本発明の実施の一形態について、図1ないし図11に基づいて説明する。本実施の形態では、スーパーマーケットに導入された情報表示システムへの適用例について説明する。
図1は、情報表示システム101の概要を示す模式図である。スーパーマーケット102は、客に向けて商品103(図2参照)が陳列されている売場空間104と、店員が自由に出入りできるバックヤード105とに区切られている。本実施の形態の情報表示システム101は、このようなスーパーマーケット102に導入され、サーバ106、情報表示装置107、環境調整装置108及び無線アクセスポイント110を備えて構成されている。環境調整装置108は、環境調整装置コントローラ108aと制御回路108bと環境調整装置駆動部108cとにより構成されている。そして、スーパーマーケット102において、情報表示装置107、環境調整装置駆動部108c及び無線アクセスポイント110は売場空間104に配置されている。サーバ106及び環境調整装置コントローラ108aはバックヤード105に配置されている。
売場空間104には、図1に示すように、客が通行するための通路111に沿って設置されている商品陳列棚112と、客が購入しようとする商品103(図2参照)を会計するためのチェックアウトカウンタ113と、会計後の商品103を客が袋詰めするための袋詰め台114とが設置されている。商品陳列棚112には情報表示装置107が取り付けられており、この情報表示装置107には商品陳列棚112に陳列されている商品103に関する商品情報156(図2参照)が表示されている。売場空間104に設置されている商品陳列棚112の種類は複数あり、その一つは、魚介類や肉類を陳列するための鮮魚品陳列棚115である。この鮮魚品陳列棚115には、鮮魚品陳列棚115内の温度や湿度を調節する冷機116が取り付けられている。また、商品陳列棚112には、アイスクリームや氷、ケーキなどを冷やした状態のまま保存するためのショウケース117がある。一方、売場空間104の天井(図示せず)には、売場空間104の照度を調整する照明118や、売場空間104の温度及び湿度を調節する空調機119が、取り付けられている。これらの冷機116、ショウケース117、照明118及び空調機119は、制御回路108bを介して環境調整装置コントローラ108aに接続されて、環境調整装置コントローラ108aによる制御を受けて駆動し、売場空間104の環境特性(温度、湿度、照度など)を調整する。つまり、冷機116、ショウケース117、照明118及び空調機119は、環境調整装置駆動部108cとしての役割を果たす。
バックヤード105に設置されているサーバ106はコンピュータ装置であり、キーボード126やポインティングデバイス127等の入力デバイス、及び、ディスプレイ128等の出力デバイスを備えて構成されている。このサーバ106にはハードディスク129も備わっている。ハードディスク129には、オペーレーティングシステムOSや各種のドライバプログラムDP、アプリケーションプログラムAP等の各種のプログラムがインストールされ、サーバ106のCPU160a(図3参照)は、これらの各種のプログラムに従った処理を実行する。ハードディスク129には、測定データ記録ファイルF1をはじめとする各種のデータファイルも格納されている(いずれも図3参照)。
バックヤード105に設置されている環境調整装置コントローラ108aは、制御回路108bを介して売場空間104に設置されている環境調整装置駆動部108c(冷機116等)に接続されている。この環境調整装置コントローラ108aはサーバ106とLANネットワーク130(後述)を介してネットワーク接続されており、サーバ106から送信される制御命令を受信して、その制御命令に応じた制御信号を制御回路108bに送信し、環境調整装置駆動部108cを駆動制御する。なお、図1では、制御回路108b及び環境調整装置駆動部108c(冷機116、ショウケース117、照明118、空調機119)の間の接続の一部の記載を省略しているが、全て接続されている。また、環境調整装置コントローラ108aには、電力量計165が監視している環境調整装置駆動部108cの消費電力量が入力される。
