JP5083604B2 - 引き戸クローザ - Google Patents

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Description

本発明は、建物(例えば、引き戸枠など)と引き戸との間に架設したワイヤを、ぜんまいのばね力を利用して巻き取ることにより、開扉後の引き戸を自動的に閉鎖する(以下、自閉させる)引き戸クローザに関する。
従来、この種の引き戸クローザとしては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。即ち、これは、図14に示すように、ダンパユニット101と、ぜんまいユニット102と、ぜんまいユニット102に収容したシャフト109に先端を固定するぜんまい103と、ワイヤ巻き乱れ手段104と、ワイヤ105とを具備したものである。
この引き戸クローザは、ぜんまい103の戻り力による引き戸106の過度の閉止慣性力で手を挟んだり、戻り力を上回るダンパユニット101の過度のダンパ機能の付与によって引き戸106の閉止に過大な外力を要する、といった不具合を、ダンパ機能を適正に選択し設定することで解消できるようになっている。なお、図中符号107は引き戸クローザの筐体部分を示す。また、矢印Aは開扉方向、Bは閉扉方向を示す。
実用新案登録第3101743号公報(図3)
図14に示す引き戸クローザにあっては、例えば、ぜんまい103のばね力(戻り力)を変更させる場合には、ぜんまい103を巻き装させている中心部のシャフト109をねじ回しなどで回転させることで微調整することも可能である。ところが、ばね力を増大させるつもりでシャフト109を逆方向に回転させてしまったり、ばね力を弱めるように回転させる際にシャフト109を過度に回転し過ぎると、シャフト109からぜんまい103の先端が抜け出したり、ぜんまい103の先端側が折損する虞が考えられる。
さらに、このような引き戸クローザにあっては、例えば、引き戸クローザなどのように、2枚の引き戸の一方にクローザを取付けるとともに他方の引き戸を固定させておくことにより、一方の引き戸を自閉式とする(以下、これを「複式引き戸クローザ」と呼ぶことにする)構成の引き戸の開発要求がある。ところが、このような複式引き戸クローザにあっては、一方のクローザから引き出したワイヤの端を他方の引き戸に取り付けて固定する場合、2つの引き戸が衝突するのを避けるため、一方の引き戸からワイヤを引き出す際にそのワイヤをオフセット(配設位置をずらす)必要があり、従来の引き戸クローザではそのまま適用するのが困難であった。
また、図14に示すような引き戸クローザを剥き出し状態に設けるのではなく、引き戸に収納させて見栄えを良くした自閉式引き戸とする場合には、図14に示す横置き(水平置き)の状態ではなく、90度倒して縦置きにすれば引き戸に収納可能である。ところが、このような縦置きタイプのクローザにあっては、ぜんまいのばね力を調整しようとするときには、シャフト109の端部が引き戸の(戸当たり面に直交する)正面側に露出させるように穴を設けておいて、正面側のその穴からドライバなどを差し込んでシャフトの回転操作を行う必要がある。このように、引き戸正面側に、シャフト端部の操作用の穴を設ける必要があるので、美観が良くない。
さらに、前述のように引き戸が2枚以上で構成されている複式引き戸クローザのような場合には、開放方向を間違って閉じ方向に強く押し出すと、強い閉じ力で引き戸が急激に閉められてしまい、高い衝突音が発生してしまうことが考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ぜんまいの戻り力を調整する際に、ぜんまいがシャフトから抜け出したり、折損することのない引き戸クローザを提供することを目的とする。また、本発明は、複式引き戸クローザなどに設置させるのに好適なワイヤをオフセットさせたり方向転換させることができる引き戸クローザを提供することを目的とする。また、本発明は、引き戸正面側にシャフト端部の操作用に穴などを設けずにぜんまいの戻り力を調整することができ、見栄えがよい引き戸クローザを提供することを目的とする。