JP5084428B2 - アミノ酸分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アミノ酸分析方法関する。
従来、アミノ酸一斉分析において、イオン交換カラムを用いたイオン交換クロマトグラフィーの手法が利用されてきた。イオン交換クロマトグラフィーでは、分析対象成分を光学検出するための反応試薬として、分析対象成分を発色させる反応試薬が用いられることが多い。アミノ酸分析においては、アミノ酸およびアミノ酸類縁物質の構造中の官能基に特異的に反応する、ニンヒドリン、オルトフタルアルデヒド等の呈色試薬が用いられている。これらの反応試薬と分析対象成分の反応生成物を特定波長の光により検出し、定性・定量分析を行う手法が行われている。
この、イオン交換クロマトグラフィーによるアミノ酸分析方法において、アミノ酸成分は緩衝液の流量、カラム温度、緩衝液組成等の分離パラメータを変更することにより、溶出時間が変化する。ここで、図1に示すように、これらの分離パラメータの変更が溶出時間に与える影響は、各アミノ酸成分で異なることが知られている。これまで、この分離パラメータによる溶離時間への影響の大小を利用してアミノ酸成分の分離能の向上および分析の高速化が図られてきた。この例として特許文献1および2がある。
特許文献1には、アスパラギンとグルタミン酸とグルタミンを分離する緩衝液のリチウムイオン濃度を低濃度に設定するとともにカラム線速度を高速度に設定する分析方法が開示されている。
特許文献2には、アスパラギン、グルタミン酸およびグルタミンの3成分が分離カラムから分離溶出するまでは緩衝液の流速を一定とし、前記3成分が分離カラムから分離溶出後は緩衝液の流速を段階的またはリニアグラジエントに上昇させて分析する方法が開示されている。また、特許文献2には、緩衝液の流速の変更以外の手段として、カラム温度、緩衝液のpH、有機溶媒の濃度などを変えることが有効であるということが示唆されている。
特開昭59−10849号公報 特開平4−194750号公報
アミノ酸分析において呈色試薬を用いる場合、アミノ酸以外の化合物であっても官能基など分子構造がアミノ酸に類似するものは、呈色試薬と反応し、夾雑ピークとして検出されてしまう場合がある。特に、食品等に多く含まれるアンモニアはアミノ酸成分ではないが、分子構造中にアミノ酸の分子構造と同じく、呈色試薬と反応するアミノ基を有するため、分析対象ではない場合でも検出されてしまう。クロマトグラフィーでは各成分の溶出時間による定性、ピーク面積値による定量が行われるため、分析対象であるアミノ酸成分および夾雑成分であるアンモニアのピークが重なった場合、アミノ酸成分の溶出時間、ピーク面積値の精度が低下し、それにより定性・定量の精度が低下する。
一般に、クロマトグラフィーにおいて、分析値の精度向上のために分析対象成分と他の夾雑成分との分離能の向上を図る場合、分離パラメータの変更による分析対象成分または夾雑成分の溶出時間の変化を利用する。
しかし、アンモニアは任意のアミノ酸成分に比較し、分離パラメータの変更による溶出時間への影響を受けにくいことが知られている。そのため、アンモニアの溶出時間を変化させて任意のアミノ酸成分との分離能の向上を図ることは困難である。
本発明の目的は、アミノ酸分析において、任意のアミノ酸成分に比較して分離パラメータの変更による溶出時間の調整が困難な成分であるアンモニアの溶出時間を変化させ、任意のアミノ酸成分との分離能を改善して分析精度を向上させるとともに、分析時間を短縮して分析を高速化することである。
本発明は、緩衝液の流量の変更と、アンモニアの溶出時間への影響が小さい、その他の分離パラメータの変更とを組み合わせることにより、アンモニアおよび任意のアミノ酸成分の溶出時間を調節することを特徴とする。ここで、アンモニアの溶出時間への影響が小さい分離パラメータとしてカラム温度、緩衝液のpH等がある。
本発明によれば、アミノ酸分析において、アンモニアおよび任意のアミノ酸成分について分離能を向上させることができ、分析精度を向上させることができる。
また、本発明によれば、アミノ酸分析において、分析時間を短縮して分析を高速化することができる。
以下、図および表を用いて実施例を説明する。
以下の説明において、分析対象となるアミノ酸の名称および略号は表1の表記に従った。
Figure 0005084428
実施例1では、アンモニア(NH)以外のアミノ酸の溶出時間には影響を与えるが、アンモニア(NH)の溶出時間には影響を与えない分離パラメータのうち少なくとも一つの分離パラメータと、アンモニア(NH)の溶出時間に影響を与える緩衝液の流量とを変更することにより、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の分離能を向上することができるアミノ酸分析方法およびアミノ酸分析装置について説明する。
