本発明の好ましい実施形態では、トナー又はインクは、2つの反応種群のそれぞれから選択された成分を含んで製造される。インク又はトナーは、更に、着色剤、キャリヤー又は印刷添加物1つ以上を含んでよい。
第一反応種(第一試薬)は、求核性化合物を架橋させ得る求電子性架橋剤がよい。好ましい架橋剤は、イソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4−、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、1,6−ヘキサメチレン(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)、パラ−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、3,3’−トリデン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネート、イソチオシアネート、カルボジイミド及びポリカルボジイミド、メトキシメチルメラミン架橋剤等のトリアジン及びアミノトリアジン、アジリジン及び多官能性アジリジン、ポリアクリルアミド、アセトアセトキシ官能性ポリマー架橋剤、メラミン樹脂、例えばトリメトキシメチルメラミン(TMMM)、アクリル化メラミン等のヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)又は他の変性メラミン樹脂、ベンゾグアナミン、ウレア架橋樹脂、反応性シラン又は可逆的保護シラン(reversibly protected silane:RPS)、環状ポリカルボン酸又は無水物、エチレン−、プロピレン−、ブチレン−、グリセリン−、ヒドロキシエチル−及びヒドロキシプロピル−カーボネートを含むアルキレンカーボネート等のカーボネート又は特定の開始プロセスにより反応に利用できるエポキシ基、例えば、加熱により開始され得るブロックされたポリイソシアネート、内部ブロックされた(時にはブロッキング剤不含とも呼ばれる)イソシアネートもしくはポリイソシアネート、又はカプセル化ポリイソシアネートである。他の成分、例えば着色剤、分散剤、結合剤、界面活性剤及び他の添加剤も、定着のために、求核性/求電子性反応化合物として作用し得る。
第二の反応種(第二試薬)は、活性水素含有基を介して架橋され得る求核性化合物がよく、例えばアミン又はジアミン、アミド、ジシアンジアミド化合物、イミン及びポリエチレンイミン、アミンポリエーテル、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボン酸、ヒドロキシル含有物、例えばジオール、トリオール、ポリエステルポリオール、アクリレートポリオール、スチレンアリルアルコール(SAA)コポリマーポリオールを含むポリオール、エポキシドポリエーテルポリオール(Brian−Jones,英国からのNOURYPOL 200)などの多官能性ポリオール、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むシロキサンポリマー、ヒドロキシル末端ポリマー、ヒドロキシル末端ポリブタジエンなどのコポリマー、チオール、ウレタン、又はウレア基もしくは活性水素含有官能基に転化可能な官能基、例えばカルボン酸誘導体、例えば無水物基がある。更に、例えばヒドロキシル基(木綿、レーヨン及びジュート)、アミノ基(絹、ナイロン)又はチオール基(ウール)などの活性水素を含有する最終基材は、この結合プロセスに完全に又は部分的に寄与し、かつ最終画像のための結合部位を供給できる。生じたインクは、反応種が基材内部又は基材表面上にある、織物、ファブリック又は繊維性材料を含む、天然及び合成材料の双方を含む基材又は天然ファブリック基材への印刷法に有用である。
1つまたは複数の共反応物(coreactant)を使用することもできる。共反応物は、活性水素含有基を介して架橋され得る求核性化合物として作用し、また、低い化学反応エネルギー要件又は熱要件をみたし、かつインク又はトナーの所望の架橋及び結合反応及び/又はインク又はトナーと基材との所望の架橋及び結合反応の時間を短縮することができる。例えば、ポリエーテル共反応物は、脱ブロッキング又はブロッキング剤無力化のエネルギーを減じ、アルコールブロック芳香族ポリイソシアネートの架橋温度の降下を促進でき、脂肪族ジアミン共反応物は、フェノールブロック芳香族ポリイソシアネートの架橋を促進することができる。カルバメート及び第二カルバメートは、メラミンホルムアルデヒド樹脂などのメラミン樹脂の架橋を促進する。
2つの反応種の割合は、反応成分の化学量論的バランスで存在してよい。例えば、活性水素含有官能基の当量に対するイソシアネート基の当量の割合は、基材の官能性に依存して、0.1:1から100:1までの範囲であってよく、2:1であってよい。
別の実施形態では、トナー又はインクは、活性水素と反応する官能基を含有する架橋性化合物からなり、他方、基材は、活性水素含有化合物を含有する。例えば、トナー又はインクは、イソシアネート基を含有してよく、最終基材は、活性水素を含有し、例えばセルロースである。この概念を拡張すると、トナー又はインクは、活性水素含有化合物を含有してよく、同時に基材は、活性水素と反応する官能基を有する化合物を含有する。そのようなインク−基材の組み合わせは、小さな繊維屑が架橋に関与し、かつフィブリル化を減じるか又は除去するのに関与し得る場合に、インクと基材との間の3次元架橋構造を生じるのに特に有用である。
