以下に、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施をすることができる。
なお、本明細書においては、硫酸エステル化を単に「硫酸化」と、水酸基が部分的に硫酸エステル化された環状四糖およびその塩を、それぞれ「硫酸化環状四糖およびその塩」と称することがある。
本発明の一態様は、環状四糖の水酸基が硫酸エステル化された上記一般式1で表されることを特徴とする硫酸化環状四糖またはその塩である。
式中、R1〜R12は、それぞれ独立に、硫酸エステルまたは水酸基を表し、R1〜R12の硫酸エステル化率は、20〜80%である。
反応条件を変えることにより、任意の硫酸エステル化率を有する硫酸化環状四糖またはその塩を得ることができる。本発明における硫酸化環状四糖またはその塩の硫酸エステル化率は、20〜80%であるが、30〜70%がより好ましく、40〜70%が特に好ましい。硫酸エステル化率が20%未満であると、例えば細胞障害抑制効果が弱くなる。
本明細書において、硫酸エステル化率とは、硫酸化環状四糖またはその塩が有する水酸基のうち硫酸エステル化された割合を百分率で表示したものを言う。例えば、合成した硫酸化環状四糖のナトリウム塩の全S量をICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析による元素分析により測定し、イオンクロマトグラフィーにより硫酸化環状四糖本体から遊離した遊離S量を測定し、全S量から遊離S量を差し引いた結合S量から水酸基の硫酸エステル化率を算出することができる。
前記一般式1において、R2およびR8は、それぞれ独立に、OSO3HまたはOSO3 -にカチオン性物質が結合した置換基であることが好ましい。R2およびR8の位置に、OSO3HまたはOSO3 -にカチオン性物質が結合した置換基が結合するのは、原料となる環状四糖のR2およびR8が一級水酸基であるため硫酸化されやすく、さらに立体構造上分子の外側に出ており各種生理機能を発揮する場合、その相手分子と接触しやすいためと考えられる。
硫酸化環状四糖と結合して塩を形成するカチオン性物質としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉛および鉄からなる群より選択される1つ以上であることが好ましい。特に、ナトリウム、カリウムが好ましく用いられる。
また、前記カチオン性物質が、4級アンモニウムまたはピリジニウムであることが好ましい。4級アンモニウムとしては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリドデシルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイドなどを好ましく使用できるが、これらに限定されるものではない。また、ピリジニウムとしては、セチルピリジニウムクロライドなどを好ましく使用できるが、これらに限定されるものではない。
また、前記カチオン性物質が、アミノ基を有する糖質またはポリアミノ酸であることが好ましい。アミノ基を有する糖質としては、キトサンを好ましく使用できるが、これに限定されるものではない。ポリアミノ酸としては、ポリリジンを好ましく使用できるが、これに限定されるものではない。さらにアミノ基を導入した多糖類の具体例としてアミノ化セルロースが挙げられる。
本発明の製造方法
以下に、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩の製造方法について説明する。
本発明の原料となる環状四糖またはその塩は国際公開WO 02/10361号公報(特許文献1)に記載されているように酵素合成されたものは勿論のこと、化学合成されたものであっても、さらには天然由来の微生物の発酵産物や海藻抽出物などであってもよく、特に起源は限定されるものではない。
本発明で用いられる環状四糖またはその塩としては、本発明の目的を損なわない限り、その由来、製法を問わず、従来知られているアルテルナンにアルテルナーゼを作用させて得られる環状四糖であっても、本出願人が先に国際公開WO 02/10361号公報に記載した方法、すなわち、澱粉原料にα−イソマルトシル転移酵素及びα−イソマルトシルグルコ糖質生成酵素を作用させる酵素的な製造方法であってもよい。工業レベルでの硫酸化環状四糖またはその塩の製造を目的とする場合には、コスト面に優れる後者の方法が有利に用いられる。
澱粉から環状四糖を工業的に調製する際に用いる酵素としては、例えば、国際公開WO 01/90338号公報に記載のα−イソマルトシル転移酵素及び国際公開WO 02/10361号公報に記載のα−イソマルトシルグルコ糖質生成酵素を例示できる。上記両酵素は、バチルス グロビスポルスC9(FERM BP−7143)、バチルス グロビスポルスC11(FERM BP−7144)、バチルス グロビスポルスN75(FERM BP−7591)、アルスロバクター グロビホルミスA19(FERM BP−7590)又はアルスロバクター ラモサスS1(FERM BP−7592)を上記明細書に記載の方法により培養することによって調製できる。上記菌株から調製された上記両酵素は、これらを組み合わせて用いることにより、澱粉原料から環状四糖を好収率で生成することができる。上記明細書に記載の方法によって得られた環状四糖の純度は、通常、約60%(w/w)以上であり、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩の製造に用いることができる。さらにより高純度の環状四糖が必要な場合には、塩型強酸性カチオン交換樹脂を固定床方式、移動床方式又は擬似移動床方式よるカラムクロマトグラフィーを適用して環状四糖高含有画分を採取すればよい。斯くして得られる環状四糖高含有画分は固形分当たり環状四糖を約98%(w/w)含んでおり、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩の製造原料として用いることができる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩の製造方法として水分を嫌う反応系を採用した場合、本発明で用いられる環状四糖は極力水分を含有しないほうが反応収率を向上させるうえで好ましい。したがって、適宜の濃縮、乾燥工程が施された固体状、粉末状の低水分の環状四糖が用いられる。さらに、固体状、粉末状であっても、結晶性環状四糖は、1分子当たり5乃至6個の結晶水を有する場合があるので、国際公開WO 01/90338号公報、国際公開WO 02/10361号公報、国際公開WO 02/057011号公報などに記載された結晶性若しくは非晶質無水環状四糖を本発明の硫酸化環状四糖またはその塩の製造方法に供するのが望ましい。環状四糖の水分含量は、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
