JP5090597B2 - 製粉用集塵ユニット。 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小麦粉などの穀物製粉に適用される製粉用集塵ユニット、及び製粉用集塵ユニットを備えた製粉設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、穀物粉例えば小麦粉の典型的な製粉工場100は、その一部に、図5及び図6に示す通り、8階建ての製粉棟110を備え、製粉棟110の上階から下階にかけての各階に、集塵機120、ベンチレータ130、マニホールド(ダクト)140、サイクロン集塵装置150、シフター160、ピュリファイア(風力選別機)170、ミドリング粉コンベア180(上がり粉コンベアとも呼ばれる)、ブランフィニッシャー190、ロール機200、空気取入れ装置210等の各種製粉機器が設置され、天井や床を介して各種の配管等で連絡されている。
ここで、ピュリファイア170、ロール機200の排出口からの混合気は、サイクロン集塵装置150に入り、粉と空気とが分離される。サイクロン集塵装置150は、粉の回収率が約98%であり、その歩留まりを高めるために、製品粉は集塵機120で受けるのである。そのため、サイクロン集塵装置150と同じ階にマニホールド140が設置され、上の階に設置した集塵機120のファンの吸引で混合気を引き上げ、集塵した後、ベンチレータ130で屋外に排気する。なお、小麦粉の製造工程の詳細は、「小麦粉」(日本麦類研究会発行274〜275頁)を参照されたい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、マニホールド140、サイクロン集塵装置150とが1つの階を占めているので、建物のスペースとコストが増大する。
また、マニホールド140内での汚染、害虫の発生、結露のおそれ等があり、衛生面を向上させる必要がある。マニホールド140の中は結露しやすい部分でもあり、また、内部は粉が堆積しても掃除がほぼ不可能な部分であった。更に、以上の構造では、管理コストが多大となる。特に、食品、医薬品、化学品等の粉体の安全性に改善すべき点がある。更に集塵機120の騒音が大きい。
本発明は、製粉用集塵系統の構造を簡素化し、マニホールドを無くし、製粉棟の階数を減少させ、設備費、スペース、管理コストを節約し、マニホールド内での汚染、害虫の発生、結露等を防止し、清掃を容易にし、騒音を防止することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び効果】
請求項1の製粉用集塵ユニットは、ロール機、ブランフィニッシャー、シフター、及びピュリファイアを含み構成され、多層階に設置される製粉機器に適用される製粉用集塵ユニットにおいて、ベースケースと、該ベースケースに立設され前記製粉機器から排出され空気輸送される粉体と気体の混合気を管(3a)を介して受け入れて粉体と気体の分離を行なう複数個のサイクロン集塵装置と、前記ベースケースに設けられ前記複数個のサイクロン集塵装置から排出される粉体と気体の混合気を受け入れて粉体と気体の分離を行なうバグフィルタと、を備え、前記サイクロン集塵装置と、バグフィルタとを、粉体と気体の分離装置として用いる製粉用集塵ユニットであって、前記バグフィルタのファンが前記ベースケース内部に配置され、前記バグフィルタのフィルタ部が前記ベースケースの上部に配置され、前記サイクロン集塵装置が前記バグフィルタの外周囲に間隔を置いて配置され、管(3b)で前記バグフィルタと連結され、前記サイクロン集塵装置で分離された粉体が他の階に配置された前記製粉機器へ配管(3d)を介して送られ、前記サイクロン集塵装置で分離されなかった粉体を含む気体が管(3b)を介して前記バグフィルタへ送られ、前記製粉用集塵ユニットが1つの階に設置され、前記バグフィルタ分離された粉体を配管(3e)を介して他の階に配置された前記製粉機器、又は粉サイロに排出することを特徴とする製粉用集塵ユニットである。
【0005】
請求項1の製粉用集塵ユニットによれば、マニホールド140及び、それらを収容するスペースを無くすとともに、サイクロン集塵装置と集塵機(バグフィルタ等)と直結し、製粉用集塵系統として集約化し、ベースケースと一体とすることで構造を簡素化するとともに、製粉工場の建物の階数を少なくして、建物の高さを削減することができ、製粉工場が小型化できる。なおかつ製粉工場を小型化することによって、管理がしやすくなる。また、マニホールド140内部でのコンタミネーション、害虫の発生、結露が皆無となり、掃除も不要となる。
【0007】
請求項の製粉用集塵ユニットによれば、ファンがベースケース内に収容されているので、防音効果を発揮し、且つ、美的空間を創造できる。1つのベースケースに複数のサイクロン集塵装置及びバグフィルタを設ければ、点検等が極めて容易になる。
【0009】
