JP5086221B2 - 光スイッチおよび光スイッチの制御方法 - Google Patents

光スイッチおよび光スイッチの制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5086221B2
JP5086221B2 JP2008267890A JP2008267890A JP5086221B2 JP 5086221 B2 JP5086221 B2 JP 5086221B2 JP 2008267890 A JP2008267890 A JP 2008267890A JP 2008267890 A JP2008267890 A JP 2008267890A JP 5086221 B2 JP5086221 B2 JP 5086221B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
mirror
control variable
electrode
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008267890A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010096996A (ja
Inventor
悦 橋本
恒一 葉玉
雄三 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2008267890A priority Critical patent/JP5086221B2/ja
Publication of JP2010096996A publication Critical patent/JP2010096996A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5086221B2 publication Critical patent/JP5086221B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)

Description

本発明は、通信用光伝送装置や波長ルーティング装置などに用いられる光スイッチおよび光スイッチの制御方法に関するものである。
近年、光通信の分野では、光信号を電気信号に変換することなく相手先に送信することにより、光の特徴を生かした高速通信が実現されている。また、1つの波長に1つの光信号を対応させて波長多重するWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術により、1本の光ファイバにより大容量の光伝送を行うことも実現されている。このような光通信技術の発展に伴って、光信号を電気信号等に変換することなく経路を切り替える光スイッチが脚光を浴びている。
光スイッチは、光通信ネットワークの大規模化に伴って、高機能化が促進されている。従来では、入力ポートが1つ、出力ポートが2つの単純な1×2スイッチが用いられていたが、近年では、入力ポートおよび出力ポートを数百個有し万単位の光路制御を行うことができるマトリクススイッチや数十もの波長から任意の波長を選択して複数の出力ファイバのうちの何れかから出力する波長選択スイッチ(例えば、特許文献1参照)などが提案されている。これらのスイッチを高機能かつ小型に実現できるのが空間光学系光スイッチである。
空間光学系光スイッチは、光ファイバとともにレンズやミラーなどの空間光学部品を3次元的に配置することにより、高機能化と小型化を実現している。このような空間光学スイッチには、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で作成されたマイクロミラー装置(例えば、特許文献1参照)がよく用いられる。MEMSマイクロミラー装置は、ミラーと対向配置された電極に電圧を印加し、電極とミラーとの間に生じる静電力によってミラーを回動軸回りに回動させる装置である。MEMSマイクロミラー装置は、ミラーを複数の回動軸により回動させることが可能なので、例えば、光路の切り替えを実現する第1の回動軸の他にその第1の回転軸と直交する第2の回動軸の回りにミラーを傾けることによって、光損失を変化させてそのミラーを通過する光信号のパワーを任意の値に制御することができる。光パワーの制御は、例えば、WDM光ネットワークなどにおいては、光伝送路のける波長利得/損失の差によって生じた光信号間のパワーのばらつきを抑制することに利用される。この機能は、接続できるノード数にかかわるので、将来の多波長光ネットワーク用波長選択スイッチには欠かせない機能である。
このような波長選択スイッチでは、光ネットワークの大規模化に伴って、その光学的な性能についても高い性能が要求されている。例えば、光信号が多段のノードを通過するようなると、光損失を補うために光増幅器が設けられるが、この光増幅器は、必要な信号成分のみを増幅できるように、波長選択スイッチでは、透過スペクトルが必要な帯域のみを通すスペクトルであることが求められる。また、ポート数も増加するため、一般にポートクロストーク(PXT)と呼ばれる、隣接ポートに漏れ出す光信号レベルを要求値以下に十分抑えなくてはならない。
このような波長選択スイッチの一例を図11,図12に示す。ここで、図11に示す波長選択スイッチ100は、複数の入力ポートから入力された複数(最大m波)のチャンネル(波長)信号を、1つの出力ポートから合波して出力するAdd型波長選択スイッチである。一方、図12に示す波長選択スイッチ200は、1つの入力ポートから入力された複数のチャンネル信号(最大m波)を、複数の出力ポートの中の1つのポートから出力するDrop型波長選択スイッチである。なお、図11,図12において、同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図11に示す波長選択スイッチ100は、入力ポートとして機能するn本の入力側光ファイバ101−1〜101−nと、出力ポートとして機能する1本の出力側光ファイバ102と、入力側光ファイバ101−1〜101−nからの入力光を回折して波長の異なるm個の光を生成する回折格子103と、この回折格子103により回折された特定の波長のm個の光を各波長毎に反射して、出力側光ファイバ102から出力させるMEMSミラー装置104−1〜104−mと、出力側光ファイバ102から分岐された光信号をm個の特定の波長毎に分波器105と、この分波器105により分波された各光をモニタするフォトダイオード106−1〜106−mと、このフォトダイオード106−1〜106−mの検出結果をA/D変換するA/D変換器107と、このA/D変換器107からの出力に基づいてMEMSミラー装置104−1〜104−mの駆動を制御する制御装置108とを備えている。ここで、MEMSミラー装置104−1〜104−mの各ミラーは、x軸およびこのx軸と直交するy軸回りに回動可能とされており、入力側光ファイバ101−1〜101−nは、そのy軸に沿った方向に配列されている。
図12に示す波長選択スイッチ200は、1本の入力側光ファイバ101と、n本の出力側光ファイバ102−1〜102−nと、入力側光ファイバ101からの入力光を回折して波長の異なるm個の光を生成する回折格子103と、この回折格子103により回折された特定の波長のm個の光を各波長毎に反射して、対応する出力側光ファイバ102−1〜102−nから出力させるMEMSミラー装置104−1〜104−mと、出力側光ファイバ102−1〜102−nからの出力を合流する合流器109と、この合流器109により合流された光をm個の特定の波長毎に分波する分波器105と、この分波器105により分波された各光をモニタするフォトダイオード106−1〜106−mと、このフォトダイオード106−1〜106−mの検出結果をA/D変換するA/D変換器107と、このA/D変換器107からの出力に基づいてMEMSミラー装置104−1〜104−mの駆動を制御する制御機構108とを備えている。ここで、MEMSミラー装置104−1〜104−mの各ミラーは、x軸およびこのx軸と直交するy軸回りに回動可能とされており、出力側光ファイバ102−1〜102−nは、x軸回りにミラーを回動させたときの、光ビームの軌跡上に配列されている。
ここで、図11に示す波長選択スイッチ100と図12に示す波長選択スイッチ200の違いは、入力側光ファイバおよび出力側光ファイバの数量と、これに伴う出力側の信号光パワーをモニタするための構成、すなわち、波長選択スイッチ100では単に出力側光ファイバ102からの光パワーの一部を分岐してチャンネル(波長)毎に信号を分離するための分波器105に入力するのに対して、図12に示す波長選択スイッチ200では複数の出力側光ファイバ102−1〜102−nのそれぞれから光信号を分岐して合流器109で1つにまとめた後、チャンネル毎に信号を分離するための分波器105に入力する点である。これら以外の構成および動作原理は、両者とも同等である。
便宜上、図11に示す波長選択スイッチ100を、1つのチャンネルに注目して簡略化したものを図13に示す。