スーパーマーケット102には、LANネットワーク130が配設されている。このLANネットワーク130は、サーバ106と環境調整装置コントローラ108aと無線アクセスポイント110とをデータ通信自在にネットワーク接続している。無線アクセスポイント110は、サーバ106から送信された表示データや制御命令を受信すると、無線信号に変換して出力する。情報表示装置107に備わる無線通信ユニット154(図3参照)でこの無線信号が受信されると、情報表示装置107ではその無線信号が復元され、復元された表示データが表示されたり、復元された制御命令に基づいた制御が行われたりする。また、無線アクセスポイント110は、情報表示装置107から送信される無線信号を受信すると、その無線信号を復元してサーバ106に送信する。すなわち、サーバ106及び情報表示装置107の間では、データ通信自在となっている。
LANネットワーク130には、ルータ131も接続されている。そのため、サーバ106は、LANネットワーク130、ルータ131及びWANネットワーク132を介して、本部サーバ133ともデータ通信可能となっている。
図2は、商品陳列棚112に取り付けられた状態の情報表示装置107の斜視図である。情報表示装置107は、表示部としての電子ペーパー151と、電子ペーパー151を縁取るフレーム152と、商品陳列棚112に設けられた取付用溝112aに情報表示装置107を取り付けるためのフック153と、無線アクセスポイント110との無線通信を実現する第1通信部としての無線通信ユニット154(図3参照)と、制御部としてのマイクロコンピュータ155(図3参照)と、測定部としての環境特性測定タグ158(図3参照)と、バッテリ(図示せず)とを備えて構成されている。無線通信ユニット154とマイクロコンピュータ155と環境特性測定タグ158とは、情報表示装置107の背面に取り付けられている。環境特性測定タグ158は、環境特性(温度、湿度、照度など)をセンシングしその結果を電気信号として出力するセンサと、その電気信号を環境特性情報(温度の値、湿度の値、照度の値、など)に変換して出力する出力回路とを備えて構成されているもので、情報表示装置107が設置されている場所の近傍の環境特性を測定するために用いられる。このような構成を備えた情報表示装置107は、フック153が商品陳列棚112の取付用溝112aに掛けられることで、商品陳列棚112の前面に取り付けられる。その結果、電子ペーパー151は通路111側に向けられた状態となる。
図1に基づく説明に戻る。本実施の形態の情報表示システム101において、サーバ106は、情報表示装置107に行う表示を統括管理している。より詳細には、サーバ106は、表示データ及び制御命令を情報表示装置107に向けて送信する。送信された表示データや制御命令は、LANネットワーク130、無線アクセスポイント110を経由して情報表示装置107に備わる無線通信ユニット154に到達した後、電子ペーパー151に表示されたり、情報表示装置107のCPU155a(図3参照)が制御命令に応じた処理を実行する際のトリガとなったりする。なお、情報表示装置107に備わるROM155b(図3参照)には、個々の情報表示装置107を特定するための特定コードが記憶されている。そこで、サーバ106から表示データとともに特定コードを送信することで、その特定コードが割り当てられている情報表示装置107に所望の表示データを表示させたり、その情報表示装置107のみを制御したりすることができる。そのため、商品陳列棚112に陳列されている商品103の近傍に情報表示装置107を取り付け、その商品103に関する商品情報156(商品の名称や価格、プロモーション情報等)を特定コードに対応付けてサーバ106から送信することで、その商品103に関するさまざまな情報を情報表示装置107に表示させることができる。
本実施の形態の情報表示システム101において重要なのは、情報表示装置107には環境特性測定タグ158が備わっており、環境特性測定タグ158で測定された情報表示装置107の周囲の環境特性(温度、湿度、照度など)に基づいて生成された環境特性情報はサーバ106に収集され、サーバ106では、その環境特性情報に基づいて、売場空間104内の環境特性の分布状態(温度分布、湿度分布、照度分布など)を示す環境特性分布情報が生成され、この環境特性分布情報が各情報表示装置107に配信されるという点である。配信された環境特性分布情報は、スーパーマーケット102が環境保護に対する取り組みを行っていることを客にアピールするための環境取組情報157として、商品情報156と併せて情報表示装置107に表示され、買い物中の客の目に触れることになる。
