JP5085976B2 - 球状複合ゲル粒子の製造方法 - Google Patents

球状複合ゲル粒子の製造方法 Download PDF

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本発明はゲル、特に製造が簡便な球状の高分子複合ゲル粒子の製造方法に関する。
従来、高分子を用いた各種ゲル組成物が食品、医薬品、化粧品等各種分野に汎用され、さらに機能的なゲル組成物の開発が試みられている。このような生体に使用され得るゲル組成物は、生体への影響を考慮して一般に天然物ないしはその加工物から形成される。
例えば、生体適合性の高いヒアルロン酸を用いたゲルの製造方法として、エマルション中でヒアルロン酸を架橋剤であるトリメタリン酸三ナトリウム(STMP)と反応させ、ヒドロゲルを形成させる方法が報告されている(非特許文献1)。
Carbohiydrate Polymers、Vol.57、Issue 1、p.1−6、2004 第53回高分子学会年次大会要旨集(2004)
しかしながら、上記技術のようにエマルション中においてゲルを形成する場合、有機溶媒の添加が必要であるが、最終的なゲルとするにはこれらを除去しなければならず、製造工程が煩雑になりがちであった。また、同製法では形成されるゲルの粒子径を制御することが難しく、所望する形態のゲルを得られないことがあった。
また、このような製造上の煩雑さを解決しうるゲルの製造方法として、カチオン性界面活性剤であるDTABにより、アニオン高分子であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を分子集積し、pH応答性を有する球形の架橋ゲルの合成が可能であるこが開示されている(非特許文献2)。
しかしながら、この方法によるゲル組成物は生体適合性が低く、現在求められている医薬品や化粧品等への適用には不向きなものであった。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、粒径の制御が可能で、均一な球形を有する高分子複合ゲル粒子の簡便な製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、水系溶媒中において、アニオン性高分子とカチオン性高分子とを、その静電引力を利用して凝集させて、両高分子の均一な球状複合粒子を形成せしめ、さらに該粒子を架橋剤により架橋させることにより、強固で機能的な球状ゲル粒子を容易に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる球状複合ゲル粒子の製造方法は、水系溶媒中において、アニオン性高分子とカチオン性高分子とを混合して球状複合粒子とする工程を含むことを特徴とする。
また、前記工程後、前記球状複合粒子に架橋剤を作用させる工程を含むことが好適である。
さらに、前記工程後、透析を行って前記球状複合粒子を精製する工程を含むことが好適である。
また、前記架橋剤を作用させる工程を静置条件下において行うことが好適である。
本発明にかかる製造方法によれば、均一な球状を有し、機能性に優れた球状複合ゲル粒子を簡便に得ることができる。また、該製造方法によれば、球状複合ゲル粒子の粒径を容易に制御し得る。さらに、本発明の製造方法により得られる球状複合ゲル粒子は安全性が高く、食品、医薬品、化粧品等に広く適用することができる。
以下、本発明の構成をさらに詳細に説明する。
高分子の球状複合粒子の形成
本発明者らがアニオン性高分子及びカチオン性高分子の特性について検討したところ、アニオン性高分子水溶液にカチオン性高分子水溶液を加えることによって起こる相分離を利用して均一な高分子の凝集体が得られることを見出した。この凝集体は均一な球状をなし、アニオン性高分子及びカチオン性高分子の複合体からなるゲル粒子を形成するものである。
すなわち、本発明にかかる球状複合ゲル粒子の製造方法は、水系溶媒中においてアニオン性高分子とカチオン性高分子とを混合し、前記高分子の凝集体、すなわち球状複合ゲル粒子を形成させる工程を含む。本発明におけるゲル形成は、水系における両高分子間の静電引力を利用して分子同士を凝集させるものであるため、水系溶媒中、つまりはアニオン性高分子とカチオン性高分子の水溶液を混合することで容易に達成できる。
本発明にかかる製造方法に適用し得るアニオン性高分子は、分子中にアニオン基を有する高分子であれば特に制限されないが、例えば、アラビアゴム、コンドロイチン硫酸、ザンサンガム、カラギーナン、サクシノグルカン等多糖類の適用が好適である。