図13に示す波長選択スイッチ100は、n本の入力側光ファイバ101−1〜101−nと、1本の出力側光ファイバ102と、入力側光ファイバ101−1〜101−nからの入力光を回折する回折格子103と、この回折格子103により回折された光信号をを反射して出力側光ファイバ102から出力させるMEMSミラー装置104と、出力側光ファイバ102からの出力の一部を分岐するカプラ110と、このカプラ110により分岐された光信号を電気信号に変換するフォトダイオード106と、このフォトダイオード106からの電気信号をA/D変換するA/D変換器107と、このA/D変換器107からの出力に基づいてMEMSミラー装置104の駆動を制御する制御装置108とを備えている。ここで、入力側光ファイバ101−1〜101−n、出力側光ファイバ102、回折格子103およびMEMSミラー装置104は、空間光学系スイッチ部300を構成している。また、フォトダイオード106、A/D変換器107および制御装置108は、駆動制御部400を構成している。
ここで、x軸およびこのx軸と直交するy軸という2つの軸回りに回動するMEMSミラー装置104のミラー1041は、x軸に対して、n本の入力ポートのうちの何れか1つのポートと1本の出力ポートとが結合する、すなわち、x軸回りの回動方向に関して最小損失になるように回動する。これは、ちょうど、入力ポートが並んだ方向に光信号の向きを動かすように回動する。一方、y軸に対して、ミラー1041は、x軸に直交する方向に回動するので、入力ポートが並んだ方向と直交する方向に光信号の向きを動かすように回動する。したがって、入力ポートから出力ポートへの結合率、すなわち損失を制御するには、x軸およびy軸のどちらを回動させても可能であるが、ポートの並び方向の動きを司るx軸回りの回動は、主にポートの選択、ポートの並び方向と直交する方向の動きを司るy軸回りの回動は、主に損失の制御に用いられる。
このような波長選択スイッチ100において、負帰還制御を行う場合、制御装置108は、フォトダイオード106とA/D変換器107により求めた光信号の出力パワーと目標値との間の偏差を0にするように、MEMSミラー装置104のミラー1041を回動させる。
MEMSミラー装置104は、例えば図14(a)〜図14(d)に示すように、ジンバル構造を有するミラー1041と、このミラー1041の下方に対向配置された電極1042a〜1042dとから構成される。この電極1042a〜1042dは、ミラー1041の主表面と略平行な同一平面上に設けられており、電極1042a,1042bはx軸に対して対称に、電極1042c,1042dはy軸に対して対称に配設されている。ミラー1041の電位は、グランド電位と同じ電位となるようにしているので、電極1042a〜1042dに電圧を印加すると、電極1042a〜1042dとミラー1041との間に静電引力が生じ、この静電引力とミラー1041を支持する捻りバネによる復元力とが釣り合う角度までミラー1041が傾くこととなる。ミラー1041の回動方向は、x軸回りとy軸回りの2つなので、回動を制御する電圧(すなわち制御変数)も2つあれば二軸の角度を任意に制御することができる。また、多くの変数を扱うよりも、変数の数を必要最小限にした方が制御方法を容易に構築しやすい。そこで、4つの電極1042a〜1042dに印加するそれぞれの電圧を、下式(1)、(2)に示すように2つの電圧Vx、Vyとする。
Vx=Va−Vb ・・・(1)
Vy=Vc−Vd ・・・(2)
上式(1)、(2)を用いることにより、x軸回りの回動を制御する電圧をVx、y軸回りの回動を制御する電圧をVyとして扱うことができる。以下において、電圧Vx、Vyを制御電圧と言う。なお、通常、二軸駆動のミラーの場合、図14A,図14Bに示したようなジンバル構造のミラー以外にも、電極電圧ではなく、変数を絞った制御電圧を使ってミラーの駆動制御を行う場合が多い。また、電極電圧とVx,Vyとの関係は、必ずしも上式(1)、(2)に示すような関係に限定されず、ミラーの特性などを考慮して他の関係式が採用される場合もある。
MEMSミラー装置104において、制御電圧Vxを変えると、ミラー1041は、x軸回りに回動する。図13に示したように、入力ポートがx軸と直交する方向に並んでいるので、各入力ポートと出力ポートとを結合するx軸回りの回動角は、入力ポートの数nだけ存在する。したがって、各入力ポートと出力ポートとを最適に結合する電圧Vxも、入力ポートの数nだけ存在することとなる。
一方、MEMSミラー装置104において、制御電圧Vyを変えると、ミラー1041は、y軸回りに回動する。図13に示したように、入力ポートがy軸と平行な方向に並んでいるので、もし、ある入力ポートと出力ポートが最適結合(最も損失が小さくなる状態)している状態からy軸回りの回動を与えると、結合状態が悪化して、入力ポートと出力ポートの間の損失が増大する。このとき、入力ポートが並んでいる方向と直交する方向にミラーを回動させているので、他のポートの結合状態には影響が及ばない。すなわち、y軸回りの回動は、あるポートとの結合効率を下げるだけで、他のポートへの影響が小さい。このため、y軸回りの回動は、主に損失制御に用いられる。y軸回りの損失特性は、最も損失が小さくなる点をピークとして、このピークからずれるほど損失が大きくなる、山状の形状を示す。したがって、ある入力ポートと出力ポートを最適に結合する電圧Vyは、1つだけ存在することとなる。
すなわち、図15に示すように、Vx軸の方向には、入力ポート数に応じたNポート分のピークが存在する。一方、Vy軸方向には、ポート毎にピークは1つしか存在しない。このため、Vx−Vy平面上の損失等高線図は、Vy軸方向に細長くなった楕円がVx方向にN個並んだ、特徴的な形状を示す。なお、採用したミラーによっては、VxやVyのプラス方向にしかミラーが動作しない場合もありうる。このような場合には、図15からミラーの動作範囲だけを取り出した損失等高線図になる。
図16A〜図16Cに、損失を制御する変数をVxにとった場合と、Vyにとった場合との違いを示す。
基本的に、損失制御は、Vyを用いて行われるが、Vxを用いてミラー1041をx軸方向のみに回動させることによって行うことも可能である。しかしながら、この場合には、あるポートの損失を下げようとすると、そのポートに隣接するポートに対して光が漏れ出してしまう、いわゆるクロストークという現象が発生してしまう。このクロストークは、光信号に対するノイズになるので、規定値以下に抑えなければならない。この規定値は、ネットワーク設計に依存する値であるが、−30dB未満といった低い値が要求される。損失を変えるとともにクロストークを小さく抑えるには、図16Bに示すように、x軸と直交するy軸回りにミラー1041を回動させることによって損失を制御することが最適である。
ところが、y軸のみで損失制御を行う場合には、別の光学特性を劣化させる場合がある。具体的には、Vyの値を大きくしてミラー1041をy軸回りに大きな角度で回動させたときに、ミラー1041の端面からの回折光が透過スペクトル内に残存して、透過帯域の端の損失が下がらずに残ってしまい、透過帯域の両端近傍が山状に飛び出したスペクトル形状となってしまうことがある。これは、ちょうどウサギの耳のように飛び出して見えるので、Rabbit Earと呼ばれている。この現象は、複数の波長選択スイッチと光増幅器を通過する光ネットワークでは、その“耳”の部分も繰り返し増幅されて“成長”してしまうため、パワーペナルティが増大してしまう。このため、Rabbit Earを小さくすることが要求されている。
Rabbit Earの低減の観点からは、図16Cに示すように、ミラー両端の回折光の方向が透過スペクトル内に入らないx軸回りの回動のみを使って損失を制御することが望ましい。しかしながら、この場合には、上述したようにクロストークの問題が発生してしまう。
このように、クロストークとRabbit Earは、損失を制御する軸を、x軸およびy軸の何れか一方にすることでは、解決することが困難であった。そこで、図17A,図17Bに示すように、ピーク近傍ではx軸回りにミラー1041を回動させ、ピークから外れるとy軸回りにミラー1041を回動させることにより、クロストークとRabbit Earを同時に解決することが提案されている。Rabbit Earは、損失が大きくなる、すなわちピークから離れたところで顕著になるので、初期段階にx軸回りにミラー1402を回動させることは理にかなっている。
特開2003−057575号公報 広井和男、宮田朗、"シミュレーションで学ぶ自動制御技術入門"、CQ出版社、2004年10月1日発行
しかしながら、回動させる軸を切り替える場合には、軸を切り替える際に対象とする変数も変更しなければならないが、例えば、図15に示したような楕円状の損失等高線上ではVx方向とVy方向では損失特性が大きく変わってしまうので、パワーを負帰還制御しているような場合には、その帰還量を最適に保つために軸を切り替える度に制御パラメータを再設定しなければならず、結果として制御が複雑になってしまう。