環状四糖またはその塩を硫酸化する方法は通常知られている方法が利用できる。例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)中でクロロスルホン酸を作用させる方法(インターナショナル ジャーナル オブ バイオロジカル マクロモレキュルズ(International Journal of Biological Macromolecules)28巻,381頁(2001年))や、DMF中でDMF/SO3複合体を作用させる方法(人工臓器 26巻,1頁(1997年))や、脱水ピリジン中で三酸化硫黄錯体を作用させる方法(ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイアティー(Journal of the Chemical Society)81頁(1959年))などが挙げられる。また他にジオキサン−SO3複合体、トリメチルアミン−SO3複合体、ピリジン−SO3複合体などの無水硫酸複合体を作用させる方法を使用することができる。
また、環状四糖を後述する溶媒に溶解、懸濁又は浸漬し、必要ならば触媒とともに置換基の供与体となる反応性試薬を添加して、適宜の方法で混合、撹拌を行いつつ、適宜の反応条件(温度、時間、pH、圧力など)で反応を行うこともできる。さらに、生成した硫酸化環状四糖またはその塩は、適宜の分離精製方法によって、未反応の反応性試薬、溶媒及び/又は触媒を除去し、精製することができる。
用いられる溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、イソオクタン、ベンジン、ゴム揮発油、大豆揮発油、ミネラルスピリット、クリーニングソルベント、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、灯油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、ベンゾール、トルエン、トルオール、キシレン、キシロール、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、軽ソルベントナフサ、重ソルベントナフサ、テトラリン、デカリン、クレオソート油、テレビン油などの炭化水素系溶媒、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロジフルオロメタン、塩化エチル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、ジクロロペンタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール、合成アミルアルコール、フーゼル油、メチルイソブチルカルビノール、n−ヘキシアルコール、2−エチルブタノール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾールなどのアルコール若しくはフェノール系溶媒、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ベンジルエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ギ酸、酢酸、無水酢酸、酪酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸s−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、リン酸トリエチル、γ−ブチロラクトン、トリフルオロ酪酸などの酸又はそれらのエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール又はそれらのエーテル若しくはエステル系溶媒、フルフラール、メチラール、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メシチルオキシド、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロンなどのアルデヒド、アセタール又はケトン系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、キノリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物系溶媒、無水亜硫酸、二硫化炭素、チオフェン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの硫黄化合物系溶媒などが挙げられる。これらのうち、環状四糖またはその塩あるいは本発明の硫酸化環状四糖またはその塩の少なくとも何れか一方を溶解可能な溶媒を用いるのが合成効率を高めるので好ましい。また、無水条件下での反応が好ましい場合は、必要に応じて適宜の脱水剤を用いて、溶媒から水分を除去するのがよい。反応系に水が含まれていてもよい場合には、溶媒として水を用いることができる。これらの溶媒は単独若しくは2種以上混合して用いることができる。
目的とする硫酸化環状四糖またはその塩の種類及び反応系にもよるが、溶媒に対する環状四糖の濃度は、通常0.1乃至80%(w/v)、好ましくは、0.1乃至20%(w/v)の範囲から選ばれる。
また、上記溶媒として環状四糖に対して難溶解性若しくは非溶解性の溶媒を用いる故に、原料の環状四糖を十分に溶解できない場合、粉末状の環状四糖を用いることが、効率を高めるうえで望ましい。環状四糖粉末の粒径は懸濁する溶媒、反応条件に適した大きさとすればよく、通常、粒径は小さければ小さいほど反応速度を高めるので、適宜の粒径を選択することによって反応速度を調節することができる。本発明で用いられる環状四糖粉末の粒径は、目的とする硫酸化環状四糖またはその塩あるいは反応系に応じて適宜決定すればよく、通常、500μm以下、好ましくは0.1μm乃至250μm、より好ましくは、1μm乃至100μmである。