更に別の実施形態では、早期又は望ましくない活性化又は架橋もしくは結合反応を防止するために、2つの反応基は、別々のトナー又はインク中に存在すると良い。例えば、1つのインクジェットプリントヘッドは、活性水素と反応する官能基を備えた成分を有するインクを印刷でき、他方、他のプリントヘッドは活性水素含有成分を印刷することができる。印刷欠点の少ない高度に結合した画像を得ると同時に、完全性及び耐久性のある画像を生じるために、2つの反応成分のうち少なくとも1つが、着色剤を含む各インク並びに無色インク中に存在してよい。
ビデオカメラ又はスキャン装置を使用して、画像を取り込むことができる。画像はコンピュータへと送信される。コンピュータは、デジタルプリンタに命令を送り、画像を印刷する。デジタルプリンタは、レーザープリンタまたはフォトコピーのようなインクジェットプリンタ又は電送写真装置であってよい。ソフトウェアで制作される画像など、画像を形成する他の手段を使用することができる。市販のコンピュータデザイングラフィック用ソフトウェアを使用してもよい。あるいは、従来の写真術を使用してもよい。デザインは、写真、グラフィックアート又は単純に文字もしくは単語であってよい。シアン、イエロー及びマジェンタのトナー組成物を使用して、プリンタは、フルカラー又はマルチカラーでデザインを印刷することができる。オプションのブラックトナーを使用することもできる。更に、スポットカラーを使用して、色域を増すことができる。
画像は、最終基材に直接に印刷されるか又は中間基材に印刷され、その後、転写される。基材は、例えば、連続インクジェット、ドロップオンデマンド型、インクジェット装置、例えばサーマル又はバブルインクジェットプリンタ、メカニカル又はエレクトロメカニカルデジタル印刷又はコーティング装置、又はピエゾ方式インクジェットプリンタなどのインクジェット装置によりその上に印刷できる材料からできていてよい。
直接印刷では、インク又はトナーは、印刷時に反応成分(試薬)を実質的に活性化させずに直接に基材上に印刷できる。水性、非水性又はゾル−ゲルタイプ形状のインクを使用することができる。水性又はアルコール含有インクを使用する場合は、ヒドロキシル基などの有効な反応性官能基は、印刷されたインクによる膨潤過程を経て増加される。架橋及び/又は硬化時に、より良好な反応性が得られ、その結果、画像堅牢度が改良される。木綿、絹、ウール、ジュートファブリック等の基材にとり、このことは特に有益であり、これら基材表面でマイクロファイバーが架橋に関わって、実質的に印刷の画像品質に影響を及ぼし得る。異なるタイプのインクを使用することもできる。例えば、着色剤不含の水性ベース反応性インクは、印刷されて、基材の繊維性材料を膨らまし、気泡を除くことができ、その後、着色剤含有のゾルゲルタイプのインクを印刷して、インクの定着又は活性化の際に、欠点の無い印刷及び優れた色鮮明さの両方が得られる。
別の実施形態では、ポリカルボジイミドなどの架橋剤は、無水キャリヤー中で安定であり、インク中に存在する他の活性水素成分無しで印刷することができる。印刷は、他のプリントヘッドにより他のインクが印刷される前又は後に、1つのプリントヘッドにより遂行され、活性化及び架橋される。多数の好適な官能基は、周囲温度で非常に反応性であり、接触時に硬化及び架橋を開始するであろう。この構成により、反応性インク成分は、隔てられ、硬化又は架橋反応を開始せずに印刷が可能となる。
更に、早期又は所望でない反応を阻止するために、架橋性化合物又は成分の官能基を、化学的ブロッキング剤又はカプセル化などの物理的バリアのいずれかにより保護することができる。そのような保護剤は、好ましくは、エネルギー又は熱の適用による開始プロセスを介して除去される。他の開始プロセスとして、放射線、化学反応、圧力及び/又はこれらの組み合わせがあるが、これらに限定はされない。本発明では、種々のプリンタシステムを合わせて使用でき、例えば、電送写真印刷装置及びピエゾ方式インクジェット印刷装置の組み合わせを使用することができる。
転写印刷では、画像を中間基材に一旦印刷し、この画像を最終基材上に直ちにかつ永久的に転写するか又は暫く経ってから中間基材から最終基材へ転写することができる。デザインは、シャツ等の織物基材、又は金属、セラミック、木材もしくはプラスチック等の他の基材上に転写することができる。好ましい最終基材は広範囲に選択でき、例えば、織物、特に天然、半合成又は合成材料があるが、これらに限定はされない。天然織物材料の例には、ウール、絹、ヘア及びセルロース材料、特に木綿、レーヨン、ジュート、麻、亜麻及びリンネルがある。合成及び半合成材料の例には、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル及びポリウレタンがある。織物材料は、天然及び合成繊維のブレンドであってよい。転写印刷の場合は、低表面エネルギー材料、例えばシリコーンポリマー又はフルオロカーボン樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン、及び/又は剥離剤、例えばカルボキシメチルセルロース、で被覆された剥離紙を使用することができる。「剥離力」とは、ライナー/ベースシートから層を取り外すのに必要な力を表わし、「容易」又は「密着」と主観的に表現することができる。剥離力は、コーティング処方物及び生じるポリマーの性質、又は被覆重量により調整することができる。剥離力は、プリンタの溶融ステップ及びその後の印刷画像の任意の取り扱いの最中及びその後に、インク又はトナーが接着しているほどに十分に高い(密着)が、最終基材への転写中にインク又はトナーがシートから実質的に剥離しないほど高くは無い(容易に剥離)ようにするのが最適である。