そこで、本願発明は、クロストークを許容値以下にし、かつ、Rabbit Earの発生を抑制することができる光スイッチおよび光スイッチの制御方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解消するために、本発明に係る光スイッチは、入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、出力光を出力する複数の光出力部と、光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することによりミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、電極に駆動電圧を印加してミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部とを備えた光スイッチであって、駆動制御部は、目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出するVt算出部と、このVt算出部により算出された制御変数Vtからミラーをx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出する算出部と、この算出部により算出されたVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧を対応する電極に印加する電極電圧制御部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の光スイッチは、入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、出力光を出力する複数の光出力部と、光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することによりミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、光出力部から出力される出力光の光強度を検出する検出部と、電極に駆動電極を印加してミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部とを備えた光スイッチであって、駆動制御部は、制御変数Vtからミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出する算出部と、この算出部により算出されたVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧に対応する電極に印加する電極電圧制御部と、検出部によって検出された検出結果の目標値に対する偏差を求める比較器と、この比較器から出力される偏差に応じた補償量を制御変数Vtに加算して、偏差を制御変数Vtに負帰還する補償部とを備えることを特徴とする。
上記光スイッチにおいて、Vxは、制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、Vyは、制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上の整数)で表されるようにしてもよい。
上記光スイッチにおいて、Vx−Vy平面上において損失が最小となるピークの座標を(Vx0、Vy0)、定数をそれぞれA(≠0),B(≠0)、n(1以上の整数)とすると、Vxは、Vx=Vx0+AVt、Vyは、nが奇数の場合、Vy=Vy0+B(Vx−Vx0n=Vy0+AnBVtn、nが偶数の場合、または、nが奇数および偶数の何れであるかを問わない場合、Vy=Vy0+B|Vx−Vx0|・(Vx−Vx0n-1=Vy0+AnB|Vt|・Vtn-1で表されるようにしてもよい。
また、上記光スイッチにおいて、算出部は、要求損失可変範囲の中で最も損失が大きく、クロストークを許容値以下にでき、かつ、Rabbit Earを抑えることができる座標(Vx、Vy)のうち、最も小さな|Vx−Vx0|を与える座標を(VxR、VyR)とすると、制御変数Vtを変えたときに、Vx−Vy平面上における(Vx,Vy)の軌跡が(VxR、VyR)を通るように定数Aおよび定数Bを設定するようにしてもよい。
上記光スイッチにおいて、Vt算出部は、予め生成された損失と制御変数Vtの対応関係を示すデータテーブルに基づいて、制御変数Vtを算出するようにしてもよい。また、Vt算出部は、予め生成された損失と制御変数Vtの対応関係を示す多項式に基づいて、制御変数Vtを算出するようにしてもよい。
また、本発明に係る光スイッチの制御方法は、入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、出力光を出力する複数の光出力部と、光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することによりミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、電極に駆動電圧を印加してミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部とを備えた光スイッチの制御方法であって、目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出するVt算出ステップと、このVt算出ステップにより算出された制御変数Vtからミラーをx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出する算出ステップと、この算出ステップにより算出されたVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧を対応する電極に印加する電極電圧制御ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明に係る他の光スイッチの制御方法は、入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、出力光を出力する複数の光出力部と、光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することによりミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、光出力部から出力される出力光の光強度を検出する検出部と、電極に駆動電極を印加してミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部とを備えた光スイッチの制御方法であって、制御変数Vtからミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出する算出ステップと、この算出ステップにより算出されたVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧に対応する電極に印加する電極電圧制御ステップと、検出部によって検出された検出結果の目標値に対する偏差を求める比較ステップと、この比較ステップによりされる偏差に応じた補償量を制御変数Vtに加算して、偏差を制御変数Vtに負帰還する補償ステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出し、この制御変数Vtからミラーをx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出し、このVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出して、この駆動電圧を対応する電極に印加することにより、2つの軸を有するミラーの動作を1つの制御変数Vtによって制御することが可能となるので、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を両立するミラーの動作を、途中でミラーの向きを急激に変えることなく、シームレスに連続して実現することができる。結果として、1つの制御変数のみでパワーを制御することができるので、より容易にクロストークの低減とRabbit Earの抑圧を実現することができる。
また、制御変数Vtからミラーをx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出し、このVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧に対応する電極に印加し、検出部によって検出された検出結果の目標値に対する偏差を求め、この偏差に応じた補償量を制御変数Vtに加算して、偏差を制御変数Vtに負帰還することによっても、2つの軸を有するミラーの動作を1つの制御変数Vtによって制御することが可能となるので、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を両立するミラーの動作を、途中でミラーの向きを急激に変えることなく、シームレスに連続して実現することができる。結果として、制御パラメータを変更することなく、より容易にクロストークの低減とRabbit Earの抑圧を実現することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態に係る光スイッチは、後述する制御変数Vtを用いてPID制御の基本制御である比例制御(P制御)により光スイッチの光パワーを制御するものであって、図13を参照して説明した光スイッチ100の駆動制御部400を後述する駆動制御部10に置き換えたものである。