請求項の製粉設備によれば、1つの階に製粉用集塵ユニットを設置し、集塵スペースを節約できるので、製粉工場の建物のスペース(階数)が削減される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明が適用された実施形態の製粉用集塵ユニット1について図1及び図2を参照して説明する。
製粉用集塵ユニット1は、所定形状(ここでは角形)のベースケース2と、ベースケース2に立設され製粉機器から排出される粉体と気体の混合気を受け入れて粉体と気体の分離を行なう複数(ここでは12個)のサイクロン集塵装置3と、ベースケース2に設けられサイクロン集塵装置3から排出される粉体と気体の混合気を受け入れて粉体と気体の分離を行なう複数(ここでは3個)のバグフィルタ5と、を備えたものである。以下、詳細に説明する。
【0011】
サイクロン集塵装置3の構造は周知であるので、省略するが、サイクロン集塵装置3は製粉設備と接続する管3aと、バグフィルタ5と接続する管3bとを備えている。サイクロン集塵装置3が近くでバグフィルタ5と接続しているので、接続管に粉が堆積しにくいわけであるし、サイクロン集塵装置3からの排気をバグフィルタ5へマニホールド140(図5、図6参照)を通すことなく直接排出する。そうすることによってマニホールド140が不要になってなおかつマニホールド140から上の階の集塵機120へ輸送されていたものを改善し、同一の階に設置したものである。
【0012】
ベースケース2の階段を上がれば、すべてのバグフィルタ5が点検できるという仕組みになっている。また、1個のバグフィルタ5に対して複数個のサイクロン集塵装置3が接続されているので、構造が簡素となる。1つのバグフィルタ5は、バグフィルタ部6、逆洗装置を内臓した気力発生装置7、吸引ファン8、制御装置9等を備えたものである。吸引ファン8がベースケース2内部に配置され、バグフィルタ部6がベースケース2の上部に配置されている。バグフィルタ部6は、タンク60、タンク60内に突出する濾布61及びリテーナ62、タンク60の底面に設けたテーブルフィーダ63等から構成されている。気力発生装置7は、ケース70、ジェットノズル71、電磁弁72、エアガイド73等を備えている。前記の濾布61及びリテーナ62は、平面又は側面視で扁平な形状とされ、例えば、小判形状、多角形状、楕円形状等の適宜の形状とされている。バグフィルタ5は、サイクロン集塵装置3の管3bからの混合気をタンク60内に受け入れ、吸引ファン8の作用によって、タンク60内を負圧とし、気体に含まれる粉を濾布61に吸着させる。適宜に、逆洗運転を行なう、即ち、ジェットノズル71からエアを濾布61に噴出させて略楕円状に膨張させることで、濾布61の叩き合いの作用によって逆洗運転を行い、濾布61に加えられる衝撃波で粉を払い落とし、タンク60内に蓄積するものである。タンク60内に蓄積された粉はテーブルフィーダ63の回転によって、排出口から配管3eを介してシフター12へ排出される。目的は、バグフィルタ5の濾布61に付着した粉体を、タンク60の底面に落下させて、粉体を回収することで、粉体の歩留まりを向上させるためである。
【0013】
前述の製粉用集塵ユニット1が適用された製粉工場11について図3及び図4を参照して説明する。製粉用集塵ユニット1a〜1cは最上階に設置され、その下の階に複数のシフター12と複数のピュリファイア(風力選別機)13とが配置されている。その下の階に複数のロール機14、ブラン(麸)フィニッシャー15とが配置されている。シフター12は、製粉工程で皮部と胚乳部とに篩い分けるものである。ロール機14は小麦を粉砕するものである。ブランフィニッシャー15は、製粉の最終段階で、麸を皮部と胚乳部とに分離するものである。ピュリファイア13で風力選別された粉はロール機14に供給される。サイクロン集塵装置3で分離された粉はバグフィルタ5に供給され、バグフィルタ5で分離された粉は配管3eでロール機14又はブランフィニッシャー15に排出されるか、粉サイロ(図示略)に排出される。バグフィルタ5は配管3eでピュリファイア13に接続されている。ブランフィニッシャー15は、シフター12から送られた粉を、製品となる麸と再送り粉に分け、麸をロータリーバルブで製品サイロに送り、再送り粉を、管3aを介してサイクロン集塵装置3に送るものである。上述の製粉機器は各種の管で接続されている。同一階にシフター12とピュリファイア13とが設置され、その下階にロール機14とブランフィニッシャー15とが設置されている。
【0014】
前記のロール機14の排出部は、管3aを介して、サイクロン集塵装置3に接続されている。この管3aは、1階部分に空気取入れ部3cを備えており、ここで、ロール機14から排出される粉と製粉工場11内の空気が合流する構造である。ブランフィニッシャー15の排出部は、空気取入れ部3cを備えた管3aを介して、サイクロン集塵装置3に接続されている。ピュリファイア13の排出部の一部は、空気取入れ部3cを備えた管3aを介して、サイクロン集塵装置3に接続されている。
【0015】