反応成分の早期又は非所望の反応を阻止するために、ブロッキング剤又は保護剤を1種以上を使用しても良い。ブロッキング剤は、反応体を保護し、かつプロセスの転写又は定着ステップの間、エネルギーの付加、例えば加熱であってよい、により、除去又は無力化することができる。
例えば熱、加熱蒸気、放射線、圧力又はこれらの組み合わせなどのエネルギーの付加により、反応成分上の保護剤を除去し、かつ第一及び第二反応種を相互に及び/又は最終基材上の活性水素含有基と反応させて、インク又はトナーを最終基材上に定着させる。例えば、転写ステップは、本例では、200℃に加熱し、同時に20秒間加圧して、遂行することができる。
保護剤の選択は、使用されるプリンタ装置に依存し得る。ブロッキング剤は、プリンタの動作温度より低いアンブロッキング(無力化)温度を有してよく、ブロッキング剤の選択は、プリンタ動作温度のみならず、インク又はトナーが、動作温度に曝される時間の長さ(滞留時間)にも依存し得る。保護された求電子性反応成分の例は、内部ブロックされた(ブロッキング剤不含としても知られている)及び外部ブロックされたポリイソシアネートである。内部ブロックされたポリイソシアネートの例は、Bayerのイソホロンジイソシアネート(IPDI)製品、Crelan VP LS 2147である。外部ブロッキング剤の一般例として、フェノール及び置換フェノール、アルコール及び置換アルコール、チオール、ラクタム、メルカプタム、第一及び第二酸アミド、イミド、芳香族及び脂肪族アミン、活性メチレン化合物、アルデヒド及びケトンのオキシム並びにスルホン酸の塩がある。外部ブロックされたポリイソシアネートの例は、CreaNovaのε−カプロラクタムでブロックされたVestagon EP B1400である。
一実施形態では、インクは、着色剤、キャリヤー、保湿剤、補助溶媒、界面活性剤又は乳化剤、並びに活性水素及び架橋反応性化合物(又は成分)のどちらか1つ又は両方を含む。追加の活性水素含有成分及び/又は架橋剤は、別のインクレゼバー中に保管され、別のプリントヘッドにより印刷することができる。代替的実施形態では、ポリオールなどの活性水素成分の全ては、インク中に含有されるが、ポリイソシアネートなどの架橋剤の全ては、他のインク中に分かれて保管される。
インク中に使用される着色剤は、染料、顔料、又はこれらの着色剤の組み合わせであってよい。好適な染料には、顔料、化学的グラフトによる表面変性顔料、自己分散性顔料、化学的又は物理的にカプセル化された顔料、酸性染料、直接染料、反応染料、塩基性染料、油溶性染料、分散染料、反応性分散染料、硫化染料、バト染料又はこれらの組み合わせがあるが、これらに限定はされない。ヒドロキシル、アミン、カルボキシル基、又は所望の色相を変えずに求電子性架橋剤と反応可能である他の活性水素含有官能基を含有する着色剤が好ましい。アルコキシ又はアルキルアミノ基を少なくとも1つ含有するものが更に好ましい。そのような着色剤の例には、Disperse Red55、Solvent Red117及びDisperse Blue3がある。他の例は、例えば米国特許第4749784号明細書及び米国特許第6159250号明細書に記載される。使用品質を高めるために、これらの着色剤は、トナー又はインク成分の残りと一緒に、単一成分として使用するか、又は同じかもしくは異なるタイプの着色剤1つ以上と混合して使用することができる。顔料及び染料は、トナー系統内部でより容易に分散するために、フラッシュ樹脂(flush resin system)系に混入することができる。フラッシュされた着色剤の例は、Sun Phthalo Blue−Green Shade 15及びSun Diaryl Yellow AAOT 14(Sun Chemical)、並びにHostacopy E02−M 101 Magenta(Clariant)である。インクは0〜30%の着色剤を含んでよい。着色インクは好ましくは4〜15重量%の間の着色剤を含有する。
分散着色剤又は昇華性着色剤は、特定の合成材料上に印刷されるか又は着色されると、鮮明で強いカラー画像を生じる熱活性染料の例である。着色剤の半透明性は、合成材料上で適切に活性化させると、入射光が、印刷された基材を部分的に通過することを可能にし、反射され、回折された色により、色の深さおよび色の美的効果が強められる。これらの着色剤は、実質的に反射光に干渉する不透明な着色剤、ファブリック材料又はポリマー材料で実質的に被覆又は遮られるべきではない。
一実施形態では、反応性インク又はトナーは、分散又は昇華性着色剤を少なくとも1つ含む。着色剤に親和性を有する透明又は半透明ポリマー材料も供給される。このポリマー材料は、インク中に供給できる。このインクは、基材表面上に印刷されるか、あるいは不透明又は半透明の顔料を含有するインクの第一層により印刷された画像上に印刷される。活性化時に、反応性インク及び昇華性着色剤の硬化又は架橋の両方が起こり、最終基材上に鮮明で強いカラー画像を生じる。基材が、例えば、木綿、絹、ウール、ジュート等の天然繊維性材料である場合、この組み合わせにより、昇華性又は分散染料以外の着色剤を有する反応性インクを使用したものと比較して、特に色強度に関し優れた画像品質が得られる。一般に、画像堅牢度は、昇華性着色剤のみを使用する場合よりも改良される。反応成分の1つが、分散染料又は昇華性染料に対し親和性がある反応性ポリマー材料であるのは、最も好ましい。