したがって、以下において、光スイッチ100と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<光スイッチの構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る光スイッチ1は、空間光学系スイッチ部300と、この空間光学系スイッチ部300に含まれるMEMSミラー装置104の動作を制御する駆動制御部10とから構成される。この駆動制御部10は、出力ポートからカプラ110を使って分岐された光パワーを電気信号に変換するフォトダイオードなどからなるO/E変換器11と、O/E変換器11により変換された電気信号をデジタル変換して、分岐した光パワーに基づいて光信号の出力パワー値を求めるA/D変換部12と、このA/D変換部12で求められた出力パワーと光パワーの目標値との差(以下、偏差という)を求める比較器13と、偏差に比例した補償量を求める補償量算出部14と、この補償量算出部14により算出された補償量を電圧Vtに負帰還するように加える加算器15と、補償量が加えられたVtを次のP制御に備えて任意の制御周期ΔTだけ保持しておくメモリなどからなる遅延器16と、補償量が加えられたVtから制御電圧Vx、Vyを算出する算出部17と、この算出部17により算出された制御電圧Vx、Vyから電極電圧Va,Vb,Vc,Vdを求めて空間光学系スイッチ部300のMEMSミラー装置104に印加する電極電圧制御部18と、任意の周期ΔTでP制御を実行するためのタイマ19とから構成される。
ここで、Vtは制御変数であって、制御電圧Vx,VyはVtの関数である。具体的には、Vxは、制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、Vyは、制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上の整数)で表される。より具体的には、下式(3)〜(5)に示すように、VxはVtを定数A倍した値、VyはBを係数とするVxの高次関数(1次を含む)となる。ここで、(Vx0、Vy0)は、Vx−Vy平面上において損失が最小となるピークの座標であり、Vt軸の原点Vt=0は、Vx−Vy平面上では、その(Vx0、Vy0)となる。また、A,Bは0ではない実数、指数nは1以上の整数である。なお、nが奇数、または、nが偶数か奇数を問わない場合には下式(3)、(4)が適用され、nが偶数の場合には下式(3)、(5)が適用される。
Vx=Vx0+AVt ・・・(3)
Vy=Vy0+B(Vx−Vx0n=Vy0+AnBVtn ・・・(4)
Vy=Vy0+B|Vx−Vx0|・(Vx−Vx0n-1=Vy0+AnB|Vt|・Vtn-1 ・・・(5)
<光スイッチの動作>
次に、図1を参照して、本実施の形態に係る光スイッチ1の動作について説明する。
カプラ10により出力ポートから光信号が分岐されると、この光信号は、O/E変換器11により電気信号に変換され、A/D変換部12によりデジタル信号に変換されて出力パワーが算出される。
光信号の出力パワーが算出されると、比較器13は、その出力パワーと光信号の出力パワーの目標値との偏差を算出する。
偏差が算出されると、補償量算出部14は、その偏差に比例した補償量を算出する。出力パワーが目標値により偏差eだけ小さい場合、補償量算出部14は、その偏差eのKp倍の補償量をVtに加える。加えるときの補償量の符号は、補償量をVtに加えることにより出力が大きくなる符号がとられる。Kpの値を適切に設定することにより、偏差eがある場合に、この偏差eを打ち消すようにVtが補正されるので、最終的に出力パワーが目標値に近づくこととなる。
補償量が算出されると、加算器15は、その補償量をVtに負帰還するように加える。このとき、遅延器16は、補償量が加えられたVtを次のP制御に備えて、タイマ19により計時される任意の制御周期ΔTのだけ保持しておく。
補償量がVtに加えられると、算出部17は、そのVtから制御電圧Vx、Vyを算出する。この算出部17により算出されるミラー1041の制御電圧(Vx、Vy)の軌跡の一例を図2に示す。この図2において、Vtの軌跡は、Vy軸に対してφだけ傾いた状態となっている。この軌跡そのものが、本実施の形態で導入した制御変数Vtを表す軸となる。すなわち、Vtは、(Vx0、Vy0)を原点とする、その軸上の原点からの距離を表しており、下式(6)、(7)で表される。この下式(6)、(7)において、上式(3)〜(5)におけるAはcosφ、Bはsinφに対応している。
Vx=Vx0+Vtcosφ ・・・(6)
Vy=Vy0+Vtsinφ ・・・(7)
なお、図2において原点からの距離を表すVtは、軸の向きによって符号を定義することができる。図2の場合は、紙面の右上をVt軸の正の方向としているが、φの設定によっては、様々な方向をVtの正の方向とすることができる。
制御電圧Vx、Vyが算出されると、電極電圧制御部18は、その制御電圧Vx、Vyから空間光学系スイッチ部300のMEMSミラー装置104における電極1042a〜1042dに印加する電極電圧Va,Vb,Vc,Vdを算出し、これを対応する電極1042a〜1042dに印加する。これにより、MEMSミラー装置104の2つの回動軸を有するミラー1041を、1つの制御変数Vtによって制御することが可能となるので、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を両立するミラーの動作を、途中でミラーの向きを急激に変えることなく、シームレスに連続して実現することができる。
近年、ソフトウェア処理能力が高まっており、A/D変換器12の後段の構成要素による処理は、ハードウェアのみならず、CPUやFPGAなどの演算処理器を用いて実現することができる。このような場合であっても、本実施の形態は、複雑な演算を行わないので、容易に実装することができる。
なお、PID制御のI制御やD制御についても(例えば、非特許文献1参照。)、1つの制御変数Vtを用いる本実施の形態を適用できることは言うまでもない。
図3Aに示すVx−Vy平面上の損失等高線図において、Vx軸によりミラー1041の回動を制御する場合、図3Bに示すように、損失を大きくしてもRabbit Earが生じないため透過帯域が狭くならないものの、損失を大きくするにつれて隣接ポートへのパワーの漏れだし(PXT)が急激に大きくなってしまう。一方、Vy軸によりミラー1041の回動を制御する場合、図3Cに示すように、損失を大きくしてもPXTが大きくならないものの、Rabbit Earが大きくなって透過帯域が狭くなってしまう。一方、本実施の形態のように、Vt軸によりミラー1041の回動を制御する場合、図3Dに示すように、Vx軸の制御とVy軸上の制御の特性の中庸をとった特性を得ることができる。すなわち、損失を大きくするとPXTがだんだんと大きくなり、かつ、比較的小さなRabbit Earが透過帯域の領域に現れる。このような特性は、PXTを抑えることを優先させるか、Rabbit Earを抑えて透過帯域を確保することを優先するかによって、傾き角度φを大きくしたり小さくしたりすることにより、適宜調整することができる。一般的に、PXTの上限値や透過帯域の下限値がネットワークシステムの要求から仕様として決まるので、これらを満たすように角度φを設計すればよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、算出部17により、制御変数Vtからミラー1041をx軸回りおよびy軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出し、電極電圧制御部18により、そのVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出して、この駆動電圧に対応する電極に印加し、比較器13により、検出結果の目標値に対する偏差を求め、加算器15により、その偏差に応じた補償量を制御変数Vtに加算して、偏差を制御変数Vtに負帰還することにより、2つの軸を有するミラーの動作を1つの制御変数Vtによって制御することが可能となるので、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を両立するミラーの動作を、途中でミラーの向きを急激に変えることなく、シームレスに連続して実現することができる。結果として、より容易に、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を実現することができる。
さらに、扱う制御変数がVtの1つになるため、実績のあるPID制御などのパワー制御アルゴリズムを容易に導入することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、VyがVtの二次関数(n=2)である場合に関するものであり、上述した第1の実施の形態とVx、Vyの算出式のみが異なるものである。したがって、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図4において、図中の太線は、Vtの値を変えた場合の(Vx、Vy)の軌跡を示している。線形(n=1)の場合は、Vt軸と(Vx、Vy)の軌跡が一致しているが、高次関数を使う場合(n≧2)は、この図4に示すようにVt軸(破線)と(Vx、Vy)の軌跡(太線)が一致しない。