本発明で用いられる触媒としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化アンチモン、フッ化ホウ素、塩化銅、塩化スズ、塩化リンなどのルイス酸、フッ化水素、リン酸などのブレンステッド酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物、アミン類などの塩基性有機化合物などの塩基、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、銅、クロム、モリブデン、銀、亜鉛などの重金属、又はそれらの酸化物、硫化物、ラネー触媒などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら触媒は、目的とする硫酸化環状四糖またはその塩あるいは反応系によって適宜選択すればよく、通常、環状四糖に対して、その重量は、0.0001%(w/w)以上、好ましくは、0.001乃至10,000%(w/w)、より好ましくは、0.01乃至1,000%(w/w)である。
本発明で用いられる反応性試薬とは、硫酸エステルを環状四糖に付与する物質の一種若しくは二種以上を意味する。環状四糖に対する反応性試薬のモル比は、目的とする硫酸化環状四糖またはその塩及び反応系に応じて適宜決定すればよく、通常、0.01乃至10,000モル%、好ましくは0.1乃至1,000モル%の範囲から選ばれる。
本発明の反応条件としては、反応温度、反応時間、反応圧力などが挙げられ、これらは目的とする硫酸化環状四糖またはその塩及び反応系に応じて適宜選択すればよい。一般的に、反応温度は、反応系が吸熱反応ならば高めに、発熱反応ならば低めに設定するのがよく、通常、実質的に反応が進行する温度、好ましくは、−50℃乃至200℃の範囲内から選ばれる。また、反応時間は、通常、実質上反応が終了するまでの時間、好ましくは、1分乃至100時間の範囲内から選ばれる。また、反応圧力は、通常、常圧、必要に応じて加圧若しくは減圧すればよい。また、場合によっては、紫外線、可視光線、赤外線などの光、エックス線、γ線などの放射線、電磁波などを照射して、反応を促進させることができる。
斯くして得られる本発明の硫酸化環状四糖またはその塩を含む反応物は、通常、例えば、濾過、抽出、分液、分別沈澱、透析、蒸留などにより未反応の反応性試薬及び/又は溶媒などを除去した後、そのまま使用される。さらに高純度の硫酸化環状四糖またはその塩が必要な場合には、例えば、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、蒸留、結晶化などの糖又は糖誘導体を精製するための斯界における慣用の方法を適用すればよく、これらの精製方法は、必要に応じて適宜組合わせて適用される。
本発明における硫酸化環状四糖またはその塩は、食品工業、化粧品工業、医薬品工業などの分野だけでなく、触媒、繊維、包装、建築、塗料、分析、電気、通信などの諸分野に広範な用途を有する。特に、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩は、食品、化粧料、医療用治療剤、抗血栓剤、あるいは抗ウイルス剤として好ましく用いられる。
(1)本発明の製剤
本発明における硫酸化環状四糖またはその塩を医療用治療剤、抗血栓剤、あるいは抗ウイルス剤として使用する場合には、公知の方法によって実施することができる。具体的には、例えば、以下に記載するとおりに実施することができる。
本発明の製剤は、必要に応じて糖衣やコーティングを施した錠剤、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ剤、液剤(シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)などとして経口的に使用するのが好ましい。
本発明の製剤には、本発明の効果を阻害しない限り、生理学的に許容される担体などを配合することができる。生理学的に許容される担体などとしては、製剤材料として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、増粘剤、乳化剤などがあげられる。また、必要に応じて、着色剤、甘味剤、抗酸化剤などの製剤添加剤も用いることができる。さらに本発明の製剤をコーティングしてもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース(例えば、微結晶セルロースなど)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどがあげられる。結合剤としては、例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、マクロゴール、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などがあげられる。崩壊剤としては、例えば、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋ポリビニルピロリドン、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、陽イオン交換樹脂、部分α化デンプン、トウモロコシデンプンなどがあげられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ワックス類、コロイドシリカ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、エアロジルなどがあげられる。