本発明のプロセスに好適な分散又は昇華性着色剤には、アントラキノン、アゾ、ジアゾ、キノリン、オキサジン、クマリン、キサンテン、ベンゾイミダゾール、ジフェニルアミン等がある。これらの着色剤の具体例として、ディスパース・イエロー54、ディスパース・イエロー241、ディスパース・イエロー243、ディスパース・オレンジ1、ディスパース・オレンジ3、ディスパース・オレンジ11、ディスパース・オレンジ155、ディスパース・レッド1、ディスパース・レッド4、ディスパース・レッド11、ディスパース・レッド364、ディスパース・レッド60、ディスパース・レッド91及び92、ディスパース・レッド368、ディスパース・ブルー3、ディスパース・ブルー14、ディスパース・ブルー26、ディスパース・ブルー35、ディスパース・ブルー56、ディスパース・ブルー60、ディスパース・ブルー72、ディスパース・ブルー79、ディスパース・ブルー87、ディスパース・ブルー165、ディスパース・ブルー183、ディスパース・ブルー359、ディスパース・バイオレット17、ディスパース・バイオレット33、ディスパース・バイオレット63、ディスパース・グリーン6、ディスパース・ブルー9、ディスパース・ブラウン1、ディスパース・ブラウン9、ディスパース・ブラウン24〜27、ディスパース・ブラック1、ディスパース・ブラック9及びこれらの着色剤の組み合わせがあるが、これらに限定はされない。これらの着色剤は、時には、「分散染料」としてColour Index,Third Edition(Fourth Revision 1992)に記載され、かつ本発明による分散又は昇華性着色剤として好適なこともある。特定の油溶性染料、例えばソルベント・レッド 155、は、単独で使用しても、あるいは分散又は昇華性着色剤と組み合わせて使用してもよい。分散又は昇華性着色剤は、スルホ及び/又はカルボン酸官能基不含であり、かつ1000以下、最も好ましくは600以下の分子量を有するのが好ましい。
熱活性又は昇華プロセスの際に、ポリマー又は合成材料が、分散又は昇華性着色剤への親和力を示す場合、ポリマー又は合成材料、例えば、ポリエステル、脂肪族又は芳香族の変性ポリエステル、直鎖又は分岐ポリアミドのどちらか及び変性ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネート等を、使用することができる。これらの材料の反応性ポリマー又は合成材料は、その架橋性及び分散又は昇華性着色剤への親和性のために、特に好ましい。これらのポリマー材料の反応性官能基は、反応性着色剤、例えば反応染料、酸性染料、塩基性染料、バト染料、及び/又はグラフトされた反応性顔料、及び最終印刷基材からの官能基の両方との架橋反応に関与する。実質的に表面フィブリル化が減じられ、その結果、画像堅牢度及び永続性が改良される。分散染料又は昇華性染料のポリマー材料への親和性は、色強度及び外観を改良する。そのような材料例には、ポリエステルポリオール、例えばポリエチレンアジペート(PEA)、ポリテトラメチレンアジペート(PTMA)、ポリカプロラクトン(PCL)、カプロラクトンポリエステルポリオール(例えば、CAPA2043、2054、3031、3022、3050、3091、4101、Brian−Jones、英国)、ポリエステルポリアミン、ポリアミド、不飽和ポリエステル、アミノエステル又はヒドロキシルアミノエステル官能基又はペンダントを有するポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)ホモポリマー又はコポリマー、反応性ポリウレタン、自己架橋性ポリウレタン、アクリル又はポリアクリルポリウレタンなどのハイブリッドポリウレタン、アセトアセトキシ(AcAc)官能性ポリマー又は樹脂、例えばアセトアセトキシエチルアクリレート(AAEA)及びアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)がある。水溶性/水希釈性、及び溶媒溶解性又は無溶媒可塑化ポリマー材料を使用することができる。溶液、エマルジョン、又はミクロエマルジョン/マクロエマルジョン、天然又は合成重合ラテックス、コロイド、又はこれらのポリマーを含むゾル−ゲル系を所望のインク又はトナー用に使用することもできる。好ましくは、分散又は昇華性着色剤への親和力を有するポリマー又は樹脂性物質の分子量は、3000〜500000であり、ガラス転移温度(Tg)は220℃以下である。最も好ましく使用できるのは、5000〜100000の分子量及び60℃以下のガラス転移温度(Tg)である。
分散又は昇華性着色剤は、熱又は放射線により活性化することができる。着色剤により要求される活性又は昇華エネルギーレベルに依存して、インクは、100〜240℃の温度で活性化することができる。しかしながら、予め状態調整されたポリマー/着色剤インクでは、活性化のためのエネルギーレベルを実質的に減じることができる。そのような予め状態調整されたインクにおいて、分散又は昇華性着色剤は、印刷プロセスの前又は最中に活性化され、かつ同一インク内のポリマーと結合され、遥かに低いエネルギーレベルで、又は周囲温度条件ですら活性化が可能となる。より低い硬化又は架橋温度は、熱エネルギー効率にとって有益であり、最終印刷基材の熱及び/又は放射線への露出を減じることもできる。2層のインクを使用する場合、好ましくは、一般に同じ割合及び効率でインクが硬化及び架橋して、印刷欠点を最小にする。