さらに、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等合成高分子を用いることもできる。
本発明における前記アニオン性高分子の濃度は、同時配合のカチオン性高分子との電荷比率にもよるが、水系溶媒中の反応系において0.0005〜5重量%であることが好ましい。より好ましくは0.001〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
本発明にかかる製造方法に適用し得るカチオン性高分子は、分子中にカチオン基を有する高分子であれば特に制限されない。このようなカチオン性高分子としては、例えば、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムハライド)型カチオン性ポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドの共重合体カチオン性ポリマー、または第4級窒素含有セルロースエーテル、またはポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及び牛脂脂肪酸より得られるタロイルアミンの縮合生成物、またはビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物等であり、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子としては、マーコート100 (Merquat100)という商品名で米国メルク社(Merck &Co.Inc.) から販売されているものなどを挙げることができる。ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドの共重合体型カチオン性ポリマーとしてはマーコート550(Merquat 550)[米国メルク社(Merquat &Co.,Inc.)]などを挙げることができる。ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及びタロイルアミンもしくは、ココイルアミンの縮合生成物の例としては、ポリコートH(Polyquat H)という商品名で、独ヘンケル社(Henkel
International Co.)から販売されているものなどを挙げることができる。第4級窒素含有セルロースは、ポリマーJR-400(Polymer JR-400)、ポリマーJR-125(Polymer JR-125)ポリマーJR-30M(Polymer JR-30M)という商品名で、米国ユニオンカーバイト社(Union Carbide Corp. )から販売されているものなどである。ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物はガフコート755 (Gafquat 755 )、ガフコート734 (Gafquat734) という商品名で米国GAF社(GAFCorp. )から販売されているもの等である。
また、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タマリンドガム、カチオン化フェヌクリークガム等のカチオン化多糖類も好適に使用することができる。
本発明における前記カチオン性高分子の濃度は、同時配合のアニオン性高分子との電荷比率にもよるが、水系溶媒中の反応系において0.0005〜5重量%であることが好ましい。より好ましくは0.001〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
本発明にかかる製造方法は、前記アニオン性高分子及びカチオン性高分子の水系溶媒中における電荷比率によって、生成する球状ゲル粒子の大きさを制御することができる。すなわち、アニオン性高分子の有するアニオン基とカチオン性高分子の有するカチオン基の比率により、両高分子が凝集する起動力となる静電引力を調節することができるため、前記凝集によって形成される球状ゲル粒子の大きさが制御される。したがって、アニオン性高分子とカチオン性高分子の電荷が中性となる濃度では、静電引力が最も小さくなるため粒子径が小さくなる。
本発明にかかる製造方法において、アニオン性高分子のアニオン基に対し、カチオン性高分子のカチオン基の電荷比率は0.1〜10倍であることが好適である。
球状複合ゲル粒子の架橋
