JP5083692B2 - 配線モジュール、その製造方法、および電子機器 - Google Patents
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本発明は、光の無駄を抑えて、キーの照明を効率よく行うことができる配線モジュール、その製造方法、および当該配線モジュールを用いた電子機器を提供することを目的とする。
表面粗さが上記の範囲未満であると、キーの対応領域か否かによらず密着が生じ、その密着した箇所では導光シートから光が漏れてしまい、明るく輝いてしまう。このため、密着がキー非対応の領域で生じるとキーと関係ない位置で光が漏れてしまい、光量が不足してキーへの照明が不十分になる。光反射層の表面粗さを算術平均粗さRaで0.05以上とすることにより、光反射層と導光シートとの密着の発生を防止し、これにより光の漏れを防止することができる。また、同表面粗さが算術平均粗さRaで0.4を超えると、簡単に既存の印刷版方式によっては光反射層を製造することが難しくなるので、0.4以下とする。上記の構成により、光を効率よく用いて適正な照明を行いながら、配線モジュールの薄型化も推進することができる。なお、光反射層は、導光シートから密着以外の原因で漏れた光を、導光シートに戻すために挿入される層である。
図1は、本発明の実施の形態1における携帯電話機を示す斜視図である。この携帯電話機50は、手のひらサイズの範囲内で表示画面31を大きくとるために、表示画面31に広く占められた上層筐体21から下層筐体22をスライドして引き出す2層スライド方式を採用している。下層筐体22には図示しない文字キーなどが配置されている。厚み方向には2つの筐体が積層されるので、各筐体内に配置される部品は、厚み方向の高い利用効率が求められる。上層筐体の表示画面31の縁に、キー11,12,13が配置されている。図1のキーは、キー11,12,13の上面が上層筐体21の表面と同じ面にある(外に出ない)タイプのものである。図示はしないが、上層筐体21の表面から出ているキーもある。キー11,12,13は、部分的または全面的に、透明な材料で構成される。
光出射機構5cは、複数の凹部パターンに限定されず、表面における全反射条件を壊すことができれば、複数の凸部パターンでもよいし、光散乱剤を含むインクで印刷された印刷パターンとしてもよい。また、上記凸部もしくは凹部のパターン、または印刷パターンを設ける導光シートの面は、キー側の面(第1面)でも光反射層3側の面(第2面)でもよい。上層筐体21と導光シート5とは、図2に示すように接触していてもよいし、隙間をあけていてもよい。
ホットスタンピングでは、任意のパターンが形成されたスタンパ金型を加熱して、所定の圧力のもとで導光シートに押し付けることによって、スタンパ金型に形成されたパターンを導光シートに反転転写して凹部または凸部のパターンを得る。また、射出成形では、製作されたパターン金型または枠を使用することで、導光シートに凹部または凸部のパターンを形成する。また、マイクロブラストでは、スプレーで砂粒、ガラス粒などのような微小物質を導光シートに向けて噴射することによって、凹部または凸部のパターンを形成する。
上記のような凸部または凹部の密度の配分によって、出射光の光量と、各領域または各位置の導光シート5内における光量との比((出射光の光量)/(各位置の導光シート内の光量))は、上記距離の増大につれて大きくなる。この結果、LED周縁部5kからの距離が大きくなり、導光シート5内の光量が少なくなった位置においても、出射する光量の割合を増やすことで、出射する光量を他の位置と同じにすることができる。領域S1,S2,S3は、キー11,12,13に対応しており、上記の密度をもつ凹部パターン5cによって、キー11,12,13に対して均一な明るさ(輝度)とすることができる。
図6および図7に、光反射層3を作製する方法を示す。光反射層3は、たとえば白色印刷層とする。白色印刷層3は、型を用いたスクリーン印刷法で印刷し、硬化処理するのがよい。白色印刷剤には、白色顔料、バインダーの樹脂、有機溶剤等を含んだ、市販のインクを用いることができる。バインダーの樹脂には、加熱硬化型エポキシ樹脂、加熱硬化型アクリル樹脂、加熱硬化型ポリエステル樹脂、紫外線硬化型アクリレート樹脂などを用いたものがよい。このうち特に、加熱硬化型ポリエステル樹脂は、FPCへのスクリーン印刷に適している。図6に示すように、白色印刷層のスクリーン印刷を行う前に、白色印刷剤またはペーストインクの準備をする。この白色印刷剤について、本実施の形態では2つの方法例を説明する。
−A1法(高粘度タイプ)−
硬化性ポリエステル樹脂を主バインダーとした、2液性コーティング用印刷ペーストを希釈して、練る。よく練って、粘度3.5Pa・s〜9.5Pa・sとなるように調整したペーストインク(スクリーンに塗布するものをペーストインクと記す)を用いる。ペーストインクの粘度を上記範囲に入れるためには、最も簡単には、ペーストインクでの粘度を明示した市販の印刷ペーストを選択すればよい。スクリーン印刷のスクリーンメッシュは150〜200が好ましい。上記の2液性コーティング用印刷ペーストのペーストインクの粘度を、上記範囲に入れることにより、加熱処理後に、算術平均粗さRaを上記範囲内に入れることができる。粘度3.5Pa・s未満では、加熱処理後に算術平均粗さRaを0.05以上とすることができない。その理由は、多くが考えられるが、確実に検証するに至っていない。