さらに、本発明は、引き戸を誤って閉じ方向に押し出しても、大きな音を上げて戸当たりに強く衝突することのない引き戸クローザを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の引き戸クローザは、ぜんまいプーリ内部に収容したぜんまいのばね力により、引き戸を自閉させる引き戸クローザであって、前記ぜんまいは、前記ぜんまいプーリの中心側に設けたシャフトの溝に先端部が係止させた状態で巻装されているとともに、前記シャフトの前記溝に、前記ぜんまいの先端部を押え付けて抜け止めするための押さえ板を配置し、前記押さえ板は断面略Z形状となっていることにある。
また、本発明の引き戸クローザは、ぜんまいと、ワイヤを介してダンパ力を引き戸に付与するダンパ機構とを備え、前記引き戸を前記ぜんまいのばね力で自閉させる引き戸クローザであって、前記引き戸本体のワイヤ引き出し部近傍の、前記ぜんまいを収容するぜんまいプーリ及び前記ダンパ機構を収容するダンパプーリの取り付け面とは直交する面に、前記ワイヤの引き方向をオフセットさせるか又は方向転換させるためのプーリを1個又は複数個取り付けたことを特徴とする。
また、本発明の引き戸クローザは、ぜんまいプーリ内部に収容したぜんまいと、ワイヤを介してダンパ力を引き戸に付与するダンパ機構とを備え、前記引き戸を前記ぜんまいのばね力で自閉させる引き戸クローザにおいて、前記引き戸の開閉方向と直交する方向の面側の外部から前記ぜんまいのばね力を調整可能に構成したことを特徴とする。
前記ワイヤの引張り力の調整手段は、前記ぜんまいプーリ内部に取付け前記ぜんまいの先端を巻装するシャフトに、これと連結させて設けた1枚または複数枚の回転板と、この回転板の回転軸と直交する方向に操作軸を配置するとともに前記回転板の外周縁部に沿って又はこの近傍に沿って設けた被係合部に係合する係合部を有する調整部材とを備えた構成でもよい。
本発明によれば、ぜんまいの戻り力を調整する際に、ぜんまいがシャフトから抜け出したり、折損することのない引き戸クローザを提供できる。また、本発明によれば、複式引き戸クローザなどに設置させるのに好適なワイヤの位置をオフセットさせたり方向転換させることができる引き戸クローザを提供できる。また、本発明によれば、引き戸正面側にシャフト端部の操作用に穴などを設けずにぜんまいの戻り力を調整することができ、美観性に優れた引き戸クローザを提供できる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るぜんまいのばね力で引き戸を自閉させる引き戸クローザ(以下、「クローザ」と略す)のぜんまい機構1を示すものであり、このぜんまい機構1は、ぜんまいプーリ10に収容されており、巻装したぜんまい11と、このぜんまい11を固定するシャフト12と、このシャフト12に取付けた押さえ板13とを備えている。なお、図中符号2はワイヤを示す。
ぜんまい11は、中心側の端部(先端)11Aが、ぜんまいプーリ10中心部に設けたシャフト12に係止させてある。即ち、このぜんまい11は、先端11Aが略V字形に折曲されてシャフト12の溝12Aに挿入された状態で挟み込まれている。また、ぜんまい11の外周には、ワイヤ2の一端(先端)が接続されているとともに、ワイヤ2の他端(基端)は、図示外の建物側に固定されている。
シャフト12は、ぜんまいプーリ10の中心部に回転可能に設置された円柱状のもので構成されており、シャフト12を中央から分断するように前述した溝12Aを設けている。
押さえ板13は、ぜんまい11の先端11Aを押え付けてこのぜんまい11の抜けなどを防止するものであり、断面略Z形状を有するものが、ぜんまい先端11Aを挿入してあるシャフト12の溝12Aに一緒に挟み込まれた格好となっている。
従って、本実施形態によれば、ぜんまい11のばね力を変更させて戻り力を調整する場合には、ドライバなどを用いてシャフト12の溝12Aに差し込んで回転させることで、戻り力を調整できる。例えば、戻り力を増大させる場合には、図1においてシャフト12を時計回りに回転させればよい。