本実施例は、液体クロマトグラフィーにより複数種類の緩衝液を用いて、試料中のアミノ酸を溶出してクロマトグラムを作成し、該クロマトグラムを解析し、該表示装置にヒスチジン(His)、アンモニア(NH)、アルギニン(Arg)およびトリプトファン(Trp)を含むアミノ酸クロマトグラムを表示することを特徴とする。
図2は本実施例のアミノ酸分析装置の流路系統図である。1〜4はそれぞれ第1〜第4緩衝液、5はカラム再生液である。この中から、電磁弁6A、6B、6C、6Dおよび6Eによっていずれかの緩衝液1〜4またはカラム再生液5を選択することができるようになっている。選択された緩衝液は、緩衝液ポンプ7によってアンモニアフィルタカラム8、オートサンプラ9、分離カラム10の順に送られる。分離カラム10で分離されたアミノ酸は、ニンヒドリンポンプ12によって送られてきたニンヒドリン試薬11とミキサ13で混合され、加熱された反応カラム14で反応する。反応によって発色したアミノ酸は光度計15で連続的に検出され、データ処理装置16と図示しないディスプレイ、プリンタ、ストレージ等によってクロマトグラムおよびデータとして出力され、表示、記録、保存される。
なお、図示していないが、流路を制御する制御装置が付設してあり、緩衝液容器の電磁弁6A〜6D、カラム再生液容器の電磁弁6E、ニンヒドリンポンプ12、オートサンプラ9、緩衝液流量、分離カラム温度を制御するようになっている。この制御は、主として制御装置の記憶装置(図示せず)に格納されたプログラムによって実行される。
図3は、本発明による実施例を示すアミノ酸分析装置の概略構成図である。また、図4は、本発明による実施例を示すアミノ酸分析装置の操作および運転の手順を表すフローチャートである。
図3において、アミノ酸分析装置は、タッチパネル内蔵ディスプレイ101、キーボード102、マウス103およびスピーカー104を具備する操作端末118、インターフェースボード110、ポンプ111、112、オートサンプラ113、カラムオーブン114、反応装置115および検出器116を含む構成としてある。操作端末118は、入出力制御部105、ハードディスク106、中央処理部107、RAM108および通信機器109を内蔵し、それらを内部バス117で接続してある。通信機器109は、インターフェースボード110を経由してポンプ111、112、オートサンプラ113、カラムオーブン114、反応装置115および検出器116と接続してあり、入出力制御部105が発する信号に従ってそれぞれのハードウェアを制御している。
図4に従って、アミノ酸分析装置の操作および運転の手順を説明する。
まず、図3のタッチパネル内蔵ディスプレイ101、キーボード102およびマウス103を用いて、操作者が分析工程の条件を設定する(S1)。すると、アミノ酸分析装置は準備運転S2、試料注入S3を行い、試料分析を開始する(S4)。そして、設定流量により、ポンプを運転し(S5)、フィードバック制御によりカラムオーブンの温度を設定カラム温度に調整する(S6)。その後、あらかじめ設定した時点において、ポンプの電磁弁を切り替えて設定流量を変更する(S7)。そして、分析結果を解析し(S8)、アミノ酸の分離が十分な場合は、自動洗浄(S9)を行ってポンプを停止し(S10)、終了(S11)とする。分析結果解析(S8)において、アミノ酸の分離が不十分とされた場合、操作者が条件設定S1をやり直して再度分析を行う。
緩衝液1〜緩衝液4および再生液5としては、表2に示すクエン酸ナトリウム緩衝液を用いた。ニンヒドリン試薬11は市販のニンヒドリン試薬L−8900セット(和光純薬工業(株)製)を用いた。表2に示すクエン酸ナトリウム緩衝液は、一般的なたんぱく質加水分解物であるアミノ酸の分析の緩衝液として使用されるものであり、本実施例に特有のものではない。
Figure 0005084428
本実施例では、分離パラメータである緩衝液流量の変更とカラム温度の変更とを組み合わせることによりアンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の分離能向上を図るものである。まず、各分離パラメータ変更によるアミノ酸溶出時間への影響について示す。カラム温度を60℃で一定とし、緩衝液の流量を0.1mL/min〜0.3mL/minの範囲で変更すると、各成分の溶出時間は、緩衝液の流量の増加に伴って短くなる。ここで、ヒスチジン(His)、アンモニア(NH)、アルギニン(Arg)、トリプトファン(Trp)各成分の溶出時間変化を図5に、その変化率を表3に示す。
表3における溶出時間変化率rは、次の式で示すように、流量0.1mL/minの溶出時間を基準にした変化量を百分率で表した値である。