図3は、情報表示システム101の電気的構成を示すブロック図である。情報表示システム101は、サーバ106と環境調整装置コントローラ108aと無線アクセスポイント110とルータ131とがLANネットワーク130を介してネットワーク接続しており、さらに、無線アクセスポイント110と情報表示装置107とが無線接続して構成されている。
情報表示装置107は、情報表示装置107の各部を制御する制御部としてのマイクロコンピュータ155を備えている。マイクロコンピュータ155は、CPU155aと、ROM155bと、RAM155cとを備えて構成される。CPU155aは、演算処理を実行する。ROM155bには、各種のプログラム155baを含むデータが予め固定的に格納されている。プログラム155baには、CPU155aに、無線通信ユニット154が受信した無線信号を復元してCPU155aに入力する機能や、入力された表示データをRAM155cに記憶する機能や、RAM155cに記憶された表示データを電子ペーパー151に表示させる機能や、入力された制御命令に応じた処理を実行する機能を実現させるためのものも含まれている。さらに、プログラム155baには、図7に基づいて後述する処理をCPU155aに実行させるものも含まれている。RAM155cは、可変的なデータを書き換え自在に記憶し、CPU155aのワークエリアとして機能する。このRAM155cは、バッテリ(図示せず)によりバックアップされる不揮発性メモリであり、電子ペーパー151に表示される表示データを複数記憶できるだけのメモリ容量を有している。
情報表示装置107に備わるマイクロコンピュータ155は、入出力回路(図示せず)を介して、電子ペーパー151、無線通信ユニット154、タイマ回路159のそれぞれとバス接続している。無線通信ユニット154は、例えば、巻回されたコイルを備えて構成されている。無線通信ユニット154で受信された無線アクセスポイント110からの無線信号は、入出力回路(図示せず)を介して、マイクロコンピュータ155に入力される。タイマ回路159では計時が行われており、CPU155aが電子ペーパー151に表示する表示データを切り替える処理を行う際にそのタイミングをとるために用いられる。
サーバ106は、情報処理を実行する情報処理部160を備える。情報処理部160は、CPU160aとROM160bとRAM160cとを備えて構成されている。この情報処理部160は、入出力回路(図示せず)を介してキーボード126、ポインティングデバイス127、ディスプレイ128、LANインタフェイス161のそれぞれとバス接続している。LANインタフェイス161は、情報処理部160をLANネットワーク130に接続して通信を実行する第2通信部として機能する。さらに、情報処理部160は、大容量のデータを記憶保持するハードディスク129と接続している。ハードディスク129には、オペーレーティングシステムOS、ドライバプログラムDP、各種のアプリケーションプログラムAPを含む各種のプログラムや、測定データ記録ファイルF1(図4参照)とタグ配置位置ファイルF2(図5参照)と商品データファイルF3(図6参照)とを含む各種のデータファイルを記憶している。アプリケーションプログラムAPには、CPU160aに、LANインタフェイス161が受信した無線信号を復元してCPU160aに入力する機能や、図7ないし図9に基づいて後述する各処理を行う機能を実現させるためのものも含まれている。
環境調整装置コントローラ108aは、環境調整装置制御部162と通信ユニット164とを備える。環境調整装置制御部162は、接続線163及び制御回路108bを介して環境調整装置駆動部108cと接続しており、制御回路108bに制御信号を送信して環境調整装置駆動部108cを駆動制御するコントローラ回路と、データを記憶する不揮発性の記憶部とを有している(いずれも図示せず)。環境調整装置コントローラ108aには、環境調整装置駆動部108cの消費電力量を監視する電力量計165が接続されている。電力量計165は、各環境調整装置駆動部108cで消費された電力量を環境調整装置制御部162に入力する。通信ユニット164は、環境調整装置コントローラ108aとサーバ106との間のデータ通信を実現する。