インクは、結合剤成分を含んでもよい。通常、インク結合剤は、インクを基材上に保持する「接着剤」である。結合剤は、単独の樹脂であるか、又は樹脂と可塑剤と他の添加物との複合組み合わせであってよい。結合剤は、系の粘度に影響し、小滴形成を促進する。結合剤は、とりわけ、基材表面に着色剤を接着させ、着色剤の光沢をコントロールし、着色剤印刷の鮮明度をコントロールし、インクのアルカリ溶解度を決定するのにも役立つ。結合剤は、無定形、低臭気、無色又は薄い色で、透明のフィルム成形であるのが好ましい。界面活性剤、乳化剤、保湿剤及び/又は補助溶媒をインク中に使用できる場合、結合剤は、キャリヤー系に可溶であるか又は安定なエマルジョン又はコロイドを形成する。構造又はランダムポリマーのどちらかをインク結合剤として使用するために選択することができる。構造ポリマーは、ブロック、分岐又はグラフト構造を有する。反応性インクの結合/架橋に関与できる活性水素官能性結合剤が特に好ましい。これらの反応基は、ブロッキング剤で保護することができる。
水性インク処方物は、主要なインクキャリヤーとして、水を含有する。そのため、水性インク処方物に使用される結合剤は、水溶性、分散性又は乳化性ポリマー及びコポリマーであるとよい。そのような結合剤の例には、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、ポリアクリルアミド、ポリスチレンアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、及びポリビニルブチレート等のビニル樹脂、ポリエチレンオキシド及びポリエチレングリコール等のポリアルキレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン及びポリエチレンイミン等のポリアミン、ニトロセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体がある。
水混和性保湿剤、補助溶媒、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、チャージング剤及び分散剤などの他の水性インク添加物を使用して、前記印刷システムの何れかに好適なインク中の疎水性成分の安定なエマルジョン又はコロイドを形成するのを促進することができる。補助溶媒は、幾つかの機能を果たすことができる。これらは、架橋及び結合反応に関与する連鎖延長剤として作用することができる。補助溶媒は、活性水素を有する官能基2つ以上を備えることができ、例えばジオール、トリオール、ポリオール、ジアミン及びポリアミンである。これらは、保湿剤として作用し、即ち、水の蒸発を最小にし、インクジェットノズル内部で染料/顔料が結晶化するのを防止するのに役立つ。補助溶媒は、更に、2つの非常に重要なパラメーターである、インクの粘度及び表面張力の制御に役立つことができる。本発明で使用される好ましい補助溶媒には、N−メチルピロリドン/ピロリジノン及びグリコール、特にエチレングリコール、例えばLEG−1及びLEG−7(両方ともLipo Chemicalsによる)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等、並びにそのようなグリコールのエーテル、特にモノアルキルエーテルがあるが、これらに限定はされない。直鎖エーテルは、分岐鎖異性体よりも一層効果的な粘度低下剤であり、それらの効率は、アルコキシ基の炭素原子数が増すと共に増加し得る。
正しく選択された補助溶媒は、特定の着色剤の溶解度を改良することができる。更に、水よりも相対的に低い沸点を有する補助溶媒を使用して、サーマル又はバブルジェットインクジェットシステム用のエマルジョンインク系の安定性の改良に役立てることもできる。そのような補助溶媒は、バブルを迅速に蒸発させることができ、そのことにより、加熱部材からの熱によるエマルジョン粒子の破壊を防ぐと同時に、インク中のブロックされた成分が、印刷プロセスの間に熱にさらされることによりブロックが外されることを防ぐのに役立つ。そのような補助溶媒の例には、1−メトキシ−2−プロパノール、イソ−プロパノール及びイソ−ブチルビニルエーテルがある。
湿潤剤として、脂肪アルコール又は脂肪アミンからの脂肪酸アルカノールアミド、オキシエチレン付加物のような化合物を挙げることができる。他の界面活性剤及び/又は界面変性剤には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンオキシド、スルホン化アルキル/脂肪酸エステル、芳香族/アルキルホスフェートエステルがあるが、これらに限定はされない。
通常の水性ベースの染料/顔料分散剤には、リグニンスルホン酸塩、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、及び芳香族スルホン酸、例えばナフタレンスルホン酸、のような化合物がある。ある種の分散剤は、適切な対イオンの存在下に、水溶液中の電解質として作用するポリマー酸又は塩基である。そのような高分子電解質は、エマルジョン中に分散された粒子の静電的並びに立体的安定性を提供することができ、更に、プリンタの利用に必要な場合には、帯電特性を有するインクを供給する。ポリ酸の例には、ポリアルギン酸及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等の多糖類、ポリアクリル酸、スチレン−アクリレートコポリマー等のポリアクリレート、ポリビニルスルホン酸、スチレン−スルホネートコポリマー等のポリスルホネート、ポリメタリン酸等のポリホスフェート、スチレン−マレイン酸コポリマー等のポリ二塩基酸(又は加水分解無水物)、アクリル酸−マレイン酸コポリマー等のポリ三塩基酸がある。ポリ塩基の例には、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ(4−ビニルピリジン)等のポリアミン、ポリ(4−ビニル−N−ドデシルピリジニウム)等のポリ第四アンモニウム塩がある。好適な酸性及び塩基性モノマー、例えばメタクリル酸及びビニルピリジン、の共重合により、両性の高分子電解質を得ることができる。