高次関数を使う場合は、線形(n=1)の場合と異なり、Vt軸の傾き角φを決定するだけでは、上式(3)で示した係数Aはsinφとして決まるが、係数Bは決まらない。そこで、損失可変範囲の中で最も大きな損失(−RdB)において、Rabbit Earが十分抑えられる電圧状態(Vx、Vy)を予め調べておき、この条件の中でVx−Vx0の絶対値が最も小さくなる(VxR、VyR)を見つけておく。この(VxR、VyR)と、係数Aまたは傾きφの関係は、下式(8)、(9)で表される。
A=cosφ ・・・(8)
φ=arctan{(VyR−Vy0)/(VxR−Vx0)} ・・・(9)
ここで、Vtを変えたときの(Vx、Vy)の軌跡(太線)を、この電圧(VxR、VyR)を通るようにすることによって、係数Bは下式(10)で表される。
B=(VyR−Vy0)/(VxR−Vx02 ・・・(10)
上式(8)〜(10)により、VxとVyは、下式(11)、(12)に示すようにVtの関数として表される。
Vx=Vx0+Vtcosφ ・・・(11)
Vy=Vy0B+|Vt|・Vtcos2φ ・・・(12)
上式(5)、(12)に示すように、次数nが偶数の高次関数の場合には、単純にVtをn回乗じるのではなく、Vtの絶対値にVtを(n−1)回乗じる。これは、次数が奇数の高次関数が原点を中心とする点対称な軌跡になるのに合わせたためである。nを状況に応じて色々と変えられるように設計することを想定して、次数によって軌跡が点対称になったり線対称になったりすることを避けるための処置であるが、単にVx−Vy平面上の第一象限しか使わない場合や、Vyの正側だけしか使わない場合は、特にVtの絶対値を用いずにnが偶数か奇数かに関係なく上式(3),(4)を用いるようにしてもよい。
図4に示すように、VyがVtの二次関数で表現される場合を例に、本実施の形態において高次関数を使う場合の作用効果について、図5A,図5Bを参照して説明する。
Vtを変化させたときの(Vx、Vy)の軌跡(図5Aの太線)において、太線の傾き(接線)は、Vx−Vy平面上での向きを示す。高次関数を用いると、Vtが大きくなるにつれて傾きも大きくなり、Vy軸方向の動作成分が増加する。さらに、Vtが大きな領域では、Vy軸の動きが支配的になる。このような動作は、図5Bに示すように、上述したピーク近傍ではx軸回り、ピークから離れたところではy軸回りにミラー1041を回動させることが、Rabbit EarおよびPXTを両立する方法であることに合致しており、VyがVtの線形(n=1)である場合よりも、小さいPXTと広い透過帯域を実現できる。
また、Vtを用いることにより、従来と同様に、ピーク近傍でx軸回りの回動を、ピークから離れたところでy軸回りの回動を与えることによる効果を得るとともに、ミラー1041を回動させる方向を切り替えるような動作ではなく、連続的にx軸回りの回動からy軸回りの回動に変えているので、制御変数Vtの値を変えても損失特性に電圧に対する損失の微分値が不連続になる点(以下、微分不連続点という)が現れないという、制御しやすい特性を実現することができる。これについて、図6A、図6Bを参照して説明する。なお、図6A、図6Bは、横軸に制御変数、縦軸に損失をとった損失プロファイルを示しているす。
従来の場合では、図6Aに示すように、制御変数が途中でVxからVyに切り替わる時点で、微分不連続点が現れる。また、図15に示したような楕円状の損失等高線では、Vx方向の損失プロファイルとVy方向の損失プロファイルの変化は顕著になる。
一方、本実施の形態では、図6Bに示すように、制御変数Vtを大きくすると損失が滑らかに大きくなっていき、微分不連続点が生成されない。したがって、微分不連続点前後で制御パラメータを調整する必要がないので、Vtの値で条件分けする必要がなくなり、結果として、制御アルゴリズムを容易にすることができる。
また、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態とVx、Vyの算出式のみが異なるものである。このように、本実施の形態で次数を変えるためには、このVtからVyへの算出式のみ変更すればよいので、ハードウェア構成を大きく変更することなく、Rabbit EarとPXTの特性を両立するための最適な次数への調整を容易に行うことができる。
次に、図7を参照して、制御分解能の観点からの本実施の形態の効果について説明する。ここで、制御分解能とは、制御する際に設定できる最小電圧量のことである。近年の電子回路技術は、デジタル回路が主流で、本実施の形態で用いる制御回路も多くの場合、デジタル回路から構成される。デジタル回路では、制御分解能はビット数で決まる量子化された最小電圧で決まる。なお、図7に示す格子は、設定可能な電圧を格子の交点を示しており、格子の一辺が量子化された最小電圧を表している。
使用するミラーの電圧に対する回動角度の関係が、Vx、Vyについてほぼ同じ特性ならば、Vxの最小電圧ΔVxminとVyの最小電圧ΔVyminはほぼ同じ値となる。また、損失等高線の楕円形状が細長くなればなるほど、Vy方向に比べてVx方向の等高線が密になり、Vx方向の損失勾配(dLoss/dV)も大きくなる。損失勾配が大きいと、最小電圧を与えたときの損失変化量が大きくなりすぎて、十分な精度で損失制御ができなくなる恐れが生じる。例えば、最小電圧が10mV、損失勾配が1dB/Vとすると、最小電圧を与えた場合の損失変化量(損失最小分解能)は0.01dBとなり、この値以下の損失制御は不可能となる。したがって、ミラーを動かすときには、十分な損失制御精度を保てるように損失勾配の値が大きくなりすぎないように、Vx−Vy平面上の経路を設定することが重要である。
なお、図7において、符号aは、Vx軸を移動したのちにVy軸に移るミラーの動き(従来の方法)、符号bは、Vt軸に対応する(Vx、Vy)の軌跡が直線であるミラーの動き(n=1)、符号cは、Vt軸に対応する(Vx、Vy)の軌跡が、Vyについて、Vtの二次関数であるミラーの動き(n=2)を示してる。これらの条件について、具体的な値を代入して、制御分解能の観点からの優劣について以下に説明する。
想定する波長選択スイッチのポートの数N(図15の楕円状等高線の数)を10と仮定すると、x軸回り、y軸回りの電圧に対する回転角度の特性が同一ならば、ポートの損失等高線を示す楕円の楕円率は、ポート数と同じ10になる。また、ピークを基点とする損失が−20dBになるときのVy電圧を75Vと仮定する。このとき、Vx軸上の短軸は7.5Vになる。
電圧−損失特性は、ビームの強度分布がガウシアンであることを想定して、損失(Loss)が電圧(Vx、Vy)に対する次式で表される二次関数になると仮定する。すると、損失(Loss)は、下式(13)で算出される。
Loss=−3.56×10-3(100・Vx2+Vy2) ・・・(13)
さらに、損失の可変範囲を0〜−20dBと仮定して、各経路で−20dBにおける光学特性が一致するものとする。すなわち、損失が−20dBの等高線上において、同一の点を通過することとする。
符号aから符号cの各経路において、下式(14)で表される各経路上を辿るピークを起点とした累積距離rを横軸、上式(13)で表される損失を縦軸とするグラフを図8に示す。また、累積距離rに対する損失勾配dLoss/drを示したグラフを図9に示す。
r=∫dr=∫(dx2+dy21/2 ・・・(14)
符号aで示す従来の方法では、rが小さい領域、すなわち、Vx方向に移動する領域では、符号b、cの場合と比べて損失勾配が大きくなるが、微分不連続点を過ぎた後のVy方向に移動する領域では、逆に符号b、cの場合と比べて損失勾配が小さくなる。楕円率が大きいほど、この勾配の変化が大きくなる。具体的には、符号aの場合、4V程度のVx方向の移動で8dB近い損失変化を生じさせているのに対して、Vy方向に移ると40V近くかけて4dB程度の損失変化しか生じさせていないため、Vx方向とVy方向の違いで勾配が極端に変わってしまう。従来では、一度にVx方向に動かしてからVy方向に向きを変えるのではなく、階段状にVx方向に動かしてはVy方向に動かす方法も提案されているが、勾配については階段状に動かしてもVx方向の勾配とVy方向の勾配の差は改善されず、切り替え回数が増える分、却って条件分岐が増えて制御が複雑になってしまう。
また、符号aの場合、Vx方向の勾配の値自体も大きく、最大で−3.25dB/Vに及んでいる。最小電圧を10mVとすると、損失最小分解能は0.03dBになる。パワーを0.1dB以下で制御しようとすると、その1/10である0.01dB程度の損失最小分解能が必要なので、制御分解能が10mVでは不足することとなる。ビット数を上げて制御分解能を上げることも可能ではあるが、コストの上昇や電気ノイズに弱くなってしまう。また、たとえ制御分解能を上げたとしてもそれが活きるのは損失勾配の大きいVx方向に動いているときのみで、損失勾配が小さいVy方向に動いているときは無駄に分解能が高いだけになってしまう。