ルータ131は、スーパーマーケット102に配設されているLANネットワーク130とスーパーマーケット102の外側で構築されているWANネットワーク132とを仲介し、サーバ106と本部サーバ133との間のデータ通信を実現する。環境調整装置コントローラ108a、制御回路108b及び環境調整装置駆動部108cは、売場空間104の環境特性を調整する環境調整装置108を構成している。
図4は、測定データ記録ファイルF1のデータ構造を示す模式図である。測定データ記録ファイルF1は、情報表示装置107から送信される環境特性情報がCPU160aに入力された時間を示す取得日時、その環境特性情報と対応付けられて送られた情報表示装置107の特定コード、環境特性情報によって示される各環境特性の測定値(温度の値、湿度の値、照度の値、など)で構成されるデータレコードDTを追加記憶可能な構造を有している。このデータレコードDTには、ユニークコードであるデータIDが付加される。
図5(a)は、タグ配置位置ファイルF2のデータ構造を示す模式図である。図5(b)は、タグ配置位置ファイルF2における配置位置の指定方法の一例を示す模式図である。タグ配置位置ファイルF2は、情報表示装置107にそれぞれ割り当てられている特定コードに対応付けて、その情報表示装置107が売場空間104のどの位置に配置されているかを示す配置位置を記憶可能な構造を有している。すなわち、タグ配置位置ファイルF2は、特定コードとこの特定コードにより特定される情報表示装置107が配置される売場空間104内の配置位置とを対応付けて記憶している配置位置記憶部としての役割を果たす。一例として、図5(b)に示すように、予め売場空間104が所定のエリアA〜Lに分割されており、情報表示装置107が属しているエリアA〜Lの記号A〜Lを、配置位置としてタグ配置位置ファイルF2に指定する。
図6は、商品データファイルF3のデータ構造を示す模式図である。商品データファイルF3は、売場空間104で販売される商品103を特定する商品コードに対応付けて、その商品コードにより特定される商品(以下、「被特定商品」と称する)の名称、被特定商品の単価、被特定商品が陳列される商品陳列棚112に取り付けられる情報表示装置107の特定コード、被特定商品に関する情報表示装置107に表示される表示データ、及び、被特定商品を管理する上で最適な環境特性を示す商品管理情報を記憶可能な構造を有している。一例として、商品管理情報は、各食品について定められた保存に適したp℃以下で保存すべきである、といった指示事項である。
以上のような構成を備える情報表示システム101では、図7ないし図9に基づいて説明する処理が実行される。
図7は、サーバ106及び情報表示装置107において行われる、情報表示装置107の表示内容を切り替える処理の流れを示すフローチャートである。サーバ106のCPU160aは、機器の起動中、ハードディスク129に記憶されているアプリケーションプログラムAPに従った処理を実行し、情報表示装置107の表示内容を切り替えるための表示データ切替命令の入力、及び、情報表示装置107から送信される環境特性情報の受信のいずれかを待機している(ステップS101のN及びステップS105のN)。ここで、表示データ切替命令は、キーボード126やポインティングデバイス127から入力されたり、本部サーバ133から送信される制御命令を受信したりすることによってなされる。このデータ切替命令が入力される場合、併せて、情報表示装置107に表示しようとする商品情報等のデータと、表示を切り替えようとする情報表示装置107の特定コードとの入力を必要とする。