従来、光反射層を構成する白色印刷層3の作製には、硬化性ポリエステル樹脂を主バインダーとする2液性コーティング用印刷ペーストのペーストインクの粘度1.5Pa・sのものを用いていた。従来、インク粘度1.5Pa・sを用いていた理由は、撹拌の混練の作業性が良いことであった。粘度3.5Pa・s以上とすることによって、撹拌の混練の作業性は低下するが、上記の表面粗さを有する光反射層3を得るために、有効な手段であり、撹拌のための動力増などによって対処することができる。
市販の加熱硬化型ポリエステル樹脂系インクを用いる場合、スクリーン印刷後に、通常、120℃〜150℃程度に5分間〜20分間程度保持する加熱処理または硬化処理を行う。白色印刷層3の厚みは、5μm〜50μm程度とするのがよい。なお、白色印刷層3は、照明にプラスに作用するのであれば、白色でなくてもよく、意匠性等を考慮した任意の色、銀色、金色などの金属光沢を有していてもよい。この場合、当然、顔料を当該色彩または金属光沢を発色するものとする。
−A2法(微粒子混入タイプ)−
この方法は、インクに、微粒子を含有させる。A1法と同様に、白色顔料、バインダーの樹脂、有機溶剤等を含んだ、市販のインクを用いることができる。バインダーの樹脂には、加熱硬化型エポキシ樹脂、加熱硬化型アクリル樹脂、加熱硬化型ポリエステル樹脂、紫外線硬化型アクリレート樹脂などを用いることができる。
(i)スクリーン印刷による場合
このうち特に、加熱硬化型ポリエステル樹脂は、FPCへのスクリーン印刷に適している。この場合、ペーストインクの粘度は、作業性および微粒子の表面粗さへの反映度を考慮して、1.0Pa・s〜2.5Pa・sとするのがよいが、それより高くても問題ない。上記の微粒子は、スクリーンメッシュを通り抜けることができる大きさとする必要がある。このため、スクリーンは、A1法に用いるスクリーンよりも目の粗いものとするのがよい。
(ii)スクリーン印刷以外の印刷方法による場合
微粒子のサイズが非常に大きい場合、または充填率が高い場合には、スクリーン印刷が難しくなる。このような場合、凸版印刷などの印刷版式を用いることができる。また既存の印刷版方式によることをやめて、厚み精度を高くする機構を取り入れた塗装(印刷)方法を用いてもよい。
A2法(i)および(ii)においても、スクリーン印刷をした後、加熱処理をして、白色印刷層3を硬化させる。
導光シート5の材料には、屈折率が空気の屈折率(ほぼ1)より高く、たとえば屈折率が1.3以上で、透光性があれば任意の材料を用いることができる。たとえばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリウレタン、シリコンなどを用いることができる。導光シート5の厚みは、キーによる押圧力を伝えやすく、導光が可能な20μm〜500μm程度とするのがよい。
3.導光シート5における光出射機構
キー全体にわたって出射される光の明るさが揃うように、LED周縁部5kからの距離に応じて、凹部や凸部のパターン内の密度、パターンの大きさや、パターン間の間隔を調整することができる。以下に説明する導光シートの光出射機構は、どれも照明を均一にするためのものである。
図8(a)は、光出射機構5cを構成する光散乱剤を含むインクによる印刷パターンの大きさを、LED周縁部5kからの距離が大きくなるにつれて、大きくする構造を示す。上記の印刷パターン5cは、導光シートの表面(キー側面)または裏面(光反射層側の面)に、光散乱剤を含むインクを所定のサイズに印刷することで、形成される。
図8(b)は、光出射機構5cを構成する光散乱剤を含むインクによる印刷パターンの大きさを、一定の矩形として、LED周縁部5kからの距離が大きくなるにつれて、印刷パターン5cの密度を高くした構造を示す。換言すれば、印刷パターンの間隔が対応領域ごとに変えられ、上記距離が大きくなるほど、上記間隔が小さくされている。図示はしないが、印刷パターンのサイズは同じにして、配合する光散乱剤の密度を、LED周縁部5kからの距離が大きくなるにつれて、大きくしてもよい。
図9は、図1のキー部11,12,13のそれぞれに文字形状の照明をするための導光シート5を示す図である。この導光シート5の光出射機構は、複数の凹部の配置5cで構成されており、その複数の凹部5cが文字K、E、Yの形状に分布している。そして、均一な照明になるように、LED周縁部5kからの距離につれて、凹部の密度を大きくしてある。これによって、キー11にK状、キー12にE状,キー13にY状の照明を、均一な照度で行うことができる。上記の凹部または凸部は、横(水平)断面が円でも、細長い矩形でも、三角形でもよい。
図10は、本発明の実施の形態2における携帯電話機の部分断面図である。本実施の形態では、FPC1のスイッチ部は、固定接点8b、カバー絶縁層1dなどを含む。そのFPC1の上に動接点8aとドームシート2とが配置される。換言すれば、動接点8aおよびドームシート2が、FPC(固定接点8bおよびカバー絶縁層1dを含む)1と、光反射層3との間に、挿入される。配線モジュール10におけるスイッチにドームスイッチを用い、スイッチが、固定接点8bと、カバー絶縁層1dと、動接点8aと、ドームシート3とで構成される点が、実施の形態1と相違する。