符号bに示す二次関数上を移動する方法では、rに対する損失の変化が、三者の中でも最も直線的に変化している。そのため、損失勾配の値が符号a、cの場合と比較すると、一定に近い。これは0から−20dBを与えるrの範囲(グラフから約0〜45V)の全体を均等に使って損失を変化させていることを意味するので、最大損失勾配を符号a〜cの中で最も小さく抑えることができる。その結果、同じ制御分解能を与えられたときに最も小さな損失分解能を得ることができる。グラフからr=45Vのときの損失勾配が−0.6dB/Vで最大なので、10mVの制御分解能に対して損失最小分解能は0.006dBとなり、0.1dBのパワー制御には十分な値となる。
符号cに示す直線的に移動する方法では、rに対して二次関数状に損失が大きくなっている。そのため、損失勾配はほぼrが大きくなるのに比例して直線的に大きくなっている。rが45Vくらいで、損失が可変範囲最大の−20dBになっているが、そのときの勾配は−1dB/Vであった。損失最小分解能は、1dB/Vx×10mV=0.01dBになり、10mVの制御分解能で0.1dB以下のパワー制御を満たしている。
このように、本実施の形態は、与えられた制御分解能を有効に活用するという意味からも、従来よりも優れた特徴を有する。したがって、本実施の形態は、負帰還制御による光パワー制御をすることを前提にしなくても有益な効果があると言える。
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、負帰還制御による光パワー制御機能を有さないものであり、その他の構成は上述した第1,第2の実施の形態と同等である。したがって、本実施の形態において、上述した第1,第2の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図10に示すように、本実施の形態に係る光スイッチ2は、空間光学系スイッチ部300と、この空間光学系スイッチ部300に含まれるMEMSミラー装置104の動作を制御する駆動制御部20とから構成される。この駆動制御部20は、Vt算出部21と、算出部17と、電極電圧制御部18とから構成される。
ここで、Vt算出部21は、損失に対するVtの値を記憶したデータテーブル、または、損失とVtの関係を表す近似式を備えており、損失の目標値に基づいてVtを算出する。
このように、Vt算出部21によりVtが算出されると、上述した第1,第2の実施の形態と同様、算出部17は、そのVtから制御電圧Vx、Vyを算出する。この制御電圧Vx、Vyが算出されると、電極電圧制御部18は、その制御電圧Vx、Vyから空間光学系スイッチ部300のMEMSミラー装置104における電極1042a〜1042dに印加する電極電圧Va,Vb,Vc,Vdを算出し、これを対応する電極1042a〜1042dに印加する。これにより、ミラーに対応する波長を有する光信号に所望の損失を与え、光パワーを制御することができる。
このように、本実施の形態によれば、Vt算出部21により、目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出し、算出部17により、その制御変数Vtからミラー1041をx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出し、電極電圧制御部18により、そのVxおよびVyから電極それぞれに印加する駆動電圧を算出して対応する電圧に印加することにより、2つの軸を有するミラーの動作を1つの制御変数Vtによって制御することが可能となるので、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を両立するミラーの動作を、途中でミラーの向きを急激に変えることなく、シームレスに連続して実現することができる。結果として、1つの制御変数のみでパワーを制御することができるので、より容易に、クロストークの低減とRabbit Earの抑圧を実現することができる。
なお、上述した第1〜第3の実施の形態では、Add型波長選択スイッチの場合を例に説明したが、図12に示すようなDrop型波長選択スイッチにも適用することができる。
本発明は、例えば、MEMSミラー装置など、2つの軸回りに回動可能な反射部材の回動を制御する各種装置に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る光スイッチの構成を模式的に示す図である。 Vx−Vy平面上におけるVtの軌跡を示す図である。 Vx−Vy平面上の損失等高線図である。 図3AにおけるVx方向の透過率を示す図である。 図3AにおけるVy方向の透過率を示す図である。 図3AにおけるVt方向の透過率を示す図である。 VyがVtの二次関数である場合のVx−Vy平面上におけるVtの軌跡を示す図である。 Vx−Vy平面上におけるVtの軌跡を示す図である。 図5AにおけるVtの透過率と損失を示す図である。 回動軸を切り替える場合の損失特性を示す図である。 Vtを用いる場合の損失特性を示す図である。 制御分解能によるVx−Vy平面上の損失等高線図である。 図7の各経路における累積距離と損失の関係を示す図である。 図7の各経路における累積距離と損失勾配の関係を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る光スイッチの構成を模式的に示す図である。 Add型波長選択スイッチの構成を模式的に示す図である。 Drop型波長選択スイッチの構成を模式的に示す図である。 図11の波長選択スイッチを簡略化した図である。 (a)はミラーの構成を示す図、(b)はMEMSミラー装置の構成を示す図、(c)はMEMSミラー装置におけるミラーのx軸回りの回動を示す図、(d)はMEMSミラー装置におけるミラーのy軸回りの回動を示す図である。 Nポート分のピークが存在する場合の損失等高線図である。 Vx−Vy平面上の損失等高線図である。 図16AにおけるVx方向の透過率を示す図である。 図16AにおけるVy方向の透過率を示す図である。 回動軸を切り替える場合のVx−Vy平面上の損失等高線図である。 図17AにおけるVtの透過率と損失を示す図である。
符号の説明
1,2…光スイッチ、10,20…駆動制御部、11…O/E変換器、12…A/D変換部、13…比較器、14…補償量算出部、15…加算器、16…遅延器、17…算出部、18…電極電圧制御部、19…タイマ、21…Vt算出部、101,101−1〜101−n…入力側光ファイバ、102,102−1〜102−n…出力側光ファイバ、103…回折格子、104…MEMSミラー装置、105…分波器、106−1〜106−m…フォトダイオード、107…A/D変換器。108…ミラー制御回路、109…合流器、110…カプラ、300…空間光学系スイッチ部、1041…ミラー、1042a〜1042d…電極。

Claims (9)

  1. 入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、
    出力光を出力する複数の光出力部と、
    前記光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することにより前記ミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、
    前記電極に駆動電圧を印加して前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部と
    を備えた光スイッチであって、
    前記駆動制御部は、
    目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出するVt算出部と、
    このVt算出部により算出された前記制御変数Vtから前記ミラーをx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出する算出部と、
    この算出部により算出された前記Vxおよび前記Vyから前記電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧を対応する前記電極に印加する電極電圧制御部と
    を備え
    前記Vxは、前記制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、
    前記Vyは、前記制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上かつ2以上の整数)で表される
    ことを特徴とする光スイッチ。
  2. 入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、
    出力光を出力する複数の光出力部と、
    前記光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することにより前記ミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、
    前記光出力部から出力される出力光の光強度を検出する検出部と、
    前記電極に駆動電極を印加して前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部と
    を備えた光スイッチであって、
    前記駆動制御部は、
    制御変数Vtから前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出する算出部と、