また、本発明にかかる球状複合架橋ゲル粒子の製造方法においては、上記の工程によりアニオン性高分子及びカチオン性高分子の球状複合ゲル粒子を形成した後、さらに架橋剤を添加して前記粒子を架橋させ、強固なゲル粒子とすることができる。架橋剤の添加は、球状粒子を形成した系をそのまま使用することができる。系から球状粒子を分離して別途架橋剤と反応させてもよいが、生産効率上同じ系を用いることが好ましい。
本発明に用いる架橋剤は、球状複合ゲル粒子を構成する高分子鎖間を化学結合によって架橋し得るものであれば、どのようなものを用いても構わない。
架橋剤としては、例えば、アニオン性高分子の有するカルボキシル基、水酸基、アセトアミド基といった反応性官能基と反応して共有結合を形成し得る官能基を2以上有する多官能性化合物を用いることができる。本発明に適用可能な架橋剤としては、具体的には、1,3−ブタジエンジエポキシド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,5−ヘキサジエンジエポキシド等のアルキルジエポキシ体、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル体、ジビニルスルホン、エピクロルヒドリン等が挙げられる。これらの中でも、特にジビニルスルホン、1,4−ブタンジオール・ジグリシジルエーテル、及びエチレングリコール・ジグリシジルエーテルを好適に用いることができる。また、本発明においては、2種以上の架橋剤を適宜組み合わせて用いても構わない。
前記架橋剤の濃度は用いる架橋剤の種類にもよるが、アニオン性高分子及びカチオン性高分子を含む系において0.000001〜5重量%であることが好ましい。より好ましくは0.00001〜0.5重量%、さらに好ましくは0.0001〜0.05重量%である。
架橋剤の濃度が高くなるに伴い、球状複合ゲル粒子の粒子径が大きくなる。これは、架橋剤の濃度が高いほど系中の高分子の架橋率が上昇し、より大きな粒子を形成するためであると考えられる。したがって、本発明においては、架橋剤の濃度によって形成する球状複合ゲル粒子の粒子径を制御することも可能である。ただし、架橋剤の濃度が高すぎると、粒子が大きくなりすぎて球状を維持することができなくなり、沈殿を生じることがあるため好ましくない。
本発明にかかる球状複合架橋ゲル粒子の製造方法においては、前記高分子と、前記架橋剤と、水とを含む混合物を、酸又はアルカリ条件下で混合し、前記高分子の有する反応性官能基と前記架橋剤とを反応させることによって、前記高分子の複合ゲル粒子を構成する高分子鎖間を化学結合により架橋し、架橋した球状架橋複合ゲル粒子を生成する。
なお、本発明においては、架橋反応時の高分子鎖の反応性を高める目的で、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基、あるいはリン酸塩、4級アンモニウム塩等の適当な緩衝液により混合物のpHを適宜調整し、酸又はアルカリ条件下で攪拌混合を行なう。具体的には、例えば、酸条件下においてはpH1〜5、アルカリ条件下においてはpH10〜14となるように混合物のpHを調整することが好適である。架橋反応を前述の球状粒子の形成と同じ系を用いて行う場合は、粒子を形成する工程において系のpH調整を行ってもよい。すなわち、水系溶媒中へアニオン性高分子およびカチオン性高分子に加え、酸や塩基等を溶解し、pHを調整しておくことも可能である。
また、本発明にかかる製造方法においては、上記架橋反応を静置条件下で行うことが好適である。通常の高分子の架橋技術においては、架橋反応を均一に進めるため攪拌条件下で系に架橋剤を添加することが多いが、本発明による球状複合ゲル粒子の場合、攪拌条件下で架橋剤を添加すると沈殿物を析出することがある。これは、攪拌により球状複合ゲル粒子と架橋剤の反応頻度および前記粒子同士の衝突頻度が増大し、粒子内のみならず、粒子間においても架橋反応が起こり、粒子が凝集・沈殿するためであると考えられる。一方、静止した状態で架橋反応を緩やかに進行させれば、前記のような粒子間の架橋を抑え、粒子内のみを架橋することができるため、均一な球状架橋複合ゲル粒子の分散液を得ることができる。
本発明にかかる製造方法において、架橋反応を行う時間は架橋剤の種類や濃度に応じて適宜調整すればよい。すなわち、架橋剤濃度が高い場合、架橋時間を長くすると球状複合ゲル粒子間で架橋が進行してしまい、沈殿が生じることがある。一方、架橋剤の濃度が低い場合、架橋時間が短いと架橋反応が十分に進行しないが、架橋時間を長くすれば球状架橋複合ゲル粒子を得ることができる。
球状複合ゲル粒子の精製
本発明にかかる球状複合ゲル粒子の製造方法においては、上記の工程により高分子複合体からなる球状粒子を架橋した後、さらにその分散系を透析して球状複合架橋ゲル粒子を精製することが好適である。
