JP5089520B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)本発明の光導波路の製造方法は、コアとコアを覆うオーバークラッド層を含む光導波路の製造方法であって、液状の樹脂を流延してコアを覆う樹脂層を形成する工程Aと、工程Aで得られた樹脂層を加熱しながら、または加熱後に、型外に通じた通気孔を凹部に有する凹型モールド型を樹脂層に押圧してオーバークラッド層を成形する工程Bとを含むことを特徴とする。
(2)本発明の光導波路の製造方法は、工程Bにおいてオーバークラッド層の端部の光出射部と光入射部のいずれかまたは両方をレンズ形状に成形することを特徴とする。
(3)本発明の光導波路の製造方法は、オーバークラッド層の端部のレンズ形状に成形された部分が、側断面がほぼ1/4円弧の長尺レンズ形状であることを特徴とする。
本発明の光導波路の製造方法はパターン形成されたコアと、コアを覆うように成形されたオーバークラッド層を含み、後述する工程Aと工程Bを含む。この製造方法によれば凹型モールド型の通気孔からコア周囲に付着した気泡が効果的に排出されるため、光散乱の小さいオーバークラッド層を得ることができ、光伝送効率の高い光導波路を得ることができる。従来の製造方法では流延する液状の樹脂の粘度が高いほど、またオーバークラッド層の厚みが大きいほどコアの周囲に付着した気泡を取り除くことが難しかった。本発明の製造方法はそのような条件の場合に特に顕著な効果が得られる。
工程A:のちにオーバークラッド層を形成する液状の活性エネルギー線硬化樹脂を、パターン形成されたコアを覆うように流延して樹脂層を形成する(図1(b))。
工程B:樹脂層を加熱しながら、または加熱後、通気孔を有する凹型モールド型を樹脂層に押圧してオーバークラッド層を成形する(図1(c))。
工程C:凹型モールド型の外側から活性エネルギー線を照射してオーバークラッド層を硬化させる(図1(d))。
本発明に用いられる工程Aは、パターン形成されたコアを覆うように、のちにオーバークラッド層を形成する液状の樹脂を流延して、樹脂層を形成する工程である。
本発明に用いられる工程Bは工程Aで得られた樹脂層を加熱しながら、または加熱後、型外に通じた通気孔を凹部に有する凹型モールド型を樹脂層に押圧してオーバークラッド層を成形する工程である。
好ましい実施形態において、本発明の製造方法は凹型モールド型の外側から活性エネルギー線を照射して、オーバークラッド層を硬化させる工程Cを含む。活性エネルギー線は好ましくは紫外線である。紫外線の照射量は好ましくは100mJ/cm2〜8000mJ/cm2である。この条件範囲でオーバークラッド層を十分硬化させることができる。本発明の製造方法において工程Cが採用される場合、凹型モールド型は照射される光に対して透明であることが好ましい。活性エネルギー線による硬化が終了したのち凹型モールド型はオーバークラッド層から剥離される。
本発明の製造方法により得られる光導波路はパターン形成されたコアとコアを覆うように成形されたオーバークラッド層を含む。好ましくは図2に示すように、光導波路20はアンダークラッド層21と、アンダークラッド層21の表面にパターン形成されたコア22と、コア22を覆うようにアンダークラッド層21上に形成されたオーバークラッド層23を備える。オーバークラッド層23は好ましくは先端部23aがレンズ形状に成形されたレンズ一体型オーバークラッド層である。
本発明の製造方法により製造される光導波路の用途に制限はないが、例えば光配線板、光コネクタ、光電気混載基板、光学式タッチパネルなどに用いられる。
・[成分A]脂環骨格を有するエポキシ系紫外線硬化樹脂(アデカ社製 EP4080E) 100重量部
・[成分B]光酸発生剤(サンアプロ社製 CPI−200K) 2重量部
を混合してクラッド層形成用ワニスを調製した。
・[成分C]フルオレン骨格を含むエポキシ系紫外線硬化樹脂(大阪ガスケミカル社製 オグソールEG) 40重量部
・[成分D]フルオレン骨格を含むエポキシ系紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製 EX−1040) 30重量部
・[成分E]1,3,3−トリス(4−(2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル)ブタン(製法後述) 30重量部
・上記成分B 1重量部
・乳酸エチル 41重量部
を混合してコア形成用ワニスを調製した。