水性インクは、pH調節剤、シリコーン油エマルジョン等の抗発泡薬品、融合制御剤、腐食防止剤、殺菌剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール又はソルビトール等の凍結防止剤、酸化防止剤及びUV−光安定剤も含有する
水性インク添加物は、親水性物質なので、最終画像の耐水性を改良するために、反応性官能基を含有してよい。好ましい添加剤は、活性水素官能基を有する界面活性剤であり、かつブロッキング剤で保護されていてよい。
非水性インク処方物のために、キャリヤーは、有機溶媒、例えば炭化水素、アルコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、ケトン、又はエステル溶媒、をベースとすることができる。あるいは、キャリヤーは、天然又は合成の乾性油又は不乾性油をベースとすることができる。好ましくは、活性水素を含有する求核性官能基を有する反応性キャリヤーを、反応性を増し、固体パーセンテージを減じるために使用することができる。そのようなインクに使用される結合剤は、これらのキャリヤーに溶解すべきか又は乳化すべきである。インク結合剤として、樹脂、可塑剤及びワックスを挙げることができる。代表的樹脂には、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、炭化水素樹脂、ポリスチレン樹脂及びコポリマー、テルペン樹脂、シリコーン樹脂、アルキル化ユリアホルムアルデヒド樹脂、アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド及びポリイミド樹脂、塩化ゴム及び環化ゴム、ビニル樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、及びセルロース誘導体樹脂を挙げることができる。他の添加剤として、界面活性剤、分散剤、酸化防止剤、光安定剤及び乾性油触媒がある。
相転移、又はホットメルトインク処方物のために、ホットメルトキャリヤーを、ホットメルト樹脂、ワックス又はワックス様材料、粘着付与剤及び可塑剤と組み合わせて使用する。これらの材料は、室温での形状は固体であるが、一般に50〜150℃であるプリンタ動作温度で液体となる。相転移インクキャリヤーの例には、パラフィン、微晶質ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸アミド(通常、モノアミドワックス及びテトラ−アミド樹脂)、スルホンアミド材料、種々の天然源から製造された樹脂性物質(トール油ロジン及びロジンエステル)及び多数の合成樹脂、オリゴマー、ポリマー及びコポリマーがある。好ましいテトラ−アミド樹脂は、ダイマー酸、エチレンジアミン及びステアリン酸の反応生成物である、ダイマー酸ベースのテトラ−アミドである。好ましい粘着付与樹脂は、水素化アビエチン酸のグリセロールエステルである。他の添加剤として、結合剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤等を挙げることができる。
液体インクの粘度をコントロールすることにより、インクジェット印刷装置を介してインクを印刷することができる。インクの粘度値は、一般に利用されるインクジェットプリンタについては、1〜50cpsの範囲にあり、好ましくは3〜20cpsの範囲内であるとよい。粘性のありすぎるインクは、印刷問題を生じ、小滴のサイズ又は形状の形成及びコントロールが悪く、及び/又はプリントオリフィスを損なう。
湿潤、乳化、可溶化、インク液滴形成及び界面エネルギー制御又は変性のプロセスに、界面活性剤を使用することができる。水中油タイプエマルジョン製造に使用される界面活性剤として、種々の分子量のアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤を挙げることができる。非水ベースのエマルジョンインク系に使用される界面活性剤は、好ましくは非イオン性タイプである。固有のHLB(親水−親油性バランス)値次第で、ある種の界面活性剤は、エマルジファイヤー、即ち乳化剤と呼ばれることもある。高いHLB値の界面活性剤は、一般に、水中油又は水性タイプの系の乳化に使用されるが、低いHLB値の界面活性剤は、一般に、油中水又は非水性タイプのエマルジョン系を形成するのに使用され得る。反応性界面活性剤も使用することができる。反応性界面活性剤には、ヒドロキシル、カルボキシル基、アミン、アミド末端コポリマー界面活性剤がある。