ここで、前記の製粉用集塵ユニット1aは、ピュリファイア13と接続され、製粉用集塵ユニット1b及び1cはシフター12と接続され、製粉用集塵ユニット1aと、製粉用集塵ユニット1b及び1cとは、大きさ、配置、サイクロン集塵装置3の台数などが異なっている。サイクロン集塵装置3で分離された粉は配管3dでシフター12又はピュリファイア13へ輸送される。
【0016】
前述した製粉用集塵ユニット1と製粉工場11の動作について図3等を参照して説明する。原料サイロからの小麦から石、夾雑物の除去などの精選、調質をした後、小麦を製粉工場11に輸送し、ここで小麦粉に製粉した後、製品粉を粉サイロに空気輸送するものである。製粉工場1において、最初に、ロール機14のうちのブレーキ・ロールで小麦粉を破砕し、ロールから出てきた粉を空気輸送でサイクロン集塵装置3に上げ、サイクロン集塵装置3で空気と粉とを分離して、更に、空気はバグフィルタ5で除塵されピュリファイア13に送られる。ピュリファイア13は胚乳(粗粒片)を純化するものである。サイクロン集塵装置3で分離された粉は、粒度毎にシフター12へ供給され、又は、ピュリファイア13に供給される。シフター12で粒度毎に分かれて排出され、再度、ロール機14のスムーズ・ロールで粉砕されるものもあれば、製品粉になるものもある。図7に示す通り、ブレーキ・ロールによる最初の破砕後、小麦粉は、製粉用集塵ユニット1でブレーキ粉、胚乳(粗粒片)、未粉砕片、大麸に篩い分けられ、未破砕部はブレーキ・ロールに戻される。次に胚乳は、ピュリファイア13、スムーズ・ロールを経て、製粉用集塵ユニット1でミドリング粉、未破砕部、小麸に篩い分けられ、未粉砕粉は、またスムーズ・ロールに戻す。最終的には、ミドリング粉とブレーキ粉から配分によって、1等粉、2等粉、3等粉、更には、大麸、小麸に分けられる。ブランフィニッシャー15は、麸についている胚乳部を潰して除去し、麸と胚乳部とを分けるものである。
【0017】
以上説明した通り、本実施形態の製粉用集塵ユニット1によれば、以下の効果を奏する。
(1)製粉用集塵ユニット1によりマニホールド140を無くすとともに、配管を簡素化することができるので、製粉工場11の建物の階数を少なくして、建物の高さを削減することができる。製粉工場11を小型化することによって、管理がしやすくなる。
(2)製粉用集塵ユニット1は、マニホールド140を備えていないので、マニホールド140内でのコンタミネーション、害虫の発生、結露が皆無となった。
【0018】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に於て、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施形態の製粉用集塵ユニットの内部構造を示す正面図である。
【図2】 同製粉用集塵ユニットの平面図である。
【図3】 同製粉用集塵ユニットを設置した製粉工場の構造を示す縦断面図である。
【図4】 同製粉工場の製粉用集塵ユニットを設置した階の平面図である。
【図5】 従来例の製粉工場の縦断面図である。
【図6】 従来例の製粉工場のサイクロン集塵装置及びマニホールドを設置した階の平面図である。
【図7】 製粉工程を示すフローシートである。
【符号の説明】
1,1a〜1c・・・製粉用集塵ユニット
2・・・ベースケース
3・・・サイクロン集塵装置
5・・・バグフィルタ
3c・・・空気取入れ部
3a,3b・・・管
6・・・バグフィルタ部
7・・・気力発生装置
8・・・吸引ファン
9・・・制御装置
11・・・製粉工場
12・・・シフター
13・・・ピュリファイア
14・・・ロール機
15・・・ブランフィニッシャー

Claims (1)

  1. ロール機、ブランフィニッシャー、シフター、及びピュリファイアを含み構成され、多層階に設置される製粉機器に適用される製粉用集塵ユニットにおいて、
    ベースケースと、該ベースケースに立設され前記製粉機器から排出され空気輸送される粉体と気体の混合気を管(3a)を介して受け入れて粉体と気体の分離を行なう複数個のサイクロン集塵装置と、前記ベースケースに設けられ前記複数個のサイクロン集塵装置から排出される粉体と気体の混合気を受け入れて粉体と気体の分離を行なうバグフィルタと、を備え、前記サイクロン集塵装置と、バグフィルタとを、粉体と気体の分離装置として用いる製粉用集塵ユニットであって、
    前記バグフィルタのファンが前記ベースケース内部に配置され、前記バグフィルタのフィルタ部が前記ベースケースの上部に配置され、
    前記サイクロン集塵装置が前記バグフィルタの外周囲に間隔を置いて配置され、管(3b)で前記バグフィルタと連結され、前記サイクロン集塵装置で分離された粉体が他の階に配置された前記製粉機器へ配管(3d)を介して送られ、前記サイクロン集塵装置で分離されなかった粉体を含む気体が管(3b)を介して前記バグフィルタへ送られ
    前記製粉用集塵ユニットが1つの階に設置され、
    前記バグフィルタ分離された粉体を配管(3e)を介して他の階に配置された前記製粉機器、又は粉サイロに排出することを特徴とする製粉用集塵ユニット。
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