逆に、戻り力を減少させる場合には、図1においてシャフト12を反時計回り(図2、図3の方向)に回転させればよい。ところが、戻り力を減少させる場合に、不慣れな操作者などが角度量を見誤って多く回しすぎると、ぜんまい先端11Aが溝12Aから抜け出したり、折損する虞がある。ところが、本実施形態によれば、そのように廻し過ぎた場合でも、このようなトラブルを防止できる。
即ち、図3に示すように、シャフト12を反時計回りに廻し過ぎた場合、ぜんまい先端11Aの90度近くに折り曲げてある強度の弱い部分(最弱部)11B近傍の円周部分11Cが押さえ板13の一端部13Aの内面側に接触する。このため、ぜんまい11は、最弱部11B近傍の円周部分11Cが外側方向に押し広がって先端11Aが溝12Aから脱出しようとするのを防止できるわけである。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。図4は、本実施形態に係る引き戸クローザ(複式引き戸クローザ)3を示すものであり、この引き戸クローザ3は、一対の引き戸4,5において、一方の引き戸(以下、可動側引き戸)5を、固定されている方の引き戸(以下、固定側引き戸)4に対して自閉させるものである。
固定側引き戸4には、天井面4Aに設けた固定部材41に、ワイヤ2の基端が固着されている。なお、この天井面4Aは、可動側引き戸5の後述するプーリを取り付ける天井面5Bと同一レベル(面一状態)にある。
可動側引き戸5には、この引き戸5の本体5Aの内部に、可動側引き戸5に戻り力(自閉力)を付与するぜんまい装置31およびワイヤ2を介してダンパ力を引き戸5に付与するダンパ装置32を備えるとともに、本体5Aの天井面5Bにワイヤ2の引き出し方向をオフセットさせるプーリを2個(以下、第1、第2プーリ51、52とよぶ)取り付けてある。
ぜんまい装置31は、図示しない(ぜんまいを含む)ぜんまい機構が後述のぜんまいプーリ31Aの内部に収容されており、本体5Aの取り付け面である正面側に取付けられている。一方、ダンパ装置32は、図示しない(液体への羽根回転抵抗などを利用した)ダンパ機構を収容する後述のダンパプーリ32Aを備えており、同じく、本体5Aの正面側に取付けられている。
第1、第2プーリ51、52は、ぜんまい装置31及びダンパ装置32の取り付け面(正面)とは直交する面である本体5Aの天井面5Bのワイヤ引き出し部近傍に設置されている。特に、この第1、第2プーリ51、52は、ごく僅かな間隔を保持して互いに近接した状態で配置することにより、ワイヤ2がこれらのプーリの間から抜け出すのを防止している。なお、本実施形態では、第2プーリ52を第1プーリ51よりも大径にすることで、ワイヤ2の引き出し位置を大きくずらす(オフセットさせる)ようにしてある。
従って、本実施形態によれば、第1、第2プーリ51、52でワイヤ2の引き出し位置をオフセットさせることで、引き戸を自動閉扉させることが可能となり、自閉式の引き戸が実現できる。
なお、本実施形態では、第2プーリ52を大径にしてあるが、図5に示すように、同径のものを一対設置する構成としてもよい。この場合にも、ワイヤ2をオフセットさせて引き出すことができる。従って、引き戸5を戸枠6側のガイドレール61に吊り下げるために引き戸5の天井面5Bに固設する吊車53には、車輪531を回転自在に支持する支持部532をワイヤ2が避けて通過することができる。
なお、本実施形態では、プーリ2個でワイヤ2の引き出し位置を大きくずらす(オフセットさせる)ようにしてあるが、図6に示すように、1個のプーリ52のみでワイヤ2の引き出し位置をオフセットさせるようにしてもよい。また、図7に示すように、単一のプーリ52のみでワイヤ2の引き出し位置をオフセットさせるのと同時に、ワイヤ2の走行方向を方向転換させるような構成としてもよい。従って、図6、図7のいずれのタイプの場合にも、ワイヤ2の走行位置を吊車53の支持部532からオフセットさせることができるので、標準タイプの吊車が使用でき、また、図4に示すような通常の引き戸にも使用することができる。
また、本実施形態では、第1、第2プーリ51、52を可動側引き戸5に設置してあるが、図8に示すように、第1、第2プーリ51、52を固定側引き戸4に設置するとともに、可動側引き戸5の天井面5Bに固定部材54を設置してこれにワイヤ2の基端を固定させてもよい。