液体キャリヤー中の界面活性剤/乳化剤濃度が、その臨界ミセル濃度(CMC)を超えると、界面活性剤/乳化剤の分子が凝集し始める。主なキャリヤー相が水性又は非水性であるかに依存して、他成分を加えた界面活性剤/乳化剤の凝集は、ミセル又は逆転ミセルを形成し、これは、不溶性成分粒子又は凝集体が界面活性剤/乳化剤の分子層で囲まれる典型的構造を有する。そのため、同質であるが、マルチ相の系が生じ、ミセルの小さいが分離した小滴を有し、これは、ミセル構造内側に着色剤、結合剤、混和性又は非混和性補助溶媒及び/又は保湿剤、添加物等を担持し、主キャリヤー相内に懸濁して、更なる凝集又は相分離を防止する。これらのミセル粒子は、印刷メカニズムを詰らせずにインクジェット印刷に使用できるフリーフロー液体を形成するのに十分なほど小さいサイズであり、かつミセル粒子は、相互に直接接触し及び/又はサーマル又はバブル−ジェットインクジェット印刷中の加熱部材などの印刷メカニズムに直接接触しながら、ミセル粒子内部の成分、特に感熱材料を保護する。そのため、この用途に使用される不溶性、非混和性成分は、使用に適した濃度で安定化することができる。
安定エマルジョン、ミクロ/マクロエマルジョン、コロイド、又はゾル−ゲルインク系を形成するために、界面活性剤/乳化剤を使用することができる。記憶及び画像形成プロセスの間に、そのような材料が、どのようなマイナスの影響も反応成分に及ぼさない限りは、複数の界面活性剤/乳化剤を組み合わせて使用し、保護、安定性、フロー特性及び印刷性能を更に増強することもできる。更に、CMC値、HLB値及び/又は界面活性剤/乳化剤の他の特徴に依存して、種々の濃度を使用して、固有の印刷メカニズムに対応するインク系の最良の性能を得ることができる。
界面活性剤及び乳化剤の例には、アルキルアリールポリエーテルアルコール非イオン性界面活性剤、例えばTriton Xシリーズ(オクチルフェノキシ−ポリエトキシエタノール)、Triton FWシリーズ、Triton CF−10、及びTergitol(Union Carbide Chemicals)等のアルキルアミンエトキシレート非イオン性界面活性剤、Tween(ICI Chemicals and Polymers)等のポリソルベート製品、OSI SpecialitiesからのCoatOsil界面活性剤及びSilwet界面活性剤(ポリジメチルシロキサンコポリマー)等のポリアルキレン及びポリアルキレン変性界面活性剤、Renex,BRIJ及びUkanil等のアルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤、Span及びArlacel等のソルビタンエステル製品、ICI Chemicals and PolymersからのTween、Atlas、Myrj及びCirrasol界面活性剤等のアルコキシル化エステル/PEG製品、Air Products Co.からのsurfynolシリーズ界面活性剤等の不飽和アルコール製品、アミル酸ホスフェート、Chemphos TR−421等のアルキルリン酸エステル界面活性剤製品、Chemron CorporationからのChemoxideシリーズ等のアルキルアミンオキシド、Hampshire Chemical corporationからのHamposylシリーズ等のアニオン性サルコシネート界面活性剤、Calgene ChemicalからのHodagシリーズ、Alphenate(Henkel−Nopco)、Solegal W(Hoechst AG)、Emultex(Auschem SpA)等のグリセロールエステル又はポリグリコールエステル非イオン性界面活性剤、及びTakemoto Oil and Fat.CoからのNewkalgen等のポリエチレングリコールエーテル界面活性剤及び当業者に公知の他の市販界面活性剤がある。
界面活性剤は、安定したエマルジョン又はコロイドインク系を製造する他に、界面エネルギー又は表面張力のコントロールのためにも使用する。水性又は非水性のどちらのケースでも、最終インクの表面張力は、20dyne/cm〜55dyne/cm、好ましくは35dyne/cm〜45dyne/cmの範囲にわたる。
最終転写基材として、プラスチック、金属、木材、ガラス、セラミック、紙、又は織物材料を挙げることができる。木綿、第二酢酸セルロース、レーヨン、ウール、絹及びポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン66又はナイロン12のような材料を含む織物材料が好ましい。基材は、変形、溶融又は分解せずに、熱転写温度に耐えることができないといけない。最終基材は、活性水素含有基を有する化合物を含むか、又はそのような基を含有する表面コーティングを有することができる。化学グラフトは、インク層成分と最終基材材料との間の共重合により得られ、優れた安定性及び耐久性をもたらす。
熱膨張性のインクは、インク及び/又は媒体が膨張剤を含むことで製造することができる。膨張と架橋が同時に起こり、基材に永久に結合する3次元画像が得られる。画像の高さは、膨張剤の濃度、熱転写印刷の間に適用される温度と圧力に依存する。
好ましい膨張剤には、加熱時に分解して、インクを膨張させる原因となる気体生成物を放出するものがある。化学発泡剤として知られている、そのような膨張剤には、有機膨張剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド及びジアゾアミノベンゼンを含むアゾ化合物、ニトロソ化合物、例えばN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラアミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルアジド、ヒドラゾルカルボンアミド、アセトン−p−スルホニルヒドラゾン等のスルホニルヒドラジド及び無機膨張剤、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムがある。そのような膨張剤は、分離インクレゼバー中の着色インク、中間媒体上の被覆又は前記の組み合わせに溶解又は分散させることができる。