透析により系に残存した架橋剤等を容易に除去し、ゲル粒子のみを得ることができる。
上記した本発明にかかる製造方法により得られる球状複合架橋ゲル粒子は、均一な球状粒子をなし、耐塩性やpH応答性を有する等機能的に優れたものである。
また、本発明にかかる球状複合架橋ゲル粒子の製造において、上記した成分の他にも、予め、通常、医薬品、化粧料等に用いられる成分を、本発明の目的及び効果に影響が出ない範囲で適宜配合しても構わない。もしくは、得られた球状複合架橋ゲル粒子を食品・医薬品・化粧品等の各種製品へ配合することもできる。
本発明にかかる製造方法により得られる球状複合架橋ゲル粒子は、その特性を利用して、pH応答性素材、耐塩性素材、保湿剤として使用することができる。また、本発明のゲルを単層膜とし、皮膚や毛髪のコーティング剤として使用することも可能である。
さらに、生体適合性の高い高分子を使用した場合、前記ゲルの生体内で代謝をうけにくく、耐塩性やpH応答性を有することを利用して、美容整形におけるしわのばし、陥凹および豊胸用の注入剤、高い生体内滞留性、潤滑作用および薬理効果を示す変形性関節症治療薬(関節内注入剤)、高い保湿作用、涙液内滞留性および薬理効果を示すドライアイ点眼薬、胃潰瘍の予防・治療薬、花粉症予防剤、口腔内乾燥防止剤等への使用が期待できる。
本発明による球状複合ゲル粒子の形成は、上記したようにアニオン性高分子とカチオン性高分子の静電相互作用を利用したものであるため、製品中におけるゲル粒子の安定性を考慮するならば、本発明によって球状複合ゲル粒子を製造後、各種製品へ前記ゲル粒子を配合することが好ましい。すなわち、製品へ単に成分としてアニオン性高分子及びカチオン性高分子を配合しても、製品中の他の成分による静電相互作用の影響を受けてしまい、ゲル粒子が安定して生成されないことがある。
また、ゲル粒子の球状内が疎水性であることを利用し、疎水性薬剤またはカチオン性薬剤を粒子内に内包し、ドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアーとしての利用他、ゲル組成物の応用が可能なあらゆる分野において使用することができる。
以下、本発明の実施例を示して、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記表1に示すアニオン性高分子及びカチオン性高分子の組合わせにより、球状複合ゲル粒子の形成を試みた。すなわち、下記の方法にしたがって製造した架橋反応後の高分子分散液について、下記評価基準によりゲル粒子生成の有無を評価した。結果を表1に示す。
<球状複合架橋ゲル粒子の製造例>
製造方法
50mlサンプル管に、終濃度として0.25重量%アニオン性高分子水溶液、1.6重量%水酸化ナトリウム、濃度調整用の蒸留水を加え混合した。これに攪拌条件の下終濃度として0.25重量%カチオン性高分子水溶液を加えて5分間攪拌し分子集積/相分離させた。さらに架橋剤としてジビニルスルホン(DVS)を加え、系内が均一になる程度攪拌したら攪拌を止め、静置条件の下架橋反応を行った。架橋反応は、1M塩酸を添加して系内のpHを中性〜弱酸性にすることで停止させ、架橋した球状複合ゲル粒子の分散液を得た。その後、前記分散液を遠心分離及び透析に供し、架橋した球状複合ゲル粒子を精製した。
評価基準
○:沈殿の見られない均一なゲル粒子の分散液であった。
△:繊維状沈殿が浮遊した分散液であった。
×:ゲル粒子が生成しなかった。
(表1)
*1 マーコート100(メルク社製):ポリN,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジウム塩化物溶液
*2 カチオン化ローカストビーンガム:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム
*3カチオン化グアーガムM:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム
*4 ポリマーJR400(ユニオンカーバイド社製):塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース
*5 マーコート550(メルク社製):塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体溶液