表示データ切替命令の入力を判定しない場合(ステップS101のN)、サーバ106のCPU160aは、処理をステップS105に進める。これに対し、表示データ切替命令の入力を判定した場合(ステップS101のY)、サーバ106のCPU160aは、入力された商品情報等のデータに基づいて表示データを生成する(ステップS102)。より詳細には、ステップS102において、サーバ106のCPU160aは商品データファイルF3を参照し、情報表示装置107に商品情報を表示しようとする商品の商品コードに対応する表示データを取得し(図6参照)、この取得した表示データに入力された商品情報等を当てはめることで、情報表示装置107に表示すべき表示データを生成する。ステップS102に続く処理として、サーバ106のCPU160aは、RAM160cに記憶されている環境特性分布情報(図8に基づいて後述)の上層にステップS102で生成した表示データをレイヤ合成し(ステップS103)、表示データの切替対象となる情報表示装置107の特定コードとともに合成後の表示データを情報表示装置107に送信する(ステップS104)。なお、ステップS104において、サーバ106のCPU160aは、データ切替命令の際に入力された特定コードの情報表示装置107に対して表示データを送信する他、順次特定コードを切り替えて表示データを送信して全ての情報表示装置107の表示を切り替えるようにしてもよい。
ステップS104もしくはステップS101のNに続く処理として、サーバ106のCPU160aは、情報表示装置107から送信される環境特性情報及び特定コードを受信したか否かを判定する(ステップS105)。入力を判定しない場合(ステップS105のN)、サーバ106のCPU160aは、処理をステップS101に戻す。これに対し、入力を判定した場合(ステップS105のY)、サーバ106のCPU160aは、入力された環境特性情報及び特定コードを測定データ記録ファイルF1に追加記録し(ステップS106)、受信した環境特性情報及び特定コードを用いて環境特性分布情報作成処理(図8に基づいて後述)を実行し(ステップS106a)、この処理によって生成されRAM160cに記憶されている環境特性分布情報(図8に基づいて後述)を表示データの上層からレイヤ合成し(ステップS107)、表示データの切替対象となる情報表示装置107の特定コードとともに合成後の表示データを情報表示装置107に送信して(ステップS108)、処理をステップS101に戻す。なお、ステップS108においては、所定の特定コードの情報表示装置107に対して表示データを送信する他、順次特定コードを切り替えて表示データを送信して全ての情報表示装置107の表示を切り替えるようにしてもよい。
一方、情報表示装置107のCPU155aは、機器の起動中、ROM155bに記憶されているプログラム155baに従った処理を実行し、サーバ106から送信される環境特性情報送信要求命令や表示データの何れかの受信を待機している(ステップS201のN及びステップS204のN)。環境特性情報送信要求命令の入力を判定しない場合(ステップS201のN)、情報表示装置107のCPU155aは、処理をステップS204に進める。これに対し、環境特性情報送信要求命令の入力を判定した場合(ステップS201のY)、情報表示装置107のCPU155aは、環境特性測定タグ158から環境特性情報(温度の値、湿度の値、照度の値、など)を取得し(ステップS202)、取得した環境特性情報とROM155bに記憶されている特定コードとをサーバ106に送信して(ステップS203)、処理をステップS204に進める。なお、ステップS201において、サーバ106から送信される環境特性情報送信要求命令の入力の有無を判定するだけではなく、タイマ回路159による計時によって定期間隔(例えば、10分間隔)で判定をステップS201のYからステップS202に進めるようにしてもよい。
ステップS201のNもしくはステップS203に続く処理として、情報表示装置107のCPU155aは、サーバ106から送信される表示データの受信の有無を判定する(ステップS204)。表示データの受信を判定しない場合(ステップS204のN)、情報表示装置107のCPU155aは、処理をステップS201に戻す。これに対し、表示データの受信と判定した場合(ステップS204のY)、情報表示装置107のCPU155aは、表示データとともに送信された特定コードが、自身のROM155bに記憶されている特定コードと一致するか否かの判定し(ステップS205)、不一致と判定した場合には(ステップS205のN)処理をステップS201に戻し、一致と判定した場合には(ステップS205のY)受信した表示データを電子ペーパー151に表示した後に(ステップS206)、処理をステップS201に戻す。