熱膨張性インクは、あるいはまた、加熱時に破裂するミクロ球体に封入された揮発性炭化水素を使用することにより製造できる。放出された気体生成物は、インクを膨張させる。これらの熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂の壁内に配置された、低温で揮発する炭化水素から構成される。本発明を実行するのに好適な炭化水素の例は、塩化メチル、臭化メチル、トリクロロエタン、ジクロロエタン、n−ブタン、n−ヘプタン、n−プロパン、n−ヘキサン、n−ペンタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、石油エーテル、及びフッ素含有脂肪族炭化水素、例えばFreon、又はこれらの混合物である。
熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成するのに好適な材料には、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート及び酢酸ビニルのポリマー、これらのモノマーのコポリマー、及びポリマーとコポリマーとの混合物がある。架橋剤は、必要に応じて使用してよい。
マイクロカプセルは、着色インク中または分離インクタンク中、中間媒体上の被覆又は前記の組み合わせに分散又は乳化させることができる。熱膨張マイクロカプセルの直径は、0.01〜20ミクロンの範囲、好ましくは0.1〜5ミクロンの範囲内にあり、更に好ましくは、0.1〜1ミクロンの範囲にある。
架橋反応を触媒し、かつ最終基材に画像を架橋又は結合させる反応の制御に役立つ触媒を含むのが、有利なこともある。触媒例には、第三アミン、例えばトリエチレンアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサヒドロ−N,N’−ジメチルアニリン、トリベンジルアミン、N−メチル−ピペリジン及びN,N’−ジメチルピペラジン;複素環式窒素化合物、例えば1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン及びジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン;アルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物;重金属イオン、例えば鉄(III)、マンガン(III)、バナジウム(V)又は金属塩、例えばオレイン酸鉛、鉛−2−エチルヘキサノレート、オクタノン酸亜鉛(II)、ナフテン酸コバルト及び鉛、ヘキサン酸エチル亜鉛(II)、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート及び同様にビスマス、アンチモン及びヒ素化合物、例えばトリブチルヒ素、トリエチルスチルベンオキシド又はフェニルジクロロスチルベンがある。好ましくは、本発明は、達する所望の条件でのみ化学的架橋反応及び結合反応を触媒できるブロックされた触媒を使用する。そのようなブロックされた触媒例には、Nacure(登録商標)2547、Nacure(登録商標)4575、及びNacure(登録商標)4167(King Industries)があるが、これらに限定はされない。最終活性化条件が過酷であり、最終基材がそのような過酷な条件に対し敏感である場合には、触媒の使用が最も好ましい。架橋又は結合反応が、タンパク質含有材料、例えばウール、絹又は大豆タンパク繊維(SPF)を関与させる場合、生物学的又は酵素的触媒も使用することができる。
印刷中は未反応形のままだが、定着の間又は転写プロセスの間に熱を含むエネルギーで反応成分を活性化させると、架橋して基材に結合するインクを用いて、印刷プロセスにより、天然又は合成の繊維性材料上に永久画像を形成する。1つの実施形態では、インクは、活性水素と反応する官能基を有する化合物、例えばイソシアネート、と、活性水素を含有する官能基又は活性水素含有基に転化し得る官能基を備えた化合物とを含む。
インクは、最終基材との架橋の反応性を促進すると同時に、更に着色剤の相溶性を増加させて、顕著な色強度及び堅牢度を生じる官能基を有する活性ポリマー又は樹脂性物質を含有することができる。インクは、有機又は無機の顔料及び/又は染料、例えば中位から高い昇華エネルギーの、分散染料、染料拡散、感熱染料又は本明細書で着色剤と呼ばれ得る他の染料から構成されていてもよい。本発明により、インク材料を非撮像領域に供給せずに、非撮像領域の「手触り」を残して、画像化手段を繊維性材料上に提供し、そうして、実質的に、基材の本来の特徴を保持し、最終画像品質を改良することができる。
本発明は、市販可能な色鮮明さ及び色堅牢度を備えた基材を画像処理する方法を提供する。印刷画像を被覆するために、無色インクであってもよいインクの1実施形態は、反応成分を含むか、あるいはインクは、分散又は昇華性着色剤と親和性を有する透明又は半透明結合材料少なくとも1つと、分散又は昇華性着色剤少なくとも1つを含むことができる。乾燥又は活性化すると、インクの追加の被覆は、最終基材のフィブリル化を減じ、印刷画像の全視野角からのカラースペクトル反射及び回折を強化し、画像耐久性及び耐変色性を改良する。