溶剤としては、例えば、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、植物油(例えば、サフラワー油、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、大豆レシチンなど)などがあげられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどがあげられる。懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などがあげられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などがあげられる。増粘剤としては、例えば、天然ガム類、セルロース誘導体などがあげられる。乳化剤としては、例えば、脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなど)、ワックス(例えば、ミツロウ、菜種水素添加油、サフラワー水素添加油、パーム水素添加油、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、カカオ脂粉末、カルナウバロウ、ライスワックス、モクロウ、パラフィンなど)、レシチン(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチンなど)などがあげられる。
着色剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラなど)などがあげられる。甘味剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどがあげられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などがあげられる。
錠剤、顆粒剤、細粒剤などに関しては、味のマスキング、光安定性の向上、外観の向上あるいは腸溶性などの目的のため、コーティング基材を用いて通常の方法でコーティングしてもよい。このコーティング基剤としては、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基材、腸溶性フィルムコーティング基材などがあげられる。
糖衣基剤としては、例えば、白糖があげられ、さらにタルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(オイドラギットE(商品名)、ロームファルマ社)ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などがあげられる。腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL(オイドラギットL(商品名)ロームファルマ社)、メタアクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL−30D55(商品名)ロームファルマ社)メタアクリル酸コポリマーS(オイドラギットS(商品名)ロームファルマ社)などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などがあげられる。これらのコーティング基剤は、単独で、または2種以上を適宜の割合で混合して本発明の製剤をコーティングしてもよく、また2種以上を順次コーティングしてもよい。
本発明の製剤中における硫酸化環状四糖またはその塩の含有量は、製剤全体に対して通常約0.001〜99質量%、好ましくは、約0.01〜80質量%、より好ましくは、約0.1〜50質量%の任意の範囲である。
本発明の製剤で用いられる硫酸化環状四糖またはその塩の投与量は、抗血栓剤あるいは抗ウイルス剤として作用する有効量の範囲内であればよい。投与対象、投与形態、摂食量などによっても異なるが、硫酸化環状四糖またはその塩のヒトへの投与量として、一般的にヒト成人一日につき、体重1kgあたり、0.1〜800mg、好ましくは0.1〜400mg、より好ましくは0.1〜15mg、特に好ましくは0.5〜10mg、最も好ましくは0.5〜5mgである。硫酸化環状四糖またはその塩の投与量が少なすぎても効果が発現しない。ヒト以外の動物の場合も、同様の量を投与することができる。
(2)本発明の食品、化粧品、医薬品に含有可能なその他の成分
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩は、通常、環状四糖が有する特性、機能を部分的に保持しており、したがって、低甘味もしくは無甘味で上品な味質を示す非還元性の安定な糖質となる場合が多く、他の素材、特にアミノ酸、オリゴペプチド、タンパク質などのアミノ酸を有する物質と混合、加工しても、褐変することも、異臭を発生することもなく、混合した他の素材を損なうことも実質的にない。したがって、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩は、飲食物、化粧品、医薬品をはじめとする諸種の分野で、素材、基材などとして利用することができる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩は、その基本骨格が環状四糖であることから、アミラーゼやα−グルコシダーゼによって実質的に分解されにくく、経口摂取しても消化吸収されず、また、腸内細菌によって醗酵されにくいことから、極めて低カロリーの水溶性食物繊維として利用することができる。また、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩は、虫歯誘発菌などによっても、醗酵されにくく、虫歯を起こしにくい甘味料としても利用でき、さらに、口腔内での固形物の付着、固結を防止する機能をも併せもっている。また、本発明の硫酸化環状四糖またはその塩は、浸透圧調節性、賦形性、照り付与性、保湿性、粘性、他の糖の結晶防止性、難醗酵性などの性質を具備している。本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはこれを含む組成物は、その安全性を確認できれば、調味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、変色防止剤、賦形剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、化粧品、医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはこれを含む組成物は、一般に食品、化粧品、医薬品などに用いられる他の成分とともに、食品、化粧品、医薬品に配合させることができる。