{100−(溶出時間/流量0.1mL/minの溶出時間}×10
各成分について、この溶出時間変化率rは緩衝液の流量の変更量に依存し、各成分間で溶出時間変化率rに有意差は見られない。つまり、どの成分についても、緩衝液流量の変化による溶出時間への影響はほぼ同様であり、成分による特徴は見出されない。
Figure 0005084428
次に、分離カラムの温度の変化によるアミノ酸溶出時間への影響について示す。緩衝液の流量を0.275mL/minで一定とし、カラム温度を60℃〜80℃に変更すると、各成分の溶出時間はカラム温度の上昇に伴って短くなる。ここで、各成分の溶出時間を図6に、その変化率を表4に示す。
表4における溶出時間変化率rは、次の式で示すように、温度60℃の溶出時間を基準にした変化量を百分率で表した値である。
{100−(溶出時間/温度60℃の溶出時間}×10
表3に示すように、カラム温度一定で緩衝液の流量を変更した場合においては、各成分の溶出時間変化率に差は見られなかったが、表4のようにカラム温度を変更した場合、アンモニア(NH)および隣接する任意のアミノ酸成分の溶出時間変化率に差が見られた。特に、アンモニア(NH)は任意のアミノ酸と比較して溶出時間変化率が小さい。つまり、カラム温度を変更してもアンモニア(NH)の溶出時間は変化しにくく、アンモニア(NH)の溶出時間はカラム温度の変更の影響を受けにくいことがわかる。
Figure 0005084428
以上の結果から、緩衝液の流量の変更によるアンモニア(NH)の溶出時間への影響は任意のアミノ酸と同等であるのに対し、カラム温度の変更によるアンモニア(NH)の溶出時間への影響は、隣接する任意のアミノ酸成分と比較して少ないという特徴があることがわかる。
ここで、緩衝液組成一定の条件下で、緩衝液の流量とカラム温度の二つの分離パラメータをどちらも変更すると、図7に示すクロマトグラムが得られる。本図において、中段はカラム温度および緩衝液の流量を一定とした場合であり、上段および下段はそれぞれ、オルニチン(Orn)が溶出する直前にカラム温度を変更し、かつ、緩衝液の流量を増加および減少させた場合である。
緩衝液の流量を減少させた場合、表3で示したとおりアンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間が一定の割合で長くなるが、この変化にカラム温度の上昇による溶出時間の短縮が加わると、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間変化率に差が生じる。つまり、アンモニア(NH)以外の成分の溶出時間は、緩衝液の流量の減少に伴って長くなるが、カラム温度上昇の影響で短くなり、緩衝液の流量だけを減少させた場合よりも短くなる。
これに対して、アンモニア(NH)の溶出時間は、他の成分と同様に、緩衝液の流量の減少に伴って長くなるが、表4で示したとおりカラム温度の影響を受けにくいため、本来、緩衝液の流量だけを減少させた場合とほぼ同じ溶出時間となる。このように、カラム温度の変更による溶出時間への影響度の違いにより、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間変化率に差が生じ、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の分離能が向上する。
また、緩衝液の流量を増加させた場合、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間が一定の割合で短くなるが、この変化にカラム温度の上昇による溶出時間の短縮が加わると、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間変化率に差が生じる。本実施例においては、図7上段に示すとおり、アンモニア(NH)とヒスチジン(His)との分離を損なうことなく分析の高速化が図れる。
以上の結果から、緩衝液の流量を一定にした場合と流量を変更した場合を比較するとオルニチン(Orn)、リジン(Lys)およびヒスチジン(His)の溶出時間の変化量よりもアンモニア(NH)の溶出時間の変化量が大きいことがわかる。すなわち、緩衝液の流量を増加させても減少させても、アンモニア(NH)の溶出時間の変化量の方が大きくなる。
ここで、任意のアミノ酸またはアンモニアの溶出時間変化率を下記の数1でRと定義する。すなわち、任意のアミノ酸またはアンモニアの溶出時間変化率は、緩衝液の流量を変更した場合の任意のアミノ酸またはアンモニアの溶出時間と、緩衝液の流量を一定とした場合の任意のアミノ酸またはアンモニアの溶出時間との差の絶対値を、緩衝液の流量を変更した場合の任意のアミノ酸またはアンモニアの溶出時間で割って100を掛けた値である。