    この算出部により算出された前記Vxおよび前記Vyから前記電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧に対応する前記電極に印加する電極電圧制御部と、
    前記検出部によって検出された検出結果の目標値に対する偏差を求める比較器と、
    この比較器から出力される偏差に応じた補償量を前記制御変数Vtに加算して、前記偏差を前記制御変数Vtに負帰還する補償部と
    を備え
    前記Vxは、前記制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、
    前記Vyは、前記制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上かつ2以上の整数)で表される
    ことを特徴とする光スイッチ。
  3. Vx−Vy平面上において損失が最小となるピークの座標を(Vx0、Vy0)、定数をそれぞれA(≠0),B(≠0)、n(1以上の整数)とすると、
    前記Vxは、
    Vx=Vx0+AVt
    前記Vyは、
    nが奇数の場合、または、nが奇数および偶数の何れであるかを問わない場合、
    Vy=Vy0+B(Vx−Vx0n=Vy0+AnBVtn
    nが偶数の場合、
    Vy=Vy0+B|Vx−Vx0|・(Vx−Vx0n-1=Vy0+AnB|Vt|・Vtn-1
    で表されることを特徴とする請求項1または2記載の光スイッチ。
  4. 前記Vt算出部は、予め生成された損失と前記制御変数Vtの対応関係を示すデータテーブルに基づいて、前記制御変数Vtを算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
  5. 前記Vt算出部は、予め生成された損失と前記制御変数Vtの対応関係を示す多項式に基づいて、前記制御変数Vtを算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
  6. 入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、
    出力光を出力する複数の光出力部と、
    前記光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することにより前記ミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、
    前記電極に駆動電圧を印加して前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部と
    を備えた光スイッチの制御方法であって、
    目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出するVt算出ステップと、
    このVt算出ステップにより算出された前記制御変数Vtから前記ミラーをx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出する算出ステップと、
    この算出ステップにより算出された前記Vxおよび前記Vyから前記電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧を対応する前記電極に印加する電極電圧制御ステップと
    を有し、
    前記Vxは、前記制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、
    前記Vyは、前記制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上かつ2以上の整数)で表される
    ことを特徴とする光スイッチの制御方法。
  7. 入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、
    出力光を出力する複数の光出力部と、
    前記光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することにより前記ミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、
    前記光出力部から出力される出力光の光強度を検出する検出部と、
    前記電極に駆動電極を印加して前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部と
    を備えた光スイッチの制御方法であって、
    制御変数Vtから前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出する算出ステップと、
    この算出ステップにより算出された前記Vxおよび前記Vyから前記電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧に対応する前記電極に印加する電極電圧制御ステップと、
    前記検出部によって検出された検出結果の目標値に対する偏差を求める比較ステップと、
    この比較ステップによりされる偏差に応じた補償量を前記制御変数Vtに加算して、前記偏差を前記制御変数Vtに負帰還する補償ステップと
    を有し、
    前記Vxは、前記制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、
    前記Vyは、前記制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上かつ2以上の整数)で表される
    ことを特徴とする光スイッチの制御方法。
  8. 入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、
    出力光を出力する複数の光出力部と、
    前記光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することにより前記ミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、
    前記電極に駆動電圧を印加して前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部と
    を備えた光スイッチであって、
    前記駆動制御部は、
    目標とする損失に対応した制御変数Vtを算出するVt算出部と、
    このVt算出部により算出された前記制御変数Vtから前記ミラーをx軸およびy軸回りにそれぞれ回動させる電圧VxおよびVyを算出する算出部と、
    この算出部により算出された前記Vxおよび前記Vyから前記電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧を対応する前記電極に印加する電極電圧制御部と
    を備え、
    前記Vxは、前記制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、
    前記Vyは、前記制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上の整数)で表され、
    Vx−Vy平面上において損失が最小となるピークの座標を(Vx 0 、Vy 0 )、定数をそれぞれA(≠0),B(≠0)、n(1以上の整数)とすると、
    前記Vxは、
    Vx=Vx 0 +AVt
    前記Vyは、
    nが奇数の場合、または、nが奇数および偶数の何れであるかを問わない場合、
    Vy=Vy 0 +B(Vx−Vx 0 n =Vy 0 +A n BVt n
    nが偶数の場合、
    Vy=Vy 0 +B|Vx−Vx 0 |・(Vx−Vx 0 n-1 =Vy 0 +A n B|Vt|・Vt n-1
    で表され、
    前記算出部は、
    要求損失可変範囲のなかで最も損失が大きく、クロストークを許容値以下にでき、かつ、Rabbit Earを抑えることができる座標(Vx、Vy)のうち、最も小さな|Vx−Vx 0 |を与える座標を(Vx R 、Vy R )とすると、前記制御変数Vtを変えたときに、前記Vx−Vy平面上における(Vx,Vy)の軌跡が前記(Vx R 、Vy R )を通るように前記定数Aおよび前記定数Bを設定する
    ことを特徴とする光スイッチ。
  9. 入力光を入力する少なくとも1つの光入力部と、
    出力光を出力する複数の光出力部と、
    前記光出力部の選択に用いられるx軸およびこのx軸と異なるy軸に対して回動可能に支持されたミラーおよびこのミラーと対向配置された複数の電極を有し、これらの電極に駆動電圧を印加することにより前記ミラーを所定の角度に傾斜させるミラー装置と、
    前記光出力部から出力される出力光の光強度を検出する検出部と、
    前記電極に駆動電極を印加して前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ回動させる駆動制御部と
    を備えた光スイッチであって、
    前記駆動制御部は、