図8は、サーバ106で行われる環境特性分布情報を生成する処理の流れを示すフローチャートである。サーバ106のCPU160aは、ハードディスク129に格納されているアプリケーションプログラムAPの記述に従って環境特性分布情報を生成する処理を実行する。この処理は、サーバ106のCPU160aが図7に示すステップS106に続く処理として行う他、サーバ106のCPU160aが定期間隔(例えば、15分間隔)で実行するようにしてもよい。
サーバ106のCPU160aは、まず、測定データ記録ファイルF1にアクセスして、蓄積記憶されている環境特性情報を抽出する(ステップS301)。ステップS301において、サーバ106のCPU160aは、一例として、各エリアA〜L(図5参照)のそれぞれについて、測定データ記録ファイルF1の取得日時を参照し、最後に記録された各エリアの最新の環境特性情報(温度、湿度、照度など)を抽出する。また、別の一例として、サーバ106のCPU160aは、過去一日分の各エリアの最新の環境特性情報(温度、湿度、照度など)を抽出し、各エリアA〜L(図5参照)のそれぞれについて平均を算出する。
続く処理として、サーバ106のCPU160aは、タグ配置位置ファイルF2を参照し、抽出した環境特性情報を売場空間104の各エリアA〜Lに当てはめ(ステップS302)、その当てはめた結果に基づいて、売場空間104における環境特性の分布状態を示す環境特性分布情報を生成する(ステップS303)。サーバ106のCPU160aは、生成した環境特性分布情報をRAM160cに記憶する。ステップS303の処理を終了した後、サーバ106のCPU160aは、一連の処理を終了する。
図9は、サーバ106で行われる環境調整装置108を制御する処理の流れを示すフローチャートである。サーバ106のCPU160aは、ハードディスク129に格納されているアプリケーションプログラムAPの記述に従って、機器の起動中、環境調整装置108を制御する処理を実行し、本部サーバ133から送信される電力量の削減目標の受信を待機している(ステップS401)。
本部サーバ133は、店舗チェーンを構成する各店舗に向けて、店舗別に割り当てた電力量の削減目標を送信する。この本部サーバ133から送信された電力量の削減目標を受信したと判定した場合(ステップS401のY)、サーバ106のCPU160aは、商品データファイルF3を参照して、売場空間104で販売される商品103の商品コードに対応する商品管理情報を取得する(ステップS402)。続いて、サーバ106のCPU160aは、ステップS402で取得した商品管理情報と、タグ配置位置ファイルF2に格納されたデータとを参照して、店舗内の各エリアA〜Lに本部サーバ133から送信された電力量の削減目標を落とし込み、各エリアA〜Lについて目標とする環境特性の値(環境制御目標値)を算出し(ステップS403)、各エリアA〜Lの環境特性がこの目標を達成するように環境調整装置108を制御する運転計画を作成する(ステップS404)。
続く処理として、サーバ106のCPU160aは、ステップS404において作成した運転計画が達成されるように環境調整装置108が駆動するよう、環境調整装置コントローラ108aを制御するための制御命令を、環境調整装置コントローラ108aに向けて送信する(ステップS405)。環境調整装置コントローラ108aは、通信ユニット164で受信された制御命令に応じた制御信号を制御回路108bに向けて送信して、各環境調整装置駆動部108c(冷機116、ショウケース117、照明118、空調機119)を運転計画通りに駆動制御する。
ステップS405に続く処理として、サーバ106のCPU160aは、RAM160cに記憶されている環境特性分布情報を監視し(ステップS406)、売場空間104の環境特性が運転計画通りに変化しているか否かを判定する(ステップS407)。環境特性が運転計画通りに変化していないと判定した場合(ステップS407のN)、サーバ106のCPU160aは、環境調整装置108の運転状態を修正するよう環境調整装置駆動部108cを駆動制御するための制御命令を環境調整装置コントローラ108aに送信し(ステップS408)、処理をステップS406に戻す。