Figure 0005084428
ここで、iは任意のアミノ酸またはアンモニアを表し、t(i)はグリシンまたはアラニンが溶出した後で、かつ、アンモニアが溶出する前の任意の時点に緩衝液の流量を変更しなかった場合における成分iの溶出時間であり、t(i)は上記任意の時点に緩衝液の流量を変更した場合における成分iの溶出時間である。ただし、緩衝液の流量を変更する時点はt(i)に達する以前とする。
表5に本実施例におけるアンモニア(NH)およびヒスチジン(His)の緩衝液の流量の変更に伴う溶出時間変化率Rの例を示す。
Figure 0005084428
この表において、緩衝液の流量を増加させた場合とは、流量を0.3mL/minから0.325mL/minに増加させた場合であり、緩衝液の流量を減少させた場合とは、流量を0.3mL/minから0.275mL/minに減少させた場合である。
緩衝液の流量を増加させた場合、ヒスチジン(His)およびアンモニア(NH)の溶出時間変化率Rはそれぞれ、0.735および1.212であり、緩衝液の流量を減少させた場合、それぞれ0.691および0.921である。
したがって、緩衝液の流量を増加させた場合でも、減少させた場合でも、アンモニア(NH)の緩衝液の流量の変更に伴う溶出時間変化率Rの方が、ヒスチジン(His)のRよりも大きくなり、この2成分の分離能が向上することがわかる。
緩衝液の流量を変更する時点は、グリシン(Gly)またはアラニン(Ala)が溶出した後で、かつ、アンモニア(NH)が溶出する前の任意の時点とすることが適切である。緩衝液の流量を減少させる場合は、緩衝液の流量を減少させる時点をできるだけアンモニア(NH)の溶出時点に近づけることが望ましい。これは全体の分析時間を短縮するために有効である。また、アンモニア(NH)が分離カラムから分離溶出した後は、カラム温度を更に上昇させるとともに、緩衝液の流量を増加させることにより、分析時間を短縮することもできる。
数1で対象とする任意のアミノ酸は、ヒスチジン(His)、フェニルアラニン(Phe)、リジン(Lys)、オルニチン(Orn)、トリプトファン(Trp)またはアルギニン(Arg)のいずれかであることが望ましい。
実施例2では、実施例1の変形例として、緩衝液の流量およびpHの変更を組み合わせる分析方法について説明する。
実施例1において図5および表3で示した通り、緩衝液の流量を変更するとアンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間は同様の割合で変化し、アンモニア(NH)と他の成分に違いが見られない。これに対して、緩衝液のpHを変更した場合、アンモニア(NH)は任意のアミノ酸に比べて影響を受けにくい。本実施例では、実施例1におけるカラム温度のかわりに緩衝液のpHを変更する。緩衝液の流量およびカラム温度を一定として緩衝液のpHのみを変更する場合、緩衝液のpHを上げる、すなわち、アルカリ性に傾けると、各成分とも溶出時間が短くなる。また、これらの成分の溶出時間変化率を比較すると、アンモニア(NH)は緩衝液のpHの変更による溶出時間の変化が小さい。すなわち、実施例1におけるカラム温度を変化と同様に、アンモニア(NH)溶出時間は緩衝液のpH変化の影響を受けにくいという特徴を有する。ここで、pHとは、溶液中の水素イオン濃度のことである。
図8は本実施例で得られるクロマトグラムである。カラム温度一定の条件下で、緩衝液の流量およびpHの二つの分離パラメータをどちらも変更すると、図8に示すとおり緩衝液のpHの各成分溶出時間への影響力の違いにより、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間変化率に差が生じ、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の分離能が向上する。本実施例では、ヒスチジン(His)とアンモニア(NH)の溶離時間変化率の差により、この2成分の分離能が改善する。
実施例3では、実施例2の変形例として、緩衝液の流量および有機溶媒濃度の変更を組み合わせる分析方法について説明する。
本実施例では、緩衝液組成のうち有機溶媒濃度を変更する。緩衝液の流量、カラム温度一定で緩衝液の有機溶媒濃度のみを変更した場合、緩衝液の有機溶媒濃度を上げると、各成分の溶出時間が短くなる。ここでも、実施例2で緩衝液のpHのみ変更した場合と同様に、アンモニア(NH)の溶出時間は緩衝液の有機溶媒濃度の影響を受けにくいという特徴を有する。このことから、温度一定の条件下で、緩衝液の流量および有機溶媒濃度の、二つの分離パラメータをどちらも変更すると、実施例1で図7に示したと同様に、緩衝液ナトリウムイオン濃度の各成分溶出時間への影響力の違いにより、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間変化率に差が生じ、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の分離能が向上する。すなわち、本実施例においても、リジン(Lys)またはヒスチジン(His)とアンモニア(NH)との溶離時間変化率の差により、2成分の分離能が改善する。