    制御変数Vtから前記ミラーを前記x軸回りおよび前記y軸回りにそれぞれ所定量回動させるための電圧VxおよびVyを算出する算出部と、
    この算出部により算出された前記Vxおよび前記Vyから前記電極それぞれに印加する駆動電圧を算出し、この駆動電圧に対応する前記電極に印加する電極電圧制御部と、
    前記検出部によって検出された検出結果の目標値に対する偏差を求める比較器と、
    この比較器から出力される偏差に応じた補償量を前記制御変数Vtに加算して、前記偏差を前記制御変数Vtに負帰還する補償部と
    を備え、
    前記Vxは、前記制御変数Vtのm次の単調関数(mは1以上の整数)で表され、
    前記Vyは、前記制御変数Vtのn次の単調関数(nはm以上の整数)で表され、
    Vx−Vy平面上において損失が最小となるピークの座標を(Vx 0 、Vy 0 )、定数をそれぞれA(≠0),B(≠0)、n(1以上の整数)とすると、
    前記Vxは、
    Vx=Vx 0 +AVt
    前記Vyは、
    nが奇数の場合、または、nが奇数および偶数の何れであるかを問わない場合、
    Vy=Vy 0 +B(Vx−Vx 0 n =Vy 0 +A n BVt n
    nが偶数の場合、
    Vy=Vy 0 +B|Vx−Vx 0 |・(Vx−Vx 0 n-1 =Vy 0 +A n B|Vt|・Vt n-1
    で表され、
    前記算出部は、
    要求損失可変範囲のなかで最も損失が大きく、クロストークを許容値以下にでき、かつ、Rabbit Earを抑えることができる座標(Vx、Vy)のうち、最も小さな|Vx−Vx 0 |を与える座標を(Vx R 、Vy R )とすると、前記制御変数Vtを変えたときに、前記Vx−Vy平面上における(Vx,Vy)の軌跡が前記(Vx R 、Vy R )を通るように前記定数Aおよび前記定数Bを設定する
    ことを特徴とする光スイッチ。
JP2008267890A 2008-10-16 2008-10-16 光スイッチおよび光スイッチの制御方法 Expired - Fee Related JP5086221B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008267890A JP5086221B2 (ja) 2008-10-16 2008-10-16 光スイッチおよび光スイッチの制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008267890A JP5086221B2 (ja) 2008-10-16 2008-10-16 光スイッチおよび光スイッチの制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010096996A JP2010096996A (ja) 2010-04-30
JP5086221B2 true JP5086221B2 (ja) 2012-11-28

Family

ID=42258722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008267890A Expired - Fee Related JP5086221B2 (ja) 2008-10-16 2008-10-16 光スイッチおよび光スイッチの制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5086221B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5134114B2 (ja) * 2010-05-28 2013-01-30 日本電信電話株式会社 波長選択スイッチとその制御方法
JP2012103330A (ja) * 2010-11-08 2012-05-31 Olympus Corp 波長選択スイッチ
JP5457481B2 (ja) * 2012-02-22 2014-04-02 日本電信電話株式会社 Memsミラー装置の制御方法およびmemsミラー装置
JP2015011227A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 古河電気工業株式会社 光信号選択装置および光信号選択装置の制御方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7362930B2 (en) * 2005-04-11 2008-04-22 Capella Photonics Reduction of MEMS mirror edge diffraction in a wavelength selective switch using servo-based rotation about multiple non-orthogonal axes
JP2009047917A (ja) * 2007-08-20 2009-03-05 Fujitsu Ltd 光波長選択スイッチおよび制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010096996A (ja) 2010-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
USRE39411E1 (en) Reconfigurable all-optical multiplexers with simultaneous add-drop capability
US10677994B2 (en) Calibration system for a wavelength selective switch
JP5086221B2 (ja) 光スイッチおよび光スイッチの制御方法
JP5243317B2 (ja) 光スイッチおよび光スイッチの制御方法
WO2002025358A2 (en) Variable transmission multi-channel optical switch
CA2639825C (en) Optical device, optical communication apparatus, and method of controlling optical device
JP5134114B2 (ja) 波長選択スイッチとその制御方法
JP6943370B2 (ja) 高速マルチコア一括光スイッチシステム
CN101174904A (zh) 采用可变光衰减器和输入功率抖动的多波长开关漂移反馈补偿器
JP4111776B2 (ja) 光信号交換器の制御装置および制御方法
JP5457481B2 (ja) Memsミラー装置の制御方法およびmemsミラー装置
JP5341867B2 (ja) 波長選択スイッチとその制御方法
JP4719193B2 (ja) 光スイッチ
JP2017054004A (ja) 波長選択スイッチ
JP4823329B2 (ja) 光スイッチおよび光スイッチの制御方法
JP5015820B2 (ja) 可変分散補償器
JP5759430B2 (ja) 波長選択スイッチ
US20220416886A1 (en) Optical demultiplexer and communication device
JP4047612B2 (ja) 光スイッチ
JP5563518B2 (ja) 可変分散補償器の位相最適化方法、位相最適化された可変分散補償器および位相最適化装置
US11709317B2 (en) Wavelength demultiplexer, optical transceiver front-end module, photonic circuit, and wavelength demultiplexing control method
US20220137300A1 (en) Power Equalizer And Adjustment Method Therefor
Nguyen MEMS components for WDM transmission systems
US20230296833A1 (en) Compact micro electrical mechanical actuated ring-resonator
JP4851553B2 (ja) 光スイッチとその制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110223

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20111117

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20111117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120612

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120813

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120906

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees