個に設置してもよい。個別に設置したブロワの送風量を、各供給先の燃焼室の燃焼温度に基づいて制御することにより、各段の燃焼室の燃焼温度をきめ細かく調整できて、燃焼効率を更に向上することができる。
また、下部予熱部3、1次燃焼部4、2次燃焼部5及び第1スクリューコンベヤ22の給気管25の少なくとも一つに、燃焼空気と共に酸素を供給してもよい。高酸素濃度の燃焼空気により、完全燃焼を更に促進することがき、また、燃焼温度を更に上昇させることができる。
また、最下段である1次燃焼部の第1燃焼室47に、霧状の水を供給してもよい。第1燃焼室47に供給された霧状の水が、第1燃焼室47内の燃料に含まれる炭素と反応して、一酸化炭素及び水素が生成される。これにより、第1燃焼室47内の燃焼温度を更に上昇させることができる。また、霧状の水が第1燃焼室47の温度で熱分解して、水素及び酸素が生成される。これにより、第1燃焼室47内の燃焼温度を更に上昇させることができる。水供給器としては、水に約2MPa(メガパスカル)の圧力を与えるプランジャポンプと、この高圧水をプランジャポンプから第1燃焼室47に供給する高圧水供給路と、この高圧水供給路に接続されて第1燃焼室47内に霧状の水を噴射する噴射ノズルとを含んで形成することができる。
本実施形態において、上下方向は重力が作用する方向と一致しており、バーナ1の第1及び第2の内筒42,52及び外筒41,51の軸線は鉛直方向を向いているが、バーナ1は、上記軸線を鉛直方向に対して傾斜して使用することも可能であり、また、上記軸線を略水平方向に向けて使用することも可能である。
また、1次燃焼部4と2次燃焼部5は、必ずしも直線状に形成しなくてもよく、いずれかを湾曲して形成してもよい。例えば、図7の変形例に示すように、バーナ100の1次燃焼部4の軸線を鉛直方向に向ける一方、2次燃焼部150を湾曲させて、排気筒6の軸線を水平方向に向けてもよい。この場合、2次燃焼部150の外筒151と共に、内筒152もまた90°湾曲させればよい。図7の変形例のバーナ100は、1パス型の温水ボイラ130の熱源に用いている。図7において、131は内側に燃焼ガスが導かれて加熱室を形成するケーシング、132は加熱すべき水が供給される給水口、133は給水口132から供給された水を導いて燃焼ガスと熱交換を行う水管、134は熱交換を行って高温となった水を排出する排出口、135は熱交換後の燃焼ガスを排出する排気管である。この変形例のバーナ100によれば、鉛直方向の寸法を小さくすることができて、小型の温水ボイラ130を構成することができる。
図8は、他の実施形態のバーナを示す図である。このバーナ200は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃液を焼却するために使用される。図8には、バーナ200の一部を示しており、他の部分は、図1のバーナ1と実質的に同一である。図1と実質的に同一の部分には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
このバーナ200は、第1燃焼室247に1次燃焼空気を供給しないで、第1予熱室46で予熱された2次燃焼空気のみを供給する。第1燃焼室247の側面を画定する第1内筒242は、耐熱性の高いセラミックで形成している。PCBタンク243内に貯蔵したPCB液を、ストレーナ244を介してポンプ245で吸引し、第1内筒242の側面に形成された供給口246から、第1燃焼室247内に供給するように形成されている。第1燃焼室247の底部には、逆円錐台形状に成形された蒸発皿240が設けられている。このバーナ200は、PCBタンク243から第1燃焼室247内に供給されたPCB液を蒸発皿240で受け、第1燃焼室247内に、第1予熱室46を経由した2次燃焼空気を旋回状に供給してPCB液の蒸発と熱分解を行う。蒸発して熱分解したPCBガスを、第1連通部48を通して上方の第2燃焼室57に導き、この第2燃焼室57で、下部から供給する2次燃焼空気と上部から供給する3次燃焼空気とで酸化する。第2燃焼室57の側面を画定する第2内筒252は、耐熱性の高いセラミックで形成している。第1燃焼室247及び第2燃焼室57内に大量の燃焼空気を予熱して旋回状に供給することにより、1100℃〜1300℃の燃焼温度を安定して生成して、PCBを完全燃焼させることができる。これにより、PCB廃液を焼却して無毒化処理を行うことができる。なお、第1燃焼室247及び第2燃焼室57に、燃焼空気と共に酸素を供給してもよい。酸素濃度の高い燃焼空気を供給することにより、PCBの完全燃焼を更に高度に促進できる。