実施例4では、実施例1、実施例2の複合例として、カラム温度、緩衝液のpHおよび緩衝液の流量を変更する分析方法について説明する。
図9は、本実施例を示すアミノ酸分析の分析プログラムにおける各パラメータの設定条件を出力したものである。図中左から、時間221、緩衝液の切り替え設定222、緩衝液の流量223、カラム温度224、反応液の流量比率225、希釈液の流量比率226、洗浄液の流量比率227および反応液の流量228である。B1〜B4には表2に示す緩衝液を、B5にはpH6.2のクエン酸ナトリウム緩衝液を設置した。
緩衝液の流量223を、時点0分から34.6分まで0.300mL/minとし、アンモニア(NH)の溶出時間に対応する35.6分から42.2分までの間、0.275mL/minに減少させ、45.2分以降は0.300mL/minに増加させている。ここで、緩衝液の流量変更に加え、アンモニア(NH)溶出前にカラム温度を33分から80℃に上昇させるとともに緩衝液をB4(pH4.9)からB5(pH6.2)に切り替え、緩衝液のpHを上昇させる。
図10は、本実施例で得られたクロマトグラムの全体を示したものである。緩衝液流量、カラム温度、緩衝液pHの3つの分離パラメータ変更を組み合わせることにより、アンモニア(NH)と任意のアミノ酸成分の分離が良好となる。
実施例5では、実施例1、実施例2および実施例3の複合例として、カラム温度、緩衝液のpHおよび有機溶媒濃度のうちの少なくとも二つおよび緩衝液の流量を変更する分析方法について説明する。このほか、変更可能な分離パラメータとしては、緩衝液のナトリウムイオン濃度などがある。
本実施例では、緩衝液の流量以外の二つ以上の分離パラメータおよび緩衝液の流量を変更することにより、各分離パラメータに関するアンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間への影響力の違いが相乗され、実施例1、実施例2および実施例3で示した分離パラメータの一つを変更した場合と比較してアンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間変化率の差が大きくなる。このことから、本実施例では実施例1、実施例2および実施例3よりもアンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の分離能が改善する。
実施例6では、実施例1の変形例として、表2に示したクエン酸ナトリウム緩衝液に代えて表6に示すクエン酸リチウム緩衝液を緩衝液に用いた分析方法について説明する。表6に示すクエン酸リチウム緩衝液は、一般的な生体液に含まれるアミノ酸の分析の緩衝液として使用されるものであり、本実施例に特有のものではない。本実施例は実施例1と同様に、緩衝液の流量およびカラム温度の二つの分離パラメータをどちらも変更する場合である。
本実施例においても実施例1で示したように、緩衝液の流量の変更によるアンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間への影響はほぼ同等であり、カラム温度の変更による溶出時間への影響は、アンモニア(NH)の方が任意のアミノ酸より少ない。このことから、本実施例においても実施例1と同様、カラム温度が各成分の溶出時間に及ぼす影響力の違いにより、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間変化率に差が生じ、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の分離能が向上する。
Figure 0005084428
実施例6では表に示すクエン酸リチウム緩衝液を緩衝液に用い、カラム温度、緩衝液のpHおよび有機溶媒濃度のうちの少なくとも一つおよび緩衝液の流量を変更する分析方法について説明する。このほか、変更可能な分離パラメータとしては、緩衝液のリチウムイオン濃度などがある