他の成分を以下より具体的に述べると、油脂類としては、例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油などの植物油、カカオ脂、ヤシ脂、パーム油、モクロウなどの植物脂、ミンク油、卵黄油、タートル油などの動物油が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能なロウ類としては、例えば、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどの植物性ロウ、マッコウ鯨油、槌鯨油、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリンなどの動物性ロウ、モンタンロウなどの鉱物性ロウが挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な炭化水素類としては、例えば、パラフィン(別名「固形パラフィン」)、流動パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどの鉱物性炭化水素、スクワラン、スクワレンなどの動物起源の炭化水素が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な脂肪酸類としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸ならびにこれらの化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能なアルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ポリエチレングリコールなどの高級アルコール(多価アルコールを含む)、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの低級アルコール(多価アルコールを含む)ならびにこれらの化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能なエステル類としては、例えば、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸コレステリル、酢酸コレステリル、n−酪酸コレステリル、カプロン酸コレステリル、ラウリン酸コレステリル、ミリスチン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、トリミリスチン酸グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシルならびにこれらの化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、大豆リン脂質などの陰イオン性界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、ドデシルジメチル2−フェノキシエチルアンモニウムブロマイドなどの陽イオン性界面活性剤、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどの両イオン性界面活性剤、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、ヤシ油ジエタノールアミド、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤や、以上の化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な色素としては、例えば、アマランス、エリスロシン、ローズベンガル、アシッドレッド、レーキレッドC、リソールレッド、ローダミン、ブリリアントレーキレッド、エオシンYS、ビオラミンR、ブリリアントファストスカーレット、ボンソーRなどの赤色タール系色素、ジブロモフルオレセイン、パーマネントオレンジ、エリスロシン黄NA、オレンジIなどの橙色タール系色素、タートラジン、サンセットエロー、ウラニン、ベンチジンエローG、ナフトールエローS、エローABなどの黄色タール系色素、ファストグリーンFCF、アリザニンシアニングリーンF、ライトグリーンSF黄、ナフトールグリーンBなどの緑色タール系色素、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン、インジゴ、パテントブルーNA、カルバンスレンブルー、スダンブルーなどの青色タール系色素、レゾルシンブラウンなどの褐色タール系色素、アリズリンパープル、アリズロールパープルなどの紫色タール系色素、ナフトールブルーブラックなどの黒色タール系色素、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化コバルト、水酸化アルミニウム、タルク、カオリン、雲母、ベントナイト、マンガンバイオレット、雲母チタンなどの無機顔料、β−カロチン、リコピン、クロシンなどのカロチノイド系色素、シソニン、サフロールイエロー、ルチン、ケルセチン、ヘスペリジンなどのフラボノイド系色素、リボフラビンなどおフラビン系色素、コチニール、アリザニン、シコニンなどのキノン系色素や、以上の化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な香料としては、例えば、じゃ香、霊猫香、海猫香、龍涎香などの動物性香料、例えば、アニスの実、バジルの葉、キャラウェイの果実、シナモンの樹皮、コリアンダーの種子、ラベンダーの花、ナツメグの種子、ペパーミントの葉、バラの花、ローズマリーの花種又は葉、タイムの葉などから水蒸気蒸留などによって得られる留出物(精油類)、ヒアシンスの花、ジャスミンの花、ミモザの花、バラの花、バニラの種子などから得られる抽出物(一般に、性状、製法によってアブソリュート類、レジノイド類、オレオレジン類、チンキ類に分類される)などの植物性香料、例えば、アセトフェノン、アネソール、ベンジルアルコール、酢酸ブチル、カンフル、シトラール、シトロネロール、クミンアルデヒド、エストラゴール、エチルバニリン、酢酸ゲラニル、リナロール、メントール、メチルp−クレゾール、サリチル酸メチル、フェニル酢酸、バニリンならびにこれらの化合物の誘導体などの合成香料が挙げられる。