一方、ステップS407において、環境特性が運転計画通りに変化していると判定した場合(ステップS407のY)、サーバ106のCPU160aは、環境調整装置108に対し、電力量計165から環境調整装置コントローラ108aに入力された消費電力量をサーバ106に送信するよう要求する要求信号を送信して、環境調整装置108を構成している環境調整装置コントローラ108aから送信される消費電力量を受信することにより、消費電力量を取得する(ステップS409)。続く処理として、サーバ106のCPU160aは、ステップS409において取得した消費電力量と、制御命令に従わずに環境調整装置108が駆動した場合の消費電力量との差を求め、この消費電力量に基づいてCO2排出削減量を算出する(ステップS410)。制御命令に従わずに環境調整装置108が駆動した場合の消費電力量は、例えば、環境調整装置コントローラ108aに備わる不揮発性の記憶部(図示せず)に予め記憶されているものである。一例として、制御命令に従わずに環境調整装置108が駆動した場合の消費電力量は、環境調整装置コントローラ108aのコントローラ回路(図示せず)がサーバ106からの制御命令とは無関係に環境調整装置駆動部108cを制御している間に、当該コントローラ回路が電力量計165から入力された消費電力量を不揮発性の記憶部に書き込んだものである。また、CO2排出削減量を算出する手法は、さまざまなものを採用することができる。一例として、環境省地球環境局地球温暖化対策課が提示している「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン」で提示されている算定手法や、消費電力量に燃料別に定められた二酸化炭素排出係数を乗じて求める算出手法を用いることができる。ステップS410に続く処理として、サーバ106のCPU160aは、算出したCO2排出削減量を、本部サーバ133や各情報表示装置107に送信する(ステップS411)。ステップS411の処理を終了した後、サーバ106のCPU160aは、処理をステップS401に戻す。
情報表示装置107のCPU155aは、サーバ106から送信されたCO2排出削減量を受信したと判定した場合、この受信したCO2排出削減量を環境取組情報157として電子ペーパー151に表示する処理を実行する。また、本部サーバ133の情報処理部(図示せず)は、サーバ106から送信されたCO2排出削減量を受信したと判定した場合、店舗別のCO2排出削減量を記憶するデータベースに、受信したCO2排出削減量の情報を店舗別の店舗コードに対応付けて記憶する。
このように構成された情報表示システム101が導入されたスーパーマーケット102では、複数の情報表示装置107が売場空間104に分散されて配置されている。情報表示装置107に取り付けられた環境特性測定タグ158では、情報表示装置107の周囲の環境特性(温度、湿度、照度など)が測定され、この測定結果に基づく環境特性情報が生成される。環境特性情報は、定期的に、あるいは、サーバ106からの環境特性情報送信要求命令を受信したと情報表示装置107のマイクロコンピュータ155で判定された際に、情報表示装置107を特定する特定コードとともにサーバ106に送信される。サーバ106では、収集された環境特性情報は測定データ記録ファイルF1に記憶される。そして、サーバ106では、環境特性情報が蓄積記憶されている測定データ記録ファイルF1と、環境特性測定タグ158が配置された配置位置が記録されているタグ配置位置ファイルF2とが参照されて、売場空間104内の環境特性(温度、湿度、照度)の分布状態を示す環境特性分布情報が生成され、RAM160cに記憶される。この環境特性分布情報は、商品陳列棚112に取り付けられた情報表示装置107に、商品情報156とともに表示され、買い物中の客の目に留まることになる。