さらに、図9に示すように、壁7側に引き戸クローザ3を内蔵させるとともに、可動側引き戸5(の戸当たり6A寄り)にワイヤ2の基端を固定させる固定部材54を設置するような構成としてもよい。この場合にも、第1、第2プーリ71、72を壁7側に設置することで、ワイヤ2の引き出し位置からワイヤ2の走行方向を方向転換させることができるので、壁7に対して引き戸5が直交する方向または90°以外に設置してあっても、自閉式の引き戸が実現可能となる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1、第2実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。図10は、本実施形態に係る引き戸クローザ3を示すものであり、この引き戸クローザ3は、ぜんまい装置31およびダンパ装置32を収容するケーシング30において、引き戸の開閉(α)方向と直交する(建物側の)引き戸枠の戸当たり(図略)に対向する端面30A側から、ワイヤ2の引張り力をドライバなどで調整可能な引張力調整手段8を備えている。また、本実施形態では、ワイヤ2が、水平方向に対して斜めに傾いた状態で設置されているが、第2実施形態のように水平状態に設置してもよい。
本実施形態の引張力調整手段8は、ぜんまい11のばね力を変更させることによりワイヤ2の引張り力の調整を行うものであり、回転板81と、調整部材82とを備えている。
このうち、回転板81は、スプロケットとしての機能を有する1枚の円板で構成されており、ぜんまいプーリ31A中心部において、ぜんまい11の先端を固定した状態で巻装させてあるシャフト12と一体に連結している。この回転板81には、外周縁部(又は外周縁部近傍)に沿って被係合部である小孔81Aを多数等間隔で穿設してある。なお、この回転板81の回転軸はシャフト12で兼用しており、シャフト12に回転板81が一体に固定されている。従って、回転板81を回転させることで、ぜんまい11も回転させられ、ぜんまい11のばね力を調整することができる。
調整部材82は、ケーシング30の外部から、特に建物側の引き戸枠側の戸当たりに対向する端面30A側からドライバなどでぜんまいのばね力を調整できるようにするためのものであり、シャフト12とは直交する方向(引き戸の開閉方向)に配置してある。この調整部材82には、操作軸821と、この操作軸821に一体に固着したピニオン(小歯車)822とを備えている。
操作軸821は、ケーシング30の端面30Aから頭部821Aが突出しており、この頭部821Aに設けた溝821Bにドライバ先端などを係止させ、操作軸821の回転操作を行う。
ピニオン822は、操作軸821の端部である頭部821Aとは反対側の端部に固設されており、多数の歯を設けた小歯車で構成している。このピニオン822は、歯先822Aが回転板81の小孔81Aに係合して(係合部を構成)調整部材82を回転させることができるようになっている。
ストッパピン823は、(ぜんまいプーリ31Aと一体の)回転板81をケーシング30に対して固定(ロック)状態に保持しておくものであり、ケーシング30の内壁に1個又は複数固設させた小ピンで構成されており、回転板81の小孔81Aに嵌入可能なように適宜位置に設置されている。
このストッパピン823は、普段、回転板81の小孔81Aに嵌入して回転板81、延いてはぜんまい11の基端を固定するものであり、特に引き戸を開いていくときにワイヤ2で引張されてぜんまい11を巻き取らせていくことができる程度のぜんまい固定力を有している。また、ぜんまい11のばね力を変更させて引き戸の戻り力を調整させる場合には、ストッパピン823のストップ力(ぜんまい固定力)を越える操作軸821の回転操作力で回転板81を回転させるのを許容できる程度に、ストッパピン823のストップ力が設定されている。
なお、本実施形態の場合、回転板81を固定保持してロック状態としておくため、ストッパピン823を付設しているが、このストッパピン823を付設する代わりに、ぜんまいのばね力変更操作時以外のときには、回転板81に回転停止状態を維持できるような機能を設けておいてもよい。