また、本発明においては、以上のような香料を適宜配合した調合香料を利用することもできる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能なホルモン類としては、例えば、エストロン、エストラジオールなどの卵胞ホルモン類、プロゲストロン、プレグノロンなどの黄体ホルモン類、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン類が挙げられ、ビタミン類としては、例えば、レチノール、レチノイン酸、α−、β−、及びγ−カロテン、これらの誘導体などのビタミンAに属する化合物、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(以上ビタミンB6)、これらの誘導体などのビタミンBに属する化合物、L−アスコルビン酸や、2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸をはじめとするグリコシル−L−アスコルビン酸、L−アスコルビンもしくはグリコシル−L−アスコルビン酸のアシル化誘導体(別名「脂溶性ビタミンC」)、L−アスコルビン酸硫酸エステルなどその他のL−アスコルビン酸誘導体などのビタミンCに属する化合物、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、これらの誘導体などのビタミンDに属する化合物、α−、β−、γ−、及びδ−トコフェロール、α−、β−、γ−、及びδ−トコトリエノール、これらの誘導体などのビタミンEに属する化合物が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な植物抽出物としては、上記で述べた香料として利用される植物抽出物以外に、例えば、カミツレ抽出物、セージ抽出物、アロエ抽出物、サルビア抽出物、アシタバ抽出物、アボガド抽出物、イラクサ抽出物、ウイキョウ抽出物、ウーロン茶抽出物、オウバク抽出物、オオムギ抽出物、オクラ抽出物、オーリス抽出物、海藻抽出物、カリン抽出物、カンゾウ抽出物、クインスシード抽出物、クチナシ抽出物、クマザサ抽出物、ケイヒ抽出物、紅茶抽出物、コメヌカ抽出物、コメヌカ発酵抽出物、ステビア抽出物、セロリ抽出物、センブリ抽出物、ダイズ抽出物、タイム抽出物、茶抽出物、ツバキ抽出物、トウキ抽出物、トウモロコシ抽出物、ニンジン抽出物、ハマナス抽出物、ヒノキ抽出物、ヘチマ抽出物、ベニバナ抽出物、マツ抽出物、モモ抽出物、ユーカリ抽出物、ユキノシタ抽出物、ユズ抽出物、ユリ抽出物、ヨクイニン抽出物、ヨモギ抽出物、藍藻抽出物、海藻抽出物、リンゴ抽出物、レイシ抽出物、レタス抽出物のほか、ヒノキチオール、アズレン、クロロフィル、グリチルリチンなどの植物からの単離化合物などが挙げられる。本発明で利用できる動物抽出物としては、例えば、胎盤抽出物が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な微生物エキスとしては、例えば、酵母エキスが挙げられる。本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な塩類としては、通常許容されている塩類が一般に利用できるほか、海水、苦汁、海洋深層水、海水乾燥物、鉱泉塩などの天然塩(溶液を含む)も有利に利用できる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシルエステル、シノキサート、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシルエステル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、オキシベンゾゾン、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ルチン、ケルセチンならびにこれらの化合物の誘導体のほか、5−クロロウラシル、グアニン、シトシンなどの紫外線遮蔽能を有する有機物質が挙げられ、感光色素としては、例えば、2,2′[3′−[2−(3−ヘプチル−4−メチル−2−チアゾリン−2−イリデン)エチリデン]プロペニレン]ビス[3−ヘプチル−4−メチル]チアゾリニウムヨーダイド(別名「プラトニン」)、2−[2−(3−ヘプチル−4−メチル−2−チアゾリン−2−イリデン)メチン]−3−ヘプチル−4−メチルチアゾリニウムヨーダイド(別名「ピオニン」)、6−[2−[(5−ブロモ−2−ピリジル)アミノ]ビニル]−1−エチル−2−ピコリニウムヨーダイド(別名「タカナール」)、2−(2−アニリノビニル)−3,4−ジメチル−オキサゾリニウムヨーダイド(別名「ルミネキス」)ならびにこれらの化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な抗酸化剤としては、既に述べた成分で抗酸化作用を有するものの他、例えば、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、ノルジヒドロガイアレン酸(別名「NDGA」)、ブチルヒドロキシアニソール(別名「BHA」)、ジブチルヒドロキシトルエン(別名「BHT」)、4−ヒドロキシメチル1−2,6−ジターシャリーブチルフェノール、カテキン、ルチン、ケルセチンならびにこれらの化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な防腐・殺菌剤としては、既に述べた成分で防腐又は殺菌作用を有するものの他、例えば、フェノール、パラクロロメタクレゾール、レゾルシン、パラオキシ安息香酸エステル、クレゾールなどのフェノール類、安息香酸、ソルビン酸、サリチル酸、ほう酸などの酸類(いずれも塩の形態を含む)、ヘキサクロロフェン、ビチオノール、ジクロロフェンなどのハロゲン化ビスフェノール類、3,4,4′トリクロロカルバニリド、ウンデシレン酸モノエタノールアミドなどのアミド類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウムなどの4級アンモニウム化合物の他、塩酸クロルヘキシジン、1−ハイドロキシピリジン−2−チオン、塩化リゾチームや、以上の化合物の誘導体が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な制汗・消臭剤としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウムクロルヒドレート類などが挙げられ、清涼剤としては、例えば、メントール、ハッカ油、ペパーミント油、カンフル、チモール、スピラントール、サリチル酸メチルなどが挙げられ、キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸誘導体、トリポリリン酸、ヘキサメタクリン酸、ジヒドロエチルグリシン、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、糖酸が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な美白剤としては、既に述べた成分で美白作用を有するものの他、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、タイロシネース遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド)などの核酸、コウジ酸、乳酸、アントラニル酸、クマリン、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、ピリミジン、ジオキサン、フラン、ピロン、ニコチン酸、アルブチン、バイカリン、バイカレイン、及びベルベリン並びにこれらの化合物の誘導体、メラニン色素生成抑制剤、タイロシネース生成抑制剤、タイロシネース阻害剤が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な消炎剤としては、既に述べた成分で消炎作用を示すものの他、アラントイン、アラントインアセチル−DL−メチオニン、アラアントインβ−グリチルレチン酸、イクタモール、インドメタシン、アセチルサリチル酸、塩酸ジフェンヒドラミン、グアイアズレン、カマズレン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、シコン抽出物などが挙げられ、酵素としては、枯草菌、放線菌、酵母などの微生物や、植物、動物に由来するプロテアーゼ、リパーゼ、リゾチームなどが挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な糖質としては、キシロース、アラビノース、グルコース、フラクトース、ガラクトース、タガトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、パノース、マルトトリオース、マルトテトラオースなどの少糖類、環状四糖、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどの環状糖質類、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトールなどの糖アルコール類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、プルラン、セルロース、澱粉、デキストラン、ペクチン、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、水飴、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、グルコマンナン、キチンなどの多糖類ならびにそれらの誘導体又は部分分解物が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能なアミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、シスチン、アスパラギン、グルタミン、ピロリドンカルボン酸、ヒドロキシプロリン、ピペコリン酸、サルコシン、ホモシステイン、ホモセリン、シトルリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインスルフィン酸、アルギニノコハク酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、β−アラニン、タウリン、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸や、以上の化合物の塩が挙げられる。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはそれを含む組成物とともに配合可能な増粘剤としては、既述の成分で増粘作用を有するもののほか、例えば、クインスシード、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル澱粉、アルギン酸プロピレングリコール、コラーゲン、ケラチン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合物、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの電解質のほか、各種の油分などが挙げられる。なお、以上の例示においては、塩の形態をとりうる成分について、その塩の形態を全て例示しているわけではないけれども、皮膚外用剤が許容される塩であれば、例示された以外の塩であっても、本発明において適宜利用できることは言うまでもない。
以上述べたような各種成分を、硫酸化環状四糖またはその塩、あるいはこれを含む組成物に含有させる方法としては、その製品が完成するまでの工程に含有せしめればよく、例えば、混和、混捏、溶解、融解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、晶析、固化など公知の方法が適宜選ばれる。その量は、通常0.1%以上、望ましくは1%以上含有せしめるのが好適である。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはこれを含む組成物は、そのままで、または必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤など各種形状に成形することも随意である。