光反射層3は、ドームシート2上に、ドームに沿って積層され、その光反射層3の表面粗さが算術平均粗さRaで0.05以上0.4以下とされている。導光シート5は、上記のように、表面が粗い光反射層3に接して位置する。光反射層3の表面が粗いために、光反射層3と密着する箇所を生じない。この結果、容量変化による電圧変化検知型のスイッチに比べれば、薄型化は徹底しないが、ドームスイッチの使用が不可避の場合、光の有効利用を図りながら、薄型化を推進することができる。
実施の形態1および2以外の変形例について、言及する。
1.プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板に限定されず、硬質のプリント配線基板であってもよい。
2.光反射層は、色彩、光沢は任意である。
3.実施の形態では、導光シートに設けられる光出射機構は、一次元に配列された場合のみを説明したが、本発明は、縦横に光出射機構が配列した二次元配列の場合も含むことはいうまでもない。
4.光源は、LEDについて言及したが、LEDに限定されず、どのような種類の光源であってもよい。たとえば半導体レーザまたはレーザダイオード(LD)であってもよい。
Claims (10)
- 配線回路を有するプリント配線板と、
前記プリント配線板上に積層された光反射層と、
光源からの光を内部に導光して、前記光反射層と反対側のシート面から光を出射するために、前記光反射層の前記プリント配線板と反対側に位置する導光シートとを備え、
前記光反射層が印刷された層であり、その層の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.05以上0.4以下であることを特徴とする、配線モジュール。 - 前記光反射層をスクリーン印刷するために用いたペーストインクの粘度が、3.5Pa・s以上9.5Pa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の配線モジュール。
- 前記光反射層に、表面粗さを粗くするために、微粒子が含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線モジュール。
- 前記プリント配線板がフレキシブルプリント配線板であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線モジュール。
- 前記配線回路内に、容量変化による電圧変化または電荷量変化を検知するスイッチ部を構成する、電極部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線モジュール。
- 前記導光シートには、前記光反射層と反対側の面から光を出射させるために、前記光反射層と反対側の面または前記光反射層側の面に、複数の、凹部および/または凸部のパターンを設け、かつ、光源からの距離によらず出射される光の量を揃えるために、前記距離が遠い位置ほど、(A1)前記パターン内の凹部および/または凸部の密度を大きくする、(A1−i)前記パターンの大きさを大きくして前記凹部および/または凸部の密度を大きくする、(A1−ii)前記パターン間の間隔を小さくして前記凹部および/または凸部の密度を大きくする、または(A2)パターン内の凹部および/または凸部の形状を、出射される光量の、当該位置に導光される光量に対する割合を高くする光出射性能の高いものとすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線モジュール。
- 前記導光シートには、前記光反射層と反対側の面から光を出射させるために、前記光反射層と反対側の面または前記光反射層側の面に、複数の、光散乱剤を含む印刷パターンを設け、かつ、光源からの距離によらず出射される光の量を揃えるために、前記距離が遠い位置ほど、(B1)前記印刷パターン内の光散乱剤の密度を大きくする、(B1−i)前記印刷パターンの大きさを大きくして前記光散乱剤の密度を大きくする、(B1−ii)前記印刷パターンのパターン間の間隔を小さくして前記光散乱剤の密度を大きくする、または(B2)前記印刷パターン内の光散乱剤の種類を、出射される光量の、当該位置に導光される光量に対する割合を高くする光出射性能の高いものとする、ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線モジュール。
- 前記スイッチ部に対応する位置に、前記凹部または凸部のパターンおよび/または印刷パターンが文字の形態に形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の配線モジュール。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の配線モジュールを備えることを特徴とする、電子機器。
- 導光シート、プリント配線板、および該導光シートとプリント配線板との間に位置して前記導光シートから漏れた光を反射して戻す光反射層を備えた配線モジュールの製造方法であって、
前記光反射層を、前記プリント配線板上に印刷により形成するときに、
粘度3.5Pa・s以上9.5Pa・sのペーストインクを用いてスクリーン印刷することを特徴とする、配線モジュールの製造方法。
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