従って、本実施形態によれば、ぜんまい11のばね力を変更させて引き戸の戻り力を調整する場合には、ストッパピン823のストップ力を上回る操作軸821の回転操作力で回転板81を所望の方向に回転操作すればよい。しかも、本実施形態によれば、このぜんまい11のばね力を変更操作のための穴を、引き戸のよく目立つ(デザインを気にする)正面側ではなく、これとは直交する引き戸の端面30Aに設置できるので、見栄えもよくなる。
また、本実施形態では、引張力調整手段8を1枚の回転板81と調整部材82とで構成したが、これ以外に、例えば図11に示すように、1枚の回転板81の代わりに、2個(又はそれ以上の)ギア列で構成してもよい。
即ち、この引張力調整手段8Aは、図11に示すように、第1、第2のギア付調整プレート83、84と、第2のギア付調整プレート84に係合する調整部材82とを備えている。
このうち、第1のギア付調整プレート83は、シャフト12と一体に固着されてケーシング30の内壁に対して回転可能な状態となっており、外周には外歯83Aを設けている。一方、第2のギア付調整プレート84は、外歯83Aに噛合する外歯84Aを外周に沿って設けているとともに、この外歯84Aよりも内側寄りの外周縁部に沿って小孔84Bを設けており、これがスプロケットとしても機能している。
従って、このようなギア列で構成すれば、ケーシング30の端面30A側から調整部材82を回転操作する際に、小さな回転力で確実に第1のギア付調整プレート83を回転させ、ぜんまい11のばね力を変更させることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1〜第3実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。図12は、本実施形態に係る引き戸クローザ3を設置した引き戸5及びこれを吊り下げた建物側の引き戸枠6などを示すものであり、この引き戸枠6には、引き戸5の閉じ際の閉扉速度を規制する閉じ速度規制手段として弾性体9Aを設けている。なお、図中符号6Aは建物側の戸当たりを示す。
弾性体9Aは、ワイヤ2により引き戸5の戻り力を抑えるためのものであって、ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で形成されており、引き戸5の閉じ際近傍の戸枠6に設置されている。本実施形態の弾性体9Aは、ダンパプーリ32Aの外周面に対向する引き戸枠6の一面に設けている。詳細には、引き戸5の閉じ際近傍の引き戸枠6の、ダンパ機構を収容するダンパプーリ32Aの外周面の一部が通過する領域に設置されている。特に、ダンパプーリ32Aの外周面の一部にワイヤ用V溝321を形成しているので、この弾性体9Aは、ワイヤ用V溝を避けた部位が通過する領域に設置されている。
従って、本実施形態によれば、例えば引き戸を誤って閉じ方向に強く押した場合は、ワイヤ2がダンパプーリ32AのV溝321から浮いてダンパ力が働かず、引き戸5が早く閉められようとする。そのときに、引き戸5の閉じ動作とともに回転するダンパプーリ32Aの外周面が弾性体9Aに接触・摺動することで、確実にダンパが働き、引き戸5の閉じ際の閉扉速度を規制できる。これにより、大きな音を立てて戸当たりに強く衝突するのを防止できる。なお、この実施形態では、ダンパプーリ32Aの外周面に弾性体9Aが接触・摺動するような構成としたが、弾性体以外のもので摩擦を起こさせる材料を使用しても良い。
また、本実施形態では、閉じ速度規制手段として、ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で形成された弾性体9Aを戸枠6のダンパプーリの外周面に対向する面に形成することで構成しているが、例えば、図13に示すようなラックアンドピニオン機構であってもよい。
即ち、これは、閉じ際近傍の戸枠6にラック9Bを設けるとともに、ダンパプーリ32Aの外周面の一部にラック9Bに噛み合うピニオン9Cを設けたものである。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである
本発明の引き戸クローザは、ぜんまいの戻り力を調整する際に、ぜんまいがシャフトから抜け出したり折損する虞がなく信頼度を向上できる効果を有し、市販の引き戸等にそのまま設置してその自閉装置として有用である。また、本発明によれば、複式引き戸クローザなどに設置させるのに好適なワイヤをシフトさせたり方向転換させることができるので、市販の吊り車を取り付けた引き戸等にそのまま設置してその自閉装置として有用である。また、本発明によれば、市販の引き戸等にわずかな部品を追加設置するだけで、引き戸正面側にシャフト端部の操作用に穴などを設けずにぜんまいの戻り力を調整でき、見栄えのよい引き戸クローザを提供できる。さらに、本発明によれば、引き戸を誤って閉じ方向に押し出しても、大きな音を上げて戸当たりに強く衝突することがなく高級化が得られる効果を有し、市販の引き戸等に僅かな部品を追加設置したり、僅かな部品交換をするだけで済むので、その自閉装置として有用である。
本発明の第1実施形態に係る引き戸クローザに用いるぜんまい機構を示す構成図である。 図1に示すぜんまい機構においてシャフトが逆回転された(戻り力を弱める)場合状態を示す説明図である。 図1に示すぜんまい機構の要部を示す拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る引き戸クローザを内蔵した引き戸を示すものであり、(A)はその引き戸クローザを内蔵する方の引き戸の断面図、(B)は要部を示す平面図である。 (A)は本発明の第2の実施形態に係る引き戸クローザを設置した引き戸の上面を示す平面図、(B)はそのB−B線断面図である。 その引き戸クローザの変形例を示す平面図である。 その引き戸クローザの他の変形例を示す平面図である。 (A)はその引き戸クローザのさらに他の変形例の引き戸クローザを設置した引き戸の上面を示す平面図、(B)はその断面図である。 その引き戸クローザのさらに他の別の変形例を示す断面図である。 (A)は本発明の第3の実施形態に係る引き戸クローザの構成を示す横断面図、(B)はその縦断面図、(C)は本実施形態の原理を示す説明図である。 (A)は本発明の第3の実施形態に係る引き戸クローザの変形例の構成を示す断面図、(B)はその原理を示す説明図である。 (A)は本発明の第4の実施形態に係る引き戸クローザを設置した引き戸を示す説明図、(B)はその断面図である。 (A)はその引き戸クローザの変形例のものを設置した引き戸を示す説明図、(B)はその断面図である。 (A)は従来の引き戸クローザを取り付けた引き戸を示す斜視図、(B)はその従来の引き戸クローザの構成を示す説明図である。
符号の説明
1 ぜんまい機構
10 ぜんまいプーリ
11 ぜんまい
11A 先端
11B 最弱部
11C 円周部分
12 シャフト
12A 溝
13 押さえ板
2 ワイヤ
3 引き戸クローザ
30A 端面
31 ぜんまい装置
31A ぜんまいプーリ
32 ダンパ装置
32A ダンパプーリ
321 ワイヤ用V溝
4 固定側引き戸
5 可動側引き戸
5B 天井面
51、52、71、72 第1、第2プーリ
53 吊車
54 固定部材
6 引き戸枠
6A 戸当たり
7 壁
8 引張力調整手段
81 回転板
81A 小孔
82 調整部材
821 操作軸
822 ピニオン(小歯車)
823 ストッパピン
83、84 第1、第2のギア付調整プレート
83A、84 A外歯
84B 小孔
9A 弾性体(閉じ速度規制手段)
9B ラック(閉じ速度規制手段)
9C ピニオン(閉じ速度規制手段)

Claims (1)

  1. ぜんまいプーリ内部に収容したぜんまいのばね力により、引き戸を自閉させる引き戸クローザであって、
    前記ぜんまいは、前記ぜんまいプーリの中心側に設けたシャフトの溝に先端が係止させた状態で巻装されているとともに、
    前記シャフトの前記溝に、前記ぜんまいの先端を押え付けて抜け止めするための押さえ板を配置し、前記押さえ板は断面略Z形状であることを特徴とする引き戸クローザ。
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