一例として、図2では、情報表示装置107の電子ペーパー151には、商品情報156として「日曜特売 ちょっと贅沢な1人前サイズ 厳選夏野菜 1皿 280円(税込)」というメッセージが表示されている他にも、環境取組情報157として「eco ただいまの温度 18℃ CO2排出削減量 2トン/日」というメッセージが表示されている。情報表示装置107に表示される「ただいまの温度」は、サーバ106から送信される環境特性分布情報の一部であり、売場空間104全体の平均温度であってもよいし、情報表示装置107が設置された商品陳列棚112の周辺の温度であってもよい。また、情報表示装置107に表示される「CO2排出削減量」は、サーバ106から送信されるCO2排出削減量である。なお、図示はしないが、CO2排出削減量に代えて、軽減された消費電力量の値を表示することも可能である。
図10は、情報表示装置107に表示される環境特性分布情報の一例を示す斜視図である。別の一例として、図10に示すように、情報表示装置107の電子ペーパー151に上記と同様の商品情報156を表示し、これとともに、環境取組情報157として、売場空間104内の温度分布を示す温度分布図157aを表示するようにしてもよい。この温度分布図157aは、サーバ106で作成されて情報表示装置107に送信される表示データの一態様である。なお、温度分布図157aに代えて、売場空間104内の湿度分布や照度分布など、各種の環境特性についての分布図をサーバ106で作成して、作成された分布図が情報表示装置107に送信されて情報表示装置107に表示されるようにしてもよい。
図11は、情報表示装置107に表示される環境特性分布情報の一例を示す斜視図である。別の一例として、図11に示すように、情報表示装置107の電子ペーパー151に上記と同様の商品情報156を表示し、これとともに、環境取組情報157として、測定データ記録ファイルF1に蓄積記憶されている環境特性情報(図11では、温度の値)を抽出して経時変化をグラフで表現した売場空間104内の温度変化グラフ157bを表示するようにしてもよい。この温度変化グラフ157bは、サーバ106で作成されて情報表示装置107に送信される表示データの一態様である。なお、この温度変化グラフ157bによって示される温度変化は、売場空間104全体の平均温度であってもよいし、情報表示装置107が設置された商品陳列棚112の周辺の温度であってもよい。また、温度変化グラフ157bに代えて、売場空間104内の湿度変化や照度変化など、各種の環境特性についての変化を示すグラフをサーバ106で作成して、作成されたグラフが情報表示装置107に送信されて情報表示装置107に表示されるようにしてもよい。
このように、本実施の形態の情報表示システム101によれば、サーバ106に収集された売場空間104の温度、湿度、照度などの各種の環境特性のデータから環境特性分布情報が生成され、この環境特性分布情報が情報表示装置107に配信されて表示されるので、店舗で行われている環境保護についての取り組みや食品の管理体制を客に対してアピールすることができる。
また、本実施の形態の情報表示システム101では、サーバ106から環境調整装置108に対して、測定した環境特性の測定結果に基づく制御命令が送信され、環境調整装置108は環境特性が所望の目標状態となるように駆動制御するので、売場空間104での省エネルギー化につながる環境調整装置108の最適な運転が可能となる。
さらに、本実施の形態の情報表示システム101では、環境特性(温度、湿度、照度など)の測定値そのものや分布、経時変化、さらには、環境調整装置108が環境特性に応じた制御をすることで実現する消費電力の軽減及びCO2排出削減の結果が、商品情報156とともに情報表示装置107に表示される。このため、スーパーマーケット102における環境保護への取り組みや食品の管理体制を客にアピールする際、スーパーマーケット102にすでに導入されている情報表示装置107を活用することができる。すなわち、スーパーマーケット102に、新たなセンサネットワークを構築する必要がない。このような環境保護への取り組みや食品の管理体制のアピールは、店舗の信頼を高め、来客の増加に貢献するものといえる。
なお、本実施の形態の情報表示システム101において、情報表示装置107は、商品陳列棚112に陳列された商品103の近傍に配置されその商品103の商品情報156を表示するものである。この際、情報表示装置107は、商品103の近傍に位置するだけでなく、売場空間104の全体に適度に数多く分散されて、環境特性測定タグ158が環境特性をセンシングする範囲を売場空間104全体に面的にカバーするようにすることが望ましい。