表1に示すように、反対電荷を有する高分子を混合し、その状態で架橋することで均一な架橋した球状のゲル粒子が生成されることが分かった。また、さらに前記粒子の粒子径を測定した結果、アラビアゴム/マーコート100の組合わせにおいては24μm、コンドロイチン硫酸ナトリウム/マーコート100の組合わせにおいては4μmであった。このことから、使用するアニオン性高分子の分子量が高いほど、ゲル粒子の粒子径がやや大きくなることが推測された。これは、高分子の同士の複合体がコンパクトな分子形態をとり難いためであると考えられる。
以上の結果より、本発明の製造方法により、球状複合ゲル粒子が得られることが認められた。また、アニオン性高分子及びカチオン性高分子の組合わせによって、前記ゲル粒子の粒径制御が可能であることが示唆された。
<アニオン性高分子及びカチオン性高分子の濃度>
上記製造例におけるアラビアゴム/マーコート100の系を用い、アルカリ条件下で0.25重量%アラビアゴム水溶液中に終濃度が0.04、0.4、0.8重量%となるようにマーコート100を添加して分子集積させた後、DVSで架橋してそれぞれゲル粒子を得た。前記試験を水および生理食塩水を溶媒としてそれぞれ行い、マーコート100の各濃度におけるゲル粒子の粒子径を測定した結果を図1に示す。
図1に示すように、球状ゲル粒子はマーコート100の濃度によって粒子径が変化し、マーコート濃度0.4重量%において最小値を示した。これは、マーコート100とアラビアゴムの電荷が中和され、解離基による静電反発が抑制されたため、ゲル粒子が収縮したことに起因すると考えられる。このようにアニオン性高分子とカチオン性高分子の電荷比率に依存して粒子径が変化するとすれば、本試験におけるカチオン性高分子と同様に、アニオン性高分子の濃度を調節することによっても粒子径を制御することができると考えられる。
また、図1によれば、ゲル粒子の生成における溶媒を生理食塩水とした場合も、水を溶媒とした場合とほぼ同様の粒子径変化を示した。
以上の結果から、本発明の製造方法において、アニオン性高分子及び/またはカチオン性高分子の電荷比率に基づく濃度調節により、球状複合ゲル粒子の粒子径の制御が可能であることが認められた。また、本発明による前記ゲル粒子は、耐塩性を有することも認められた。
<架橋剤の濃度>
上記製造例におけるアラビアゴム/マーコート100の系において、DVSの濃度を変化させた際の球状複合架橋ゲル粒子の粒子径を測定した。結果を図2に示す。
図2に示すように、球状ゲル粒子の粒子径はDVSの濃度上昇に伴って大きくなった。これは、DVS濃度の上昇に伴い、より多くの高分子が架橋され、これに応じてより大きなゲル粒子が形成されたためであると考えられる。
以上の結果から、本発明の製造方法において、架橋剤の濃度により粒子径の制御が可能であることが認められた。
<走査型電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察>
本発明にかかる製造方法によって得られる球状複合ゲル粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて確認した。
すなわち、上記試験例におけるアラビアゴム/マーコート100の系より得られたゲル粒子を適当な濃度に希釈し、カバーガラス上に沈着固定した。これを白金(Pt)で真空蒸着した後、カーボンテープで試料台に固定した。これを走査型電子顕微鏡(VE8800:KEYENCE製)により適当な倍率で撮影し、粒子形態及び表面の様子を観察した。前記操作により得られた顕微鏡写真を図3に示す。
図3に示すように、本発明の製造方法によるゲル粒子は、均一な球状をなしていた。
以上の試験結果より、本発明にかかる製造方法により、機能的で粒径制御の可能な球状複合ゲル粒子を容易に得ることができることが認められた。
本発明におけるカチオン性高分子の濃度による粒子径の変化を示したグラフである。 本発明における架橋剤濃度の変化による粒子径の変化を示したグラフである。 本発明による球状複合架橋ゲル粒子のSEM写真である。

Claims (3)

  1. 水系溶媒中において、アニオン性高分子とカチオン性高分子とを混合して球状複合粒子とする工程と、
    前記工程後、前記球状複合粒子に架橋剤を作用させる工程と、
    を含むことを特徴とする球状複合ゲル粒子の製造方法。
  2. 請求項に記載の架橋剤を作用させる工程後、透析を行って前記球状複合粒子を精製する工程を含むことを特徴とする球状複合ゲル粒子の製造方法。
  3. 請求項に記載の架橋剤を作用させる工程を静置条件下において行うことを特徴とする球状複合ゲル粒子の製造方法。
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