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた200mlの三口フラスコに、1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン6.68g(20mmol)と、N−メチル−2−ピロリドン25mlとを入れ、窒素雰囲気下80℃に加熱しながら完全に溶けるまで攪拌した。溶解後、炭酸セシウム23.46g(72mmol)を加え、さらに30分攪拌した。そこに、先に合成した2−(3−オキセタニル)ブチルトシレート17.84g(66mmol)を加え、窒素雰囲気下80℃で20時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却したのち、酢酸エチル100mlと蒸留水50mlとを加え、その後放置し、水相と有機相に分離した。このように分離した有機相を抽出し、これを水でさらに洗浄し、無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた。その後、硫酸マグネシウムを濾別し、さらに溶媒を留去することにより、反応粗生成物を得た。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/アセトン)により分離精製し、無色透明の半固形体12.20g(収率97%)を得た。このようにして得られた化合物は、 1H−NMRおよび13C−NMR(ともに日本電子社製)を用いて分析した結果、1,3,3−トリス(4−(2−(3−オキセタニル))ブトキシフェニル)ブタンであることが確認された。
厚み188μmのポリエチレンナフタレートフィルムの表面にクラッド層形成用ワニスを塗布し、紫外線を1000mJ/cm2照射したのち80℃で5分間加熱処理して、厚み20μmのアンダークラッド層を形成した。アンダークラッド層の波長830nmにおける屈折率は1.510であった。
実施例で使用したのと同じ通気孔を有する凹型モールド型(石英製)をコア上に設置し、通気孔からクラッド層形成用ワニスを注入して凹型モールド型の凹部をワニスで充填した。それ以外は実施例と同様にして光導波路を作製した。
図3に示すように実施例で作製したレンズ一体型オーバークラッド層を備えた光導波路31、32を2つ用意した。一方の光導波路31の末端には波長850nmの光を出射する発光素子33(Optwell社製 VCSEL)を連結した。他方の光導波路32の末端には受光素子34(TAOS社製 CMOSリニアセンサーアレイ)を連結した。各光導波路31、32の出射端、入射端が座標入力領域35を隔てて対向するように配置し、図3に示す対角3インチの光学式タッチパネル30を作製した。また比較例で作製したレンズ一体型オーバークラッド層を備えた光導波路を用いて実施例と同様に光学式タッチパネルを作製した。
[粘度]
ストレスレオメーター(ThermoHAAKE社製 HAKKE Rheo Stress600)を用いて温度25℃で測定した。
クラッド層形成用ワニスおよびコア形成用ワニスをそれぞれシリコンウエハ上にスピンコートにより成膜して屈折率測定用サンプルを作製し、プリズムカプラー(サイロン社製)を用いて測定した。
作製した光導波路をダイサー式切断機(DISCO社製 DAD522)を用いて断面切断し、切断面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)を用いて観察測定した。
12 コア
13 樹脂層
14 気泡
15 通気孔
16 凹型モールド型
17 オーバークラッド層
18 活性エネルギー線
20 光導波路
21 アンダークラッド層
22 コア
23 オーバークラッド層
23a オーバークラッド層の先端部
30 光学式タッチパネル
31 光導波路
32 光導波路
33 発光素子
34 受光素子
35 座標入力領域
Claims (3)
- コアと前記コアを覆うオーバークラッド層を含む光導波路の製造方法であって、
液状の樹脂を流延して前記コアを覆う樹脂層を形成する工程Aと、
前記工程Aで得られた前記樹脂層を加熱しながら、または加熱後に、型外に通じた通気孔を凹部に有する凹型モールド型を前記樹脂層に押圧して前記オーバークラッド層を形成する工程Bとを含むことを特徴とする光導波路の製造方法。 - 前記工程Bにおいて前記オーバークラッド層の端部の光出射部と光入射部のいずれかまたは両方をレンズ形状に形成することを特徴とする請求項1に記載の光導波路の製造方法。
- 前記オーバークラッド層の端部のレンズ形状に形成された部分は、側断面がほぼ1/4円弧の長尺レンズ形状であることを特徴とする請求項2に記載の光導波路の製造方法。
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