本実施例でも、実施例2および実施例3と同様に、緩衝液の流量およびその他の分離パラメータの変更を組み合わせることによって、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸の溶出時間変化率に差が生じ、分離能が向上する。また、本実施例において、緩衝液の流量およびその他の分離パラメータのうち二つ以上を変更した場合、アンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間に及ぼす各分離パラメータの影響力の違いが相乗され、分離パラメータの一つを変更した場合と比較してアンモニア(NH)および任意のアミノ酸成分の溶出時間変化率が大きく異なる。このことから、本実施例においてもアンモニア(NH)および任意のアミノ酸の分離能が向上する。
一般的な分離パラメータの変更によるアミノ酸成分の溶出時間の変化を示すグラフである。 本発明による実施例を示すアミノ酸分析装置の流路系統図である。 本発明による実施例を示すアミノ酸分析装置の概略構成図である。 本発明による実施例を示すアミノ酸分析装置の操作および運転の手順を表すフローチャートである。 実施例1における緩衝液の流量の変更によるアミノ酸成分の溶出時間の変化を示すグラフである。 実施例1におけるカラム温度の変更によるアミノ酸成分の溶出時間の変化を示すグラフである。 実施例1における緩衝液の流量およびカラム温度を変更した場合におけるアミノ酸成分の溶出時間の変化を示すクロマトグラムである。 実施例2における緩衝液の流量および緩衝液pHを変更した場合におけるアミノ酸成分の溶出時間の変化を示すクロマトグラムである。 実施例4における緩衝液の流量、カラム温度および緩衝液pHを変更した場合の分析プログラムである。 実施例4において得られるクロマトグラムである。
符号の説明
1〜4…緩衝液、5…カラム再生液、6…電磁弁シリーズ、7…緩衝液ポンプ、8…アンモニアフィルタカラム、9…オートサンプラ、10…分離カラム、11…ニンヒドリン試薬、12…ニンヒドリンポンプ、13…ミキサ、14…反応カラム、15…光度計、16…データ処理装置。

Claims (7)

  1. アンモニアを含むアミノ酸溶液を緩衝液とともに分離カラムに送液してアンモニアおよび各種アミノ酸を分離し、該アミノ酸溶液を反応装置内で反応した後、検出器によって前記アンモニアおよび前記各種アミノ酸を検出するアミノ酸分析方法であって、
    前記緩衝液の流量、及び分離カラム温度と、緩衝液のpH値と、緩衝液の有機溶媒濃度と、緩衝液のナトリウムイオン濃度と、緩衝液のリチウムイオン濃度とからなる群から選ばれた少なくとも1つのパラメータを、グリシンまたはアラニンが溶出した後で、かつ、アンモニアが溶出する前の任意の時点で変更し、緩衝液の流量及び前記パラメータの変更前の前記アミノ酸溶液中のグリシンまたはアラニンが溶出した後で溶出するアミノ酸成分またはアンモニアの溶出時間t(i)を、緩衝液の流量及び前記パラメータの値の変更後の前記アミノ酸溶液中のグリシンまたはアラニンが溶出した後で溶出するアミノ酸成分またはアンモニアの溶出時間t(i)に変更させ、グリシンまたはアラニンが溶出した後で溶出するアミノ酸成分の前記緩衝液の流量及び前記パラメータの値の変更による溶出時間変化率R(j)よりも前記緩衝液の流量及び前記パラメータの値の変更によるアンモニアの溶出時間変化率R(NH)を大きくし、アンモニアとグリシンまたはアラニンが溶出した後で溶出するアミノ酸成分が分離されたクロマトグラムを形成することを特徴とするアミノ酸分析方法。
  2. 前記パラメータは、分離カラム温度であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析方法。
  3. 前記パラメータは、緩衝液のpH値であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析方法。
  4. 前記パラメータは、緩衝液の有機溶媒濃度であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析方法。
  5. 前記パラメータは、分離カラム温度及び緩衝液のpH値であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析方法。
  6. 前記パラメータは、分離カラム温度、緩衝液のpH値及び緩衝液の有機溶媒濃度であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析方法。
  7. グリシンまたはアラニンが溶出した後、アンモニアが溶出する前に前記緩衝液の流量を増加させ、その後アンモニアの溶出時間に近い時点で前記緩衝液の流量を低下させることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析方法。
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