本発明の硫酸化環状四糖またはその塩あるいはこれを含む組成物は、環状四糖と同程度か、又は加減された甘味を有し、また、甘味、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味などの呈味を有する各種の物質とよく調和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、一般の飲食物の甘味付、呈味改良に、また品質改良などに有利に利用できる。例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの各種調味料への甘味料、更には、呈味改良剤、品質改良剤などとして使用することも有利に実施できる。また、例えば、せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、まんじゅう、ういろう、あん類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステら、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、ヌガー、キャンディーなどの各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピ−ナッツペースト、フルーツペーストなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果などの果実、野菜の加工食品類、福神漬け、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、天ぷらなどの魚肉製品、ウに、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、ふぐのみりん干し、タラ、タイ、エビなどの田麩などの各種珍味類、海苔、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、ポテトサラダ、コンブ巻などの惣菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜の瓶詰、缶詰類、合成酒、増醸酒、清酒、果実酒、発泡酒、ビールなどの酒類、珈琲、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席ジュース、即席コーヒー、即席しるこ、即席スープなどの即席食品、更には、離乳食、治療食、ドリンク剤、ペプチド食品、冷凍食品などの各種飲食物への甘味付に、呈味改良に、品質改良などに有利に実施できる。また、家畜、家禽、その他は蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料、餌料などの嗜好性向上や物性改善などの目的で使用することもできる。その他、タバコ、練歯磨、口紅、リップクリーム、内服液、錠剤、トローチ、肝油ドロップ、口中清涼剤、口中香剤、うがい剤など各種の固形物、ペースト状、液状などで嗜好物、化粧品、医薬品などの各種組成物への嗜好性向上剤として、または呈味改良剤、矯味剤として、さらに品質改良剤、安定剤などとして有利に利用できる。品質改良剤、安定剤としては、有効成分、活性など失い易い各種生理活性物質またはこれを含む健康食品、医薬品などに有利に適用できる。例えば、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ツモア・ネクロシス・ファクター−α、ツモア・ネクロシス・ファクター−β、マクロファージ遊走阻止因子、コロニー刺激因子、トランスファーファクター、インターロイキンIIなどのリンホカイン含有液、インシュリン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、卵細胞刺激ホルモンなどのホルモン含有液、BCGワクチン、日本脳炎ワクチン、はしかワクチン、ポリオ生ワクチン、痘苗、破傷風トキソイド、ハブ抗毒素、ヒト免疫グロブリンなどの生物製剤含有液、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生物質含有液、チアミン、リボフラビン、L−アスコルビン酸、肝油、カロチノイド、エルゴステロール、トコフェロールなどのビタミン含有液、EPA、DHA、アラキドン酸などの高度不飽和脂肪酸またはそのエステル誘導体、リパーゼ、エステラーゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼなどの酵素含有液、薬用人参エキス、スッポンエキス、クロレラエキス、アロエエキス、プロポリスエキスなどのエキス類またはローヤルゼリーなどの各種生理活性物質、更には、ウイルス、乳酸菌、酵母などの生菌ペーストなどの有効成分や活性を失うことなく、安定で高品質の液状、ペースト状または固状の健康食品や医薬品などを容易に製造できることとなる。
本発明の食品組成物中における硫酸化環状四糖またはその塩の含有量は、食品組成物全体に対して通常、約0.001〜10質量%、好ましくは、約0.01〜5質量%、より好ましくは、約0.05〜1質量%である。このようにして得られる食品組成物は、安全であるので、例えば、脊椎動物に対して与えることができる。
本発明の食品組成物の摂取量は、摂取させる対象、摂取形態、摂食量などによっても異なるが、硫酸化環状四糖またはその塩のヒトにおける摂取量は、一般的にヒト成人一日につき、体重1kgあたり、0.1〜800mg、好ましくは0.1〜400mg、より好ましくは1〜400mg、特に好ましくは40〜400mgである。ヒト以外の動物の場合も、同様の量を投与することができる。
実施例
以下、本発明について実施例および比較例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
水酸基の硫酸化率(%)の測定方法
硫酸化環状四糖が有する水酸基のうち硫酸エステル化された割合を百分率で表示した。合成した硫酸化環状四糖のナトリウム塩の全S量をICPによる元素分析により測定し、イオンクロマトグラフィーにより硫酸化環状四糖本体から遊離した遊離S量を測定した。全S量から遊離S量を差し引いた結合S量から水酸基の硫酸化率を算出した。なお、イオンクロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
分離カラム:ICS-A23(横河製)
カラム温度:40℃
溶離液:3mmol/l 炭酸ナトリウム水溶液 流量 1ml/min
除去液:15mmol/l 硫酸水溶液 流量 1ml/min
1.硫酸化環状四糖ナトリウム塩の作製